ホームページ制作会社の選び方|10のチェックポイントと依頼時の注意点

ホームページ制作会社の選び方|10のチェックポイントと依頼時の注意点

更新日:2026/10/21

ホームページ制作会社の選び方の基本は、目的や予算などの条件を先に決め、同じ条件で各社の提案を比べることです。本記事では、制作会社のタイプ、10のチェックポイント、評価シートの作り方、契約前の注意点とコンペの進め方を解説します。

ホームページ制作会社の選び方は?4つの段階で進める

ホームページ制作会社は、準備、候補集め、提案の比較、契約の4段階で選びます。提案を比べる段階では、制作実績・提案の中身・制作体制・費用を軸にしましょう。金額や知名度だけで候補を絞ると、公開してから「問い合わせが増えない」「更新を頼める人がいない」といった不満が残りやすくなります。

段階

社内でやること

この段階で決めること

1. 準備

目的・予算・公開希望日・依頼範囲を決め、提案依頼書(RFP)にまとめる

制作会社に伝える条件

2. 候補集め

目的に合うタイプの会社を3〜5社ほど選ぶ

提案を依頼する会社

3. 提案の比較

10のチェックポイントで提案と担当者を比べる

発注先

4. 契約

追加料金・日程・権利・維持費の条件を書面にする

契約の条件

このうち、飛ばされやすいのが最初の準備です。

条件を決めないまま候補集めから始めると、制作会社はそれぞれの想定で提案を出してきます。見積もりの金額と作業の範囲が会社ごとにばらばらになり、横に並べて比べられません。

結局、条件を伝え直して各社に提案を出し直してもらう手間がかかります。声をかける前に社内で条件をそろえておくほうが、発注までの時間は短く済みます。

制作会社を選ぶ前に準備すること

ホームページ制作会社の選び方|10のチェックポイントと依頼時の注意点-1

制作会社に連絡する前に社内で固めておきたいのは、次の項目です。

準備する項目

決める内容

記入の例

目的と成果

ホームページで増やしたい成果と、その測り方

資料請求を月20件に増やす

予算

制作費の上限と、公開後に払える月額

制作費300万円まで、保守は月3万円まで

公開希望日

公開したい日と、その日でなければならない理由

展示会の前月までに公開する

依頼範囲

制作会社に任せる作業と、社内で担う作業

原稿は社内、写真撮影は依頼する

※記入の例は説明のための仮の値です

上記が固まっていれば、制作会社は初回の打ち合わせから、依頼する側の事情に合う進め方と金額を提案できます。まとまらない項目は空欄にせず「未定のため相談したい」と書けば、提案の中で決め方の助言を受けられるでしょう。

制作の目的と成果を決める

制作目的は「資料請求を増やす」「採用ページからの応募を増やす」のように、事業の成果につながる言葉で決めましょう。「デザインが古い」「スマートフォンで使いにくい」といった見た目の不満だけを伝えると、制作会社はデザインの刷新を中心に提案し、成果につながる設計まで踏み込まないことがあります。

また、月に何件という数字を添えておけば、公開後に成果が出たかを判断できます。今の件数がわかればそこからの増加数を、わからなければ仮の数字を目標にして、公開後3か月の実績で決め直しましょう。

予算と公開希望日を決める

各社の見積もりをそろえるには、予算の上限を制作会社に伝えておくことが欠かせません。予算を伏せて見積もりを依頼すると、会社ごとに想定する作業の量がばらつき、数十万円の提案と数百万円の提案が並んで比べられなくなります。

制作費のほかに、サーバーやドメインの費用、保守や更新の委託費といった公開後の費用は、月額で上限を設けておくと安心です。制作費の相場や見積書の読み方を知りたいときは、ホームページ制作の費用の記事が参考になります。

公開希望日は、その日に間に合わせたい理由とあわせて伝えてください。展示会や採用の開始時期のように動かせない日があれば、社内で原稿を確認する期間まで含めておくと、制作会社が公開日から逆算して日程を組めます。

依頼内容をRFPにまとめる

ここまでに決めた条件を、制作会社に渡せる形にまとめたものがRFP(提案依頼書)です。条件を文書にしておくと、窓口の担当者によって伝える内容がぶれず、口頭での伝え漏れを防げます。

RFPに書く主な項目は次のとおりです。

・会社と事業の概要、ホームページで解決したい課題

・目的と、成果を測る数字

・主な利用者(取引先の担当者、求職者など)

・必要なページと機能、社内で用意する原稿や写真

・予算の上限と公開希望日

・参考にしたいサイトと、参考にしたい点(デザイン・構成・機能など)

・提案に求める内容と、提案の提出期限・選定の日程

数ページの簡単な資料でかまいません。書きながら社内で意見が分かれた項目は、制作会社に相談する論点として残しておくと、打ち合わせで何を話すかがはっきりします。原稿を社内で書くか制作会社に頼むか、予約の機能を最初から入れるかなどが、その例です。

各社の提案で方法ごとの費用と手間を見比べてから決めれば、社内の議論はまとまりやすくなります。

ホームページ制作会社の主なタイプ

候補を集める前に見定めたいのが、自社の目的に合う制作会社のタイプです。得意分野で見ると、集客に強い会社、デザインに強い会社、開発に強い会社、運用支援に強い会社に分かれます。タイプを先に決めておけば、声をかける会社を絞りやすくなります。

タイプ

得意なこと

向いている目的

実績で比べたい点

集客に強い会社

検索や広告からの集客を見込んだ設計

問い合わせや資料請求を増やす

公開後に増えた問い合わせの数

デザインに強い会社

ブランドの印象を伝える表現

企業の印象を変える、採用で魅力を伝える

業種や雰囲気の近いサイト

開発に強い会社

独自の機能や外部システムとの連携

予約や会員登録、基幹システムとの連携

同じ規模の機能を作った事例

運用支援に強い会社

公開後の更新や改善の代行

公開後の更新を外部に任せる

継続して支援している期間

表にまとめたタイプは「得意分野」による目安で、1社が複数を兼ねることも珍しくありません。会社の規模だけでは得意分野はわからず、少人数でも特定の業種や機能に深い実績を持つ会社があります。

集客に強い会社:検索や広告からの問い合わせを重視する

集客に強い会社は、公開後に検索や広告から人を集めることを前提に、ページの構成や導線を設計します。問い合わせや資料請求を増やすことが目的なら、まず声をかけたいタイプです。

集客に強いかどうかは、手がけたサイトで公開後に問い合わせがどれだけ増えたかを、数字で答えられるかで判断できます。

集客の施策には、検索からの流入を増やす取り組みや広告の運用があり、会社によって得意な手段が異なります。制作と集客の支援を同じ会社に任せるのか、集客は別の会社に頼むのかを、公開後の体制とあわせて考えておきましょう。

デザインに強い会社:ブランドの印象を表現する

デザインに強い会社は、ブランドの考え方を言葉・見た目に落とし込む仕事が得意です。とくに企業の印象を変えたい、採用で自社の魅力を伝えたいといった目的では、写真や文字の使い方で雰囲気を表現する力が、成果を大きく左右します。

デザインに強い会社どうしを比べるときは、自社と業種や雰囲気の近いサイトを手がけているかを見てください。デザインの好みだけで決めず、その表現にした理由を説明できるかまで聞いておくと、社内の承認を得やすくなります。

開発に強い会社:独自機能や連携を実装する

予約、会員登録、在庫の表示など、既製の型にない機能が必要なら、機能・システムの開発に強い会社を選びます。社内の顧客管理システムや基幹システムとつなぐ場合、連携の経験がない会社は見積もりで作業量を少なく見込みがちで、あとから費用が膨らみかねません。

独自機能の仕組みをよく知っているのは、作った制作会社です。公開後に不具合が出たときは、その会社に直してもらうことが多くなるため、保守を引き受けてもらえるかと、仕様書を受け取れるかを契約前に聞いておきましょう。

運用支援に強い会社:公開後の更新を支える

運用支援に強い会社は、お知らせの更新やページの追加に加えて、アクセス分析に基づく改善まで、公開後の運用を主な仕事として引き受けます。

制作だけを別の会社に頼むと、公開後の改善を誰が担うのかが宙に浮きがちです。社内に更新の担当者を置けないなら、最初から運用まで引き受ける会社を選んでおくと、公開後の手直しが止まりにくくなります。

目的に合う候補の会社を探す

目的に合うタイプが決まったら、提案を依頼する候補の会社を探します。主な探し方は次の3つです。

・検索エンジンで、「ホームページ制作」に業種名や地域名、必要な機能などを組み合わせて調べる

・比較サイトや比較記事で、タイプや対応範囲の近い会社をまとめて調べる

・取引先や同業の知人から、実際に依頼した会社を紹介してもらう

BIZNAVIでも、ホームページ制作会社の比較記事と、東京のホームページ制作会社の比較記事で、各社の特徴や対応範囲をまとめています。

気になる会社が見つかったら、各社の制作実績のページで、自社と目的や規模の近い事例があるかを確かめましょう。紹介で知った会社も、評判だけで決めず、ほかの候補と同じように実績を見ておくと安心です。

候補は3〜5社ほどに絞り込むのが目安です。絞った会社には、次の段階で同じRFPを渡して提案を依頼します。

ホームページ制作会社選びの10のチェックポイント

ホームページ制作会社の選び方|10のチェックポイントと依頼時の注意点-2

ここでは、制作会社を比べるときのチェックポイントを実績と提案(1〜2)、制作の範囲と技術(3〜6)、見積もりと進め方(7〜9)、公開後の支援(10)に分けました。各社に同じ質問をして、答えを並べて比べてみてください。

No.

チェックポイント

比べ方

1

自社と近い目的の制作実績があるか

実績の目的と公開後の成果を聞く

2

課題を踏まえた提案になっているか

RFPの課題への答えの有無を比べる

3

原稿づくりまで相談できるか

取材や執筆の可否と費用を聞く

4

利用者が操作しやすい設計か

画面の構成と導線の考え方を聞く

5

検索流入を考えた設計ができるか

公開前に行う検索への対策を聞く

6

必要な機能を実装できるか

同じ規模の機能の事例を聞く

7

見積もりの作業範囲が明確か

見積書の項目ごとの作業内容を比べる

8

実際の制作担当者と話せるか

打ち合わせに担当者が出るかを聞く

9

進行中の確認方法が決まっているか

確認の回数と連絡の手段を聞く

10

公開後の支援を受けられるか

支援の範囲と月額を聞く

表の「比べ方」の列は、打ち合わせでの質問や、提案書・見積書の確認にそのまま使えます。各社の答えを同じ表に書き込んでおけば、後半で紹介する評価シートにそのまま移せます。答えは営業担当者より、制作を担う担当者から聞くほうが、会社ごとの差がはっきりします。

自社と近い目的の制作実績があるか

制作実績は、数の多さや有名企業の名前より、自社と同じ目的のサイトを作った経験があるかで比べます。実績の一覧には各社が選んだ見栄えのよい事例が並ぶため、数や社名だけでは自社に合うかを判断できないからです。

事例の成果を聞くと、会社ごとの差が出ます。「この事例では、公開後に問い合わせはどう変わりましたか」という質問に目的と成果まで答えられる会社は、見た目に加えて、成果を出すための設計まで手がけてきたと考えられます。同業種の実績がなくても、目的の近い実績があれば候補に残してかまいません。

制作会社自身のホームページが見やすく、実績やお知らせが更新されているかも、その会社の仕事ぶりを知る手がかりになります。

課題を踏まえた提案になっているか

提案書では、RFPに書いた課題への答えが入っているかを確認します。どの会社にも出していそうな提案は、自社の事業を理解したうえでの提案とはいえません。

課題を理解している会社の提案には、要望のうち不要な機能を減らす案や、優先順位をつけ直す案が含まれることが多いです。構成の理由を聞いたときに、自社の利用者や課題に結びつけて説明できるかどうかが評価の分かれ目です。

原稿づくりまで相談できるか

ホームページ制作が遅れる原因には、社内で用意する原稿や写真の遅れがあります。原稿の作成や取材を制作会社に任せられれば、社内の負担が減り、公開日がずれにくくなります。

注意したいのは費用の扱いです。取材や撮影、文章の作成を別料金とする会社があります。原稿の作成をどこまで頼めるかに加えて、その費用が見積書のどの項目に入っているかまで聞いておけば、あとから費用が増えるのを防げます。

利用者が操作しやすい設計か

訪れた人が迷わず目的のページにたどり着けるかは、問い合わせの数に直結する要素です。取引先の担当者は商品やサービスの仕様、料金、導入事例を探して訪れることが多く、そのページへの道筋が短いほど問い合わせまで進みやすくなります。

提案の段階で操作できる画面の案が出てきたら、社内の担当者がスマートフォンで操作し、自社の利用者がよく探す情報にすぐ届くかを試してみましょう。あわせて、問い合わせまでの導線をどう考えたのかを説明してもらうと、設計の意図がわかります。

検索流入を考えた設計ができるか

公開後に検索から人を集めたいなら、ページの構成やタイトルの付け方を、制作の段階から検索を前提に決めてもらいます。公開してから直すと、ページの作り直しに追加の費用がかかることがあります。

公開前に行う対策には、ページのタイトルや見出しの設計、表示の速さの改善、スマートフォンへの対応などがあります。こうした作業を具体的に挙げられる会社かどうかで、検索を前提に設計できるかが見えます。リニューアルでURLが変わる場合は、旧ページから新ページへの転送の設定まで含むかを確認しておきます。

※参考:Google 検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド」

※参考:Google 検索セントラル「Core Web Vitals と Google 検索の検索結果について」

※参考:Google 検索セントラル「モバイルサイトとモバイルファースト インデックスに関するおすすめの方法」

必要な機能を実装できるか

お問い合わせフォームや更新の仕組み(CMS)は多くの会社が対応できますが、予約や会員の管理、外部のシステムとの連携になると、対応できる会社は限られます。必要な機能をRFPに書き、同じ規模の機能を作った事例があるかを聞くのが確実です。

機能を自社で一から作るのか、既存のサービスを組み合わせるのかで、費用も公開後の保守の手間も変わります。「この機能はどう実現する予定ですか」と聞けば、その方法を選んだ理由と、費用や保守の手間の見通しがわかります。

見積もりの作業範囲が明確か

見積書に「デザイン一式」「制作一式」とだけ書かれていると、どの作業までが含まれるのかがわかりません。「各項目にどの作業が含まれますか」と聞けば、ページ数や修正の回数まで項目ごとにわかります。

比べるのは、合計の金額より先に、各社の見積もりに同じ作業が含まれているかです。ある会社で含まれる作業が別の会社では別料金なら、合計の金額で比べても意味がありません。差が見えにくいときは、RFPの項目ごとに金額を分けた見積もりを出し直してもらいます。

実際の制作担当者と話せるか

提案の場には営業担当者だけが出てきて、契約後は別の担当者が制作を進めることがあります。提案の段階で話した内容が制作の担当者に伝わらなければ、要望が抜け落ちかねません。

打ち合わせには、ディレクションとデザインを担当する人に同席してもらえるよう頼んでおきましょう。制作の一部を外部に委託する会社もあるため、社内で担う作業と外部に任せる作業、担当者が途中で替わるときの引き継ぎの方法まで聞いておくと安心です。

進行中の確認方法が決まっているか

制作が始まると、デザインの案や試作のページを社内で確認する場面が何度も訪れます。確認の回数や連絡の手段が定まっていないと、修正のやり取りが長引き、公開が遅れる原因になります。

確認の回数や連絡に使うツールを聞いたときに、定例の打ち合わせの頻度や、確認した内容を記録する方法まで答えられる会社かどうかが、進行の管理を任せられるかの目安です。

公開後の支援を受けられるか

公開後も、お知らせの更新、不具合への対応、セキュリティの更新といった作業が続きます。社内で手が回らない作業は、制作会社に月額で任せます。

比べたいのは、月額に含まれる支援の範囲です。アクセスの分析や改善の提案を含むか、更新の依頼から反映までの日数、月の作業時間に上限があるかを聞いておけば、繁忙期に更新が滞る事態に前もって備えられます。他社が制作したサイトの保守は引き受けない会社があるため、保守だけを別の会社に頼むなら、引き受けてもらえるかを先に聞いておくと安心です。

ホームページ制作会社の評価シート(比較表)の作り方

ホームページ制作会社の選び方|10のチェックポイントと依頼時の注意点-3

提案を比べるときは、必須の条件を満たさない会社は、ほかの項目の評価が高くても比較対象から外すのが原則です。評価の項目は10のチェックポイントから選び、自社にとっての重要度をつけるのがポイントです。評価シートに評価の理由を書き残しておけば、社内の承認でも選んだ理由を説明できます。

評価の項目

重要度

A社

B社

C社

必須:予算の上限内に収まる

必須

満たす

満たす

満たさない

必須:公開希望日に間に合う

必須

満たす

満たす

満たす

1. 近い目的の制作実績

高

◎(同業の問い合わせ増の事例あり)

○

—

2. 課題を踏まえた提案

高

○

◎(不要な機能を減らす提案あり)

—

7. 見積もりの作業範囲

中

◎

△(「一式」の項目が多い)

—

8. 実際の制作担当者との打ち合わせ

高

○

◎

—

10. 公開後の支援

中

○

◎

—

※記入例です。項目は自社の目的に合わせて10のチェックポイントから選びます。記入例では一部の欄だけに理由を入れていますが、実際にはすべての欄に評価の理由をかっこ内に残してください。必須の条件で外れた会社の評価欄は「—」にしています。記号の目安は「◎:根拠を添えて期待以上の回答があった」「○:条件を満たす回答があった」「△:回答があいまい・不足している」です

必須条件を満たさない会社は、ほかの項目の評価が高くても比較対象から外すのが原則です。表の例では、予算の上限を超えたC社を、提案の中身を比べる前の段階で外しています。重要度の高い項目で差がついているか、評価の理由が担当者の答え・制作物に基づいているかを比べてから、発注先を決めます。

制作会社への依頼で注意すること

発注先を選んだら、契約の前に以下を書面にしておきましょう。

確認すること

契約の前に決める内容

決めないまま進めると起きること

追加料金の範囲

修正の回数、仕様を変えるときの手続き

修正や追加のたびに費用が増える

納品日と公開日

社内の確認期間を含めた日程

公開が希望日に間に合わない

権利と管理権限

著作権の譲渡、ドメインやサーバーの名義

契約が終わったあとに、サイトを自由に直せない

公開後の維持費

保守の範囲と月額、契約期間

予算外の費用が毎月かかる

口頭で合意した内容は、担当者が替わると引き継がれないことがあります。打ち合わせで合意したことは議事録に残し、最終的には契約書や仕様書に書き込んでもらいます。

見積書で追加料金が発生する範囲を確かめる

チェックポイント7で確かめた見積書の項目ごとの作業範囲は、契約書にも書き込んでもらいます。そのうえで、デザインの修正は何回まで見積もりに含まれるのか、ページや機能を足すときはどんな手続きで金額を決めるのかを、契約の前に決めます。制作が始まってから社内の要望が増え、当初の見積もりを大きく超えてしまうことがあります。

仕様の変更を口頭で頼むと、あとで請求額をめぐってもめがちです。変更は書面かメールで依頼し、制作会社から追加の金額と日程の変化を書面で受け取ってから進める、という進め方を合意しておきます。

納品日と公開日を分けて考える

納品日は制作会社からサイトを受け取る日で、公開日は利用者がサイトを閲覧できるようになる日です。納品のあとにも、社内での最終確認や、サーバーの移行、ドメインの切り替えといった作業が残ります。

公開希望日から逆算するときは、納品日を公開日に重ねず、こうした作業の日数を空けておくのが基本です。最終確認をする担当者と返答の期限を決め、制作会社と共有しておきます。

納品物の権利と管理権限を確認する

制作会社が作ったデザインや文章、写真の著作権は、契約で譲渡を決めなければ、原則として作った側(制作会社や、その外注先)に残ります。

著作権法第61条第2項では、譲渡の契約で翻案などの権利(第27条・第28条の権利)を対象として明記していなければ、その権利は譲渡した側に残ると推定されます。公開後にデザインや文章を自社で直したいなら、これらの権利の譲渡か改変の許諾と、著作者人格権を行使しない旨を契約書に書いてもらいましょう。著作者人格権は譲渡できない権利(著作権法第59条)のため、譲渡の代わりに行使しないことを約束してもらう形をとります。

あわせて、ドメインとサーバーの契約は自社の名義にし、CMSの管理者の権限も自社で持っておきます。制作会社の名義のままだと、契約を終えたあとにサイトを移したり直したりできなくなるおそれがあります。

※参考:e-Gov法令検索「著作権法」(第59条・第61条第2項)

公開後の維持費を確認する

準備の段階で決めた月額の上限に収まるかどうか、契約の前に内訳まで見ておきます。サーバーとドメインの利用料に加え、保守や更新を制作会社に任せるなら、その委託費が公開後にかかり続ける費用です。年払いの費用は月額に直して比べます。

CMSを使うサイトでは、本体や追加機能の更新を怠ると、セキュリティの弱点を突かれるおそれがあります。この更新作業が保守の月額に含まれるかは、会社によってまちまちです。

最低の契約期間と、解約するときの条件は契約の前に確認します。公開後に別の会社へ保守を移す可能性があるなら、データの引き渡しの方法と費用まで確認しておけば、移すときに慌てずに済みます。

制作会社をコンペで選ぶ進め方

ホームページ制作会社の選び方|10のチェックポイントと依頼時の注意点-4

コンペは、複数の制作会社に同じ条件で提案を依頼し、提案の中身を比べて発注先を決める方法です。一般的には、次の流れで進みます。

1. 条件の提示:すべての候補会社に同じRFPを渡す

2. 提案の評価:提案の根拠を担当者の言葉で聞き比べる

3. 決定と契約:合意した内容を契約書に反映する

各段階を通して各社を同じ条件で扱うことが、公平に比べるために欠かせません。

提案を依頼する会社は、候補集めの段階で選んだ会社に限るのが基本です。社数を増やすと、提案の説明を聞く時間と比べる手間が増え、1社あたりの検討が浅くなります。提案書の作成には制作会社の手間がかかるため、提案料の有無は依頼の時点で伝えておきましょう。

同じRFPを候補会社へ渡す

コンペは、声をかけた会社すべてに同じRFPを渡すところから始めます。あわせて提案書の提出期限と、発注先を決めるまでの日程を伝えておくと、各社が準備の時間を見込めます。

ある会社から受けた質問への回答は、ほかの候補会社にも、社名を伏せて同じ内容で共有するのが原則です。条件をそろえておけば、提案を受けたあとの比較がしやすくなります。

提案の根拠を担当者に確認する

各社の説明の場では、資料のできばえより、提案の根拠を担当者の言葉で聞き比べるのが要点です。「この構成にした理由」に加えて「予算を2割減らすなら何を削りますか」と聞くと、各社が何を優先しているかがわかります。

評価する人は、説明を聞く前に社内で選んでおくのが理想です。ホームページを使う営業や採用の担当者に加わってもらい、評価シートの同じ項目で各自が評価をつけてから意見を合わせると、声の大きい人の好みだけで選ばれるのを防げます。

合意内容を契約へ反映する

コンペで発注先を決めた場合、契約書から抜けやすいのが、提案書に書かれていた機能や支援です。提案書の内容を契約書や仕様書に入れないまま発注すると、あとで「その作業は含まれていない」と言われたときに反論しにくくなります。

選ばなかった会社には、結果と理由を簡潔に伝えます。提案に協力してくれた会社との関係を保っておけば、次の制作や改修の際に相談しやすくなります。

まとめ:制作会社は目的に合う提案と体制で選ぼう

ホームページ制作会社選びの基本は、自社の目的に合う会社を、制作実績・提案の中身・制作体制・費用で比べることです。連絡する前に目的・予算・公開希望日・依頼範囲を決めてRFPにまとめれば、各社の提案を同じ条件で比べられます。

依頼先は目的に合うタイプ(集客・デザイン・開発・運用支援)から絞り込み、10のチェックポイントは各社に同じ質問で聞き比べるのがコツです。評価の理由を評価シートに残しておけば、社内で選んだ理由を説明するときの根拠になります。契約の前に追加料金や日程、権利、維持費の扱いを書面に残しておくことが、あとから「言った・言わない」でもめないための備えです。

準備ができたら、同じRFPを候補の会社に渡して提案を依頼します。RFPを渡す会社は、ホームページ制作会社の比較記事を参考に、目的に合うタイプから選びましょう。BIZNAVIのホームページ制作のサービス一覧で制作会社を比較できます。ぜひご活用ください。

制作会社選びに関するよくある質問

遠方の制作会社への依頼や、複数の会社に分けての依頼は可能です。出張費や会社どうしの調整、見送った会社の提案資料の扱い、会社の規模や見積もりの金額での選び方など、依頼の前に詰めておきたい点に回答します。

遠方の制作会社に依頼してもよい?

依頼してかまいません。打ち合わせはオンラインの会議で進められ、画面を共有しながらデザインの案を確認できます。所在地より、目的に合う実績と提案で選ぶのが基本です。

ただし、現地での撮影や訪問取材を頼むなら、来てもらう必要があります。出張の交通費や訪問の費用が見積もりに含まれるか、対面の打ち合わせが何回必要かは、依頼の前に聞いておきます。

複数の会社に制作を分けて依頼できる?

分けて依頼できます。たとえば、デザインはデザインに強い会社に、予約の機能は開発に強い会社に任せる形です。ただし、全体の進行をまとめる担当がいなければ、会社どうしの受け渡しで作業が止まりやすくなります。

分けるときは、全体を統括する会社か社内の担当者を決め、各社の作業の範囲と、成果物を受け渡す時期と形式を契約で取り決めます。会社どうしの調整にかかる社内の工数も見込んでおいてください。

発注を見送った会社へ提案資料を返す必要はある?

返す必要があるかは、依頼の時点で取り決めた条件によります。返却や廃棄を求める会社もあるため、コンペの案内に提案資料の扱いを書いておくと、選定後のやり取りが円滑です。

発注を見送った会社の提案の内容を、発注先の会社に渡して使わせることは避けましょう。提案資料には各社の考えや工夫が詰まっており、無断で流用すれば信頼を損ねるうえ、権利の問題に発展するおそれもあります。

大手と小規模な制作会社、どちらに依頼すべき?

会社の規模より、目的に合う得意分野と実績で選ぶのが基本です。一般に、大手の制作会社は関わる部署や関係者が多い大規模なサイトの進行管理を得意とし、小規模な会社は担当者と直接やり取りしやすいことが多いといえます。

ただし、少人数でも特定の業種や機能に深い実績を持つ会社もあり、規模だけでは向き不向きを判断できません。自社と近い目的の制作実績と、実際に制作を担う体制を確かめてから決めましょう。

見積もりが一番安い会社を選んでもよい?

金額だけで決めるのは避けましょう。合計の金額が安く見えても、原稿の作成や修正、公開後の保守などが含まれておらず、別料金になっている場合があります。

まずはチェックポイント7の方法で、各社の見積もりに同じ作業が含まれているかをそろえます。そのうえで、評価シートの必須条件と重要度の高い項目で比べると、金額の差が何によるものかが見えてきます。

BIZNAVI編集部
執筆者

BIZNAVI編集部

株式会社DYMが運営する、法人向けサービスの比較・検索メディア「BIZNAVI byDYM」の編集部。 勤怠管理・会計・生産管理などの業務システムやSaaSに加え、営業代行・Web制作・記事作成代行・SNS運用代行といった業務支援サービスまで、幅広い領域の法人向けサービスを調査・比較し、導入検討に役立つ情報を発信している。 各サービスの機能や料金、提供形態、導入実績などの公開情報をもとに、目的や条件に応じて比較しやすい形で整理することを重視してコンテンツを制作。企業が抱える業務課題や実際の活用シーンを踏まえ、自社に合ったサービス選びと、検討から意思決定までをスムーズに進めるための情報提供を行っている。

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