WMSとは?倉庫管理システムの機能と在庫管理システムとの違い、選び方

WMSとは?倉庫管理システムの機能と在庫管理システムとの違い、選び方

更新日:2026/10/27

WMSとは、在庫を棚の位置まで管理し、入荷から出荷までの作業を作業者に指示して実績を記録する倉庫管理システムです。本記事では、WMSの基本機能や在庫管理システムとの違い、導入のメリット・デメリット、選び方と導入の流れを解説します。

WMSとは?

WMSとは?倉庫管理システムの機能と在庫管理システムとの違い、選び方-1

WMSとは、「Warehouse Management System」の略で、倉庫の在庫と作業を管理する倉庫管理システムです。倉庫の中でこのシステムが担う役割は、大きく2つに分かれます。

・在庫の置き場所の管理:商品ごとに、置いてある棚の位置と数を記録する

・倉庫作業の指示・記録:作業者に入荷や出荷の作業を指示し、その結果を実績として残す

倉庫の仕事は、商品を受け入れる入荷から、棚に置く保管、注文に応じて取り出すピッキング、送り出す出荷、在庫を数える棚卸までの工程で成り立っています。WMSが受け持つのは、この一連の工程を通した作業の指示と、どの商品をどこに置き、誰がいつ動かしたかの記録です。

WMSを入れると、倉庫作業は人の記憶や経験ではなく、システムの指示と記録で回るようになります。

物流現場でWMSが求められる背景

近年、ネット通販の広がりで倉庫から送り出す荷物の件数が増え続け、人手に頼る作業ではミス・遅れを防ぎにくくなりました。加えて、トラックの荷待ちや荷役の時間を減らす取り組みが、法律で荷主と物流事業者に求められています。両方の課題を解決する手段として導入されているのが、WMSです。

出荷の小口化で作業の件数が増えている

ネット通販が広がり、「1件あたりの商品の個数が少ない出荷」が増えたことで、倉庫での作業の回数が膨らんでいます。出荷する商品の量が同じなら、個人の注文ごとに送るほうが、店舗へまとめて送るよりピッキングや梱包、送り状の発行の回数がはるかに多くなります。

件数が増えるほど、人の注意だけで1件ずつ正確にこなすことは難しくなる一方です。出荷の件数が多い倉庫の場合、作業の指示と記録をWMSに任せる効果が大きくなります。

人手に頼る作業ではミスを防ぎにくい

人手に頼る作業では、ミスが起こりやすく、原因を後から追いにくくなります。紙のリストを手に棚を探し、商品名を目で照合する方法では、似た商品の取り違えや数量の誤りを防ぎきれません。また、担当者や日時の残らない紙の記録では、どの作業で間違えたのかを後から追えません。

さらに、人手に頼る現場では、作業が特定の人に偏る「属人化」が起きやすくなります。ミスと属人化を同時に減らすには、ベテランが覚えている棚の位置や商品の特徴をシステムに記録し、誰であっても同じ情報で作業できる状態をつくらなければなりません。

荷待ちや荷役の時間を減らす取り組みが求められている

改正後の物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)により、2025年4月からすべての荷主と物流事業者に、荷待ち時間や荷役等時間の短縮などに取り組む努力義務が課されました。これは、2024年4月からトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用され、物流の停滞が懸念される、いわゆる「物流の2024年問題」への対応として行われた改正です。

続く2026年4月から、一定規模以上の事業者への規制が加わりました。特定事業者に指定されると中長期計画の作成や定期報告などが義務となり、特定荷主と特定連鎖化事業者は物流統括管理者の選任まで求められます。

出荷の準備が遅れれば、その分トラックを待たせます。荷待ちを短くするには、WMSで作業の進み具合を把握し、出荷の準備を前倒しするのが有効です。

※参考:国土交通省「物流効率化法について(荷主・物流事業者の皆様へ)」

WMSの基本機能

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WMSには、入荷・保管・ピッキング・出荷・棚卸の各工程を支える機能が備わっています。

工程

WMSの主な機能

現場で変わること

入荷

入荷予定データとの照合、検品の記録

数量や品番の違いを受け入れの時点で見つけられる

保管

ロケーション管理、格納場所の指示

置き場所を探す時間が減る

ピッキング

作業指示、取り出す順番の決定

歩く距離と取り違えが減る

出荷

出荷検品、送り状の発行、出荷実績の記録

誤出荷を出荷前に止められる

棚卸

棚卸リストの作成、差異の集計

帳簿と実在庫の差の原因を早く追える

いずれの工程でも、WMSはハンディ端末でのバーコードの読み取りやパソコンからの入力で、作業の結果を記録します。賞味期限やロットの管理は業界によって重みが違うため、後述の「業界別のWMSの使い方」で説明します。各機能の特徴や現場で変わることを以下にまとめました。

入荷:予定データと照合して受け入れる

届いた商品が予定どおりかを照合し、受け入れを記録するのが入荷機能です。事前に入荷予定のデータを登録しておけば、商品のバーコードを読み取った時点で予定との違いが表示されます。数量の不足や品番の誤りを受け入れの時点で見つけられるため、仕入先への連絡が早められるのが利点です。

保管:ロケーションで置き場所を管理する

保管機能は、商品をどの棚に置いたかを、棚ごとに振ったロケーションの番地で記録します。商品を置くたびにWMSで番地と商品を読み取るため、置き場所を置いた人の記憶に頼らずに済みます。

ピッキング:作業指示で取り出す順番を決める

ピッキング(出荷する商品を棚から取り出す作業)では、取り出す商品と順番をWMSが作業者に指示します。ロケーションの並びに沿って順番を決め、ハンディ端末に表示する仕組みです。

WMSの指示に沿って歩けば、作業者が紙のリストを手に自分で順番を考えるときに起きがちな、同じ通路の行き来を省けます。さらに、取り出すたびにバーコードを読み取る運用なら、違う商品を手に取った時点で端末が知らせるため、取り違えをその場で防げます。

出荷:検品と送り状の発行をつなぐ

出荷機能は、出荷直前の検品と送り状の発行をつなぎます。検品で読み取った商品をWMSが注文と照合し、合っていれば送り状を発行します。検品と送り状の発行が一続きになるため、送り状を別の荷物に貼り間違えるリスクが減ります。

棚卸:理論在庫と実在庫の差を早く見つける

棚卸機能は、帳簿上の在庫数(理論在庫)と棚に実際にある在庫数(実在庫)のずれを探し、その原因を探る機能です。ずれが見つかったときは、WMSに残った作業ごとの記録から入出庫の履歴をさかのぼり、どの作業で生じたずれかを特定しやすくなります。

WMSと在庫管理システム・販売管理システム・TMSの違い

WMSが管理するのは、倉庫の中の物と作業です。物流・在庫管理には、ほかに拠点ごとの在庫の数量を扱う在庫管理システム、受注と会計を扱う販売管理システムやERP、倉庫を出た後の配送を扱うTMS(輸配送管理システム)などが使われます。

システム

管理の中心

主な利用者

扱う情報

WMSとの受け渡し

WMS

倉庫の中の物と作業(棚ごとの実在庫)

倉庫の作業者、現場の管理者

ロケーション、作業指示、作業実績

-

在庫管理システム

拠点ごとの在庫の数量(主に帳簿上の理論在庫)

購買や営業、在庫の管理者

拠点ごとの在庫数、引当、発注点

入出庫の実績を受け取り、在庫数に反映する

販売管理システム・ERP

受注と会計

営業、経理

受注、売上、請求、仕入

出荷の指示を渡し、出荷の実績を受け取る

TMS

倉庫を出た後の配送

配車や輸送の担当者

配車、運行、配送の状況

出荷の予定と荷物の情報を受け取る

ロケーション管理や棚卸の機能を備えた在庫管理システムもあり、製品によっては機能が重なります。WMSを検討するときは、いま使っている在庫管理システムや販売管理システムが、棚の位置や作業の実績まで記録できるかを先に洗い出しましょう。記録できない部分が、WMSで補う範囲になります。

在庫管理システム:理論在庫を中心に数量を管理する

在庫管理システムとWMSは、在庫を追う単位が違います。

・在庫管理システム:どの拠点に何個あるかという在庫の数量を帳簿として管理し、欠品や過剰在庫を防ぐ

・WMS:倉庫の中のどの棚に置いたか、誰がいつ取り出したかという作業の単位で在庫を追う

受注や入出庫の記録から計算した在庫数を「理論在庫(帳簿在庫)」、倉庫の棚に実際にある在庫数を「実在庫」と呼びます。在庫管理システムは理論在庫を中心に拠点ごとの数量を管理し、棚卸で実在庫と照合して差異を反映します。WMSは、棚ごとの実在庫を入出庫の作業の記録とひもづけて管理します。

理論在庫と実在庫の差が生まれる原因の一つが、似た商品の取り違えです。たとえば、出荷の指示どおりに商品Aを10個出荷したつもりでも、作業者が隣の棚の似た商品Bを取り出していれば、帳簿(理論在庫)では商品Aが10個減り、棚の実在庫では商品Bが10個減ります。WMSでは取り出した棚と商品を読み取るため、読み取った時点で違いに気づけ、こうしたずれを防ぎやすくなります。

在庫管理システムの機能や導入の手順を知りたい方は、在庫管理システムの解説記事をご覧ください。

WMSの機能を備えた製品を含めて比べたい方は、在庫管理システムの比較記事もあわせてご覧ください。

販売管理システム・ERP:受注と会計の情報を管理する

販売管理システム・ERPとWMSは、受け持つ業務の範囲が違います。

・販売管理システム・ERP:受注から出荷の指示、売上の計上、請求までを管理する

・WMS:販売管理システムから出荷の指示を受け取って倉庫の作業に落とし込み、作業を終えたら出荷の実績を返す

受注から出荷までが自動でつながれば、販売管理システムの注文がそのままWMSに届き、出荷の指示を手で入力し直す手間・転記の誤りがなくなります。出荷後はWMSから実績が返るため、その実績をもとに売上の計上や請求の手続きへ進めるのがメリットです。

TMS:倉庫を出た後の配送を管理する

TMS(Transportation Management System)とWMSは、倉庫の出口を境に役割が分かれます。

・TMS:トラックの手配や配送ルート、運行の状況など、倉庫を出た先を管理する

・WMS:倉庫の出口までを受け持つ

WMSからTMSへ渡すのは、いつ・どれだけの荷物を出荷するかという出荷予定です。TMSは出荷予定をもとに荷物の量に合ったトラックを手配できるため、出荷の準備が終わる時刻とトラックの到着時刻を合わせやすくなります。

WMSを導入するメリット

誤出荷が減らない、ベテランが休むと出荷が滞る、在庫数を聞かれてもすぐに答えられない。倉庫で起きがちなこうした悩みに対して、WMSを導入すると、出荷の誤りを減らせる、経験の浅い作業者でも現場を回せる、在庫と作業の状況をその場で共有できる、の3つの利点が得られます。

出荷の誤りを減らせる

誤出荷は取引先や消費者の信頼を損ねるうえ、回収や再発送の費用まで生む問題です。バーコードを使うWMSなら、ピッキングと出荷検品の2段階でバーコードを読み取るため、品番や数量の誤りを出荷の前に止めやすくなります。

誤りが起きたときは、記録から誤りが続く工程や商品を洗い出せるため、似た商品を離して置くなど、工程に合わせた再発防止策を打てます。

作業者の経験に頼らず現場を回せる

WMSが棚の位置と取り出す順番を端末に表示すれば、配置を覚えていない作業者でも指示どおりに作業を進められます。たとえば、年末の繁忙期に短期の作業者を増やした場合、初日から端末の指示に沿ってピッキングを任せやすくなります。ベテランが休んだ日は、ほかの作業者が同じ手順で出荷を進められるため、出荷の量が落ちにくくなります。

在庫と作業の状況をその場で共有できる

WMSでは、作業者が入荷や出荷でバーコードを読み取ると、その結果が在庫や作業の記録に反映される仕組みです。倉庫に電話せずに今出荷できる在庫の数がわかるため、営業の担当者は顧客からの問い合わせにすぐ答えられます。

WMSを導入するデメリット

WMSのデメリットは、現場で使いこなせるようになるまでに手間と費用がかかることです。

現場の作業手順を変える手間がかかる

WMSを使うと、商品を動かすたびにバーコードを読み取る手順が加わります。従来のやり方に慣れた作業者が新しい手順に戸惑い、読み取りを省いてしまう場合がある点に注意が必要です。

読み取りが省かれれば、WMSの記録と実際の在庫がずれ、WMSを入れた意味が薄れます。導入前に新しい作業手順を文書にまとめ、作業者への説明と練習の時間を確保しましょう。

周辺システムとの連携に工数がかかる

販売管理システムやECサイト、運送会社のシステムとの連携は、データの形式や受け渡しのタイミングがシステムごとに違うため、設定や開発に時間がかかります。WMSが力を発揮するのは、こうしたシステムとデータをやり取りできてからです。

連携する相手が多いほど、試験の手間も増えます。どのシステムとどのデータをやり取りするかを早い段階で決めておきましょう。

端末や機器の費用が別にかかる

WMSを動かすには、利用料とは別に、ハンディ端末やバーコードのプリンター、ラベル、無線LANの環境などを用意するのが一般的です。端末の台数は倉庫の広さと作業者の数に応じて増え、棚にロケーションの番地を表すラベルを貼ったり、棚の配置を組み替えたりする作業の手間が加わります。

効果的な対策は、見積もりの段階で機器の費用を抑えることです。手持ちのハンディ端末やプリンターを使えるか、スマートフォンを端末にできるかを提供会社に聞けば、新しく買う機器を減らせる場合があります。

業界別のWMSの使い方

WMSとは?倉庫管理システムの機能と在庫管理システムとの違い、選び方-3

WMSで重視する管理は、業界ごとに違います。出荷の形と商品の性質によって、必要な機能が変わるためです。たとえば、ECなら多品種の小口出荷、食品なら賞味期限、医薬品ならロットの追跡が管理の中心になります。

業界

重視する管理

よく使う機能

EC・アパレル

多品種で小口の出荷、色やサイズの違い

色・サイズ別の品番管理、複数の注文をまとめたピッキング、送り状の発行

食品

賞味期限と先入れ先出し

期限・ロットの管理、期限の古い順の引当

医薬品・化粧品

ロット単位の追跡と回収への備え

ロット・製造番号の管理、出荷先の履歴

部品・製造

部品の欠品防止と生産への供給

生産計画に合わせた出庫、部品の引当

物流受託(3PL)

複数の荷主の在庫と料金

荷主別の在庫管理、作業料金の集計

業界ごとの差が出やすいのは、期限とロットの管理です。賞味期限の古い順に引き当てる機能は、食品の出荷の順番を守るのに役立ちます。医薬品・化粧品の場合は、ロットや製造番号と出荷先を対応づけて記録しておけば、回収が必要になったときに対象を絞り込めます。

表から自社の商品や出荷の形に近い業界を見つけ、その業界で重視される管理方法・機能に対応するWMSを探してみてください。

WMSを選ぶポイント

多機能なシステムが自社に合うとは限りません。使わない機能のぶん費用がかさみ、操作が複雑になって現場に定着しにくくなるためです。システム選定時のポイントを以下にまとめました。

自社の出荷の形に合うか

最初に比べたいのは、自社の出荷の形にシステムが合っているかです。個人向けの小口出荷が中心か、店舗や取引先へのまとまった出荷が中心かで、求められるピッキングの方法や送り状の扱いが異なります。

提供会社の導入事例を見て、自社と同じ形の出荷で使われているシステムを候補にしましょう。

既存のシステムと連携できるか

WMSは単独で動かせますが、販売管理システムやECサイト、運送会社のシステムとつながってこそ、受注から出荷までの手入力がなくなります。自社が使っているシステムとの連携の実績があるか、データをどの方式で受け渡すかを確認します。

複数のモールに出店しているなら、モールごとの受注データを取り込めるかも比べましょう。標準の機能で連携できない場合は個別の開発が要り、費用と期間が増えてしまいます。

現場の端末で使いやすいか

ハンディ端末での使いやすさは、WMSを毎日使う倉庫の作業者の目線で比べます。画面の文字が小さい、操作の手順が多いといった使いにくさは、読み取りの省略や作業遅延を招く可能性があります。

システムの選定段階で端末を借り、現場の作業者に入荷・ピッキングを試してもらうのがおすすめです。作業者が使いやすいと感じたシステムほど、導入後に定着しやすくなります。

提供形態と拡張性が自社に合うか

WMSの提供形態には次の2つがあり、どちらを選ぶかで導入時の費用や始めるまでの期間、自社に合わせて改修できる範囲が変わります。

・クラウド型:インターネット経由で使い、初期費用を抑えて早く始めやすい

・オンプレミス型:自社のサーバーに構築し、自社の作業に合わせて作り込みやすい

クラウド型はシステムの更新を提供会社が担う反面、自社だけに合わせた改修には制約があるのが難点です。作業手順が標準的な倉庫ならクラウド型、独自の工程が多く作り込みたい倉庫ならオンプレミス型が視野に入ります。

あわせて、拠点の追加や出荷件数の増加に合わせて利用の範囲を広げられるかを比べておきましょう。事業が大きくなったときに、WMSを入れ替えずに済みます。

導入後のサポートとセキュリティは十分か

WMSが止まると出荷も止まるため、稼働後の問い合わせ窓口と、障害が起きたときに対応してもらえる曜日・時間帯を確かめておきましょう。あわせて、データをどこに保管するか、作業者や役割ごとに操作できる範囲を絞れるか、誰がいつ在庫を修正したかの記録が残るかも比べてください。導入時の研修やデータの移行をどこまで支援してもらえるかも、見積もりの前に確認しておくと安心です。

WMSの機能を持つ製品の料金や機能は、在庫管理システムの比較記事で確認できます。

WMSの導入の流れと費用

WMSとは?倉庫管理システムの機能と在庫管理システムとの違い、選び方-4

WMSは現状把握から本稼働まで、次の段階を踏んで導入します。

段階

主な作業

現状の把握

工程ごとの作業手順、出荷件数、品目数、現在の課題を書き出す

要件の定義

WMSで管理する範囲と、連携するシステムを決める

比較と選定

同じ条件で複数のシステムの提案と見積もりを取り、端末で試す

設定と連携

ロケーションや商品の情報を登録し、周辺システムとつなぐ

試験運用と教育

一部の工程や品目で試し、作業者に新しい手順を教える

本稼働

全体で運用を始め、記録と実在庫にずれがないかを確認する

表の段階のうち、とくに準備に時間をかけたいのが現状把握と試験運用です。

導入後に効果が出たかどうかは、導入前の状態と比べなければ判断できません。現状把握の段階で、工程ごとにかかっている時間とミスの件数を数字で記録しておきましょう。

試験運用では、作業者が新しい手順に慣れるまでミスや遅れが出やすくなります。そのため、繁忙期を避けて出荷が落ち着いている時期に始めるのが安全です。従来の方法に戻す手順を決めておけば、問題が起きても出荷を止めずに済みます。

WMSの導入にかかる費用の内訳は、次の5つの項目です。

費用の項目

内容

支払いの時期

ライセンスまたは利用料

システムを使う権利。クラウド型は月額の利用料が中心

導入時、または毎月

構築

初期設定、ロケーションや商品の登録、画面や帳票の調整

導入時

連携

販売管理システムや運送会社のシステムとの接続

導入時

機器

ハンディ端末、プリンター、無線LANの環境

導入時、更新時

保守

問い合わせや障害への対応、システムの更新

毎月または毎年

金額は出荷件数や拠点の数、連携の範囲によって大きく変わります。複数のシステムを比べるときは、次の条件をそろえて各社に伝え、項目ごとに見積もりを出してもらいましょう。

・1日の出荷件数と、繁忙期の最大件数

・品目数と、期限やロットの管理の有無

・拠点の数と、倉庫の広さ・作業者の数

・連携するシステムと、データを受け渡す方式

・使いたい端末の種類と台数

クラウド型の月額の利用料が安く見えても、構築や連携の費用が別にかかる場合があります。見積もりがそろったら利用料の安さだけで判断せず、数年分の総額を並べてから導入先を決めると、導入後に費用がふくらむ失敗を防げます。

まとめ:WMSは倉庫の作業工程に合わせて選ぼう

WMSは、在庫の置き場所を棚の単位で管理し、入荷から出荷までの倉庫作業を指示して記録する倉庫管理システムです。在庫の数量を扱う在庫管理システムや、受注を扱う販売管理システムとは異なり、倉庫の中の物と作業を受け持ちます。

どのWMSが合うかは、出荷の形や扱う商品など、倉庫の作業工程によって決まります。まずは出荷件数と品目数、ミスの多い工程を書き出しましょう。WMSの機能を備えた在庫管理システムは、在庫管理システムの比較記事や、BIZNAVIの在庫管理のサービス一覧から探せます。

WMSに関するよくある質問

WMSについて、よくある質問にお答えします。

小規模な倉庫でもWMSは導入できる?

小規模な倉庫への導入も可能です。クラウド型のWMSには、出荷件数が少ない倉庫向けの料金体系のサービスや、スマートフォンを端末に使えるサービスがあります。

ただし、品目が少なく出荷のミスも起きていない段階なら、在庫管理システムや表計算ソフトで足りる場合があります。誤出荷が出始めた、置き場所を探す時間が増えたといった問題が出てきた時点で、導入を検討してください。

物流を委託している場合もWMSは要る?

倉庫の作業を3PLなどの物流会社に委託しているなら、委託先が持つWMSで作業を管理する形をとれます。自社でWMSを用意する前に、委託先のWMSから在庫や出荷の実績をどの形式で受け取れるかを確認しておきましょう。

WMSとWCS・WESは何が違う?

WCS(Warehouse Control System)は、コンベヤや自動倉庫などの搬送設備を制御するシステムです。WES(Warehouse Execution System)はWMSとWCSの間に入り、人の作業と設備の動きを調整して、作業全体の流れを最適にする役割を担います。

人の作業が中心の倉庫ではWMSだけで足りることが多く、WCSやWESは自動化設備を入れる段階で検討します。

WMSとOMSは何が違う?

OMS(Order Management System)は受注管理システムとも呼ばれ、ECサイトやモールなど複数の販売チャネルの注文をまとめて管理するシステムです。WMSはOMSから出荷の指示を受け取り、倉庫での作業と出荷の実績を管理します。OMSとWMSを一体で提供するサービスもあります。

無料で使えるWMSはある?

業務で使い続けられるWMSは、有料のサービスが中心です。ただし、クラウド型には、一定期間すべての機能を無料で試せるトライアルを用意しているサービスもあります。ただし、トライアルの期間や利用できる機能、ユーザー数、データの容量などはサービスごとに異なるため、申込ページで条件を確かめ、本格的な運用に切り替えたときの料金まで比べてください。

BIZNAVI編集部
執筆者

BIZNAVI編集部

株式会社DYMが運営する、法人向けサービスの比較・検索メディア「BIZNAVI byDYM」の編集部。 勤怠管理・会計・生産管理などの業務システムやSaaSに加え、営業代行・Web制作・記事作成代行・SNS運用代行といった業務支援サービスまで、幅広い領域の法人向けサービスを調査・比較し、導入検討に役立つ情報を発信している。 各サービスの機能や料金、提供形態、導入実績などの公開情報をもとに、目的や条件に応じて比較しやすい形で整理することを重視してコンテンツを制作。企業が抱える業務課題や実際の活用シーンを踏まえ、自社に合ったサービス選びと、検討から意思決定までをスムーズに進めるための情報提供を行っている。

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