人事評価システムとは?評価業務の流れと制度に合う選び方

人事評価システムとは?評価業務の流れと制度に合う選び方

更新日:2026/09/03

評価期間が始まるたびにシートを配布し、提出状況を追い、回収後に集計するような運用では、従業員数が増えるほど人事担当者の作業量も増えます。また、評価者が過去の面談記録を探したり、人事担当者が集計時の転記漏れや数式ミスを確認したりする作業なども生じるでしょう。

こうした評価業務の負担を抑えるために使われるのが「人事評価システム」です。目標設定からフィードバックまでの情報・進捗を一元管理し、評価基準や役割に沿って運用することで、蓄積した記録を次の評価や育成に活かせます。

本記事では、人事評価システムの特徴や機能、種類、周辺システムとの違いや導入後の運用まで取り上げます。


1. 人事評価システムとは

人事評価システムとは?評価業務の流れと制度に合う選び方-1

人事評価システムとは、評価シートの作成・配布、目標入力、進捗管理、自己評価・上司評価、評価結果の集計などを支援するシステムです。評価期間ごとの記録を従業員に紐付け、誰がどの段階まで対応したかを管理します。

人事評価システムを理解するうえで押さえておきたいのが、「評価制度」「評価業務」「人事評価システム」の関係です。評価制度が評価の基準や方針を定め、その制度に沿って評価業務を進めます。人事評価システムは、その業務と記録を支えるツールです。

区分

位置づけ

主な役割

自社で決めること

評価制度

評価のルール・方針

何をどの基準で評価し、結果をどう反映するかを定める

評価項目、基準、配点、処遇や育成への反映方法

評価業務

評価制度を運用する実務

目標設定から評価、面談、結果通知までを進める

誰が、いつ、どの順で対応するか

人事評価システム

評価業務を支えるツール

評価情報や進捗、権限、履歴を管理する

どの業務をシステム化するか


このように、人事評価システムは評価制度そのものを指すものではありません。企業が定めた評価制度に沿って評価業務を進め、その過程で生じる情報や進捗を管理するために利用します。

2. 人事評価の業務フロー

人事評価は、期末に点数を付けるだけの業務ではありません。期初に評価基準と目標を定め、期中は進捗や成果を記録しながら、上司と従業員で進捗や課題を共有します。そのうえで自己評価・上司評価、評価の調整・確定、本人へのフィードバックへと進みます。

工程

主な入力

担当

主な出力

例外への対応

期間・基準設定

制度、等級、職種、評価項目

人事、部門責任者

評価テンプレート、日程

異動・休職時の扱いを定める

目標登録

部門目標、職務、期待役割

従業員、上司

個人目標、達成基準

兼務時の評価者を定める

期中記録

実績、面談内容、課題

従業員、上司

進捗、支援内容

目標変更の経緯を残す

自己・上司評価

実績、根拠、コメント

従業員、評価者

評価案

未提出・差戻しへ対応する

調整・確定

評価案、評価根拠、共通基準

人事、部門責任者など

最終評価

評価変更の理由を記録する

通知・育成

最終評価、面談内容

上司、従業員

フィードバック、次期目標

質問・異議申出の扱いを定める

人事評価システムへ設定する際は、各工程をいつ開始し、どの状態になれば完了とするかを定めます。まずは、人事評価の一般的な流れをご説明します。

2-1. 評価期間と基準を設定する

人事部門は、自社で定めた評価制度と権限分担にもとづき、評価期間・対象者・評価項目・評価段階・締め切りなどをシステムへ設定します。配点や異動・昇格・休職時の運用を見直す場合は、制度の決定権を持つ関係者と合意します。等級・職種・役割によって評価内容が異なる場合は、それぞれに対応したテンプレートを用意します。

期中に異動・昇格・休職などが生じるケースも想定しておきましょう。評価期間の扱いや評価を担当する上司、これまでの記録を引き継ぐ方法をあらかじめ定めておけば、期末になってから個別対応が集中する事態を抑えられます。

2-2. 従業員が目標を登録する

従業員は、部門目標や自身の職務・期待役割を踏まえて個人目標を登録します。期末に達成状況を判定できるよう、何を達成するのかに加えて、期限や到達水準なども設定します。上司と内容をすり合わせ、必要な修正を経て期初目標を確定します。

ただし、すべての職務を数値目標だけで評価できるとは限りません。業務内容に応じて成果・行動・役割など適した基準を採用し、承認時には目標の難易度や本人が担う範囲、部門目標との関係まで共有します。

2-3. 進捗と面談記録を残す

期中は、目標の進捗や成果、業務上の課題、上司から提供した支援などを記録します。定期的な面談や1on1で業務状況を話し合い、その内容を残しておけば、期末だけの記憶に頼らず、評価期間を通じた実績や行動をもとに評価できます。

ただし、事業方針や担当業務が変われば、期初の目標を変更するケースもあります。その際は、変更日・理由・変更後の内容を記録し、変更前の目標もたどれる状態にしておくと、期末に当初の前提まで踏まえて評価できます。目標変更を評価へどう反映するかも、評価者個人の裁量に任せず社内ルールとして定めてください。

2-4. 自己評価と上司評価をする

自己評価では、従業員が目標ごとの実績や成果、その根拠を入力します。上司は自己評価と期中の記録を踏まえ、あらかじめ定めた基準に沿って評価します。点数や評語に加えて、どの実績や行動を根拠に評価したのかまで記録しておくと、本人への説明やその後の育成に活用できます。

一次評価者・二次評価者など複数の評価者を置く企業では、それぞれの役割も事前に定めます。二次評価者が評価案全体を扱うのか、自己評価と一次評価の差が大きい項目を中心に扱うのかを決め、どの段階で誰が評価を確定するのかを社内で共有します。

2-5. 評価を調整・確定する

複数の評価者がいる企業では、一次評価後に人事部門や上位評価者などが評価案を調整する工程を設ける場合があります。各評価者が共通の基準を適用しているか、評価に具体的な根拠があるかを検討し、必要な修正を経て最終評価を確定します。

絶対評価を採用する場合は、分布を一定割合に寄せること自体を目的とせず、評価基準と実績・行動との対応を優先します。相対評価や配分ルールを採用している場合は、自社制度に従います。

評価を変更した際は、変更前後の内容や変更した担当者、理由を記録します。調整の経緯を残しておけば、本人への説明や次回の評価者教育にも活用できます。

2-6. 結果を伝えて育成へつなぐ

最終評価を確定したら、本人へ結果を伝えます。評価面談では点数や評語だけで終わらせず、評価の根拠となった成果や行動、強み、改善する点を共有します。そのうえで次期の目標や必要な支援まで話し合い、評価結果を今後の育成へつなげます。

評価結果について本人から質問を受けた際の担当者や手順も定めておきます。異議申出の仕組みを設ける企業では、受付先や受付期間、再検討する条件まで社内ルールに含めておきましょう。

3. 人事評価システムの主な機能

人事評価システムとは?評価業務の流れと制度に合う選び方-2

人事評価システムの機能範囲は、製品によって異なります。評価運用に特化した製品もあれば、従業員データ・配置・育成・給与連携まで扱う製品もあります。評価者の変更や組織改編への対応も含め、自社の評価サイクルを完了できるかどうかがポイントです。

機能区分

対象

主なデータ

主な担当

製品資料で確かめる内容

評価シート

項目・配点・評語

テンプレート、計算式

人事管理者

職種別設定、版管理、計算方法

目標・進捗

期初目標と期中記録

目標、実績、面談

従業員、上司

承認、変更履歴、通知

ワークフロー

提出・承認・差戻し

状態、期限、担当

人事、評価者

多段階承認、代理、異動対応

面談記録

1on1・評価面談

コメント、次回課題

上司、従業員

閲覧範囲、公開時点、履歴

集計・分析

評価結果と分布

点数、評語、属性

人事、経営層

集計軸、調整前後、出力

人材情報連携

スキル・配置・処遇

等級、資格、給与連携値

人事、各管理者

連携項目、方向、更新頻度


機能一覧に記載があっても、設定できる範囲や利用できるプランは同じではありません。公式資料で仕様を読み、自社の評価シートと代表的な例外を使ってデモや試行をします。主な機能を見ていきましょう。

3-1. 評価シート作成・配布機能

評価項目や配点、入力形式、評語への換算方法などを設定し、対象者へ評価シートを配布する機能です。職種や等級に応じてシートの内容を変えたり、点数の自動計算や評価ランクの判定を設定したりできる製品もあります。

システム上でシートを配布すると、従業員や評価者の入力内容を同じ環境に蓄積できます。表計算ファイルを個別に作成・回収する作業を減らし、評価項目ごとの入力内容や点数をそのまま後続の集計へ引き継げます。

3-2. 目標・進捗管理機能

目標・進捗管理機能は、期初に設定した目標から期中の実績や達成状況までを継続して記録するために使います。従業員が登録した目標を上司が承認し、その後の進捗や成果を書き加えることで、期初から期末までの経過を残せます。

製品によっては、組織目標と個人目標を関連付けることもできます。期末評価では、最終的な達成度だけに頼らず、期中に蓄積した実績や目標の変更履歴も参照できます。

3-3. 評価ワークフロー機能

自己評価から一次評価、二次評価、最終確定までの順番と担当者を制御するのが評価ワークフロー機能です。各段階の提出状況を管理し、差戻しや未対応者への通知などをシステム上で進めます。人事担当者は、誰の対応で評価が止まっているのかを把握できます。

評価期間中に異動や兼務が発生した際は、評価者を変更できる製品もあります。進行中の評価と担当者をシステム上で管理することで、評価者が変わった場合も残りの工程を後任者へ引き継げます。

3-4. 面談・フィードバック記録機能

面談・フィードバック記録機能は、1on1や評価面談で話した内容を履歴として残すために使います。1on1と評価面談では目的が異なりますが、本人の課題や上司による支援、その後の取り組みなどを蓄積し、次回の対話に引き継げます。

評価面談では、目標や評価結果と過去の記録を関連付けて扱える製品もあります。期中の面談から評価後のフィードバックまで記録が残るため、評価結果を伝えて終わらせず、次期の目標設定や育成にも活用できます。

3-5. 評価結果の集計・分析機能

評価結果の集計・分析機能では、入力された点数や評語、コメントなどを集計します。部門や職種、等級、評価者などの単位で評価分布を表示できる製品もあり、組織内の評価傾向を把握できます。

集計したデータは、評価を確定する前の調整や評価者ごとの傾向を把握する際に活用できます。評価結果やコメントを出力できる製品なら、その後の人事業務にもデータを引き継げます。

3-6. 人材情報の連携機能

人材情報の連携機能は、評価結果をスキルや資格、研修履歴、等級などの情報とあわせて、従業員ごとに管理する機能です。タレントマネジメント機能を備えたシステムの場合、人事評価で得た情報をほかの人材データと関連付け、一元的な管理につなげられます。


たとえば、過去の評価結果と保有スキル、研修履歴などを同じ従業員単位で参照することが可能です。これまでの評価や経験を踏まえ、今後の育成内容や人員配置の検討にも役立ちます。

4. 人事評価システムと関連する人事システムの違い

人事評価システムとは?評価業務の流れと制度に合う選び方-3

人事評価システムのほかにも、人事管理・労務管理・タレントマネジメント・給与計算など、人事業務を支えるシステムは複数存在します。

いずれも従業員情報を扱うものの、業務ツールとしての役割が異なります。人事評価システムは目標設定から評価、フィードバックまでの評価業務に特化し、周辺システムは従業員情報の管理や労務手続き、人材育成・配置、給与計算などをそれぞれ分担します。

区分

中心となる業務

主に扱う情報

人事評価との関係

人事評価

目標設定、評価、フィードバック

目標、評価結果、評語、コメント

評価業務そのものを管理する

人事管理

従業員・組織情報の管理

氏名、社員番号、所属、役職、雇用区分

評価対象者や評価者の設定に情報を利用する

労務管理

入退社や雇用契約などの労務手続き

雇用契約、入退社情報、休職情報、各種申請

在籍状況などが評価対象者の設定に関係する

タレントマネジメント

人材育成や配置への活用

スキル、経験、研修履歴、キャリア情報

評価結果をほかの人材情報とあわせて活用する

給与計算

給与・賞与の計算

基本給、手当、勤怠、控除情報

評価を踏まえて決定した処遇を反映する場合がある


ここでは、人事管理・労務管理・タレントマネジメント・給与計算が担う業務と、人事評価システムとの関係を解説します。

4-1. 人事管理システム:従業員・組織情報を管理する

人事管理システムは、氏名や社員番号、雇用区分などの従業員情報と、所属や役職などの組織情報を管理するために使われます。入社・異動・退職に応じて情報を更新し、社内で必要な従業員データを一か所に集約する仕組みです。

人事評価システムでは、こうした所属や役職の情報を使って、評価対象者や評価者を設定します。人事管理システムと連携すれば、異動などで従業員情報が変わった際も、その内容を人事評価へ反映できます。

4-2. 労務管理システム:入退社や労務手続きを管理する

入退社や雇用契約、社会保険・雇用保険など、従業員に関する労務手続きを進めるためのシステムです。従業員が入力した情報を使った書類作成や電子申請に対応する製品もあります。

人事評価と接点を持つのは、入退社や休職などによって評価対象者の状態が変わる場面です。労務側の在籍情報を人事評価側へ連携する場合、休職中の従業員を評価対象とするか、退職時に進行中の評価をどう扱うかといった社内ルールを定めます。

4-3. タレントマネジメントシステム:人材情報を育成・配置に活用する

タレントマネジメントシステムは、従業員のスキルや経験、研修履歴、キャリアに関する情報などを一元管理し、人材育成や配置に活用するためのシステムです。従業員ごとの強みや経験を把握し、研修計画や配置、人材育成を検討する際に活用します。

人事評価の結果も、タレントマネジメントで扱う人材情報の一つです。評価結果とスキルや経験などを従業員ごとに関連付けることで、過去の評価も踏まえて育成や配置を検討できます。

4-4. 給与計算システム:給与・賞与の支給額を計算する

基本給や手当、勤怠情報などを基に給与を計算し、社会保険料や税金などの控除額を反映するためのシステムです。給与明細の作成や賞与計算に対応する製品もあり、従業員へ支給する金額を確定する業務を支えます。

人事評価システムが扱うのは、評価期間ごとの評価結果やその根拠です。評価結果を昇給や賞与へ反映する企業では、評価を踏まえて昇給額や賞与額などの処遇を決定し、その内容を給与計算システムへ反映します。人事評価と給与計算では、評価する工程と実際の支給額を計算する工程に役割の違いがあります。

5. 人事評価システムの種類

人事評価システムとは?評価業務の流れと制度に合う選び方-4

人事評価システムの種類は、「機能範囲」と「提供形態」の観点から分類されています。

  • 機能範囲による分類:評価業務を中心に扱う「評価特化型」と評価結果を育成や配置にも活用する「タレントマネジメント型」

  • 提供形態による分類:事業者が提供する環境を利用する「クラウド型」と自社環境にシステムを構築する「オンプレミス型」

機能範囲と提供形態は、それぞれ異なる観点から人事評価システムを分類したものです。そのため、「評価特化型のクラウド型」「タレントマネジメント型のクラウド型」のように、2つの特徴を組み合わせた製品もあります。詳しく見ていきましょう。

5-1. 機能範囲による種類

機能範囲の観点では、人事評価の運用を中心に扱う「評価特化型」と、評価結果をほかの人材情報と関連付けて育成や配置まで扱う「タレントマネジメント型」に分類されます。

5-1-1. 評価特化型

評価特化型は、目標設定から評価、進捗管理、集計まで、人事評価の運用に必要な機能を中心に備えたタイプです。評価シートの作成・配布や承認フロー、提出状況の管理などをシステム上で進め、評価期間ごとの情報を一元管理します。

5-1-2. タレントマネジメント型

人事評価に加えて、スキルや経験、研修履歴などの人材情報も管理するタイプです。評価結果を従業員ごとの人材情報と関連付け、育成や配置などに活用できます。

製品によっては、スキル管理や配置、人材データの分析、従業員サーベイなどにも対応します。人事評価で蓄積した情報を、その後の人材育成や配置まで継続して活用できるのが特徴です。

5-2. 提供形態による種類

提供形態としては、事業者が用意した環境を利用する「クラウド型」と、自社が管理する環境に構築する「オンプレミス型」があります。主な違いは、システムを動かす基盤をどこに置き、誰が管理するかです。

5-2-1. クラウド型

クラウド型は、自社でサーバーを用意せず、事業者が提供するシステムにネットワーク経由でアクセスして利用する提供形態です。評価項目や権限、ワークフローなどを、製品が対応する範囲で自社の評価制度に合わせて設定します。

サーバーの調達や基盤の保守を事業者側が担うため、自社で管理するIT設備を抑えられます。利用できる機能や設定範囲、データの保管・出力方法などは、サービスの仕様や契約内容によって異なります。基盤の運用・保守は提供事業者が担いますが、利用者アカウントや閲覧権限、自社データの取扱いは利用企業側で管理します。

5-2-2. オンプレミス型

オンプレミス型は、自社が管理するサーバーやネットワーク環境にシステムを構築して利用する形態です。社内の認証基盤や既存システムなど、自社のIT環境に応じた構成を設計できます。

サーバーの運用や更新、バックアップ、障害対応などは、自社または委託先が担います。そのため、システムの構築だけでなく、導入後の保守・運用まで担える体制が必要です。

6. 人事評価システムのメリット

人事評価システムとは?評価業務の流れと制度に合う選び方-5

人事評価システムを導入すると、評価シートの配布・回収・集計や進捗管理をシステム上で進められます。

主なメリットは、次の5つです。

  • 評価業務の作業負担を減らせる

  • 評価の進捗と履歴を一元管理できる

  • 評価結果の傾向を把握できる

  • 評価業務の進め方を共通化できる

  • 評価記録をフィードバックや育成に活用できる

以下では、それぞれのメリットを詳しく解説します。

6-1. 評価業務の作業負担を減らせる

評価シートの作成・配布から進捗管理、回収、集計までをシステム上で進めることで、人事担当者の作業負担を減らせます。対象者ごとのファイル作成やメール送付、提出状況を個別に追う作業も削減できます。

入力された評価結果を自動で集計できる製品では、表計算ファイルへの転記も不要です。評価者への催促や集計にかかる時間を抑え、その分を評価内容の調整やフィードバックなどに充てられます。

6-2. 評価の進捗と履歴を一元管理できる

評価の進捗を一元管理できるため、誰の評価がどの段階まで進んでいるかを把握できます。未提出や差戻しなど対応が必要な対象者も把握でき、人事担当者が個別のメールやファイルから進捗を追う負担を減らせます。

目標や評価結果、コメントなどを従業員ごとに蓄積できる点もメリットです。なお、閲覧権限は人事担当者・評価者・従業員などの役割に応じて設定します。

6-3. 評価結果の傾向を把握できる

集計・分析機能を備えた製品の場合、部門や等級、評価者などの単位で評価分布や平均値を把握できます。評価結果の偏りやばらつきを可視化することで、特定の評価段階に集中している部門や、他の評価者と傾向が異なる担当者を把握できます。

こうした傾向は、評価のばらつきの是正や評価者間の認識合わせ、評価者研修を検討する際に活用できます。ただし、分布や平均値の差だけで評価の妥当性は判断せず、個々の評価内容や根拠も踏まえて検討します。

6-4. 評価業務の進め方を共通化できる

評価シートや承認フローをシステム上で設定することで、対象者ごとに同じ手順で評価を進められます。自己評価、一次評価、二次評価などの順番や担当者をあらかじめ設定し、各段階で必要な入力項目もそろえられます。

部署ごとに異なるファイルやメールで評価を進めていた企業では、評価の提出方法や承認手順を共通化できます。担当者が変わった場合も、設定された評価フローに沿って業務を引き継げるため、個人の進め方に依存する範囲を抑えられます。

6-5. 評価記録をフィードバックや育成に活用できる

人事評価システムに目標や評価結果、コメントを蓄積しておけば、過去の記録を踏まえてフィードバックできます。その時の評価結果だけでなく、以前の目標や指摘された課題、その後の変化も参照できるため、評価期間をまたいだ振り返りに活用できます。

7. 人事評価システムの導入で起こりやすい失敗

人事評価システムとは?評価業務の流れと制度に合う選び方-6

人事評価システムを導入しても、評価制度や運用上の課題が自動で解消されるわけではありません。制度とシステムの仕様が合わない、入力負担が増える、評価基準の解釈が評価者ごとに異なるといった問題が残ると、導入後も運用に支障が生じます。

システム導入時に注意したいポイントは以下の通りです。

  • 評価制度とシステムの仕様が合わない

  • 入力項目が多く運用が定着しない

  • 評価基準の解釈が評価者ごとに異なる

  • システム導入だけで公平な評価を実現しようとする

  • 閲覧権限を広く設定しすぎる

  • フィードバックが形式化する

導入前の試行では、自社で発生する評価パターンを再現し、設定や運用ルールに不足がないかを確かめておきましょう。ここからは、人事評価システムの導入で起こりやすい失敗例をご紹介します。

7-1. 評価制度とシステムの仕様が合わない

人事評価システムは、製品ごとに設定できる評価項目や計算方法、承認フローが異なります。現在の評価制度をそのまま再現しようとすると設定が複雑になり、標準機能だけでは対応できない箇所が出る場合があります。

導入前に、制度上維持する要件と変更できる運用を区別しましょう。独自の計算方法や複数評価者、期中異動など、自社で発生する代表的なケースを試し、標準機能で対応できる範囲を把握します。

7-2. 入力項目が多く運用が定着しない

既存の評価シートをそのままシステムへ移すと、現在は使っていない項目や内容が重なる入力欄まで残ることがあります。項目数が増えれば、従業員と評価者が入力に費やす時間も増えます。

各項目が目標設定や評価、面談、育成のどこで使われるのかを定めます。用途がない項目は削り、所属や役職など他システムから取得できる情報は連携して、同じ内容を何度も入力する運用を避けましょう。

7-3. 評価基準の解釈が評価者ごとに異なる

同じ評価項目をシステムに設定しても、評価者によって達成水準の解釈が異なれば、評価結果に差が生じます。システムは点数や評価分布を集計できますが、評価者の判断基準そのものを自動で統一できるわけではありません。

評価段階ごとの基準や行動例を用意し、評価者研修では共通の事例を使って基準の適用方法を共有してください。評価調整でも点数の高低だけを扱わず、どの事実を根拠に評価したのかまで確かめることが大切です。

7-4. システム導入だけで公平な評価を実現しようとする

評価シートや計算方法、承認フローを共通化しても、評価制度そのものの妥当性や評価者の判断まで自動で公平になるわけではありません。システム導入だけで評価の公平性を担保しようとすると、制度や運用に残る課題を把握できなくなります。

公平性を高めるには、評価基準の設定や評価者への教育、評価根拠の記録、本人へのフィードバックもあわせて運用します。人事評価システムは、こうした評価プロセスを記録し、継続して運用するための仕組みとして活用します。

7-5. 閲覧権限を広く設定しすぎる

評価結果や上司のコメント、面談記録などには個人データが含まれます。そのため、閲覧・編集権限は、業務上必要な担当者とデータの範囲に限定し、異動や退職時に更新しましょう。とくにクラウド型を利用し、提供事業者への個人データの取扱いが委託に当たる場合は、委託先の選定・契約・取扱状況の把握などを適切に行います。

参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)

参考:個人情報保護委員会「人事労務管理のためのサービスをクラウド環境を利用して開発・提供する場合及び当該サービスを利用する場合における、個人情報保護法上の安全管理措置及び委託先の監督等に関する留意点について(注意喚起)

7-6. フィードバックが形式化する

システム上で評価を確定しても、点数や評語を本人へ通知するだけでは、次に取り組む課題まで伝わりません。

フィードバックでは、評価の根拠となった成果や行動、今後の課題、上司が提供する支援などを記録します。次回の面談で過去の内容を参照できる状態にしておけば、評価結果を次期の目標設定や育成へつなげられます。

8. 人事評価システムの導入が向く企業・向かない企業

人事評価システムとは?評価業務の流れと制度に合う選び方-7

人事評価システムは、評価制度が定まっており、評価業務の負担や複雑さが増えている企業に向いています。一方、現在の方法で無理なく運用できている企業は、現時点で導入を急ぐ必要はありません。

自社への導入が必要かを判断する際は、次の観点から考えてみましょう。

  • 評価業務の負担・複雑さ:対象者や拠点の数、集計・進捗管理の負担、評価制度の数など

  • 評価制度の整備状況:評価項目や基準、評価者、承認フローなどが定まっているか

そして、自社がどの状況に当てはまるかを今一度検討します。

状況

導入の考え方

評価制度が定まり、評価業務の負担や複雑さが増えている

人事評価システムの導入が向いている

評価項目や基準、評価者などが定まっていない

システム導入前に評価制度を整備する

評価業務の負担が小さく、現在の方法で運用できている

現時点ではシステム導入の必要性が低い


以下では、それぞれに当てはまる企業の特徴を詳しく解説します。

8-1. 人事評価システムの導入が向いている企業

評価制度がある程度定まっており、配布・回収・進捗管理・集計などの負担が増えている企業は、人事評価システムの導入が向いています。次のような企業では、システム化によるメリットが得られるでしょう。

8-1-1. 評価対象者や拠点が増えている

評価対象者や拠点が増え、人事担当者の作業量が増えている企業は、人事評価システムの導入が向いています。評価シートの配布や評価者の設定、提出状況をシステム上で管理できるため、人数や組織の変化に伴う手作業を減らせます。

異動や兼務が多い企業では、評価期間中の評価者変更に対応できる製品も役立ちます。

8-1-2. 集計や進捗管理の負担が大きい

評価シートの回収や未提出者への連絡、評価結果の集計に時間がかかっている企業も導入が向いています。提出状況をシステム上で管理すれば、対応が必要な対象者を把握でき、人事担当者が個別に連絡する負担を減らせます。

評価結果を自動集計できる製品なら、複数のファイルからデータを転記する作業も削減できます。

8-1-3. 職種や等級によって評価方法が異なる

職種や等級に応じて複数の評価方法を運用している企業も、人事評価システムの導入が向いています。複数の評価テンプレートを設定できる製品なら、対象者に応じた評価シートを割り当てて管理できます。

評価者や承認の順番も異なる場合は、対象者ごとに評価フローを設定できる機能が役立ちます。

8-2. システム導入前に評価制度の整備が必要な企業

評価項目や基準、評価者の役割などが定まっていない企業は、システム導入より先に評価制度の整備を優先すべきです。特に、次のような状態では制度設計を優先します。

8-2-1. 評価項目や評価基準が定まっていない

評価項目や評価基準が部署・評価者によって異なる企業は、基準を定めてからシステム導入へ進みます。誰を何の基準で評価し、各評価段階をどう判定するのかを決めることで、システムに設定する評価シートの内容も具体化できます。

能力評価の基準づくりでは、厚生労働省の「職業能力評価基準」が参考になります。同基準は、仕事に必要な知識・技術・技能と、成果につながる職務行動例を業種別・職種・職務別に示したもので、人事評価に活用できます。

参考:厚生労働省「職業能力評価基準

8-2-2. 評価者や承認フローが定まっていない

評価者や承認の順番が定まっていない企業は、評価を進めるルールを先に決めます。一次評価・二次評価の担当者に加え、異動や兼務があった際に誰が評価を引き継ぐのかも定めておきましょう。

担当者と承認の順番が決まれば、人事評価システムに設定する評価フローも具体化できます。

8-2-3. 評価結果の活用方法が定まっていない

評価結果を何に活用するのかが定まっていない企業は、システムを導入する目的を先に決めます。昇給・賞与、育成、配置など、評価結果の用途によって必要な機能や蓄積するデータも変わります。

評価後にどの業務へつなげるのかを定めることで、自社の人事評価システムに求める機能も具体化できます。

8-3. 現時点ではシステム導入の必要性が低い企業

現在の方法で評価業務を無理なく運用できている企業は、人事評価システムを急いで導入する必要はありません。システムの導入後には初期設定や権限管理なども必要になるため、現在の負担と導入後の運用を踏まえて判断します。

8-3-1. 評価対象者が少ない

評価対象者が少なく、評価シートの配布・回収・集計まで人事担当者が無理なく対応できている企業は、現行運用を続けられます。

対象者が増え、提出状況の管理や集計に時間がかかるようになった段階で、システム化を検討すればよいでしょう。

8-3-2. 評価制度がシンプルな企業

全従業員で同じ評価シートを使用するなど、評価方法がシンプルな企業も導入を急ぐ必要はありません。評価者や承認フローが少なく、現在の方法で問題なく運用できていれば、システム化による効果も限定的です。

職種・等級別の評価や複数の承認フローが増え、管理が複雑になった段階で導入を検討します。

8-3-3. 現行運用で大きな負担が生じていない

表計算ファイルやメールを使っていても、配布・回収・進捗管理に大きな負担が生じていなければ、現在の運用を継続できます。

ただし、ファイルの保管場所や閲覧権限、過去の評価データの扱いなど、社内の管理ルールは統一しておきましょう。人事担当者の作業量が増え、現在の方法で対応する負担が大きくなった時点が、システム導入を再検討するタイミングです。

9. 人事評価システムを選ぶポイント

人事評価システムとは?評価業務の流れと制度に合う選び方-8

人事評価システムを選ぶ際は、搭載されている機能の数だけで決めず、自社の評価制度や運用に対応できるかを基準にします。主な選定ポイントは、次の5つです。

選定ポイント

主に比べる内容

デモ・試行で試したいこと

評価制度・運用への対応

評価項目、計算方法、評価者、承認フロー

自社の評価シートや異動時の運用を再現する

操作性

入力画面、承認、差戻し、対応端末

従業員・評価者・人事担当者が実際に操作する

費用

利用料、オプション、移行・支援費用

必要な機能を含めた総額を算出する

連携・拡張性

API、CSV、連携項目、追加機能

従業員情報の取込・評価結果の出力を試す

セキュリティ・サポート

権限、認証、ログ、データ管理、導入支援

権限変更や問い合わせ時の対応を試す

導入候補を絞った後はデモや試行環境を使い、自社の評価業務を実際に進められるかを試しましょう。ここでは、システム選定のポイントをご紹介します。

9-1. 自社の評価制度・運用に対応できるか

最初に、自社の評価制度と運用に必要な設定に対応できるかを確かめます。評価項目や配点、評価段階に加え、一次・二次評価などの承認フロー、職種・等級ごとの評価シートを設定できる範囲を把握します。

異動や兼務がある企業では、評価期間中の評価者変更も重要です。自社で実際に使っている評価シートと代表的な運用パターンをデモや試行環境で再現すると、標準機能で対応できる範囲を判断できます。

9-2. 従業員・評価者が操作できるか

人事担当者の管理画面だけでなく、実際に入力する従業員や評価者の操作性も比べます。目標登録、自己評価、上司評価、差戻しなど、各担当者が評価期間中に行う操作を一通り試してみてください。

9-3. 必要な機能を含めた費用はいくらか

基本料金だけでなく、実際の運用に必要な機能や支援を含めた総額で比べます。データ移行や初期設定の支援、外部システムとの連携、追加機能などが別料金になる製品もあります。

候補製品の費用を比べる際は、利用人数と必要な機能を同じ条件にそろえて見積もりを依頼します。自社に必要な機能を予算内で利用できるかまで把握しておきましょう。

9-4. 人事・給与などのシステムと連携できるか

既存の人事管理や給与計算システムと併用する場合は、必要なデータを連携できるかを把握します。APIやCSVへの対応に加え、連携できる項目や方向、更新するタイミングまで押さえておきましょう。

将来タレントマネジメントまで活用範囲を広げる予定がある企業は、追加できる機能や既存データを引き継げるかどうかがポイントです。

9-5. セキュリティと導入後のサポートは十分か

人事評価システムでは従業員の評価結果やコメントを扱うため、アクセス権限や認証、操作ログなどのセキュリティ機能を比べます。異動や退職に応じて閲覧・編集権限を変更できるかも押さえておきましょう。

サポートについては、問い合わせ窓口と対応時間に加え、初期設定、データ移行、評価者向けの操作説明、設定変更、障害発生時の支援範囲も確認します。

10. 人事評価システムのよくある質問

人事評価システムの導入・運用では、制度変更や退職者データの扱い、契約終了時のデータ出力などで疑問が生じがちです。ここでは、導入前に解消したい8つの質問にお答えします。

10-1. 評価期間中に制度を変えられる?

システム上で変更できるかは製品によって異なります。ただし、評価期間中に基準を変えると対象者によって評価条件が変わるため、原則として次期からの適用を検討します。

期中での変更が必要な場合は、適用日や対象者、変更前の評価データをどう扱うかを決めておきましょう。

10-2. 退職者の評価データをいつ消す?

個人情報保護法は、退職者の評価データに一律の保存期間を設けていません。ただし、利用する必要がなくなった個人データは、遅滞なく消去するよう努める必要があります。ほかの法令に保存義務がある場合を除き、利用目的と社内規程に沿って保存期間を定めます。

10-3. 契約終了時に評価履歴を出力できる?

評価履歴を出力できるか、どの項目まで対象になるかは製品や契約によって異なります。従業員情報や目標、評価結果、コメントなど、契約終了後も必要なデータを事前に出力できるか確認してください。

10-4. 評価結果の公開範囲はどう決める?

評価結果は、従業員・評価者・人事担当者などの役割に応じて公開範囲を設定します。点数や評語、コメントなど、誰にどの情報を公開するのかを評価制度とあわせて決めます。

10-5. 360度評価にも使える?

360度評価に対応し、上司・同僚・部下など複数の立場から評価を収集できる製品もあります。ただし、回答者の設定方法や匿名性の有無、本人へのフィードバック範囲はシステムごとに異なります。

10-6. 過去の評価データを移行できる?

CSVなどを使って過去の評価結果を登録できる製品もあります。移行前には、点数や評語に加え、目標やコメントも引き継ぐのかを決めてください。評価者や評価期間を保存対象に含めるかも、移行要件へ明記します。

社員番号と評価項目の対応関係を整えたら、少数のデータで取り込みを試してください。件数と主要項目を旧データと照合し、過去の評価をどの画面で参照できるかまで確認します。

10-7. スマートフォンから評価を入力できる?

製品によっては、スマートフォンから評価シートを閲覧・入力できます。対応する操作や画面のほか、ブラウザ利用か専用アプリかも確認が必要です。

現場でパソコンを使わない従業員がいる場合は、実機で一連の操作を試してください。目標登録から自己評価、上司評価、差戻し後の修正までが試行範囲です。入力欄の見やすさや保存方法も確認し、評価期間中に必要な操作を完了できるかを判断します。

10-8. 導入にはどのくらいの準備期間が必要?

必要な準備期間は一律ではありません。評価制度の確定状況や評価シートの数に加え、過去データの移行や外部連携の有無でも変わります。対象者・評価者の登録や社内説明にかかる日数も見込んでください。

次回の評価開始日から逆算して準備日程を組みます。設定と権限確認が済んだら、データ移行、操作説明、試行の順に進めてください。本稼働の可否は契約日ではなく、通常の評価フローに加えて、異動や差戻しなどの例外も試し終えた時点で判断します。

11. まとめ

人事評価システムを導入しても、評価制度そのものが自動で公平になるわけではありません。システムが担うのは、評価業務の進捗や記録を管理し、人事担当者や評価者の作業を支える役割です。

その役割を活かすには、評価項目や基準、評価者、承認フローを定め、自社の運用に対応できる製品を選ぶ必要があります。導入前のデモや試行では、実際の評価シートや異動時の運用まで再現し、本稼働後に無理なく続けられるかを判断しましょう。

検討を始める際は、現在使っている評価シートと評価者の一覧をそろえ、承認順や異動時の扱いも書き出します。各製品は同じ条件で比べてください。機能数の多さより、自社の評価サイクルを完了できるかを判断の基準とします。過去データの移行や利用端末も含めて試行し、関係者が無理なく運用できる製品を選ぶことが定着につながります。

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