採用代行(RPO)とは?委託できる業務・料金体系・導入の流れを解説

更新日:2026/09/03
求人を公開したあとには、応募者対応や面接調整、選考状況の更新などが続きます。複数の求人を同時に動かす企業では、担当者が事務対応に時間を取られ、採用要件や面接設計まで手が回らないこともあるでしょう。
採用代行(RPO)は、採用実務の一部または一連の工程を外部へ委託するサービスです。ただし、任せる範囲によって依頼企業とRPO事業者の役割は変わります。
この記事では、RPO事業者に委託できる業務や費用、近接サービスとの違いなどを解説します。発注前の準備から試行、契約終了までを押さえて、自社に適したサービスを選びましょう。
1. 採用代行(RPO)とは
RPOは、採用業務の一部または一連の工程を外部へ委託するサービスです。委託できる業務は幅広い一方、採用要件や最終的な採否など、依頼企業が担う事項もあります。導入時は、RPO事業者へ任せる業務と、自社で決定する事項を契約で具体的に定めることが重要です。
以下に、RPOと依頼企業における役割分担の全体像をまとめました。
項目 | 依頼企業が担う主な事項 | RPO事業者が担う主な事項 |
|---|---|---|
採用方針 | 採用目的・職種・要件の決定 | 市場情報の提供・採用計画の支援 |
採用実務 | 求人内容の承認・社内調整 | 求人媒体運用・応募者対応・日程調整 |
選考 | 選考基準の設定・最終的な採否判断 | 書類整理・選考プロセスの運用支援 |
成果管理 | 採用目標・評価基準の設定 | データ集計・進捗レポート作成 |
個人情報管理 | 利用目的の設定・委託先の監督責任 | 指示に基づく応募者情報の取扱い |
表で全体像を把握したら、RPOの詳細を見ていきます。
1-1. RPOが担う採用業務
RPOは「Recruitment Process Outsourcing」の略で、採用に関する業務を外部へ委託する仕組みを指します。採用代行サービスとは、採用業務の一部を外部事業者が業務委託によって担うサービスのことです。
RPO事業者へ依頼できる業務には、採用計画の支援、求人媒体の運用、応募者への連絡、面接日程の調整、選考状況の管理、採用データの集計などがあります。対応範囲はサービスや契約によって異なるため、導入前に対象業務や対応件数、連絡方法などを具体的に決めておく必要があります。
採用担当者は、こうした実務を外部へ委託することで、採用要件や選考方針の検討、面接など、自社で担う業務へ時間を配分しやすくなります。
1-2. 依頼企業に残る判断と責任
RPOを利用しても、採用に関するすべての判断を外部へ移すわけではありません。採用目的や募集職種、求める人材像、選考基準、最終的な採否などは、依頼企業が主体となって決めます。一方、RPO事業者は、契約で定めた範囲に沿って採用実務を担います。
項目 | 依頼企業が担う主な事項 | RPO事業者へ委託できる主な事項 | 契約前に確かめたい点 |
|---|---|---|---|
採用方針 | 採用目的、職種、採用要件を決定 | 市場情報の収集、計画策定を支援 | 最終決定者、変更権限 |
採用実務 | 求人内容の承認、必要な社内情報を提供 | 求人媒体の運用、応募受付、候補者連絡、日程調整 | 対象工程、件数、対応時間、連絡ルール |
選考 | 選考基準と最終的な採否を決定 | 契約内容や事業者の許認可に応じて選考実務を支援 | 判断権限、必要な許認可、エスカレーション |
成果管理 | KPIや評価基準を決定 | 活動データを集計し報告 | 指標、集計方法、報告頻度 |
個人情報 | 利用目的や委託条件を決め、必要な監督を行う | 契約や指示に沿って応募者情報を取り扱う | アクセス権限、安全管理措置、再委託、返却・削除、事故発生時の対応 |
このように、RPOを利用しても、採用に関する判断や管理まで依頼企業の手を離れるわけではありません。契約時には、RPO事業者がどの工程まで担当するのかに加え、候補者への対応や選考に関する判断権限をどこまで持つのかを具体的に定める必要があります。
また、RPO事業者が担う業務の内容によっては、職業安定法上の委託募集や職業紹介に関する許可・届出等が関係します。サービス名だけで判断せず、実際に依頼する業務と事業者が対応できる範囲を契約前に確かめることが大切です。
応募者の個人データをRPO事業者へ取り扱わせるときは、依頼企業にも委託先への必要かつ適切な監督が求められます。安全管理措置だけでなく、個人データの取扱状況や再委託の有無・条件まで継続して把握できる体制を設けましょう。
2. 採用代行(RPO)へ委託できる業務

RPOでは、採用計画の立案から求人媒体の運用・応募者対応・面接日程の調整・内定後の連絡まで委託できます。採用データの集計や分析まで支援するサービスもあり、自社で負担が大きい業務に合わせて委託範囲を決められます。
業務領域 | 委託できる主な内容 | 依頼企業の役割 |
|---|---|---|
採用計画の立案 | 採用要件の整理、採用プロセス設計、採用チャネル選定、実行計画の提案 | 採用人数・職種・優先順位の決定、最終承認 |
求人媒体の運用 | 求人広告の出稿・更新、スカウト配信、採用サイト運用 | 掲載内容の確定、労働条件の提示、承認・修正判断 |
応募者対応 | 応募受付、問い合わせ対応、書類案内、選考連絡 | 対応方針の決定、判断が必要な問い合わせ対応 |
書類選考支援 | 応募書類の受領・形式確認、選考担当者への連携、結果登録 | 選考基準の設定、選考対象者の決定、合否判断の最終決定 |
面接日程調整 | 日程回収、調整、確定連絡、変更対応 | 面接官調整、最終的な日程承認 |
内定者対応 | 内定通知、条件書類送付、入社意思確認、書類回収 | 条件確定、雇用判断、重要事項の説明 |
採用データ分析 | 応募数・通過率・辞退率などの集計、レポート作成 | KPI設定、改善施策の意思決定 |
ここからは、RPOへ委託できる主な業務と、それぞれで押さえておきたい役割をご紹介します。
2-1. 採用計画の立案
採用計画の立案では、採用要件の明確化・採用プロセスの設計・採用チャネルの選定について、RPO事業者から支援を受けられます。自社の採用課題や過去の実績をもとに、募集方法や実行計画の提案を受けることも可能です。
RPO事業者から提案を受ける場合、採用人数や採用目的、職種ごとの優先順位など、自社の事業計画に関わる項目は依頼企業側が決めます。計画変更が必要になったときの提案者と承認者も決めておけば、RPO事業者と依頼企業の役割が曖昧になるのを防げます。
2-2. 求人媒体の運用
求人媒体の運用では、求人広告の出稿や原稿更新、スカウト配信、採用サイトの運用などを委託できます。複数の媒体や採用チャネルを利用している企業では、媒体ごとの運用や外部事業者との連絡をRPO事業者へ任せる方法もあります。
求人原稿をRPO事業者が作成する際は、仕事内容や賃金、勤務地など、掲載する労働条件の元となる情報を依頼企業側が伝えます。なお、2024年4月1日からは、募集時に明示すべき事項として「従事すべき業務の変更の範囲」「就業の場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準」が追加されたため、漏れなく確認してください。
参考:厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」
2-3. 応募者対応
応募受付や必要書類の案内、問い合わせへの対応、選考結果の連絡などをRPOへ委託できます。応募者との連絡を一元的に任せることで、採用担当者は企業側の判断が必要な業務へ時間を充てられます。
委託前には、標準文面や連絡期限に加え、RPO事業者が回答できる範囲を決めます。雇用条件や選考結果など企業側の判断が必要な問い合わせは、誰へ引き継ぐのかまで定めておくと対応の食い違いを防ぎやすいです。
2-4. 書類選考の支援
書類選考では、応募書類の受領・必要項目の点検・選考担当者への連携・結果登録などの周辺業務をRPOへ委託できます。一次スクリーニングや面接支援まで依頼したい場合は、客観的な基準の適用方法と対応範囲をサービスごとに比べてください。
ただし、RPO事業者が自らの判断で応募者を選定して雇用関係の成立をあっせんする行為は、職業紹介に当たり得ます。該当する業務を委託するなら、契約内容と事業者の許可範囲まで確認対象に含めなければなりません。
契約時には、応募書類の形式確認・一次スクリーニング・採否の最終決定をそれぞれ誰が担うのかを契約書へ明記します。
2-5. 面接日程の調整
応募者と面接官の候補日時の回収や日程確定の連絡、面接官への情報共有などをRPOへ委託できます。面接日程の調整や応募者の意向管理、合否連絡まで支援するRPOサービスもあります。
日程調整を委託する場合は、変更や辞退への対応範囲をRPO事業者がどこまで担うのかを明確にしておきます。併せて、面接官から返答がない場合の連絡先や、急な日程変更の判断を誰が行うのかを事前に取り決めます。
2-6. 内定者対応
条件通知書類の送付や入社意思の把握、内定書類の回収などをRPOへ委託できます。サービスによっては、面接通過後から入社日が決まるまでのフォローを支援範囲としています。
RPO事業者が内定者と連絡を取る際は、雇用条件について誰が確定し、どこまで回答できるのかを決めておく必要があります。
募集時に明示した労働条件を変更・特定・削除・追加する場合は、労働契約を締結しようとする求職者に対し、変更内容が分かるように明示しなければなりません。調整終了後は求職者の検討時間を確保できるよう、可能な限り速やかに明示します。
2-7. 採用データの分析
募集経路ごとの成果や採用活動のKPIを集計し、レポート作成までRPOへ任せられます。実際に、募集ルート別の効果測定やKPI測定、採用レポートの作成を対応業務としているRPOサービスは少なくありません。
3. 人材紹介・派遣・採用コンサルとの違い

RPOと人材紹介・人材派遣・採用コンサル・求人情報提供は、関わる対象や役割が異なります。
サービス | 雇用関係 | 主な役割 | 対価の主な対象 | 法的な確認 |
|---|---|---|---|---|
採用代行(RPO) | 採用者は依頼企業が雇用 | 採用工程の運用・支援 | 委託業務に対する契約料 | 委託募集・職業紹介・労働者派遣等への該当性 |
人材紹介 | 紹介先企業が採用者を雇用 | 求人者と求職者の雇用成立をあっせん | 職業紹介手数料 | 有料職業紹介事業の許可 |
人材派遣 | 派遣会社が派遣労働者を雇用 | 派遣先の指揮命令を受けて業務に従事 | 派遣料金 | 労働者派遣事業の許可 |
採用コンサル | 採用者は依頼企業が雇用 | 採用方針・制度・施策への助言 | 調査・設計・助言等への契約料 | 実際に担う業務に応じて判断 |
求人情報提供 | 採用者は求人企業が雇用 | 求人・求職に関する情報の提供 | 掲載・情報提供等の利用料 | 職業紹介との区分、特定募集情報等提供事業の届出 |
表は各サービスの一般的な役割を示したものです。一つの会社が複数のサービスを扱うこともあるため、発注時は会社名やサービス名だけで決めず、契約業務と事業者が担う行為を把握しましょう。詳しく見ていきます。
3-1. 人材紹介との違い
人材紹介とRPOの違いは、主に次のとおりです。
人材紹介:求人企業と求職者の間に入り、雇用関係の成立をあっせんする
RPO:依頼企業の採用工程に入り、求人運用や応募者対応、面接日程の調整などを契約範囲に沿って支援する
有料で職業紹介事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要です。ただし、RPOという名称だけで職業紹介への該当性を判断することはできません。RPO事業者が求人企業に代わって採用候補者を選定するなど、実際の関与方法によっては職業紹介に該当します。
人材紹介会社とRPO事業者を併用する企業は、候補者情報のATSへの登録、応募者への連絡、面接調整などを誰が担うのか契約で定めましょう。職業紹介への該当性を判断しにくい業務は、都道府県労働局へ相談できます。
参考:厚生労働省「職業紹介事業について」「募集情報等提供と職業紹介の区分について」
3-2. 人材派遣との違い
人材派遣とRPOでは、業務を行う人への指示系統に違いがあります。
人材派遣: 派遣会社が労働者を雇用し、派遣先が派遣労働者へ業務上の指揮命令を行う
RPO: 業務委託として契約するなら、RPO事業者が受託した業務と作業者を管理する
契約書にRPOや業務委託と記載していても、依頼企業がRPO事業者の作業者へ直接指揮命令する実態があれば、偽装請負とみなされ、労働者派遣事業に該当します。
契約前には、RPO事業者への依頼を誰が行い、作業者への指示を誰が出すのかを定めておきましょう。
3-3. 採用コンサルとの違い
採用コンサルとRPOは、支援の中心となる業務に違いがあります。
採用コンサル: 採用戦略や採用要件、選考設計などについて調査・分析し、方針や施策を提案する
RPO: 決めた方針に沿って、求人媒体の運用や応募者対応、面接日程の調整などの採用実務を担う
実際には、助言と採用実務を組み合わせて提供するサービスもあります。そのため、サービス名称だけで選ぶと、想定していた支援範囲と契約内容に差が生じかねません。
契約時には、提案や設計までを依頼するのか、日々の採用業務まで任せるのかを具体的に定めます。改善提案の回数や範囲、追加料金の有無も契約条件から把握しておきましょう。
3-4. 求人情報提供との違い
求人情報提供とRPOでは、求人・求職情報への関わり方が異なります。
求人情報提供: 求人情報や求職者情報を求人企業や求職者などへ提供する
RPO: 依頼企業から採用業務を受託し、求人運用や応募者対応などを契約範囲に沿って行う
求人・求職の申込みを受けず、雇用関係の成立をあっせんせずに情報を提供するだけなら、職業紹介には該当しません。ただし、労働者になろうとする人の情報を収集して提供する特定募集情報等提供事業には事前の届出が必要です。
RPOが求人媒体を運用する際も、掲載などの事務を担うのか、事業者自身の判断で候補者を選定するのかによって法的な扱いが変わります。
4. 採用代行(RPO)の契約形態と費用

RPOの費用は、委託工程・対応件数・利用媒体・運用時間・契約期間などによって変わります。見積額だけで比べず、業務範囲と追加料金の条件まで把握してください。主な料金体系には、月額固定型・従量課金型・成果報酬型があります。
料金体系 | 主な課金単位 | 主な変動要因 | 追加費用になりやすい業務 | 向く業務 |
|---|---|---|---|---|
月額固定型 | 月ごとの体制・業務範囲 | 担当人数、稼働時間、媒体数 | 契約範囲外の作業、繁忙期の増員 | 継続する複数工程の運用 |
従量課金型 | 応募者数、連絡数、面接数など | 月ごとの処理件数 | 規定件数の超過、緊急対応 | 件数を測れる定型業務 |
成果報酬型 | 契約で定めた成果 | 成果件数、成果の認定条件 | 成果対象外の運用作業 | 成果の定義を定められる業務 |
同じ料金体系でも、契約に含まれる業務はサービスごとに異なります。依頼企業側で必要になる承認や情報提供の工数も含め、総費用を見積もりましょう。
4-1. 月額固定型
月額固定型は、一定の業務範囲や体制に対して月ごとの料金を支払う方式です。複数の採用工程を継続して委託する契約では、毎月の支払額を見込めます。
契約前には、想定件数・対応時間・担当人数と、定例会や改善提案の範囲を確かめてください。処理件数の超過や繁忙期の増員に追加料金が発生するかを確認します。
4-2. 従量課金型
応募受付・スカウト送信・面接設定などの処理件数に応じて料金が変わる方式です。特定の定型業務を切り出して委託するときに、業務量と費用を対応させられます。
請求額を把握するには、「1件」の定義が欠かせません。再連絡・日程変更・重複応募・不通となった応募者の扱いに加え、最低料金や上限額、超過料金の条件も契約で定めます。
4-3. 成果報酬型
成果報酬型は、契約で定めた成果が発生したときに報酬を支払う方式です。成果と認定する時点や条件は、契約ごとに定めます。
重複した応募者や辞退・取消、対象期間、返金条件の扱いも事前に決めてください。面接設定数などを成果とするなら、通過率や辞退率、社内工数を確認し、自社の採用目的に沿った成果が得られているかを評価します。
5. 採用代行(RPO)のメリット

RPOを活用すると、採用実務の負担を抑えながら、社内の人員だけでは対応しにくい業務量や採用課題に対応できます。まずは、RPOを導入することで得られるメリットをご説明します。
5-1. 採用担当者が中核業務へ集中できる
応募受付や応募者対応、面接日程の調整などを委託すれば、採用担当者は採用要件の検討や面接、選考プロセスの改善など、自社で担いたい業務へ時間を充てやすくなります。RPOでは、こうした採用実務を幅広く委託できるサービスが提供されています。
一方、委託後もRPO事業者への指示や承認、情報共有は必要です。削減できた作業だけでなく、委託先との連携にかかる工数も含めて導入効果を見ます。
5-2. 繁忙期の業務量へ対応できる
応募や選考が集中する時期には、RPOの体制を活用することで、社内だけでは処理しにくい業務量へ対応しやすくなります。募集期間や業務量に応じて体制を構築するRPOサービスもあります。
契約前に、業務量が増えたときの対応範囲や追加対応の条件を確かめておきましょう。導入後は、未処理件数や連絡の遅れ、社内担当者の負担が減ったかを確認します。
5-3. 外部の採用知見を活用できる
RPOサービスには、採用実務に加えて、採用計画や母集団形成、採用データの分析・改善まで支援するものがあります。自社で経験の少ない職種や採用手法へ取り組む際も、外部の知見を活用できます。
ただし、得られる知見は事業者によって異なります。類似する職種や採用規模での実績、提案に用いるデータや情報を確かめ、自社の採用課題に合う事業者を選ぶことが大切です。
5-4. 応募者対応の速度を保てる
応募者への連絡や面接日程の調整をRPOへ委託すると、担当者の不在時や応募が集中する時期でも対応を継続しやすくなります。応募者対応を専任体制で担うRPOサービスも提供されています。
5-5. 採用データを蓄積できる
採用データの集計や分析をRPOの業務へ含めれば、応募数や選考通過率、辞退率などを継続して記録し、採用活動の改善に活かしやすくなります。
契約終了後もデータを活用するなら、記録する項目や集計方法、保存先、データの受け渡し方法をあらかじめ決めておきましょう。
6. 採用代行(RPO)の導入で起こりやすい失敗

RPOを導入したあとも、依頼企業には承認や情報提供などの業務が残ります。委託先へ業務を任せるだけで運用が安定するとは限らず、双方の役割や連絡方法が曖昧なままでは、かえって採用工程が滞ることもあります。
ここでは、RPOの導入後に起こりやすい失敗例をご紹介します。
6-1. 委託範囲と承認権限が食い違う
RPO事業者へ任せる業務と、依頼企業が承認する業務の境界が曖昧だと、担当者の判断待ちが発生しやすくなります。求人原稿の作成を委託していても、公開の承認者や修正範囲が決まっていなければ、その都度社内確認が必要です。
6-2. 応募者対応の品質がばらつく
応募者への連絡方法を担当者の判断に委ねる場合、案内する内容や回答までの時間に差が生じます。募集条件や選考手順を誤って伝えれば、応募者との認識にも食い違いが生じます。
RPO事業者へ応募者対応を委託する際は、標準文面と回答期限を用意し、伝えてはいけない内容や、企業側へ引き継ぐ問い合わせを決めておきます。送信した内容を定期的に抽出し、誤った案内や回答の遅れ、未回答が発生していないかを確認してください。
6-3. 社内承認が遅れて採用工程が止まる
RPO事業者の対応が速くても、依頼企業から承認や回答が返らなければ採用工程は進みません。求人原稿の公開、選考結果の確定、雇用条件の決定など、企業側の判断が必要な工程では、社内の回答速度も運用品質に影響します。
通常の依頼には回答期限を設定し、担当者が不在のときの代理者も決めておきます。期限を過ぎた案件を誰へ知らせるのか、緊急時にはどの連絡手段を使うのかまで決めると、RPO事業者が回答を待ち続ける状態を避けられます。
6-4. 採用データが分散する
応募者情報や選考状況を複数の環境で更新すると、どのデータが最新なのか分からなくなる恐れがあります。ATS(採用管理システム)、求人媒体、メール、表計算ファイルに情報があり、さらにRPO事業者が別の管理表を更新していると、選考状況の食い違いや登録漏れにつながります。
運用前に、応募者情報や選考状況の更新元として使うシステムを決めます。求人媒体などから自動連携できない情報については、登録する担当者と期限を定めてください。
6-5. 追加費用が想定を超える
RPOサービスには、応募件数や対応職種数、採用経路、稼働時間などの条件が設定されている場合があります。基本料金に含まれる範囲と追加料金の条件は事前に確認しておきましょう。
7. RPO導入の判断基準(向く企業・向かない企業)

RPOを導入するかは、採用人数の多さだけでは決まりません。現在の業務量に加え、外部へ任せられる工程、社内で決める内容、委託後に必要となる管理工数まで含めて判断します。
判断する項目 | RPOの優先度が高い企業 | 内製の優先度が高い企業 |
|---|---|---|
採用業務の負担 | 対応量が多い、または時期による変動が大きい | 現在の体制で無理なく対応できている |
委託できる工程 | 定型業務や切り出せる工程がある | 都度の社内判断が多く、外部へ任せる範囲が小さい |
採用方針 | 委託する実務に必要な基準が決まっている | 実務を任せる前に社内で決める項目が多い |
管理工数 | 委託による負担削減が管理工数を上回る | 説明・承認・検収の負担が委託効果に対して大きい |
社内に残す業務 | 方針や採否判断などを社内で担える | 採用実務の経験や知見を社内へ蓄積したい |
7-1. RPOがおすすめの企業
RPOを推奨したいのは、採用実務の負担が大きく、外部へ任せることで担当者の時間を確保できる企業です。採用人数だけを基準にせず、どの工程で負担が生じているか、自社から切り出せる業務があるかを見ていきましょう。
7-1-1. 応募者対応や日程調整に多くの時間を取られている
応募者への連絡や面接日程の調整に追われ、採用要件の検討や面接などへ十分な時間を充てられていない企業は、RPOを検討する余地があります。
応募受付や日程調整など、手順を定めて外部へ任せられる工程を切り出せば、担当者は社内で担う業務へ時間を振り向けられます。まずは対応時間や未処理件数を把握し、負担が集中している工程から委託範囲を決めましょう。
7-1-2. 採用量が時期によって大きく変動している
新卒採用や事業拡大などで、特定の時期に採用業務が集中する企業も、RPOとの相性がよいとされます。繁忙期に合わせて自社の担当者を増やす方法だけでなく、負担が増える期間や工程を外部へ任せる方法を検討できます。
このケースでは、年間を通じた業務量だけで判断せず、繁忙期に増える応募者数や対応業務を把握します。平常時には内製し、採用活動が集中する期間だけRPOを利用する方法も考えられます。
7-1-3. 複数の職種や採用経路を同時に運用している
複数の職種を同時に採用している企業や、求人媒体・人材紹介・スカウトなど複数の採用手段を併用している企業では、担当者の業務がどうしても増えやすくなります。
求人掲載や応募者情報の管理、面接日程の調整といった作業をRPO事業者に任せることで、自社は「どの人を採用するか」といった職種ごとの要件整理や候補者の見極めなど、より判断が必要な業務に集中できます。
7-1-4. 新しい採用手法を運用する人員や経験が不足している
スカウト採用や採用媒体の運用を新たに始める場合、専任の担当者を確保できなければ、既存の担当者に業務が集中し負担が増えてしまいます。社内に運用経験が少ない採用手法に取り組む企業では、その一部をRPOに任せると効率的です。
7-2. 内製がおすすめの企業
RPOへ任せることで減る負担が小さい企業は、内製を続けるほうが適していることがあります。現在の採用体制で必要な対応を完了できているかに加え、外部委託によって新たに生じる依頼・承認・検収の負担も踏まえて判断します。
7-2-1. 現在の体制で採用業務を無理なく進められている
応募者数や募集職種が限られ、現在の担当者で応募者対応から選考まで滞りなく進められている企業は、RPOの導入を急ぐ必要はありません。
外部委託には費用がかかるほか、RPO事業者への情報提供や承認も必要になります。現在の体制で対応時間や品質に課題が生じていないなら、内製を基本とし、業務量が増えた時点でRPOを再検討する方法があります。
7-2-2. 採用工程で都度の社内判断が多い
採用業務の多くで経営者や配属部門による個別判断が必要な企業は、外部へ任せられる工程が限られます。
RPO事業者へ依頼しても、その都度社内へ判断を戻す必要があると、委託によって削減できる工数は小さくなります。まずは現在の採用工程を把握し、定型化できる業務がどの程度あるかを見極めてから導入を考えましょう。
7-2-3. 委託後の管理工数が大きくなる
RPOを利用すると、依頼内容の共有、必要な情報の提供、承認、成果物の検収など、委託先を管理する業務が加わります。
外部へ任せて減らせる作業時間より、こうした管理に必要な工数のほうが大きいなら、内製を続けるほうが自社の負担を抑えられます。委託費だけで決めず、社内担当者に残る業務まで含めて導入効果を見積もってください。
8. RPO発注前に決める採用目的・KPI・委託範囲

RPOの利用方針が決まったら、採用目的とKPIを定め、委託する実務と社内で判断する事項を明確にします。ここで決めた内容が、RPO事業者の選定や契約条件を決める基準になります。
8-1. 採用目的とKPIを決める
まず、採用人数や採用期限などの最終目標を定め、その達成までの工程にKPIを設定します。代表的な指標には、応募数、面接実施数、選考通過率、内定承諾率などがあります。自社の課題に応じて、初回連絡までの時間や採用単価、社内工数を加えてもよいでしょう。
KPIを決める際は、指標を増やしすぎず、優先する数値を絞ります。集計期間や計算方法、使用するデータもRPO事業者と共有し、同じ基準で成果を確認できる状態にしておくことが重要です。
8-2. 現行の採用工程と業務量を把握する
求人公開から応募受付、書類選考、面接、内定、入社前対応までの工程を確認します。工程ごとの件数、所要時間、使用ツール、社内承認にかかる時間が分かれば、どの業務をRPOへ委託するか判断しやすくなります。
通常月だけでなく、応募が集中する時期の業務量や例外対応も確認しておきましょう。RPOは採用工程の一部だけを委託できるサービスもあるため、自社の負担が大きい工程に合わせて委託範囲を決められます。
8-3. 委託する工程と社内に残す判断を分ける
委託範囲を決める際は、RPO事業者が実行する業務と、依頼企業が判断する事項を明確にします。併せて、承認期限や例外が発生したときの連絡先まで決めておくと、運用開始後の判断が滞りにくくなります。
採用工程 | 委託する実務 | 社内に残す判断 | 承認期限 | 例外時の連絡先 |
|---|---|---|---|---|
求人公開 | 原稿登録、媒体設定 | 採用要件、労働条件、公開承認 | 公開予定日の前日まで | 採用責任者 |
応募受付 | 受付、必要書類の案内 | 例外応募の扱い | 受付当日 | 採用担当者 |
書類選考 | 形式確認、資料共有 | 通過基準、合否 | 所定の営業日内 | 選考責任者 |
面接 | 日程調整、運営支援 | 面接評価、合否 | 面接後の所定期限 | 配属部門責任者 |
内定後 | 書類案内、入社意思の確認 | 雇用条件、例外対応 | 回答期限前 | 人事責任者 |
RPO事業者へ選考業務を委託する際は、判断権限にも注意が必要です。業務内容と判断権限を契約時に明確にし、必要な許可の有無も確かめておきましょう。
9. 発注前にそろえる成果物・資料・採用日程
委託範囲を実際に運用できるよう、必要な準備を発注前に進めます。決めておくのは、納品物と検収条件、RPO事業者へ渡す資料、質問への回答者、承認期限です。
9-1. 成果物と検収条件を決める
RPOへ委託すると、どこまで完了したら納品とするかを事前に決めておく必要があります。納品対象は、求人原稿・応募者対応履歴・面接日程表・定例資料・手順書などです。形式・送付先・期限・修正回数・必須項目を一覧にします。
「採用運用一式」では完了点が曖昧です。応募者対応なら、本人への連絡とATSの状態更新、例外の連絡までを一件の完了範囲として契約書へ記載します。
9-2. 支給資料と質問への回答者を決める
RPO事業者は、依頼企業から提供された情報をもとに業務を進めます。会社情報・仕事内容・採用要件・選考基準・過去の採用データ・標準文面・ブランドと表記のルールを提供することが欠かせません。古い情報を渡すと求人や応募者対応へ誤りが入りやすいため、資料ごとに更新日と責任者を付けるとよいでしょう。
委託先からの質問へ答える社内担当者も決めます。仕事内容の回答者は配属部門、雇用条件は人事、システム権限はIT部門です。質問の種類ごとに回答者と期限を定めると、RPO事業者が回答待ちで止まりにくくなります。
9-3. 承認期限と採用日程を決める
採用日程どおりに進めるには、依頼企業側の承認期限も先に決めます。求人原稿・スカウト文面・書類選考・面接結果・条件提示・変更依頼について、誰がいつまでに承認するかを設定するのが基本です。採用したい入社日から逆算し、媒体公開・応募受付・選考・内定の期間を日程へ落とします。
承認者の休暇や繁忙日を見込み、代理者が承認できる範囲を明文化しておくことが前提です。期限を過ぎた際の通知と応募者への一時回答を用意し、RPO事業者の処理期限と社内承認期限を一つの工程表へ載せると、遅延の原因を把握しやすくなります。
10. 採用代行(RPO)サービスを選ぶポイント

RPOサービスを選ぶ際は、自社が委託したい業務に対応しているかを軸に比較検討します。対応範囲や運用体制、ATS連携、情報管理、採用支援の実績、導入後の支援まで候補ごとの差を確認すると、自社に合うサービスを絞り込めます。
選ぶポイント | RPO事業者へ尋ねる内容 | 比べるポイント |
|---|---|---|
委託範囲・料金 | 対応業務、料金体系、追加費用 | 任せたい業務を含むか、総費用はいくらか |
運用体制 | 担当体制、連絡方法、例外対応 | 自社に残る作業と対応速度 |
ATS連携 | 対応システム、連携項目、更新方法 | 二重入力や手作業がどこまで残るか |
情報管理・実績 | 権限管理、再委託、採用支援実績 | 自社基準を満たすか、自社に近い支援経験があるか |
導入・引継ぎ支援 | 初期設定、教育、運用改善、終了時対応 | 導入から契約終了まで支援を受けられるか |
ここからは、自社に最適なRPOサービスの選び方をご紹介します。
10-1. 委託範囲と料金を比べる
まず比べたいのは、自社が任せたい業務をどこまで委託できるかです。RPOサービスによって、採用計画の支援から求人媒体の運用、応募者対応、面接日程の調整まで対応範囲が異なります。必要な業務が基本料金に含まれているか、追加契約が必要かを各社へ尋ねてください。
料金は提示額だけで判断せず、初期費用や基本料金に含まれる業務、追加費用が発生する条件を含めて比べます。採用人数や応募件数が変わったときに料金がどう変わるかも把握しておけば、自社の採用計画に合うサービスが見えてきます。
10-2. 運用体制を比べる
同じ業務を委託できても、RPO事業者の担当体制によって日々の進め方は変わります。専任担当者の有無や連絡手段、対応時間、担当者不在時の代替体制などを比べてください。
依頼企業側に残る作業も選定時のポイントです。求人原稿の承認や例外的な問い合わせへの回答など、自社が担う業務が多ければ、RPOを導入しても担当者の負担が十分に下がらない可能性があります。
10-3. ATS連携の対応範囲を比べる
すでにATSを利用している企業は、候補のRPOサービスが自社のシステムへ対応できるかを比べます。RPO事業者によって利用経験のあるATSや対応方法が異なるため、システム名だけで判断せず、実際にどの作業まで担えるかを尋ねてください。
応募者情報や応募経路、選考状態、日程、評価、連絡履歴など、必要な項目をどこまで登録・更新できるかも比べるポイントです。現在のATSをそのまま使いたい企業ほど、導入後に二重入力や転記が増えないサービスを選ぶ必要があります。
10-4. 情報管理体制と採用支援実績を比べる
RPO事業者は応募者の個人情報を扱うため、情報管理体制も選定時に比べます。アクセス権限や操作記録、端末管理、再委託先の管理、情報事故が起きたときの連絡方法など、自社が求める管理水準を満たしているかを質問します。
採用支援の実績は、支援社数だけで判断しません。自社と近い採用職種や募集規模、委託工程での支援経験があるかを見ると、今回の採用業務へ対応できるかを判断できます。
10-5. 導入支援と引継ぎ対応を比べる
業務フローの設計やツールの初期設定、求人文面の作成、担当者への説明など、運用開始までにどこまで支援してもらえるかを確認してください。
運用開始後については、定例ミーティングの有無や頻度、改善提案の内容、問い合わせ対応の範囲を比較します。採用数の増減や方針変更があった場合に、委託範囲を柔軟に見直せるかどうかも重要です。
11. RPOの導入から契約終了までの流れ

RPOは、契約を結んだだけで運用を始められるわけではありません。委託範囲やKPIをもとに実際の業務フローを決め、利用環境や権限、応募者への応対ルールなどを準備してから運用を開始します。
工程 | 主な対応 |
|---|---|
1. 立ち上げ準備 | 委託範囲、KPI、担当者、開始日を確定する |
2. 利用環境の設定 | ATSや求人媒体などのアカウントと権限を設定する |
3. 運用ルールの共有 | 応募者対応、承認、例外対応などの手順を共有する |
4. 運用開始 | 契約した業務を開始し、必要に応じて対象を限定して運用する |
5. 定例改善 | KPIや業務負担を見ながら運用方法や委託範囲を見直す |
6. 終了・移管 | データ、手順、未完了業務を社内または次の担当者へ引き継ぐ |
運用開始後は、採用成果と社内負担を見ながら改善を続けます。契約を終了するときは、採用データや運用手順を社内または次の委託先へ引き継げる状態にしておくことも重要です。各工程の詳細を解説します。
11-1. 委託範囲と運用体制を確定する
契約後は、発注前に決めた委託範囲やKPIを、実際の運用へ反映します。対象となる職種や求人媒体、RPO事業者が担当する業務、依頼企業が承認する事項、運用開始日などを双方で確定します。
併せて、RPO事業者への主な連絡窓口と、社内で判断する責任者を決めます。仕事内容は配属部門、雇用条件は人事など、質問内容に応じた担当者も決めておくと、回答待ちによる停滞を抑えやすくなります。
11-2. 利用ツールとアクセス権限を設定する
ATS、求人媒体、メール、カレンダー、チャットなど、RPO事業者が業務で使用する環境を用意します。応募者の個人データを扱うシステムでは、担当業務に必要な範囲でアクセス権限を設定することが重要です。
個人情報保護委員会は、個人データを扱う情報システムについて、利用者を識別したアクセス制御や、付与する権限の最小化などをアクセス制御の手法として示しています。RPO担当者が閲覧・登録・出力できる範囲を、実際の担当業務に合わせて設定しましょう。
11-3. 応対・承認・例外対応のルールを共有する
利用環境を用意したら、実際の採用業務で使うルールをRPO事業者と共有します。応募者への標準文面、連絡期限、求人内容の変更方法、選考結果の伝達方法、社内承認が必要な事項などを手順書へ反映します。
通常の手順で対応できないケースについても、誰へ連絡するのかを決めておきましょう。例えば、応募者から回答権限のない質問を受けたときや、面接官の変更、システム障害が発生したときなどです。
運用開始前に代表的なケースを使って一連の対応を試しておくと、文面や承認手順、担当者間の認識差を発見しやすくなります。
11-4. 運用を開始し、必要に応じて対象を広げる
準備が完了したら、契約で定めた採用業務の運用を開始します。応募者への連絡時間、未処理件数、面接日程の確定までの時間など、事前に設定したKPIや運用指標も記録します。
運用初期に問題が見つかったときは、RPO事業者の作業だけを原因とせずに、依頼企業から提供した情報、承認の速さ、システム設定なども含めて原因を特定します。
11-5. KPIと運用状況を見ながら改善する
RPOの運用が始まった後は、設定したKPIや社内工数の変化を継続的に監視します。応募数、選考通過率、辞退率、応募者への対応時間などを確認し、どの工程に改善余地があるのかを判断します。
RPO事業者によっては、採用データを蓄積し、継続的な改善提案まで行うサービスもあります。実施した施策と指標の変化を記録し、効果があった方法を次の採用活動へ反映していきましょう。
11-6. 契約終了時にデータと業務を移管する
運用中に作成・蓄積した情報を、契約内容に沿って社内または次の担当者へ移します。求人原稿、応募者への連絡履歴、採用データ、KPIの定義、レポート、運用手順など、終了後も必要な情報を事前に決めておきましょう。
進行中の選考がある場合、応募者ごとの現在地、次の連絡内容、社内の判断待ちとなっている事項などを後任者へ引き継ぎます。担当者が変わったことで応募者への連絡が途切れないよう、移管日と新しい窓口も明確にします。
最後に、RPO事業者へ付与していたシステム権限やアカウントを停止・削除します。データ、運用手順、進行中の選考、システム権限まで対応を終えた時点を、契約終了時の移管完了とすると分かりやすいでしょう。
12. 採用代行(RPO)のよくある質問
RPOの発注前に押さえておきたい、委託範囲・許可・契約・データ・引き継ぎに関する疑問にお答えします。
12-1. 面接を委託できる?
面接代行に対応するRPOサービスはあります。委託時は、質問や評価をどこまで任せるのか、採否を誰が決めるのかを事前に定めます。RPO事業者が自ら候補者を選定するなど、雇用成立のあっせんに当たる関与をするなら、職業紹介への該当性も確かめてください。
12-2. RPOに許可が必要?
RPOという名称だけで、必要な許可や届出は決まりません。委託募集に当たる場合、募集主が行う手続きは報酬の有無によって変わります。報酬を伴うときは許可と報酬額の認可を受け、無報酬のときは届出を行うのが原則です。
また、募集受託者は、募集主に代わって申請・届出の手続きを行えます。RPO事業者が職業紹介に当たる行為を行う場合は、同事業者に職業紹介事業の許可が必要です。判断が難しい場合は、事業所を管轄する都道府県労働局へ問い合わせます。
12-3. 人材紹介と併用できる?
人材紹介とRPOは併用できます。人材紹介会社が候補者を紹介し、その後の応募者対応や日程調整をRPOへ任せるなら、候補者情報の受け渡し、重複応募の扱い、連絡担当、紹介手数料の対象を事前に決めておきましょう。
12-4. 契約期間を短くできる?
短期契約に対応できるかはRPO事業者によって異なり、最低契約期間を設けているサービスもあります。契約期間だけでなく、運用開始までの準備、途中解約の条件、終了時の引き継ぎまで含めて自社の採用日程に合うかを確かめてください。
12-5. 応募者データを返却できる?
応募者データをどこまで出力・移管できるかは契約条件によります。契約前に、応募者情報・連絡履歴・選考状況・評価・添付書類などの対象と受渡方法を定め、終了後にRPO事業者や再委託先へ残るデータの削除方法も決めておきましょう。
12-6. 採用知見を社内に残せる?
採用知見を残すには、契約終了時だけに引き継ぎを行わず、運用中から記録を蓄積します。標準文面・媒体設定・改善理由・数値の定義・例外対応を社内でも把握し、担当者が定例会へ参加すると引き継ぎを進められます。
13. まとめ
RPOへ採用業務を委託しても、依頼企業の承認や情報提供がなくなるわけではありません。委託範囲や承認権限が曖昧なまま始めると、応募者対応のばらつきや社内承認の遅れ、データの分散、追加費用につながる恐れがあります。
委託したい業務が決まったら、複数のRPOサービスへ同じ条件を伝え、料金・担当体制・ATS連携・情報管理・導入後の支援を比べます。公式資料やサービス詳細ページも使いながら、自社の採用体制に合う委託先を絞り込んでいきましょう。
