この記事がおすすめな人
- 「看護師ではなく保健師を目指す理由」をうまく言語化したい方看護師との役割の違いを整理し、採用担当者に響く説得力のある志望理由を組み立てる4つのポイントが分かります。
- 自分の立場や応募先に合った具体的な例文を参考にしたい方看護学生や看護師からの転職、市町村や企業の産業保健師など、状況別・応募先別の豊富な例文と800字の構成テンプレートを活用できます。
- 書類の志望動機作成から面接対策まで一貫して準備したい方履歴書のまとめ方はもちろん、「どんな保健師になりたいか」「なぜこの自治体なのか」といった面接頻出の質問に対する答え方のコツまで網羅して対策できます。

保健師の志望動機を書く前に知っておきたいこと
志望動機を考える前に、保健師の役割や看護師との違い、主な就業先、採用担当者が重視するポイントを押さえておきましょう。ここでは、志望動機の土台となる基礎知識を解説します。
保健師の仕事内容と看護師との違い
保健師と看護師は、どちらも人々の健康を支える専門職ですが、法律上の定義が異なります。保健師助産師看護師法では、保健師を次のように定めています。
「保健師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいう。
一方、同法では看護師を「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」と定めています。看護師が個々の患者へのケアを中心に担うのに対し、保健師は地域住民や企業の従業員などを対象に、健康相談や保健指導、健康教育などを行います。病気になってから支援するだけでなく、病気を予防し、健康を維持・増進できるよう働きかける点が特徴です。
なお、同法第7条第1項では「保健師になろうとする者は、保健師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。」と定められています。保健師として働くには、看護師国家試験にも合格している必要があります。
保健師と看護師の主な違いは、以下のとおりです。
比較項目 | 保健師 | 看護師 |
|---|---|---|
法律上の業務 | 保健指導 | 療養上の世話、診療の補助 |
主な対象 | 地域住民、企業の従業員、妊産婦、子ども、高齢者など | 患者や療養生活を送る人など |
主な役割 | 健康相談、保健指導、疾病予防、健康増進 | 診療の補助、療養上の世話、患者への看護 |
支援の視点 | 個人に加え、家族や地域全体の健康も支える | 個々の患者の状態や療養生活を支える |
主な活動場所 | 市区町村、保健所、企業、医療機関など | 病院、診療所、介護施設、訪問看護など |
志望動機では、こうした役割の違いを踏まえ、なぜ看護師ではなく保健師として働きたいのかを具体的に伝えることが重要です。
- 出典:日本法令外国語訳データベース「保健師助産師看護師法」(昭和23年(1948年)法律第203号)第2条・第5条・第7条第1項
- 参照ページタイトル:保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)
- URL:https://www.japaneselawtranslation.go.jp/en/laws/view/3993/ja
保健師の主な就業先と人数
志望先を考える際は、保健師がどこで働いているのかを統計で確認しておくと、応募先ごとの役割をイメージしやすくなります。厚生労働省の「令和6年(2024年)衛生行政報告例(就業医療関係者)」によると、同年末時点の就業保健師数は63,536人で、前回の2022年(令和4年)から3,237人(5.4%)増加しました。
就業場所別の内訳は、以下のとおりです。
就業場所 | 実人員 | 構成割合 |
|---|---|---|
市区町村 | 33,217人 | 52.3% |
保健所 | 9,623人 | 15.1% |
事業所 | 5,045人 | 7.9% |
病院 | 3,987人 | 6.3% |
診療所 | 2,990人 | 4.7% |
介護保険施設等 | 2,183人 | 3.4% |
都道府県 | 1,985人 | 3.1% |
看護師等学校養成所又は研究機関 | 1,238人 | 1.9% |
その他(社会福祉施設、訪問看護ステーション、助産所を含む) | 3,268人 | 5.1% |
就業保健師の半数以上は市区町村で働いており、保健所や都道府県を含めると全体の約7割が行政機関に勤務しています。企業などの事業所で働く産業保健師は全体の1割弱です。応募先の種類によって求められる役割が異なるため、志望動機でもその違いを意識しましょう。
- 出典:厚生労働省「令和6年(2024年)衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」結果の概要
- 参照ページタイトル:令和6年(2024年)衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況|厚生労働省
- URL:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/24/index.html
採用担当者が志望動機で確認しているポイント
採用担当者が特に重視するのは、保健師になりたいという思いだけでなく、その職場で働きたい理由が明確になっていることです。主な確認ポイントは、以下のとおりです。
- 保健師を目指す理由:保健師になりたいと思ったきっかけや、仕事に対する思いが明確になっているか
- 応募先を選んだ理由:自治体や企業、医療機関など、それぞれの特徴や役割を理解しているか
- 仕事への理解度:保健師の仕事内容や求められる役割を理解しているか
- 経験や強み:実習や学業、これまでの仕事などで得た経験を業務に生かせるか
- 将来の目標:保健師としてどのような支援を行い、どのように成長したいと考えているか
これらのポイントを意識し、自分の経験や強みを交えながら志望動機を組み立てることで、仕事への意欲や適性を伝えやすくなります。

保健師の志望動機の書き方|説得力を高める4つのポイント
保健師の志望動機では、目指した理由、応募先を選んだ理由、自分の強み、入職後の目標を一貫した流れで伝えることが大切です。ここでは、説得力を高める4つのポイントを解説します。
保健師を目指した具体的なきっかけを書く
志望動機の冒頭では、保健師を目指したきっかけを具体的に伝えましょう。「人々の健康を支えたい」といった思いだけでは、志望理由が十分に伝わらない場合があります。看護実習や授業、ボランティア活動など、自分の考え方に影響を与えた経験を振り返ってみてください。
次の3点を意識すると、文章を組み立てやすくなります。
- 経験したこと:どのような場面で、何を感じたのか
- 学んだこと:その経験から、健康支援や予防について何を考えたのか
- 保健師を目指す理由:なぜ保健師という職種で実現したいと思ったのか
例えば、実習で退院後の生活に不安を抱える患者と関わった経験から、病気の治療だけでなく、地域での健康維持や疾病予防にも携わりたいと考えた、といった流れです。経験と保健師を目指す理由をつなげることで、自分ならではの志望動機になります。
応募先を選んだ理由を明確にする
保健師を目指す理由だけでなく、なぜその自治体や企業、医療機関などで働きたいのかを具体的に伝えることも重要です。同じ保健師でも、勤務先によって対象者や業務内容、力を入れている取り組みは異なります。応募先の公式サイトや事業計画などを確認し、次のような視点で整理しましょう。
- 地域の健康課題や企業の健康管理に関する取り組み
- 母子保健、高齢者支援、生活習慣病予防などの重点分野
- 住民や従業員に対する支援の特徴
- 自分が実現したい保健活動との共通点
例えば、子育て世帯への支援に力を入れている自治体であれば、関連する事業に関心を持った理由と、そこでどのような支援をしたいのかを伝えます。応募先の特徴と自分の目標を結び付けることで、志望理由の具体性を高められます。
自分の経験や強みを仕事に結び付ける
志望動機では、自分の経験や強みを保健師の仕事にどう生かせるのかを説明しましょう。単に「コミュニケーション能力があります」と述べるのではなく、その強みを発揮した具体的なエピソードを添えることが効果的です。
保健師の仕事に生かしやすい経験や強みには、次のようなものがあります。
経験・強み | 保健師の仕事への生かし方 |
|---|---|
看護実習での患者対応 | 相手の状況や気持ちに配慮した健康相談 |
傾聴力や対話力 | 住民や従業員の悩みを把握し、適切な支援につなげる |
データ分析や調査の経験 | 健康課題の把握や保健事業の企画・評価 |
チームでの活動経験 | 医療機関や福祉関係者などとの連携 |
接客や営業などの社会人経験 | 相手に合わせた説明や信頼関係の構築 |
経験と仕事とのつながりを具体的に示すことで、採用後に活躍する姿をイメージしてもらいやすくなります。
入職後に取り組みたいことを伝える
志望動機の締めくくりでは、入職後にどのような活動に取り組みたいのかを伝えましょう。例えば、応募先の業務や健康課題を踏まえ、次のような目標が考えられます。
- 乳幼児健診や育児相談を通じて、子育て世帯が安心して生活できるよう支援したい
- 健康相談や保健指導を通じて、生活習慣病の予防と健康意識の向上に貢献したい
- 従業員の健康課題を把握し、心身の健康を維持できる職場づくりに取り組みたい
- 関係機関と連携し、支援を必要とする人が適切なサービスにつながる体制づくりに携わりたい
入職後の目標は、応募先で実際に取り組める業務と結び付けることが重要です。強みをどう生かして貢献したいのかまで伝えると、志望動機全体に一貫性が生まれます。

【状況別】保健師の志望動機の例文
保健師の志望動機は、これまでの経験や現在の立場によって、アピールすべきポイントが異なります。ここでは、高校生、看護学生、看護師、社会人経験者など、状況別の例文と作成時のポイントを紹介します。
高校生が保健師を目指す場合の志望理由
高校生が保健師を目指す場合は、健康や医療に関心を持ったきっかけと、将来どのような形で人々を支えたいのかを伝えましょう。保健師になるには、保健師の養成課程がある大学や養成所などで学び、保健師国家試験と看護師国家試験の両方に合格する必要があります。
厚生労働省の発表によると、2026年(令和8年)2月に実施された第112回保健師国家試験の受験者数は7,467人、合格者数は6,502人で、合格率は87.1%でした。このうち新卒者の合格率は89.9%です。進学後の学びを見据えて、志望理由を組み立てましょう。
- 出典:厚生労働省「第112回保健師国家試験、第109回助産師国家試験及び第115回看護師国家試験の合格発表」
- 参照ページタイトル:第112回保健師国家試験、第109回助産師国家試験及び第115回看護師国家試験の合格発表|厚生労働省
- URL:https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2026/siken03_04_05/about.html
例文
私は、人々が健康に生活できるよう、病気の予防や健康づくりを支える保健師になりたいと考えています。身近な人が健康について悩む姿を見て、日頃から健康を管理することの大切さを感じ、病気になる前から人々を支援する仕事に関心を持ちました。保健師は、健康相談や保健指導を通じて、子どもから高齢者まで幅広い世代の健康を支えることができる職種です。大学では看護や公衆衛生について学び、健康課題を多角的に捉える力を身に付けたいと考えています。将来は、一人ひとりの気持ちに寄り添い、誰もが安心して暮らせる地域づくりに貢献できる保健師を目指します。
作成時のポイント
- 健康や医療に関心を持ったきっかけを具体的にする
- 保健師の仕事内容を理解していることを伝える
- 進学後に学びたいことや将来の目標を示す
実際に経験していない出来事を無理に盛り込む必要はありません。身近な人の病気などをきっかけにする場合も、病名や病歴まで詳しく書く必要はなく、自分が感じたことを中心に整理しましょう。
看護学生が保健師を目指す場合の志望理由
看護学生が保健師を目指す場合は、看護の学習を通じて気付いたことや、疾病予防・地域保健への関心を中心に構成するとよいでしょう。授業や実習で学んだことを踏まえ、保健師としてどのような支援をしたいのかを具体的に伝えることが大切です。
例文
私は、病気の治療だけでなく、地域の人々が健康を維持し、安心して生活できるよう支援したいと考え、保健師を志望します。看護の学習を進める中で、健康状態には生活習慣や家庭環境、社会的な要因などが関係していることを学びました。この経験から、個人への支援に加え、地域全体の健康課題を把握し、疾病予防や健康増進に取り組む保健師の役割に関心を持ちました。今後は、対象者の生活背景を理解し、それぞれの状況に応じた支援を考える力を身に付けたいです。将来は、住民が自分らしく健康に暮らせるよう、一人ひとりに寄り添った保健活動に取り組みたいと考えています。
作成時のポイント
- 看護の学習で得た気付きや関心を示す
- 保健師を志望する理由を明確にする
- 今後身に付けたい知識や能力を伝える
大学での学びや実習経験を生かす志望動機
大学での学びや実習経験を生かす場合は、学んだ内容を具体的に示し、それを保健師の仕事にどう結び付けたいのかを説明しましょう。
例文
私は、大学で学んだ公衆衛生や地域看護の知識を生かし、地域住民の健康づくりに貢献したいと考え、保健師を志望します。実習では、健康課題への支援を考える際、本人の健康状態だけでなく、生活習慣や家族関係、地域の支援体制などを把握することが重要だと学びました。この経験から、健康問題を個人だけの課題として捉えるのではなく、生活環境や地域の特性も踏まえて支援する必要性を実感しました。入職後は、対象者の声に丁寧に耳を傾け、関係機関と連携しながら、一人ひとりに合った支援を提供したいと考えています。
作成時のポイント
- 大学で学んだ専門知識や実習内容を具体的に示す
- 経験を通じて得た気付きを説明する
- 学びを入職後の業務や将来の目標につなげる
実習内容を並べるだけではなく、その経験を通じて自分の考えがどう変化したのかまで伝えることが重要です。
看護師から保健師へ転職する場合の志望動機
看護師から保健師へ転職する場合は、看護師として培った経験と、保健師を目指すようになった理由を関連付けて説明しましょう。
例文
私は、看護師として培った経験を生かし、疾病予防や健康増進の面から人々を支えたいと考え、保健師を志望します。これまで患者さんと関わる中で、健康状態には治療だけでなく、生活習慣や家庭環境なども大きく影響することを実感しました。その経験から、健康問題が生じる前の段階から支援することの重要性を感じるようになりました。看護師として身に付けた観察力や傾聴力を生かし、対象者の生活背景を踏まえた健康相談や保健指導に取り組みたいと考えています。今後は、地域の健康課題を理解し、関係機関と連携しながら、継続的な健康支援に貢献していきたいです。
作成時のポイント
- 看護師としての経験から得た気付きを伝える
- 保健師へ転職したい理由を前向きに説明する
- これまでのスキルを保健活動にどう生かすかを示す
現在の職場への不満だけを転職理由にするのではなく、保健師として実現したいことを中心に伝えると、前向きな印象につながります。
社会人経験を生かして保健師を目指す場合の志望動機
社会人経験を経て保健師を目指す場合は、これまでの仕事で培った能力や価値観と、保健師を志望する理由を結び付けましょう。接客や営業、事務職など、医療とは異なる分野の経験も、相手の話を聞く力や調整力として生かせる可能性があります。
例文
私は、これまでの社会人経験で培った対話力や調整力を生かし、人々の健康を支える保健師になりたいと考えています。前職では、さまざまな立場の人と関わり、相手の要望を丁寧に聞きながら課題の解決に取り組んできました。この経験を通じて、一人ひとりの状況を理解し、相手に合った対応を考えることの大切さを学びました。今後は、看護や公衆衛生に関する専門知識を身に付け、健康相談や保健指導などを通じて、人々が健康的な生活を送れるよう支援したいと考えています。
作成時のポイント
- 社会人経験で培った能力を具体的に示す
- 保健師を目指すようになった理由を説明する
- 新たに学ぶ姿勢と、これまでの経験を生かす意欲を伝える

【応募先別】保健師の志望動機の例文
保健師に求められる役割は、市町村・自治体、企業、教育機関など応募先によって異なります。ここでは、応募先別の例文と、具体性を高めるためのポイントを解説します。
市町村・自治体の保健師を志望する場合
市町村・自治体の保健師を志望する場合は、地域住民の健康づくりや疾病予防、母子保健、高齢者支援などに関心を持った理由を伝えましょう。地域保健法第18条第2項では、市町村保健センターについて「住民に対し、健康相談、保健指導及び健康診査その他地域保健に関し必要な事業を行うことを目的とする施設」と定めています。また、同法第6条では、保健所が企画・調整などを行う事項として「母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項」「精神保健に関する事項」「感染症その他の疾病の予防に関する事項」などを挙げています。
市町村保健センターと保健所では法律上の位置付けが異なるため、応募先がどちらの業務を担うのかを確認しておきましょう。
- 出典:日本法令外国語訳データベース「地域保健法」(昭和22年(1947年)法律第101号)第6条・第18条第2項
- 参照ページタイトル:地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)
- URL:https://www.japaneselawtranslation.go.jp/en/laws/view/4411/ja
例文
私は、地域住民が安心して健康に暮らせる環境づくりに携わりたいと考え、貴自治体の保健師を志望します。大学で地域看護や公衆衛生について学ぶ中で、健康状態には生活習慣だけでなく、家庭環境や地域の支援体制なども関係していることを知りました。そのため、個人への健康相談に加え、地域全体の健康課題を把握し、予防活動を通じて支援することが重要だと考えています。入職後は、住民の声に丁寧に耳を傾け、関係機関と連携しながら、一人ひとりの状況に応じた支援に取り組みたいです。
作成時のポイント
- 地域住民の健康を支えたい理由を明確にする
- 応募先の地域特性や重点施策を調べる
- 自治体の保健活動を通じて実現したいことを示す
地元以外の自治体を志望する場合
地元以外の自治体を志望する場合は、なぜその自治体で働きたいのかを具体的に説明しましょう。応募先を選んだ理由が曖昧だと、志望度が伝わりにくくなる可能性があります。
例文
私は、地域の特性に応じた健康支援に取り組みたいと考え、貴自治体を志望します。貴自治体の取り組みを調べる中で、住民の健康増進に向けた予防活動や、関係機関と連携した支援体制づくりに関心を持ちました。健康課題を解決するためには、地域住民の生活背景や地域特有の課題を理解し、その実情に合った支援を行うことが大切だと考えています。入職後は、地域の歴史や文化、住民の暮らしについて積極的に学び、住民や関係機関との信頼関係を築きながら保健活動に取り組みたいです。
作成時のポイント
- 応募先の自治体に関心を持った具体的な理由を示す
- その自治体の施策や地域課題と自分の目標を結び付ける
- 地域について学び、住民との関係を築く姿勢を伝える
実際に応募する際は、自治体の公式サイトや保健事業の資料を確認し、具体的な施策名や地域課題を盛り込むと、より説得力のある志望動機になります。
母子保健に携わりたい場合
母子保健に携わりたい場合は、妊産婦や乳幼児、子育て家庭を支援したいと考えた理由を具体的に伝えましょう。母子保健では、妊娠期から子育て期までの継続的な支援や、保護者の不安への対応、関係機関との連携などが重要になります。
例文
私は、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を行い、子どもと保護者が安心して生活できる環境づくりに携わりたいと考え、保健師を志望します。大学で母子保健について学ぶ中で、子どもの健やかな成長を支えるためには、保護者の心身の健康や家庭環境にも目を向けることが大切だと感じました。入職後は、乳幼児健診や育児相談などを通じて保護者の声に耳を傾け、それぞれの家庭の状況に応じた支援に取り組みたいです。また、必要に応じて医療機関や福祉関係機関と連携し、支援を必要とする家庭が適切なサービスにつながるよう努めたいと考えています。
作成時のポイント
- 母子保健に関心を持ったきっかけを説明する
- 妊産婦や子育て家庭に対して行いたい支援を示す
- 関係機関との連携や継続的な支援への意欲を伝える
企業の産業保健師を志望する場合
企業の産業保健師を志望する場合は、従業員の健康管理や疾病予防、メンタルヘルス対策、働きやすい職場環境づくりなどへの関心を伝えましょう。労働安全衛生法第66条の7第1項に基づき、事業者は、健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対して、医師または保健師による保健指導を受けさせるよう努めなければならないとされています。
産業保健師は、健康診断後の保健指導などを通じて、従業員の健康管理を支える役割を担います。企業によって健康課題や取り組みが異なるため、応募先の健康経営方針や産業保健活動について調べておくことが大切です。
- 出典:愛知県雇用労働相談センター(厚生労働省委託事業)「Ⅲ 健康管理」(労働安全衛生法第66条の7第1項の解説)
- 参照ページタイトル:Ⅲ 健康管理 - 愛知県雇用労働相談センター - Aichi Employment Consultation Center
- URL:https://aichi-elcc.mhlw.go.jp/roudou_hourei/4605/
例文
私は、働く人々が心身ともに健康で、安心して働き続けられる環境づくりに貢献したいと考え、貴社の産業保健師を志望します。健康管理について学ぶ中で、働く人の健康状態は、生活習慣だけでなく、職場環境や仕事上のストレスなどにも影響されることを理解しました。そのため、健康相談や保健指導に加え、健康課題の早期発見や予防に向けた取り組みが重要だと考えています。入職後は、従業員一人ひとりの状況に応じた支援を行うとともに、産業医や人事部門などと連携し、健康を維持しやすい職場環境づくりに取り組みたいです。
作成時のポイント
- 働く人の健康を支えたい理由を示す
- 応募先企業の健康管理や健康経営の取り組みを調べる
- 個人への支援と職場環境の改善の両面から貢献意欲を伝える
学校や教育機関で働く保健師を志望する場合
学校や教育機関で健康支援に携わりたい場合は、子どもや学生の健康維持、疾病予防、心身の健康課題への対応など、関心のある分野を具体的に示しましょう。ただし、学校で健康管理を担う職種には養護教諭などもあり、保健師資格だけで従事できるとは限りません。応募先の募集要件と実際の職務内容を確認したうえで、志望理由を作成することが重要です。
例文
私は、子どもや若者が心身の健康を保ちながら成長できる環境づくりに関わりたいと考え、教育分野における健康支援を志望します。大学で公衆衛生や健康教育について学ぶ中で、日頃から自分の心身の状態に目を向けることの重要性を感じました。入職後は、対象者の年齢や発達段階に応じた健康教育や相談支援に携わり、健康課題の早期発見と予防に努めたいです。また、教職員や医療機関などと連携し、一人ひとりが安心して学び、生活できる環境づくりに貢献したいと考えています。
作成時のポイント
- 教育分野の健康支援に関心を持った理由を伝える
- 健康教育や相談支援など、取り組みたい活動を示す
- 応募先の職種や資格要件、具体的な業務内容を確認する

保健師の志望動機を800字でまとめる方法
800字程度の志望動機では、同じ内容を繰り返さず、伝えたい要素を読み手が理解しやすい順序で構成することが大切です。ここでは、基本構成と文字数の配分、例文を紹介します。
800字の志望動機の基本構成
800字の志望動機では、冒頭で結論を示し、根拠となる経験を説明したうえで、応募先を選んだ理由と入職後の目標につなげる構成がおすすめです。
基本的な構成は、次の4つです。
- 志望理由:保健師を目指した理由や、応募先を志望する結論を伝える。
- きっかけ・経験:志望するようになった具体的な出来事や、そこから得た学びを説明する。
- 応募先を選んだ理由:応募先の特徴や取り組みと、自分の目標との共通点を示す。
- 入職後の目標:自分の強みをどう生かし、どのような保健活動に取り組みたいかを伝える。
文字数ごとの配分と書き進め方
各項目に目安となる文字数を設定すると、内容を整理しやすくなります。
構成 | 目安の文字数 | 書く内容 |
|---|---|---|
志望理由 | 100〜150字 | 保健師を目指す理由、応募先への関心 |
きっかけ・経験 | 200〜250字 | 実習や仕事などの経験、得られた学び |
応募先を選んだ理由 | 200〜250字 | 応募先の特徴、取り組みたい活動 |
入職後の目標 | 150〜200字 | 強みの生かし方、将来の目標 |
合計 | 約650〜850字 | 応募先の指定に合わせて調整 |
書き進める際は、まず各項目について伝えたい内容を箇条書きにし、その後で文章にまとめると効率的です。最後に、同じ内容の繰り返しがないか、具体的な経験が含まれているかを確認しましょう。文字数の指定がある場合は、応募先のルールを優先してください。
800字の志望動機の例文
以下は、市町村の保健師を志望する場合を想定した例文です。
例文
私は、地域住民が健康に暮らせる環境づくりに携わり、疾病予防と健康増進の両面から支援したいと考え、貴自治体の保健師を志望します。
大学で看護学や公衆衛生について学ぶ中で、健康状態には生活習慣だけでなく、家庭環境や社会的なつながり、地域の支援体制など、さまざまな要因が関係していることを知りました。特に、健康課題が生じてから対応するだけでなく、日頃から予防に取り組み、住民が自分の健康を維持できるよう支援することの重要性を感じました。この学びを通じて、個人への看護に加え、地域全体の健康課題に向き合う保健師の仕事に関心を持つようになりました。
また、実習では、対象者の話を丁寧に聞き、生活背景や本人の希望を踏まえて支援を考えることの大切さを学びました。同じ健康課題を抱えていても、年齢や家庭環境、生活習慣などによって必要な支援は異なります。そのため、相手の状況を十分に理解し、一人ひとりに合った方法を考える姿勢が重要だと考えています。こうした経験を通じて培った傾聴力を、保健師としての健康相談や保健指導に生かしたいです。
貴自治体を志望する理由は、地域住民の健康づくりに関する取り組みに関心を持ち、地域の実情に応じた保健活動に携わりたいと考えたためです。住民の健康を支えるためには、個別の相談に対応するだけでなく、地域の健康課題を把握し、関係機関と連携しながら継続的な支援を行うことが必要だと考えています。
入職後は、住民の声に真摯に耳を傾け、必要な知識や技術を積極的に学びながら、健康相談や予防活動に取り組みたいです。将来的には、地域の特性や住民のニーズを踏まえた保健活動を企画・実践し、誰もが安心して健康に暮らせる地域づくりに貢献できる保健師を目指します。
例文を自分用に調整するポイント
- 実際の実習や仕事で経験した出来事に置き換える
- 応募先の具体的な施策や地域課題を盛り込む
- 自分の強みを、入職後に取り組みたい業務と結び付ける
なお、「800字以内」なのか「800字程度」なのかによっても、適切な文章量は異なります。

保健師の面接で志望動機を伝えるコツ
採用面接では、履歴書の志望動機をもとに、応募理由や仕事への理解、将来の目標などを質問されることがあります。ここでは、聞かれやすい質問への回答例と、準備のポイントを解説します。
「どんな保健師になりたいか」への回答例
「どんな保健師になりたいですか」という質問では、目指す保健師像と、そのために取り組みたいことを具体的に伝えましょう。「住民に信頼される保健師になりたい」といった目標に加え、どのような行動を通じて信頼関係を築きたいのかを説明することが重要です。
回答例
私は、住民一人ひとりの生活背景や思いを理解し、その人に合った支援を提案できる保健師になりたいと考えています。健康課題は年齢や生活環境によって異なるため、まずは相手の話を丁寧に聞き、必要な支援を一緒に考える姿勢を大切にしたいです。また、個別の相談だけでなく、地域全体の健康課題にも目を向け、関係機関と協力しながら予防活動に取り組みたいと考えています。
回答を考える際は、次の3点を整理しておくとよいでしょう。
- どのような保健師を目指しているのか
- その目標を持った理由は何か
- 目標を実現するために何に取り組みたいのか
「なぜ看護師ではなく保健師なのか」への答え方
「なぜ看護師ではなく保健師なのですか」という質問には、看護師の仕事を否定するのではなく、保健師として実現したいことを中心に答えましょう。
回答例
看護師も人々の健康を支える重要な職種ですが、私は病気への対応だけでなく、病気になる前から健康を支える活動に携わりたいと考えています。看護の学習を通じて、健康状態には生活習慣や生活環境なども影響することを学びました。そのため、健康相談や保健指導を通じて疾病予防に取り組み、個人だけでなく地域全体の健康づくりに貢献できる保健師を目指しています。
回答では、看護師と保健師の役割の違いを理解したうえで、自分の経験や関心と結び付けて説明することが大切です。
「なぜこの自治体なのか」への答え方
自治体の採用面接では、なぜその自治体を志望したのかを聞かれることがあります。応募先の保健事業や地域の健康課題を調べ、関心を持った取り組みを整理しましょう。
回答例
私が貴自治体を志望した理由は、地域の健康課題に応じた保健活動を通じて、住民の健康づくりに貢献したいと考えたためです。貴自治体の保健事業について調べる中で、住民の健康増進に向けた取り組みに関心を持ちました。入職後は、地域の特性や住民のニーズを理解し、関係機関と連携しながら、一人ひとりに合った支援に取り組みたいと考えています。
実際の面接では、応募先が公表している具体的な事業名や施策を盛り込むと、志望理由の説得力を高められます。
履歴書の志望動機と面接の回答を一致させる方法
履歴書と面接では、志望理由の軸が一貫していることが大切です。ただし、履歴書の文章をそのまま暗記して話す必要はありません。書類では限られた文字数の中で要点をまとめ、面接では具体的な経験や考えを補足すると、自然に伝えやすくなります。
次の項目を整理しておきましょう。
- 保健師を目指したきっかけ
- 応募先を選んだ理由
- 自分の経験や強み
- 入職後に取り組みたいこと
- 将来目指す保健師像
模擬面接などを通じて声に出して練習し、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
公正な採用選考の考え方も知っておく
厚生労働省は、採用選考の基本的な考え方として「応募者の基本的人権を尊重すること」と「応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと」を示しています。そのうえで、「家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)」や「尊敬する人物に関すること」などを把握することは、就職差別につながるおそれがあるとしています。
志望動機を伝える際も、家族の病歴や家庭環境などを詳しく説明する必要はなく、自分の経験や考えを中心に伝えれば十分です。
- 出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」
- 参照ページタイトル:公正な採用選考の基本
- URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_56780.html

保健師の志望動機で避けたいNG例
内容が抽象的だったり、応募先とのつながりが見えなかったりすると、保健師を目指す理由や入職後の活躍イメージが伝わりにくくなります。ここでは、代表的なNG例と改善方法を解説します。
「人の役に立ちたい」だけで終わる
「人の役に立ちたい」「地域に貢献したい」という思いは、保健師を目指す理由の一つになります。しかし、それだけでは、なぜ保健師を選んだのか、どのような支援をしたいのかが十分に伝わりません。
NG例
「人の役に立つ仕事がしたいと考え、保健師を志望しました。」
改善例
「看護実習で退院後の生活に不安を抱える患者と関わった経験から、治療だけでなく、地域で健康を維持できるよう支援することの重要性を感じました。この経験から、健康相談や疾病予防を通じて地域住民を支える保健師を志望しています。」
きっかけとなった経験と保健師を目指す理由をつなげることで、志望動機に具体性が生まれます。
応募先ならではの志望理由がない
どの自治体や企業にも当てはまる内容だけでは、なぜその応募先を選んだのかが伝わりにくくなります。応募先の特徴や重点施策を調べ、関心を持った理由と、そこで取り組みたいことを明確にしましょう。
NG例
「地域住民の健康を支えたいと考え、貴自治体を志望しました。」
改善例
「貴自治体が取り組む母子保健事業に関心を持ち、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援に携わりたいと考え、志望しました。」
改善例は、応募先の実際の取り組みに合わせて調整してください。
自分の経験や強みが伝わらない
意欲や目標を書いていても、それを裏付ける経験がなければ強みは伝わりにくくなります。自分の能力を発揮した場面を盛り込みましょう。
NG例
「私はコミュニケーション能力があり、保健師として活躍できると考えています。」
改善例
「実習では、対象者の話を丁寧に聞き、生活背景や本人の希望を踏まえて支援を考えることを意識してきました。この経験で培った傾聴力を生かし、住民が安心して相談できる関係づくりに取り組みたいと考えています。」
強みを伝える際は、能力の名称だけでなく、それを発揮した経験と仕事への生かし方を示すことが重要です。
待遇や勤務地などの条件面だけを強調する
勤務地や勤務条件は、就職先を選ぶうえで重要な要素です。ただし、待遇や通勤のしやすさだけを強調すると、仕事内容への関心や意欲が伝わりにくくなる可能性があります。
NG例
「自宅から通いやすく、長く働ける環境だと考えたため志望しました。」
改善例
「地域に根差した保健活動に継続的に携わり、住民との信頼関係を築きながら健康づくりに貢献したいと考え、志望しました。」
志望動機では、仕事内容や応募先の特徴、自分が実現したいことを中心に伝えましょう。

まとめ
保健師は、保健師助産師看護師法で「保健指導に従事することを業とする者」と定められた専門職で、就業者の半数以上が市区町村で働いています。志望動機では、看護師との役割の違いや、市町村・保健所・企業など応募先ごとの役割を理解したうえで、なぜ保健師なのか、なぜその応募先なのかを具体的に伝えることが大切です。
説得力のある志望動機を作るには、次の4つを整理し、一貫した流れでまとめましょう。
- きっかけ:なぜ保健師を目指そうと思ったのか
- 応募先を選んだ理由:なぜその自治体や企業、医療機関で働きたいのか
- 生かせる経験:これまでの経験や強みをどのように仕事に生かせるのか
- 入職後の目標:どのような保健活動に取り組み、何を実現したいのか
例文は構成や表現を学ぶための材料として活用し、自分の実際の経験や応募先の施策に置き換えることが重要です。面接では履歴書と同じ軸を保ちながら、自分の言葉で補足できるよう準備しておきましょう。
よくある質問
Q.保健師の志望動機はどのくらいの長さが適切?
保健師の志望動機に適した長さは、応募先の指定や提出書類によって異なります。履歴書の志望動機欄では200〜400字程度が一つの目安になる場合がありますが、自治体の採用試験などでは800字程度の指定が設けられることもあります。文字数を増やすこと自体を目的にせず、応募先の指定に従い、必要な情報を過不足なく伝えることを意識してください。
Q.志望理由が思いつかないときはどうする?
最初から完成した文章を考えるのではなく、経験や関心を振り返ることから始めましょう。明確な出来事がない場合でも、授業や実習で興味を持ったテーマなどを手掛かりにできます。
健康に関心を持ったきっかけや、支援したい対象などを書き出し、共通するテーマを保健師を目指す理由につなげてみましょう。
Q.地元以外の自治体を志望する理由はどう説明する?
地元ではないという事実を説明するのではなく、応募先の健康課題や母子保健事業、生活習慣病予防への取り組みなどに関心を持った理由を具体的に伝えましょう。あわせて、採用後に地域の特性を学び、住民との信頼関係を築いていく姿勢を示すことも重要です。
Q.知恵袋などの例文を参考にしてもよい?
知恵袋などのQ&Aサイトや就職情報サイトに掲載されている例文を、文章の構成や伝え方を学ぶために参考にすること自体は問題ありません。ただし、例文をそのまま使うと、自分の経験や応募先の特徴が反映されず、説得力が弱くなる可能性があります。
自分の実際の経験や応募先の施策に置き換え、面接で自分の言葉で説明できる内容に仕上げましょう。
Q.志望動機に実習やボランティアの経験は使える?
実習やボランティアの経験は、保健師の志望動機に活用できます。経験そのものの規模よりも、そこから何を学び、保健師として何を実現したいと考えるようになったのかを、自分の言葉で説明することが重要です。
Q.保健師の求人は多い?
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、2026年(令和8年)8月の職業別有効求人倍率(常用、パートタイムを含む)は、「保健師,助産師,看護師」の区分で2.00倍でした。職業計の1.06倍を上回っていますが、この数値は助産師や看護師を含む区分で、ハローワークを通じた求人・求職に基づくものです。保健師単独の倍率ではない点に注意し、実際の募集状況は各自治体や企業の採用情報で確認しましょう。
- 出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年(2026年)8月分)について」参考統計表
- 参照ページタイトル:一般職業紹介状況(令和8年(2026年)8月分)について
- URL:https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001753011.pdf
[メディルン]編集部
この記事の執筆者情報です
医療福祉業界に特化した情報を発信するオウンドメディア。
医療福祉に関する制度、転職・キャリアに役立つトピック、スキルアップのヒントなど、幅広いテーマを取り上げ、誰にとっても読みやすいメディア運営を目指しています。
転職活動のヒントや資格取得、スキル向上に役立つ知識まで、専門性と信頼性の高いコンテンツを目指して日々更新中です。





