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- 求人票の月給や基本給の内訳を正しく見極めたい方月給の総額表示だけでなく、基本給や手当、固定残業代の構成比を把握し、転職・就職時に提示条件を正しく比較できるようになります。
- 基本給・月給・手取り額などの違いを整理したい方それぞれの用語が指す範囲や控除の仕組みがスッキリ理解でき、給与明細や労働条件通知書の内容を迷わず確認できるようになります。
- 基本給が賞与や残業代、最低賃金に与える影響を知りたい方基本給を基準とした割増賃金・賞与の計算ルールや最低賃金との比較方法が分かり、ご自身の給与条件が適正かを正しく判断できます。

基本給とは何かをわかりやすく解説
基本給とは、毎月支払われる給与の基本となる賃金です。求人票や給与明細で目にする機会が多いものの、手当や月給などとの違いがわかりにくいと感じる人もいるでしょう。以下では、基本給の意味や内訳、公的統計における水準を順に解説します。
基本給とは毎月の給与のベースとなる賃金
基本給とは、毎月支払われる給与のベースとなる賃金であり、各種手当とは区別された給与の基本部分です。年齢や勤続年数、職務内容、能力、経験などをもとに企業が決定します。
ただし、基本給の決め方や賃金体系は企業によって異なるため、同じ職種でも金額に差が生じることがあります。また、基本給をもとに賞与や退職金などを算定する企業もあるため、求人を比較する際は月給の総額だけでなく、基本給の金額も確認することが大切です。給与の仕組みを理解するうえで、まず押さえておきたい項目といえるでしょう。
基本給に含まれるもの・含まれないもの
基本給は、一般的に職務内容や能力、経験、勤続年数などを考慮して決められる、賃金の基本部分です。一方、通勤手当や住宅手当、家族手当、役職手当、時間外手当などは、基本給とは別に支給されるケースが一般的です。
ただし、どの項目を基本給として扱うかは、企業の賃金制度によって異なります。そのため、求人票に「月給25万円」と記載されていても、基本給が25万円とは限りません。月給に各種手当や固定残業代などが含まれている場合もあります。求人応募時は給与総額だけでなく、基本給と各種手当の構成比まで確認しておきましょう。
基本給と本給・基本賃金・職能給の違い
基本給と似た言葉に「本給」「基本賃金」「職能給」があります。本給は、企業によって基本給と同じ意味で使われる場合がある一方、基本給を構成する項目の一つとして扱われることもあります。基本賃金も文脈や制度によって意味が異なるため、就業規則や賃金規程での確認が必要です。
一方、職能給とは、従業員の職務遂行能力や経験、スキルなどを評価して決定する賃金を指します。企業によっては「本給+職能給」のように複数の項目を組みあわせて基本給を構成する場合もあります。このように名称だけでは実態を判断できないため、求人票や給与明細で各項目の内容まで確かめることが重要です。
公的統計でみた所定内給与額の水準
基本給そのものを集計した公的統計はありませんが、基本給に近い概念として、厚生労働省の賃金構造基本統計調査が公表する「所定内給与額」が参考になります。所定内給与額は、超過労働給与額(時間外手当や深夜勤務手当など)を差し引いた、毎月決まって支給される給与にあたります。
同調査では、一般労働者の所定内給与額は月額34万600円で、男性が37万3,400円、女性が28万5,900円でした。雇用形態別では、正社員・正職員が35万8,800円、それ以外(非正規雇用など)が24万1,700円で、正社員を100とした賃金格差は67.4です。
年齢階級別では、男性は55〜59歳の44万5,600円が最も高く、女性は45〜49歳と55〜59歳の30万5,700円が最も高い水準でした。基本給は年齢や勤続年数を考慮して決められることが多いため、こうした年齢による差が生じやすい項目といえます。自分の給与水準を考える際の目安として確認しておくとよいでしょう。

基本給と何が違う?月給・手取り額・総支給額との違い
基本給と混同しやすい言葉に、月給・手取り額・総支給額などがあります。それぞれ指す金額が異なるため、求人票や給与明細を見る際は違いの把握が欠かせません。以下で各用語との違いを順に整理します。
基本給と月給の違い
基本給が各種手当などを除いた給与のベースであるのに対し、月給は一般的に、役職手当や資格手当など毎月固定で支給される手当を加えた金額を指します。そのため、基本給と月給が同じ金額になるとは限りません。
たとえば、基本給が20万円で、役職手当が2万円、住宅手当が1万円支給される場合、月給は23万円となります。ただし、月給に含まれる手当の範囲や給与の表記方法は企業によって異なります。求人票に記載された月給だけで判断せず、基本給はいくらなのか、どのような手当が含まれているのかを確認することが大切です。
基本給と手取り額の違い
基本給と手取り額では、それぞれ指す金額の意味が異なります。基本給が給与計算のベースとなる賃金であるのに対し、手取り額は税金や社会保険料などを控除した後に、実際に受け取る金額を指します。
給与からは、所得税や住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などが条件に応じて控除されます。そのため、基本給や総支給額がそのまま銀行口座へ振り込まれるわけではありません。また、手取り額は給与額だけでなく、扶養状況や社会保険料などによっても変わります。実際に受け取れる金額を把握したい場合は、基本給ではなく手取り額を確認しましょう。
基本給と総支給額・額面給与の違い
基本給は給与のベースとなる部分ですが、総支給額は、基本給に各種手当や時間外手当などを加えた控除前の給与総額を指します。「額面給与」も一般的に同様の意味で使われます。
たとえば、基本給20万円に通勤手当1万円、時間外手当2万円、その他の手当2万円が加われば、総支給額は25万円です。ここから税金や社会保険料などを控除した残額が、実際に受け取る手取り額です。給与明細を見る際は「基本給」「総支給額」「控除額」「差引支給額」などを確認すると、給与がどのように計算されているのか理解しやすくなります。
基本給と時給の考え方の違い
基本給と時給は、賃金を決める単位や考え方が異なります。基本給は月給制などで給与の基礎となる賃金として設定されることが多いのに対し、時給は1時間あたりの労働に対して支払われる賃金です。時給制では、原則として時給に実際の労働時間を掛けて給与を計算します。
一方、月給制であっても、時間外労働の割増賃金などを計算する際には、月給のうち算定の基礎となる賃金を時間単価に換算する場合があります。なお、月給制であっても最低賃金の適用対象となります。最低賃金を確認する際は、対象となる賃金を時間額に換算して、適用される最低賃金額以上になっているかを確認します。
給与に関する用語の整理
ここまで解説した用語の関係を整理すると、以下のとおりです。それぞれ指している範囲が異なるため、求人票や給与明細を読む際は、どの金額について書かれているのかを意識しましょう。
用語 | 指している金額 | 含まれるもの |
|---|---|---|
基本給 | 給与のベースとなる賃金 | 各種手当を除いた基本部分 |
月給 | 毎月固定で支給される給与 | 基本給+毎月固定の手当 |
総支給額(額面給与) | 控除前の給与総額 | 基本給+各種手当+時間外手当など |
手取り額(差引支給額) | 実際に受け取る金額 | 総支給額から税金・社会保険料などを控除した額 |
所定内給与額 | 統計上の区分 | 毎月決まって支給する給与から超過労働給与額を除いた額 |
求人票では月給や総支給額で示されることが多く、給与明細では基本給と各手当が個別に記載されます。同じ求人を比較するときは、必ず同じ区分の金額同士で比べることが大切です。

基本給に手当は含まれる?給与の内訳と確認方法
基本給と各種手当は、給与を構成する項目として分けて扱われるのが一般的です。ただし、企業によって給与体系や名称が異なるため、求人票に記載された金額だけでは判断しにくい場合もあります。ここでは、基本給と手当の関係や確認方法について解説します。
基本給と各種手当は分けて記載されるのが一般的
基本給は、一般的に給与のベースとなる賃金を指し、住宅手当や通勤手当、役職手当などの各種手当とは分けて示されます。たとえば「基本給20万円+住宅手当2万円」のように、それぞれの金額が区別されていれば給与の内訳を把握しやすくなります。
ただし、基本給の構成や名称は企業の賃金制度によって異なり、基本給を本給や職能給などの項目に分けている場合もあります。そのため、「基本給」という名称だけで給与の内容を判断するのではなく、雇用契約書や労働条件通知書、就業規則、賃金規程などで内訳を確認することが重要です。疑問がある場合は、採用担当者や勤務先へ確認するとよいでしょう。
住宅手当・通勤手当・役職手当などの扱い
住宅手当・通勤手当・役職手当などは、基本給とは別項目で支給されるのが一般的です。それぞれ、住宅手当は住居費の負担軽減、通勤手当は移動費の補助、役職手当は責任や業務への対価として支給されます。
これらの手当は、すべての企業で必ず支給されるものではありません。手当の支給有無や金額、適用条件は企業によって異なります。また、一定の条件を満たした場合のみ支給される手当もあるため、求人票に手当の記載があっても自分が対象になるとは限りません。給与を比較する際は、基本給だけでなく、各手当の支給条件や金額も確認しておきましょう。
「基本給に手当を含む」と記載されている場合の確認ポイント
求人票などに「基本給に手当を含む」といった記載がある場合は、どの手当が含まれているのかを確認することが大切です。表示されている金額が高く見えても、その中に特定の手当が含まれていれば、手当を除いた給与の基本部分は、表示額より少ない可能性があります。
特に確認したいのは、含まれている手当の名称・金額・支給条件です。また、固定残業代を含む場合は、金額に加えて対象時間や超過分の割増賃金の扱いもあわせてチェックが必要です。求人票だけで内訳がわからない場合は、労働条件通知書や雇用契約書を確認し、不明な点は入社前に採用担当者へ質問しておくことが重要です。
求人票と給与明細で基本給を確認する方法
求人票では、給与欄に「基本給」「月給」「各種手当」などが分けて記載されているか確認しましょう。たとえば「月給25万円(基本給20万円+各種手当5万円)」と記載されていれば、基本給と手当の内訳を把握できます。固定残業代が含まれる場合は、その金額や対象時間もしっかりと確認しておきましょう。
入社後は、給与明細の「支給」欄などから基本給を確認できます。基本給のほか、通勤手当や役職手当、時間外手当などが個別に記載されているケースが一般的です。求人票の提示条件と実際の労働条件に相違がないか、労働条件通知書や雇用契約書で照合することが大切です。

基本給は法律上どう扱われる?最低賃金との関係
基本給を確認する際は、最低賃金との関係を理解しておくことが大切です。ただし、基本給の金額だけを見て最低賃金を上回っているか判断できるとは限りません。ここでは、基本給に関する法律上の考え方や、最低賃金の対象となる賃金について解説します。
基本給そのものに一律の最低額が定められているわけではない理由
基本給について、「月額○万円以上にしなければならない」という全国一律の最低額が定められているわけではありません。基本給は、企業が職務内容や能力、経験、年齢、勤続年数などを考慮し、賃金制度に基づいて決定するのが一般的です。
一方、労働者に支払われる賃金には最低賃金法が適用され、使用者は原則として適用される最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。最低賃金は時間額で定められているため、月給制の場合も対象賃金を時間額に換算して確認します。したがって、基本給の月額単体ではなく、計算対象となる手当を含めて判断することが重要です。
最新の地域別最低賃金額と改定の仕組み
地域別最低賃金は毎年改定されており、厚生労働省は2026年(令和8年)9月3日に、すべての都道府県で改定額が答申されたことを公表しました。それによると、2026年度(令和8年度)の地域別最低賃金額は全国加重平均で1,177円となり、前年度の1,121円から56円引き上げられました。最高額は1,280円、最低額は1,085円です。
改定後の最低賃金額は、各都道府県労働局での異議申出の手続きを経て、2026年(令和8年)10月1日から同年12月2日にかけて順次発効します。そのため、自分の勤務地に適用される金額と発効日は、都道府県ごとに確認する必要があります。
最低賃金の対象となる賃金を時間額に換算した金額が、改定前の最低賃金は上回っていても、改定後の金額を下回る可能性があります。改定の時期には、給与明細や労働条件通知書をあらためて確認しておくと安心です。
最低賃金の計算に含まれる賃金・含まれない賃金
厚生労働省は、最低賃金の対象となる賃金について「毎月支払われる基本的な賃金」と定義しており、実際に支給される金額から一定の手当などを除外して計算します。除外される賃金は、以下のとおりです。
除外される賃金 | 具体例 |
|---|---|
臨時に支払われる賃金 | 結婚手当など |
1か月を超える期間ごとに支払われる賃金 | 賞与など |
所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金 | 時間外割増賃金など |
所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金 | 休日割増賃金など |
午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分 | 深夜割増賃金など |
精皆勤手当、通勤手当および家族手当 | — |
つまり、基本給のほか、毎月支給される手当のうち上記に当たらないものは最低賃金の計算対象に含まれます。手当であればすべて除外されるわけではないため、給与明細の項目ごとに対象となるかを確認しましょう。
基本給と最低賃金を比較するときの考え方
月給制の給与が最低賃金を満たしているか確認する場合は、最低賃金の計算対象となる月給額を1か月の平均所定労働時間で割り、時間額に換算して比較するのが基本です。その時間額が勤務先に適用される最低賃金額以上であるかを確認します。
たとえば、基本給だけでなく最低賃金の計算対象となる手当が支給されている場合は、それらも含めて計算します。一方、通勤手当や時間外労働に対する割増賃金など、最低賃金との比較に算入しない賃金もあります。また、特定の産業には「特定最低賃金」が適用されるケースもあるため、自身の適用区分をあらかじめ把握しておきましょう。
基本給が最低賃金を下回って見える場合の確認方法
基本給を時間額に換算した際に最低賃金を下回って見えても、すぐに最低賃金法に違反しているとは判断できません。まずは給与明細や労働条件通知書を確認し、基本給以外に最低賃金の計算対象となる手当が支給されていないか確認しましょう。
そのうえで、最低賃金の対象となる賃金を合計し、月給制の場合は1か月の平均所定労働時間で割って時間額を算出します。算出した金額と、自分の勤務地や産業に適用される最低賃金を比較します。計算方法や対象となる賃金がわからない場合は、勤務先の担当部署に確認するほか、都道府県労働局や労働基準監督署などの相談窓口を利用する方法もあります。

基本給は残業代・賞与にどう影響する?給与計算との関係
基本給は毎月の給与だけでなく、残業代や賞与の計算に関係する場合があります。ただし、実際の計算方法や対象となる賃金は企業の規定などによって異なるため、基本給だけで判断するのは適切ではありません。ここでは、基本給と残業代・賞与の関係について解説します。
基本給と残業代の計算に使われる基礎賃金の関係
残業代は、基本給だけをもとに計算するとは限りません。時間外労働の割増賃金を計算する際は、基本給だけでなく、算定基礎の対象となる各種手当なども加えて1時間あたりの賃金額を算出し、所定の割増率を適用します。
厚生労働省の資料によると、労働基準法第37条第5項および同施行規則第21条を根拠に、割増賃金の基礎から除外される賃金として以下の7種類が定められています。
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
これらは単なる名称ではなく、支給実態が一定の要件を満たす場合にのみ除外対象となります。
そのため、「基本給が低いから残業代も必ず低くなる」とは一概にいえません。給与明細や就業規則、賃金規程などを確認し、どの賃金が残業代の計算に含まれているかを把握することが大切です。
企業が定めている割増賃金率の実態
割増賃金率についても、公的統計で実態を確認できます。「就労条件総合調査」によると、時間外労働の割増賃金率を定めている企業は94.5%で、そのうち一律に定めている企業は85.6%でした。一律に定めている企業のうち、割増率を25%とする企業が94.5%、26%以上とする企業が4.6%です。
また、時間外労働の割増賃金率を定めている企業のうち、1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めている企業は64.5%で、そのうち50%以上とする企業が98.3%を占めています。残業代の見込みを考える際は、基本給の額だけでなく、勤務先の就業規則で割増率がどう定められているかを確認するとよいでしょう。
基本給と賞与の支給額との関係
賞与の支給額は、企業によって基本給を基準に決められる場合があります。たとえば「基本給の2か月分」と定められている場合、単純計算では、基本給が20万円なら40万円が支給額の目安となります。ただし、実際の支給額は査定や業績などによって変動することがあります。
また、賞与の有無や算定方法は企業によって異なり、必ず基本給を基準に計算されるわけではありません。「基本給○か月分」ではなく、会社の業績や個人評価などを総合して算出する企業も少なくありません。求人票で賞与の実績を確認するだけでなく、就業規則や賃金規程などで算定基準や支給条件を確認しておくことが大切です。
基本給が低く手当が多い給与体系で確認したいポイント
基本給が低く、各種手当の割合が大きい給与体系では、月々の総支給額だけでなく給与の内訳を確認しましょう。月給の総額が同じでも、基本給と手当の割合によって、賞与や退職金などの算定額に違いが生じる場合があります。
また、手当には毎月固定で支給されるものだけでなく、役職や勤務状況、家族構成などの条件が変わると支給されなくなるものもあります。求人票チェック時は、基本給の額面に加えて各手当の支給条件や固定残業代の有無まで把握することが重要です。賞与や退職金についても、何を基準に算定するのか確認すると、実際の待遇を比較しやすくなります。

基本給とは別に確認したい転職時の給与条件
転職先を選ぶ際は、基本給だけでなく月給の内訳や固定残業代、賞与、各種手当などの確認が欠かせません。基本給が高くても、他の条件次第で実際の収入や待遇が変わるためです。以下では、あわせて確認すべき主な給与条件を解説します。
求人票では基本給と月給の内訳を確認する
求人票を確認する際は、提示されている月給の金額だけでなく、その内訳を確認しましょう。月給には基本給のほか、役職手当や資格手当、住宅手当などが含まれている場合があります。そのため、同じ月給でも基本給の割合は企業によって異なります。
たとえば、月給25万円でも「基本給23万円+手当2万円」と「基本給20万円+手当5万円」では、給与の構成が異なります。手当には支給条件が設定されている場合もあるため、自分が対象になるか確認することも重要です。選考時に求人票だけでは内訳がわからない場合は採用担当者に確認し、入社時には労働条件通知書なども確認しましょう。不明点を事前に解消しておくことで、入社後の認識のギャップを防げます。
労働条件明示のルールと固定残業代の書き方
給与条件を確認するうえで、企業側が明示すべき事項を知っておくと役立ちます。厚生労働省は、2024年(令和6年)4月から、募集広告や職業紹介を受ける際に求人企業などから明示される労働条件が追加されたことを周知しています。追加されたのは、「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)」の3点です。
同じ資料では、固定残業代を採用する場合に必要な記載として、次の3点が示されています。
- 基本給 ●●円(下記手当を除く額)
- ■■手当(時間外労働の有無に関わらず、●時間分の時間外手当として▲▲円を支給)
- ×時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給
固定残業代の内訳が示されていない求人票は、この明示事項を満たしていない可能性があります。基本給と固定残業代が区分されているか、超過分の割増賃金の扱いが書かれているかを確認しましょう。
固定残業代の金額と対象時間をチェックする
求人票に固定残業代が記載されている場合は、月給の総額だけでなく、固定残業代の金額と対象となる時間数を確認しましょう。固定残業代とは、一定時間分の時間外労働などに対する割増賃金を、あらかじめ定額で支給する仕組みです。
たとえば「月給25万円(固定残業代3万円・20時間分を含む)」と記載されていれば、25万円すべてが基本給ではありません。また、実際の時間外労働が固定残業代の対象時間を超えた場合は、超過分の割増賃金が別途支払われる必要があります。転職時は固定残業代の有無に加えて、基本給との区分や対象時間、超過分の取り扱いまで確認することが大切です。
賞与・昇給・各種手当まで含めて年収を判断する
転職後の収入を比較する際は、毎月の基本給や月給だけでなく、賞与・昇給・各種手当まで含めて判断することが重要です。月給が高くても賞与がない場合や、反対に月給が低めでも賞与の支給実績が高い場合など、企業によって給与体系は異なります。
また、住宅手当や資格手当、役職手当などが支給されれば、年間の収入に差が生じます。求人票では賞与の支給回数や実績、昇給制度の有無、各種手当の金額・支給条件を確認しましょう。ただし、賞与や昇給は業績や評価などによって変動する可能性があります。記載された金額を必ず受け取れると考えず、支給条件も含めてチェックしておきましょう。
基本給だけで求人を比較しないためのポイント
求人を比較する際は、基本給の高さだけで待遇の良し悪しを判断しないことが大切です。基本給が高くても各種手当や賞与が少なければ、年収ではほかの求人を下回る場合があります。一方、基本給が低くても、賞与や手当などを含めると年収が高くなるケースもあります。
給与を比較する際は、基本給・各種手当・固定残業代・賞与などを整理し、想定年収で捉えることがポイントです。さらに、昇給・退職金制度や福利厚生、年間休日といった給与以外の労働条件もあわせて総合的に判断しましょう。

まとめ
基本給とは毎月支払われる給与のベースであり、各種手当と区別された基本部分を指します。年齢や勤続年数、職務内容、能力、経験などをもとに企業が定めるため、同じ職種でも金額に差が生じます。
月給は基本給に毎月固定の手当を加えた金額、総支給額は時間外手当などを加えた控除前の総額、手取り額は税金や社会保険料を差し引いた後に受け取る金額です。それぞれ指す範囲が異なるため、求人を比較するときは同じ区分の金額同士で比べることが大切です。
基本給そのものに全国一律の最低額はありませんが、賃金には最低賃金法が適用されます。最低賃金との比較では、精皆勤手当・通勤手当・家族手当や各種割増賃金などが計算対象から除外されるため、基本給だけを時間額に換算して判断することはできません。残業代の算定基礎からも、家族手当や住宅手当などが一定の要件のもとで除外されます。
求人票では、基本給と手当の内訳、固定残業代の金額と対象時間、賞与や昇給の条件まで確認し、年収ベースで比較しましょう。不明な点は入社前に採用担当者へ確認し、労働条件通知書で書面を確かめることが重要です。
よくある質問
Q.基本給と月給の違いは何ですか?
基本給は、毎月支払われる給与のベースとなる賃金です。一方、月給は一般的に、基本給に役職手当や資格手当、住宅手当など、毎月固定で支給される手当を加えた金額を指します。そのため、基本給と月給は同じ金額とは限りません。
たとえば、基本給が20万円で、役職手当が2万円、資格手当が1万円の場合、月給は23万円となります。ただし、企業によって給与体系や月給に含める項目は異なります。求人票を確認する際は「月給○万円」という金額だけで判断せず、基本給はいくらなのか、どのような手当が含まれているのかまで確認するようにしましょう。
Q.基本給には手当が含まれますか?
基本給と住宅手当・通勤手当・役職手当などは、別の項目として扱われるのが一般的です。たとえば「基本給20万円+住宅手当2万円」のように、基本給とは別に手当が支給されるケースがあります。
ただし、給与体系や各項目の名称、基本給の構成は企業によって異なります。そのため、求人票などに「基本給に手当を含む」と記載されている場合は、どの手当がいくら含まれているのか確認しましょう。求人票だけでは判断できない場合は、労働条件通知書や雇用契約書、就業規則、賃金規程などを確認し、不明な点は勤務先や採用担当者へ質問することが大切です。
Q.基本給と手取り額はどれくらい違いますか?
基本給と手取り額は単純に比較できません。手取り額は基本給から直接計算するものではなく、基本給に各種手当や時間外手当などを加えた総支給額から、税金や社会保険料などを差し引いて算出されるためです。
控除される主な項目には、所得税や住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などがあります。ただし、実際の控除額は給与額や年齢、扶養状況などによって異なるため、「基本給の○%が手取り額」と一律に判断するのは適切ではありません。正確な手取り額を確認したい場合は、給与明細の総支給額・控除額・差引支給額を確認しましょう。
Q.基本給が最低賃金を下回ることはありますか?
基本給だけを時間額に換算すると、適用される最低賃金を下回って見える場合があります。ただし、それだけでは直ちに最低賃金法に違反しているとは判断できません。最低賃金との比較対象には、基本給以外の一部の手当も含まれる場合があるためです。
厚生労働省は、最低賃金の対象となる賃金から次の賃金を除外するとしています。臨時に支払われる賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金、精皆勤手当、通勤手当および家族手当です。月給制の場合は、この対象となる賃金を1か月の平均所定労働時間で割り、時間額に換算して確認します。なお、2026年度(令和8年度)の地域別最低賃金額は全国加重平均で1,177円、最低額は1,085円です。
Q.基本給と基本賃金はどう違いますか?
基本給は、一般的に毎月の給与のベースとなる賃金を指します。一方、「基本賃金」という言葉は、使われる制度や場面によって指す範囲が異なることがあります。そのため、基本給と基本賃金が常に同じ意味で使われているとは限りません。
企業によっては基本給と同じような意味で基本賃金という名称を使用する場合もあれば、制度や規程によって、特定の計算の基礎となる賃金を指す場合もあります。名称だけで判断すると、実際の給与体系を誤って理解する可能性があります。求人票や給与明細に「基本賃金」と記載されている場合は、就業規則や賃金規程などで定義や対象となる項目を確認しましょう。
Q.基本給が低いと賞与も少なくなりますか?
賞与が基本給を基準に計算される企業では、基本給が低いほど賞与の算定額も低くなる可能性があります。たとえば、賞与が「基本給の2か月分」を基準としている場合、単純計算では、基本給20万円なら40万円、基本給25万円なら50万円が支給額の目安となります。
ただし、すべての企業が基本給をもとに賞与を算定しているわけではありません。会社の業績や個人評価、役職などを考慮して支給額を決める場合もあり、賞与そのものが支給されないケースもあります。そのため、基本給だけで賞与額を判断せず、求人票や就業規則、賃金規程などで賞与の算定方法や過去の支給実績を確認することが大切です。
[メディルン]編集部
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