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- エンゼルケアの最新手順や正しい知識を学びたい方
- 介護施設や在宅における職種間の連携方法を知りたい方
- ご家族への対応や葬儀までの全体的な流れを把握したい方

エンゼルケアとは
エンゼルケアは、医療機関や介護施設、在宅など、亡くなった場所や状況に応じて行われます。本項目では、基本的な意味や実施タイミング、ほかの死後処置との違いについて整理します。
エンゼルケアの意味と対象となる人
エンゼルケアとは、亡くなった方のご遺体を清潔にし、身だしなみや外見を整える死後のケアを指します。身体を拭き、衣服を着替え、髪や顔を整えるなど、故人の尊厳を保ち、生前に近い穏やかな姿に整えることを目的としています。
エンゼルケアで行われる主な内容:
- 身体を拭いて清潔な状態に整える
- 衣服を替える
- 髪を整える
- 必要に応じて化粧を施す
- 医療機器を取り外した部分や創部などを適切に処置する
対象となるのは、病院や介護施設、在宅などで亡くなった方です。医療・介護の専門職が中心となって行いますが、施設や状況によっては、ご家族が洗顔や着替えなどに参加できる場合もあります。 エンゼルケアが必要な場面は、今後さらに増加すると見込まれます。厚生労働省「人口動態統計(確定数)の概況」では、同年の死亡数は160万5,378人で、前年の157万6,016人より2万9,362人増加しました。死亡率(人口千対)も13.3と前年の13.0から上昇しています。
エンゼルケアを行うタイミング
エンゼルケアは、医師による死亡確認の後に行うのが一般的です。病院では死亡確認後、点滴やカテーテルなどの医療機器を外し、必要な死後処置を行ったうえで、身体の清拭や着替え、整髪、化粧などを進めます。
一般的な流れ
- 医師が死亡を確認する
- 点滴やカテーテルなどの医療機器を取り外す
- 必要な死後処置を行う
- 身体を清拭して清潔にする
- 衣服を替える
- 髪や顔などを整える
亡くなった後は、時間の経過とともに身体に変化が生じるため、状態を確認しながら適切なタイミングでケアを行うことが重要です。 ただし、実施する時期や流れは、亡くなった場所や施設の方針、死因などによって異なります。在宅の場合は、訪問看護師や医師、葬儀社などと相談しながら対応します。
エンゼルケアとエンバーミング・死後処置の違い
エンゼルケア、エンバーミング、死後処置は、いずれも亡くなった方の身体に関わるケア・処置ですが、目的や内容が異なります。
種類 | 主な目的 | 主な内容 |
|---|---|---|
エンゼルケア | 故人の尊厳を保ち、穏やかな姿に整える | 清拭、着替え、整髪、化粧など |
エンバーミング | ご遺体を衛生的に保全し、一定期間状態を保つ | 専門的な技術による衛生処置や保全、修復など |
死後処置 | 死亡後に必要な処置を行う | 医療機器の取り外し、創部への対応など |
エンバーミングは専門の技術者がご遺体の衛生的な保全や修復を行う処置を指し、死後処置は死亡後に必要となる処置を広く指す言葉として使われます。エンゼルケアは死後処置の一部として行われる場合があり、エンバーミングとは目的も実施者も異なります。

エンゼルケアの目的と重視される考え方
エンゼルケアでは、亡くなった方の身体を整えるだけでなく、故人の尊厳を守り、ご家族が穏やかにお別れできるように配慮することが欠かせません。ここでは、その目的と考え方を整理します。
故人の尊厳と生前の姿を保つためのケア
エンゼルケアでは、亡くなった後も一人の人として尊重し、その人らしさを大切にしながら身だしなみを整えます。身体を清潔にするだけでなく、髪型や衣服、化粧などにも配慮し、できるだけ生前の印象に近い姿に整えることが重要です。
故人の尊厳を守るために、主に以下のような点に配慮します。
- 身体を丁寧に清拭し、清潔な状態に整える
- 故人やご家族の希望を踏まえて衣服を選ぶ
- 髪型や顔の状態を自然に整える
- ケア中もプライバシーに配慮する
- 故人の価値観や宗教・文化的な習慣を尊重する
亡くなった後であっても、身体を必要以上に露出させないなど、生前と同じように尊厳を守る姿勢が求められます。故人らしい身だしなみを整えることは、ご家族が穏やかな姿で最後のお別れをすることにもつながります。
ご家族が故人との別れに向き合うための支援
エンゼルケアは、残されたご家族にとっても大切な役割があります。大切な人の死をすぐに受け入れることは難しく、悲しみや戸惑いなどの感情が生じることがあります。
ご家族への支援として大切にしたいポイント
- ご家族の気持ちや希望を確認する
- ケアの内容や流れをわかりやすく説明する
- 希望があれば、無理のない範囲でケアへの参加を促す
- 故人とゆっくり過ごせる時間や環境に配慮する
ご家族が希望する場合には、洗顔や着替え、整髪などの一部を一緒に行うこともあります。故人に触れながら身支度を整える時間は、お別れに向き合う機会になることがあります。 ただし、ケアへの参加を望まないご家族もいるため、無理に勧めるのではなく、一人ひとりの気持ちや希望を尊重することが大切です。
感染対策や身だしなみを整えることの意味
亡くなった後の身体にはさまざまな変化が起こるため、エンゼルケアでは外見を整えるとともに、衛生面や感染対策にも配慮します。
感染対策や身だしなみを整える主な目的は、次のとおりです。
目的 | 主な内容 |
|---|---|
衛生面への配慮 | 手指衛生や必要に応じた個人防護具の使用など、適切な感染対策を行う |
死後変化への対応 | 体液の漏出や皮膚の変化など、死後に生じる身体の変化に対応する |
外見を整える | 清拭や整髪、着替え、化粧などによって穏やかな姿に整える |
ご家族への配慮 | ご家族が安心して故人と対面し、お別れできる状態を整える |
感染対策は、ケアを行う医療・介護従事者やご家族の安全を守るために欠かせません。身だしなみを整えることも、見た目の問題にとどまらず故人の尊厳を保つうえで大切です。

エンゼルケアの現在の考え方と従来の方法との違い
エンゼルケアの方法は、医療や介護を取り巻く環境の変化とともに見直されています。ここでは、考え方の変化や詰め物の扱い、故人・ご家族の希望を尊重するポイントを解説します。
一律の死後処置から個別性を尊重するケアへの変化
従来の死後処置では、医療機関や施設ごとに決められた手順に沿って、清拭や着替え、詰め物などを一律に行うケースがみられました。しかし現在では、すべての故人に同じ処置を行うのではなく、身体の状態や生前の希望、ご家族の意向を確認しながら必要なケアを選択する考え方が重視されています。
従来と現在の考え方の主な違い
項目 | 従来の考え方 | 現在重視される考え方 |
|---|---|---|
ケアの進め方 | 決められた手順に沿って行う | 故人の状態に合わせて必要なケアを検討する |
外見の整え方 | 一定の方法で身支度を整える | 生前のその人らしさを意識して整える |
ご家族の関わり | 医療・介護従事者が中心となって行う | 希望に応じてご家族も参加できるよう配慮する |
ケアの内容 | 慣習的な処置を行う場合がある | 必要性や根拠を確認して方法を選択する |
エンゼルケアでは、決められた処置を機械的にこなすことが目的ではありません。故人の尊厳を守り、ご家族の気持ちにも寄り添いながら、一人ひとりに適したケアを選択する姿勢が求められます。
口腔・鼻腔などへの詰め物に対する現在の考え方
従来は体液の漏出を防ぐ目的で、口腔や鼻腔に脱脂綿を詰める処置が行われることがありました。しかし、詰め物をしても体液の漏出を完全に防げるとは限らず、外見を損ねたり粘膜を傷つけたりする可能性もあります。
そのため現在では、一律に詰め物を行うのではなく、故人の身体の状態を確認したうえで必要性を判断することが重視されています。
- 体液の漏出があるかを確認する
- 必要性を判断したうえで適切な方法を選ぶ
- 故人の外見をできるだけ損なわないように配慮する
- 身体を傷つけないよう、無理な処置を避ける
- 施設の手順や専門職の判断に基づいて対応する
体液の漏出への対応には、吸収材や専用のケア用品を活用するなど、詰め物以外の方法を選択する場合もあります。大切なのは「必ず詰め物をする」と決めつけず、故人の状態に合わせた柔軟な対応を検討することです。
故人やご家族の希望を尊重するためのポイント
故人が生前に大切にしていた価値観や希望、ご家族がどのような姿で見送りたいと考えているかを確認し、衣服や髪型、化粧などの希望は可能な範囲でケアに反映します。
故人やご家族の希望を尊重するためのポイント
- 生前の本人の希望や価値観を確認する
- ご家族が希望する衣服や身だしなみを確認する
- 宗教や文化、生活習慣などに配慮する
- ケアの内容や目的を事前にわかりやすく説明する
- ご家族がケアへの参加を希望するか確認する
- 希望に沿えない場合は、その理由を丁寧に説明する
ご家族の希望は一人ひとり異なります。必要な処置を説明したうえで相談しながら進めることが、双方に配慮したエンゼルケアにつながります。

エンゼルケアの手順と基本的な流れ
具体的な手順は施設によって異なりますが、基本的な流れは共通しています。ここでは、基本的な手順と各段階で意識したいポイントを解説します。
ご家族への説明と希望の確認
エンゼルケアを始める前に、ご家族へケアの目的や内容、所要時間などを説明し、希望を確認します。直後のご家族は深い悲しみや戸惑いの中にいるため、専門用語を避け、分かりやすく伝えることが大切です。
確認する主な内容
- エンゼルケアの内容や流れを説明する
- ご家族がケアへの参加を希望するか確認する
- 故人に着せたい衣服を確認する
- 髪型や化粧などの希望を確認する
- 宗教や文化、習慣などに関する希望を確認する
- 故人が大切にしていたものや身につけたいものがあるか確認する
希望をすべて実現できるとは限らないため、難しい場合は理由を説明し、代わりの方法を一緒に検討します。
必要な物品・エンゼルケアセットの準備
エンゼルケアを円滑に進めるためには、必要な物品をあらかじめ準備しておきます。医療機関や介護施設では、必要な物品をまとめた「エンゼルケアセット」が用意されている場合もあります。
主に使用される物品の例
種類 | 物品の例 |
|---|---|
衛生用品 | 手袋、マスク、ガーゼ、タオルなど |
清拭用品 | 清拭用タオル、洗浄用品など |
口腔ケア用品 | ガーゼ、スポンジブラシなど |
処置用品 | 吸収材、被覆材、テープなど |
身だしなみ用品 | くし、化粧品、ひげそり用品など |
衣類 | 故人やご家族が希望する衣服、寝衣など |
必要な物品は故人の状態や施設の方針によって異なります。個人防護具も含め、ケアの途中で不足しないよう事前に確認しておきます。
体位を整えて全身の状態を確認する方法
ケアを始める際は、故人の身体に無理な負担をかけないよう体位を整え、全身の状態を確認します。皮膚の状態や体液の漏出などを確認し、必要なケアの内容を判断します。
主な確認ポイント
- 皮膚の傷や変色、汚れの有無
- 出血や体液の漏出の有無
- 創傷や医療機器を使用していた部位の状態
- 口腔内や鼻腔周辺の状態
- 排泄物による汚染の有無
- 身体の硬直など死後変化の程度
体位を変える際は無理に動かさず、故人の尊厳と安全に配慮した丁寧な対応が欠かせません。
清拭・口腔ケア・排泄物などへの対応
全身の状態を確認した後は、必要に応じて身体の清拭や口腔ケアなどを行い、皮膚や口腔内を清潔に整えます。
基本的なケアの例
- 身体の汚れを確認しながら丁寧に清拭する
- 口腔内の汚れや分泌物を取り除く
- 必要に応じて顔や手などを整える
- 排泄物による汚染がある場合は清潔にする
- 体液の漏出がみられる場合は状態に応じて対応する
- 清潔な寝具や衣類を準備する
ケアを行う際は必要以上に身体を露出させず、プライバシーに配慮します。手指衛生や個人防護具の使用など、感染対策の徹底も欠かせません。
創傷・医療機器抜去部などへの処置
点滴やカテーテルなどの医療機器を使用していた場合は、抜去した部位から出血や体液の漏出がないか確認します。また、褥瘡や手術創などがある場合には、それぞれの状態に合わせた処置が必要です。
主な確認・対応内容は、次のとおりです。
確認する部位・状態 | 主な対応 |
|---|---|
医療機器の挿入・抜去部位 | 出血や体液の漏出を確認し、必要に応じて被覆する |
手術創 | 創部の状態を確認し、適切に保護する |
褥瘡などの創傷 | 状態を確認し、必要な被覆や保護を行う |
体液の漏出 | 吸収材などを使用し、状態に応じて対応する |
具体的な処置方法は故人の状態や施設の手順によって異なるため、独自の判断は避け、専門的な知見や施設方針に従って進めます。
着替え・整髪・化粧で身だしなみを整える方法
必要な処置を終えた後は、衣服を着替え、髪や顔などの身だしなみを整えます。外見をきれいにするだけでなく、生前の故人らしい姿を意識することが大切です。
身だしなみを整える際は、以下のような点を確認します。
- ご家族が希望する衣服に着替える
- 生前の髪型を参考にして髪を整える
- 必要に応じてひげを整える
- 生前の印象に近い自然な表情に見えるよう化粧を施す
- メガネなど、生前に使用していたものを希望に応じて整える
- 衣服のしわや乱れがないか確認する
化粧を行う場合も、生前の印象やご家族の希望に合わせます。ご家族が希望すれば、可能な範囲で着替えや整髪に参加してもらうことも心の整理やお別れの準備につながります。
エンゼルケア終了後の確認とご家族への引き渡し
すべてのケアが終了したら、故人の全身の状態や身だしなみを改めて確認し、ご家族が穏やかに対面できる状態に整えます。
終了時の主な確認事項
- 顔や髪が自然に整っているか
- 衣服や寝具に乱れや汚れがないか
- 出血や体液の漏出がないか
- 創傷や医療機器抜去部の処置に問題がないか
- ご家族の希望が可能な範囲で反映されているか
- 必要な記録や申し送りが行われているか
確認後はご家族にケアの終了を伝え、故人と過ごせる時間を確保します。葬儀社などへ引き渡す場合は、必要な情報を適切に共有します。

エンゼルケアにおける看護師の役割と実践ポイント
看護師は、必要な処置を行うだけでなく、その人らしい姿に整え、ご家族の気持ちに寄り添う役割も担います。ここでは、実践のポイントを解説します。
全身状態の確認と必要な死後処置
看護師は、医師による死亡確認後、故人の全身状態を確認し、必要な死後処置を行います。皮膚や創部、体液の漏出などを確認し、状態に応じた処置を判断することが大切です。
主な確認・処置の内容
確認項目 | 主な対応 |
|---|---|
皮膚の状態 | 傷や汚れ、変色などを確認する |
出血・体液の漏出 | 状態を確認し、必要に応じて吸収材などを使用する |
創傷 | 創部の状態に応じて保護・被覆する |
医療機器の使用部位 | 抜去後の出血や体液の漏出などを確認する |
口腔内 | 汚れや分泌物などを確認し、必要なケアを行う |
排泄物 | 汚染がある場合は清潔に整える |
処置を行う際は、手指衛生や個人防護具の使用など、感染対策にも配慮します。具体的な処置方法は故人の状態や施設の手順によって異なるため、一律に行うのではなく必要性を判断しながら対応します。
故人の尊厳に配慮した身だしなみの整え方
身体を清潔にするだけでなく、故人の尊厳やその人らしさを大切にして身だしなみを整えます。亡くなった後も一人の人として接し、プライバシーへの配慮を続けることが重要です。
身だしなみを整える際の主なポイント
- 生前に好んでいた衣服やご家族が希望する衣服を選ぶ
- 生前の髪型や写真などを参考にして髪を整える
- 必要に応じてひげを整える
- 故人の印象に合わせて自然な化粧を施す
- 衣服のしわや乱れを整える
- 宗教や文化、生活習慣などを尊重する
生前の写真を見せてもらったり、普段の髪型や化粧について尋ねたりすることも役立ちます。看護師の判断だけで進めず、生前の希望やご家族の意向を確認しながら進めます。
ご家族への説明とグリーフケアで求められる関わり
看護師には、エンゼルケアの内容をご家族に説明するとともに、大切な人を亡くしたご家族の悲しみに寄り添う役割があります。グリーフとは、大切な人を失ったことによって生じる悲しみや喪失感などの反応を指します。その現れ方は一人ひとり異なるため、決まった対応を当てはめるのではなく、ご家族の気持ちや希望を尊重することが重要です。
ご家族と関わる際は、次のような点を意識します。
- エンゼルケアの目的や流れをわかりやすく説明する
- ご家族の希望や不安を丁寧に確認する
- 希望があれば、無理のない範囲でケアへの参加を提案する
- 悲しみ方や受け止め方を否定せず、気持ちを尊重する
- 故人とゆっくり過ごせる時間や環境に配慮する
- 必要に応じて院内外の相談窓口や支援につなげる
ご家族のなかには、故人の身体に触れたい人もいれば、ケアへの参加を望まない人もいます。参加を無理に勧めるのではなく、それぞれの意思を尊重することが大切です。

エンゼルケアにおける介護職の役割と看護師との連携
介護施設などでは、介護職がエンゼルケアに関わることがあります。ここでは、担当できるケアの範囲や看護師との連携について解説します。
介護職が担うケアと対応範囲
介護職は、生前から利用者の日常生活を支えてきた経験を生かし、清潔を保つためのケアや着替え、整髪など、日常生活支援の延長として行えるケアを担当する場合があります。
介護職が関わる主なケアの例
- 身体の清拭や清潔を保つためのケア
- 衣服の着替えや身だしなみの調整
- 髪を整えるなどの整容
- ご家族が用意した衣服や持ち物の確認
- ケアに必要な物品の準備や片付け
- ご家族が故人と過ごせる環境の調整
- 看護師などほかの職種が行うケアの補助
介護職が担当できる範囲は故人の状態や施設の方針によって異なるため、判断に迷う場合は自己判断で行わず、看護師や責任者へ確認しながら進めることが大切です。
医療的な処置が必要な場合の看護師との連携
医療機器を使用していた部位への対応や創傷の処置など、医学的な判断が必要になる場合は、介護職だけで対応せず看護師などの医療職と連携します。
介護職と看護師の主な連携内容を整理すると、以下のようになります。
場面 | 介護職の主な役割 | 看護師との連携 |
|---|---|---|
全身状態の確認 | 身体の変化や汚染などに気づき、情報を共有する | 状態を確認し、必要な対応を判断する |
創傷がある場合 | 状態を確認して看護師へ報告する | 創部を確認し、必要な処置を行う |
医療機器を使用していた場合 | 必要な準備や補助を行う | 施設の手順に沿って必要な対応を行う |
出血・体液の漏出がある場合 | 状況を確認して速やかに報告する | 状態に応じた処置を判断する |
清拭・着替え・整容 | 故人やご家族の希望に配慮してケアを行う | 必要に応じて状態を確認しながら協力する |
介護職は日頃から利用者と接しているため、生前に好んでいた服装や髪型を把握していることも少なくありません。この情報を看護師と共有すれば、より故人らしさを尊重したケアを実現できます。
施設のルールや職種ごとの役割を確認する重要性
手順や職種ごとの役割分担は施設の体制や方針によって異なるため、自己判断せず、勤務先のマニュアルや責任者の指示を確認することが重要です。
エンゼルケアを行う前に、主に以下の点を確認しておきましょう。
- エンゼルケアに関する施設のマニュアルや手順
- 介護職と看護師などの役割分担
- 夜間など看護師が不在の場合の連絡・対応方法
- 使用する物品や保管場所
- 感染対策や廃棄物の取り扱い方法
- ご家族への説明を担当する職種や責任者
- ケア終了後の記録や申し送りの方法
役割分担が曖昧なままでは、必要な処置が遅れたり、職員が判断に迷ったりする可能性があります。平常時から施設内で手順や連絡体制を共有しておくことで、実際の場面でも職種間で協力しながら落ち着いて対応しやすくなります。

訪問看護におけるエンゼルケアの特徴と注意点
在宅で亡くなった場合のエンゼルケアでは、病院や施設とは異なり、ご自宅の環境や用意できる物品に合わせた対応が必要です。在宅で最期を迎える方を支える体制も広がっており、厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、訪問看護ステーション数は1万6,423事業所で、前年の1万4,829事業所から1,594事業所増加しました。
在宅でエンゼルケアを始めるまでの流れ
在宅で看取りを行った場合も、医師による死亡確認を経てからエンゼルケアを始めるのが基本です。訪問看護師は、故人の状態やご家族の希望を確認し、必要なケアについて説明したうえで準備を進めます。
一般的な流れ
- 医師による死亡確認を受ける
- 故人の全身状態を確認する
- ご家族へエンゼルケアの目的や内容を説明する
- 着せたい衣服や身だしなみなどの希望を確認する
- 必要な物品を準備する
- 故人の状態に応じてエンゼルケアを行う
- ケア終了後に状態を確認し、ご家族との時間を確保する
実際の流れは訪問診療や訪問看護の体制、故人の状態によってさまざまです。看取りが近づいた段階で連絡方法や死亡後の対応を共有しておけば、いざという時も落ち着いて対応できます。
限られた物品や環境でケアを行う際のポイント
在宅では、医療・ケア用品が十分にそろっているとは限りません。訪問看護師は自宅にあるタオルや衣類、持参した物品を活用し、住環境に合わせて必要なケアを行います。
在宅で確認したい主なポイント
確認項目 | ポイント |
|---|---|
ケアを行う場所 | 安全に身体を整えられるスペースを確保する |
清拭用品 | タオルなど、使用できるものを確認する |
衣服 | ご家族と相談し、故人に着せたい服を準備する |
処置用品 | 故人の状態に応じて必要な用品を準備する |
感染対策 | 手指衛生や必要に応じた個人防護具の使用を徹底する |
室内環境 | 室温やプライバシーなどに配慮する |
すべての物品を完璧に揃えることより、必要なケアを優先し無理のない範囲で進める姿勢が求められます。事前に必要物品をご家族へ伝えたり、ステーションで準備した用品を持参したりと、状況に応じた柔軟な対応が欠かせません。
ご家族と一緒にエンゼルケアを行う際の配慮
在宅では、ご家族が希望すれば、身体を拭く、衣服を着せる、髪を整えるなど、一部のケアを一緒に行える場合があります。
ご家族と一緒にケアを行う場合は、以下のような点に配慮します。
- ケアの内容や方法を事前にわかりやすく説明する
- 参加したいかどうかをご家族自身に選んでもらう
- 清拭や整髪など参加しやすいケアを提案する
- 故人の身体に起こる死後変化について必要に応じて説明する
- ご家族のペースに合わせ、急がせないようにする
- 感染対策や安全面について必要な説明を行う
- 参加を希望しないご家族にも無理に勧めない
ご家族の感じ方や故人との関係性はそれぞれ異なるため、「参加することが望ましい」と決めつけないことが大切です。訪問看護師はご家族の気持ちを確認しながら、最後の時間をそのご家族らしい形で過ごせるよう支援します。

エンゼルケアで注意したいポイント
エンゼルケアでは、宗教・文化的な背景や本人の生前の希望を確認するとともに、感染対策や安全面にも注意が必要です。
宗教・文化・本人やご家族の希望を確認する理由
死後の身体の扱いやお別れの方法に対する考え方は、宗教や文化、家庭の習慣によって異なります。故人自身が生前に希望を伝えている場合もあるため、同じ方法で一律に進めるのではなく、事前に意向を確認することが重要です。
主に確認したい内容は、次のとおりです。
確認項目 | 確認する内容の例 |
|---|---|
本人の希望 | 生前に希望していた服装や身だしなみなど |
ご家族の希望 | 着せたい衣服、髪型、化粧、ケアへの参加など |
宗教 | 死後の身体の扱いや儀式に関する決まりなど |
文化・習慣 | 家庭や地域で大切にされている慣習など |
身につけるもの | 装飾品や思い出の品などに関する希望 |
すべての希望に対応できるとは限りませんが、まずは内容を確認します。衛生上などの理由で難しい場合は、理由を説明し、ご家族と相談しながら可能な方法を検討します。
感染対策と安全面で注意したいポイント
故人の尊厳を守ると同時に、ケアを行う医療・介護従事者やご家族の安全にも配慮が必要です。血液や体液に触れる可能性があるため、標準予防策を基本に感染対策を行います。
感染対策と安全面で意識したい主なポイント
項目 | 主な注意点 |
|---|---|
手指衛生 | ケアの前後など必要なタイミングで手指衛生を行う |
個人防護具 | 体液への接触リスクに応じて手袋、マスク、エプロンなどを使用する |
体液への対応 | 血液や分泌物などに直接触れないよう適切に処置する |
使用物品 | 汚染された物品を施設のルールに従って適切に処理する |
体位変換 | 身体の状態や作業環境を確認し、無理のない方法で行う |
ご家族の参加 | 必要な感染対策や安全なケア方法を事前に説明する |
感染症の有無だけで対応を分けるのではなく、すべての人の血液や体液には感染の可能性があるという考え方に基づいて対策することが基本です。施設の感染対策マニュアルや専門職の判断に従い、故人への配慮と従事者の安全を両立させることが重要です。

エンゼルケア後から葬儀までの流れ
エンゼルケア終了後は、ご家族がお別れの時間を過ごしながら、ご遺体の搬送や葬儀の準備、各種手続きを進めていきます。ここでは、ケア終了後の一般的な流れと必要な手続きをまとめました。
病院や施設で亡くなった後に行われること
病院や介護施設では、医師による死亡確認後に死後処置やエンゼルケアが行われ、ご家族がお別れをする時間を経て、ご遺体を安置場所へ搬送する準備を進めます。
病院で亡くなった場合の一般的な流れ
- 医師による死亡確認
- ご家族への説明
- 死後処置・エンゼルケア
- ご家族がお別れする時間の確保
- 葬儀社などへの連絡
- ご遺体の搬送
- 自宅や安置施設などでの安置
- 葬儀に向けた打ち合わせ
具体的な流れや所要時間は、病院・施設の方針や故人の状況によって異なります。わからないことがあれば病院や施設のスタッフに確認しながら進めましょう。
ご遺体の搬送と葬儀社への連絡
病院や施設ではご遺体を長期間安置できないため、お別れを終えた後は自宅や葬儀社などの安置施設へ搬送します。葬儀社へ連絡し、搬送日時や搬送先を相談します。
確認・連絡する項目 | 主な内容 |
|---|---|
故人について | 氏名や亡くなった場所など |
搬送元 | 病院・施設名や所在地など |
搬送先 | 自宅、葬儀社の安置施設など |
搬送日時 | 病院・施設側と調整した時間 |
安置場所 | 自宅で安置できるか、安置施設を利用するか |
今後の相談 | 葬儀の日程や形式など |
葬儀社が決まっていない場合、病院などから候補を案内されることもありますが、紹介された葬儀社に葬儀まで依頼しなければならないわけではありません。搬送のみを依頼できる場合もあるため、費用やサービス内容を確認して判断しましょう。
死亡診断書の受け取りと死亡届などの手続き
人が亡くなった後は、死亡診断書を受け取り、死亡届を提出します。医師が死亡診断書を作成し、死亡届と一体になった用紙をご家族などが受け取るのが一般的です。事故などで検視等が行われた場合は、死体検案書が交付されることがあります。
戸籍法第86条では、死亡の届出は届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡があったときには、その事実を知った日から3か月以内)にしなければならないと定められています。また、墓地、埋葬等に関する法律第3条により、他の法令に別段の定めがある場合などを除き、死亡または死産後24時間を経過した後でなければ埋葬または火葬を行うことはできません。
死亡後に必要となる主な書類・手続き
書類・手続き | 主な内容 |
|---|---|
死亡診断書 | 医師が死亡の事実や死因などを記載する |
死体検案書 | 医師の診療を受けていない場合など、状況に応じて交付される |
死亡届 | 死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村へ提出する |
火葬許可申請 | 死亡届とあわせて手続きを行い、火葬に必要な許可を受ける |
死亡届は、死亡地・故人の本籍地・届出人の所在地のいずれかの市区町村に提出できます。実際には、葬儀社が死亡届の提出や火葬許可申請を代行するケースもあります。死亡診断書や死体検案書は、その後の保険や年金の手続きで写しが必要になる場合があるため、提出前にコピーを取って保管しておくと役立ちます。

エンゼルケアの研修で身につけたい知識と技術
エンゼルケアを適切に行うには、知識と実践的な技術の両方が必要です。ここでは、研修で学びたい内容を解説します。
研修で学ぶ基本知識と実技のポイント
研修では、手順だけでなく、ケアを行う目的や根拠の理解が求められます。死後に起こる身体の変化を把握しておけば、故人の状態に応じた適切なケアを判断しやすくなります。
研修で学びたい主な知識
- エンゼルケアの目的と基本的な考え方
- 死後に起こる身体の変化
- 清拭や口腔ケアなどを行う目的
- 出血や体液の漏出などへの対応
- 標準予防策を基本とした感染対策
- 故人の尊厳やプライバシーへの配慮
- 宗教や文化、本人・ご家族の希望への配慮
- 職種ごとの役割や施設内での連携方法
施設によって手順や物品は異なるため、勤務先のマニュアルや役割分担も確認しておくことが大切です。
看取りやグリーフケアまで学ぶ重要性
エンゼルケアは、亡くなった後のお体を整える技術だけで完結するものではありません。看取りの段階からご本人やご家族と関わり、死後も続く支援の一部として捉えることが大切です。
看取りやグリーフケアの研修では、主に以下のような内容を学びます。
- 看取り期における本人・ご家族への関わり方
- ご家族へのエンゼルケアの説明方法
- ケアへの参加希望を確認する際の声かけ
- 悲しみや喪失に伴う反応についての基礎知識
- ご家族の気持ちを否定せずに受け止める姿勢
- 必要に応じて専門的な支援につなげる方法
悲しみの表れ方は人によって異なります。決まった言葉で励ますのではなく、ご家族の反応や希望に合わせて関わることが重要です。身体のケアと心理的な支援の両方を学ぶことが、より丁寧なエンゼルケアの実践につながります。

まとめ
エンゼルケアとは、亡くなった方のご遺体を清潔にし、身だしなみや外見を整える死後のケアです。故人の尊厳を保ちながら生前に近い姿に整えるとともに、ご家族がお別れに向き合う時間を支える役割もあります。
現在は、決められた手順を一律に行うのではなく、身体の状態や生前の希望、ご家族の意向を確認しながら必要なケアを選択する考え方が重視されています。口腔・鼻腔への詰め物も必ず行う処置ではなく、体液の漏出の有無などを確認したうえで必要性を判断します。 手順は、ご家族への説明と希望の確認から始まり、物品の準備、全身状態の確認、清拭や口腔ケア、創傷・医療機器抜去部への処置、着替えや整髪・化粧、終了後の確認という流れが基本です。看護師は医学的な判断を伴う処置とグリーフケアを担い、介護職は日常生活支援の延長として行えるケアを担当します。
在宅では限られた物品と環境のなかで、ご家族と一緒にケアを行う機会も多くなります。いずれの場面でも、標準予防策に基づく感染対策と故人・ご家族の希望の尊重を両立させることが大切です。
よくある質問
Q.エンゼルケアは誰が行うもの?
病院では看護師、介護施設では看護師や介護職、在宅では訪問看護師などが中心となります。担当する職種やケアの範囲は、施設の体制や故人の状態によって異なります。
実施者 | 主な役割の例 |
|---|---|
看護師 | 全身状態の確認、必要な死後処置、清拭や整容など |
介護職 | 清拭、着替え、整容など施設で認められた範囲のケア |
訪問看護師 | 在宅での状態確認、必要なケア、ご家族への支援など |
ご家族 | 希望に応じて清拭、着替え、整髪などに参加 |
医療的な判断や処置が必要な場合は、看護師などの専門職が対応します。
Q.エンゼルケアにはどのくらい時間がかかる?
故人の身体の状態や行う処置、ご家族の希望によって異なるため、一概には決まっていません。創部や体液の漏出への対応が必要な場合は、その分時間がかかります。
所要時間は、故人の身体の状態、必要となる死後処置や清拭・口腔ケアの内容、着替えや化粧の内容、ご家族が参加するかどうか、施設の手順やスタッフの人数によって変わります。具体的な時間を知りたい場合は、担当する医療機関や施設、訪問看護師などに確認するとよいでしょう。
Q.エンゼルケアで詰め物は必ず必要?
口腔や鼻腔への詰め物は、必ず行う処置ではありません。一律に行うのではなく、必要性を確認したうえで対応します。
判断の際は、体液の漏出がみられるか、詰め物以外の方法で対応できるか、外見への影響がないか、施設の手順ではどう定められているかを確認します。吸収材などを活用できる場合もあるため、故人の状態に応じて専門職が必要性を判断します。
Q.エンゼルケアにご家族も参加できる?
施設の方針や故人の状態に問題がなければ参加可能ですが、あくまで任意です。対象となるのは、身体を拭く、衣服を着せる、髪を整えるといった専門的処置を伴わないケアです。
参加しやすいのは、顔や手を拭く、着替えを手伝う、髪をとかす、化粧を施す、故人が大切にしていたものを身につけるといったケアです。参加を無理に勧めるのではなく、ご家族一人ひとりの意思を尊重することが重要です。
Q.エンゼルケアとグリーフケアの違いとは?
対象と目的が異なります。エンゼルケアは亡くなった方の身体を整えるケア、グリーフケアは悲しみや喪失感を抱えるご家族などを支える関わりを指します。
項目 | エンゼルケア | グリーフケア |
|---|---|---|
主な対象 | 故人 | 遺されたご家族など |
主な目的 | 身体を清潔にし、尊厳やその人らしい姿を保つ | 悲しみや喪失に向き合う過程を支える |
主な内容 | 清拭、着替え、整髪、化粧など | 傾聴、情報提供、必要に応じた継続的な支援など |
時期 | 主に死亡後 | 死亡前後からその後にわたる場合がある |
両者は役割が異なりますが、互いに関係しています。ご家族が身支度に参加したり整えられた姿と対面したりすることが、お別れに向き合う時間になる場合があります。
Q.エンゼルケアを行った後はどのような流れになる?
ご家族がお別れの時間を過ごしたあと、ご遺体を安置場所へ搬送します。続いて葬儀社との打ち合わせや死亡届などの手続きを進め、通夜・葬儀や火葬へと至ります。
病院や施設で亡くなった場合の主な流れ
- エンゼルケアの終了
- ご家族とのお別れ
- 葬儀社などへの連絡
- 自宅や安置施設などへの搬送
- ご遺体の安置
- 葬儀社との打ち合わせ
- 死亡届・火葬許可に関する手続き
- 通夜・葬儀、火葬
死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内に提出する必要があり、火葬は原則として死亡後24時間を経過した後に行われます。わからない点は病院・施設のスタッフや葬儀社、市区町村に確認しながら手続きを進めるとよいでしょう。
[メディルン]編集部
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