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M&Aなどの企業買収をした際、のれん償却という言葉を耳にする機会が多いです。のれんとは資産や負債などの目に見えない概念を表現しており、超過収益力を例えてそう呼んでいます。現金などと異なり、企業の評価を資産価値に表しているため、会計処理に慣れていない方は困惑するでしょう。
本記事では、のれん償却の定義や仕組み、償却方法について解説しています。
<この記事で紹介する4つのポイント>
目次
企業がM&Aを行った際、買収対象企業の資産価値を表す言葉で「のれん」と呼ばれる用語があります。一般的には、店先にかけられている目隠しなどが連想される言葉ですが、ビジネスシーンでの「のれん」は重要な会計項目を表す言葉です。
「のれん」とは、買収対象企業の資産価値を超えて支払われる価格の差額を示す言葉です。
例えば、経営コンサルから資産価値が10億円と評価される会社があるとします。実際の買収価格が15億円で買収された場合、5億円の差額ですね。この差額をのれんと呼び、のれんとは時価評価純資産と、買収価格の差額を示した言葉になります。
実際の評価額を超える価値があったことを証明する額となるため、のれんの発生は企業の総合的な評価の指標となる重要な要素です。
評価額を超えて支払われるのれんには、実際の価値に付加価値が上乗せされているということでもあり、買収先企業の「信用性」や「ブランド」等の、企業が保有している資産価値を示していることでもあります。
基本的に「のれん」という言葉は、企業買収の差額以外に用いられることはありません。
のれんは、店頭の飾りや仕切りに使われる「暖簾(のれん)」に由来しています。店先等に飾るのれんは営業中や店舗の目印としても利用されており、言わば「看板」の役割も担っているのです。
平安時代頃に登場したとされている「のれん」は、当時の識字率を考慮して、一見してお店がわかるように絵や色で表現されるようになったとされています。のれんを見るとそのお店だと誰にでもわかる、つまりお店のブランドや信用を表す目印の役割でもあるのです。
「お店」の看板や信用の目印の枠割を持つのれんは、「企業」が持っている社会的信用やブランド力など無形資産を表す言葉として、企業買収の会計上で使われるようになったとされています。
のれんは無形資産の指標として、会計上で用いられている用語です。主にM&Aを行った際に発生し、会計上での計上方法も変わってくるため、覚えておいてください。
ここから、のれんが発生する仕組みについて解説します。
先述したように、のれんは評価額を超える買収価格として計上される差額を示す言葉です。性能や品質等の目に見える物理的価値ではなく、信用性や希少性等の概念的な価値の評価目安と言えるでしょう。
のれんは無形資産の指標になり、無形資産を増やしていくことが、ブランド力や競争力を高めることにつながります。結果として、市場や消費者に強い影響を与える要素となります。
概念的な考えの目に見えない価値は、評価や数値化が難しいという側面もあるのが特徴です。しかしながら、無形資産は物や建物のような有形資産と異なり、基本的に失われることがありません。のれんのように企業の目に見えない価値を構築し、会社の基盤を固めていくことが将来的な企業の成長につながっていきます。
のれんは、企業買収価格が対象企業の時価純資産額を超過した金額を示します。
時価純資産額とは、貸借対照表で資産から負債を差し引いて時価に換算した金額です。
算出された純資産額をさらに時価に換算する必要があり、時価はその時々で変動します。時価を正確に評価するのは、企業買収時など特定のタイミングに限られるため、通常は財務諸表にのれんを記載することはありません。
のれんは発生した場合にのみ会計上で処理され、買収せずに保有している場合は他の資産と同様の扱いになります。
基本的にのれんが発生するのは、M&Aによる企業買収です。会社の収益性や認知度、ブランド力、会社の規模など、イメージによる概念的な無形価値です。のれんの額が大きいほど、会社の影響力の大きさを示すとも言えます。
企業の将来的な成長を見越す場合、このような目に見えない価値を高め、より多くの顧客や見込み顧客に訴求していくことが重要です。
企業買収で時価や価格変動で関連してくる株式ですが、株式譲渡での差額は税務上でのれんとして扱われていません。
株式譲渡は、株式そのものの売買であって、主眼が置かれているのは譲渡する株式の価値です。
株式とは、企業の経営権を取得するための手段として用いられる株主総会における貨幣的な存在です。株主総会での議決権の決定や、企業の経営権を取得するために用いられる証券のため、あくまで企業を買収するために用いられる手段の一つになります。
のれんは、企業の時価純資産額の時価を差額で表したものであるため、株式の差額とは全く別の概念です。株式の時価と企業の時価で根本的な概念が異なるため、株式譲渡では株式の価値が経営権の移転に関連しています。
株式譲渡と企業買収では、株主の変更と買収で目的や契約手続きの内容が異なるため、基本的に会計上ではのれんとして計上されません。
ただし、取引内容によってはのれんが発生するケースもあります。
通常、のれんは買収対象会社の「評価額を超える買収価格」として計上される差額を示したものです。つまり、元の価格よりプラス分の差額をのれんと呼び、マイナスの差額が「負ののれん」と呼ばれています。
時価はその時の評価であるため、必ずしも価値が高くなっているわけではありません。企業の将来的な懸念要素になり、経営のリスクや課題の指標となります。負ののれんが発生した場合は、経営の見直しやキャッシュフローの改善が必要です。
のれんは、時価の差額を表す数字のため、買収まではわかるものではありません。通常、のれん代は以下のように算出されています。
買収価格-時価純資産額(資産合計額-負債)=のれん代 |
買収金額は、企業価値を元に算出されます。主な企業価値の評価方法は、以下の3つです。
評価方法 | 評価基準算出方法 |
---|---|
コストアプローチ | ・ 簿価純資産法 ・ 時価純資産法 ・ 年買法(時価純資産+営業権) ・ 清算価値法 ・ 調達原価法 |
マーケットアプローチ | ・ 市場株価法 ・ 類似会社比較法(マルチプル法) |
インカムアプローチ | ・ DCF法 ・ 収益還元法 ・ 配当還元法 |
買収価額算定方法の基準は、多角的に見た企業価値の評価とされています。
将来的な価値や市場に出回らない株式価値など、自社が保有する包括的な資産価値の評価額を算出するためのプロセスです。
非常に複雑で合理的な思考が求められるため、専門家によって評価されるのが一般的とされています。
そのため、M&Aにおける企業買収はM&Aコンサルなどに依頼をする企業が多いのです。
M&Aで企業買収を行った際、買収価格の損益は資産として会計処理されます。
のれんは無形固定資産であるため、貸借対照表の資産の部に計上されます。また、減価償却処理を行うことが可能です。
のれんを減価償却する場合、最大20年以内の期間を設けて期間損益計算を行います。償却基準は日本基準と国際基準の2種類から選択可能です。
負ののれんは、負ののれんは貸借対照表には計上されないため、償却はできません。
日本国内では、のれんの会計処理を「日本基準」と「IFRS」の2つが主に用いられています。国内の会計処理は日本基準で行われていますが、近年はIFRSを適用している企業が増えている傾向です。
いずれにも会計処理の仕方やメリットとデメリットの違いがあるため、会社の方針や経営状況に合った会計基準を選ぶと良いでしょう。
のれんは無形固定資産に分類されるため、実態が把握しにくいとされています。減価償却の目的は、毎期の期間損益計算を正確に反映させ、経営状況を正しく把握することです。このことから、のれん償却には財務上で大きな意味を持つとされています。
減価償却によって、のれんは時間の経過に伴い均等に分配されることで正当な価値が判断でき、企業の財務諸表がより実態に即したものになるでしょう。このように減価償却を行うことで、より透明性の高い財務報告を可能とし、企業の信頼性や無形の資産価値が向上することにつながります。
一般的な減価償却とは、税務申告で定められた金額以上の購入をした際、その費用を数年にわたって経費計上する計上方法です。
のれんを償却することによって、のれんの価値が毎期の計上分から視認でき、正確な価値を把握することが可能です。
基本的に、事業で使用されている設備や建物等の資産は、経年劣化によって価値が減少していきます。こういった資産は「減価償却資産」とされ、購入した金額を規定の期間にわたり分割配分して計上することが可能です。
高額な資産は分割して計上することができ、毎期ごとの経費計上できるため、経営上の負担を分散できるメリットがあります。
負ののれんが発生した場合、償却できませんが別の資産で減損が発生した際、減額した金額分を減損損失として計上は可能です。
通常、貸借対照表に負ののれんは計上されず、損益計算書の特別利益として計上します。つまり、負ののれんも税務上では利益として扱われるものです。
減損とは、価値が大幅に下がった資産の帳簿価格を回収可能な金額まで減額する会計処理です。減損を行うとバランスシート上に計上されるため、資産価値や企業価値に影響を与えるリスクがあります。
のれん償却では、数年に分けてのれんの差額を計上するため、損失を分散して一度に大きな減損の計上を防ぐことが可能です。
のれんは、時価純資産額のプラス差額のため、状況によって変動することがあります。価値が下方修正された場合、のれんの減損が発生し、減損損失として処理する必要があります。
また、負ののれんは、通常は損益計算書の特別利益として計上されるため、のれん代が税務上の利益として扱われるのが特徴です。資産価値としてプラスに計上されるため、大きな損失であっても表面上にはマイナスになりません。
ただし、実際には資産価値が下がった状態であるため、将来的なキャッシュフローや利益に悪影響を及ぼすリスクがあるため、対策が必要です。
先述したように、のれん償却によって損失は数年に分けて分散することが可能です。
のれん償却によって計上は複数年で分割計上されるため、決算書の赤字計上を回避して企業の業績を適切に反映させることができます。
のれん償却は、最大20年間は継続的に処理管理する必要があるため、その間の財務報告の調整が必要です。
その他、のれん償却のデメリットについて解説します。
先述したように、のれん償却は最大20年間にわたって毎年償却処理が必要になるため、その期間中は毎期の利益が減ります。
一応任意で償却期間の設定が可能ですが、毎期の利益に影響を与えることに変わりありません。また、償却期間を調整したことにより会計の透明性が失われ、将来的なトラブルや信用性に関わるリスクが高くなります。
のれん償却は、任意で償却期間を調整できるため、設定した期間で利益を大きく変えられるのです。償却期間を長く設定することにより、毎期の償却費用を小さくし、利益を膨らませることができます。
逆に、償却期間を短く設定すると、短期間での利益圧縮が可能です。
このような恣意的な償却期間の操作は客観性に欠き、財務状況を外部に誤って伝えたり、会計の透明性が失われる可能性が高いのです。
償却期間を調整することにより、企業の財務状態が実態と大きく異なってしまいかねないため、外部への大きな悪影響を及ぼすリスクにつながります。
また、意図的な償却期間の調整は、監査や税務調査の対象になりやすく、法的リスクや罰則によるペナルティを科される危険性があります。
恣意的な償却の調整は、社会的信用の失墜や経営悪化等、企業存続に直接的な影響を及ぼしかねないリスクを抱える可能性が高いのです。健全な会社経営を維持するために、適切な償却期間の設定と管理が非常に重要になります。
のれん償却には、日本基準と国際基準の以下の2種類があり、いずれかの方法を選ぶことが可能です。
日本基準とIFRSは、償却期間やルールが異なります。世界的には国際統一ルールのIFRSを用いる企業が多いですが、国内では依然として日本基準でのれん償却を行っている企業が多いとされています。
グローバル企業はIFRSを適用している企業が増加している傾向なため、今後は徐々に日本基準から移行する企業が増加すると考えられるでしょう。のれん償却の種類と方法について解説します。
日本基準は「企業会計原則」を基に作られた独自の会計基準です。
のれん償却期間が最大20年以内の年数と規定され、償却年数の基準を一般的に投資回収期間等を根拠にしています。実務的には償却期間を5~10年に設定するのが一般的とされ、恣意的に調整しないよう適切な償却期間の設定と管理が求められています。
日本基準ののれんは、営業利益や当期純利益に影響を与えやすいのが特徴です。
のれんの償却費用は毎期ごとの利益計算に反映されるため、償却期間の設定によって企業の財務状況や利益に影響を及ぼすことがあります。そのため、日本基準によるのれんの償却が恣意的になりやすく、会社全体に悪影響を及ぼすケースがあるのです。
基本的に日本基準では、のれん償却費が大きくなりやすいため、償却期間の調整によって会社経営を圧迫させることになりやすい傾向にあります。また、日本基準の償却後ののれんは、帳簿価額が対象になり、減損した際の影響が比較的小さくなる傾向です。
ただし、日本基準は帳簿価額の影響を抑えられるため、キャッシュフローの見積もり期間も短くなるという利点もあります。
これらの点から、日本基準によるのれん償却は、企業の財政利益に大きな影響を与える会計基準と考えられ、適切な償却期間の設定と管理が重要です。
頻繁にM&Aを実施する企業は、日本基準だと業績が悪く見られやすいことを理由に、大手上場企業やグローバル企業からは忌避される傾向にある会計基準とされています。
IFRS(国際財務報告基準)は、国際的に統一された会計ルールです。EUを中心に先進国とされる国の上場企業が適用しており、日本国内でもグローバル企業や一部の上場企業、またはM&A取引において適用が進められています。
IFRSの最大の特徴は、のれんについて償却をしないという点です。IFRSののれん償却については、現在も審議中とされています。
日本基準がのれんを償却するのに対し、IFRSは償却を行わず、減損テストを毎年最低1回実施することが義務化されています。2005年にEUで義務化される以前は、IFRSでものれん償却が行われていましたが、のれんの耐用年数の見積もりは通常できないとされ、減損テストを行うことで十分に機能すると考えられてきました。
減損テストとは「減損会計」と呼ばれているもので、日本基準でも減損の兆候が見られた場合に実施され、帳簿価額と回収可能価額を比較する会計処理です。
のれんの帳簿価額をキャッシュフローで賄えない場合、減損処理される点が日本基準もIFRSも同じ流れになります。
IFRSはキャッシュフローの見積もり期間は日本基準より長く、将来の利益や成長、より正確な会社の価値評価が可能になります。償却を行わないため減損のインパクトは大きくなりますが、将来的な期待値や成長性は日本基準よりも高いと言えるでしょう。そのため、IFRSはのれんの金額が重要視され、減損が出た場合の影響は非常に大きいものになります。IFRSは、のれん償却費が巨額になりやすいため、業績が悪く見えやすいという側面があります。しかしながら、営業利益と当期純利益が相対的に大きく見えることを理由に、M&Aが活発な企業ほどIFRSを採用しているケースが少なくありません。
日本基準とIFRSの違いは、以下のとおりです。
のれんの償却期間が最大の違いですが、日本と国際基準でどのように異なるのかを解説します。
のれんの償却期間は、日本基準で「最大20年」と決まっており、IFRSは「償却しない」代わりに減損テストが毎年1回実施されています。
日本では、償却期間を最大20年と定め、規則的に償却するとの考えで規定されています。これは、無形固定資産も経年で価値は下がるとの解釈から、将来の価値と現在の価値が同じではないという考えからです。
対して、IFRSには償却期間がない代わりに減損テストを毎年最低1回行うことが義務付けられています。2005年以前まで、IFRSものれん償却を行われていましたが、のれんの耐用年数の見積もりは通常できない、減損テストで十分という考えからとされています。日本と海外では、考え方の違いで償却期間のルールが異なるということでしょう。
日本基準では、減損の兆候が見られた場合に減損損失の認識の判定を行うために減損テストを行う義務があります。減損の兆候がない場合、基本的に減損テストは不要です。
IFRSでは、のれん償却の代替として減損テストが行われています。減損テストの内容は、日本基準と大きな違いはありません。日本基準は「企業会計原則」をベースに作成されているため、のれんの償却は日本独自の会計基準で行われています。
非償却のメリットとデメリットについて、以下にまとめました。
非償却のメリット | 非償却のデメリット |
---|---|
海外企業と対応しやすい海外の業務効率化を図れる | 減損時のリスクが大きいのれんが積み重なりやすい |
IFRSの非償却は、国際会計基準審議会が策定した会計基準のため、適用している企業の多くは海外企業や、海外企業と取引を行うグローバル企業です。海外の事業者や投資家に受け入れやすく、マッチングの可能性が高くなります。
また、海外に支店や提携会社を置く企業は、本社と同じ会計処理で統一され、業務の把握や効率化が図れるでしょう。
その一方、非償却は帳簿上にのれんが残り続けるため、毎期ごとの損失が利益に影響を与える原因になります。のれんは利益計上できるため、表面上は業績が良いように見えますが、実際には経営を圧迫させるリスクがあります。
また、償却期間がないためのれんが発生しやすく、正確な評価をしにくく、負担も大きくなる点に気をつけなければなりません。
世界を相手にしての取引の場合、自社を有利な状況にしてくれる可能性があります。しかしながら、のれんは利益計上ができるために過大評価につながりやすく、実質的には会社経営を圧迫させてしまう可能性を抱えているため注意が必要です。
のれん償却の会計基準を選ぶのは自由ですが、会計基準ごとに設定されている特定の条件と制約を満たす必要があります。途中の変更も可能ですが、所定の手続きや費用が必要になる点に注意が必要です。
会計基準には、日本とIFRS以外に「米国会計基準」「J-IFRS」等があります。
会計基準 | 特徴 |
---|---|
日本基準 | 企業会計原則に基づく |
IFRS | 国際会計基準審議会が策定 |
米国会計基準 | 米国財務会計基準審議会が策定 |
J-IFRS | 日本向けにアレンジされたIFRS |
日本やアメリカ国内で事業活動を行う場合、それぞれの国に即した会計基準を選ぶのが無難です。
J-IFRSは日本基準とIFRSの中間の会計基準に設計されており、日本の法律や制度に配慮しながらIFRSの非償却でのれんを会計処理できます。
それぞれ会計基準ごとの要件や制約があるため、会社の方針によって適切な会計基準を選ぶことが重要です。
のれんの処理は税務や会計基準のルール等、注意すべき点は多いです。日本国内では会計処理が日本基準が基本になっているため、他国の会計基準を適用した場合、法律や制度、制約等もその国に即したものでなければなりません。
特にのれんは、概念的な利益を計上したもので、他の収益とは異なる会計処理が必要です。
その他、のれん会計上の注意点について解説します。
日本とIFRSでは、次のような違いがあります。
繰り返しになりますが、日本基準はのれんの償却期間は最大20年の期間内に償却するものとし、減損テストは減損の兆候が見えた時を除いて不要です。一方、IFRSは償却期間がない非償却である代わりに、毎年最低1回の減損テストを義務付けています。
会計処理についても日本基準は、のれんの償却額や減損額への詳細な開示と償却方法と償却期間の説明が必要です。IFRSは、のれんの減損テストに関する詳細な情報開示が求められています。
また、のれんの取得原価も日本とIFRSは異なるのが特徴です。日本基準は、企業買収時の公正価値の他に、償却や減損に関連する基準が設定されています。IFRSでは、企業買収時の公正価値と計上方法のガイドラインに基づいた処理が行われます。
のれんの主な会計上と税務上の違いは、以下のとおりです。
会計上 | ・ 日本基準:20年以内で償却 ・ IFRS:非償却(毎年最低1回の減損テストが必要) |
税務上 | ・ 資産調整勘定で処理(負ののれんは差額負債調整勘定で計上) ・ 5年間で定額償却 |
基本的に税務上では、のれんは資産調整勘定で処理されます。負ののれんが発生した場合は、差額負債調整勘定で計上されます。
例外的に、株式取得で買収企業を子会社化した場合、親会社の単体財務諸表に資産調整勘定は発生しません。連結決算でのれんが計上されるため、親会社の税務申告に影響することがないのです。ただし、株式譲渡や吸収合併等のM&Aを行った場合、資産調整勘定が発生します。
企業買収の手法によっては、のれんを税務上の資産調整勘定をせずに済む場合があります。会社の税務に影響するポイントなため、M&Aを検討中の方は覚えておくとよいでしょう。
本記事では、のれんの定義と由来、のれんが発生する仕組み、会計処理、のれん償却のメリットとデメリット、種類と方法等を解説してきました。
のれんとは、買収対象企業の資産価値を超えて支払われる価格の差額を表した言葉です。M&Aでのれんが発生した場合、それは企業が獲得している目に見えない無形の価値を表しています。
目に見えない価値を人に例えると、カリスマ性だったり人柄だったり、もしくは才能等です。のれんとは、会社の将来性や成長性、ブランド力、競争力等が挙げられます。
商品を売って物理的な利益を獲得することは重要です。そして、目に見えない企業の魅力を増やしていくことこそ、将来的な事業の成長につながり、長期的な安定の獲得を実現できるでしょう。
M&Aを検討されている企業様は、既にのれんのことは御周知かと思われます。会計処理において、のれんの計上は通常とは異なるため、会計処理や税務上の取扱いには正確な理解が非常に重要です。
特にのれんは巨額になりやすいため、減損リスクを減らしていく対策を取ることが重要です。
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