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KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)は、企業や組織が目標を達成するために設定される具体的な指標です。KPIを正しく設定し、効果的に管理することで、組織全体のパフォーマンスを向上させることが可能です。しかし、KPIの設定が不十分であったり、誤った運用がなされた場合、目標達成が困難になることもあります。
本記事では、KPIの意味やその設定方法、KGIやKSFとの違い、さらに「成功する」KPIの設定方法についても詳しく解説します。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
KPI(Key Performance Indicator)とは、組織が設定した目標を達成するために、その進捗や成果を測定するための具体的な指標のことです。KPIは、企業やプロジェクトの成功を評価するために、重要な要素を数値化し、定期的にモニタリングすることで、目標達成に向けた具体的な行動が計画的に行われているかを確認します。
KPIの設定と管理は、組織のパフォーマンス向上において非常に重要な役割を果たします。具体的には、売上目標の達成を例に挙げると、月間売上高、新規顧客数、顧客満足度などがKPIとして設定されることが一般的です。これらの指標を追跡することで、目標に向けた進捗状況を評価し、必要に応じて戦略の見直しや改善を行うことができます。
KPIの設定においては、その指標が明確で具体的であることが重要です。指標が曖昧であると、達成状況の把握が難しくなり、組織全体の方向性が見失われる可能性があります。したがって、KPIは組織全体で共有され、各部署やチームが連携して目標に向かって行動できるように設定されるべきです。具体的な数値目標を設定し、それに基づいて行動計画を立てることで、全員が共通の目標に向かって努力することが可能になります。
また、KPIは定期的にレビューする必要があります。定期的なモニタリングを行うことで、目標に向けた進捗を把握し、必要な調整や改善を迅速に行うことができます。これにより、目標達成に向けた効果的な戦略を継続的に実施することができます。加えて、KPIの設定には、予測可能性や実現可能性を考慮することも重要です。目標が現実的でない場合、関係者のモチベーションが低下し、実行力が損なわれる可能性があります。
KPIの効果的な運用には、各指標の設定だけでなく、その情報を基にしたデータ分析も欠かせません。KPIデータは、単なる数字の羅列ではなく、組織の状況を示す重要な指標です。データの分析により、問題の発見や成功要因の特定が可能になります。例えば、売上が目標に達していない場合、その原因が新規顧客獲得数の不足にあるのか、顧客保持率の低下にあるのかを分析することで、より具体的な改善策を講じることができます。
KPIの成功に向けた取り組みとして、パフォーマンスの追跡だけでなく、関係者とのコミュニケーションも重要です。KPIに関する情報は、上層部だけでなく、各部署やチーム全体に共有し、全員が目標達成に向けた意識を持つことが求められます。これにより、全体としての協力体制が強化され、目標達成の可能性が高まります。
さらに、KPIの進捗状況に基づいたフィードバックループを設けることも重要です。定期的なフィードバックを通じて、関係者がKPIに対する理解を深め、必要な改善を行うことができます。これにより、KPIの設定がより適切なものとなり、目標達成に向けた実行力が向上します。
KPIは、KGI(Key Goal Indicator)やKSF(Key Success Factor)とは異なる概念です。KGIは最終的な目標達成度を測る指標であり、KSFは目標達成に不可欠な成功要因を指します。KPIはこれらの要素を達成するための進捗を具体的に追跡し、日々の業務の中で評価できるように設計されています。
以下では詳しく解説します。
KGI(Key Goal Indicator)とKPI(Key Performance Indicator)は、企業やプロジェクトの目標管理において、異なる役割を果たす指標です。KGIは最終的な目標、つまりゴールの達成度を測るための指標であり、組織全体の成功を評価するために使用されます。具体的には、年間売上目標や市場シェア拡大など、長期的な視点で設定されることが多いです。
一方、KPIは、KGIを達成するためのプロセスを管理し、短期的な進捗を測定するための指標です。KGIが「結果」を示すのに対し、KPIは「過程」を示すものであり、日々の業務活動やプロジェクトの進行状況をリアルタイムで把握することができます。例えば、営業チームのKPIとして、新規顧客の獲得数や平均成約率を設定し、それが年間売上目標(KGI)にどう影響するかを測定します。
KSF(Key Success Factor)またはCSF(Critical Success Factor)は、目標を達成するために不可欠な成功要因を指す概念で、KPIとは異なる役割を果たします。
KSFは、組織やプロジェクトが成功するために絶対に必要な要素であり、これが欠けると目標達成が難しくなります。例えば、顧客満足度の向上を目標とする場合、質の高いカスタマーサポートや迅速な問題解決がKSFとなります。
一方、KPIは、KSFが適切に機能しているかどうかを測定するための指標です。KPIは、KSFがどの程度達成されているかを数値的に示し、その進捗をモニタリングすることで、目標達成に向けた具体的な行動を管理します。KSFが「何をすべきか」を示すのに対し、KPIは「どのように進捗しているか」を測るものです。
KPIの設定方法は、目標達成に向けた具体的なプロセスを特定し、それを数値化することが基本です。まず、KGI(最終目標)を設定し、その達成に必要なKSFを明確にします。
その上で、KSFを評価するためのKPIを定義し、プロセスの進捗を管理できるようにします。
以下で詳しく解説していきます。
KGI(Key Goal Indicator)の設定は、組織やプロジェクトが目指す最終的な目標を明確にすることから始まります。KGIは、企業の長期的な戦略やビジョンに基づいて設定され、例えば「年間売上1億円達成」や「市場シェア20%の獲得」といった具体的な数値目標が示されることが一般的です。
KGIの設定において重要なのは、その目標が現実的であり、組織全体が一丸となって達成可能なものであることです。達成不可能な目標を設定すると、組織のモチベーションが低下し、逆に生産性が下がるリスクがあります。また、KGIは単に数値を追い求めるだけでなく、その背景にあるビジョンや使命感を共有し、組織全体で目標達成に向けた取り組みを行うことが求められます。
KSF(Key Success Factor)の設定は、KGIを達成するために不可欠な要素を特定し、それを効果的に実行するための戦略を策定するプロセスです。KSFは、組織やプロジェクトが成功するために絶対に必要な要素であり、例えば「高品質な製品の提供」や「顧客満足度の向上」が挙げられます。
KSFを設定する際には、組織の強みや市場環境、競争相手の状況などを考慮し、目標達成に最も影響を与える要素を選定します。これにより、限られたリソースを効果的に活用し、KGIに向けた具体的なアクションプランを作成することが可能です。
KPIを効果的に設定するためには、まず目標達成に必要なプロセスを特定することが重要です。このプロセスの特定は、組織全体の戦略を理解し、その戦略を実現するための具体的なステップを洗い出すことから始まります。例えば、売上を増加させるためには、どのようなプロセスが必要かを考え、そのプロセスごとにどのような指標を設けるべきかを検討します。
プロセスを特定する際には、各プロセスがKGIやKSFにどのように貢献するかを明確にし、それに基づいて優先順位をつけることが大切です。また、プロセスが具体的であるほど、KPIの設定が容易になり、評価の精度も向上します。さらに、プロセスは全体の目標達成に向けたロードマップとして機能するため、適切なタイミングでの見直しと調整が必要です。
特定されたプロセスをKPIとして機能させるためには、これを数値化することが必要です。プロセスの数値化とは、各プロセスに対して具体的な数値目標や指標を設定し、それを基に進捗を評価することを指します。例えば、販売プロセスにおいては、「月間新規顧客数」や「平均注文額」といった数値をKPIとして設定します。
数値化する際には、目標が現実的かつ達成可能であることを確認し、またその数値がKGIやKSFに直結するものであるかを確認することが重要です。数値化が不十分であると、プロセスの進捗が曖昧になり、目標達成のための具体的な行動が見えづらくなってしまいます。
プロセスの分類は、KPI設定において重要なステップの一つです。分類を行うことで、各プロセスの役割や重要度を明確にし、適切なKPIを設定するための基盤を作ります。一般的には、プロセスを「主要プロセス」と「補助プロセス」に分類することが多く、それぞれに応じたKPIを設けます。
主要プロセスとは、直接的にKGIに影響を与えるプロセスを指し、例えば「新規顧客獲得」や「製品開発」などが挙げられます。これらのプロセスは、組織の成功に直結するため、特に重要なKPIが設定されるべきです。
一方、補助プロセスは、主要プロセスを支援するための間接的なプロセスであり、「バックオフィス業務」や「サポート対応」などが該当します。
KSFの選択は、目標達成に不可欠な成功要因を特定し、それに基づいてKPIを設定する重要なステップです。KSFは、組織やプロジェクトが成功するために欠かせない要素であり、これを正確に選定することで、効果的なKPI設定が可能となります。
KSFを選択する際には、組織のミッションやビジョン、業界の特性、競争環境を考慮し、最も影響力のある要因を見極めます。例えば、製品の品質向上が目標の場合、そのKSFとして「製造プロセスの改善」や「品質管理の強化」が選ばれることがあります。
選定されたKSFに対して、具体的なKPIを設定し、定期的にモニタリングを行うことで、目標達成に向けた進捗を把握することができます。
KPIの設定は、組織やプロジェクトの目標達成に向けた具体的な指標を明確にするプロセスです。KPIは、KGIやKSFに基づいて設定され、組織全体で共有されることが重要です。設定されたKPIは、具体的で計測可能なものであることが求められ、また、その進捗を定期的にモニタリングすることが求められます。
KPI設定の際には、SMART原則(Specific・Measurable・Achievable・Relevant・Time-bounded)を活用することが効果的です。この原則に基づいて、各KPIが現実的で達成可能なものであり、目標達成に直接貢献する指標であることを確認します。
さらに、KPIは組織の全体戦略と一致していることが重要であり、各部門やチームが協力して目標達成に向けた取り組みを行えるように設定します。
KPIを設定する際に、「Specific(具体的な)」という要素は非常に重要です。具体的であることは、目標を達成するための行動が明確になり、関係者全員が同じ方向に向かって努力することを可能にします。
例えば、「月間売上を20%増加させる」といった具体的な数値目標を設定することで、目標達成に向けた具体的なステップや戦略を策定することができます。
具体的なKPIを設定するためには、まず目標が明確であることが必要です。
KPIは、計測可能であることが重要な要素です。計測可能なKPIを設定することで、目標達成の進捗を定量的に評価し、必要に応じて戦略を修正することができます。
例えば、顧客満足度の向上を目指す場合、「顧客アンケートでの満足度スコアを平均85%以上にする」といった具体的で計測可能な指標を設定することが求められます。このように、明確な数値目標を設けることで、進捗状況を正確に把握し、目標達成に向けた適切な行動を取ることが可能となります。
また、計測可能なKPIを設定することで、組織内での透明性が向上し、全員が同じ基準で目標達成に向けた進捗を評価することができます。
KPIを設定する際に注意すべき点の一つに、「Achievable(達成可能な要素)」があります。
KPIを達成すると従業員は自信を持ったり、モチベーション維持につながるため重要です。
目標設定の例としては、努力をすれば到達可能な項目や達成することで本人の評価やモチベーションに直結するような項目が良いでしょう。
KGI・KFS・KPIは相互関係が強いことから、その指標が「Relevant(関連性のある)」ものであることが重要です。
例えば、営業部門において、顧客満足度を高めるための指標をKPIとして設定する場合、営業プロセスや販売活動と直接関連する指標を選ぶことが求められます。販売数量や成約率といった関連性の高い指標を設定することで、目標達成に向けた具体的な行動が明確になります。
KPIは「Time-bounded(期限を設定した)」ものであることが重要です。
期限を設定することにより、アクションを起こすにあたっての具体性と現実性を持たせることが可能になります。
具体的な期限の粒度としてては「週・月・四半期・上半期・下半期」などがあります。
KPIを管理する目的は、組織やプロジェクトの目標達成に向けた進捗を定量的に把握し、必要な戦略の修正や改善を行うことです。KPI管理によって、組織全体のパフォーマンスを向上させ、目標達成に向けた具体的なアクションを促進することができます。
また、KPIを管理することで、組織内での透明性が高まり、全員が同じ目標に向けた努力を行うことが可能になります。定期的なレビューを通じて、KPIの達成状況を評価し、必要に応じて戦略を見直すことで、目標達成に向けた最適な道筋を築くことができます。
KPI管理の効果として、組織の目標達成が促進されることが挙げられます。KPIを定期的にレビューし、進捗を評価することで、目標達成に向けた具体的なアクションを迅速に取ることができます。
また、KPI管理によって組織内での透明性が高まり、全員が一貫した方向性で努力を行うことが可能になります。これにより、組織全体のパフォーマンスが向上し、目標達成に向けた効率的な取り組みが実現します。
「失敗しやすい」KPIの例として、具体性がないKPI、計測できないKPI、達成不可能なKPI、関連性がないKPI、そして期限が設定されていないKPIが挙げられます。
以下で詳しく解説します。
設定したKPIが曖昧で主観的な要素に左右されるほど、そのKPIの意味や効果は薄れてしまいます。個々の解釈に依存するようなKPIは避けるべきです。
よく見られる例としては、「顧客第一主義の徹底」や「粘り強い営業活動」などがありますが、これらのように定義が不明確なKPIは、客観的に評価することが難しくなるでしょう。誰にでも同じ解釈ができる指標を設定することが重要です。
計測できないKPIは、目標達成の進捗を評価することが難しく、組織全体のパフォーマンス管理が不十分になるリスクがあります。
例えば、「できるだけ多くの情報を集める」や「顧客のニーズを把握する」といった曖昧な表現は、達成度を測る基準が明確でないため、評価が難しくなります。KPIを設定する際は、進捗や成功を具体的な数値で測定できるものにすることが重要です。
あまりにも非現実的で達成不可能なKPIは、組織全体のモチベーションを低下させ、生産性が下がるリスクがあります。例えば、「1ヶ月で売上を2倍にする」といった非現実的なKPIを設定すると、チームメンバーはその目標に対して努力を諦めてしまうかもしれません。また、達成不可能なKPIを追い求めることで、組織全体が無理な負荷をかけられ、他のKPIにも悪影響を及ぼす可能性もあります。
KGIやKPIの設定は経営戦略やマネジメントの一環として行うものであることから、関連性がないKPIを設定すると、組織全体が無駄な努力をしてしまい、目標達成に貢献しない結果を生む可能性があります。
例えば、「親睦会を年3回以上実施する」など関連性のないKPIは戦略との関連性が浅いです。結果として、目標達成に向けた具体的な行動を曖昧にし、組織全体のパフォーマンスを低下させる要因となりうるでしょう。
KPIに期限が設定されていない場合、KPI達成のためのアクションを起こす動機付けが難しく、KPIの測定や達成が難しくなります。
また、「なるべく早く実施する」など曖昧な期限の設定も測定不可能かつアクションを起こす動機付けとして薄いため、不適切です。
目標に対して具体的な期限を設けないと、進捗が曖昧になり、目標達成が遅れる可能性が高まるため注意しましょう。
KPIは、組織やプロジェクトの目標達成に向けた進捗を効果的に管理するための重要なツールです。適切なKPIを設定し、効果的に管理することで、組織全体のパフォーマンスが向上し、目標達成が促進されます。
KGIやKSFとの違いを理解し、SMART原則に基づいたKPI設定を行うことで、成功への道筋を確実に築くことが可能です。
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