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クロージングとは?失敗する原因や役立つテクニックを解説

公開日:2024.11.27  更新日:2024.11.28

営業やマーケティングにおいて、最終的な成功を左右するのが「クロージング」です。どれだけ素晴らしい商品やサービスを提供していても、顧客との交渉を適切にクロージングできなければ、ビジネスチャンスを逃してしまうことになります。本記事では、クロージングの重要性や効果的な方法、成功につながるコツについて詳しく解説します。営業成績を上げるために、ぜひクロージングのポイントを押さえておきましょう。

<この記事で紹介する3つのポイント>

  • クロージングを成功させるための具体的なコツ
  • 営業で使える心理テクニックの紹介
  • 顧客との信頼関係の構築方法

クロージングとは

営業やマーケティングにおけるクロージングとは、商談や取引が最終段階に達し、顧客の購入や契約の意思を確認して契約へ促す段階を指します。

このプロセスが成功すると契約の成立、顧客が購入した商品やサービスの導入・運用、顧客へのアフターサービスやサポートの提供といったフェーズへ進み

営業におけるクロージングの重要性

クロージングは、顧客との取引が成立するかどうかを決定づける重要なプロセスです。クロージングのタイミングやアプローチを誤ると、商談の失敗につながることも少なくありません。

顧客の信頼を得て、安心感を与えられるとクロージングがスムーズに進み、成功すれば契約後の関係構築にも良い影響を与えます。そのため、営業担当者にとって、この段階で顧客のニーズや疑問を正確に把握し、適切に対応することが求められます。

クローズとの違い

「クローズ」と「クロージング」は似た言葉ですが、営業においては異なる意味を持ちます。クローズは取引の「終結」を意味し、すべての商談が終了する状態を指します。

一方、クロージングはその前の段階で、取引の意思を確認し、契約を実行に移すプロセスです。クローズする前に、クロージングがしっかり行われることで、商談が成約に至る確率が高まります。

最終合意との違い

クロージングと最終合意も混同されがちですが、これも異なるプロセスです。クロージングは顧客の契約の意思を確認する段階ですが、最終合意は価格や納期、支払い条件など、契約の具体的な条件を最終的に調整し、合意する段階を指します。クロージングが成功した後に、最終合意を経て契約が締結されるという流れが一般的です。

営業でのクロージングの流れ

クロージングは突然行われるものではなく、事前に段階を踏んで進められます。クロージングは、営業プロセスの中でも顧客との契約や購入意思を最終的に確認し、成約に結びつける重要な段階です。
営業では一般的に、テストクロージングを行って顧客の反応を確認し、その後に本格的なクロージングを進める流れが基本です。

1.テストクロージング

テストクロージングとは、商談の途中で顧客に対して、製品やサービスに対する興味や購入意欲を確認するプロセスです。本格的なクロージングの前に行われ、顧客が取引にどの程度前向きであるかを測ります。

例えば、顧客に「この条件であればご検討いただけますか?」や「これまでの説明に納得いただけましたか?」といった質問を投げかけ、反応を見ることで、その時点での購入意欲を把握します。

このプロセスが重要な理由は、顧客の懸念や疑問をクロージング前に引き出し、早期に対応する機会を得られるためです。例えば、価格に対する不安や、競合製品との比較で迷っている場合、テストクロージングを通じてそれらの課題を明確にし、適切な対応を施すことで、顧客が最終的に契約に至る可能性が高まります。

また、テストクロージングにより、営業担当者がクロージングに移るべきタイミングを見極めやすくなります。顧客が購入に前向きであれば、本格的なクロージングに進みやすくなり、そうでなければ別の提案やフォローアップが必要です。

2.クロージング

テストクロージングを経て、顧客が購入や契約に対して前向きな姿勢を示した段階で、本格的なクロージングに進みます。クロージングの際には、顧客の最終的な意思決定を促すために、製品やサービスの価値を再確認させ、具体的な導入日や支払い方法などの詳細を話し合うことが一般的です。

クロージングを成功させるためには、顧客が抱える最後の懸念や疑問にしっかりと対応することが重要です。例えば、顧客が価格や導入時期に不安を感じている場合、それをクリアにするための提案や情報提供を行うことで、信頼感を高めます。

また、顧客がどのような決定権を持っているか(例えば、最終決裁権者が他にいるかどうか)を確認することも、クロージングが成功するためには欠かせません。そのため、クロージングの際には、顧客に対して「いつからこのサービスを導入されますか?」や「ご購入意思はどれくらい固まっていますか?」といった具体的な質問を投げかけることで、契約へ向けた確かな意思を確認します。

このようなアプローチを行うと、顧客が明確な意図を持ってクロージングに応じやすくなり、契約の成立を後押しします。また、顧客が最終的に決断を下す際に、必要に応じて最後の交渉や条件の調整を行うことも、クロージングの重要な部分です。

3.契約締結

クロージングが成功すると、次に進むのが契約締結です。このステップでは、顧客と営業担当者が合意した契約条件を基に、正式な契約書の作成とサインが行われます。

契約締結の際には、契約内容や条件に対して顧客が十分に理解し、納得しているかを再確認することが重要です。特に、価格、支払い方法、納期、契約更新に関する内容については、詳細に確認し、不明点がないようにする必要があります。

また、顧客から「聞いていない」というトラブルが発生しないよう、それぞれの項目について丁寧な説明が不可欠です。支払い条件や契約期間、特別なオプションなど、顧客が見落としがちな部分も細かく確認し、双方が同意の上で契約が進むように注意を払います。

例えば、支払いが「月末締め翌月末払い」といった条件の場合、支払いタイミングや契約更新時の手続きについても事前にしっかりと確認し、顧客に安心感を与えることが大切です。

契約締結が完了した後も、営業担当者としてはアフターフォローの体制を整えることが求められます。契約後にトラブルが発生しないようにフォローアップを徹底し、顧客満足度を維持することが、長期的な関係構築において重要です。

契約締結を通じて顧客との信頼関係がさらに強化されると、将来的な取引やリピート購入にもつながります。

クロージングを失敗する主な要因

クロージングが失敗に終わる場合、いくつかの共通する原因が存在します。これらの失敗要因は、営業担当者が顧客のニーズや状況を適切に把握できていない、あるいはアプローチが不適切であることが主な理由です。顧客がクロージングの段階で購入に至らない場合、失敗の原因を分析し、改善することが不可欠です。

顧客のニーズに合っていない

クロージングが失敗する大きな原因のひとつは、顧客のニーズに合った提案ができていないことです。営業担当者は、商談の初期段階で顧客の要望や期待を十分にヒアリングし、理解することが重要です。しかし、このプロセスが不十分であると、クロージング段階で顧客に対して適切な提案ができず、最終的な購入決定に至らないことがあります。

顧客が何を求めているかを正確に把握せずにクロージングを試みると、提案内容が顧客の期待とかけ離れたものになってしまう可能性があります。例えば、顧客がコスト削減を重視している場合に、利便性や高機能性ばかりを強調してしまうと、ニーズに合わない提案と見なされてしまいます。

解決策として、クロージングの前に再度顧客のニーズや懸念を確認し、それに基づいて提案内容を調整することが効果的です。また、顧客の反応を細かく観察し、適宜修正する柔軟さも必要です。

価格が予算に見合わない

価格が顧客の予算に合わないことも、クロージング失敗の大きな要因の一つです。営業担当者が提案する製品やサービスの価格が高すぎる場合、顧客はコストパフォーマンスに不安を抱き、購入をためらうことがあります。このような場合、たとえ製品の価値や機能に納得していたとしても、予算オーバーであれば成約に至りません

この問題を防ぐためには、商談の初期段階で顧客の予算感をしっかりとヒアリングし、その枠内で提案を行うことが重要です。特に、法人営業では予算に厳しい制約がある場合が多いため、これを無視して高価格の提案をしてしまうと、商談自体が破談になるリスクがあります。

また、予算が厳しい場合でも、価格調整の余地があるかどうかや、支払い条件の変更(例:分割払い)など、柔軟な提案を行うことで解決できる場合もあります。顧客に対して、適切な価格設定と共に、付加価値を強調しながらクロージングを進めることが重要です。

担当者に権限がない

営業プロセスの最終段階で問題になるのが、商談の相手が決裁権を持っていない場合です。クロージングを進めても、担当者に契約や購入の最終決定をする権限がない場合、商談は一旦ストップしてしまい、決裁者の同意を待つことになりますこの場合、クロージングがスムーズに進まず、契約のタイミングを逃してしまう可能性が高まります。

この問題を避けるためには、商談の早い段階で「誰が最終決裁権を持っているのか」を確認することが不可欠です。営業担当者は、クロージング前に、顧客側の決裁プロセスや関係者を把握し、その情報を基に戦略を立てる必要があります。

最終決裁者が商談に参加していない場合は、その人に対して直接アプローチする機会を設けるか、資料を用意して判断を促す準備を進めましょう。さらに、担当者に権限がないと判明した場合でも、クロージングを諦めるのではなく、決裁者に向けた追加提案や資料の提供を行い、商談が円滑に進むよう調整することが重要です。

クロージングが得意な人の特徴

クロージングが得意な営業担当者には、いくつかの共通する特徴があります。これらの特徴を持つ人は、顧客に対して的確にアプローチし、信頼関係を築きながらスムーズに契約に導けます。話し方や質問の仕方、顧客との関係の築き方など、成功するためのスキルを磨くことが重要です。

話が分かりやすい

クロージングが得意な営業担当者は、顧客に対して製品やサービスのメリットを伝える際、専門用語や複雑な言い回しを避け、シンプルで誰にでも理解できる言葉を使います顧客が情報をスムーズに理解できれば、安心して購入や契約の決断を下せます。

また、分かりやすい話し方は、顧客の不安や疑問に素早く対処するのにも役立ちます。顧客が抱える疑念をクリアにすることで、購買プロセスがスムーズに進み、結果的にクロージングが成功しやすくなります。

複雑な問題を簡潔に説明し、ポイントを絞って説明するため、余計な情報を与える心配がなく、顧客に必要な部分をしっかりと伝えられるため、無駄なくクロージングに繋げられます。

会話から相手のニーズを引き出す

クロージングが得意な人は、単に自社製品・サービスの話をするのではなく、顧客がどんな悩みや期待を抱えているのかを的確に把握します。

適切な質問を投げかけることで、顧客自身が気づいていなかったニーズを引き出し、その解決策として自社の商品やサービスを提案できます。例えば、「この製品を使うことで、どのような課題が解決できそうですか?」といった質問をすることで、顧客に未来のビジョンを想像させ、さらに深いニーズを引き出せます。

また、顧客の言葉をよく聞き、適切に反応することで、顧客が信頼して相談できる環境を作り上げることも大切です。これにより、顧客は安心感を持ち、営業担当者に対して本音を伝えやすくなります。

考える時間を与える

クロージングが上手な人は、顧客に考える時間を与えることの重要性を理解しています商談が進む中で、顧客はさまざまな情報を整理し、最終的な決断を下す必要があります。営業担当者が急かしてしまうと、顧客はプレッシャーを感じ、購入や契約を躊躇しかねません。

一方で「考える時間」を提供すると、顧客は冷静に検討し、最適な判断を下せます。このプロセスを営業担当者が尊重し、適度な距離感を保ちながらフォローを行うことで、顧客は安心感を持ってクロージングに進められます。また、適切なタイミングでフォローアップを行うことも、決断を促す重要なポイントです。

顧客と信頼関係を築いている

クロージングが得意な人は、商談の初期段階から顧客と強固な信頼関係を築き上げていきます信頼関係があれば、顧客は営業担当者の提案を受け入れやすくなるからです。

信頼関係を築くためには、誠実な対応や透明性のあるコミュニケーションが必要です。顧客にとってメリットだけでなく、デメリットも率直に説明し、無理に売り込まない姿勢が重要です。また、顧客が本当に必要としている解決策を提供しようとする真摯な姿勢が伝わることで、信頼が深まります。

信頼関係をベースにしたクロージングは、長期的な関係構築にもつながり、リピートビジネスや紹介案件の獲得にも効果的です。

クロージングが苦手な人の特徴

クロージングは営業において重要なスキルですが、苦手とする営業担当者も少なくありません。これにはさまざまな原因が考えられます。クロージングが苦手な人は、準備不足や顧客とのコミュニケーションでの失敗が主な原因として挙げられます。ここでは、クロージングが苦手な人に共通する特徴と、その改善策について解説します。

事前準備を怠る

営業担当者は、顧客のニーズや業界動向、競合他社の状況をしっかりとリサーチし、それに基づいた提案を行う必要があります。

しかし、事前調査や資料作成といった準備が不足すると、顧客に対して適切な提案ができず、結果的にクロージングがスムーズに進まないでしょう。例えば、顧客が抱えている問題を十分に理解していない、あるいは競合の製品や価格帯を把握していない場合、顧客の質問に対して説得力のある回答ができません。その結果、顧客は他社と比較して納得感を持てず、契約をためらうことになります。

また、事前にクロージングに向けたシナリオや戦略を立てていないと、商談の流れが予定通りに進まず、タイミングを逃してしまうこともあります。

このような事態を避けるためには、商談前に十分な準備を行い、顧客のニーズに合わせた具体的な提案を用意しておくことが重要です。さらに、事前にクロージングのシナリオや質問への対応をシミュレーションすることで、突発的な状況にも柔軟に対応できるようになります。

断られることへの恐怖がある

クロージングが苦手な営業担当者の多くは、断られることへの恐怖を抱いています。この恐怖心は、顧客に対してクロージングを積極的に進めることを躊躇させ、結果的に契約のチャンスを逃すことにつながります。例えば、断られることを恐れるあまり、クロージングを先延ばしにする、強気な提案ができない、明確な契約の意思確認をしないなどの行動を取ってしまうなどです。

この恐怖心を克服するためには、失敗を恐れずに前向きな姿勢でクロージングに臨むことが大切です。また、事前に想定される顧客からの反論や拒否に対する対策を考えておくことで、自信を持ってクロージングを進められます。

決断を急かす

クロージングが苦手な人は、顧客に十分な考える時間を与えず、早急に結論を求めようとしがちです。しかしこれは逆効果で顧客はプレッシャーを感じ、最終的な決断を避けようとして、商談が不自然な形で終わる原因にもなります。

顧客がしっかりと考えた上で決断できるよう、適度な時間を与えることがクロージングの成功につながります。営業担当者としては、決断を急かすのではなく、顧客にとってのメリットをじっくりと再確認し、顧客自身が納得して意思決定をするよう促すことが大切です。

罪悪感がある

一部の営業担当者は、クロージングに対して罪悪感を抱いてしまうことがあります。これは、顧客に対して無理に売り込んでいると感じることが原因です。この罪悪感が強いと、クロージングの際に強引な印象を与えないように過度に慎重になりすぎ、結果的に商談が成立しないことがあります。

営業は、顧客のニーズに応じた価値を提供することであり、無理な売り込みではありません。顧客が求めているソリューションを適切に提供するためにクロージングは必要なプロセスであり、営業担当者が自信を持って提案することが求められます。

この点を理解することで、クロージングに対する罪悪感を軽減できるでしょう。また、顧客に対して誠実で透明な態度を持つことで、自然と罪悪感は薄れ、クロージングに自信を持てるようになります。

営業のクロージングを成功させるコツ

営業におけるクロージングを成功させるためには、ただ契約を促すだけではなく、顧客に信頼され、納得してもらうための工夫が必要です。効果的なクロージングには、顧客に契約後の具体的なメリットをイメージさせることや、複数の選択肢を提示することで、選択肢の幅を広げて安心感を与えることが重要です。また、メリットだけでなくデメリットも正直に伝えることで、信頼関係を構築しやすくなります。

顧客に契約後をイメージさせる

クロージングを成功させるために有効なテクニックのひとつは、顧客に契約後の生活や業務の改善を具体的にイメージさせることです。

人は未来をポジティブに想像できると、より前向きな決断をしやすくなります。例えば、営業担当者は顧客に「この商品を導入することで、どのように業務が効率化されるか」「時間やコストの削減にどのように貢献できるか」といった未来のビジョンを具体的に描いてもらいます。

顧客が自身のビジネスや生活にどのような影響があるかを明確にイメージできれば、契約に対するハードルはぐっと下がります。

営業担当者としては、顧客が抱える課題や目標をしっかりと理解し、それに応じた改善策を提示しながら「契約後の成功体験」を共有することが重要です。また、この段階で不安や懸念がある場合は、それを解消するための情報提供を行い、顧客が安心して次のステップに進めるようフォローを行うことも効果的です。

複数の選択肢を提示する

クロージングの際に顧客に複数の選択肢を提示することも、効果的なアプローチのひとつです。

人は一つの選択肢だけを示されると「本当にこれで良いのか」と悩みがちですが、複数の選択肢があると、比較検討ができるため、安心して意思決定ができる傾向があります。

例えば、異なる価格帯や機能の選択肢を示し、「Aプランはコストパフォーマンスが高く、Bプランはより多機能で長期的な投資に向いています」といった形で、顧客に自由な選択の余地を与えます。

この方法は、選択肢がない状況で決断を迫られるストレスを軽減するだけでなく、顧客にとって最も適した解決策を見つけやすくする効果もあります。

また、複数の選択肢を提示することで、「どちらを選ぶか」という前向きな選択肢に焦点が当たり、「購入するかどうか」という悩みにとらわれにくくなります。結果として、顧客が決断を下しやすい環境を作り出し、クロージングがスムーズに進みやすくなります。

メリットだけでなくデメリットも伝える

営業のクロージングを成功させるためには、製品やサービスのメリットだけでなく、デメリットも正直に伝えることが大切です。多くの営業担当者は、製品のポジティブな面に焦点を当てがちですが、あえてデメリットを伝えることで、顧客はその営業担当者に対して信頼感を抱きやすくなります

例えば、「この製品は他社製品に比べて初期コストが高いですが、長期的にはメンテナンス費用が少なく、結果的にコスト削減が期待できます」といった説明が効果的です。デメリットを隠さずに伝えることで、顧客は「この営業担当者は信頼できる」と感じ、より前向きな意思決定をする可能性が高まります。

また、デメリットを理解した上で契約を進めることで、契約後に顧客が後悔するリスクを減らし、トラブルを未然に防げます。誠実さが評価された結果、顧客との信頼関係が強化され、長期的なビジネス関係に発展することもあります。

営業のクロージングで役立つ心理テクニック

営業において、顧客の心理を理解し、適切なアプローチを取ることは、クロージングを成功させる上で非常に重要です。心理学のテクニックを活用することで、顧客の意思決定を効果的にサポートし、自然な形で契約を促進できます。ここでは、特に効果的な3つの心理テクニックを紹介します。

ドア・イン・ザ・フェイス

「ドア・イン・ザ・フェイス」とは、最初に大きな要求をして相手に断らせ、その後に小さな要求を提示して受け入れさせる心理テクニックです。このテクニックは「譲歩の原理」に基づいており、人は他者が自分に譲歩したと感じると、応じることでバランスを取ろうとする傾向があります。

営業においては、初めに高価格な商品やハイエンドのサービスを提案し、顧客がそれを断ると、次に比較的リーズナブルな商品やサービスを提案します。このように、顧客が大きな要求を拒否した後に、より小さな要求を提示されると、それを受け入れやすくなる傾向があります。

例えば、高額な商品を最初に提示された顧客が、それを断った後に価格の低い商品を提示されると、「これなら無理なく購入できる」と感じやすくなるのです。この段階で営業担当者は、顧客に心理的負担をかけずに契約を進めやすくなります。

「ドア・イン・ザ・フェイス」を実施する際には、最初の提案が現実的でありながらも、顧客にとって高いハードルとなるような商品やサービスを選ぶことが重要です。その後に提示する選択肢は、顧客にとってより受け入れやすいものである必要があります。

また、最初の提案があまりにも非現実的、あるいは顧客が完全に興味を失ってしまうような内容であってはいけない為、このテクニックの成功には、バランスの取れた提案が欠かせません。

イエスセット・イエスバット

「イエスセット」とは、連続して顧客に「イエス」と答えさせる質問を投げかけることで、最終的な契約の際にも自然と「イエス」を引き出しやすくするテクニックです。

例えば、営業担当者が「このサービスは業務の効率化に役立ちますよね?」「今抱えている課題に適していると感じますか?」といった質問を投げかけ、顧客が肯定的に答えることで、心理的に同じ答えを出しやすくなります。

「イエスセット」を使うと、顧客は自分が一貫した意思決定をしているという感覚を持ちやすく、最終的な契約の場面でも、自然と「イエス」と答える傾向が高まります。顧客が段階的に肯定的な回答を続けることで、最終的なクロージングもスムーズに進みやすくなるため、特に長期間にわたる商談や、複雑な提案を行う際に効果的です。

なお、「イエスバット」という派生テクニックも効果的です。これは、顧客の不安や反論に対してまず肯定し、次にそれを軽減する形で提案を進める方法です。

例えば、「この商品は少し高いと感じるかもしれませんが、その分長持ちし、トータルコストではむしろお得です」といった形で、最初に顧客の意見を受け入れつつ、次にその意見を覆します。これにより、顧客は自分の懸念が理解されたと感じつつも、購入の方向に気持ちが動きやすくなります。

返報性の法則

「返報性の法則」は、人が何かを与えられた際に、それに対してお返しをしようとする心理のことを指します。営業においては、顧客に価値ある情報やサンプル、特典を提供することで、顧客が「返さなければならない」と感じ、結果として契約に応じやすくなる効果を狙います。

例えば、無料の製品サンプルや初回割引のオファーを提供することで、顧客はその好意に応えようとする傾向があります。これは、商談の初期段階で活用できる非常に効果的なテクニックです。特に顧客に対して無償の情報提供やサービス体験を提供することで、顧客は心理的に「ここで契約しないのは申し訳ない」という感覚を抱きやすくなります。

ただし、このテクニックを効果的に使うためには、与えるものが顧客にとって価値があると感じられることが重要です。また、過度な「お返し」を期待することなく、顧客に対して自然な形で提案を行うことがポイントです。

返報性の法則は、無理なく契約へと導くための強力な手段ですが、誠実さを欠いたアプローチでは逆効果となる可能性もありますので、慎重に使う必要があります。

まとめ

クロージングは、営業活動において最も重要なプロセスの一つです。顧客に契約後のメリットを具体的にイメージさせることや、複数の選択肢を提示することで、顧客が安心して意思決定できる環境を整えることが重要です。

また、誠実にデメリットも伝えることで、信頼関係を築き、長期的な関係を維持できます。さらに、「ドア・イン・ザ・フェイス」や「イエスセット」といった心理テクニックを用いることで、顧客の意思決定をサポートし、スムーズなクロージングに繋げることが可能です。

営業担当者がこれらのテクニックを使いこなせば、契約成立の確率を大幅に向上させられるでしょう。クロージングにおける準備と適切なアプローチを意識し、成功への一歩を確実に進めてください。

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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。

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