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事業譲渡の概要や類語との違い、手続きや注意点を詳しく解説

公開日:2024.11.14  更新日:2024.11.29

事業譲渡とは、事業を他社に譲渡する文字通りの言葉です。事業の売買には似たような言葉がありますが、事業譲渡には異なる性質や譲渡・譲受それぞれにメリットがあります。

本記事では、事業譲渡の特徴やメリット・デメリットを解説しています。基本的な流れや注意点も紹介しているので、会社経営の改善や事業拡大を検討されている企業様は参考にしてください。

<この記事で紹介する4つのポイント>

  • 事業譲渡の意味や類語との違い
  • 事業譲渡のメリットとデメリット
  • 事業譲渡の流れ
  • 事業譲渡の注意点

事業譲渡とは?

事業譲渡とは、会社の事業を他社に一部、または全て譲渡することを指す言葉です。ビジネスシーンでは企業買収は珍しい話ではありませんが、事業譲渡のように対象企業の事業のみを譲渡するケースもあります。

なお、すべての事業を譲渡する場合でも会社存続は可能です。特定の事業から撤退し、新事業を立ち上げる場合などに見られます。会社全体を譲渡する場合は「会社譲渡」となり、全ての株式を手放して経営権が他社に移転することです。

事業譲渡の類語

事業譲渡は、事業を譲渡する意味の言葉です。ビジネスシーンでは事業譲渡に似た意味合いの類語が以下のようにいくつかあります。

  • 営業譲渡
  • 事業移管
  • 会社分割

それぞれの類語について解説します。

営業譲渡

営業譲渡とは、商法上の言葉で事業譲渡と同じ言葉です。事業譲渡と営業譲渡の違いは、適用される法律が会社か商人かの違いになります。

事業譲渡会社法に基づく譲渡
営業譲渡商法に基づく譲渡

1899年3月9日に制定された商人の商い行為について定めた法律で、現在適用されている「会社法」は後にできた法律です。

分類すると商法は商人のための法律で、会社法は会社のための法律に分けられています。元々は商法にも会社に関する法律が規定されており、旧会社法は商法に含まれていました。2006年5月1日に「新会社法」が施行されたことにより、現在の会社法と商法が分かれた形となっています。

旧会社法では営業譲渡が普通に使われていましたが、前述の新会社法の登場で営業譲渡は商法に適用される場合に使われる言葉となりました。旧会社法で使われていた営業譲渡にかわり、新たに新会社法に適用される事業譲渡という言葉が生まれ、新会社法に適用される言葉にかわったのです。

事業移管

事業移管とは、その名のとおり事業を他に移す(移管)ことを意味する言葉です。つまり、他社に譲るわけではなく、ましてや売却するわけでもありません。

ただし、この場合の事業とは事業部門そのものを移すことを指すのではなく、他社に「事業活動」や「事業部門」を移すことを表しています。わかりやすく言うとオフショア、つまり外注のことです。オフショアリングは海外への外注を指す言葉ですが、事業移管先が海外の場合はオフショアと呼ぶことがあります。

事業移管と似た言葉に「業務移管」という言葉があり、これは業務を他社に外注する言葉です。業務も事業活動の一部のため、事業移管と業務移管は同じ意味合いで使われることが見受けられます。

基本的に他社に事業活動を移すことを事業移管と呼び、子会社やグループ会社、自社間での移管に対しても使われています。厳密に言うと自社内では「内部移管」で、グループ会社は「協働」や「提携」等が適切です。

会社分割

会社分割とは、自社の事業を分割して別の会社に承継することです。事業譲渡によく似ているM&Aの手法ですが、会社分割には「吸収分割」と「新設分割」の2種類があります。

まず、吸収分割は自社の事業が他社に権利と義務ごと承継されるものです。そして新設分割は、新設した会社が自社の事業を承継することを意味します。

会社法の承継は「事業に関して有する権利義務の全部または一部を他の会社に承継させる会社法上の組織再編行為」です。対して事業譲渡は、事業部門と資産が対象のため、会社法上では組織再編行為ではありません。つまり、分割会社は組織再編を主目的とし、事業譲渡は譲渡による資金調達というように主目的が異なるのです。

事業譲渡のメリット

事業譲渡の譲渡側と譲受け側、双方のメリットをそれぞれ解説します。

譲渡側のメリット

まず、譲渡側のメリットについて解説します。譲渡側の主なメリットは、以下のとおりです。

・ 特定の事業のみを指定して売却できる
・ 会社の経営権を維持できる
・ コア事業に集中できる

それぞれ詳しく解説します。

特定の事業のみを指定して売却できる

事業譲渡の最大のメリットと言えるのが、自社側に自由に譲渡する事業を選べる点です。買収と異なり、手放したくない事業は残しておくことができます。

継続したい事業があれば自社に残し、不要と思った事業のみを全て譲渡することも可能です。株式譲渡はM&Aの手法の一つですが、株式譲渡のように経営権まで手放す必要がありません。要らない事業のみを切り捨てて事業の最適化、または資金調達の一環で譲渡など自由に選べます。また、無駄な経営リソースを省き、資金調達とコスト削減を同時に果たすことが可能です。譲渡リスクが少ないため、事業や財務の改善による業績アップにつながることにもなります。

会社の経営権を維持できる

M&Aでは譲渡と言えば会社の経営権を含むことが多いですが、事業譲渡は特定の事業のみを手放して会社の経営権を維持したままでいることができます。

先述したように、事業譲渡は譲受側に譲渡するのは事業に関する一部の権利のみで、会社全体の権利までは移転しません。

譲渡側と譲受側で「事業譲渡契約」を締結し、資金などの対価と交換に事業部門や事業資産を譲渡する契約です。基本的に事業譲渡で株式を譲渡することはありませんが、株式譲渡を伴う複合した取引を行う場合はその限りではありません。自動的に経営権が移転することはないので、リスクを抑えながら資金調達を果たせます。

コア事業に集中できる

事業譲渡を活用して、自社が注力したいコア事業に集中させることができるのです。

コア事業とは、自社の中核を担う「Core」のことで文字通り主力事業を指し、主力ではない事業のことを「ノンコア」と呼びます。ノンコア事業を切り離すことでコア事業への優先的なリソースの投入を行う経営戦略が可能です。

ノンコア事業の譲渡で獲得した資金をコア事業に注ぎ、さらなる生産性の向上が見込めます。コスト削減との両立を実現させるため、非常に効率の良い手法です。コア事業の成長は自社の収益を促進させるメイン事業であるため、積極的な経営資源の投入が望まれます。

譲受側のメリット

譲受側のメリットは、以下のとおりです。

・ 譲り受けたい事業を指定できる
・ リスクを抑えた事業拡大が可能
・ 譲渡側の債務を引き受ける必要がない
・ 節税できる場合がある

各メリットについて解説します。

譲り受けたい事業を指定できる

譲受側企業は、譲渡側から譲り受けたい事業を指定することができます。

事業譲渡は事業譲渡契約に基づく範囲で行われますが、交渉によってはある程度自由に選ぶことが可能です。

M&Aは基本的に会社全体の買収となるので、不要なリソースが出てくる場合があります。事業譲渡なら、自社で譲り受けたい事業のみを選べるので、不要なリソースまで譲り受ける必要がありません。また、債務まで引き継ぐ必要がないため、負債を背負うリスクがなく必要な事業のみとの取引ができます。

リスクを抑えた事業拡大が可能

先述したように、事業譲渡は負債を背負うリスクがありません。対象企業の事業から範囲を選んで取引ができるためです。負債のある事業を選択しても、債務は相手側に残した状態で事業のみを譲り受けることが可能です。事業譲渡は、あくまで事業に関する経営資源が対象のため、原則的に負債まで引き継ぐ必要がありません。また、特定の事業のみを譲り受けるため、投資コストに無駄がなく出費を抑えたうえでの事業拡大が可能です。

譲渡側の債務を引き受ける必要がない

事業譲渡は、原則として負債が譲渡元に残る取引です。事業譲渡契約の例外を除き、設備、人材、知的財産などの事業に関する経営資源以外は引き継ぐ義務がありません。

ただし、双方が合意のうえで「債権譲渡契約」と「債務引受契約」の手続きを締結した場合は債権を引き継ぐことが可能です。

負債を引き継ぐメリットとしては、経費計上による節税やエクイティファイナンスなどの手法が考えられます。節税対策や資金調達の一つとして、利用することも可能です。ただし、債権や債務の譲渡には事業譲渡契約の他に「債権譲渡契約」と「債務引受契約」の契約を結ぶ必要があります。

節税できる場合がある

譲受側は事業譲渡で、減価償却資産を得られるケースがあります。建物や設備などが含まれている場合、事業譲渡の減価償却は譲渡が成立した時点からの耐用年数を見積もります。耐用年数での計上ができるため、節税対策として効果的です。また、譲渡対象の事業価額が純資産を上回った場合、のれん代として計上することが可能になり、償却費用を毎年の損金として課税所得を抑えることができます。

事業譲渡のデメリット

事業譲渡は比較的リスクの少ないM&Aの一種ですが、全くのノーリスクというわけではありません。譲渡側と譲受側のデメリットをそれぞれ解説します。

 譲渡側のデメリット

事業譲渡における譲渡側のメリットは、以下のとおりです。

・ 譲渡益に課税が発生する
・ 会社の負債は残る
・ 譲渡後は一定期間同じビジネスを行えない

譲渡側のデメリットについて解説します。

譲渡益に課税が発生する

事業譲渡で得た譲渡益(収益金)は法人所得になるため、約30%程度の法人税が課されるのです。株式譲渡の譲渡益の税率が約20%のため、それに比べると事業譲渡の課税額は明らかに高くなります。譲渡益は、譲渡対象資産から譲渡対象負債を引き、合計額から売却金額を引いた金額で算出されます。事業譲渡益は損金と相殺することができるため、例えば、のれん代の減価償却費などを利用して対策を講じれば特に大きなデメリットにはならないでしょう。

会社の負債は残る

事業の負債は、事業譲渡で引継ぎされることは原則的にありません。そのため、事業譲渡が成立した後も事業の抱える債権は継続されます。

ただし、事業譲渡契約の内容や譲受側に負債を引き継ぐメリットがある場合は、対象事業と一緒に債権を引き継いでもらえる可能性があります。

会社法上の事業譲渡では、負債は自動的に譲受先に移行するものではありません。債権や債務の譲渡を行う際には、事業譲渡契約の他に「債権譲渡契約」と「債務引受契約」の締結が必要です。債権の譲渡契約は経費計上や節税、資金調達の一環として行われるケースがあります。全く意味のない行為ではないので、目的に合わせて活用しましょう。

譲渡後は一定期間同じビジネスを行えない

事業譲渡を行った譲渡側は、会社法上で同一の市町村内と隣接する市町村内での同一事業を行うことができません。

これは「競業避止義務」に基づいた規約で定められているもので、規定の禁止期間を20年間とし、最大30年間まで延長されます。もしも競業避止義務違反があった場合、差止請求や損害賠償請求等のペナルティを受けるリスクがあります。

譲渡事業はノンコア事業などを選び、誤って必要な事業を手放さないように十分ご注意ください。競業避止義務は、基本的に譲渡した事業との競合になるビジネスを指すのが一般的です。したがって、譲渡側が同じ事業を複数持っているとして、業態を変えたり事業を営む地域を変えたりすれば、競業避止義務には抵触しないとされています。具体的な制限は、事業譲渡契約内に記載されているため、契約締結時に確認しておきましょう。

譲受側のデメリット

事業譲渡で譲受側のデメリットは、以下のとおりです。

・ 譲渡対象によっては個別に再契約が必要
・ 許認可は引き継げない

譲渡側のデメリットについて解説します。

譲渡対象によっては個別に再契約が必要

繰り返しになりますが、債権に関しての事業譲渡は債権者からの個別同意が必要です。譲受側が債権を要求して譲渡側が同意した場合、事業譲渡契約、債権譲渡契約、債務引受契約の3点の契約が必要になります。

事業を譲り受ける際、対象事業の従業員や取引先との契約は、それぞれの相手方から個別に同意を得る必要があり、改めて契約し直す必要があるのです。

当然ながら対象事業に勤めている従業員や人材は、個人ではなくその事業全体を指します。つまり、人が多い事業を譲り受けた場合、その人達との労働契約や雇用契約を1人ずつ個別に再契約しなければなりません。

許認可は引き継げない

許認可とは、行政機関から承認を受けた事業許可のことです。許認可は以下の5つになります。

  •  届出
  • 登録
  • 認可
  • 許可
  • 免許

一般的な事業や商売を行う際は必ず許認可が必要になり、許認可を得ずに営業を始めた場合は「無許可営業」として行政からの行政処分や法的責任、差止請求などの重い罰則を受けることになります。

事業譲渡で譲受側が引き継いだ事業が、許認可の必要な特定事業内容の場合は許認可の取得申請が必要です。

一部事業は許認可を得なくても営業ができますが、基本的に事業所や会社を構える法人は許認可の申請手続きが必須です。主に金融業、医療業、飲食業、建設業などは許認可申請をしないと事業が行えません。許認可は各都道府県の行政機関で申請することができ、警察署や税務署でも行えます。

事業譲渡の流れ

事業譲渡の流れとして、取引先を見つけて大まかな事業譲渡の内容を決めることがあげられます。事業譲渡の交渉が成功するかは相手次第によりますが、希望と条件が合う企業が見つかった場合は、積極的にコンタクトを取りましょう。

事業譲渡の流れは、以下のとおりです。

1. 事業譲渡の計画と準備
2. 譲渡先・譲受先の選定
3. 自社の価値や課題を分析
4. 契約交渉の開始
5. 買手によるデューデリジェンスの実施
6. 株主総会の決議
7. 契約締結
8. 譲渡に関する法的な契約書等の作成
9. 株主への通知や申告手続き等

ここから具体的に解説します。

事業譲渡の計画と準備

事業譲渡を始める前準備として、取引を進めるためのプランを立案します。

前準備段階は、経営者によってパターンが異なります。譲受先、または譲渡先が見つからない等の場合、M&Aコンサルタントや専門家に相談すると良いでしょう。

まず、事業譲渡が本当に自社に必要な戦略なのか、事業譲渡の目的が何かを明確にして、事業譲渡後の自社をシミュレートしましょう。契約交渉の際、自社の強みをしっかり取引先に伝わるように試行錯誤が必要です。事業譲渡の具体的な内容が決まったら、前準備は完了です。

譲渡先・譲受先の選定

事業譲渡は、取引相手がいなければ行えません。ツテがあるなら利用するに越したことはありませんが、初めて事業譲渡を行う場合はなかなか見つからないケースも少なくありません。

事業譲渡は選定も重要ですが、相手を見つけるまでに一番時間がかかってしまう場合があります。そういった場合には、M&Aコンサルティングサービスの利用を検討しましょう。M&Aサービスなら、独自のネットワークで取引相手のマッチングもスムーズに行ってくれます。マッチングから選定までワンストップで行ってくれるため、大幅に時間と手間を削減可能です。自力で相手を探す場合、市場分析やマーケティングなど事前準備の工数がかかり、それにコストをかける無駄が発生します。全国規模でM&A案件の紹介を行っているサービスの利用を視野に入れておきましょう。

自社の価値や課題を分析

自社の分析は、俯瞰的に見つめ直すことで、企業価値や強みと弱みの理解につながります。取引先にとって魅力的な企業であれば、事業譲渡において成功が期待できるでしょう。

また、改めて分析を行うことによって課題が浮き彫りになり、目標設定や計画のブラッシュアップが可能です。事業譲渡取引の前に改善が見つかれば、取引相手へのアプローチ効果を高められます。自己理解を進めることで具体的な目標がイメージでき、アクションプランの詳細がしっかりと作りこまれていきます。

契約交渉の開始

幸運にも事業譲渡の取引相手とマッチングできた場合、事業譲渡契約をしっかりとすり合わせていきましょう。お互いの意思疎通を図りながら、お互いの目的や方針等、開示する必要のある情報を双方で公開しながら、交渉に有利な条件を見極めていきましょう。

事業譲渡契約の前には、秘密保持契約(NDA)の締結を行います。今回の取引の内容を外部に漏洩しないように、注意が必要です。双方で資産の範囲や負債の取り扱いなどを面談し、話がまとまれば事業譲渡の基本合意書を作成します。基本合意書は、当事者間の決まりごとや意向を表明するために行う契約締結前の確認を行うための文書です。譲渡対象事業や価格、調査事項を記載します。希望条件があれば先に提示しておくと、契約締結前までスムーズに契約を進められるでしょう。

買手によるデューデリジェンスの実施

デューデリジェンスとは、M&Aでは一般的に行われている買収対象会社の調査です。弁護士等の専門家によって対象会社の財務状況や資産価値、会社の実態などの調査目的で行われています。

会社の信用性は契約取引で非常に大きな意味を持つものなので、重要な取引の前に必ず行われるものです。デューデリジェンスによって問題が発見された場合、問題の範囲が対処可能であるかの検討を行います。また、実際の企業価値を分析し、事業の譲渡価格を見直せることから、自社の利益につながる重要な工程です。譲渡側の注意点は、デューデリジェンスの結果によって譲渡価格の減額、信用性に難があると判断された場合、契約交渉がまとまらなくなるリスクがあることです。

株主総会の決議

事業譲渡の決定は、株主総会の特別決議で承認を得る必要があります。企業にとって大切な経営資源である事業の譲渡を行うので、株主総会を開いての特別決議での承認が必要です。

事業譲渡契約取引が終了した後は、株主に対して完了した旨を通知・公告の義務があります。通知・公告には期限が決まっており、事業譲渡をする20日前までに済ませておかなければなりません。

承認決議は、決議に参加する取締役の過半数からの賛成を得ることが決議要件です。なお、取締役会を設置していない会社の場合、2人以上の取締役の中から過半数の賛成を得られれば承認決定されます。

事業譲渡に反対する株主がいた場合、株主買取請求の通知・公告を個別に行います。株主総会は、譲渡企業の譲渡側・譲受側の双方で開催される流れです。

契約締結

取締役会決議で承認を得られれば、事業譲渡契約を締結します。基本合意書には一定の法的効力が付与されていますが、事業譲渡契約で本契約の契約履行義務が法律的に認められます。

事業譲渡契約には、譲渡対象事業や譲渡期日などが記載されているものです。事業譲渡価格は、この段階で直接行います。デューデリジェンスの結果が価格に反映されることが多いですが、買手に対して効果的なアプローチができるのかが重要です。

この時のための事業譲渡計画でもあるので、実際の相手との交渉を何度もシミュレートしながら、自社の強みや企業価値をアプローチできるイメージをしておきましょう。

譲渡に関する法的な契約書等の作成

事業譲渡後は、譲受側は事業の名義変更手続きを行う流れです。譲り受けた事業資産や契約などの移転、登記登録や従業員の個別再契約手続きを行います。

譲り受けた事業は、許認可がなければ営業できない場合があります。譲受側は、事前に調べておくとスムーズに事業を開始可能です。

譲渡側は譲渡に関する資料作成が必要です。法的効力を持つ資料なので、専門家にチェックしてもらいながら進めていきましょう。

株主への通知や申告手続き等

事業譲渡取引の完了後、株主に完了報告の通知と各種の申告手続きを行います。事業譲渡で課税された税金の税務申告、登記変更登録、契約移転手続き、社内通知等の事後処理が必要です。

事業譲渡は、譲渡側・譲受側の双方共に多くの申告・申請手続きが用意されています。決して楽な作業ではないので、弁護士・税理士・公認会計士などのプロの専門家のサポートが不可欠です。

法律が絡む契約が複数あるので、手続き申請は専門家のサポートを受けると滞りなく処理できます。事業譲渡は法的効力を持つ手続きが数多く、複雑で手間がかかるため専門家に処理を依頼することで各段に作業効率が上がります。

事業譲渡を成功に導くポイント

事業譲渡は譲渡側・譲受側共に、自社の事業の価値を取引相手にしっかりとアピールができる準備が必要です。実際の資産価値がどんなに高くても、譲受側にとって魅力に感じなければスムーズな交渉は困難です。本記事の最後に、事業場を成功に導くポイントについて解説します。

譲渡・譲受する事業や資産を整理する

事業譲渡を進める際、どの事業を譲渡するかを整理しておくことが重要です。譲渡企業にとって事業の切り取りは一時的でも、自社の資産価値を下げることでもあるためです。その後のリターンに対して、期待が持てる契約でなければいけません。

逆に譲受企業は、譲り受ける事業が自社に利益をもたらすかの綿密な分析が必要です。事業拡大の手段としてローリスクな事業譲渡ですが、全くリスクがないわけではありません。見込みよりも利益が少ない事業であれば、結果的に資産の流出になります。事業譲渡は双方の企業が、自社の事業と資産を取引前によく整理して様々な角度から分析して慎重に検討してください。

事業譲渡・譲受後の見通しを明確にする

事業譲渡するタイミングは、十分な利益が得られると判断した時がベストです。長期的な利益獲得と企業の維持は、全企業の課題と言えるでしょう。

事業譲渡・譲受後の見通しを明確にすることは、譲渡・譲受した事業の存在が将来的にどのような影響を自社に与えるかの予測が付きやすくなります。見通しが良くなることで事業譲渡後のリスク対策も対応可能になり、未然の事故防止にもつながるでしょう。

また、事業譲渡後も安定的な事業継続を実現するには、財務面の改善やキャッシュフローの最適化など、自社の資金状況の強化と把握が重要です。

獲得・譲渡した事業による自社への影響がどのように作用するのか、その見通しを明確化することで企業の成長を促し、事業拡大のきっかけとなるでしょう。

まとめ

本記事では、事業譲渡の意味や類語との違い、譲渡側と譲受側のメリットとデメリット、事業譲渡の流れ等について解説してきました。

事業譲渡は、事業の一部、または全てを任意で選んで譲渡・譲受ができ、経営権が移転しないM&Aの手法の一つです。

買収ではなく譲渡であるため、原則的に株式の移動が行われずにローリスク・ハイリターンが期待できる契約取引です。また、譲受は債権を引き継ぐ義務がなく、必要であれば事業譲渡契約で希望すれば引き取ることができます。

リスクが少なく柔軟性のある事業譲渡は、安全で効率的な事業拡大を目指す事業者様におすすめのM&Aです。

ただし、譲渡・譲受双方に事業資産との個別契約が必要だったり、法的手続きの工数が多いなど、事業譲渡は手間がかかるプロセスと言えるでしょう。特に法律が絡む手続きが多いため、M&Aコンサルタント等の専門家の助力は必須です。

事業の成長や改善を目指す事業者の方々は、専門家のサポートを受けてスムーズな事業拡大のためにサービスの利用を検討してください。

DYMでは、市場に出ていない非公開M&A案件や独自のネットワークを用いた全国規模のマッチングなど、充実したサポートを提供しています。M&Aコンサルティング以外にも投資育成事業、人材育成・研修、不動産仲介・オフィスコンサルティング事業まで、幅広いサービスで事業者様をサポートしています。

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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。

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