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人材獲得の世界で注目を集めるヘッドハンティング。人口減少時代に突入し、人材獲得競争が激化する中、ヘッドハンティングの役割はますます大きくなっており、特徴や仕組みを知ることは、転職を考える人にとっても企業の人事担当者にとっても重要です。本記事では、ヘッドハンティングと他の採用方法との違い、注目される背景、そのメリットとデメリット、さらには実際の流れまでを詳しく解説します。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
ヘッドハンティングと引き抜きは、一見似ているように思えますが、実際には大きな違いがあります。
ヘッドハンティングは、専門のヘッドハンティング会社が企業の依頼を受けて行う人材獲得手法である一方、引き抜きは、ターゲットである同業他社や取引先の人材に企業が直接交渉する方法です。
ヘッドハンティングは、プロのヘッドハンターが慎重かつ円滑に対応するため、トラブルやリスクが比較的少ないのが特徴です。また、候補人材のリサーチも可能で、氏名が分かっていない場合でも成功率が高いという利点があります。
引き抜きは同業や取引先の担当者が中心となるため、トラブルやリスクが発生しやすいです。特に取引先の担当者だった場合、採用に至らないと既存の取引関係が悪化するリスクもあります。
ヘッドハンティングと登録型人材紹介の最も大きな違いは、対象となる人材の範囲です。登録型人材紹介は主に求職者が対象で、求職者以外の転職潜在層も含めてアプローチするヘッドハンティングとは異なります。
登録型人材紹介では、転職希望者がサービスに登録し、企業の希望とマッチする人材がいれば紹介を受ける「待ちの採用手法」です。対して、企業が必要とする人材をヘッドハンティング会社がサーチして見つけ出し、転職意思に関係なく直接アプローチする「攻めの採用手法」を取るヘッドハンティングは、転職市場に存在しない人材をサーチできるため、企業ニーズに合う希少人材を獲得できる可能性が高まります。
現代の日本のビジネス環境において、ヘッドハンティングが注目を集めている背景には、以下の3つの重要な要因があります。
日本は2010年をピークに人口減少時代に突入しました。人口減少は日本社会全体に大きな影響を与えており、労働市場も例外ではありません。特に、15歳から64歳までの生産年齢人口の減少は、企業の人材確保に直接的な影響を及ぼしているのです。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2060年には生産年齢人口が2010年比で約4割減少すると予測されています。単に労働力の絶対数が減少するだけでなく、労働市場の質的な変化による影響も深刻です。高齢化に伴い、熟練した技術や知識を持つベテラン従業員の退職が増加し、その技能継承が課題となっているほか、若年層の価値観の多様化により、従来の終身雇用を前提とした採用・育成システムが機能しにくくなりました。
企業の成長や存続のためには、優秀な人材を採用し続ける必要があります。しかし、採用できる候補者自体が年々減少している今、企業は従来の採用方法だけでなく、より戦略的な人材獲得手法を模索しなくてはいけません。ヘッドハンティングは、そうした新しい人材獲得戦略の一つとして注目を集めています。
ヘッドハンティングの利点は、企業が必要とする特定のスキルセットや経験を持つ人材を、より的確にターゲティングできることにあります。また、現在職に就いている優秀な人材にも直接アプローチすることで、企業が求めるレベルに近い人材を高い確率で獲得できるのです。
2009年に0.47倍まで落ち込んだ有効求人倍率は、2018年には1.61倍まで上昇しました。これは、求職者1人に対して1.61件の求人があることを意味し、日本経済の回復と企業の人材需要の高まりを反映したものです。労働市場は「売り手市場」へと転換し、求人倍率は2018年まで伸び続けてきました。新型コロナウイルス感染症の影響で2020年には一時的に落ち込んだものの、経済活動の再開とともに再び上昇傾向にあります。
この傾向は、特定の業界や職種において顕著です。特にITや医療・介護、物流などの分野では慢性的な人材不足が続いています。
転職市場における「顕在層」と「潜在層」の存在は、人材獲得戦略を考える上で非常に重要な概念です。顕在層とは、求人サイトや転職エージェントに登録して自ら積極的に転職活動を行っている人々を指します。一方、潜在層とは、現在の仕事に満足していないものの、積極的な転職活動は行っていない、あるいは転職を考えてはいるが具体的な行動を起こしていない人々のことです。
転職市場に現れる転職顕在層は約5%にとどまります。通常の採用では、この5%の人材からさらに自社に合う人材のみを絞り込んで探すことになるため、選択肢が極めて限られてしまい、本当に欲しい人材を採用できる確率は非常に低いと言わざるを得ません。特に、高度なスキルや専門知識を必要とするポジションの場合、適切な候補者を見つけることはさらに困難になります。
そこで注目されるのがヘッドハンティングです。ヘッドハンティングは、95%の転職潜在層にもアプローチできるため、より広い範囲から適切な人材を見つけ出せる可能性が高いと言えます。
ヘッドハンティングの最大のメリットは、先ほども触れたように「転職潜在層」へもアプローチし、企業のニーズにより近い採用を成功させられることです。ヘッドハンティング会社のリサーチャーが適任となる候補者を探し出し、アプローチして企業の代理人として交渉し移籍へ導きます。 ヘッドハンティングが有効なケースとしては、以下のような状況が挙げられます。
ヘッドハンターの情報源は業界誌・専門誌やSNS、業界に詳しい人物からの情報など、さまざまなルートを活用して集められています。そのため、通常の採用方法では見つけることが難しい人材にもアプローチできる可能性が高いのです。
大きなメリットがあるヘッドハンティングですが、デメリットも存在します。主なデメリットとしては以下の2点が挙げられます。
1. 採用コストが登録型人材紹介より高い
ヘッドハンティングでは、採用する人材が決まった際に発生する成功報酬の他に、リテーナーフィー(契約金)が発生します。リテーナーフィーは、ヘッドハンティング会社の活動費にあてらるものです。
2. 採用までの期間が長い
非転職活動者を含む広範囲から本当に必要な人材を探し出してアプローチするため、最初のアプローチから内定までに平均4~6か月程度の期間を必要とします。欠員補充や急募のポジションの採用においては適さない採用手法です。
これらのデメリットを考慮した上で、企業の状況や採用ニーズに合わせて、ヘッドハンティングの活用を検討する必要があります。
ヘッドハンティング会社にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。主な3つの種類を見ていきましょう。
欧米型はエグゼクティブサーチとも呼ばれ、CEOやCTOなどトップエグゼクティブ層をターゲットにする手法です。多くの場合、ターゲットを年収2000万円程度以上のポジションに限定しており、外資系企業がエグゼクティブ層を採用する際によく利用されます。高度な専門性と豊富な経験を持つ人材を見つけ出すことに特化した手法です。
欧米型ヘッドハンティングの特徴は、その徹底した調査と分析にあります。候補者の経歴や実績だけでなく、リーダーシップスタイル、戦略的思考能力、変革を推進する力など、多面的な評価を行うスタイルです。業界動向や競合他社の状況も綿密に分析し、クライアント企業にとって最適な人材を見極めます。
業界特化型は、特定の業界に絞ったサービスを提供する手法です。ヘッドハンター個人の経歴を武器に進めるため属人的になりがちで、限られた情報内での活動になりやすいのがネックですが、業界人脈を駆使したサーチが強みとなります。
特定の業界で深い知識と人脈を持つヘッドハンターが担当するだけに、専門性が非常に高いのが特徴です。例えば、IT業界専門のヘッドハンターであれば、最新の技術トレンドや業界固有の課題、主要プレイヤーの動向などを熟知しているため、クライアント企業のニーズを正確に把握し、適切な候補者を見つけ出せる確率が非常に高いとされています。
フルサーチ型は、企業が求める人材に沿って、多様な手法を駆使してターゲットをサーチ・ハンティングする手法です。主に対象となるターゲットは、希少スキルを持つ技術職・専門職やミドルマネジメント層となり、トップエグゼクティブ層を中心とする欧米型とは一線を画します。
幅広い業界や職種に対応できる柔軟性が特徴のため、企業は依頼する際に自社のニーズや求める人材のレベルを明確に決めておかないとミスマッチが生じる可能性がある点に注意しましょう。
ヘッドハンティングのプロセスは、一般的に以下の7つのステップで進められます。
企業とヘッドハンティング会社が契約した後に要件に合う候補者のピックアップから始まります。ロングリストとも呼ばれ、最初の母集団を形成する段階です。ヘッドハンターは様々な情報源を活用して、企業のニーズに合致する可能性のある人材をリストアップします。
企業とヘッドハンティング会社で、ピックアップした人材リストの中から実際にスカウトする候補者リストを仕上げる段階です。このリストは、ショートリストとも呼ばれます。より詳細な条件や優先順位を考慮し、最適な候補者を絞り込む重要な作業です。
ショートリストの人材へ手紙、メール、電話等でアプローチをして面談へ誘導します。この段階では、候補者の興味を引き出し、面談の機会を得ることが主な目的です。
まずはヘッドハンターと面談を行い、企業要件に合致するか、本人に移籍する可能性があるかといった点を見極める段階です。この面談では、候補者の経歴やスキル、キャリアの志向性などを詳しく聞き取り、企業のニーズとのマッチングを図ります。
企業と候補者が直接コンタクトをとります。「面接」ではなく「面談」であることがポイントです。面談は相互理解や入社後のエンゲージメントを高められるよう数回繰り返され、候補者と企業の双方が、お互いの適合性を確認します。
候補者の転職意向が高まった状態となったら、待遇や給与面でのオファーを提示して移籍条件のすり合わせを行います。具体的な条件交渉が行われ、双方が納得できる条件を見出すことが重要です。
最終的に内定が出され、候補者が承諾すると決定です。内定後も、ヘッドハンティング会社は円滑な転職と新しい環境への適応をサポートするためのフォローを行い、長期的な成功を確保することを目指します。
ヘッドハンティングは、企業が優秀な人材を獲得するための効果的な手法として注目されています。人口減少や求人倍率の上昇、転職顕在層の少なさといった背景から、 通常の採用では出会えない優秀な人材にアプローチできるヘッドハンティングの重要性は今後さらに高まるでしょう。
特に、転職を考えていない潜在層へのアプローチが可能なため、企業にとっては貴重な人材獲得の機会となります。 ただし、高いコストや長い採用期間といったデメリットもあるため、企業はそれらを考慮しつつ、自社のニーズに合わせて適切に活用することが重要です。
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