Page Top
雇い入れ時健康診断は、企業が新たに採用する従業員の健康状態を確認し、職場での安全と生産性を確保するために不可欠な手続きです。雇い入れ時健康診断の検査項目は労働安全衛生法によって定められており、新入職員の健康を守るために重要な役割を果たします。
本記事では、雇い入れ時健康診断の検査項目や、採用選考時健康診断との相違点、受診時の注意点について詳しく解説します。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
雇い入れ時健康診断は企業が新入職員を採用する際に、新入職員の健康状態を確認するために行われる健康診断です。全ての新入職員に対し、健康状態や職場での安全性を守るために行われます。
企業が雇い入れ時健康診断を実施する理由は、労働安全衛生法に基づく法的義務を果たすのに加え、新入職員の健康を守り、職場での安全性を確保するためです。
労働安全衛生法第43条では、企業が新入職員に対して雇い入れ時健康診断を実施する義務が定められています。雇い入れ時健康診断を実施しない場合、企業は労働基準監督署からの指導や罰則を受ける可能性があるのです。
また、雇い入れ時健康診断を実施することで、企業は新入職員の健康リスクを把握し、適切な管理を行えます。新入職員が業務を安全に遂行できるか事前に確認できると、業務中の事故や健康障害を未然に防げるでしょう。
雇い入れ時健康診断の対象者は、企業が新たに採用する全ての従業員で、正社員のみでなくパートタイムやアルバイトなども含まれます。
パートタイムやアルバイトに関しては以下の項目が当てはまり、かつ1週間の所定労働時間が業務に従事する正社員の4分の3 以上であるとき、実施する必要があります。
(※)特定業務従事者(深夜業、有機溶剤等有害業務従事者)にあっては 6 ヶ月以上
企業は全ての新入職員に対して適切な健康診断を実施し、その結果を記録する義務があるのです。全ての新入職員の健康状態を把握して全従業員の健康を守り、労働環境を安全に保ちます。
雇い入れ時健康診断で実施される11個の検査項目は、労働安全衛生法に基づいて定められています。以下の項目は新入職員の健康状態を総合的に評価し、業務に適した状態であるのかを確認するために必要です。
既往歴と業務歴の調査は、過去の持病や疾患の有無や以前までの業務環境や仕事内容について質問します。既往歴や業務歴が把握できると、現在の健康状態に影響を及ぼす可能性がある病歴や業務関連の問題を特定できます。
自覚症状(本人が感じる症状)と他覚症状(医師が診断で確認できる症状)の有無を検査します。自覚症状には疲労感や痛み、呼吸困難などが含まれ、他覚症状には皮膚の異常や聴診で確認される胸の音などがあります。
身長、体重、腹囲の測定は、肥満や体格に関する情報を提供し、メタボリックシンドロームや生活習慣病のリスクを評価します。視力や聴力は安全性や作業効率に直結するため、これらの検査結果に基づいた適切な業務配慮が求められます。
胸部X線検査は、肺や心臓の状態を確認するために実施されます。結核や肺炎などの呼吸器疾患や、大動脈瘤や心肥大などの循環器疾患を、早めに発見することが可能です。特に喫煙者や呼吸器疾患のリスクが高い人には、定期的な胸部X線検査が推奨されています。
血圧測定は、高血圧や低血圧のリスクを評価します。高血圧は心疾患や脳卒中のリスク要因であり、適切な管理が必要です。血圧が異常値を示した場合は、生活習慣の改善や治療を行うことが推奨されています。
貧血検査では血液中の血色素量や赤血球数を測定し、全身への酸素供給の低下がないのかを確認します。貧血は疲労感や集中力の低下を引き起こし、業務のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
肝機能検査では肝臓の酵素値(GOT、GPT、γ-GTP)を測定し、肝疾患の有無を確認します。肝臓は体内の毒素を処理し、エネルギーを供給する重要な臓器です。過度の飲酒や薬物の服用をしている人は、特に定期的な検査が推奨されています。
血中脂質検査ではLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の値を測定し、動脈硬化や心疾患のリスクを評価します。動脈硬化は心疾患の主要な原因であり、早めの発見と予防が重要です。
血糖検査は糖尿病のリスクを評価するために行います。糖尿病は合併症を引き起こす慢性疾患であり、早めの発見と管理が必要です。血糖値が高い場合、食事や運動療法による管理が必要となります。
尿検査は尿中の糖や蛋白の有無を調べる検査で、腎臓の状態や糖尿病のリスクを評価します。尿腎機能や内臓疾患の早期発見に役立つため、健康診断の重要な一項目とされています。
心電図検査は心臓の電気的活動を記録する検査で、心臓の状態を評価します。心電図検査によって、不整脈や虚血性心疾患などの心疾患の兆候を検出できます。
以下の条件を全て満たしている場合、企業は新入職員に対し雇い入れ時健康診断を省略できる可能性があります。
雇い入れ時健康診断は上記以外の条件で省略することは認められていません。労働安全衛生法に基づく法的な義務があるため、企業は新入職員の健康を守るためにも、原則として雇い入れ時健康診断を実施する必要があります。
雇い入れ時健康診断と採用選考時健康診断は、どちらも新入職員の健康状態を確認するための手続きですが、目的や法的義務などに違いがあります。
雇い入れ時健康診断は、主に新入職員が業務に適した健康状態であるのかを確認することを目的としています。それに対し採用選考時健康診断は企業が採用の可否を判断するための参考情報として実施されるケースが多いです。診断結果が採用の最終決定に影響を与える場合もあるでしょう。
採用選考時健康診断は、法的義務はなく職種によって健康条件が求められる場合にのみ実施可能です。採用選考時健康診断は職種差別につながらないように、健康診断の必要性を十分に説明し、業務に必要な項目のみに限定した診断のみ行うことが求められています。
雇い入れ時健康診断を受診する際には、いくつかの注意点があります。注意点を事前に押さえておくことで診断がスムーズに進み、正確な結果を得られるでしょう。
それぞれ説明します。
雇い入れ時健康診断の費用は労働安全衛生法に基づき、企業が新入職員の健康診断にかかる費用を全額負担する必要があります。企業が新入職員の健康を確保するために必要な費用とみなされているため、新入職員が負担する必要はありません。
企業が雇い入れ時健康診断の費用を負担するのは、新入職員が経済的な理由で、健康診断を受けない選択をする可能性を防ぐためでもあります。企業が負担する健康診断の費用は、診断項目や提携している医療機関の料金によって異なりますが、一般的には5,000円から20,000円程度です。
雇い入れ時健康診断に要する時間は、受診する医療機関によって異なりますが、一般的には30分から1時間程度です。医療機関が混んでいる場合は、さらに時間がかかることもあります。業務への支障をできるだけ抑えるためにも、実施時間を事前に把握したり、業務スケジュールを調整したりするのが大切です。
雇い入れ時健康診断に要する時間を正確に見積もり、スケジュールに余裕を持って受診することで、診断をよりスムーズに進められるでしょう。
雇い入れ時健康診断を全ての新入職員に漏れなく実施することは、企業にとって重要です。雇い入れ時健康診断を行うと、新入職員の健康を守り、安全な労働環境を提供することが可能となります。
特に、異なる職務内容や勤務形態に応じた対応が必要な場合、個々の健康状態を確認するのが不可欠です。漏れがあると健康リスクを見逃す可能性があり、結果として労働災害や健康障害のリスクが高まります。
企業が法的義務を果たし、全ての新入職員の健康を守るための対応が行えると、企業の信頼性が向上して従業員満足度の向上にもつながります。
雇い入れ時健康診断は、企業が新入職員を採用する際に実施すべき重要なプロセスです。新入職員の健康状態を把握し職場でのリスクを減らすために、11個の検査項目は労働安全衛生法に基づいて定められています。
採用選考時健康診断は職種によって健康条件が求められる場合にのみ可能な健康診断で、雇い入れ時健康診断と目的や法的義務が異なります。
雇い入れ時健康診断の費用は、一般的には企業が負担することが義務付けられており、新入職員が負担する必要はありません。所要時間の把握など、事前の準備をしっかり行えると、当日の雇い入れ時健康診断をスムーズに進められるでしょう。
DYMではバンコクや香港、ニューヨーク、ホーチミン・ハノイでも雇い入れ時健康診断を行っております。健診時は日本語での対応も可能で、労働安全衛生法によって定められた項目に沿って丁寧な検査を提供いたします。現地にお住まいの方はぜひご利用ください。
「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。
SNS広告
(Instagram、Facebook、Twitter、LINE、TikTok)
SNSアカウント運用代行
(Instagram・Facebook・Twitter・LINE・TikTok・Youtube)