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理系学生の採用は、企業の技術革新と成長を支える重要な戦略です。しかし、理系人材の減少や大手企業志向の高まりにより、中小企業を中心に多くの企業が採用に苦戦しています。
本記事では、理系学生採用の現状と課題、成功のポイント、効果的な選考プロセスを解説します。母集団形成から内定者フォローまでの具体的な手順も紹介しますので、理系学生のニーズに合わせた採用活動の戦略づくりにお役立てください。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
近年、テクノロジーの急速な発展に伴い、理系人材の需要が飛躍的に高まっています。しかし、理系学生の数は減少傾向にあり、企業の採用担当者にとって理系人材の確保は深刻な課題です。理系学生の採用市場における3つの主要な課題について詳しく見ていきましょう。
理系学生の減少は、企業の採用活動に大きな影響を与えています。文部科学省「理工系人材育成戦略」によると、理系学生の数は1999年度(平成11年度)の63.6万人をピークに減少し続け、2013年度(平成25年度)に至っては55.4万人とピーク時と比べて約8万人も減少しました。この減少傾向の背景には、少子化や理系学部の学費の高さなど、さまざまな要因があります。
理系学生は減少し続けていますが、理系人材のニーズは拡大し続けており、企業間の人員確保競争は年々激しくなるばかりです。このような状況下では、従来の採用手法だけでは十分な人材を確保することは困難でしょう。そのため、企業は理系学生の減少を前提とした新たな採用戦略を考える必要があります。
マイナビ「2022年卒大学生就職意識調査」によると、2022年度卒業の理系男子学生で5割以上が「絶対に大手企業がよい」または「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」と回答しています。この傾向は、近年の売り手市場と就職環境の好転によってさらに強まっています。
大手企業志向の背景には、知名度の高さや研究環境の充実、安定性などへの期待があります。理系学生の意識変化により、中小企業や知名度の低い企業は、理系学生との接点を持つことすら難しい状況です。中小企業は大手にはない魅力を明確に打ち出し、理系学生に訴求していく必要があります。例えば、若手でも中核的な仕事を任せる機会が多いことや、研究開発への直接的な関与ができることなど、大手企業にはない利点をアピールすることが効果的でしょう。
理系学生特有の就職活動時間の制約も、採用活動を難しくする要因の一つです。多くの理系学生は、大学3年生の後半から研究室に所属し、卒業研究や実験に多くの時間を割くことになります。そのため、文系学生と比べると就職活動に充てられる時間は少なめです。
企業説明会やインターンシップへの参加がしにくいため、企業と接点を持つ機会は限られます。研究や実験のスケジュールによっては、企業の選考日程と調整が難しいケースも少なくありません。このような状況に対応するためには、企業側が理系学生の事情を理解し、柔軟な選考を行うことが必要です。
理系学生の採用に苦戦する企業が多い中、成功の鍵を握るのは理系学生の特性を深く理解し、それを活かした採用戦略を立てることです。理系学生が持つ文系学生とは異なる独自の強みを正しく把握し、適切に評価することで、企業にとって大きな戦力となる人材を獲得できる可能性が高まります。ここでは、理系学生の主要な特徴と、それらをどのように採用活動に活かせるかについて詳しく見ていきましょう。
理系学生の最大の強みの一つは、数字に強く、定量的な思考ができることです。彼らは学生時代から数字を多く扱い、データ分析や統計処理などに慣れ親しんでいます。この能力は、ITエンジニアや研究開発職だけでなく、経営企画や財務管理などの分野でも大いに活用できるでしょう。例えば、企業の財務データを分析して経営戦略を立案する際に、理系学生の定量的思考は非常に有効です。マーケティング部門でのデータ分析や、生産管理における効率化の検討など、幅広い業務で活躍が期待できます。
採用担当者は、面接時に数字を使った問題解決の経験や、データ分析のスキルをヒアリングし、候補者の能力を適切に評価する際の参考にしてください。採用後のキャリアパスとして、数字を扱う部署でのローテーションを提示し、理系学生の興味を引く方法も有効です。
理系学生のもう一つの大きな強みは、継続力の高さとメンタルの強さです。多くの理系学生は、大学生活で長時間の実験や複雑な課題に取り組む経験を通して、困難な課題に粘り強く取り組む力や、失敗を恐れずにチャレンジする姿勢を身につけています。また、実験の失敗から学び、改善を重ねる過程は、ビジネスにおける問題解決能力の向上につながります。
採用担当者は、面接時に長期的な研究プロジェクトの経験や、困難を乗り越えた具体的なエピソードを聞いて、候補者の継続力とメンタルの強さを評価しましょう。長期的な視点でのキャリア形成や、チャレンジングな業務機会を提供できることをアピールすれば、理系学生が就職先の検討対象として認識する可能性もあります。
理系学生の三つ目の強みは、高い論理的思考力です。彼らは日々の研究活動を通じて、「問題提起→仮説立て→検証→改善」というサイクルを繰り返し経験しています。この過程で培われた論理的思考力は、ビジネスにおける問題解決や意思決定において非常に有効です。また、複雑な顧客ニーズの分析や、効率的な業務プロセスの設計など、幅広い場面で活躍が期待できます。
採用担当者は、面接時に論理的な問題解決の経験や、研究テーマの選定理由を聞き出し、候補者の論理的思考力の評価を行うとよいでしょう。さらに、企業側が論理的思考力を活かせるプロジェクトや業務内容を具体的に提示すれば、理系学生にとって魅力的に見えるかもしれません。
理系学生の就職活動は、文系学生とは異なる特徴や制約があります。研究活動と並行して就職活動を進める必要があるため、時間的な制約が大きいのが特徴です。
ここでは、理系学生の一般的な就活スケジュールを6つのステップに分けて詳しく見ていきます。各ステップの特徴や注意点を理解し、効果的な採用活動の参考にしてください。
理系学生の就活における自己分析は、文系学生と比べてより専門性に焦点を当てる傾向があります。多くの理系学生は、自分の研究テーマや専攻分野を軸に自己分析を行います。自分の専門知識や技術スキルを整理するだけでなく、それらをどのように職場で活かせるかについても分析を進めているはずです。研究活動を通じて身につけた問題解決能力やチームワークなどの汎用的なスキルも、重要な自己分析の対象となります。
採用担当者は、この段階の理系学生の思考プロセスを理解し、面接時に専門性と汎用性の両面からアプローチすると効果的です。さらに、自社の業務内容と学生の専門性のつながりを具体的に示すことで、学生の興味を引き出すことができるでしょう。
理系学生は、一般的に自身の専門分野と関連性の高い業界から業界研究を始めます。化学専攻の学生であれば、化学メーカーや製薬会社などを中心に調べ始めるといった具合です。しかし、近年のテクノロジーの進歩により、理系の知識や技術が幅広い業界で求められるようになっています。IT業界やコンサルティング業界など、一見専門分野と関係がないように見える業界でも、理系の知識が大いに活かせる環境になってきているのです。こうしたニーズの変化にともなって、理系学生も従来の枠にとらわれない幅広い業界研究を行っている可能性が高いことを理解しておきましょう。
自社の業界が理系学生の専門性をどのように活用しているかを具体的に示す方法は、理系学生へのいいアピールとなります。業界のトレンドや将来性、技術革新の状況なども説明すると、理系学生の関心を引くことができるでしょう。
理系学生は、企業研究において研究開発部門や技術部門に注目する傾向があります。彼らは自身の専門知識や技術を最大限に活かせる環境を探しているため、採用担当者は自社の技術力や研究開発の取り組みを具体的にアピールすることが大切です。例えば、最新の研究設備や技術開発の実績、特許取得数などは、理系学生の関心を引く重要な情報となります。若手社員の活躍事例や、キャリアパスの具体例を示すことも効果的です。
特に、入社後にどのような成長機会があるか、どのようなプロジェクトに携われるかといった情報は、理系学生の関心が高い項目と言えます。企業の社会貢献や環境への取り組みなども、持続可能な社会の実現に注目している理系学生が重視するポイントです。このような情報を、企業説明会やウェブサイト、パンフレットなどを通じて分かりやすく伝えることが、優秀な理系人材の獲得につながります。理系学生の関心に合わせた情報提供を行い、エントリーや選考への参加を促していきましょう。
OB・OG訪問は、理系学生にとって特に重要な就活ステップです。彼らは自身の専門性を活かせる職場環境や、具体的な業務内容について、より詳細な情報を求めています。OB・OGとの対話を通じて、大学で学んだ知識や技術がどのように実務に活かされているかを直接聞くことができるため、OB・OG訪問に強い関心を持っている理系学生が多いです。
理系学生のこうした志向を踏まえて、様々な専門分野や経歴を持つOB・OGを紹介できるよう準備するとよいでしょう。例えば、研究開発職だけでなく、技術営業や生産管理など、幅広い職種のOB・OGとの接点を用意することで、学生に多様なキャリアパスを提示できます。また、OB・OG訪問の際には、学生の研究テーマや興味のある分野に関連する具体的なプロジェクト事例を共有してもらうと効果的です。企業文化や働き方、ワークライフバランスなどの情報も、入社後の状況をイメージしてもらいやすい要素と言えます。
企業説明会は、理系学生が企業の全体像を把握し、自身のキャリアプランとのマッチングを図る重要な機会です。理系学生は技術力や研究開発の取り組みに強い関心を持つため、これらの点を重点的にアピールする戦略を立てます。
合同説明会では、短時間で自社の魅力を伝える必要があるため、最新の技術開発事例や、理系人材の活躍事例を具体的に紹介しましょう。個別説明会では、各部門の具体的な業務内容や研究開発のプロセス、使用している最新技術などを深く掘り下げて説明すると有効です。
理系学生は研究室の予定との調整が難しいケースもあるため、オンライン説明会の開催や、説明会の動画配信など、柔軟な対応を用意することも検討してください。説明会後のフォローアップとして、個別の質問対応や追加情報の提供を行うことで、学生との関係性を深めることもできます。
理系学生の選考プロセスは、彼らの専門性や研究活動を考慮して設計する必要があります。多くの理系学生は研究活動と並行して就職活動を行うため、柔軟なスケジュール設定が重要です。例えば、土日や夕方以降の面接時間の設定、オンライン面接の活用などが挙げられます。
選考内容においては、専門知識を活かした課題解決型の面接や、研究テーマに関するプレゼンテーションを取り入れると、学生の論理的思考力や専門性を評価しやすいです。技術面接では、理系学生の研究内容と自社の技術ニーズとのマッチングを丁寧に行います。
インターンシップを選考プロセスの一部として活用することも効果的です。実際の業務の体験を通して、理系学生は自身のスキルがどのように活かせるかを具体的に理解できます。理系学生の専門性を尊重し、それを活かせる具体的な業務内容や将来のキャリアパスを示して優秀な理系人材の獲得につなげましょう。
理系学生の採用を成功させるには、母集団形成から内定者フォローまで、各段階で理系学生の特性を考慮したアプローチが必要です。彼らの専門性や研究活動との両立を意識しながら、効果的な採用戦略を立てなければなりません。ここでは、採用プロセスの各段階における具体的なポイントと、それらを実践するための手法について詳しく見ていきましょう。
理系学生は文系学生に比べて数が少なく、また大手企業志向が強い傾向があるため、効果的な母集団形成戦略が不可欠です。この段階では、自社の魅力を幅広く発信し、できるだけ多くの理系学生に興味を持ってもらうことが目標となります。そのためには、従来の就職情報サイトへの掲載だけでなく、大学の研究室や学部との連携強化が必須です。さらに研究室単位での説明会を開催し、より多くの理系学生にリーチすることを意識しましょう。
理系学生が関心を持つテーマでのセミナーやワークショップの開催も効果的です。最新の技術トレンドや業界の課題解決をテーマにしたイベントは、理系学生の興味を引きやすいでしょう。さらに、SNSを活用した情報発信も忘れてはいけません。理系学生の特性を考慮した多角的なアプローチを行うことで、効果的な母集団形成が可能となります。
理系ナビなどの専門サイトは、理系学生の特性や就活ニーズに特化した機能を提供しているため、より効率的に優秀な人材とのマッチングが可能です。学生の研究分野や希望職種に基づいた詳細な検索機能を活用すれば、自社の求める人材像に合致した学生にピンポイントでアプローチできます。
理系ナビでは、企業の技術力や研究開発の取り組みを詳細に紹介するページを設けることができます。最新の技術プロジェクトや理系社員の具体的な業務内容、キャリアパスなどを紹介することで、学生に関心を持ってもらう狙いです。オンラインセミナーや技術説明会の開催情報を掲載し、自社の魅力を伝える機会を増やすのも戦略として有効でしょう。理系ナビを通じて学生とコミュニケーションを取る際は、技術的な質問に対して迅速かつ詳細に回答することが重要です。
多くの理系学生は、自身の専門性が実務でどのように活かせるのか、また研究と異なる環境で働くことへの不安を抱えています。このような不安に対応するため、まず、入社後のキャリアパスを具体的に示してください。先輩社員のキャリア事例紹介や、技術職から管理職へのキャリアチェンジに関する説明などを行うことで、理系学生は将来のビジョンを描きやすくなります。研究開発部門と他部門との連携事例を紹介することで、幅広い分野で専門性を活かせるというアピールも可能です。
入社後の継続的な学習機会や最新技術に触れる機会についても、具体的に説明しましょう。例えば、社内外の研修制度や、学会参加のサポート体制などを紹介することで、専門性を深める機会が豊富にあることをアピールできます。研究活動と就職活動の両立に悩む学生も多いため、柔軟な選考スケジュールの設定や、オンライン面接の実施など、学生の状況に配慮した対応を行うことも大切です。
多くの理系学生は、研究室の教授や先輩からの推薦を重視する傾向があるため、優秀な人材へのアプローチに、大学とのつながりを強化することが不可欠です。まずは大学のキャリアセンターとの関係構築から始めるのが良いでしょう。定期的に企業情報を提供したり、キャリアセンター主催のイベントに積極的に参加したりすることで、学生への露出を増やせます。また、学生に自社の技術力や研究開発の取り組みを直接アピールする機会として、研究室単位での説明会や技術セミナーを開催もおすすめです。
インターンシッププログラムの充実も重要です。研究テーマに関連したプロジェクトを体験できるインターンシップを提供することで、学生の興味を引き出し、自社への理解を深めてもらうことができます。ほかにも、大学との共同研究プロジェクトを立ち上げることができれば、長期的な関係構築ができます。
理系学生の選考では、彼らの専門性と研究活動を考慮した独自のアプローチが欠かせません。研究と就職活動の両立を支援するため、夕方以降や休日の面接設定、オンライン面接の活用など、柔軟なスケジュール調整が効果的です。
選考においては、学生の研究テーマに関連したケーススタディや技術的な課題解決を組み込んだ面接を実施すると、実践的な能力評価が可能です。技術面接では、学生の専門分野に精通した社員を面接官として起用し、深い議論を通じて技術力を適切に評価できる体制を整えることをお勧めします。
理系学生は、自身の専門知識や技術が実務でどう活用できるかに強い関心があるため、各職種の詳細な業務内容、必要なスキル、キャリアパスを説明することは大変重要です。研究開発職なら進行中のプロジェクト概要や最新技術、研究環境を、技術営業職や生産管理職なら理系のバックグラウンドがどう活きるかを明確に説明することが大切です。各職種の社員による業務紹介や一日のスケジュール公開も、理系学生の理解を深める助けになるでしょう。
多くの理系学生は内定後も研究活動を継続するため、企業との接点が限られがちです。そのため、定期的なコミュニケーションを取り、入社への不安を解消することが重要です。例えば、月に一度のオンラインミーティングを設定し、研究の進捗状況や就職への準備状況を確認するとともに、企業からの最新情報を提供します。また、内定者同士のコミュニティを作り、情報交換や交流の場を提供する方法は、入社後の人間関係構築にも役立つでしょう。
技術系の内定者向けセミナーを開催し、最新の技術トレンドや業界動向を紹介することで、入社への期待感を高めることができます。内定者の研究テーマに関連する部署の社員とのマッチングを行い、メンター制度を導入するのも良いでしょう。
理系学生の採用は、企業の成長と革新を支える重要な戦略です。理系人材の減少や大手志向という課題に直面していますが、適切なアプローチを取ることで、優秀な人材を確保できます。理系学生の強みを理解し、彼らのニーズに合わせた採用活動を展開すれば企業の技術力向上や新規事業開発につながります。柔軟な選考プロセスや大学との連携強化など、効果的な施策を実施し、競争が激しい採用活動を有利に進めていけば、企業の持続的な成長を実現できるでしょう。
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