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この記事では、ROI(Return on Investment:投資収益率)について詳しく解説します。ROIは、投資に対する収益性を測定する重要な財務指標であり、ビジネスにおける投資の効果や経営効率を評価するうえで欠かせないツールです。ビジネスにおけるROIの重要性、具体的な計算方法、そして実際の活用法を理解できれば、効果的な投資判断や経営戦略の立案が可能となります。特に経営者やマーケティング担当者、財務担当者の方々にとって有益な情報となるでしょう。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
ROI(Return on Investment)は、投資した金額に対してどれだけの利益が得られたかを示す指標です。日本語では「投資収益率」や「投資利益率」と訳されます。似たような意味の「コストパフォーマンス」が消費者目線の言葉であるのに対して、ビジネスシーンでは「ROI」が使われるのです。ビジネスにおいては、企業の経営効率や投資の妥当性を評価する際に広く用いられます。
ROIに関する重要なポイントは以下のとおりです。
それぞれ解説します。
ROIは、ビジネスにおいて非常に重要な指標です。ROIを活用すれば、投資の効果を客観的に評価でき、経営判断の基準となります。
具体的には、以下のような場面でROIが重要な役割を果たします。
ROIの活用は、経営者の限られた資源を効果的に配分し、企業価値の最大化を図る可能性を高めるでしょう。
近年、ROIがますます注目されている背景には、以下のような要因があります。
ROIの計算方法は、業界や目的によって異なります。ここでは、基本的なROIの計算方法、マーケティングROIの計算方法、そして業界別の具体的な計算例を紹介します。
それぞれ説明します。
ROIの基本的な計算方法は、以下の式であらわされます。
ROI(%) = (当期利益 ÷ 投資額) × 100
利益は、年々の税引後に増えた分(投資により得られた分)の金額です。
たとえば、100万円を投資して150万円の収益を得た場合、ROIは次のように計算されます。
ROI = ((150万円 – 100万円) ÷ 100万円) × 100 = 50%
この結果は、投資額の50%の利益が得られたと示しています。ROIが高いほど、投資効率が良いと判断できます。
マーケティングROIは、マーケティング活動の効果を測定するための指標です。計算方法は以下のとおりです。
マーケティングROI(%) = (マーケティングによる利益 ÷ マーケティング投資額) × 100
マーケティングによる利益は、マーケティング活動によって得られた売上から、マーケティング費用と売上原価を差し引いた金額です。
たとえば、100万円のマーケティング投資で200万円の売上を得て、売上原価が80万円だった場合、マーケティングROIは次のように計算されます。
マーケティングROI = ((200万円 – 80万円 – 100万円) ÷ 100万円) × 100 = 20%
各業界によってROIの計算方法や基準が異なります。ここでは、製造業、小売業、サービス業のROI計算例を紹介します。
製造業では、設備投資のROIが重要です。たとえば、1億円の新規設備投資をおこない、年間2000万円の利益増加が見込まれる場合、ROIは次のように計算されます。
ROI = (2000万円 ÷ 1億円) × 100 = 20%
この結果から、設備投資が年間20%の利益をもたらすと予測できます。さらに、製造業では、設備の耐用年数への考慮も必要です。設備の耐用年数が10年の場合、10年間で投資額の2倍以上の利益が得られる予想になります。ただし、技術革新のスピードや市場動向も考慮に入れる必要があるため注意しましょう。
小売業では、在庫投資のROIが重要です。たとえば、100万円の在庫投資をおこない、120万円の売上を得た場合、ROIは次のように計算されます。
ROI = ((120万円 – 100万円) ÷ 100万円) × 100 = 20%
この結果は、在庫投資が20%の利益率をもたらしたことを示しています。小売業では、在庫回転率も重要な指標です。在庫回転率が高ければ、同じ投資額でもより多くの売上を生み出せる可能性があります。また、季節性や流行の変化も考慮に入れ、適切な在庫管理が求められます。
サービス業では、人材投資のROIが重要です。たとえば、社員教育に100万円投資し、生産性向上により150万円の利益増加が見込まれる場合、ROIは次のように計算されます。
ROI = ((150万円 – 100万円) ÷ 100万円) × 100 = 50%
この結果から、人材投資が50%の利益率をもたらすと予測できます。さらに、サービス業では、人材の質が直接的に顧客満足度や売上に影響するため、継続的な教育投資が重要です。また、従業員の定着率向上や業務効率化などの間接的な効果も考慮に入れると、実際のROIはさらに高くなる可能性があります。
ROIは重要な指標ですが、ビジネスの全体像を把握するには他の指標も理解する必要があります。ROIとあわせて覚えておくべき5つの指標を紹介します。
それぞれ説明します。
ROASは広告費用対効果を測定する指標です。日本語では「広告費用の回収率」や「費用対効果」と表現され、広告費用に対する売上の比率をあらわします。
計算式は以下のとおりです。
ROAS = 広告による売上 ÷ 広告費用(コスト) × 100
ROASが重要な理由は、広告投資の効率性を直接的に評価できるからです。たとえば、100万円の広告費用で500万円の売上を得た場合、ROASは500%となります。ROASが高いほど広告効果が高いと判断できますが、適正な数値は業界や商品によって異なります。
ROEは自己資本利益率をあらわす指標で、企業が株主の投資をどれだけ効率的に利益に変換しているかを示します。日本語では「自己資本利益率」と表現されます。
計算式は以下の通りです。
ROE = 当期純利益(会社が1事業年度に株主全体にもたらした利益) ÷ 自己資本(株主が出資したお金も含む) × 100
ROEが重要な理由は、投資家にとって企業の収益性を判断する重要な指標だからです。当期純利益が1億円、自己資本が10億円の場合、ROEは10%となります。一般的に、ROEが10%以上あれば良好とされていますが、業界によって基準は異なります。
ROICは投下資本利益率をあらわす指標で、企業が事業に投じた資本をどれだけ効率的に利益に変換しているかを示します。
計算式は以下の通りです。
ROIC = 税引後営業利益 ÷ (自己資本 + 有利子負債) × 100
企業の本業における収益力を評価でき、すべての資産を使ってどれくらいの純利益をあげたかがわかるため重要視されています。税引後営業利益が2億円、投下資本が20億円の場合、ROICは10%です。ROICが資本コストを上回っていれば、企業価値を創出していると判断できます。
ROAは総資産利益率を表す指標で、企業が保有する総資産をどれだけ効率的に利益に変換しているかを示します。
計算式は以下の通りです。
ROA = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
企業の総合的な収益性を評価できる点が重要な指標とされている点です。当期純利益が3億円、総資産が50億円の場合、ROAは6%となります。ROAはROEと並び、数値が高いほど一般に好ましいとされ、代表的な指標のひとつとなっています。
CPAは顧客獲得単価を表す指標で、新規顧客1人を獲得するためにかかるコストを示します。
計算式は以下の通りです。
CPA = マーケティング費用 ÷ コンバージョン件数
CPAが重要な理由は、マーケティング活動の効率性を評価できるからです。
マーケティング費用が100万円で50人の新規顧客を獲得した場合、CPAは2万円となります。
広告を出稿する際にはCPAの目標値を設定し、運用時は随時CPAをチェックしながら効果を追っていくと成果を最大限に引き出せる可能性が高まるでしょう。
ROIの活用で得られるおもなメリットは以下の3つです。
それぞれ説明します。
ROIを用いると、投資の効果を客観的に評価できます。
ROIは投資額に対する利益の割合を数値化するため、投資の成果を明確に把握できるからです。100万円の投資で20万円の利益が得られた場合、ROIは20%となります。この数値が高いほど、投資効率が良いと判断できます。
ROIを活用すれば、事業や施策の成否を具体的な数字で判断できるようになるため、効果的な投資判断ができるでしょう。
時系列での比較も可能になり、投資効果の推移を追跡し、長期的な戦略立案にも役立ちます。
ROIを用いると、規模の異なる事業や施策の効果を簡単に比較できます。
ROIは投資額の大小に関わらず、利益率を統一的な基準で表すからです。1,000万円の投資で100万円の利益を得た事業(ROI 10%)と、100万円の投資で20万円の利益を得た事業(ROI 20%)を比較すると、後者の方が投資効率が高いと判断できます。
ROIの活用で、複数の事業や施策の中から最も効果的なものを選択し、経営資源を適切に配分できるようになります。さらに、業界平均や競合他社とのベンチマーキングにも活用でき、自社の競争力を客観的に評価できるでしょう。
ROIは、経営判断をおこなう際の強力なサポートツールとなります。
ROIは投資の効果を客観的な数値で示すため、意思決定の根拠として活用できるからです。新規事業への投資を検討する際、予測されるROIが既存事業よりも高ければ、投資の妥当性を裏付ける材料となります。
感覚的な判断ではなく、ROIによるデータに基づいた合理的な経営判断が可能になります。株主や投資家に対しても、投資判断の根拠を明確に示すことができ、企業の説明責任を果たすうえでも有効です。
ROIには多くのメリットがありますが、注意すべきデメリットも存在します。
ROIのおもなデメリットは以下の2つです。
それぞれ説明します。
ROIは短期的な投資効果の測定には適していますが、長期的な評価には適していません。
ROIは計測時点での投資額と利益を基に算出されるため、将来的な成長性やリスクを反映できないからです。新規事業への投資は初期段階ではROIが低くても、長期的には大きな利益をもたらす可能性があります。
ROIだけで判断すると、将来性のある事業や施策を見逃す可能性があるため、長期的な視点での考慮も必要でしょう。短期的なROIを重視しすぎると、イノベーションの抑制や市場シェアの喪失、人材育成の軽視などの問題が生じる可能性があります。
ROIは数値化できる利益のみを評価するため、数値化が難しい価値を適切に評価できません。
ROIは金銭的な利益をもとに算出されるため、ブランド価値の向上や顧客満足度の改善といった定性的な効果を反映できないのです。企業の社会的責任(CSR)活動は直接的な利益を生まなくても、長期的な企業価値向上につながる可能性があります。
ROIだけでなく、定性的な評価もあわせておこない、投資の総合的な価値を適切に判断することが重要です。
短期的なROIでは判断が難しい価値の例は以下のとおりです。
ROIを向上させるには、おもに以下の3つの方法があります。
それぞれ説明します。
売上を伸ばすことは、ROIを向上させるもっとも直接的な方法です。売上の増加はROIの計算式の分子である利益を高めるため、ROIの数値が向上します。売上を伸ばすためには、以下のような施策が効果的です。
これらの施策を適切に組み合わせられれば、売上を効果的に伸ばし、ROIの向上へとつながるでしょう。
実際にかかるコストの削減も、ROIを向上させる効果的な方法です。理由としては、ROIの計算式の分母である投資額を減らすためです。ただし、単純なコスト削減ではなく、効率化を図ることが重要です。具体的には以下のような施策が考えられます。
業務プロセスの最適化や新技術の導入により、生産性を向上させつつコストを削減し、ROIを改善することも可能です。
マーケティング活動を効率化するマーケティングオートメーション(MA)はROIを高めます。MAを使用すれば、人手をかけずに効果的なマーケティング活動を展開できるため、効率的に売上を伸ばしつつ、コストを抑えられます。
具体的な活用方法は以下のとおりです。
MAの活用は、人的リソースを削減しつつ、より効果的なマーケティング活動へとつながるでしょう。
ROIに関してよくある質問について、以下で回答します。
ROIと費用対効果は似た概念ですが、厳密には異なります。
ROIは投資に対する利益の割合を示す指標で、数値で表されます。一方、費用対効果は投資に対する効果を広く評価する概念で、必ずしも数値化されるとは限りません。
たとえば、広告キャンペーンのROIが150%だった場合、投資額の1.5倍の利益が得られたことを意味します。一方、費用対効果では、ブランド認知度の向上など、数値化しにくい効果も含めて評価します。
ROIの具体的な「良い」水準は業界や事業によって異なります。ROIについては、0%を下回らないという点がひとつの基準とされています。ROIが0%以上であれば利益を出している状態であり、マイナスの場合は赤字です。
業界ごとに平均的なROIが異なり、企業の成長段階によっても適切なROIの水準もさまざまです。以下に業界別の目安を示します。
ただし、これらはあくまで目安であり、自社の状況や競合他社との比較を踏まえて、適切な目標の設定が欠かせません。
ROIは投資の効率性を測る重要な指標です。本記事では、ROIの概念、計算方法、活用方法、そして向上させるための3つの方法について解説しました。
ROIを向上させるためには、以下の方法が効果的です。
ただし、ROIだけでなく、長期的な視点や数値化しにくい価値も考慮に入れる必要があります。
企業の成長段階や業界特性に応じて適切なROI目標を設定し、継続的に改善を図ることで、ビジネスの成功につながるでしょう。
WEBマーケティングにおいてROIを向上させるには、専門的な知識と経験が必要です。
株式会社DYMのWEB事業部では、リスティング広告、SEO対策、SNS広告、DSP・ネイティブ広告、アフィリエイトなど、多様なデジタルマーケティング手法を駆使して、クライアント企業のROI最大化をサポートしています。
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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。
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