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企業が障害者を雇用する際に助成金や補助金を活用すると、障害者の就労機会が広がるだけでなく、企業側も負担を軽減しつつ社会的責任を果たせます。本記事では、障害者雇用に関する助成金の種類や利用の条件、受給時の注意点などについて詳しく解説します。助成金の利用を検討している企業担当者や、障害者の就労支援に関わる方は、参考にしてください。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
障害者雇用助成金とは、障害者を雇用する企業に対して支給される助成金や補助金の総称です。障害者の就労機会を拡大し、企業が障害者を安定的に雇用するために活用されており、厚生労働省や地方自治体が中心となって運用されています。経済的な負担を軽減しつつ、障害者の雇用促進に向けて活用する企業が増えてきました。
障害者雇用助成金は、対象となる企業や雇用形態、支給条件などが異なるため、一見複雑に見えます。しかし、適切に活用すれば、障害者の雇用を促進し、働きやすい環境を整えられるのです。企業はより多くの障害者を雇用しやすくなり、障害者も安定した雇用機会を得られます。さらに、定着支援や職業訓練を通じて、障害者は職場で必要なスキルや経験を積み、キャリア構築もできるでしょう。
障害者雇用助成金は、企業が障害者を雇用する際にぜひとも活用したい制度です。
障害者雇用に関する助成金には、企業のニーズや雇用の目的に応じて4つの種類があります。障害者雇用の助成金の種類は以下の通りです。
それぞれ目的別に説明します。
初回雇用やトライアル雇用に関する助成金は、障害者を初めて雇用する際や試用期間を設けて雇用する際に支給されます。
「障害者初回雇用奨励金」は中小企業が初めて障害者を雇用し、法定雇用率を達成する場合に支給される助成金です。法定雇用率達成には期間が必要ですが、支給されることによって、職場環境の改善などに利用できるでしょう。
「トライアル雇用助成金」は、一定期間のトライアル雇用を行った後、障害者を正式に雇用する企業に対して支給される助成金です。トライアル期間中の賃金補助が含まれており、「障害者トライアルコース」と「障害者短時間トライアルコース」の2種類があります。
初回雇用やトライアル雇用以外の障害者雇用助成金は、障害者の長期雇用や職場定着の支援を目的に支給されます。
「障害者雇用安定助成金」は障害者が安心して働くことができるよう工夫する企業へ支給する助成金です。主に以下の3つのコースに分かれています。
いずれも障害者の職場への定着や適応を目的とした助成金となるため、必要に応じて活用しましょう。
「特定求職者雇用開発助成金」は、障害者を含めたさまざまな事情により就職が難しい人を雇用する企業に支給される助成金です。複数のコースのうち、障害者を対象としたコースは2つあります。
それぞれのコースによって支給要件に違いがあるため、内容を詳細に確認することが必要です。
障害者が職場に適応するための環境整備や、企業が障害者をサポートする体制を強化するために支給されます。
障害者雇用安定助成金における「障害者職場定着支援コース」では、障害特性に応じた雇用の見直しや働き方の工夫を行う企業に助成金を支給しています。令和3年に助成金の統廃合が行われ、現在実施されている助成金は以下の通りです。
特に「職場適応援助者助成金」は、障害者が職場に適応し、スムーズに働けるようジョブコーチによる支援を行う企業へ支給される助成金です。ジョブコーチによる支援を行うことで、職場への定着や雇用促進に繋がるでしょう。
障害者が仕事において必要なスキルを身につけるための訓練を支援するものです。
「障害者能力開発助成金」は、障害者に職業訓練を提供する施設・事業者に支給される助成金です。障害者のスキルアップを支援するために必要な費用を助成するものであり、第1種から第4種までの助成金が設定されています。
具体的な助成対象は以下のとおりです。
さらに、職業訓練から雇用まで行った場合も助成対象となるため、雇用促進の面においても役立つ助成金と言えるでしょう。
特定求職者雇用開発助成金は、就職が難しい障害者を雇用する企業に支給される助成金です。障害者の雇用促進を目的としており、企業が特定の障害者を雇用する場合に支給されるもので、さまざまなコースが用意されています。コースは障害者の特性や雇用形態に応じた内容になっており、企業のニーズに合わせて選択できます。
特定就職困難者コースは、就職が特に難しいとされる障害者を雇用する企業に対して助成金が支給されます。身体障害や知的障害、精神障害者などを雇用すると助成金が支給され、雇用に伴う費用の一部が補助されるコースです。障害者の雇用開始時に一定額の助成金が支給されるだけでなく、その後の雇用継続期間に応じて追加の助成金が支給されます。
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースは、発達障害の方や難治性疾患を抱える方の雇用を支援するための助成金です。発達障害者や難治性疾患患者は、一般的な就労環境に適応するのが難しい場合があり、特別に配慮するためのコースとして提供されています。
業務の進め方を個々の障害に合わせて調整したり、コミュニケーションの工夫を図ったりして、対象者の能力を最大限に活かす支援が中心です。企業は障害者の特性に応じた効果的な雇用戦略を立てられ、結果として職場全体のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。
企業が障害者をトライアル雇用する際に利用できる助成金制度です。障害者を一定期間試行的に雇用し、その間に障害者の能力や職場適応性を評価することを目的としています。
トライアル期間と支給額は以下のとおりです。
企業は経済的な負担を軽減しつつ、障害者の職場適応を慎重に見極められるため、双方のミスマッチを防ぎやすくなります。
企業が障害者をトライアル雇用する際に利用できる助成金制度です。障害者を一定期間試行的に雇用し、その間に障害者の能力や職場適応性を評価することを目的としています。
トライアル期間と支給額は以下のとおりです。
トライアル期間中は徐々に勤務時間を延ばしていくため、障害者の適応状況に合わせた働き方ができるでしょう。
障害者雇用安定助成金の申請手順は選択するコースによって申請手順が異なるため注意が必要です。今回は障害者雇用安定助成金における障害者職場定着支援コースを例に説明します。
①受給資格認定申請
最初の措置を開始する日の前日から起算して1か月前までに「職場定着支援計画」を作成し、管轄労働局へ提出します。
②支給申請
受給資格の認定を受けた後、計画に基づき措置を実施します。各措置に定められた要件を満たした日の翌日以降の支給申請期間中に、支給申請に必要な書類を管轄労働局へ提出しましょう。
③支給申請期間
計画期間中の最初にくる支給対象期分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月間を第1期支給申請期間とし、以後6か月ごとに支給申請期間が第2期、第3期と続きます。
障害者雇用安定助成金の申請手順は複雑です。詳細なガイドラインや行政のサポートを受けながら、申請手続きをスムーズに進めてください。
人材開発支援助成金は、企業が従業員に対して提供する教育訓練やスキルアッププログラムを支援する助成金です。この助成金は、障害者を含む全ての従業員のスキル向上を目的としており、特に職業能力の向上を図るための訓練や教育プログラムを実施する企業に対して支給されます。障害者の雇用においても、この助成金を活用すれば、障害者が職場で必要なスキルを習得し、効果的に働くことができるよう支援することが可能です。
人材開発支援助成金は、さまざまな職業訓練や研修プログラムに利用できます。たとえば、障害者が新たな業務に従事する際に必要となる専門知識や技術を習得するための研修費用や、外部講師を招いて行う社内研修の費用などが対象です。障害者が職場でのパフォーマンスを向上させるための個別指導や、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)も支援対象となります。
さらに、この助成金は、職場全体のスキルアップを図るためのプログラムにも適用されるのが大きな特徴です。たとえば、企業全体でのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環として、障害者を含む全従業員を対象としたITスキルの向上研修を実施する際にも、この助成金を活用できます。障害者が新たな業務にスムーズに移行できるよう支援し、職場での価値を高めることが可能です。
人材開発支援助成金の申請手続きは次のように進めます。
企業が実施予定の訓練や研修プログラムを記載した計画書を各都道府県労働局へ提出することが必要です。その後、訓練実施後、訓練終了日の翌日から起算して2か月以内に支給申請書と必要な書類を労働局へ提出したら、助成金支給に関する審査が行われ、支給が決定されます。
人材開発支援助成金を活用することで、企業は障害者のスキルアップを効果的に支援し、職場での役割を拡大する足掛かりがつかめるでしょう。障害者は自信を持って新たな業務に取り組むことができ、企業全体の生産性向上にも寄与します。障害者が新しい技術や業務に適応するための訓練を積極的に支援することは、長期的な雇用維持と職場定着にとって重要な要素となるはずです。
障害者雇用に関連する助成金を受け取る際には、企業は助成金の不正受給に対するリスクを理解し、回避するための対策を講じることが重要です。不正受給は、企業の信頼を損ねるだけでなく、法的な制裁を受ける可能性があります。助成金不正受給のリスク回避策は以下の通りです。
助成金の申請時には、助成金の対象となる条件や支給要件に基づいて申請書類を作成しなければいけません。申請書では、正確かつ詳細な情報提供を行いましょう。助成金の対象となる経費は、領収書や支出明細書を保管し、後に監査が行われた際に適切に対応できるよう整理しておくことも重要です。
助成金を適正に利用するために、社内での監査体制を整えてください。助成金の管理部署や担当者を明確にし、定期的に助成金の利用状況を確認するプロセスを設けることで、不正受給のリスクを低減することができます。また、助成金の申請や利用に関して不明点がある場合は、速やかに専門家や関係機関に相談し、適切な指導を受けることも必要です。
助成金の不正受給を防ぐためには、職員への倫理・コンプライアンス強化の教育が必要です。企業全体で助成金の適正利用に関する認識を共有し、不正行為を未然に防ぐための教育プログラムを行いましょう。たとえば、助成金の申請方法や使用ルールに関する社内研修を定期的に行うことで、全職員が助成金の適正利用に対する意識を高められます。
万が一、助成金の申請後に不正が発覚した場合、関係機関への報告など、適切な対応を取ることが急務です。不正が意図的でない場合でも、適切な対応を怠った場合、重大な問題に発展する可能性があることを考えておかなければいけません。助成金の利用は常に透明性を保ち、企業としての社会的責任を果たせるように対応しましょう。
上記の対策を講じ、企業は助成金の適正利用で社会的信頼を維持することが必要です。
障害者雇用において、職場定着は重要な課題です。雇用が開始されても、職場にうまく適応できない場合、早期に退職してしまうリスクがあるため、職場定着を支援するさまざまな対策が必要です。職場定着に関する主な課題と具体的な解決策について説明します。
職場定着を促進するためには、現場の理解を深めることが不可欠です。障害者が職場で長く働き続けるためには、同僚や上司が障害者の特性や必要な配慮について理解し、適切なサポートを提供する必要があります。現場の理解が不十分な場合、障害者が孤立したり、職場環境に適応できない原因となるでしょう。
現場の理解を深める方法には、全職員へ障害に関する教育や研修を行うことです。たとえば、障害者の特性や対応方法に関するセミナーや定期的なフォローアップ研修を行い、具体的な事例や現場における課題について理解を深めるとよいでしょう。
障害者とサポート役となる職員との間で、コミュニケーションを密に取ることも重要です。定期的なミーティングやカジュアルな相談の機会を設けることにより、障害者が抱える課題や不安を早期に把握し、適切な対応を取ることができます。職場内での理解が深まり、障害者が安心して働ける環境を構築できるでしょう。
現場の理解を深めることは、障害者の職場定着を支援する上で非常に重要な要素です。職場全体の理解と協力によって、障害者は安心して業務に取り組み、長期的な雇用を実現してください。
障害者の職場定着を促進するためには、職場全体で障害に対する理解を広げる取り組みが必要です。障害に対する理解が不足していると、誤解や偏見が生じ、障害者が職場で安心して働くことが難しくなります。以下のような職場全体での意識改革や障害への正しい知識の普及が必要です。
障害者の職場定着の一歩として、職場全体で障害に対する基本的な知識を共有することが大切です。たとえば、障害の種類や特性、配慮すべき点などを職場で共有し、理解を深めるための教育プログラムを導入するとよいでしょう。特に、新入社員や新しく障害者と関わる職員に対しては、早期に研修を実施して障害への正しい認識を持つことができるよう教育する必要があります。
障害者と健常者が共に働く職場環境を作るために、インクルーシブな職場文化の醸成が必要です。障害者と健常者が互いに支え合い、協力し合うことで、職場全体の一体感が高まります。チームビルディングの一環として、障害者と健常者が共に参加するイベントやワークショップを開催する方法も有効です。職場内での信頼関係が強まり、障害者が職場に定着しやすくなります。
定期的に職場の状況を見直し、障害者が働きやすい環境を維持するための取り組みを続けることも重要です。フィードバックを基に職場環境を改善し、必要に応じて柔軟に対応することにより、障害者が長く働き続けられる職場を実現することができます。また、障害に対する理解を広げる取り組みは、職場全体の意識改革につながり、障害者の職場定着を強力にサポートする効果があるでしょう。
障害者雇用の促進には、助成金や補助金の活用が効果的です。適切に利用することにより、企業は障害者の雇用を安定させ、職場環境の改善につながります。さらに、助成金の不正受給を防ぐためには、正確な申請と適正な利用が重要となるため、企業全体でのコンプライアンス意識を高めることも欠かせません。職場全体で障害に対する理解を深め、支援体制を強化することが、障害者の長期雇用を実現する環境づくりにつながるでしょう。
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