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「営業利益」と「経常利益」は経営における重要な指標です。売上に対する利益が気になる経営者や財務担当者の方も多いでしょう。本記事では、営業利益の定義や計算方法を分かりやすく解説し、経常利益との違いについても掘り下げます。読了後には、損益計算書の理解が深まり、自社の経営状態を把握しやすくなるでしょう。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
営業利益は、企業の本業での稼ぐ力を示す重要な指標です。損益計算書上に表示される利益の一つで、企業が主力事業から得た利益を表します。具体的には、売上高から売上原価と販売費・一般管理費を差し引いて算出されます。
営業利益は、企業の収益力を評価する上で欠かせない数字です。なぜなら、本業での利益を示すため、企業のコアビジネスの健全性を直接反映するからです。高い営業利益は、企業が効率的に事業を運営し、競争力のある製品やサービスを提供していることを意味します。
また、営業利益は外部のステークホルダーにとっても重要な指標となります。投資家や金融機関は、企業の営業利益を見ることで、その企業の将来性や財務的安定性を判断します。そのため、営業利益を向上させることは、資金調達や企業価値の向上にもつながるのです。
営業利益を正確に算出するためには、いくつかの重要な要素を理解し、適切に計算する必要があります。ここでは、営業利益の計算に不可欠な「売上高」「売上原価」「販管費」について詳しく解説し、これらの要素がどのように損益計算書(PL)に反映されるかを説明します。これらの概念を理解することで、企業の本業における収益力をより正確に把握することができるでしょう。
売上高は、企業が提供する商品やサービスによって得た売上の合計額を表し、企業の規模や事業の成長を示す基本的な指標です。売上高自体は企業の収益性を直接示すものではありませんが、企業が市場においてどれだけの規模で商品やサービスを提供できているかを把握する上で不可欠です。売上高の増減は、ビジネスの拡大や縮小、または市場環境の変動を反映しており、経営者や投資家にとっては重要な判断材料となります。
売上高は企業の収益における最初のステップですが、これには製造や販売にかかる費用が含まれていません。つまり、売上高がいくら大きくても、売上原価や販管費が高ければ、最終的に得られる営業利益は小さくなる可能性があります。そのため、売上高だけで企業の業績を評価することはできず、他の要素とのバランスを見ながら総合的に判断する必要があります。
売上原価は、企業が商品やサービスを提供するために直接かかった費用を指し、企業のコスト構造を反映する重要な項目です。具体的には、商品を仕入れたり、製造したりする際にかかった費用や、サービスを提供するための直接的なコストが含まれます。製造業であれば原材料費や部品の調達費、労働力のコストが売上原価に該当します。一方、小売業では商品を仕入れるためにかかる費用が該当します。
売上原価は企業の利益率に大きな影響を与えます。原価が高いと売上総利益が減少し、結果的に営業利益にも影響します。そのため、企業はしばしばコスト削減や効率的な製造プロセスを追求し、売上原価を下げることで営業利益の向上を目指します。ただし、原価を下げすぎると品質が低下するリスクもあるため、バランスが求められます。
販管費は、販売活動および企業の一般的な運営にかかる費用の合計で、企業の経営コストを把握する上で重要な要素です。販管費は大きく2つに分けられます。一つは販売費であり、これは商品やサービスを市場に送り出すための広告宣伝費、営業活動にかかる人件費、マーケティング費用などが含まれます。もう一つは一般管理費で、企業全体の運営に必要な費用として、オフィスの賃貸料、水道光熱費、消耗品費、さらには従業員の給与などが含まれます。
販管費は企業の成長と共に増加する傾向にありますが、この費用をいかに効率的に管理するかが、営業利益を高めるための鍵となります。例えば、広告費を効率的に運用して売上を伸ばしたり、オフィス運営費用を削減したりすることで、販管費を抑えることが可能です。特に、IT化やデジタルツールの導入によって、販管費を削減しつつ効果的な営業活動を展開する企業も増えています。
損益計算書(Profit and Loss Statement, P/L)は、企業の収益と費用、そして利益を一定期間にわたり示す財務諸表であり、企業の経営成績を一目で把握するために欠かせない資料です。損益計算書には、売上高、売上原価、販売費および一般管理費、営業利益、経常利益、当期純利益などの項目が含まれ、企業の経営成績を包括的に理解するために活用されます。
この財務諸表において、営業利益は企業の本業による利益を示す重要な指標であり、経営者や投資家にとって、企業の本業がどれだけうまく機能しているかを評価するための基準となります。また、損益計算書は、企業が長期的に持続可能な成長を実現するために重要な意思決定を行う際の根拠となるため、その内容を正確に理解することが求められます。
営業利益を上げるためには、企業が日常的に行うビジネス活動において、売上高、売上原価、そして販管費の3つの要素を効率的に管理することが必要です。営業利益は、売上高から売上原価と販管費を差し引いて算出されるため、これらの要素のいずれか、または複数にアプローチすることで利益を向上させることが可能です。
以下では、営業利益を上げる具体的な方法について、売上高の増加、売上原価の削減、そして販管費の見直しに焦点を当てて解説します。
売上高を上げる方法は、企業が収益を増やすために最も直接的なアプローチです。売上高を増やすためには、販売する商品やサービスの数量を増やすか、価格を上げる必要があります。販売数量を増やすためには、新規顧客を開拓し、既存顧客との関係を強化することが有効です。
また、広告宣伝を強化し、認知度を高めることも売上向上に寄与します。特に、デジタルマーケティングやSNSを活用した広告戦略は、低コストで広範囲にリーチできる効果的な方法です。
一方、販売価格を上げる場合は、単純な値上げではなく、製品やサービスに付加価値をつけることが重要です。付加価値を提供することで、顧客は価格以上の価値を感じ、価格上昇に対して納得しやすくなります。例えば、サービスの質を向上させる、または商品に新機能を追加するなどが考えられます。
売上原価を見直すことは、営業利益を向上させるための有効な手段の一つです。売上原価は、商品の仕入れや製造に直接かかるコストを指し、このコストを削減することで、売上総利益が向上します。
具体的には、原材料の仕入れ先を変更し、より安価な材料を確保することや、大量購入によるコスト削減が考えられます。また、生産プロセスの効率化や、廃棄物の削減といった取り組みも、原価を下げるための効果的な手法です。
ただし、原価を削減する際には、品質を損なわないよう注意する必要があります。品質が低下すると顧客満足度に悪影響を及ぼし、結果的に売上高が減少する可能性もあります。そのため、原価削減の取り組みは、品質を維持しつつ効率化を図るというバランスが重要です。
販管費の見直しも、営業利益を向上させるための重要なポイントです。販管費には、広告費、従業員の給与、オフィスの賃貸料、水道光熱費など、企業の運営にかかる費用が含まれます。これらのコストを削減するためには、無駄な支出を減らし、効率的な運用を目指す必要があります。例えば、デジタル広告の効果測定を行い、広告費用をより効果的に配分することで、無駄な広告費を削減することができます。
また、オフィスの賃貸料や光熱費の削減も、固定費を見直す手段として有効です。リモートワークやフレキシブルオフィスの導入により、オフィススペースを最適化し、固定費を削減する企業も増えています。さらに、業務プロセスを自動化し、従業員の業務負担を減らすことで、人件費の削減や業務効率の向上を図ることも可能です。
企業の収益を測るためには、営業利益だけでなく、他にもいくつかの重要な利益指標があります。これらの指標はそれぞれ異なる計算方法や役割を持ち、経営判断や企業評価において欠かせないものです。
例えば、営業利益は企業の本業から得られる利益を示しますが、経常利益や当期純利益などは、本業以外の要素や税金の影響を考慮した利益を示します。これから、営業利益と他の代表的な利益指標との違いを詳しく見ていきます。
経常利益は、営業利益に「営業外収益」を加え、「営業外費用」を差し引いて算出される利益です。営業利益が本業の収益を示すのに対して、経常利益は企業の通常の事業活動全体から得られる利益を示します。例えば、受取利息や有価証券の利息など、本業以外で得た収益が経常利益に含まれます。
また、借入金の利息や社債の発行費用などの営業外費用も考慮されます。これにより、経常利益は企業の資金運用や財務活動を含めた総合的な収益力を測る指標となります。
売上総利益(粗利益)は、売上高から売上原価を差し引いたもので、製品やサービスの原価に対する利益を示します。営業利益が売上総利益から販管費を差し引いて計算されるのに対し、売上総利益は、商品やサービスの直接的なコストだけを反映します。
つまり、売上総利益は本業の直接的なコストと売上の差額を示し、営業利益はさらに販管費などを考慮した、本業全体の利益を示します。企業のコスト構造を把握するためには、両者を比較することが重要です。
税引前当期純利益は、経常利益に「特別利益」を加え、さらに「特別損失」を差し引いて計算されます。特別利益には、不動産や株式などの売却益、特別損失には火災や災害などの損失が含まれます。税引前当期純利益は、通常の営業活動に加えて臨時的な要素も反映された利益であり、税金が控除される前の利益を示します。
一方、営業利益は本業から得られる利益であり、臨時的な要素は含まれていません。そのため、税引前当期純利益は、営業利益よりも広範な要素を考慮した利益です。
当期純利益は、税引前当期純利益から法人税などの税金を差し引いた後に残る最終的な利益を示します。これは、企業が1会計期間で最終的にどれだけの利益を上げたかを示す指標であり、損益計算書の最終行に表示されます。
当期純利益は、株主にとって特に重要な指標であり、配当や内部留保の原資となります。営業利益は本業での利益を示しますが、当期純利益は、税金や特別要因をすべて考慮した最終的な利益であり、企業の全体的なパフォーマンスを把握するための指標となります。
限界利益は、売上高から変動費を差し引いた利益のことを指し、固定費の回収にどれだけ貢献しているかを示す指標です。変動費とは、売上の増減に応じて変動するコストであり、製品の原材料費などが該当します。限界利益は企業が最低限どれだけの収益を上げられるかを測るための指標であり、これにより損益分岐点を計算することができます。
一方、営業利益は、固定費である販管費を含めた本業の利益を示すため、限界利益よりもさらに詳細な利益分析が可能となります。
売上高は、企業が提供する商品やサービスを販売した際の総額を示す数値であり、企業の規模や成長力を測るために用いられる基本的な指標です。売上高そのものは、企業の収益性や利益率を直接示すものではありません。
営業利益は売上高から売上原価と販管費を差し引いて計算されるため、売上高がどれだけ効率よく利益に転じているかを示す指標です。売上高が高くても、営業利益が低ければ、コスト管理や経営効率に問題があると判断されることがあります。
営業利益は、企業の本業における収益力を示す重要な指標です。この数値を適切に活用することで、企業の経営状態をより深く理解し、効果的な戦略立案や意思決定を行うことができます。ここでは、営業利益の主要な活用法として、売上高営業利益率による収益性評価、財務諸表分析での活用、そして業績連動型賞与の原資算出について解説します。
これらの方法を理解し実践することで、営業利益を経営改善や企業価値向上に効果的に活用できるでしょう。
売上高営業利益率は、企業の収益性を評価する重要な指標です。この比率は、売上高に対する営業利益の割合を示し、以下の式で計算されます。
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
この指標は、企業が本業でどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示します。高い売上高営業利益率は、コスト管理が適切で、高付加価値の商品やサービスを提供していることを意味します。業界平均や競合他社と比較することで、自社の競争力や経営効率を評価できます。
営業利益は、財務諸表分析において多面的に活用されます。例えば、総資本営業利益率(ROA)の計算に用いられ、企業の資産活用効率を測ります。
ROA(%)=営業利益÷総資産×100
また、営業利益の推移を分析することで、企業の成長性や事業の安定性を評価できます。さらに、営業利益と営業キャッシュフローを比較することで、利益の質や会計方針の妥当性を検証することも可能です。これらの分析を通じて、企業の財務健全性や将来性をより深く理解することができます。
営業利益は、業績連動型賞与の原資算出にも活用されます。日本経済団体連合会の調査によると、約6割の企業が業績連動型賞与を導入しており、その半数近くが営業利益を指標としています。
一般的な算出方法は、営業利益の一定割合を賞与原資とするものです。例えば、営業利益の5%を賞与原資とする場合、営業利益が10億円であれば、賞与原資は5000万円となります。
この方式は、企業業績と従業員の報酬を直接リンクさせることで、従業員のモチベーション向上や業績向上への貢献意識を高める効果があります。ただし、業績悪化時の賞与減少リスクも考慮する必要があります。
営業利益は、企業の本業における収益力を端的に示す重要な指標です。この数値を正しく理解し、適切に活用することで、経営判断の精度を高め、企業価値の向上につなげることができます。営業利益を分析する際は、単に金額の大小だけでなく、売上高営業利益率や他の財務指標との関連性も考慮しましょう。
また、業界平均や競合他社との比較を通じて、自社の強みや弱みを客観的に評価することが重要です。営業利益の推移を注視し、その変動要因を深く分析することで、より効果的な経営戦略の立案や意思決定が可能となります。
経常利益は、企業の通常業務による収益力を評価するための指標であり、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いて算出されます。これは、企業の本業以外の要因も考慮して経営状況を総合的に評価するために重要な指標です。経常利益を分析することで、企業の収益性、経営効率、そして業績を深く理解し、経営戦略を見直す際に役立ちます。以下では、それぞれの要素について詳しく解説します
収益性とは、企業がどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す指標であり、経常利益をもとに評価されます。特に、営業利益だけでは捉えきれない、本業以外で得た利息収入や有価証券の利息なども含まれるため、企業全体の利益創出能力を測ることができます。
経常利益を分析することで、企業の全体的な収益性が高いか低いかを判断でき、長期的な利益確保のための戦略立案が可能となります。
経常利益を分析することで、企業が資本や経営資源をどれだけ効率的に活用しているかを把握することができます。経常利益には、営業外収益や営業外費用が含まれるため、本業だけでなく資金運用や財務活動がどの程度利益に貢献しているかを評価することが可能です。
経営効率が高い企業は、限られた資源で多くの利益を生むことができるため、経常利益を使った効率分析は非常に有効です。
経常利益は、企業の業績を総合的に示す指標の一つです。本業の営業利益に加えて、資金運用や財務活動など、営業外の要素を含めた全体的なパフォーマンスを評価することができます。
業績が安定して高い経常利益を生み出している企業は、経営基盤が強く、財務体質も健全であることが示唆されます。したがって、経常利益を元に業績を評価することで、企業の長期的な成長可能性を見極めることが可能です。
営業利益の理解は、企業の収益性を正確に把握し、経営戦略を最適化するために不可欠です。計算手法や他の利益指標との違いを把握することで、企業の収益状況を多角的に分析でき、効果的な経営改善が可能になります。営業利益を基にした収益性の評価や、業績連動型の報酬制度の導入により、組織全体のパフォーマンス向上を目指せます。営業利益の活用は、持続的な成長と競争力向上に大きな役割を果たします。
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