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会社経営において、相談役の役割について疑問を感じたことはありませんか?経営陣や取締役と比べて、その役割や意義が曖昧に感じられることも多いでしょう。実は、適切に理解すれば、相談役には独自の役割があり、会社運営に大きなメリットをもたらす存在だということが分かります。
そこで本記事では、そんな相談役とは何か、顧問や取締役との違いを解説し、相談役を設置することで得られる利点について詳しく探っていきます。
<この記事で紹介する5つのポイント>
目次
相談役は、企業経営における助言者としての役割を果たす重要な存在です。企業がより効果的に経営判断を行い、成長していくために不可欠な立場であることが理解できれば、会社経営の新たな視点が得られます。
相談役の具体的な業務内容や企業にとってのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
相談役の主な業務は、経営者に対して経営上の重要事項に関するアドバイスや助言を行うことです。多くの場合、相談役は過去に社長や取締役を務めた経験豊富な人物が就任します。その豊富な経験とコネクションを活かし、現在の経営陣に対して有意義な意見を提供する立場です。
具体的には、新規事業の立ち上げや経営戦略の策定、重要な意思決定の際のアドバイス、突発的な経営課題に対する解決策の提案などを行います。業界内の人脈を活用して、取引先との関係維持や新規顧客の開拓に貢献することも珍しくありません。
ただし、相談役は直接的な業務執行権や意思決定権は持たず、あくまでも助言者としての立場に留まります。この点が、取締役などの役員とは大きく異なる特徴です。
相談役を設置することで、企業は以下のようなメリットを得ることができます。
これらのメリットにより、企業は持続的な成長と競争力の強化を図ることができるのです。
企業経営において、相談役、顧問、役員、会長はそれぞれ重要な役割を果たしています。しかし、これらの役職の違いを明確に理解している人は少ないかもしれません。
ここでは、各役職の特徴や違いを詳しく解説し、それぞれの役割や企業内での位置づけを明らかにします。企業の組織構造や意思決定プロセスをより深く理解することができるでしょう。
相談役と顧問は、どちらも企業に助言を行う立場ですが、その役割や選任される背景の違いは明確です。
相談役は、主に社内の元役員が就任し、経営全般に関する広範な助言を行います。企業の歴史や文化を深く理解しているため、長期的な視点からのアドバイスが可能です。対して、顧問は特定の専門分野に関する助言を行うことが多く、外部から招聘されることもあります。
相談役は企業内部から経営課題へのアドバイスを行うのに対して、顧問は定期的かつ専門的なアドバイスを外部の立場から提供します。相談役は企業との関係が深いため、非公式な影響力を持つことがありますが、顧問はより客観的な立場を維持する点が大きな違いです。
相談役と役員の最も大きな違いは、法的な位置づけと意思決定権です。
役員(取締役、監査役、会計参与)は会社法で定められた機関であり、株主総会で選任されます。彼らは経営の意思決定権を持ち、会社の業務執行や監督に直接関与する立場です。役員のうち、取締役は経営方針の決定や業務執行の監督を行い、監査役は業務監査を担当します。
一方、相談役は会社法で定められた役職ではなく、意思決定権も持ちません。相談役の設置は会社の任意であり、その役割や権限は各企業が独自に定めます。相談役は経営陣にアドバイスを提供する立場ですが直接的な経営責任は負いません。
相談役と会長は、どちらも企業の経営に関与する重要な役職ですが、その役割と権限には大きな違いがあります。
会長は通常、取締役会の議長を務め、企業の最高意思決定機関である取締役会をリードする立場です。多くの場合、会長は前社長が就任し、現社長と協力して経営の舵取りを行います。会長は依然として役員であり、経営の意思決定に直接関与する権限を持っているのです。
一方、相談役は公式な経営陣の一員ではありません。通常、会長や社長を退任した後に就任することが多く、その経験を活かして現経営陣をサポートします。経営陣に対してアドバイスを提供しますが、直接的な意思決定権は持たない立場です。
会長が公式な立場で経営に関与するのに対し、相談役はより柔軟で非公式な形で企業をサポートする役割を担っています。
企業における相談役の位置付けは、他の役職と異なり、明確に定義されていません。そのため、相談役が組織図のどこに配置されるかは、企業の規模や経営方針によって大きく異なります。相談役の役割や権限を理解するためには、まずその組織内での位置付けを知ることが重要です。
ここでは、相談役が組織図上でどのような位置にあるのかを解説し、会社法における相談役の取り扱いについても詳しく説明します。
会社法では、相談役についての明確な規定は存在しません。相談役は法律上定められた役職ではなく、各企業が任意で設置できる役職であるため、相談役の権限や役割、報酬などは企業の裁量で定めます。
相談役は取締役や監査役などの法定役員とは異なり、株主総会での選任や登記の必要はなく、経営の意思決定権も持ちません。しかし、実質的には経営に大きな影響力を持つ場合もあり、その立場や権限の不透明さが近年問題視されることもあります。
企業によっては、相談役の設置や役割を定款や内規で定めているケースもありますが、多くの場合は非公式な立場です。そのため、コーポレートガバナンスの観点から、相談役の役割や報酬の透明性を高める動きも見られます。
企業によっては、経営を支援するために「相談役」という役職を設けることがあります。しかし、相談役は必ずしも全ての企業に存在するわけではありません。相談役を設置するかどうかは、その企業が抱える特定のニーズや状況に応じて判断されます。
相談役が設置されるケースとして多いのは、会社の代表取締役が交代する際、円滑な引き継ぎを行うために前任者が相談役として残るケースです。この場合、前任者の知識や経験を活かし、新しい経営陣をサポートする役割を果たします。
企業が外部の経済界とのつながりを強化する必要があると判断して、豊富な人脈を持つ人物を相談役に任命することも珍しくありません。経営上の突発的な問題に対処するため、短期的な助言が必要な場合にも相談役が設置されることがあります。特に大企業では、複数の相談役を置き、それぞれの専門性や経験を活用するケースが多いです。
このように、相談役は企業が直面する特定の課題や状況に応じて柔軟に設置され、その役割は企業により違いがあるのです。
相談役の報酬は、企業の規模やその相談役が担う役割によって大きく異なります。一般的に、豊富な経験や知識に見合った報酬水準が設定されることが多いです。では、具体的にはどの程度の報酬が支払われているのでしょうか。
相談役の報酬は、会社の規模や業績、相談役としての勤務形態(常勤か非常勤か)によって異なります。大企業の場合、相談役の報酬は役員報酬と同等かそれ以上となるケースも多いです。例えば、資本金が大きい企業では、相談役の報酬が年間で1,000万円以上となることも珍しくありません。
一方で、中小企業では数百万円程度に設定されることが多いです。常勤の相談役は月額や年俸制で報酬が支払われ、非常勤の相談役は特定の案件ごとに報酬が支払われるパターンがよく見られます。
相談役の報酬を決定する際に考慮するポイントは以下の通りです。
相談役の報酬の透明性を高めるため、一部の上場企業では相談役の報酬を開示する取り組みも始まっています。
相談役の報酬は、その役割と企業への貢献度に見合ったものであるべきですが、同時に株主や従業員の理解を得られる水準に設定することが重要です。企業は相談役の報酬を決定する際、この点を考慮して慎重に検討する必要があります。
相談役の設置と管理は、人事部門にとって重要な業務の一つです。相談役は通常の従業員とは異なる特殊な立場にあるため、その処遇や管理には注意を要します。特に、給与の形態や任期、定年に関する事項は、相談役の処遇を決定する上で 重要な要素となります。
ここでは、人事担当者が相談役について把握しておくべき重要なポイントを解説していきますので、情報を正しく理解し、適切な相談役の管理や活用の参考にしてください。
相談役の給与形態は、通常の従業員とは異なる特徴を持っています。多くの場合、相談役の報酬は月額や年俸として定められ、一定期間ごとに支払われますが、特定の業務に対するコンサルティング料として一時的に支払われることも少なくありません。
給与の水準は、相談役の経歴、専門性、勤務形態(常勤か非常勤か)によって違いが大きいです。常勤の場合は役員並みの報酬が支払われることが多いですが、非常勤の場合は一般職よりも低い報酬となることもあります。
また、相談役の給与は通常の給与体系とは別に設定されることが多く、業績連動型の報酬制度を適用するケースもあります。人事担当者は、これらの特殊性を考慮しつつ、相談役の役割と貢献度に見合った適切な報酬体系を設計することが必要です。
相談役の任期や定年については、企業によって大きく異なり、明確な基準が設けられていないことも多いです。一般的には、相談役の任期は数年単位で設定され、必要に応じて更新されます。
一部の企業では、相談役に定年を設けず、長期にわたって活用するケースもありますが、ガバナンスの観点から任期に上限を設ける企業が増えてきました。
契約期間は、相談役の業務内容や役割に応じて柔軟に設定します。特定のプロジェクトや課題に対応するため、短期的な相談役契約を結ぶことも多いです。
人事担当者は、相談役の役割や企業のニーズに応じて、適切な任期や契約形態を設定する必要があります。同時に、定期的な評価や見直しを行い、相談役の有効活用と適切な交代を図ることが重要です。
相談役を雇用する際には、その役割や待遇、企業への影響などを慎重に検討する必要があります。相談役の存在は企業に多くの利点をもたらす一方で、適切に管理しないと問題を引き起こす可能性もあるためです。
ここでは、相談役を雇う前に注意すべきポイントや、事前に把握しておくべき事項について詳しく説明します。特に、情報開示の必要性や社会保険に関する問題は、近年重要性を増しているため、内容を十分に理解した上で相談役の効果的な活用を検討しましょう。
相談役の情報開示については、近年の企業統治(コーポレートガバナンス)強化の流れの中で、その重要性が高まってきてました。2017年に経済産業省が策定した「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」では、相談役に関する情報開示が推奨され、相談役の氏名や役職・地位、業務内容、勤務形態・条件、任期等の情報を開示することが求められています。これは、企業経営の透明性を高め、投資家や株主の理解を得るためです。
情報開示は法的義務ではありませんが、開示しない場合、株主総会等で追及される可能性があるため、多くの上場企業が自主的に開示を行っています。相談役の存在や役割が不透明だと、投資家の信頼を損なう恐れがあるため、適切な情報開示は企業価値の向上が狙いでもあるのです。
相談役の社会保険加入については、その勤務形態や契約内容によって判断が分かれます。一般的に、相談役は非常勤や契約職であることが多いため、社会保険の適用外となるケースが多いです。
しかし、週の所定労働時間が一定時間以上(通常は週20時間以上)の場合、社会保険に加入する必要が生じる可能性があります。また、60歳以上の相談役の場合、社会保険の同日得喪(退職と再雇用を同日に行うこと)が可能です。これにより、定年後の再雇用制度と同様の扱いを受けることができます。
相談役の社会保険加入の判断は、単に役職名だけでなく、実際の勤務実態や契約内容に基づいて行われます。企業は相談役を雇用する際、その勤務形態や報酬体系を考慮し、適切な社会保険の取り扱いを検討しなければいけません。
相談役が他の企業でも働いている場合は、被保険者資格が重複しないよう注意が必要です。このような場合、主たる勤務先での加入が原則となりますが、個別の状況に応じた判断が求められます。
かつては多くの企業が経営陣の補佐役として相談役や顧問を設置していました。しかし近年は、相談役という役職の存在が不透明で、企業の機動力を損なう可能性がある点を指摘されるようになりました。
ここでは、相談役や顧問を設置する上場企業の現状と、これらの役職を廃止する動きが広がっている背景について解説します。
近年では大手企業を中心に、相談役や顧問制度を廃止する動きが加速しています。2018年にトヨタ自動車が相談役・顧問を61人から9人へ大幅削減したのを皮切りに、2020年1月には日産自動車、2021年6月には関西電力が相談役制度の廃止を発表しました。
この背景にあるのは、コーポレートガバナンスの強化と経営の透明性向上です。相談役の役割や成果はその立場の特性上不透明であることが多く、株主に対してその存在意義を説明することが難しいという課題があります。また、相談役が実質的な影響力を持ちすぎることで、現経営陣の意思決定を歪める可能性も指摘されて久しいです。
グローバル化が進む中、海外投資家からも相談役制度に対する批判の声が高まってきました。これらの要因により、多くの企業が相談役制度の見直しや廃止を検討する流れが加速しています。相談役制度の廃止は、経営の透明性を高め、責任の所在を明確にすることで、企業のガバナンス強化につながると期待されているのです。
相談役は豊富な経験と知見を活かし、経営陣に価値のある助言を提供する一方で、その存在が企業統治の観点から問題視されることもあります。相談役の役割と重要性を理解すれば、企業経営の効率性と透明性を高められるでしょう。
企業は相談役の役割を明確にし、適切な情報開示を行うことで、ステークホルダーの信頼を獲得し、企業価値の向上につなげなければいけません。相談役制度を効果的に活用するか、または廃止するかの判断は、各企業の状況や目標に応じて慎重に行うことが重要です。
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