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出向とは?意味や目的、種類、メリットを徹底解説

公開日:2024.11.25  更新日:2024.11.27

皆さんは「出向」という制度をご存じでしょうか。企業経営において、人材の有効活用は常に重要な課題です。そんな多くの企業が人材戦略に悩む中で、出向は効果的な選択肢の一つといえます。しかし、出向の意味や目的、種類、メリットなど、出向について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、出向の基本的な概念から企業にとってのメリット、さらには従業員のキャリア形成にどう影響するかまで、幅広く解説していきます。出向に関する理解を深め、自社の人材戦略に新たな視点を取り入れていきましょう。また、従業員の方は、出向がもたらす可能性について考える良いきっかけにしてみてください。

<この記事で紹介する3つのポイント>

  • 出向の意味と目的
  • 出向の種類と特徴
  • 出向のメリットとデメリット

出向の基本概念と定義

出向とは、企業間で従業員を一時的に移動させる人事施策です。はじめに、出向を行う意味や法的な位置づけ、派遣や左遷との違いを見ていきましょう。

出向の意味と法的位置づけ

出向は、労働者の同意のもと、出向元企業と出向先企業の合意によって成立します。労働契約法第14条にも規定されており、労働者の権利保護が明確に定められています。

出向の形態は多様で、大きく「在籍出向」と「移籍出向」の2つに分けられます。在籍出向とは、労働者と出向元企業や出向先企業が雇用関係を続けながら出向先で勤務します。一方、移籍出向は、出向元企業との雇用関係を解消し、出向先企業と新たに雇用契約を結ぶ出向形態です。

いずれも出向の目的は、人材育成や企業間連携の強化、組織の活性化など多岐にわたります。労働者にとっては、キャリアアップや視野の拡大、新たなスキルの獲得などが期待できるでしょう。

出向は単なる人事異動ではなく、労働者と企業の双方にとって戦略的な意味を持つ制度です。適切に運用されれば、従業員のキャリア開発と企業の成長を同時に実現する有効なツールとなるでしょう。

出向と派遣の違い

出向と派遣は、どちらも企業間で労働力を融通する制度です。しかし、その性質や法的位置づけには大きな違いがあります。

出向は、従業員が出向元の会社と雇用関係にあるまま出向先企業で働く形態です。一方の派遣は、派遣会社に雇用された労働者が別の企業で働く仕組みとなっており、労働者は派遣先企業とは直接の雇用関係を持ちません。

また、出向は人材育成や企業間連携の強化などを目的とすることが多く、就業期間が比較的長期にわたる傾向があります。派遣は一時的な人材不足の補填や専門的スキルの活用などが主な目的で、期間が限定されていることも特徴です。

さらに、労働者の立場から見てみると、出向では元の会社への復帰が前提となっているのに対し、派遣では派遣先企業への直接雇用の可能性はあるものの、基本的には派遣会社との雇用関係が中心となります。このように、出向と派遣は似て非なる制度であるため、違いを理解しておきましょう。

出向と左遷の違い:古いイメージからの脱却

出向と左遷は、しばしば混同される概念ですが、その本質と目的は大きく異なります。出向は、企業間の人材交流や従業員のスキルアップなど、前向きな目的が前提にあります。一方、左遷は降格や処罰の意味合いが強く、ネガティブな印象の人事施策といえるでしょう。

しかし、現代のビジネス環境において、出向は単なる人員削減や問題社員の処遇ではなく、戦略的な人材育成ツールとして捉えられています。多くの企業が従業員のキャリア開発や組織の活性化を目的として、出向制度を積極的に活用しているのもまた事実です。

例えば、従業員は出向によって新しい環境で多様な経験を積み、視野を広げられます。また、異なる企業文化や業務プロセスに触れることで、創造性や問題解決能力が向上するでしょう。さらに、出向先での人脈形成は、将来的なビジネスチャンスにつながる可能性もあります。

このように、出向は従業員や企業にとってプラスの要素が多く、左遷とは本質的に異なる制度です。古い固定観念にとらわれず、出向を前向きに受け入れることが重要です。

出向の種類と形態

冒頭で、出向には「在籍出向」と「移籍出向」があることを紹介しましたが、他にも「グループ内出向」「他社出向」「海外出向」など、さまざまな種類があります。出向制度を効果的に活用するためにも、出向形態の違いについて理解を深めていきましょう。ここからは、それぞれの特徴について解説します。

在籍出向と移籍出向

上述したように、出向には主に在籍出向と移籍出向の2種類があります。

在籍出向では、出向元企業が従業員の人事権を保持し、給与や社会保険の管理を行うことが一般的です。通常、出向期間終了後は出向元の職場に戻ることが前提となっています。これに対し、移籍出向では従業員の人事権が出向先企業へ移り、給与や社会保険も出向先企業が管理します。

両者の選択は、出向の目的や期間、企業間の関係性などによって決定されます。在籍出向は比較的短期の人材交流や技術提供に適しており、反対に、移籍出向は長期的な人材シフトや事業再編などの場合に選ばれることが多いでしょう。

グループ内出向と他社出向

グループ内出向とは、同じ企業グループ内での人材移動を指し、親会社から子会社への出向や、子会社間での出向などが該当します。主に、経営資源の最適化や将来的な幹部候補の育成などを目的として行われます。

一方、他社出向とは異なる企業グループ間での人材交流のことをいい、業務提携や技術協力の一環として行われます。他社出向では、異なる企業文化や業務プロセスを学ぶ機会となり、新たな視点や専門知識の獲得を目指します。

両者とも、従業員のキャリア形成や組織の活性化に寄与しますが、グループ内出向の方が企業文化や業務システムの共通点が多いことから手続きがスムーズです。他社出向を行う際には、環境の変化が大きいため、より柔軟な適応力が求められるでしょう。

その他の出向形態

その他の出向形態として、代表的なのが「海外出向」です。海外出向は、グローバル人材の育成や国際的なビジネス展開を目的として行われ、従業員は語学力や異文化コミュニケーション能力を向上させられるといった利点があります。

また「プロジェクト出向」は、特定のプロジェクトや業務に従事するために一時的に行われる形態のことです。この場合、専門知識や技術を持つ従業員がプロジェクトの期間中のみ出向先で働くことになります。

さらに「研修出向」という形態もあります。研修出向は、従業員のスキルアップや新技術の習得を目的として行います。出向先で新しい知識や経験を積み、そこで得たものを出向元に持ち帰ることで、組織全体のスキルアップにつなげるのです。

このように、出向といっても目的に応じて適した形態はさまざまです。出向形態を選択するさいは、いずれも企業の経営戦略や従業員のキャリアプランに応じて、慎重に検討する必要があるでしょう。

出向の目的と企業のメリット

企業が出向を活用する主な目的は、人材育成や経験の蓄積、企業間連携の強化、人材の有効活用の3つです。そして、その目的を達成することにより、さまざまなメリットを得られます。ここからは、出向の目的とメリットを詳しく見ていきましょう。

人材育成と経験の蓄積

出向は、双方の企業にとって人材育成と経験の蓄積を図れる手段となります。出向元企業は従業員を異なる環境に送り出すことで、出向先企業に新たな視点や専門知識を獲得する機会を提供します。そして、従業員が出向元企業に戻れば、新たな知見や技術を組織内に還元できるのです。これは企業全体の競争力向上につながり、イノベーションの創出にも寄与します。

また、出向先企業での業務経験は、社員の能力開発やスキルアップに直結し、将来的な人材の底上げにつながります。特に若手社員にとっては、早期のキャリア形成や自己成長の機会として有効でしょう。このように、企業は出向を通じて、将来のリーダーシップ人材の育成や組織全体の知識・経験の蓄積を図ることができるのです。

企業間連携の強化

出向は、企業間の連携を強化する手段としても効果的です。異なる文化や業務プロセスを持つ企業間で人材を交流させることで、双方の強みを学び合い、新たな視点や知見を獲得できます。さらに、この過程で企業間の相互理解が深まれば、協力関係が築かれていきます。

特に、同業他社や取引先との間で行われる出向は、業界全体の発展にも寄与するでしょう。例えば、技術革新が急速な業界では、出向を通じて最新の技術や知識を共有することにより、業界全体の競争力向上につながる可能性があります。また、サプライチェーンの最適化や共同プロジェクトの推進など、具体的な協業の機会を生み出すきっかけにもなるでしょう。

また、グループ企業間の出向であれば、企業グループ全体の団結強化や、経営戦略の浸透にも役立ちます。各社の強みを生かしつつも、グループ全体としての相乗効果を生み出すことができるためです。

人材の活用と組織の活性化

さらに、出向は人材の活用や組織の活性化を図る手段としても役立ちます。人材の活用という観点では、出向によって社員の潜在能力を引き出し、適材適所の配置を実現できることがメリットです。

例えば、ある部門で余剰人員が発生した場合、その余剰人員を人手不足の部門や関連会社に出向させるれば、効率的な人員配置が可能になるでしょう。これにより、企業全体の生産性向上にもつながります。

また、組織の活性化という面では、出向元に新たな知識やスキルを持ち込むことで、新しい風が吹くのを期待できます。部門間や、企業間の連携強化にも効果的といえるでしょう。人材交流を通じて異なる組織の文化や業務プロセスを理解し合い、より円滑な協力体制を構築できるためです。これは、企業グループ全体の競争力向上にもつながる要素となります。

出向制度における給与と契約のルール

出向制度を利用する際は、給与の支払い方法や負担、社会保険の取り扱いなど、細かな点に注意が必要です。また、出向契約の締結時には、期間や業務内容、待遇などの主要な事項を明確にすることが求められます。詳しく解説していきます。

給与の支払い方法と負担

出向における給与の支払い方法と負担は、出向元企業と出向先企業の間で取り決められます。在籍出向の場合、給与は出向元企業が支払い、出向先企業がその全額または一部を負担する形式が一般的です。

給与負担の割合は、出向の目的や期間、業務内容などに応じて決定されます。人材育成を目的とした短期出向の場合、出向元企業が給与の大部分を負担するケースもあるでしょう。反対に、長期的な人材交流や業務提携を目的とした出向では、出向先企業が給与の大半を負担する傾向です。

出向に伴う住宅手当や通勤手当など新たに発生する費用については、出向先企業が負担することが多いでしょう。また、賞与の支給基準や金額についても、出向契約の中で明確に定めることが一般的です。

従業員の待遇を維持しつつ、企業間の公平な費用分担を実現することが、円滑な出向の実施につながります。

社会保険や福利厚生の取り扱い

健康保険や厚生年金保険は、原則として給与を支払う企業で取り扱います。

雇用保険についても、基本的には給与を支払う側が担います。しかし、出向元や出向先の両方から給与の支給がされている場合は、従業員が企業を選択した上で、給与の負担額に応じた保険料を双方の企業が担わなければいけません。

福利厚生に関しては、出向元と出向先の協議によって決定されます。社宅の利用、各種手当の支給、福利厚生施設の利用権など、仮に双方企業で二重に適用しても、出向者に不利益が生じなければ特に問題はありません。

なお、これらの取り扱いについては、出向契約書へ明確に記載し、出向者本人にも事前に説明することが望ましいでしょう。

出向契約の締結と主な内容

出向契約の締結は、出向元企業と出向先企業の間で行われる重要なプロセスです。契約書には、出向の期間や業務内容、労働条件などの主要な事項が明記されます。

具体的には、出向開始日と終了日、出向先での職位や担当業務、勤務時間や休日、給与の負担方法などです。また、社会保険や福利厚生の取り扱いについても明確にする必要があります。

出向中の従業員の評価方法や、出向元への復帰条件なども重要な契約内容となるでしょう。さらに、機密情報の取り扱いや競業避止義務についても言及されることが一般的です。

契約締結の際は、労働基準法や労働契約法などの関連法規を遵守することが求められます。出向元と出向先の双方が従業員の権利を保護し、公正な労働環境を確保するように努めなければなりません。

出向契約は、企業間の合意のみならず、対象となる従業員の同意も必要となります。従業員の理解と協力を得られなければ、円滑な出向の実施はできないといえるでしょう。

従業員にとっての出向のメリットとデメリット

出向は従業員にとっても、メリットとデメリットがあります。出向先での経験を通じて自己成長を図れるメリットがある反面、元の職場との関係性維持や生活の変化への適応といった課題にも直面しがちです。個々の状況に応じて出向のメリットを最大化し、デメリットを最小限に抑える工夫が求められるでしょう。

キャリアアップと視野の拡大

出向で新しい環境で働くことにより、これまでとは異なる業務や組織文化に触れ、自身の能力を多角的に磨けます。特に、異業種への出向は、業界の垣根を越えた知識や経験を獲得する絶好のチャンスでしょう。

また、出向先での人脈形成も重要な側面です。多様な背景を持つ人々と協働することで、コミュニケーション能力や柔軟性が向上し、ビジネスパーソンとしての総合力が高まります。

一方、出向期間中は自己啓発の意識を持ち続けることが大切です。新たな知識やスキルの習得に積極的に取り組み、自身の市場価値を高める努力を怠らないことが、真のキャリアアップにつながります。出向経験を通じて得た気づきや成長を、効果的に生かすことが求められるのです。

新しい環境でのスキル向上

出向先での新しい環境は、スキル向上の絶好の機会にもなります。例えば、大企業から中小企業への出向では、意思決定の速さや柔軟な組織運営を体験できるでしょう。

また、技術の急速な進歩に伴い、デジタルスキルの習得も出向の大きな利点です。異なる業界や部門で最新技術の活用方法を学ぶことで、イノベーションを促進する視点を養えます。

出向に伴う生活の変化と対応

出向に伴い、生活環境が大きく変化することが考えられます。特に他社へ出向する場合、勤務地や業務内容が変わるため、適応に時間がかかることもあるでしょう。場合によっては引っ越しが必要になることもあるため、事前に十分な準備が求められます。

また、出向先の企業文化や業務プロセスに順応するため、積極的に学ぶ姿勢を持つことが大切です。一方で、出向元の企業との関係性も維持しながら、両社の橋渡し役としての役割も求められるでしょう。

生活面では、新しい人間関係の構築や、場合によっては単身赴任などの家族との生活スタイルの変化にも対応する必要があります。これらの変化にスムーズに対応するためには、柔軟な思考と前向きな姿勢が不可欠です。

出向時の注意点と心構え

出向時には、新しい環境への適応と心構えが重要です。また、出向元への定期的な報告や情報共有を心掛け、出向期間中のキャリアプランニングも忘れずに行わなければいけません。ここからは、出向経験を最大限に生かすための注意点をご紹介します。

出向先での適応とコミュニケーション

出向先では、まず企業文化や業務プロセスを理解することが大切です。積極的に周囲の同僚に質問したり、社内の資料を熟読したりすると効果的でしょう。

コミュニケーションにおいては、出向元での経験や知識を生かしつつ、出向先の方針や考え方を尊重する姿勢が求められます。特に、出向元と出向先で業務の進め方や意思決定プロセスが異なる場合は、柔軟な対応が必要です。

一方で、出向者ならではの視点や経験を生かし、新しいアイデアや改善案を提案することも求められるでしょう。また、定期的に出向元と出向先の双方とコミュニケーションを取ることで、両社の連携強化にも貢献できます。

出向元との関係維持

出向中もであっても、出向元との関係を維持することは大切です。

定期的な報告や面談を通じて、自身の成長や新たな知見を共有しましょう。出向元の同僚や上司との関係を保つことで、最新の社内情報を把握して円滑な復帰につながります。

また、社内イベントや研修への参加、業務報告会の開催など、状況に応じた適切な方法を選択しましょう。出向先での業務に専念しつつ、出向元との接点を保つバランスが鍵となります。

出向元との関係維持は、自身の成長を出向元に示す機会でもあり、将来的なキャリア形成に大きな影響を与えるでしょう。

出向期間中のキャリアプランニング

出向期間中は、自己成長と将来のキャリア展望を見据える重要な機会です。新たな環境で得られる経験や人脈を最大限に活用し、自身の市場価値を高めることが求められます。

まず、出向先での業務内容や求められるスキルを把握し、自己の強みと弱みを分析しましょう。その上で、具体的な目標設定を行い、計画的にスキルアップを図ることが大切です。

出向先での業務を通じて、自身の適性や興味を再発見できる可能性もあります。これを機に、長期的なキャリアビジョンを見直し、状況に応じて軌道修正を行うことも検討しましょう。

また、出向元の企業との関係性も考慮し、帰任後のポジションやキャリアパスについて意識を向けることも大切です。さらに、出向先で構築したネットワークを活用することにより、自身のキャリアの幅を広げられます。

積極的に社内外の勉強会や交流会に参加し、知見を深めることも有効な手段といえるでしょう。

出向と関連する人事制度

出向と関連する人事制度として、転籍や人事異動があります。転籍は従業員の所属を完全に移すという点で出向とは異なり、人事異動は同一企業内での配置換えを指します。出向制度と他の人事制度を適切に組み合わせることで、より効果的な人材マネジメントが可能となるでしょう。

転籍との違いと選択のポイント

出向と転籍は、企業間の人材移動を指す制度ですが、その性質や目的に違いがあります。出向は一時的な人材の移動であり、転籍は完全に雇用関係を移す制度です。

出向を選択する際のポイントは、キャリア形成の機会や新しい環境での経験獲得です。また、グループ企業間の連携強化や新規事業の立ち上げなど、戦略的な目的で活用されることもあるでしょう。

一方、転籍を選ぶ場合は、長期的なキャリアプランや専門性の追求がポイントとなります。ただし、新しい会社での安定したポジションを得られる一方で、元の会社への復帰は難しくなるでしょう。

選択する際は、個人のキャリア目標と企業の意図を慎重に見極めることが重要です。また、給与や福利厚生の変更、勤務地の移動など、生活面への影響も考慮する必要があります。

出向と人事異動の関係性

出向と人事異動は、両者とも従業員の配置転換を伴いますが、その目的や実施方法に違いがあります。人事異動は同一企業内での配置転換を指し、組織の活性化や人材育成を目的として行うものです。一方、出向は他社や関連会社への一時的な移動を意味し、より幅広い経験や技能の獲得を狙いとしています。

出向は人事異動の一形態とも捉えられますが、法的な位置づけや処遇面で異なります。人事異動が会社の命令で行われるのに対し、出向には従業員の同意が必要です。また、出向では給与や社会保険の取り扱いが複雑となる場合があります。

企業によっては、人事異動と出向を組み合わせた戦略的な人材配置を行うケースもあります。例えば、グループ企業間では定期的な人事異動の一環として出向を活用することもあるでしょう。

近年、働き方の多様化に伴い、出向と人事異動の境界線が曖昧になりつつあります。テレワークの普及により、物理的な移動を伴わない出向や、複数の企業を兼務するような新しい形態の人材活用も増加傾向にあります。このような変化に対応し、企業は従来の人事制度を見直す必要性に迫られているのです。

グローバル人材育成における出向の役割

グローバル化が進む現代のビジネス環境において、出向は企業の国際競争力を高める重要な手段です。

特に、海外拠点や外資系企業への出向は、グローバル人材の育成に大きな役割を果たしています。出向を通じて、国際的なビジネス慣行や最新の業界動向を学ぶ機会を得られれば、帰任後に自社のグローバル戦略立案や海外展開に生かすことも期待できます。

さらに、海外出向は、リーダーシップやマネジメント能力の向上にも寄与するでしょう。異なる文化背景を持つ従業員とのチームワークや、現地の商習慣に適応しながらのプロジェクト管理など、国内では得難い経験を積むことができるためです。

グローバル人材の育成は、企業にとって重要な経営課題です。出向を戦略的に活用して、国際的な視野を持つ人材プールを形成し、長期的な競争力の維持・向上を目指していきましょう。

出向制度の効果的な活用と今後の展望

出向制度には今後、デジタル化やグローバル化の進展に伴い、より柔軟で多様な形態が求められるでしょう。企業は変化に対応しつつ、出向制度を効果的に運用していくことが大切です。ここからは、出向制度の今後を見ていきましょう。

企業における出向制度の戦略的運用

戦略的な出向制度の運用には、明確な目的設定が不可欠です。

例えば、グループ企業間での人材交流を促進し、シナジー効果を高めることや、新規事業立ち上げに必要なスキルを持つ人材を育成することなどが挙げられます。また、出向先の選定も重要な要素となり、従業員のキャリアパスや企業の事業戦略と整合性を持たせることも必要です。

出向制度を効果的に活用するためには、適切なフォローアップ体制も整える必要があります。

出向者の成長や課題を定期的に把握し、必要に応じてサポートを提供することで、出向の効果を最大化できるでしょう。さらに、出向経験を組織全体で共有し、学びを広げていくことも重要です。

働き方改革と出向制度の変化

働き方改革の進展に伴い、出向制度も大きな変化を遂げつつあります。従来の出向は、企業間の人材交流や経営支援を目的とすることが多かったのですが、近年では従業員のキャリア開発や多様な働き方の実現にも活用されるようになりました。

厚生労働省が推進する「雇用シェアリング」の概念も、出向制度の新たな可能性を示しています。この取り組みは、一時的な人員過剰となった企業から人手不足の企業への在籍型出向を促進し、雇用維持と人材活用の両立を図るものです。

また、テレワークの普及により、地理的制約を超えた出向も可能になりました。このことから、都市部の企業から地方企業への出向や、国際的な人材交流がより柔軟に行えるようになっています。

さらに、副業や兼業の容認が広がる中、短期間や部分的な出向など、従来の枠組みにとらわれない新しい形態の出向も登場しつつあります。このような変化は、個人のキャリア形成の幅を広げるとともに、企業にとっても多様な人材の知見を活用する機会となっています。

デジタル時代における新しい出向の形

デジタル技術の進化により、従来の出向の概念も変容を遂げつつあります。リモートワークの普及や働き方の多様化に伴い、物理的な移動を伴わない「バーチャル出向」も登場しました。これは、出向先企業の業務をオンラインで遂行する形態で、地理的制約を超えた人材交流を可能にします。

また、複数企業による「シェアード出向」も新たな出向形態です。このシェアード出向は、専門性の高い人材を複数の企業で共有し、効率的な人材活用を図るというものです。さらに、短期間で複数の企業を経験する「ローテーション出向」も増加傾向にあり、幅広い経験を短期間で積むことができます。

他にも、デジタルプラットフォームを活用した「マッチング型出向」も登場しました。これは、企業と人材のニーズをAIが分析し、最適な出向先を提案するシステムです。このような新しい形態は、従来の出向の枠組みを超え、より柔軟で効果的な人材活用を実現させます。

まとめ

出向は企業と従業員双方にとって重要な制度であり、人材育成やキャリアアップ、企業間連携の強化など、さまざまな効果があります。一方で、新しい環境への適応や生活の変化など、課題が残されているのも事実です。

出向制度を効果的に活用するためには、企業と従業員が十分なコミュニケーションを取り、互いのニーズを理解し合うことが不可欠でしょう。人事戦略や働き方改革の観点からも、出向制度の重要性は今後さらに高まっていくと考えられます。

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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。

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