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ここ数年、「さとり世代」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、その特徴や年齢層、ゆとり世代との違いについて、明確に理解している人は少ないのではないでしょうか。人事担当者の方々にとって、さとり世代の特性を把握することは、採用や育成の面で非常に重要です。
本コラムでは、さとり世代の定義や特徴、価値観、そしてゆとり世代との違いを詳しく解説します。これらの知識を身に付けることで、さとり世代の社員とより良好な関係を築き、効果的な人材育成を行うことができるでしょう。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
さとり世代は、1980年代後半から2000年代前半に生まれた世代を指します。この世代は、バブル崩壊後の不景気や自然災害など、厳しい社会情勢の中で育ちました。その結果、物欲や出世欲が低く、安定した生活を求める傾向があります。
デジタルネイティブでもあるさとり世代は、効率重視で現実主義的な価値観を持ち、プライベートを大切にする特徴があります。以下では、さとり世代と他の世代との違いについて詳しく見ていきましょう。
さとり世代とゆとり世代は、年代が重なる部分がありますが、いくつかの違いがあります。ゆとり世代は1987年から2004年生まれで、いわゆる「ゆとり教育」を受けた世代です。一方、さとり世代は主に1990年から2005年生まれとされ、「脱ゆとり教育」を経験しています。
価値観の面ではゆとり世代が、競争意識が低く周囲と同調する傾向があるのに対し、さとり世代はより個人主義的で、自分で合理的な判断をする傾向が強いのが特徴です。
さとり世代とつくし世代は、同じ時代に生まれた世代を異なる視点から捉えた呼び方です。つくし世代は主に1985年以降に生まれた世代を指し、「他人に尽くす」という献身的な特徴があります。一方、さとり世代は現実主義的で、必要最低限の生活を求める傾向があります。
つくし世代が共感能力や他者評価の能力が高いのに対し、さとり世代は自己実現や他者貢献に対する意識が高いという違いがあります。両者は同世代でありながら、異なる側面を表現しています。
さとり世代とZ世代は一部重なる部分がありますが、いくつかの違いがあります。Z世代は主に1990年代後半から2010年代初頭に生まれた世代を指し、さとり世代よりもさらにデジタル技術に精通しています。Z世代は生まれた時からスマートフォンやSNSが身近にあった「真のデジタルネイティブ」と呼ばれます。
価値観の面では、さとり世代が安定志向で現実主義的なのに対し、Z世代はより個性的で、社会変革への意識が高い傾向があります。消費行動においても、Z世代はSNSの影響をより強く受けるという特徴があります。
さとり世代は、主に1980年代後半から2000年代前半に生まれた世代を指します。具体的には、1987年から2004年頃に生まれた人々が該当します。2023年時点では、おおよそ19歳から36歳の年齢層に相当します。
この世代区分は厳密に定められたものではなく、社会的な認識や研究者によって多少の幅があります。さとり世代という呼称は、2013年に「新語・流行語大賞」にノミネートされたことで広く知られるようになりました。
さとり世代は、バブル崩壊後の長期不況期に幼少期を過ごし、インターネットやデジタル技術の急速な発展を経験しています。この時代背景が、彼らの価値観や行動様式に大きな影響を与えているとされています。
さとり世代は、その独特の価値観や行動様式で知られています。彼らの特徴は、時代背景や社会環境の影響を強く受けており、それ以前の世代とは異なる傾向を示しています。
ここでは、さとり世代の主な特徴を6つの観点から詳しく見ていきます。これらの特徴を理解することで、さとり世代の考え方や行動をより深く洞察することができるでしょう。
さとり世代は、高級ブランド品や高価な商品にこだわらない傾向があります。かつてのバブル世代が高級ブランドや高級車をステータスシンボルとして重視したのとは対照的に、さとり世代は実用性とコストパフォーマンスを重視します。
彼らは、物欲が比較的低く、必要以上の消費を控える傾向があります。インターネットを活用して商品の口コミやレビューを参考にし、自分にとって本当に価値のあるものを選択します。ノーブランドでも品質が良く、価格が手頃な商品を好む傾向があります。
この特徴は、不景気な時代に育った背景や、物質的な豊かさよりも精神的な充足を求める価値観の変化が影響していると考えられます。
さとり世代は、生まれた時からインターネットやデジタル技術が身近にあった「デジタルネイティブ」世代です。彼らは幼少期からパソコンや携帯電話、スマートフォンなどのデジタルデバイスに触れる機会が多く、これらの技術を自然に使いこなす能力を持っています。
インターネットを通じて膨大な情報にアクセスし、必要な情報を素早く取得・処理することに長けています。SNSやオンラインコミュニケーションツールの使用にも慣れており、デジタル上での情報交換や人間関係の構築が得意です。
この特徴により、さとり世代は職場でのIT関連業務や新しいテクノロジーの導入に柔軟に対応できる傾向があります。
さとり世代は、現実主義的な思考を持つことで知られています。彼らは、バブル崩壊後の長期不況や大規模な自然災害など、社会の厳しい現実を目の当たりにして育ちました。そのため、高望みをせず、現実的で達成可能な目標を設定する傾向があります。
大きな夢や理想を追い求めるよりも、足元の安定や確実性を重視します。この特徴は、「無理をして高い目標を追うよりも、現実的に手の届く範囲で満足する」という考え方につながっています。
さとり世代の現実主義は、時に消極的だと誤解されることもありますが、実際には慎重で堅実な判断力の表れと言えるでしょう。
さとり世代は、安定性を非常に重視する傾向があります。これは、彼らが育った時代背景に大きく影響されています。バブル崩壊後の長期不況、リーマンショック、大規模な自然災害など、社会的・経済的な不安定さを経験してきたことから、安定した生活を強く求めるようになりました。
具体的には、終身雇用や年功序列といった従来の日本的雇用システムへの信頼が薄れる一方で、自身のスキルアップや市場価値の向上に関心を持つ傾向があります。転職や独立に対する抵抗感も比較的低く、自身の安定を確保するための選択肢として捉えています。
また、無理をして高収入を得るよりも、ワークライフバランスの取れた安定した生活を送ることを重視する傾向も見られます。
さとり世代は、他者との対立や衝突を好まない傾向が強いです。この特徴は、彼らの育った環境や教育背景に起因しています。幼少期からインターネットを通じて多様な価値観に触れる機会が多かったため、他者の意見や立場を尊重する姿勢が自然と身に付いています。
職場では、上司や同僚との軋轢を避け、円滑な人間関係を維持しようとする傾向があります。議論や対立よりも、穏やかで安定した環境を好みます。この特徴は、チームワークを重視する日本の企業文化とも合致する一方で、時に自己主張が弱いと誤解されることもあります。
しかし、実際には他者の意見を尊重しつつ、適度な距離感を保ちながら良好な人間関係を構築する能力が高いと言えるでしょう。
さとり世代は、アウトドア活動よりもインドアでの活動を好む傾向があります。この特徴は、彼らが生まれ育った環境と密接に関連しています。幼少期から多様な室内娯楽(ゲーム、インターネット、スマートフォンアプリなど)に囲まれて育ったため、家の中でも十分に楽しめる環境が整っていました。
インドア志向は、必ずしも消極的な意味ではありません。むしろ、自分のペースで楽しめる趣味や活動を大切にする傾向の表れと言えます。オンラインゲームやSNSを通じて、家にいながら友人とコミュニケーションを取ることも可能です。
また、外出にかかる費用や時間を節約し、効率的に過ごすという現実主義的な考え方も、この傾向に影響しています。ただし、全てのさとり世代がインドア派というわけではなく、個人差があることにも注意が必要です。
さとり世代の仕事スタイルは、彼らの価値観や育った環境を反映しており、従来の世代とは異なる特徴を持っています。効率重視、指示への忠実さ、プライベートの重視、そして企業への帰属意識の低さなどが主な特徴として挙げられます。
これらの特徴は、さとり世代が不安定な経済状況や急速な技術革新の中で育ってきたことと密接に関連しています。以下では、さとり世代の仕事スタイルについて、4つの重要な側面から詳しく見ていきましょう。
さとり世代は、仕事の効率とスピードを最優先に考える傾向があります。無駄な作業や時間をかけることを避け、限られた時間内で最大限の成果を出すことに重きを置いています。彼らはデジタルツールを活用して業務を効率化し、迅速に結果を出すことを目指します。また、常に効率を追求するため、新しい方法や技術を取り入れる柔軟性も持ち合わせています。
さとり世代は、過剰な業務負担や自主的な業務範囲の拡大を避け、与えられた仕事を効率的にこなすことを優先します。彼らは上司や組織からの指示に忠実に従い、自らリスクを取ることを避ける傾向があります。この姿勢は、業務においてトラブルを回避し、効率を保つための戦略と考えられます。自己判断を避け、明確な指示に従うことが、仕事上での安心感や安定感につながっています。
さとり世代は、仕事とプライベートのバランスを非常に重視します。彼らにとって、仕事が生活のすべてではなく、自己の充実やリラックスの時間を確保することが重要です。そのため、長時間労働を避け、定時での退社や休暇の取得を積極的に行うことが一般的です。プライベートを大切にすることは、ストレスの軽減や仕事へのモチベーション維持にもつながり、結果的に効率の良い仕事を可能にしています。
さとり世代は、企業や組織に対する強い帰属意識を持たない傾向があります。長期間同じ企業に勤めることよりも、自分にとってのメリットや働きやすさを重視し、必要に応じて転職やキャリアチェンジを選択する柔軟性があります。また、特定の企業に依存せず、自分自身のスキルやキャリアの向上を重視するため、組織に対する執着が薄いのが特徴です。このような考え方は、個人の自由を尊重する時代背景ともリンクしています。
さとり世代は、効率や合理性を重視する世代として、独自のリーダーシップスタイルを持っています。彼らは一方的な指示や命令よりも、主体的な提案や協調性を大切にし、チーム全体の成長を促進します。
また、結果だけでなくプロセスを評価することで、チームメンバーのモチベーションを維持し、目標達成に向けた行動をサポートします。以下では、さとり世代のリーダーシップスタイルについて具体的に解説します。
さとり世代のリーダーは、命令口調を避け、主体性を尊重した提案を行う傾向があります。単に指示を出すのではなく、「この方法が良いと思うけれど、どう思う?」と、相手の意見や提案を引き出しながら進めることが重視されます。これにより、チームメンバーが積極的に参加し、業務に責任感を持って取り組む環境が整います。このアプローチは、命令を強制されると感じたくないさとり世代にとって効果的です。
さとり世代は、仕事の結果だけでなく、その過程や努力を評価されることを重視します。彼らは、プロセスを見逃されることが不満となりやすいため、リーダーはメンバーの努力や成長を積極的に評価します。これにより、チーム全体のモチベーションが高まり、個々のパフォーマンスが向上します。また、結果に焦点を当てるよりも、プロセスを褒めることで、さとり世代の強い自己肯定感を引き出すことが可能です。
PNP法とは、ポジティブ・ネガティブ・ポジティブの順でフィードバックを行う手法で、さとり世代に適したコミュニケーション方法です。この方法を活用することで、ネガティブな指摘でもポジティブな点に挟まれて伝わるため、相手に受け入れやすくなります。さとり世代は批判に敏感な部分があるため、PNP法によって建設的なフィードバックを行い、改善点をスムーズに共有できます。
効率を重視するさとり世代にとって、マニュアルは欠かせないツールです。明確な指示や手順が示されることで、業務に対する不安が軽減され、スムーズに作業を進めることができます。マニュアルが整備されていると、仕事の進め方が分かりやすくなり、結果的に業務の効率化が図られます。さとり世代は「見て学ぶ」よりも、はっきりとしたルールを好むため、マニュアルの存在が重要です。
さとり世代のリーダーは、感情や主観に基づく指導ではなく、事実と合理性に基づいた指導を行います。具体的な数値やデータに基づいて指摘を行い、改善点を提示することで、メンバーが納得しやすくなります。感情的なやり取りを避け、合理的な改善案を提供することで、さとり世代のメンバーは効率よく行動を改善し、業績を向上させることができます。
さとり世代と良好な関係を築くためには、彼らの特徴や価値観を理解し、適切な接し方をすることが重要です。この世代は、効率やプライベートを重視し、合理的な判断を大切にするため、他者からの過度な干渉や精神論的なアプローチを嫌う傾向があります。以下では、さとり世代と円滑に付き合うための具体的な方法をいくつか紹介します。
さとり世代は、仕事とプライベートを明確に分ける傾向があります。彼らにとって、プライベートの時間は重要であり、職場の関係者からプライベートに踏み込まれることを好みません。仕事上の付き合いが多くても、個人的な話題や趣味に無理に踏み込むことは避けるべきです。彼らは業務を通じて信頼関係を築くことを重視しており、プライベートな領域に立ち入らなくても、職場内で良好な関係を保つことが可能です。
さとり世代は、合理性や効率を重視しているため、精神論や根性論を持ち出して物事を進めようとするアプローチは逆効果となることが多いです。「やればできる」「昔からの伝統だから」といった根拠のない説明では納得されません。さとり世代には、物事の重要性や手順を論理的に説明することが求められます。理論的なアプローチで進めることで、彼らは自発的に行動しやすくなります。
さとり世代と同様に、他の世代もそれぞれ独自の特徴を持っています。各世代は、その時代背景や社会的状況によって異なる価値観や行動様式を形成しています。
本記事では、さとり世代以外の代表的な世代である「しらけ世代」「バブル世代」「氷河期世代」「プレッシャー世代」「ミレニアル世代」について解説し、それぞれの特徴を理解することが、世代間の円滑なコミュニケーションに役立つポイントを提供します。
しらけ世代とは、1950年代から1960年代前半に生まれた世代を指します。この世代は、成長期の日本が豊かになる様子を目の当たりにしつつ、団塊世代のような熱気を持つことが少なく、他人事のように社会を見ている姿勢が特徴的です。政治的な活動に関しても、変化が期待できないという経験から無関心になる傾向が強まり、「しらけ」と呼ばれるようになりました。
バブル世代は、1960年代後半から1970年代初頭に生まれ、バブル経済の時期に就職した世代です。この世代は「売り手市場」で職を得やすく、企業への忠誠心が高い傾向がありました。また、社交的でコミュニケーション能力が高く、仕事と私生活の両面で積極的な姿勢を示します。バブル世代の人々は、会社の飲み会や接待などの業務外の活動にも積極的に参加することが一般的でした。
氷河期世代は、1971年から1982年頃に生まれ、バブル経済崩壊後の就職氷河期に直面した世代です。就職難の時期に社会に出たため、多くの人々が非正規雇用や派遣社員としてキャリアを始めることを余儀なくされました。この世代は、長期的な不安定な雇用状況や経済的な困難に直面し、苦しいキャリア形成を強いられた背景があります。
プレッシャー世代は、1980年代に生まれた人々を指し、氷河期世代とゆとり世代の中間に位置します。この世代は、経済的な不況や企業の倒産、リストラが相次いだ時期に育ったため、社会的・経済的なプレッシャーを感じやすいとされています。それにもかかわらず、プレッシャー世代は比較的前向きに物事を捉える傾向が強く、現実的な目標を持ちながら社会を生き抜いてきました。
ミレニアル世代は、1980年から1990年代半ばに生まれ、2000年以降に成人を迎えた世代を指します。彼らはインターネットの普及とともに成長し、情報リテラシーが高く、デジタルネイティブの先駆けとも言える存在です。ミレニアル世代は、物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを重視し、環境問題や社会への関心も高い傾向があります。
さとり世代は、現代の職場や社会で重要な存在です。合理的な考え方やプライベートを重視する彼らと上手に関わることで、効率的かつストレスの少ない関係を築くことができます。ゆとり世代やZ世代との違いを理解し、それぞれの特徴に合った接し方をすることで、より良いコミュニケーションが可能になります。この記事を参考にすれば、さとり世代との円滑な付き合い方を実践し、彼らとの関係を強化する一助となるでしょう。
株式会社DYMは、さとり世代をはじめ総合的な人材紹介サービスを提供しています。企業の人材戦略をトータルでサポートし、組織の成長と発展に貢献します。人材育成でお悩みの企業様は、ぜひDYMのサービスをご検討ください。
「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。
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