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退職後の生活費をどうするかは、多くの方にとって大きな問題です。自己都合退職の場合、失業保険がもらえるかどうか、そしていつから受給できるのかは、特に気になる点でしょう。そこでこの記事では、自己都合退職でも失業保険を受け取るための具体的な条件や受給額、そして受給手続きの流れについて詳しく解説します。この記事を読めば、安心して再就職に向けた一歩を踏み出せるはずです。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
自己都合で退職した場合でも、以下の3つの条件をすべて満たしていれば失業保険を受給することができます。それぞれの条件について詳しく見ていきましょう。
失業保険を受給するためには、まず「失業状態」にあることが必要です。失業状態とは、単に仕事をしていない状態ではなく、以下の条件を満たしている状態を指します。
つまり、次の仕事を探す意欲と能力があるにもかかわらず、職に就けていない状態を指します。逆に言えば、以下のような場合は失業状態とはみなされず、失業保険を受給することはできません。
ただし、病気やけが、妊娠・出産・育児、介護などですぐに働けない場合は、ハローワークに失業手当の受給期間延長手続きを行うことで、働ける環境が整った後で給付を受け取ることができます。
失業保険を受給するためには、一定期間雇用保険に加入している必要があります。自己都合退職の場合、離職日以前の2年間に、被保険者期間が通算して12ヵ月以上あることが条件となります。
被保険者期間とは、雇用保険に加入していた期間のことを指します。ただし、単純に雇用されていた期間すべてが被保険者期間としてカウントされるわけではありません。1ヵ月の間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月、または賃金支払いの基礎となった労働時間が80時間以上ある月が被保険者期間としてカウントされます。
例えば、週3日のパートタイムで働いていた場合、1ヵ月の勤務日数が11日に満たないため、その月は被保険者期間としてカウントされません。そのため、実際の勤務期間が2年以上あっても、被保険者期間が12ヵ月に満たない可能性があるので注意が必要です。
なお、会社都合による退職の場合は、離職日以前の1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月以上あれば良いという条件になっています。自己都合退職の方の条件が厳しくなっているのは、自己の意思で退職を選択したという点を考慮しているためです。
失業保険を受給するためには、ハローワークで求職の申し込みを行う必要があります。この手続きは、失業保険受給の最初のステップとなります。具体的な流れは以下のとおりです。
ハローワークでの求職申し込みは単なる形式的な手続きではありません。実際に積極的に職を探していることを示すため、定期的にハローワークに通い、職業相談や求人への応募状況を報告する必要があります。これらの活動を怠ると、失業保険の受給が停止される可能性もあるので注意が必要です。
以上の3つの条件をすべて満たすことで、自己都合退職の場合でも失業保険を受給することができます。ただし、受給開始までには一定の期間がかかるため、退職を考えている方は事前に十分な準備をしておくことをおすすめします。
自己都合退職の場合でも、一定の条件を満たせば失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)を受給することができます。給付額は、退職前の賃金や年齢によって異なります。ここでは、失業保険の基本手当日額の計算方法と、年齢別の給付額について詳しく解説していきます。
失業保険の給付額を決定する基本手当日額は、以下の手順で計算されます。
基本手当日額は、離職時の年齢や賃金日額に応じて決められた給付率を掛けて算出されます。給付率は賃金日額が低いほど高く設定されており、最大80%から最低45%の範囲で変動します。
また、基本手当日額には上限と下限が設けられています。2024年4月時点では、下限額が全年齢共通で2,295円、上限額は年齢によって7,065円から8,635円の間で設定されています。
なお、賃金日額の計算に使用する賃金には、通常の給与に加えて、残業代なども含まれます。ただし、賞与や臨時に支払われた賃金は含まれないので注意が必要です。
この基本手当日額をもとに、受給資格に応じた日数分の給付を受けることができます。ただし、自己都合退職の場合は、原則として2カ月間の給付制限期間があるため、すぐには受給できない点に注意が必要です。
このように、29歳以下の若年層では、最大でも基本手当日額が7,065円に抑えられています。これは、若年層の平均賃金が比較的低いことを考慮した設定となっています。ただし、賃金日額が低い場合は給付率が高く設定されているため、手取りに対する給付の割合は高くなる傾向にあります。
30〜44歳で離職した場合の基本手当日額は、以下のように計算されます。
30〜44歳の年齢層では、29歳以下の層と比べて上限額が高く設定されています。これは、この年齢層での平均賃金が比較的高いことを反映しています。ただし、賃金日額が低い場合の計算方法は29歳以下の層と同じであり、低所得者への配慮がなされています。
45〜59歳で離職した場合の基本手当日額は、以下のように算出されます。
45〜59歳の年齢層では、さらに上限額が引き上げられています。これは、この年齢層が一般的にキャリアのピークを迎え、比較的高い賃金を得ている可能性が高いことを考慮しています。ただし、低賃金の場合の計算方法は他の年齢層と同様であり、所得に応じた給付が行われる仕組みとなっています。
60〜64歳で離職した場合の基本手当日額は、以下のように計算されます。
60〜64歳の年齢層では、他の年齢層とは異なる計算方法が適用されます。特に、給付率の下限が45%と他の年齢層よりも低く設定されています。これは、この年齢層が定年退職後の再雇用や継続雇用の対象となることが多く、賃金水準が変動する可能性が高いことを考慮した設定です。
ただし、低賃金の場合は他の年齢層と同様に80%の給付率が適用されるため、所得に応じた給付が行われる仕組みとなっています。
自己都合退職の場合、失業保険の給付がいつから開始され、どのくらいの期間受けられるかは多くの人にとって気になるポイントです。自己都合退職者が失業保険を受け取るためには、通常、離職日から約2か月間の給付制限期間が設けられています。この期間中は、失業保険を受け取ることができません。その後、待機期間としてさらに7日間が必要です。
給付制限が終わった後、受給が開始されます。自己都合退職の場合、受給期間は雇用保険に加入していた期間に基づいて決定されます。具体的には、1年以上5年10年未満の加入者には90日間、10年以上205年以上10年未満の加入者には120日間、20年以上10年以上20年未満の加入者には150日間の給付が行われます。雇用保険に20年以上加入していた場合は、最大で150日間の給付が受けられます。
ただし、給付制限がない特定理由離職者や、職業訓練を受ける場合には、この制限が免除される場合があります。受給開始日や受給期間については、自分の状況に応じて適切に把握し、ハローワークでの手続きを行うことが重要です。
自己都合退職の場合、失業保険(雇用保険の基本手当)を受給するまでには一定の待機期間があります。この期間は「給付制限期間」と呼ばれ、通常は2か月ですが、状況によっては3か月になることもあります。ここでは、給付制限期間の仕組みと、2か月になる場合と3か月になる場合の違いについて詳しく解説します。
自己都合退職における給付制限期間は、原則として2か月です。この制度は2020年10月1日から施行されており、それ以前は3か月でした。給付制限が2か月となるのは、以下の条件を満たす場合です。
具体的な流れは以下のようになります。
例えば、4月1日に退職し、4月10日にハローワークで手続きを行った場合、4月16日までが待機期間、6月16日までが給付制限期間となり、実際の給付開始は6月17日からとなります。
この2か月の給付制限は、自己都合退職者が安易に失業保険に頼ることを防ぎ、再就職への意欲を高めることを目的としています。
給付制限期間が3か月となるのは、以下のいずれかの条件に該当する場合です。
3か月の給付制限が適用される具体的な流れは以下のとおりです。
例えば、7月1日に退職し、7月10日にハローワークで手続きを行った場合、7月16日までが待機期間、10月16日までが給付制限期間となり、実際の給付開始は10月17日からとなります。
この3か月の給付制限は、頻繁な転職や重大な違反行為による退職を抑制する効果があります。ただし、正当な理由がある場合(例:パワハラや労働条件の著しい変更など)は、ハローワークに相談することで給付制限が緩和される可能性もあります。
給付制限期間中も求職活動は必要であり、この期間を有効に活用して次の就職先を見つけることが重要です。
通常、自己都合退職の場合は2~3か月の給付制限期間がありますが、特定の条件を満たす場合には、この給付制限期間が免除され、すぐに失業保険を受給できることがあります。ここでは、自己都合退職でも給付制限なしで失業保険を受けられる2つのケースについて詳しく解説します。
自己都合退職であっても、「正当な理由」がある場合は給付制限期間なしで失業保険を受給できます。これらの退職者は「特定理由離職者」と呼ばれ、以下のような理由が該当します。
これらの理由で退職した場合、ハローワークに状況を説明し、必要な証明書類を提出することで、特定理由離職者として認められる可能性があります。認められれば、待機期間(7日間)経過後すぐに失業保険の給付を受けられます。
ただし、これらの理由に該当するかどうかの判断は、ハローワークが行います。自己申告だけでなく、客観的な証拠(診断書、賃金台帳のコピーなど)が求められる場合もあるため、退職時に必要な書類を準備しておくことが重要です。
自己都合退職者がすぐに失業保険を受給できるもう一つのケースは、公共職業訓練を受講する場合です。公共職業訓練とは、再就職に必要な知識や技能を身につけるための訓練プログラムで、国や都道府県が実施しています。公共職業訓練を受講する場合のメリットは以下の通りです。
公共職業訓練を受講するには、ハローワークでの受講あっせんが必要です。具体的な流れは以下の通りです。
ただし、訓練を受講するには一定の条件(訓練の必要性、訓練受講の意欲など)を満たす必要があり、誰でも自動的に受講できるわけではありません。また、訓練中も積極的に求職活動を行う必要があります。
職業訓練は、スキルアップと早期の失業保険受給を両立できる有効な選択肢ですが、自身のキャリアプランに合致するかよく検討することが大切です。
自己都合退職後に失業保険を受給している最中に再就職が決まった場合、「再就職手当」という給付金を受け取れる可能性があります。この制度は、失業保険受給者の早期再就職を促進するためのものです。ここでは、再就職手当の概要、支給額、支給日数について詳しく解説します。
再就職手当の支給額は、失業保険の基本手当の支給残日数によって異なります。具体的には以下の2つのケースがあります。
例えば、基本手当日額が6,000円で、支給残日数が100日(所定給付日数の3分の2以上)の場合、再就職手当の額は以下のように計算されます。
6,000円 × 100日 × 70% = 420,000円
この計算方法により、早期に再就職するほど受け取れる金額が多くなる仕組みになっています。これは、失業保険受給者の積極的な求職活動と早期再就職を奨励するための制度設計です。
ただし、再就職手当には上限額が設定されており、毎年8月1日に改定されます。上限額は「基本手当日額の70%(再就職手当の支給率が60%の場合は50%)」と「平均定期給与額の10%」のいずれか低い方の額となります。
再就職手当の支給日数は、失業保険の所定給付日数と支給残日数によって決まります。具体的な支給日数は以下の表のようになります。
所定給付日数 | 支給残日数(支給率60%) | 支給残日数(支給率70%) |
---|---|---|
90日 | 30日以上 | 60日以上 |
120日 | 40日以上 | 80日以上 |
150日 | 50日以上 | 100日以上 |
180日 | 60日以上 | 120日以上 |
210日 | 70日以上 | 140日以上 |
240日 | 80日以上 | 160日以上 |
270日 | 90日以上 | 180日以上 |
300日 | 100日以上 | 200日以上 |
330日 | 110日以上 | 220日以上 |
360日 | 120日以上 | 240日以上 |
例えば、所定給付日数が180日の場合、60日以上120日未満の支給残日数があれば支給率60%の再就職手当が、120日以上の支給残日数があれば支給率70%の再就職手当が受給できます。
この制度により、失業保険受給者は早期に再就職することで、より多くの再就職手当を受け取ることができます。これは、単に失業期間中の生活を支援するだけでなく、積極的な求職活動と早期の労働市場復帰を促進する効果があります。
自己都合退職と会社都合退職では、失業保険の受給条件や受給額に大きな違いがあります。これらの違いを理解しておくことは、失業保険を最大限に活用するために非常に重要です。
自己都合退職の場合、受給開始までの待機期間や給付制限があり、受給期間も短くなることが一般的です。一方、会社都合退職では、受給条件が緩和され、より早い段階で失業保険を受け取ることができます。以下では、これらの違いについて具体的に解説します。
自己都合退職の場合、退職者自身の意思で退職を決定したため、通常、退職後7日間の待機期間に続いて、さらに2か月間の給付制限期間が設けられます。この期間中は失業保険を受け取ることができません。また、失業保険の受給期間も、雇用保険の加入期間に応じて90日から150日の範囲で決定されます。
自己都合退職者の場合、再就職の意思があっても、会社都合退職者に比べて受給開始が遅れるため、退職後の生活設計を慎重に行う必要があります。
一方、会社都合退職の場合は、会社の都合により退職を余儀なくされたケースが多いため、失業保険の受給条件が大幅に緩和されています。まず、退職後の7日間の待機期間が過ぎれば、すぐに失業保険の給付が開始されます。
給付制限期間もないため、自己都合退職者より早く支給が開始されます。さらに、受給期間も長く、最大で330日間受給できる場合もあります。このように、会社都合退職者は、失業保険の受給において優遇されるため、再就職の準備をしっかりと行いながら、経済的な不安を軽減することができます。
自己都合退職後に失業保険(雇用保険の基本手当)を受給するためには、必要な書類を準備し、所定の手続きを踏む必要があります。ここでは、失業保険の申請に必要な書類と具体的な手続きの流れについて詳しく解説します。正しい手順で手続きを行うことで、スムーズに失業保険を受給することができます。
失業保険の手続きを行う際には、以下の書類を準備する必要があります。
これらの書類をすべて揃えた上で、住所地を管轄するハローワークに出向きましょう。書類に不備があると手続きが遅れる可能性があるため、事前に十分確認しておくことが重要です。
失業保険の手続きは、大きく分けて以下の4つのステップで進みます。
これらの手続きを正しく行うことで、失業保険を受給することができます。各ステップについて、詳しく見ていきましょう。
最初のステップは、ハローワークでの求職申し込みです。求職申し込みは、失業保険を受給するための重要な手続きの一つで、失業の状態であることを証明するものです。ハローワークで配布される求職申込書に、氏名、住所、職歴などの必要事項を記入し、提出します。
この手続きを行うことで、失業保険の受給資格が確定します。求職申し込みが完了すると、ハローワークから「ハローワーク受付票」が交付され、以降の手続きに使用されます。この受付票は、後の職業相談や失業認定の際に必要となるため、大切に保管しておきましょう。
求職申し込みが完了した後、ハローワークで指定された日時に、雇用保険受給者初回説明会に参加します。この説明会では、失業保険の受給手続きに関する重要な情報が提供されます。参加者には「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が交付され、これらは今後の手続きに不可欠な書類となります。
また、失業認定日のスケジュールも説明されますので、忘れないようにメモしておくことが大切です。この説明会に参加することは、失業保険の受給を開始するための必須条件ですので、必ず指定された日に出席しましょう。
雇用保険受給者初回説明会が終了すると、次に行うのが失業認定です。失業認定は、定期的に行われる手続きで、失業状態であることを確認するために必要です。指定された失業認定日にハローワークを訪れ、「失業認定申告書」と「雇用保険受給資格者証」を提出します。
失業認定では、求職活動の実績や就職への意思を確認されます。この手続きを4週間に1度行い、失業状態が継続していることを証明することで、引き続き失業保険を受け取ることができます。失業認定を受けないと、失業保険が支給されないため、指定された日に必ず手続きを行うことが重要です。
最後に、失業認定が完了すると、通常5営業日以内に失業保険が指定された口座に振り込まれます。この手続きは、失業認定ごとに繰り返され、認定を受けるたびに失業保険が支給されます。失業保険の受給期間中は、定期的に失業認定を受けることで、安定した支給を受け続けることができます。
再就職が決まった場合は、速やかにハローワークに報告し、失業保険の受給を終了させる手続きを行いましょう。これにより、適切なタイミングで受給を終えることができます。
自己都合退職後の失業保険受給は、多くの人にとって重要な経済的支援となります。受給条件や金額、期間を正しく理解することで、スムーズな手続きと安定した生活を確保できます。また、再就職手当や職業訓練制度を活用することで、より有利な条件での再就職が可能になります。
失業保険は単なる生活保障ではなく、次のキャリアステップへの準備期間を支える制度です。この機会を有効に活用し、自身のスキルアップや希望する職場への就職を実現することで、より充実したキャリアを築くことができるでしょう。
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