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福利厚生は、企業が従業員の生活をサポートし、働きやすい環境を整えるための重要な制度です。しかし、その種類や内容、導入のメリットについて詳しく知らない経営者や人事担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、福利厚生の基本的な概念から、法定福利厚生と法定外福利厚生の違い、人気の制度例、導入のメリットやデメリットまで、幅広く解説します。ぜひこの情報を、自社に最適な福利厚生制度を設計・運用に活かしてください。
<この記事で紹介する5つのポイント>
目次
福利厚生は、企業が従業員とその家族に対して提供する給与や賞与以外の報酬やサービスのことです。これらには従業員の生活を支援し、働きやすい環境を整えるという役割があります。
福利厚生には法律で定められたものと、企業が独自に設定するものがあり、その内容は多彩です。従業員の健康や生活の安定、仕事と私生活の調和を図るため、また企業の生産性向上や人材確保のために重要な制度といえるでしょう。福利厚生の目的や対象者について詳しく解説していきます。
福利厚生の根本的な目的は、従業員とその家族の健康で幸せな暮らしを実現することです。従業員の生活を経済面や健康面でサポートし、安心して働ける環境を整えることを目指しています。また、従業員のスキルアップを支援することで、個人の成長と会社の発展を同時に促進することも狙いです。
近年では、人材の流動化や働き方改革の進展に伴い、福利厚生の意味合いも変化してきました。従来の生活支援だけでなく、「人材の確保・定着」を目的とした制度設計が注目されています。優秀な人材を引き付け、長く活躍してもらうための戦略的な役割を担う側面も強いです。
さらに、ワークライフバランスの推進や多様な働き方への対応など、時代のニーズに合わせた福利厚生の提供が求められています。従業員一人ひとりの状況やライフステージに応じた柔軟なサポートを行っているという姿勢を打ち出すには、福利厚生を充実させる取り組みは有効でしょう。
福利厚生の対象者は、原則としてすべての従業員です。正社員だけでなく、契約社員やパートタイマーなどの非正規雇用労働者も含まれます。
2020年4月に改正・施行された「パートタイム・有期雇用労働法」と「労働者派遣法」により、同一労働同一賃金の原則が適用されるようになり。正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差が禁止されました。福利厚生についても、雇用形態による差別的な取り扱いは認められません。たとえば、食堂や休憩室などの福利厚生施設の利用、長期休暇や慶弔休暇の付与、キャリア開発のための教育機会の提供などは、雇用形態にかかわらず平等に扱う必要があります。ただし、一部の福利厚生については、労働時間や勤続年数などの合理的な基準に基づいて、適用範囲や内容に違いを設けることはできます。
重要なのは、同じ仕事をしている従業員間で不当な差別をしないことです。企業は、すべての従業員が公平に福利厚生を受けられるよう、制度設計や運用に配慮する取り組みをする必要があります。
福利厚生には、法律で義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が独自に設定する「法定外福利厚生」の2種類があります。法定福利厚生は全ての企業で一律に適用されますが、法定外福利厚生は企業ごとに内容が異なり、独自性を出せる部分です。両者の特徴や具体的な内容について、詳しく見ていきましょう。
法定福利厚生は、法律によって企業に実施が義務付けられている福利厚生制度です。主に社会保険と労働保険から構成されており、従業員の生活保障や健康維持を目的としています。具体的には以下の6種類が挙げられます。
・ 健康保険:従業員やその家族の病気・けがに対する医療費の補助や各種手当を行います。
・ 介護保険:40歳以上の従業員を対象に、将来の介護に備えて保険料を積み立てます。
・ 厚生年金保険:老後の生活を支えるための年金制度です。
・ 雇用保険:失業時の生活保障や、職業訓練などの再就職支援を行います。
・ 労災保険:業務上や通勤中の事故による傷病に対して補償を行います。
・ 子ども・子育て拠出金:児童手当の支給や、子育て支援事業に充てられる資金です。
これらの法定福利厚生は、企業規模や業種を問わず、すべての企業で導入が義務付けられています。従業員の基本的な生活保障を担う重要な制度であり、企業と従業員で費用を分担して運営される制度です。
法定外福利厚生は、企業が独自に設定し提供する福利厚生制度です。法律による義務付けはありませんが、従業員の満足度向上や人材確保のために、多くの企業が様々な制度を導入しています。法定外福利厚生は企業の自由裁量で設計できるため、業界や企業の特性に応じた独自の制度づくりが可能です。
法定外福利厚生の内容は多岐にわたり、従業員の生活全般をサポートする幅広い制度が存在します。住宅や通勤に関する支援、健康管理や医療サポート、育児・介護支援、自己啓発や能力開発の機会提供など、その分野は幅広いです。
近年では、従来の金銭的支援だけでなく、働き方の柔軟性を高める制度や、従業員のライフスタイル全般をサポートする制度など、多様な形態の福利厚生が登場しています。法定外福利厚生の具体的な内容について、分野別に詳しく見ていきましょう。
通勤・住宅支援は、従業員の日常生活の基盤となる部分をサポートする重要な福利厚生です。通勤手当は多くの企業で導入されており、公共交通機関の定期代や自家用車のガソリン代、駐車場代などを補助します。住宅関連では、家賃補助や住宅手当の支給、社宅や寮の提供などが一般的です。
最近では、テレワークの普及に伴い、在宅勤務手当を新設する企業も増えてきました。通信費や光熱費の補助を目的としており、柔軟な働き方を支援する制度として注目度が高いです。住宅ローンの金利優遇や、引っ越し費用の補助など、ライフステージの変化に応じたサポートを行う企業も見られます。
これらの支援は、従業員の経済的負担を軽減し、安定した生活基盤を確保するのが狙いです。特に、都市部で働く若手社員にとっては、住居費の負担が大きいため、住宅支援は魅力的な福利厚生といえるでしょう。
健康・医療サポートは、従業員の心身の健康を維持・増進するための福利厚生です。法定の健康診断に加えて、人間ドックや各種がん検診の費用補助、メンタルヘルスケアの提供などが含まれます。近年は「健康経営」の考え方が広まり、従業員の健康管理を経営課題として捉える企業が増加中です。
健康診断の充実や受診率向上の取り組み、保健師や産業医による健康相談の実施、ストレスチェックの導入などがあるほか、フィットネスジムの利用補助やウォーキングイベントの開催など、運動習慣の促進を図る企業も多くなっています。
食生活面では、社員食堂でのヘルシーメニューの提供、栄養指導の実施などが多いです。禁煙支援プログラムの導入や、睡眠改善セミナーの開催など、生活習慣の改善をサポートする取り組みも見られます。これらの施策により、従業員の健康意識を高め、病気や怪我のリスクを減らして生産性の向上や医療費の抑制につながることが期待されています。
育児・介護制度は、仕事と家庭の両立を支援する重要な福利厚生です。法定の育児・介護休業制度に加えて、企業独自の支援策を設ける動きが広がっています。
育児関連では、法定を上回る期間の育児休業制度や、短時間勤務制度の延長、保育施設の設置・利用補助などがあります。最近は男性の育児参加を促進するために「パパ休暇」「イクメン休暇」といった独自の休暇制度を設ける企業も多いです。不妊治療と仕事の両立を支援する制度や、子どもの看護休暇の拡充なども注目されています。
介護関連では、介護休業の期間延長や、介護サービスの利用補助、介護に関する情報提供や相談窓口の設置などが注目される制度です。在宅勤務やフレックスタイム制度の導入により、柔軟な働き方を可能にすることで、介護と仕事の両立をサポートする企業も増えています。
これらの制度は、従業員のライフイベントに応じた継続的な就業を支援し、キャリアの中断を防ぐのが狙いです。企業にとって痛手となる優秀な人材の流出を防ぎ、多様な人材が活躍できる職場環境を整備することにつながります。
慶弔・災害対策に関する福利厚生は、従業員の人生の節目や不測の事態に対するサポートを行うものです。結婚祝い金や出産祝い金などの慶事に対する祝い金の支給、弔事の際の香典や葬儀費用の補助などがあります。従業員やその家族が病気やけがをした際の見舞金制度も一般的です。
災害対策としては、自然災害や火災などで被害を受けた従業員への見舞金や復旧支援金の支給、災害時の緊急避難場所の提供などがあります。最近では、地震保険や火災保険の加入補助を行う企業も増えている状況です。
自己啓発プログラムは、従業員のスキルアップやキャリア形成を支援する福利厚生です。資格取得支援や社内外の研修プログラムの提供、通信教育やeラーニングの受講補助などがあります。これらの制度は、従業員の能力開発を促進し、個人と企業の成長を同時に実現することを目標としたものです。
資格取得支援として、業務に関連する資格の受験料補助や、合格時の報奨金支給などが見られます。語学学習支援として、TOEIC受験料の補助や、オンライン英会話の利用料補助を行う企業も少なくありません。ビジネススキル向上のためのセミナー参加費用の補助や、書籍購入費の支給なども行われています。
近年注目されているのが、副業・兼業の支援です。従業員の学びや経験の幅を広げるため、副業を認める企業が増えています。従業員が新たなスキルや視点を獲得し、本業にも好影響を与えることを期待して広がっているといえるでしょう。
自己啓発プログラムは、従業員の成長意欲やモチベーションの向上につながるだけでなく、企業にとっては人材の高度化や組織の活性化というメリットがあります。ただし、制度の利用率を高めるためには、従業員のニーズに合ったプログラムの提供や、利用しやすい環境づくりが重要です。
文化・体育・レクリエーション施設に関する福利厚生は、従業員の余暇活動や心身のリフレッシュを支援するものです。社内サークル活動の支援は保養所・スポーツ施設の提供、レジャー施設の利用補助などが含まれます。これらの制度は、従業員のワークライフバランスの向上や、社内コミュニケーションの活性化を図るのが目的です。
社内サークル活動の支援では、活動費の補助や活動場所の提供などがあります。スポーツや文化活動を通じて部署を超えた交流が生まれ、組織の一体感が醸成されることを促す制度です。保養所の提供は、従業員が手頃な価格で休暇を楽しめる機会を作り出します。
最近では、フィットネスジムやヨガスタジオと法人契約を結び、従業員が割引料金で利用できるサービスを提供する企業も増えてきました。映画やコンサート、スポーツ観戦などのチケット購入補助を行う企業も見られます。
これらの福利厚生は、従業員のストレス解消や健康増進に役立つだけでなく、仕事以外の場面での自己実現や人間関係の構築にも影響するでしょう。
財産形成支援は、従業員の将来に向けた資産形成をサポートする福利厚生です。財形貯蓄制度、従業員持株会、確定拠出年金制度などがあり、従業員の経済的な安定と将来への備えを助ける役割を果たします。
財形貯蓄制度は、給与から一定額を天引きして貯蓄する制度で、「一般財形」「財形年金」「財形住宅」の3種類があります。特に財形年金と財形住宅は非課税枠があり、税制優遇を受けられるのがメリットです。
従業員持株会は、毎月一定額を積み立てて自社の株式を購入する制度で、会社からの奨励金が付くケースも多く、従業員の株主としての意識を高める効果があります。
確定拠出年金制度は、従業員自身が運用方法を選択し、その運用結果が将来の年金額に反映される仕組みです。企業型確定拠出年金では、企業が掛金を負担するため、従業員の老後資金形成を支援できます。退職金制度を廃止した代わりに導入する企業が多いです。
これらの制度は、従業員の長期的な経済的安定を支えるとともに、若い世代の資産形成への意識を高め、将来に向けた計画的な貯蓄を促進する役割も果たしています。
福利厚生制度を充実させることは、企業にとって多くのメリットをもたらします。従業員の満足度向上や優秀な人材の確保、生産性の向上など、様々な面でポジティブな効果が期待できます。ここでは、福利厚生導入による主なメリットについて詳しく見ていきましょう。
充実した福利厚生制度は、求職者にとって大きな魅力となります。求職者は給与だけでなく、福利厚生の内容も重視して就職先を選ぶ傾向があるためです。特に、ワークライフバランスを重視する若い世代にとって、充実した福利厚生は大きな魅力に感じるでしょう。
たとえば、充実した育児支援制度は、将来の家庭生活と仕事の両立を考える求職者の目を引きます。自己啓発支援プログラムは、キャリアアップを目指す意欲的な人材へのアピールとして効果的です。福利厚生が整っていることで、より多くの優秀な人材が応募してくる可能性が高まり、企業の選択肢が広がります。
福利厚生の充実度によっては、企業の評判を高め、口コミでの情報拡散も期待できるかもしれません。より多くの優秀な人材に関心を持ってもらうきっかけとなる可能性が高いです。人材獲得競争が激しくなる中、福利厚生の充実は重要な差別化要因となっていると言えます。
福利厚生の充実は、従業員の総合的な満足度を高める効果があります。金銭的な報酬とは異なるサポートが充実していることで、従業員は会社に大切にされていると感じ、仕事への意欲や会社への帰属意識が高まるのです。
健康・医療サポートの提供は、従業員の心身の健康維持に役立ち、安心して働ける環境を作り出せます。余暇活動を支援する制度は、ワークライフバランスを改善し、仕事以外の面での充実感をもたらす可能性が高いです。従業員の満足度は離職率にも影響するため、人材の流出を避ける施策のひとつとして福利厚生の充実は有効でしょう。
福利厚生の充実により、心身ともに健康で、仕事に集中できる環境が整備されることは、従業員のパフォーマンス向上に寄与します。
健康・医療サポートの充実により、従業員の体調管理が行き届くと、病気や怪我による欠勤が減少します。メンタルヘルスケアの提供は、ストレスの軽減や心の健康維持につながり、長期的な就業継続を支えるでしょう。柔軟な働き方を可能にする制度は、個々の事情に合わせた効率的な業務遂行を可能にします。
これらの支援により、従業員は心身ともに良好な状態を保てるため、仕事への意欲を高めやすいです。その結果、業務の質が向上し、企業全体の生産性アップにつながるでしょう。
福利厚生により働きやすい環境や将来への安心感が得られると、従業員の定着率が向上します。財産形成支援は、長期的な経済的安定を提供し、将来への不安を軽減します。慶弔・災害対策などのサポートは、会社が従業員の人生に寄り添っているという印象を与え、帰属意識を高める効果が大きいです。こうした総合的なサポートが、従業員の会社への信頼感や愛着を深め、長期的な就業継続につながります。
従業員を大切にする企業というイメージは、社会からの信頼や評価を高める効果があります。たとえば、先進的な育児・介護支援制度や柔軟な働き方を導入している企業は、「働きやすい会社」「ワークライフバランスを重視する会社」というイメージを獲得しやすいでしょう。長期休暇制度や副業支援制度といったユニークな福利厚生制度は、メディアで取り上げられる機会も多く、企業の革新性や柔軟性をアピールする材料となります。
地域社会への貢献を含む福利厚生制度は、企業の社会的責任(CSR)活動の一環として評価されることも少なくありません。こうした取り組みは、企業の社会的価値を高め、顧客やビジネスパートナーからの信頼獲得にもつながるのです。
適切に設計された福利厚生制度には、企業の税負担を軽減する効果があります。福利厚生費は、一定の条件を満たせば法人税法上の損金として認められるためです。企業の課税所得を減少させ、結果的に法人税の負担を軽減することができます。
また、財形貯蓄制度や確定拠出年金制度などの財産形成支援には、税制上の優遇措置があります。ただし、過度に高額な福利厚生や特定の従業員のみを対象とするものは、福利厚生費として認められない可能性があるため、適切な制度設計と運用が重要です。
人気の高い福利厚生は、従業員のニーズや社会の変化に応じて変わってきています。近年特に注目されている福利厚生例をいくつか紹介します。
近年高い人気を集めているのは、リフレッシュ休暇やバースデー休暇、アニバーサリー休暇などの特別休暇制度です。住宅手当や家賃補助も依然として高い人気を誇ります。住居費は生活費の中で大きな割合を占めるため、これらの支援によって従業員の経済的負担を大きく軽減できるためと見られます。
健康経営の観点から、ヘルスケアサポートも注目を集めています。人間ドックの費用補助やメンタルヘルスケア、フィットネスジム利用の支援などです。従業員の健康維持・増進を図ることで、長期的な生産性向上につながると期待されています。
その他、人気が高まっている福利厚生制度サービスとして、次のようなものがあります。
育児・介護支援
・ 法定以上の育児・介護休業制度
・ 企業内保育所の設置
・ ベビーシッター費用の補助
自己啓発支援
・ 資格取得支援
・ 通信教育の受講料補助
・ 書籍購入費の支給
柔軟な働き方を支援する制度
・ フレックスタイム制度
・ テレワーク制度
・ 副業・兼業の容認
自社の特性や従業員のニーズを考慮しながら、適切な制度を選択・導入していくとよいでしょう。
福利厚生の費用は、企業規模や導入する制度によって大きく異なります。
一般社団法人日本経済団体連合会における「第64回 福利厚生費調査結果報告(2019年度)」によると、2019年度の福利厚生費は従業員1人あたり月平均で約10万円でした。このうち、法定福利費が約8万円、法定外福利費が約2万円となっています。
法定福利費では、厚生年金保険の割合が最も高く、健康保険・介護保険、雇用保険・労災保険の順となっています。法定外福利厚生費では住宅関連が最も高く、次いでライフサポート、医療・健康、文化・体育・レクリエーション関連となっています。
費用を検討する際は、単純な金額だけでなく、従業員のニーズや利用率、導入効果なども考慮することが重要です。高額でも利用率が低ければ効果は限定的ですが、低コストでも多くの従業員が利用する制度なら高い効果が期待できます。
また、適切に運用すれば福利厚生費の一部は税法上の損金として認められる可能性があります。効果的な制度設計を行うには、税理士や社会保険労務士などの専門家に相談するとよいでしょう。
費用対効果を高めるには、定期的に従業員のニーズを調査し、利用状況を分析することが大切です。必要に応じて制度の見直しや改善を行い、効果的な福利厚生運営を目指すことが重要です。
福利厚生の導入には多くのメリットがある一方で、下記のような注意すべき点も存在します。
・ 費用負担の大きさに注意
・ 管理の手間を考える
・ 利用率のバラつきに注意
主なデメリットと注意点について詳しく解説します。
福利厚生の導入や運用には、相応の費用がかかります。特に、法定外福利厚生は企業の任意で行うため、経営状況によっては大きな負担になりかねません。
たとえば、社員食堂の運営や保養所の維持管理には継続的なコストがかかる福利厚生制度の代表例です。住宅手当や家賃補助などの金銭的支援も、従業員数が多い場合は総額が大きくなります。健康診断の充実や自己啓発支援などは、規模が大きくなるほど費用が増大しやすいです。
これらの費用が事業利益を圧迫する要因となる可能性があり、特に中小企業や業績が不安定な企業にとっては、大きなリスクになります。
福利厚生の導入や拡充を検討する際は、自社の財務状況を十分に考慮し、長期的な視点で費用対効果を見極めることが必要です。段階的な導入や優先順位をつけた制度設計など、費用負担を抑えつつ効果を最大化する工夫をしましょう。
一度導入した制度を廃止または縮小することは、従業員の反発を招く可能性があります。ただし、利用率が少ないなど見直すのに十分な理由があれば、廃止や縮小はむしろ正しいことです。ニーズを踏まえた持続可能な制度設計を心がけ、景気変動にも耐えうる安定した仕組みづくりが求められます。
福利厚生制度の運用には、相応の管理業務が発生しますが、企業にとって無視できない負担となる可能性があります。
制度の設計や規定の作成には多くの時間と労力がかかる上に、法令順守や公平性の確保、従業員のニーズへの対応など、考慮すべき点は尽きません。制度の周知や利用促進のための広報活動も、継続すればそれなりの負担がかかります。運用面では、各種申請の受付や審査、給付の手続きなど、日常的な業務が発生します。特に、カフェテリアプランのような選択型の福利厚生制度では、個々の従業員の選択内容を管理する必要があり、作業が煩雑になりやすいです。
制度の効果測定や改善のための分析、従業員の満足度調査なども定期的に行う必要があるでしょう。
これらの業務は、人事部門の負担を増大させる可能性が高いです。中小企業では、専任の担当者を置くことが難しい分、既存の人事スタッフが兼務することになりやすく、本来の業務に支障をきたす恐れもあります。
これらの課題に対処するためには、ITシステムの活用や福利厚生代行サービスの利用を検討することも一案です。外部のサービスを利用することで、管理業務の負担を軽減しつつ、専門性の高い運用を行うことができます。
ただし、外部サービスを利用する場合でも、制度の基本設計や方針決定は自社で行わなければいけません。従業員のニーズや会社の方針を十分に反映させ、効果的な制度運用を心がけることが重要です。
福利厚生制度を導入する際、全従業員に公平に利用してもらうことが理想ですが、実際には利用率にバラつきが生じることが多いです。利用率のバラつきが顕著になると、制度の効果低減や従業員間の不公平感の誘発につながる可能性があります。
たとえば、育児支援制度は、子育て中の従業員には大変有益ですが、独身者や子どもがいない従業員にとっては恩恵がありません。住宅手当も同様で、持ち家の有無や居住地域によって利用状況が異なります。自己啓発支援制度は、意欲的な従業員が積極的に利用する一方で、関心の低い従業員はほとんど利用しないというケースもあるでしょう。このような状況が続くと、制度を利用できる従業員と利用できない従業員の間で、不公平感が生まれやすいのです。
利用率のバラつきに対処するためには、制度設計の段階で従業員のニーズを正確に把握し、できるだけ多くの従業員が利用できる制度づくりを心がけることが重要です。カフェテリアプランのような選択型の福利厚生制度を導入し、従業員が自分のニーズに合った制度を選べるようにする方法もよいでしょう。利用率の定期的なモニタリングと分析を行い、利用が低調な制度については必要に応じて制度の見直しや改善を行うといいかもしれません。
ただし、個々の制度の利用率だけにとらわれすぎないことも重要です。全体としてバランスの取れた、従業員にとって魅力的な制度を目指すことが、福利厚生制度成功の鍵となります。
福利厚生は、企業の成長と従業員の幸福を両立させる重要な施策です。適切な制度設計と運用により、優秀な人材の獲得や定着率の向上、生産性の向上などが期待できます。
一方で、費用負担や管理の手間など課題もあります。企業は自社の状況や従業員のニーズを的確に把握し、バランスの取れた福利厚生制度を構築することが重要です。効果的な福利厚生の導入により、企業の競争力向上と従業員満足度の向上を同時に実現することができるでしょう。
もし、現在福利厚生の導入や運用に課題を感じているのならば、専門的なノウハウを持つ外部サービスを利用してみるのはいかがでしょうか。
DYMでは、100万種類を超える充実したメニューと全国展開のサービスを提供し、企業の経費削減や従業員の生産性向上に貢献しています。DYMの専門家による定期的なアドバイスと利用率向上施策により、従業員満足度の向上と企業の成長を同時に実現できるでしょう。福利厚生のことでお悩みや問題を抱えている場合は、一度ご相談ください。
「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。
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