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障害者雇用率制度とは|法定雇用率の引き上げ、計算方法について

公開日:2024.11.13  更新日:2024.11.20

企業が障害者を雇用する際は「障害者雇用率制度」と「法定雇用率」について押さえておかなければなりません。本記事では、障害者雇用に関する重要な情報として、障害者雇用に必要な知識である「障害者雇用率制度」と「法定雇用率」の情報をお伝えします。具体的な事例や取り組み方法についても触れ、実践的な情報を提供しますので、障害者雇用の際にお役立てください。

<この記事で紹介する○つのポイント>

  • 障害者雇用率制度の概要と最新の法定雇用率 
  • 障害者雇用率の計算方法と対象となる障害者の基準 
  • 今後の法改正の動向と企業が取るべき対応

障害者雇用率制度とは?法定雇用率の基本とは

障害者雇用率制度は、障害者の雇用機会を確保するために設けられた制度です。 この制度では、一定規模以上の事業主に対して、従業員数に応じた障害者の雇用を義務付けています。法定雇用率とは、事業主が雇用しなければ障害者の割合のことです。この率は、労働者数に対する障害者数の割合で表されます。

障害者の引き上げに関する法定雇用率の変更

法定雇用率は、社会状況や障害者の就労状況に応じて定期的に見直されています。今後、障害者の就労に関する取り組みや、企業の受け入れ体制の整備が進むためです。
2021年3月1日からの法定雇用率は、2023年度より以下のように変更されました。

変更前

変更後

民間企業

2.2%

2.7%

国、地方公共団体等

2.5%

3.0%

都道府県などの教育委員会

2.4%

2.9%

※ただし、雇入れに係る計画的な対応が可能となるよう、2023年度においては2.3%で据え置き、2024年度から2.5%、2025年度から2.7%と段階的に引き上げる見通しとなっています。

法定雇用率変更により、より多くの障害者雇用が期待されています。

障害者雇用率計算のポイント

障害者雇用率の計算には、いくつかの重要なポイントがあります。

対象となる従業員数の把握は常勤労働者数と短時間労働者数を正確に把握しなければなりません。雇用している障害者の数を、障がいの種類や程度に応じて正確にカウントします。

【重度障害者のダブルカウント】
重度身体障害者と重度知的障害者は1人につき2人分としてカウント

【短時間労働者の取り扱い】
週20時間以上30時間未満の短時間労働者は0.5人分としてカウント
短時間重度身体障害者、短時間重度知的障害者は1人分としてカウント

障がいの種類や程度を正確に把握できれば、適切な雇用率の計算が可能になります。

雇用対象となる障がいのある方の数え方とは

雇用対象となる障がいのある方の数え方を、ルール変更と計算方法の面からそれぞれ解説します。

障害者雇用率のカウントルールの変更

2018年4月1日より、精神障害者の雇用義務化に伴い、カウントルールが変更されました。具体的な変更点を以下に挙げます。

所定労働時間カウント数
週30時間以上1人
週20時間以上30時間未満0.5人※

※以下の条件を満たす場合はカウント数1人にみなされます
・新規雇入れから3年以内の方または精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の方
・令和5年3月31日までに雇い入れられ、精神障害者保健福祉手帳を取得した方

精神障害者のカウント数が変更されたことで、よりスムーズな雇用促進が図られていくと予想されます。

障害者雇用率の計算方法

障害者雇用率の計算は以下の式で行います。

障害者雇用率 =
(障害者である労働者の数 + 障害者である短時間労働者の数 × 0.5)÷ (常用労働者数 + 短時間労働者数 × 0.5)× 100

上記の計算方法を正確に適用しなければなりません。
計算の具体例を挙げますので、参考にしてください。

・常勤労働者数が100人
・短時間労働者数が20人
・障害者である労働者数が3人
・障害者である短時間労働者数が2人

障害者雇用率 = (3 + 2 × 0.5) ÷ (100 + 20 × 0.5) × 100 = 3.6%

上記の例では、法定雇用率2.3%を上回っていることがわかります。

障がいの基準と雇用対象の判断基準

障害者雇用率制度における障がいの基準と雇用対象の判断基準は、法律で明確に定められています。雇用対象となる障がいの種類や程度の判断基準は以下の通りです。

身体障害者身体障害者手帳の対象者が対象 視覚障がい、聴覚障がい、肢体不自由、内部障がいなどが含まる
知的障害者療育手帳の所持者、または児童相談所等による判定を受けた者が対象IQや社会生活能力の程度によって判断される
精神障害者精神障害者保健福祉手帳の対象者が対象 統合失調症、躁うつ病、てんかんなどの精神疾患を持つ方が含まれる
その他の障害者発達障害者や難病患者等も、一定の条件を満たせば対象となる場合がある 自閉症スペクトラム障がい、ADHD、学習障がいなどの発達障がいや、指定難病の患者が含まれることがある

各基準を正しく理解し、判断することが法令遵守のためにも重要です。
障がいの程度による雇用率へのカウント方法は、以下の通りです。

・重度身体障害者・重度知的障害者:1人につき2人分としてカウント
・短時間重度身体障害者・重度知的障害者:1人につき1人分としてカウント
・精神障害者:1人につき1人分としてカウント(短時間労働者は0.5人分)

障がいの程度による違いを正しく認識した上で、雇用率を計算することが求められます。

今後の法定雇用率の変更に対応する必要性

Project plan with pen

法定雇用率は、社会情勢や障害者の就労状況に応じて、今後も変更される可能性があります。なぜなら、障害者の就労や企業の受け入れ体制は常に変化しているためです。今後は以下の対応が必要になる可能性があります。

・雇用率に備えた採用計画の見直し
・職場環境の整備や支援体制の強化
・障害者雇用に関する社内教育の実施

上記のような対応を事前に検討し準備しておけば、スムーズな法令遵守が可能になるでしょう。具体的な対応策は次の通りです。

・中長期的な採用計画の策定
・職場環境のバリアフリー化
・障害者雇用に関する社内研修の実施
・障害者就労支援機関との連携
・テレワークなど柔軟な働き方の導入

それぞれ説明します。

中長期的な採用計画の策定

法定雇用率の変更に備え、計画的に障害者の採用を行う必要があります。単発的な採用活動ではなく、組織全体で継続的に採用計画を立て、段階的に雇用を拡大して法定雇用率の達成を目指すのが得策です。採用計画が成功すれば組織の多様性が促進され、企業文化の向上にもつながるでしょう。

職場環境のバリアフリー化

障害者が安心して働ける環境を整備するためには、物理的なバリアフリー化だけでなく、コミュニケーション面でのバリアも取り除かなければなりません。たとえば、視覚障がいや聴覚障がいのある社員に対して、情報共有のためのITツールの導入や手話通訳を配置するといった方法が有効です。また、精神的なサポートや柔軟な勤務時間の設定など、メンタルヘルスの支援にも配慮することが求められるでしょう。

障害者雇用に関する社内研修の実施

障害者雇用を推進するためには、管理職や同僚が障害者に対する理解を深め、協力しなければなりません。社内研修を通じて障害者雇用に対する正しい理解を促し、全社員が一丸となって支援できる体制づくりが重要です。研修内容には、障害者の権利や配慮すべき事項、実際の職場でのサポート方法などを含めると効果的でしょう。

障害者就労支援機関との連携

地域の就労支援センターや特別支援学校など、障害者就労支援機関との連携を強化は、適切な人材確保を容易にします。支援機関との連携により、障害者の能力や特性に合った職務を提供し、スムーズな雇用の実現を目指せるでしょう。支援機関からのアドバイスやサポートを受けて、障害者がスムーズに適応できるような支援体制を整備することも大切です。

テレワークなど柔軟な働き方の導入

テレワークをはじめとする柔軟な働き方の導入は、障害者にとって働きやすい環境を提供する有効な手段です。特に、通勤が難しい障害者にとっては、テレワークは働きやすい環境と言えます。障害者の特性に応じた働き方を提供し、能力を最大限に引き出す環境を提供することは、雇用の可能性を広げることにもなるでしょう。

現状から見る障害者雇用率の状況

厚生労働省の「令和5年障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業における雇用障害者雇用率の状況は以下の通りです。

雇用障害者数64万2178人(前年比:+2万8220人)
実雇用率2.33%(前年比:+0.08%)
法定雇用率達成企業50.1%(前年比:+1.8)

上記の数字から、障害者雇用が順調に促進されていることが分かります。

業種別の分析では、特に製造業、卸売業・小売業、サービス業において障害者雇用が進んでいます。製造業、卸売業・小売業、サービス業は、日本の労働市場において雇用者数が多く、企業側の障害者雇用に対する意識の高まりが反映されているのかもしれません。

一方で、建設業や情報通信業では、雇用率が他の業種に比べて低く、依然として改善の余地があります。障害者が働きやすい職場環境の整備が課題といえるでしょう。

地域別に見ると、都市部と地方部で雇用状況に若干の差異が見られます。特に、東京や大阪などの大都市圏では、企業の数が多いため、雇用率が高くなっています。一方で、地方では雇用の機会が限られているため、全体の雇用率はやや低めです。

まとめ

障害者雇用率制度と法定雇用率について、以下のポイントを解説しました。

・制度の概要と最新の法定雇用率
・雇用率計算の方法とポイント
・障がいの基準と雇用対象の判断基準
・今後の法改正への対応の必要性
・現状の障害者雇用率の状況

企業には、上記の情報を踏まえて、適切な障害者雇用の促進が求められます。法令遵守はもちろん、障害者の能力を活かした職場づくりを通じて、多様性のある組織づくりを目指さなければなりません。

障害者雇用は、単なる社会的責任の遂行だけでなく、組織の多様性向上や創造性の促進、潜在的な人材の発掘など、多くのメリットがあります。一方で、雇用の質の向上や合理的配慮の提供、長期的なキャリア形成支援など、取り組むべき課題が存在しているのも事実です。

企業は、障害者雇用を組織の競争力を高める機会として捉え、積極的に取り組まなければなりません。今後も法改正や社会情勢の変化に注目し、障害者雇用の取り組みを通じて、誰もが活躍できる共生社会の実現に貢献できるでしょう。

本記事を通じて、企業が障害者雇用率を理解し、適切な対応につながれば幸いです。

DYMでは障害者の方々の選択肢を広げ、企業の採用や定着の支援により、より良い社会貢献につなげる取り組みを行っております。障害者雇用を考えている企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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【筆者・監修者企業】

株式会社DYM

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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。

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