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障害者トライアル雇用とは|制度の概要やメリットをくわしく解説

公開日:2024.11.13  更新日:2024.11.20

障害者トライアル雇用は、障害者と企業の間での雇用マッチングを支援する重要な制度です。企業は障害者の適性や能力を実際の業務を通じて確認し、リスクを軽減しながら常用雇用への移行をサポートします。一方、障害者にとっても、自身の適性を確認し、職場環境に適応するための貴重な機会です。本記事では、障害者トライアル雇用の概要や対象者、助成金額、メリットとデメリット、導入の流れと留意点について詳しく解説します。

<この記事で紹介する3つのポイント>

  • 障害者トライアル雇用の対象者と助成金額
  • 障害者トライアル雇用のメリットとデメリット
  • トライアル雇用の手続きと導入時の注意点

障害者トライアル雇用とは?

障害者トライアル雇用は、企業が障害者を一定期間(原則3ヶ月間)試験的に雇用し、適性や能力を確認するための制度です。

企業が試用期間中に障害者の適応能力やスキルを評価する一方で、障害者も新しい職場での業務に対する適性やフィット感を確かめられます。企業は、労働者の適性を確認した上で継続雇用を検討できるため、障害者雇用への不安が軽減できるでしょう。
ここからは、障害者トライアル雇用について以下の内容を解説します。

・障害者トライアル雇用の対象者
・障害者トライアル雇用制度の助成金額

障害者の雇用に関心のある方は、参考にしてください。

障害者トライアル雇用の対象者

障害者トライアル雇用の対象者は「障害者の雇用の促進等に関する法律 第2条第1号」に該当する方であり、障害の原因や障害の種類は問われません。

以下のいずれかの要件を満たし、障害者トライアル雇用を希望した方が対象となります。

1.紹介日時点で、就労経験のない職業に就くことを希望している
2.紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
3.紹介日の前日時点で、離職している期間が6ヶ月を超えている
4.重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者

また、雇用する側の事業主にも、障害者トライアル雇用による助成金を受給するための条件がいくつかあります。雇い入れにはハローワークまたは民間の職業紹介事業者からの紹介が必須であり、事業主は以下の要件のすべてを満たすことが必要です。

1.雇用保険適用事業所の事業主であること(雇用保険被保険者が存在する事業所の事業主
  であること)
2.支給のための審査に協力すること
3.申請期間内に申請を行うこと

自社サイトなどからの直接応募者を採用した場合は、障害者トライアル雇用は適用されないので注意しましょう。

参考:「障害者トライアル雇用」のご案内 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク

障害者トライアル雇用制度の助成金額

障害者トライアル雇用制度を利用する企業には、国から助成金が支給されます。助成金はトライアル雇用を実施する障害者の雇用形態や条件により異なる点に注意してください。それぞれ以下の金額が設定されています。

【トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)】

精神障害者以外月額最大4万円(最長3ヶ月間)

障害者トライアル雇用求人を事前にハローワークなどに提出し、紹介を受けて、原則3ヶ月間対象者を雇用し、一定の要件を満たした場合、助成金を受けられます。

精神障害者月額最大8万円(最大8万円×3ヶ月、その後4万円×3ヶ月)

精神障害者を雇用する場合は、月額最大8万円の助成金を受けられます。精神障害者は原則6~12ヶ月間トライアル雇用期間を設けれますが、助成金の支給対象期間は6ヶ月間に限ります。

【トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)】

支給対象者1人につき月額最大4万円(最長12ヶ月間)

週20時間以上の勤務が難しい精神障害者や発達障害者について、3~12ヶ月の期間をかけながら20時間以上勤務を目指して試行雇用をおこなう事業主に対して助成されます。

参考:障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース 厚生労働省

障害者トライアル雇用のメリットとは?

障害者トライアル雇用には、企業と障害者双方にとって多くのメリットがあります。
企業側のメリットについては以下の通りです。

・リスクの軽減
・助成金の活用
・職場の多様性促進

それぞれ解説します。

【リスクの軽減】
トライアル雇用は、短期間の雇用であるため、企業にとっては採用リスクを軽減する効果があります。雇用期間中に、障害者の適性や業務適応力を確認し、常用雇用に移行するかどうかを判断できるため、採用失敗のリスクを減らせるでしょう。

【助成金の活用】
助成金を活用できれば、企業は障害者を雇用する際の初期コストを削減できます。障害者トライアル雇用における助成金は、障害者のために職場環境を整備する費用や指導を担当する社員の人件費などにも充てられます。

【職場の多様性促進】
障害者の雇用を通して職場内での多様性への意識が向上すると、企業文化が豊かになるとともに、新しい視点やアイデアが生まれやすくなります。企業全体のイノベーションが進み、長期的な競争力の強化へとつながるかもしれません。

加えて、障害者側にも以下のようなメリットが考えられます。

・就労経験の獲得
・職場適応の支援
・自身の向上

【就労経験の獲得】
障害者にとって、トライアル雇用は実際の職場で働く貴重な経験となります。実際に働いてみることで職場環境に対する不安が軽減されるだけでなく、自身の適性やスキルを確認する機会を得られる貴重な機会です。

【職場適応の支援】
トライアル雇用期間中、障害者は企業からのサポートを受けながら業務に取り組めます。支援を受けながら働けると、職場への適応がスムーズになり、長期的な雇用へとつながる可能性が高まるでしょう。

【自身の向上】
実際の業務経験によって自分の能力に対する自信がつけば、今後のキャリア形成に良い影響を与えます。特に初めて就労する障害者にとっては大きなステップとなるでしょう。

障害者トライアル雇用は、企業と障害者双方がより良い雇用関係を築くための効果的な制度といえます。

障害者トライアル雇用のデメリットとは?

障害者トライアル雇用は多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
企業側のデメリットについては以下の通りです。

・コストと時間の負担
・適応支援の負担

【コストと時間の負担】
トライアル雇用が終了した後、常用雇用に移行しない場合、求人活動を再開しなければならないため手間とコストが発生します。トライアル期間中に期待していた成果が得られなかった場合でも、原則として契約期間中は雇用を維持しなければならず、企業側の負担が大きくなるかもしれません。

【適応支援の負担】
障害者が職場に適応するためには、企業側からのサポートが不可欠ですが、その支援には時間と人員が必要です。特に小規模な企業にとっては負担となり、本来の業務を圧迫する可能性があります。

障害者側のメリットについては以下の通りです。

・不安定な雇用状況
・プレッシャーの増加

【不安定な雇用状況】
トライアル雇用は一時的な雇用形態です。終了後に常用雇用に移行しない場合、障害者にとっては再度職探しが必要になるため、不安定な経済状況に直面する場合があります。

【プレッシャーの増加】
トライアル期間内に結果を出さなければならないというプレッシャーが、障害者にとって心理的な負担となる可能性があります。職場に早く適応しなければならないという焦りが、業務に悪影響を及ぼす場合もあるでしょう。

デメリットは必ずしも起こるとは限りませんが、可能性があることを理解し、事前に対策を講じて制度をより効果的に活用してください。

障害者トライアル雇用の手続きの流れ

障害者トライアル雇用を利用するには、以下の流れで手続きをおこなう必要があります。

・求人の申し込み
・求職者の選考
・実施計画書の提出
・常用雇用への移行
・結果報告書兼支給申請書の提出

それぞれ解説します。

求人の申し込み

企業が障害者トライアル雇用を導入するためには、ハローワークへ求人票を提出し、申し込みを行います。企業はトライアル雇用を実施する目的や計画を明確にし、求職者を受け入れるための準備を整えなければいけません。申し込み後は、ハローワークが企業の状況や計画を審査し、トライアル雇用の実施が決定されます。

万が一、直接応募してきた求職者を採用した場合は、障害者トライアル雇用は適用されず助成金の支給対象とならない点に注意しましょう。

求職者の選考

トライアル雇用の申し込みが承認された後、ハローワークからの紹介があったら、ハローワークを通じて求職者の選考を面接にて行います。障害者トライアル雇用制度では、書類のみの選考は認められていません。面接が必須である点を理解しておきましょう。

選考時には、求職者の障害の特性や職務に対する適性を十分に考慮し、長期的に働けるかどうかを判断します。

実施計画書の提出

助成金受給のため、障害者トライアル雇用開始日から2週間以内に実施計画書を作成してハローワークへ提出します。実施計画書には、トライアル雇用の目的や期間、求職者に対する業務内容、評価基準などを記載します。

実施計画書を雇用開始から2週間以内に提出しなかった場合は、助成金が支給されません。必ず期限内に提出するよう注意しましょう。

常用雇用への移行

トライアル期間中の評価結果に基づき、双方が納得すれば、常用雇用契約へと移行します。

常用雇用とは「期間の定めなく雇用されている労働者」「採用時から1年以上継続して雇用されると見込まれる労働者」を指すため、雇用形態が正社員でない場合でも常用雇用契約は可能です。常用雇用へスムーズに移行できるよう、企業はトライアル期間中に適切なフィードバックを行って、障害者が職場に定着できるようサポートしましょう。

結果報告書兼支給申請書の提出

トライアル雇用が終了した後は「結果報告書兼支給申請書」をハローワークや労働局に提出します。助成金を受給するためには、障害者のトライアル雇用期間が終了した日の翌日から起算して2カ月以内に書類を提出しなければなりません。

必要な書類を一度に提出できれば、スムーズに支給を受けられますので、不明な点は、管轄のハローワークや労働局へ確認し、まとめて提出すると効率的です。

障害者トライアル雇用制度の導入における留意点

障害者トライアル雇用制度の導入における留意点は以下の通りです。

・求人数を超えた場合は対象外となる
・選考は面接が必須である
・助成金の支給対象外となる場合がある

それぞれ解説します。

求人数を超えた場合は対象外となる

障害者トライアル雇用制度では、事前に提出された求人数を超えてのトライアル雇用はできません。2名の求人に対して3名以上をトライアル雇用し、その中から選抜するという運用は認められないのです。

制度を正しく活用するためには、適切な障害者トライアル雇用の実施が求められます。

選考は面接が必須である

障害者トライアル雇用制度では、選考の際に必ず面接を行わなければなりません。

厚生労働省は、求職者の適性や職場とのマッチングをしっかりと確認するために、書類審査だけでの選考を避けて必ず面接を実施するよう企業に求めています。求職者と企業の双方にとって、より良い雇用を実現できる可能性が高まるためです。

企業側は、採用スケジュールを組む際に、面接を前提とした計画を立てましょう。

助成金の支給対象外となる場合がある

障害者トライアル雇用制度を利用する際、特定の条件を満たさないと助成金の支給対象外となる場合があります。

たとえば、求職者が途中退職した場合や企業が事前に提出した計画書に基づいた業務を実行しなかった場合は、助成金が削減されるか支給対象外となる可能性があります。「雇用終了日の翌日から2か月以内」に申請しなかった場合には、助成金を受給できなくなるので注意が必要です。

障害者トライアル雇用制度の趣旨を理解し、適切な運用と計画の実行、申請期間の厳守に注意しましょう。

まとめ

障害者トライアル雇用制度は、障害者と企業のマッチングを支援する重要な制度です。企業は制度を活用して障害者の適性を確認し、常用雇用への移行を円滑に進められます。ただし、トライアル雇用にはメリットとデメリットがあるため、企業はそれぞれ内容を理解した上で導入を検討することが大切です。
また、助成金の申請や報告書の提出など、手続きの流れを理解し、適切な対応が必須です。不明点はそのままにせず、早めにハローワークに確認してください。

DYMでは、障害者の働く選択肢を広げるため、企業の採用や定着を支援し、社会貢献を推進しています。障害者の雇用に関心があり、障害者トライアル雇用を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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【筆者・監修者企業】

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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。

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