経理業務のBPOとは?アウトソーシングするメリットや導入の際の注意点 | 株式会社DYM

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経理業務のBPOとは?アウトソーシングするメリットや導入の際の注意点

公開日:2025.11.19  更新日:2025.11.19

「慢性的な人手不足で、担当者一人あたりの業務量が増え続けている」「業務が特定の人に集中し、俗人化してしまっている」「インボイス制度や電子帳簿保存法など、法改正への対応に追われている」。このような課題は、多くの企業の経理担当者が直面している悩みではないでしょうか。日々の業務に追われ、本来注力すべき経営分析や資金繰り改善といった戦略的な業務に着手できない状況は、企業の成長にとって大きな足かせとなります。

その解決策として今、注目を集めているのが「経理BPO」です。経理BPOは、単に業務を外部に委託するだけでなく、業務プロセス全体を見直し、効率化を図る戦略的な手法です。

本記事では、経理BPOの基本的な定義から、混同されがちな経理代行との違い、具体的な業務範囲、導入のメリット・デメリット、そして失敗しないための委託先の選び方までを網羅的に解説します。自社の経理部門が抱える課題を解決し、より付加価値の高い業務へシフトするための第一歩として、ぜひご一読ください。

<この記事で紹介する3つのポイント>

  • BPOが単なる作業委託ではなく、業務プロセス全体を改善する「戦略的な一手」である
  • コスト削減以上に社員を単純作業から解放し、より付加価値の高いコア業務へ集中させられる
  • セキュリティや実績、自社との相性など、BPO会社選びで失敗しないための具体的なチェックポイントがわかる

経理BPOとは?経理代行との違い

経理BPOとは、単なる作業代行ではなく、業務プロセス全体の設計・分析・実行・改善までを一貫して外部の専門企業に委託する経営戦略です。経理部門の生産性を向上させ、企業全体の競争力を高めることを目的とします。多くの場合、混同されがちな「経理代行」とは、その目的と範囲において本質的な違いが存在します。

ビジネス・プロセス・アウトソーシングの定義

BPOとは「ビジネス・プロセス・アウトソーシング(Business Process Outsourcing)」の略称です。企業の業務プロセスの一部を、企画・設計から運用・管理まで一括して外部の専門事業者に委託する経営手法を意味します。対象となる業務は経理だけでなく、人事、総務、コールセンター、情報システムなど多岐にわたります。BPOの最大の特徴は、単純な作業委託にとどまらない点です。委託先は業務を遂行するだけでなく、専門的な知見を活かして既存の業務フローを分析し、非効率な部分を特定、改善提案まで行います。

経理代行との違いは業務改善提案の有無

経理BPOと経理代行の最も大きな違いは、「業務改善提案」を含むかどうかという点にあります。経理代行は、記帳や請求書発行といった特定の「作業」を切り出して依頼するサービスです。主な目的は、人手不足の解消や担当者の業務負荷軽減であり、依頼された範囲の業務を正確に実行することが求められます。

一方、経理BPOは業務の実行に加えて、その業務プロセス全体を最適化することを目指します。例えば、ITツールを導入してペーパーレス化を進めたり、承認フローを見直してリードタイムを短縮したりするなど、現状の課題を根本的に解決するためのコンサルティング的な役割も担います。業務の効率化や標準化、内部統制の強化といった、より戦略的な目的で活用されます。

経理BPOで委託できる業務範囲

経理BPOでは、日々のルーティン業務から高度な専門知識を要する決算業務まで、企業のニーズに応じて幅広い業務を委託可能です。委託範囲を柔軟に設定できるため、自社の課題に合わせて最適なサービスを組み合わせることが、効果を最大化する鍵となります。ここでは、一般的に委託可能な業務範囲を具体的に紹介します。

記帳代行・伝票処理業務

企業の経済活動を記録する根幹業務である、記帳や伝票処理はBPOの代表的な対象業務です。領収書や請求書といった証憑書類の整理から、会計ソフトへの仕訳入力、伝票の起票・整理までを委託できます。これらの業務は正確性が求められる一方で定型的な作業が多いため、アウトソーシングによる効率化の効果が出やすい領域です。専門事業者に委託することで、入力ミスを防ぎ、月次決算の早期化にもつながります。

支払業務・請求書発行業務

売掛金や買掛金の管理も、BPOで対応可能な重要な業務です。具体的には、取引先への請求書の発行・送付、期日通りの入金を確認する売掛金の消込作業、そして仕入先への支払データ作成や振込手続きといった買掛金管理などが含まれます。特に請求・支払業務は件数が多く煩雑になりがちですが、BPOを活用すれば、請求漏れや支払遅延といったミスを防止し、キャッシュフローの管理を安定させることが可能です。

経費精算業務

従業員が立て替えた経費の申請内容をチェックし、精算処理を行う業務も委託できます。申請された経費が社内規定に沿っているかの確認、勘定科目のチェック、承認作業、そして従業員への振込データ作成までを一括して任せられます。経費精算システムの導入支援から運用までをBPO事業者が担うケースも多く、申請者と承認者の双方にとって手間のかかる業務を効率化し、不正利用の防止やガバナンス強化にも貢献します。

月次・年次決算業務

経理業務の中でも特に専門性が求められる月次・年次決算業務もBPOの対象です。月次決算では、試算表の作成や部門別の損益計算、経営陣への報告資料作成などを支援します。年次決算では、決算整理仕訳の入力、勘定科目内訳明細書の作成、財務諸表の作成、税務申告書作成の補助など、複雑で多岐にわたる業務を専門家の知見を借りて遂行できます。結果、決算の早期化と精度向上を実現し、迅速な経営判断を支援します。

経理BPO導入のメリット・デメリット

経理BPOの導入は、コスト削減や生産性向上といった大きな効果が期待できる一方で、情報漏洩などの潜在的なリスクも伴います。メリットを最大化し、デメリットを最小化するためには、双方を正しく理解し、自社の状況に合わせた適切な対策を講じることが不可欠です。

メリット:コスト削減とコア業務への集中

経理BPOを導入する大きなメリットの一つは、人件費を中心としたコストの削減です。経理担当者を直接雇用する場合、給与や社会保険料だけでなく、採用や教育にもコストがかかります。BPOを活用すれば、これらのコストを圧縮し、業務量に応じて費用を変動費化できます。もう一つの重要なメリットは、経理担当者が定型業務から解放される点です。これにより、予算策定や資金繰り計画、経営分析といった、企業の意思決定に直結する、より付加価値の高いコア業務へリソースを集中させることが可能になります。

メリット:専門性の確保と属人化の解消

BPO事業者は、経理・会計分野の専門家集団です。その知見を活用することで、頻繁に行われる法改正や新しい会計基準にも迅速かつ正確に対応できます。自社だけで専門人材を確保・育成するのは容易ではありませんが、BPOなら高い専門性を安定的に確保できます。また、業務が特定の担当者に依存する「属人化」も解消できます。業務が標準化されたマニュアルに基づいて運用されるため、担当者の退職や異動による業務停滞のリスクがなくなり、業務の継続性が保たれます。これは内部統制の強化にもつながる重要な効果です。

デメリット:情報漏洩リスクと対策

経理BPOを利用する際、最も注意すべきデメリットが情報漏洩のリスクです。財務情報や取引先情報、従業員の個人情報など、企業の機密情報を外部の事業者に預けることになります。万が一、情報が外部に漏洩した場合、企業の信用失墜や損害賠償につながる可能性があります。このリスクへの対策として、委託先の選定が極めて重要です。ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証やプライバシーマークといった第三者認証を取得しているか、従業員へのセキュリティ教育が徹底されているかなどを厳しく評価する必要があります。

デメリット:社内ノウハウ蓄積の課題

経理業務の大部分を外部に委託すると、社内に実務的なノウハウが蓄積されにくくなるという課題があります。業務プロセスがブラックボックス化し、トラブルが発生した際に社内で対応できる人材がいなくなってしまう可能性があります。この課題への対策としては、業務を完全に丸投げするのではなく、BPO事業者と定期的なミーティングの場を設け、業務の進捗や改善状況を共有する仕組みを構築することが有効です。作成された業務マニュアルを共有してもらうなど、業務プロセスを可視化しておくことで、ノウハウの空洞化を防ぎます。

経理業務をアウトソーシングする際の注意点

経理BPOの導入を成功させるためには、委託先の選定だけでなく、自社内での準備や契約内容の精査も重要です。委託後に「期待していた効果が得られなかった」という事態を避けるため、事前に確認すべきポイントを慎重に検討する必要があります。

セキュリティとコンプライアンス体制の確認

企業の機密情報を扱う以上、委託先のセキュリティ体制とコンプライアンス遵守の姿勢は最優先で確認すべき項目です。具体的には、ISMS(ISO/IEC 27001)やプライバシーマークなどの第三者認証の取得状況は、客観的な評価基準となります。物理的なセキュリティ対策として、データセンターの管理体制や執務室への入退室管理が厳格に行われているかも確認しましょう。また、委託する業務に関連する法律(例えば個人情報保護法など)を遵守した運用体制が構築されているかどうかも、契約前に必ず確かめるべきです。

品質管理体制の確認

業務の正確性と安定性を担保するため、委託先の品質管理体制を詳細に確認することが求められます。業務がどのようにマニュアル化され、担当者間で共有されているか、ミスを防止するためのダブルチェックやトリプルチェックの仕組みは存在するか、といった点をヒアリングしましょう。また、業務品質を保証するためのSLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)を契約に盛り込むことも重要です。SLAでは、納期の遵守率や処理の正確性といった具体的な品質基準を数値で定め、それを達成できなかった場合の対応についても明記しておきます。

移行計画とリスク対策を準備

既存の業務をBPOへスムーズに移行するためには、綿密な計画が不可欠です。委託先と共同で、詳細な移行スケジュール、各タスクの担当者、コミュニケーションの手段などを定めた移行計画書を作成します。現行業務の棚卸しやマニュアルの整備など、自社で準備すべきことも多く発生します。また、移行期間中や運用開始後にトラブルが発生した場合に備え、責任の所在や報告ルート(エスカレーションフロー)を事前に明確にしておくことも重要です。これにより、問題発生時にも迅速かつ適切に対応することが可能になります。

失敗しない経理BPO会社の選び方

経理BPOの成否は、パートナーとなる会社選びにかかっていると言っても過言ではありません。自社の課題を深く理解し、共に業務改革を進めてくれる信頼できるパートナーを見つけるためには、複数の観点から比較検討することが重要です。

ポイント1:対応可能な業務範囲の確認

まず、自社が委託したいと考えている業務範囲をすべてカバーしているかを確認します。日常の記帳代行や請求書発行業務だけでなく、月次・年次決算、資金繰り表の作成支援など、専門性が求められる業務への対応可否は重要な選定基準です。現在は一部の業務のみを委託する計画でも、将来的に委託範囲を拡大する可能性があるのであれば、幅広い業務に対応できる事業者を選んでおくと柔軟な対応が可能です。各社のサービス内容を比較し、自社のニーズに最も合致する事業者を見つけましょう。

ポイント2:セキュリティ体制の堅牢性

前述の注意点とも重なりますが、セキュリティ体制の堅牢性は会社選びにおける必須条件です。企業の財務情報という非常に重要なデータを預けるため、信頼に足るセキュリティレベルが求められます。ISMS認証やプライバシーマークの取得は、客観的にセキュリティレベルを判断する上での最低ラインと考えるべきです。加えて、具体的なセキュリティ対策(データの暗号化、アクセス制限、従業員教育など)について詳細な説明を求め、納得できるレベルにあるかを確認しましょう。

ポイント3:自社の規模や業種との相性

BPO事業者には、それぞれ得意とする企業の規模や業種があります。例えば、スタートアップや中小企業の支援実績が豊富な会社もあれば、上場企業向けの内部統制構築支援に強みを持つ会社もあります。自社と同じくらいの事業規模の企業の導入実績が豊富であれば、類似の課題に対応した経験が期待できます。また、IT業界や製造業、小売業など、特定の業種に特有の会計処理や商慣行に精通している事業者であれば、よりスムーズな導入と質の高いサービスが見込めます。

ポイント4:実績と導入事例の豊富さ

豊富な実績は、その事業者が多くの企業から信頼され、安定したサービスを継続してきた証です。これまでの取引社数や継続率といった定量的なデータを確認しましょう。可能であれば、自社が抱える課題と類似したケースの導入事例を提示してもらうのが効果的です。導入前の課題、具体的な施策、そして導入後の成果を知ることで、自社でBPOを導入した場合の効果を具体的にイメージできます。事例を通じて、事業者の問題解決能力や提案力を見極めることも可能です。

まとめ

本記事では、経理BPOの基礎知識から、経理代行との違い、メリット・デメリット、そして失敗しないための選び方までを解説しました。

経理BPOは、単に人手不足を補うためのアウトソーシングではありません。業務プロセス全体を見直し最適化することで、経理部門の生産性を飛躍的に向上させ、担当者をより戦略的で付加価値の高いコア業務へシフトさせるための経営戦略です。

業務効率化や組織体制の見直しを進める際には、外部の専門人材を活用することも有効な選択肢となります。なお、DYMテックでは、フリーランスマーケター向けのエージェントサービスとして、専任カウンセラーが一人ひとりのスキルやキャリアプランに合わせた案件マッチングをサポートしています。最高単価1,250,000円の案件紹介実績や面談満足度88.5%という高い評価をいただいており、質の高いマッチングを実現しています。経理BPOの導入支援や業務改善プロジェクトに精通した人材をお探しの企業様は、まずはお気軽に無料相談から始めてみてください。

信頼できるパートナーと連携することは、企業の持続的な成長を支える強力な一手となるはずです。

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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。

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