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コールセンターの運営において、感覚的な判断ではなくデータに基づいた管理が求められる時代になりました。顧客満足度の向上、業務効率の改善、コストの最適化を同時に実現するには、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定と運用が不可欠です。しかし「どの指標を選ぶべきか」「目標値をどう設定すればよいか」「どのように改善につなげるか」といった課題を抱えている運営責任者やマネージャーの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、コールセンターで管理すべき主要KPIの一覧から計算方法、具体的な目標値、そして設定から運用までの実践的なステップまでを網羅的に解説します。品質・生産性・コスト・マネジメントの4つの視点から重要指標を整理し、明日からすぐに活用できる知識をお届けします。
<この記事で紹介する3つのポイント>

KPI(Key Performance Indicator)とは、コールセンターの目標達成度を測る重要業績評価指標です。顧客満足度や応答速度、処理時間といった具体的な数値を用いて、センター全体のパフォーマンスを可視化します。
適切なKPIを設定することで、現状把握から課題発見、そして改善活動まで一貫した管理が可能になります。コールセンターでは、品質・生産性・コストなど多角的な視点から複数の指標を組み合わせて評価を行うことが一般的です。
コールセンターでKPIを設定する目的は大きく3つあります。1つ目は目標の明確化と共有です。数値目標を定めることで、組織全体が同じ方向を目指せるようになります。2つ目は現状の可視化です。データに基づいて客観的に状況を把握し、感覚ではなく事実をもとに判断できます。
3つ目は改善活動の推進です。達成状況を定期的にモニタリングすることで、問題の早期発見と迅速な対応が実現します。これら3つの目的を果たすことで、継続的なパフォーマンス向上が可能になります。
KPI管理を適切に行うことで、コールセンター運営におけるさまざまな成果が得られます。顧客満足度の向上は最も重要な成果であり、応答品質や解決率などの指標改善を通じて実現されます。業務効率の最適化も大きなメリットです。
処理時間や稼働率の分析により、無駄を削減しながら生産性を高められます。さらに、コスト管理の精度が向上し、適正な人員配置やリソース配分が可能になります。従業員のモチベーション管理にも役立ち、公平な評価基準として機能することで、組織全体のエンゲージメント向上にもつながります。

コールセンターで管理すべきKPIは、目的に応じて複数のカテゴリーに分類されます。品質・生産性・コスト・マネジメントという4つの観点から指標を選定することで、バランスの取れた運営が実現します。
各カテゴリーには代表的な指標があり、それぞれが異なる側面からセンターのパフォーマンスを評価します。自社の課題や優先順位に合わせて適切な指標を組み合わせることが重要です。
顧客対応の質を測定する指標には、顧客満足度(CSAT)や一次解決率(FCR)があります。CSATはアンケート調査を通じて顧客の満足度を数値化し、サービス品質の良し悪しを直接的に把握できます。
FCRは最初の問い合わせで問題が解決した割合を示し、顧客の手間を減らすとともにオペレーターの対応力を評価する指標です。サービスレベル(SL)も品質指標の一つで、設定時間内に応答できた通話の割合を測ります。これらの指標を組み合わせることで、顧客体験の全体像を多角的に評価できます。
業務効率を測る代表的な指標が平均処理時間(AHT)です。AHTは1件あたりの通話対応にかかる時間を示し、短縮することで処理件数の増加が期待できます。平均通話時間(ATT)は実際の会話時間、平均後処理時間(ACW)は通話終了後の事務作業時間を表します。
稼働率はオペレーターが実際に対応業務に従事している時間の割合を示し、人員配置の最適化に活用されます。平均応答速度(ASA)は顧客が待機してから応答するまでの平均時間であり、迅速な対応を実現するための重要な指標となります。
コールセンター運営の経済性を評価する指標として、1件あたりのコスト(CPC)が挙げられます。CPCは総運営コストを処理件数で割った値であり、効率性とコストバランスを判断する基準となります。人件費率は総コストに占める人件費の割合を示し、適正な水準を維持することで収益性を確保できます。
応答率は着信に対して実際に応答できた割合を表し、機会損失を防ぐための指標です。放棄呼率は顧客が応答前に電話を切った割合であり、待ち時間の長さや人員不足を示すシグナルとして機能します。
組織運営の健全性を測る指標には、欠勤率と離職率があります。欠勤率は予定されていた勤務日に出勤しなかった割合を示し、職場環境やモチベーションの問題を早期に発見する手がかりになります。
離職率は一定期間内に退職した従業員の割合であり、高い数値は採用・教育コストの増加や業務品質の低下につながります。在籍率は離職率の裏返しとして従業員の定着度を表します。これらの指標を継続的にモニタリングすることで、組織の安定性を維持し、長期的な成長基盤を構築できます。

各KPIには具体的な計算式と適切な目標値が存在します。数値の算出方法を正しく理解し、業界標準や自社の状況に応じた目標設定を行うことが、効果的な改善活動の第一歩となります。
ここでは代表的なKPIについて、計算式・測定方法・目標値の考え方を詳しく解説していきます。実務での活用イメージを持ちながら、それぞれの指標の特性を把握しましょう。
顧客視点での評価を数値化する2つの指標は、サービス品質を直接的に示します。CSATは対応後のアンケートで満足度を測定し、FCRは再問い合わせの発生状況から解決力を評価します。
両指標とも高い数値を維持することで、顧客からの信頼獲得とリピート率向上につながります。これらは顧客体験の質を表す代表的な指標であり、コールセンター運営の最終的な成果を測る重要な尺度となります。
CSATは対応終了後に実施するアンケートで「満足」と回答した顧客の割合を示します。計算式は「満足と回答した顧客数÷アンケート回答総数×100」であり、一般的には80%以上が目標値とされます。
測定にはIVR(自動音声応答)やメール、SMSなどの方法があり、回答率を高める工夫が必要です。5段階評価や10段階評価など、評価方法は企業によって異なりますが、継続的に同じ基準で測定することが重要になります。数値が低下した場合は、対応品質やプロセスの見直しが求められます。
FCRは最初の問い合わせで顧客の課題が完全に解決された割合を表します。計算式は「一次対応で解決した件数÷総問い合わせ件数×100」で算出され、目標値は70%以上が望ましいとされます。
再問い合わせの有無を追跡するため、CRMシステムでの記録管理が不可欠です。FCRが高いほど顧客の手間が減り、センター側も処理効率が向上します。この指標を改善するには、オペレーターの知識強化やFAQの充実、適切なエスカレーションフローの整備が効果的です。
応答の速さを測る2つの指標は、顧客の待ち時間に直結します。SLは目標時間内の応答達成率を、ASAは実際の応答までの平均時間を示します。
これらの指標を適切に管理することで、顧客のストレス軽減と放棄呼の防止が可能になります。リアルタイムでの監視と柔軟な人員配置が求められる指標です。
SLは設定した時間内に応答できた通話の割合を示します。計算式は「指定秒数以内に応答した件数÷総着信数×100」であり、「20秒以内に80%応答」といった目標設定が一般的です。
業界標準では20秒以内80%が基準とされますが、業種や顧客特性により調整が必要です。SLの達成には適切な人員配置とシフト管理が重要であり、ピーク時間帯の予測精度が成否を分けます。目標未達が続く場合は、スタッフ数の見直しや業務プロセスの効率化を検討しましょう。
ASAは顧客が待機を開始してから応答されるまでの平均時間を秒単位で測定します。計算式は「総待機時間÷応答件数」で算出され、目標値は20秒以内が理想的とされます。ASAが長いほど顧客の不満が高まり、放棄呼の増加につながります。
この指標はSLと密接に関連しており、両方をバランスよく管理することが求められます。短縮には着信予測の精度向上やIVRによる振り分け最適化、スキルベースルーティングの導入が有効です。
処理時間に関する指標は、業務効率を測る基本的な尺度となります。AHTは対応全体の時間を、ACWは通話後の事務作業時間を表します。
両指標を分析することで、どの工程に改善余地があるかを特定できます。ただし、過度な短縮は品質低下を招くため、バランスが重要です。
AHTは1件の問い合わせ対応にかかる平均時間を示します。計算式は「(総通話時間+総保留時間+総後処理時間)÷処理件数」であり、業界平均は6分程度とされます。AHTが長い場合は、オペレーターのスキル不足や業務プロセスの非効率が原因となっている可能性があります。
短縮には知識ベースの整備やツールの操作性向上が効果的ですが、顧客満足度を犠牲にしない範囲での最適化が求められます。通話内容の分析により、時間がかかる要因を特定することが改善の第一歩です。
ACWは通話終了後に記録作成や入力作業にかかる平均時間を測定します。計算式は「総後処理時間÷処理件数」で算出され、目標値は全体処理時間の20%以内が目安とされます。
ACWが長いとオペレーターの稼働率が低下し、対応可能件数も減少します。改善には入力項目の簡素化やテンプレートの活用、音声入力システムの導入などが有効です。通話中に並行して記入できる項目を増やすことで、後処理時間を短縮できる場合もあります。
通話の接続状況と人員活用の効率性を示す指標です。放棄呼率は顧客側の切断状況を、稼働率はオペレーターの業務従事状況を表します。両指標は人員配置の適切性を判断する重要な材料となります。バランスの取れた運営を実現するために、継続的なモニタリングが欠かせません。
放棄呼率は顧客が応答を待たずに電話を切った割合を示します。計算式は「放棄された着信数÷総着信数×100」であり、目標値は5%以下が理想的とされます。高い放棄呼率は待ち時間の長さや人員不足を示すシグナルです。
機会損失や顧客満足度の低下に直結するため、早急な対策が必要になります。改善にはピーク時の人員増強やコールバック機能の導入、IVRでの自己解決促進が効果的です。曜日や時間帯ごとの傾向を分析し、適切なシフト配置を行うことが重要です。
稼働率はオペレーターが実際に対応業務に従事している時間の割合を表します。計算式は「(通話時間+総保留時間+後処理時間)÷総勤務時間×100」で算出され、一般的には80〜85%が適正範囲とされます。
稼働率が低すぎる場合は人員過剰や業務配分の偏りが、高すぎる場合は過重労働やバーンアウトのリスクがあります。適正な稼働率を維持することで、効率性と従業員の健康をバランスよく保てます。待機時間を活用した研修やスキルアップの機会を設けることも、有効な施策となります。
組織の健全性と安定性を測る人事関連の指標です。欠勤率と離職率はいずれも職場環境や従業員満足度を反映するバロメーターであり、高い数値は運営リスクを示します。採用・教育コストの増加や業務品質の低下を防ぐため、早期の対策が求められます。
欠勤率は予定勤務日に出勤しなかった割合を、離職率は一定期間内に退職した従業員の割合を示します。欠勤率の計算式は「欠勤日数÷予定勤務日数×100」で目標値は3%以下、離職率は「退職者数÷平均在籍人数×100」で年間20%以下が望ましいとされます。
欠勤率の上昇は職場環境やモチベーションの問題を示し、離職率の高さは採用・教育コストの増加や業務継続性のリスクにつながります。改善には労働環境の整備やキャリアパスの明確化、適切な評価制度の導入が効果的です。定期的な面談やエンゲージメント調査により、早期に課題を発見することが重要になります。

効果的なKPI管理を実現するには、体系的なプロセスに従って進めることが重要です。目的の明確化から始まり、指標選定・目標設定・計測体制構築・改善活動という5つのステップを順に実行することで、成果につながる運用が可能になります。
各ステップには具体的な手法とポイントがあり、それらを理解することで実践的なKPI管理が実現します。
KPI設定の最初のステップは、何のために指標を管理するのかを明確にすることです。コールセンターが抱える具体的な課題や解決したい問題を洗い出し、優先順位をつけることから始めます。
たとえば顧客満足度の低下が課題であれば、その背景にある応答速度や解決率といった要因を特定します。経営層やステークホルダーとの認識合わせも重要であり、組織全体で目指す方向性を共有することが必要です。現状分析には過去のデータや顧客フィードバックを活用し、客観的な事実に基づいて課題を定義しましょう。
課題が明確になったら、目標達成に必要な指標をKPIツリーで構造化します。最上位に最終目標を置き、その下に中間目標、さらに具体的な行動指標を配置することで、因果関係が可視化されます。
たとえば顧客満足度向上を最終目標とする場合、中間指標として一次解決率やサービスレベルを設定し、行動指標として平均処理時間や研修実施回数を配置します。階層構造にすることで、どの指標がどの目標に影響するかが明確になり、改善施策の優先順位も判断しやすくなります。
選定した指標に対して、達成可能で測定可能な目標値を設定します。SMARTの原則に従い、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限)の5つの要素を満たす目標を定めます。
たとえば「CSATを3ヶ月以内に現状の75%から85%に向上させる」といった形です。業界標準や過去の実績を参考にしながら、現実的かつ挑戦的な水準を見極めることが重要になります。目標値は定期的に見直し、達成状況に応じて調整する柔軟性も必要です。
設定したKPIを継続的に測定し、可視化する仕組みを整えます。データ収集の方法や頻度、レポート形式、共有範囲などを明確にし、誰がいつ確認するかを定めます。
リアルタイムダッシュボードの導入や定期レポートの作成により、現状把握がスムーズになります。測定ルールを統一し、全員が同じ基準でデータを扱えるようマニュアル化することも重要です。異常値が検出された際のアラート機能や、担当者への通知フローも整備しておくと、迅速な対応が可能になります。
KPI管理は設定して終わりではなく、継続的な改善サイクルを回すことが本質です。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のPDCAサイクルを定期的に実施し、目標達成度を検証しながら施策を見直します。
月次や四半期ごとに振り返りミーティングを開催し、データに基づいた議論を行いましょう。目標未達の場合は原因分析を行い、プロセス改善や教育強化などの対策を講じます。成功事例は組織全体で共有し、横展開することで全体のレベルアップにつなげられます。

KPI設定や運用に関して、多くの運営責任者やマネージャーが共通の疑問を抱えています。どの指標から始めるべきか、目標値をどう決めるべきか、業務形態によって何が変わるのかといった実務的な問いに対する答えを知ることで、スムーズな導入と効果的な運用が可能になります。
ここでは実際の現場で頻繁に聞かれる質問について、具体的な回答を示していきます。
初めてKPIを導入する際は、顧客満足度(CSAT)、サービスレベル(SL)、平均処理時間(AHT)の3つから始めることが効果的です。CSATは最終的な成果を測る指標として、SLは応答の迅速性を示す基本指標として、AHTは業務効率を把握する代表的な指標として機能します。
これら3つは測定が比較的容易であり、改善効果も見えやすいため、KPI管理の導入段階に適しています。組織の成熟度や課題に応じて、段階的に一次解決率や稼働率などの指標を追加していくアプローチが現実的でしょう。
目標値設定では、業界標準と自社の現状データの両方を参考にしながら、段階的な向上を目指す数値を定めることが重要です。
まず過去6ヶ月から1年間の実績を分析し、自社の平均値や変動幅を把握します。次に業界ベンチマークと比較して、現在の立ち位置を確認しましょう。目標は現状から10〜20%の改善を目指す水準が適切であり、達成可能性と挑戦性のバランスが取れます。急激な目標設定は現場の負担を増やし、モチベーション低下を招くため避けるべきです。四半期ごとに見直しを行い、達成状況に応じて調整する柔軟性も持ちましょう。
業務形態によって重視すべきKPIは異なります。ヘルプデスクでは一次解決率や顧客満足度といった問題解決の質を測る指標が中心となり、テレアポでは架電数やアポイント獲得率といった営業成果を示す指標が重要です。
インバウンド型のコールセンターではサービスレベルや平均応答速度が優先されますが、アウトバウンド型では接続率やコンバージョン率が主要指標になります。ヘルプデスクは技術的な専門性と丁寧な対応が求められるため、平均処理時間よりも解決品質を重視する傾向があります。自社の業務特性を理解した上で、適切な指標を選定することが成功の鍵となります。
コールセンターのKPI管理は、組織のパフォーマンスを可視化し、継続的な改善を実現するための重要な取り組みです。顧客満足度やサービスレベル、処理時間といった指標を適切に設定・測定することで、品質向上と業務効率化の両立が可能になります。
効果的なKPI運用には、目的の明確化から始まり、指標選定、目標設定、計測体制構築、そしてPDCAサイクルによる改善という体系的なプロセスが不可欠です。業界標準と自社の現状を踏まえた現実的な目標値を設定し、定期的なモニタリングと分析を行うことで、データに基づいた意思決定が実現します。コールセンター運営の成功には、適切なKPI管理が欠かせません。
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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。