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コールセンターの応答率が低いと、顧客の不満や機会損失につながります。しかし「どう計算するのか」「何%を目標にすべきか」「改善するには何から手をつければいいのか」と悩む運営担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、応答率の基本的な意味や計算式から、業界の平均目安、低下を招く原因、そして具体的な改善策までをわかりやすく解説します。自社センターの現状を正確に把握し、品質向上に取り組みたい方はぜひ参考にしてください。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次

コールセンターの応答率は、顧客満足度に直結する重要なKPIです。この指標を正しく理解して管理することが、電話のつながりやすさを高め、サービス品質の向上につながります。
まずは応答率の基本的な意味と計算の考え方、顧客満足度や受注機会への影響、あわせて把握しておきたい品質管理データについて確認していきましょう。
コールセンターの応答率とは、入電数に対してオペレーターが実際に対応できたコール数の割合を示す指標です。コールセンターへの「つながりやすさ」を数値で表したものといえます。
計算式は「応答件数÷入電件数×100」で求められ、たとえば入電件数が1,000件で応答件数が800件であれば、応答率は80%となります。この数値は1日の時間帯だけでなく、週単位・月単位・年単位でも変動するため、それぞれ算出して傾向を分析することが大切です。
応答率が低いコールセンターでは電話がつながりにくく、顧客を待たせる時間が長くなります。目的を持って電話をかけた顧客が応答されないまま通話を切ることになると、商品やサービスへの不満が蓄積し、企業全体のイメージ低下につながりかねません。
また、電話がつながらないことは新規受注の機会損失にも直結します。購入意欲を持って問い合わせた顧客を取り逃がす結果となるため、売上面への悪影響も見逃せません。つまり、応答率は顧客満足度と受注機会の両面に影響を与える重要な指標です。
電話のつながりやすさをより正確に把握するには、応答率だけでなくサービスレベル(SL)と平均応答速度(ASA)も合わせて管理することが重要です。SLは設定した時間内に応答できた割合を示し、ASAはオペレーターにつながるまでの平均待ち時間を表します。
応答率だけでは顧客をどれだけ待たせているかまでは把握できません。これら3つの指標を組み合わせて分析することで、コールセンターの現状をより精度高く把握でき、適切な改善策を講じることが可能になります。

応答率を適切に管理するには、正確な数値を算出することが出発点になります。計算式の構造や放棄呼率との関係を理解したうえで、測定ルールを整備することで現状の課題を正確に把握できるようになります。
以下では、応答率の算出方法と測定における基本的な考え方を解説します。
応答率は「応答件数÷入電件数×100」で算出します。たとえば入電件数が1,000件で応答件数が800件であれば、応答率は80%です。数値を取得する際はACDコールログ(着信呼自動分配の記録)を活用し、入電数と応対件数を確認します。
入電数は時間帯によって変動するため、1時間単位など決まったスパンで算出することが重要です。この傾向を継続的に分析することで、特定の時間帯に入電が集中しているといった具体的な問題点を把握しやすくなります。
応答率と対をなす指標が放棄呼率(ほうきこりつ)で、「放棄したコール数÷すべての入電数×100」で求めます。放棄呼とは、オペレーターが応答する前に顧客が電話を切ってしまったコールのことです。応答率が高ければ放棄呼率は低くなり、逆に応答率が低下すると放棄呼率が上昇します。
一般的に放棄呼率の平均は8.6%程度とされており、この数値が上昇している場合は電話がつながりにくい状態が生じているサインとして捉えることが大切です。
応答率を正確に算出するには、取得タイミングと例外ケースの扱いについて事前にルールを設けることが必要です。入電数は時間帯によって変動が大きいため、30分または1時間単位での計測が理想とされています。また、対応中に回線が切れて顧客がかけ直したコールや、間違い電話など、応答率の算出対象から外すべきケースの基準を定めておくことで、より精度の高い数値を得られます。
ルールを統一しておくことで、継続的なデータ比較と改善判断がしやすくなります。

応答率の目標値を決めるには、各水準がどのような状態を意味するのかを理解しておくことが重要です。数値によって顧客への影響やセンターの運営状況は大きく異なります。
以下では、80%・90%・それ以下という3つの水準をもとに、目標設定の判断基準となる考え方を解説します。
応答率80%は、顧客満足度を維持するうえで最低限必要とされるラインです。この水準を下回ると、入電が多い時間帯に取りこぼしが増え、何度かけてもオペレーターにつながらないという状況が生じやすくなります。顧客が長い保留時間に待ちきれずに電話を切るケースも増え、クレームにつながるリスクが高まります。
また、放棄呼の増加は新規受注の機会損失にも直結するため、80%はあくまで許容できる下限として認識することが大切です。
応答率90%は、多くのコールセンターが目標値として掲げる理想的な水準です。この水準を達成すると、顧客が待たされるストレスをほとんど感じることがなくなり、顧客満足度の向上が期待できます。入電が集中する午前中から昼の時間帯以外では、ほぼ100%に近い対応が可能な状態といえるためです。
ただし、この水準を維持するにはオペレーターの確保や体制整備が不可欠であり、継続的な研修やシフト管理など、さまざまな取り組みが求められます。
応答率が80%を下回ると、ほとんどの時間帯で電話がつながりにくい状態が常態化し、顧客からのクレームが急増します。さらに50%を下回ると、電話がつながった瞬間からクレーム対応となるケースが増え、オペレーター1件あたりの対応時間が長期化します。
こうした状況が続くとオペレーターの精神的な疲労が蓄積し、離職や休職につながって人員がさらに減少するという悪循環に陥るリスクがあります。80%を切った段階で早急に原因を特定し、対処することが不可欠です。

応答率の低下には、さまざまな要因が絡み合っています。原因を正確に把握することが、効果的な改善策を講じるための第一歩です。
ここでは、応答率が低下しやすい代表的な4つの要因について解説します。
広告の放映やキャンペーンの開始、SNSでの急速な拡散が起きると、通常の想定を大幅に超えた入電が一時的に集中します。既存の体制ではキャパシティを超えてしまうため、対応しきれない件数が積み重なり、応答率が急低下します。
また、サービス障害などの緊急時にも同様の状況が発生しやすいため、事前に入電増加のパターンを分析しておき、予測に応じてオペレーターを増員する準備や、ホームページを通じた状況案内など、代替対応の手順を整えておくことが重要です。
オペレーターの数が十分に確保できていない状態では、入電に対応しきれず放棄呼が増加し、応答率の低下を招きます。欠勤や離職による人員の穴が埋まらないと、稼働できるオペレーターへの負担が集中し、さらなる疲弊と離職を生む悪循環に陥りやすくなります。
また、稼働中であっても休憩による離席や通話後の記録作業(後処理)に時間を取られている場合も、電話を受けられない状況が生じます。人員不足は表面的な頭数だけでなく、稼働実態の把握と合わせて対処することが求められます。
経験の浅いオペレーターが対応にあたると、1件あたりの通話時間が長くなり、次の入電を受けられない状態が続きます。質問への回答を探す時間や、対応手順を確認する時間が増えるほど平均処理時間(AHT:1件の対応にかかる平均時間)が延び、結果として対応できる件数が減少します。
スキルのばらつきを放置すると、特定のオペレーターに処理が偏り全体の応答率を押し下げる要因となります。入電が集中する時間帯に未熟なオペレーターだけを配置しないよう、シフト管理の工夫も不可欠です。
通話が終了した後の記録入力や関連部署への情報共有など、バックエンド業務に時間がかかると、オペレーターが次の電話を受けるまでの間隔が長くなり応答率が下がります。複数のシステムへの二重入力が必要だったり、情報の検索に手間がかかる環境では、後処理時間が積み重なってAHTが悪化します。
こうした業務フローの非効率さはナレッジマネジメントシステム(社内の知識・情報を体系的に管理する仕組み)の整備不足によって生じるケースも多く、フローの見直しとシステム改善が応答率向上の鍵となります。

応答率を高めるには、人員配置の見直し、業務効率化、システムの活用、外部委託の検討など、複数の角度からアプローチすることが重要です。
以下では、それぞれの改善策について具体的に解説します。
入電数は曜日や時間帯によって変動するため、その傾向をあらかじめ分析し、ピーク時に十分なオペレーターを配置できるよう人員体制を整えることが応答率向上の基本です。勤務日の調整や休憩時間の分散配置によって対応できる件数を増やせる場合もあります。
増員を検討する際は、入電が少ない時間帯に人員が過剰にならないよう、曜日・時間別のデータをもとに適切な人数を設定することが大切です。経験の浅いオペレーターが繁忙時間帯に集中しないシフト管理も、あわせて意識しましょう。
FAQをホームページに公開することで、顧客が疑問を自己解決できるようになり、コールセンターへの入電件数を抑える効果があります。入電数が減ればオペレーターに余裕が生まれ、対応できる件数が増えるため、応答率の向上につながります。
また、蓄積された問い合わせ内容をナレッジとして体系化し、社内研修に活用することで、オペレーターのスキルアップと1件あたりの対応時間の短縮が期待できます。FAQと研修を組み合わせることが、応答率と対応品質を同時に高める効果的な手段です。
チャットボットを導入すると、顧客がテキストで質問を入力するとAIが自動で回答し、自己解決を促すことができます。24時間稼働できるため、営業時間外やオペレーターの対応が集中する時間帯でも入電数を抑制でき、顧客満足度の向上にも貢献します。
また、IVR(自動音声応答システム:電話の着信を自動で振り分ける仕組み)を活用すると、問い合わせ内容に応じた対応先への転送が自動化され、オペレーターの負担が軽減します。受注の取りこぼし防止にも効果が期待できます。
コールセンター業務の外部委託は、応答率改善に向けた有効な手段のひとつです。運営ノウハウを持つ専門業者に依頼することで、即戦力となるオペレーターを確保しやすくなり、自社での人材育成にかかる時間とコストを削減できます。
コールセンターは離職率が高い傾向にあるため、安定した人員体制の維持が難しい企業にとっても有効な選択肢といえます。また、急な入電増加にも柔軟に対応できるため、繁忙期だけのスポット利用や特定業務のみの委託など、自社の状況に合わせた活用が可能です。
応答率だけを管理しても、顧客をどれだけ待たせているかや、オペレーターの稼働状況まで正確に把握することはできません。
より精度の高いセンター運営を実現するには、サービスレベルや平均応答速度、稼働率といった関連指標を合わせて管理することが重要です。
サービスレベル(SL)は、設定した時間内にオペレーターが対応できた割合を示す指標で、「設定時間内の応答件数÷入電件数×100」で算出します。「着信から20秒以内に80%を応答する」という目標を設定した場合、入電1,000件のうち800件を20秒以内に応答して初めて達成です。
応答率が80%でも、20秒を超えての対応が多ければSLは未達となります。顧客の待ち時間の質を測るうえで、応答率と合わせて管理すべき重要な指標といえます。
平均応答速度(ASA)は、顧客が電話をかけてからオペレーターにつながるまでの平均待ち時間を示す指標です。「応答までの合計時間÷入電件数」で算出し、たとえば入電件数が1,000件で応答までの合計時間が20,000秒の場合、ASAは20秒となります。
目標値を10秒に設定するコールセンターが多く、この数値が長くなるほど顧客の不満につながりやすくなります。ASAが上昇する主な原因として、オペレーターが通話や後処理で長時間占有されて次の電話を受けられない状態が挙げられます。
稼働率は、オペレーターの業務時間のうち顧客対応に関わる時間の割合を示す指標です。「稼働率(%)=実稼働時間÷稼働可能時間×100」で算出します。実稼働時間には通話時間・保留時間・後処理時間・電話の待機時間が含まれ、稼働可能時間は勤務時間から休憩時間を除いたものです。ミーティングや研修の時間は顧客対応に直接関わらないため含みません。稼働率を把握することで、人員配置の適正度や業務負担の偏りを確認できます。
一方、占有率は稼働時間のうち純粋な顧客対応時間の割合を示す指標です。「占有率(%)=(通話時間+保留時間+後処理時間)÷(通話時間+保留時間+後処理時間+電話の待機時間)×100」で算出します。稼働率との違いは、電話の待機時間を分子に含まない点にあります。占有率の適正値は76~87%が目安で、88%以上になるとオペレーターの業務負荷やストレスが過多となり離職率の上昇が懸念されます。逆に75%以下の場合は人員が過剰な状態と判断でき、配置の見直しが必要です。
稼働率と占有率を組み合わせて分析することで、人件費とサービス品質のバランスを取りながら運営の改善につなげられます。
応答率が100%に近い状態でも、稼働率を確認することでオペレーターが待機過多になっていないかを判断できます。応答率と稼働率を組み合わせて分析することで、人件費とサービス品質のバランスを取りながら運営の改善につなげられます。
コールセンターの応答率は、顧客満足度や受注機会に直結する重要な指標です。計算式の理解から目標値の設定、低下の原因分析、改善策の実施まで、一連の取り組みを継続することが品質向上につながります。しかし、人員確保や業務効率化を自社だけで進めるには限界があることも事実です。
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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。