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自社のWebサイトを訪問したユーザーを追跡して広告を配信し、再訪問を促すリマーケティング。ユーザーに影響を与える単純接触効果(ザイアンス効果)に沿った配信手法として注目を集めていますが、導入方法や効果的な運用のコツがわからないという企業が少なくありません。
本記事では、リマーケティングの基礎知識から仕組み、メリット・デメリット、成果をあげるためのポイントまで網羅して解説します。ぜひ導入・運用の参考にしてみてください。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
リマーケティングとは、Webサイトを訪れたユーザーを追跡して広告を表示し、再訪問を促す配信手法です。
Web広告で唯一「追客機能」をもつ手法で、自社の商品・サービスに興味や購買意欲がある見込み度の高いユーザーに対し、再アプローチすることでコンバーションにつなげることができます。
「リマーケティング」と「リターゲティング」は呼び方が異なるだけで、どちらも同じ「行動ターゲティング型」のWeb広告メニューです。Webサイトを訪問したユーザーをターゲットとして追跡し、他サイト閲覧中に広告を配信し再訪問を促します。
同じWeb広告メニューにもかかわらず名称が2つ存在する理由は、媒体ごとに「リマーケティング」「リターゲティング」のいずれかを使用しているためです。「リマーケティング」はGoogle広告の機能名で、Yahoo!広告やFacebook広告などGoogle広告以外では「リターゲティング」として展開しています。
本記事では、「リマーケティング」および「リマーケティング広告」に統一して解説します。
リマーケティング広告は、利用する広告媒体のリマーケティング広告用の「タグ」をWebサイトに設置することで、来訪したユーザーに「Cookie(クッキー)」を付与でき、そのCookie情報をもとに別のサイトを閲覧中に広告を表示する仕組みで成り立っています。
Cookieとリマーケティングタグの概要は以下の通りです。
Cookie | ・Webサイトを訪問したユーザー(Webブラウザ)に対し、Webブラウザを通じてユーザーの使用端末にデータを書き込み一時的に保存させる仕組みのこと ・ユーザーの端末側にあるCookie情報を目印としてユーザーを追跡し、ユーザーが閲覧している別のWebサイトの広告枠に自社広告を表示させることができる ・主にリマーケティング広告の配信やWebサイトのログイン状態の保持などに活用されている |
リマーケティングタグ | ・リマーケティング広告を配信するためのコードのこと ・ユーザーの使用端末にデータを書き込み一時的に保存させる(Cookieをユーザーに付与する)ためにはリマーケティングタグが必要 ・リマーケティング用のタグをWebサイトの特定ページに埋め込み、そのページをユーザーが訪問するとWebブラウザを経由してユーザーにCookieが付与される ・リマーケティング用のタグは利用するリマーケティング広告の管理画面から取得でき、Webサイトへの埋め込み作業もそれほど高度なスキルは必要ない |
リマーケティング広告は、以下の媒体で配信することができます。
詳しい設定方法は後述しますが、媒体ごとに管理画面があり、リマーケティング広告用のタグをWebサイトに設置することで広告配信が可能です。
さらにそれぞれの媒体で7種類のリマーケティング方法が用意されています。なかでも「標準のリマーケティング」と「検索広告向けリマーケティングリスト(RLSA)」は覚えておいたほうがよいでしょう。
標準リマーケティング | Webサイトへの訪問歴があるユーザーに対し、ディスプレイ広告の配信ネットワーク内のWebサイトやアプリケーションを閲覧しているときに、テキストやバナー形式で広告配信する機能 |
検索広告向けリマーケティングリスト(RLSA) | Webサイトにアクセスしたことがあるユーザーが検索しているときに広告配信する機能 |
動画リマーケティング | 広告主が所有するYouTubeチャンネルのページや動画を閲覧したことがあるユーザーに対し、広告表示する機能(YouTubeアカウントとGoogle広告を連携して利用可能) |
アプリリマーケティング | 広告主が所有するアプリケーション内の行動履歴をもとに作成したユーザーリストを用いて広告表示する機能 |
動的リマーケティング | ユーザーが閲覧した商品やサービスに応じてカスタマイズされたメッセージを表示し、Webサイトへの再訪問を促す機能(自社の商品やサービスの種類が多い場合に効果的) |
Googleアナリティクスリマーケティング | Googleアナリティクスの計測データを基準として、Google広告のユーザーリストを作成する機能 |
顧客リストによるリマーケティング | 広告主が所有する顧客情報(電話番号や住所など)を暗号化した状態で媒体にアップロードし、顧客情報にもとづいたユーザーリストを作成する機能 |
なお、本記事では「標準のリマーケティング」について解説しています。
リマーケティング広告を利用すると、主に以下の6つのメリットを得ることができます。
・見込み客(顕在層)に対して再アプローチできる
・コンバージョンする確率(CVR)が高い
・費用対効果が高く顧客獲得単価を抑えやすい
・単純接触回数の増加が見込める
・効率がよい広告展開ができる
・容易な広告制作が可能になる
リマーケティング広告の活用により、自社サイトや自社商品・サービスに興味をもっている可能性が高い見込み客(顕在層)に対して複数回アプローチが可能です。
Web広告を経由しWebサイトに訪れたユーザーのうち、約9割が購入に至らず離脱するといわれています。いくら広告を配信して集客を行っても、一度のWebサイト訪問ではコンバーションにつながりにくいのが実状です。
このネックを解消するのがリマーケティング広告で、商品やサービスに興味をもちながらも離れてしまった見込み客に対し、繰り返し再アプローチできます。コンバージョンを促すだけでなく、定期的な広告配信により自社商品やサービスを意識させ、初回のWebサイト訪問時には低かった購買意欲を高めながら選択肢のひとつとして印象付けることも可能です。
購買意欲を高めながらユーザーに再訪を促すリマーケティング広告の特性上、コンバージョンする確率(CVR)が高いこともメリットのひとつです。
コンバージョンとは、購入や申し込みなどWeb施策においてユーザーを誘導したい最終地点のこと。リマーケティング広告の配信対象ユーザーは、すでに自社への興味関心を抱いている可能性が高く、コンバージョンに至る確率が高い傾向にあります。
一般的にユーザーは、Webサイトを閲覧しながら気になる商品やサービスがあったとしても「ほかの商品やサービスと比較したい」「もう少し時間をかけて検討したい」などと考えているうちに離脱。いくら広告配信で集客しても、一度のWebサイト訪問ではコンバーションにつながりにくいのは、こうしたユーザー心理・行動が要因です。
一方、リマーケティング広告は一度閲覧した商品やサービスを繰り返しリマインドする手法のため、条件のみを設定する通常のターゲティングと比較すると確度が高くなります。その結果として、コンバージョン率も高まるのが特徴です。
リマーケティング広告は1件のクリックあたりのコンバージョン率が高いため、比例して費用対効果が高く、顧客獲得単価を抑えやすいこともメリットのひとつです。
1件のコンバージョンにかかる「顧客獲得単価」の通称は「CPA」。「Cost Per Action or Acquisition」の略で、CPAが下がれば広告運用に余裕が生まれ、新規獲得を目的とするディスプレイ広告(認知施策)に費用を回すなど戦略的な広告展開も実現できます。
リマーケティング広告の性質上、ターゲットとなるユーザーとの単純接触回数の増加が見込めるため、コンバージョンに至る確率が高まり顧客獲得単価を抑えることができます。
心理学には、特定の人物や物事に何度も繰り返し接触することで、好感度や評価が高まっていく「単純接触効果(ザイアンス効果・ザイアンスの法則)」という心理的傾向があります。アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスにより1968年に発表されました。
単純接触効果(ザイアンス効果)は、恋愛をはじめとするプライベートの対人関係だけでなく、営業やマーケティングなどビジネス分野でも活用されています。この効果を狙った手法のひとつがリマーケティング広告です。
リマーケティング広告は、自社の商品・サービスに興味をもっている可能性が高く、一度離脱してしまった見込み客に対し、ほかのWebサイトの閲覧時に繰り返し自社広告を表示。単純接触回数を増やしながら好印象や購買意欲を高め、再訪を促しています。接触頻度が高いほど印象がよくなるというザイアンス効果に沿ったテクニックのひとつです。
ただし、単純接触効果は反感を抱いている対象にはマイナスに作用します。広告内容などを十分精査し「嫌われない広告」を意識しましょう。
単純接触効果(ザイアンス効果)参考資料:
https://psych.or.jp/interest/ff-20
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/kokorogaku/2009/03/post_7.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%98%E7%B4%94%E6%8E%A5%E8%A7%A6%E5%8A%B9%E6%9E%9C
リマーケティング広告に備わっている「自動入札機能」を使うことで、効率的な広告展開を実現できます。
自動入札機能とは、「予算内でクリック数を最大化する」「指定した単価でコンバージョンを獲得する」などの目的に応じて、自動的に入札単価を決定する機能です。上手に活用すれば、費用対効果を高めながら効率よく広告を運用できます。
動的リマーケティングに用意されている業種に応じたテンプレートなどを活用すれば、スムーズな広告制作が可能です。新たにクリエイティブをつくらなくても容易に広告を制作できるので、あらゆるリソースやコストの削減も期待できます。
リマーケティング広告を導入する際には、以下の4つのデメリットに気をつける必要があります。解決手段についてもあわせて解説しているので、参考にしてみてください。
・検討期間の短い商材には向いていない
・追従でユーザーに不快感を与える可能性がある
・アプローチ数に限りがある
・配信に必要なデータの蓄積に時間がかかる
リマーケティング広告は、故障を原因とする家電製品や水道工事など早急に購入の必要がある緊急度の高い商品・サービスや、低価格で比較検討を要しない商品・サービスには向いていません。
反対に、購買意欲や興味はあるものの「買おうかやめようか迷っている」「複数の商品を比較検討している」といったユーザーへのアプローチに効果的な広告です。
検討期間が長い商品・サービスに適しているので、リマーケティング広告の得意分野に合致する商品やサービスを吟味して活用しましょう。
リマーケティング広告は、ユーザーの閲覧履歴を把握し追跡して広告を配信するという特性上、連続で同じ広告が表示されることもあり、不快感を与えてしまう恐れがあるので注意しましょう。商品・サービスや企業のイメージダウンにつながる可能性もあります。
この対策に有効なのが「フリークエンシーキャップ」の設定です。同一ユーザーに対し、1日・1週間・1ヶ月といった指定期間内の広告表示上限回数を設けることで、適切な頻度でアプローチできます。さらに「フリークエンシーキャップ」には、見込み度の低いユーザーへの広告表示を減らし、無駄なクリック(費用)を防ぐ効果があることもポイントです。
ただ闇雲にリマーケティング広告を乱用しても、ユーザーに再訪を促しコンバージョンを狙うどころか自社のイメージを落としかねません。配信には十分気をつけて適切な設定を行いましょう。
リマーケティング広告で接触が可能なのは、Webサイトを訪問したことがあるユーザーのみなので、アプローチできる量が限られることもデメリットです。
この特性から、必然的に認知拡大を目的とした活用には向いていません。さらにコンバージョン率が高い一方で、限られたリマーケティングユーザーリスト内で成果を追求するため、ある段階まで到達すると成果が頭打ちになります。
コンバージョン数の伸び悩みを防ぐためには、リマーケティング広告だけに絞らず、ディスプレイ広告をはじめとする新規ユーザー獲得の施策をあわせて実施しましょう。
リマーケティング広告を配信するためには、ユーザーに自社サイトなどへ訪問してもらい、Cookieを付与する必要があります。そのため、配信対象となるユーザーが一定数以上蓄積するまで時間がかかるのが特徴です。
リマーケティング広告で望む効果を得る配信量になるまで、ある程度の期間を設けなければならず、それまで効果を期待するのは難しいと考えたほうがよいでしょう。
特に流入の少ないWebサイトは配信対象リストがたまるまでに時間を要するので、長期スパンの広告運用を心がけてみてください。リマーケティング広告ではすぐに成果を求めない方針を徹底し、ほかの施策と組み合わせるなど工夫しながら取り組みましょう。
リマーケティングは以下の3ステップで設定することができます。
リマーケティング広告を始めるためにまずやるべきことは、リマーケティングタグの取得です。各広告プラットフォーム(Google広告、Yahoo!広告など)の管理画面で取得できます。
取得後、Webサイトのソースコードにリマーケティングタグを埋め込みましょう。タグを設定したWebサイトにユーザーが訪れると、訪問ユーザーに対してCookieが付与され、追跡することができます。
Webサイトに訪れたユーザーに対するリマーケティングユーザーリストを作成しましょう。
リマーケティングユーザーリストとは、Webサイトに埋め込んだリマーケティングタグに従ってCookieが付与された訪問ユーザーのリストです。ユーザーの追加ルールや保持する期間を定めてリストを作成し、広告を表示する対象となるユーザーグループを定義します。
複数のリマーケティングユーザーリストを組み合わせて、リマーケティング広告の精度を高めましょう。リストを組み合わせることで、ターゲットをより絞り込んだ広告の表示が可能です。
あくまでも一例ですが、上記のように特定の条件設定を行うことで狙ったターゲット層にアプローチできます。
リマーケティング広告で成果をあげるためには、以下の6つのポイントを意識しながら取り組みましょう。
リマーケティングユーザーリストをより細かく分類し、ターゲットを絞り込みながら精度を向上させることで成果をあげやすくなります。
細分化によりセグメントを行うと、以下のようなリスト作成が可能です。
上記のように細かくリスト作成を行い、精度を向上させながら「一度購入に至ったユーザーに対し、一定期間経過後にリピート購入してもらうためにアプローチする」など、より効果的なリマーケティング施策が可能になります。
Webサイトを訪問したユーザーがどの階層(深さ)まで到達したかによって、ユーザーの購買へのモチベーションを把握しましょう。
たとえば、「トップページで離脱したユーザー」と「商品購入ページまでアクセスしたユーザー」を比較した場合、後者のほうがより購買意欲が高い見込み客であることがわかります。
トップページ・商品カテゴリーページ・商品詳細ページ・商品購入ページなど、到達した階層ごとにユーザーをわけることで、それぞれのモチベーションに応じた戦略的な広告配信が可能です。
ユーザーが最初に自社のWebサイトを訪問してから、どの程度の期間で申し込みや購入に至りやすいかを把握しましょう。
たとえば、5日以内に購入に至るケースが多い場合は「Webサイトに訪問してから5日以内のユーザーのリマーケティングユーザーリスト」を作成し、的確なタイミングでターゲットに広告を配信します。
コンバージョンまでの期間を明確化し、具体的なアプローチでより多くの成果を目指すことが大切です。
Webサイト訪問から再訪までの期間や、ユーザーが到達したページの階層を確認しながら、コンバージョンに近いユーザーや再度購買行動が期待できるユーザーに対して、入札単価を変更しましょう。単価をより高く設定し、積極的に広告を表示します。
階層に応じて入札単価を変更することで、広告の効果向上が見込めます。コンバージョンに至りやすい期間を設定したユーザーリストや、申し込みページまで到達した購買意欲の高いユーザーリストを活用し、都度調整を繰り返しながら成果をあげましょう。
リマーケティング広告のクリエイティブを多様化し、異なるデザインやタイプのバナー広告を制作しましょう。魅力的な広告でユーザーの興味を引くことで、クリック率やコンバージョン率の向上を狙います。
さらにバナー広告の種類が多くなると、広告配信枠を増やせることもポイントです。リマーケティング広告の仕様上、バナーの種類が少ないと広告枠が制限されてしまいます。
狙ったターゲットにアプローチする機会を失うリスクが高まるので、できる限り多くのバナー広告を用意し、ターゲットに対して広告配信するチャンスを増やしましょう。
リマーケティング広告は、一度Webサイトに訪れたユーザーに対して広告を配信する手法のため、ターゲットや広告配信量に限界があります。この対策として、ほかの広告施策と組み合わせて運用し、効果的なアプローチを実行しましょう。
種類が異なる複数の施策を展開し、ユーザーに対して商品・サービスの露出機会を増やすことで、総合的な広告効果の向上が可能です。
自社の商品やサービスへの興味関心をもつ可能性が高いユーザーに対し、効果的にアプローチできるリマーケティング広告を成功させるためには、リマーケティングユーザーリストの細分化やさまざまな機能の活用が欠かせません。
ユーザーの行動履歴に応じて、入札単価の調整やクリエイティブの多様化など、設定や配信方法を工夫しながら精度を高めていきましょう。リマーケティング広告の導入や運用に関する不明点や疑問点がある場合は、ぜひご遠慮なくDYMのWEB事業部にお問い合わせください。
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