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デューデリジェンスとは?用語の意味と目的や種類、実施手順を解説

公開日:2024.11.14  更新日:2024.12.09
Due diligence concept. Businessman using laptop with due diligence icon on virtual screen.

ビジネスシーンにおいて、リスク管理は必須と言える業務の一つです。投資を行う際はリスクヘッジの施策として、投資先の財政などを調査するデューデリジェンスが実施されています。
本記事では、デューデリジェンスの概要と種類を紹介します。デューデリジェンスの実施手順にも触れているため、ポイントを押さえてビジネスの成功率を高めましょう。

デューデリジェンスとは?

デューデリジェンスとは、買手側が投資対象とする売手側企業の資産価値や、リスク調査のプロセスを指す投資信託における用語です。

市場の変化によって値動きが目まぐるしい投資信託において、相手が保有する株式や債券といった、基準価額となる要素はリスクを抱えています。買手側が大きな損失を被らないように売手側を厳密に調査することで、事前に問題点を浮き上がらせてリスクヘッジを行う必要があるのです。

企業の総合的な評価と査定を正しく行うことを目的に、デューデリジェンスは実施されています。

 デューデリジェンスとデューケアの違い

デューデリジェンスとデューケアは、投資信託における正常なプロセスと正常な理性による概念という意味の異なる言葉です。

デューケアとは、正常な理性を持った人間が全てのプロセスにおいて、合理的で慎重な行動を要求することを指します。デューデリジェンスが投資信託で幅広く用いられるのに対し、デューケアは一つの概念として司法やビジネスの場で用いられています。

どちらも正しい選択を取るための基準や指標として評価されるケースがあり、似たような言葉として混同されがちです。デューデリジェンスは、投資信託における総合的な評価をするための「プロセス」です。一方、デューケアは人間が行動を起こす際に理性的かつ合理的な行動を取るための「(抽象的な)概念」という点が大きな違いと言えるでしょう。

デューデリジェンスと会計監査の違い

デューデリジェンスと会計監査は、投資信託における正常なプロセスと、企業や行政が作成した財務諸表が法令に準拠されているのかを確認するプロセスという意味で異なります。

会計監査は、作成された財務諸表などの会計に関わる書類に間違いがないのかを、外部の第三者がチェックするプロセスです。つまり、財務諸表の信頼性と正確性を評価するためのプロセスで、検証するうえでも必要とされています。

対してデューデリジェンスは、買手が売手側の資産価値や負債を調査し、組織の財政状況やビジネスリスクを総合的に判断・評価するためのプロセスです。

広義的には同じ意味の言葉に感じられますが、デューデリジェンスは企業の投資信託における資産・リスク調査です。一方で、会計監査は企業や組織団体が作成した財務諸表の正確性を確認し、信用を担保するために行われます。

デューデリジェンスの目的

デューデリジェンスが行われる背景には、ビジネスシーンで企業が取引、買収、投資などを行うとき、買手側が売手側の財政状況や組織の活動実態、債務、資産価値の調査という名目があります。

デューデリジェンスを行うことで、売手側の見えない資産価値やリスクを浮き彫りにし、取引を有利にしたり、損失を未然に防いだりすることが可能です。調査のプロセスで全体的な資産評価を判断するのみではなく、将来的な収益やビジネスモデルの評価など、あらゆる情報の分析や獲得を実現します。

デューデリジェンスには様々な種類があり、行われる目的ごとに方法や調査範囲が異なります。いずれも総合的な評価を把握するために、ビジネスシーン、主に投資信託の場において非常に重要なプロセスです。

デューデリジェンスが行われるタイミング

デューデリジェンスの目的が相手企業の調査であるため、基本的には大きなビジネス取引や投資信託の前に実施されるのが一般的です。

主にデューデリジェンスが行われる取引には「提携」「ファイナンス」「M&A」「合併」などがあります。いずれも、企業にリターンとリスクをもたらす可能性を持つ取引と言えるでしょう。

会社の運営に大きく影響する取引や投資の前に、デューデリジェンスが実施されます。相手企業の資産価値とリスクを正しく評価し、自社の脅威を回避したうえで利益をもたらすのが、デューデリジェンスの目的です。

デューデリジェンスの主な種類

Person sorting through a multitude of bills and financial documents.

資産価値とリスクを正しく評価するためにデューデリジェンスが実施され、その目的はビジネスシーンごとに多岐に渡ります。

主要なデューデリジェンスについて、種類ごとに特徴を解説していきましょう。

財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスとは、売手企業の財政・財務状況を調査するプロセスです。

財務諸表の調査を基に、対象企業の買収価格やリスクを洗い出し、売手側が開示している財政状況の正確性を確認するために実施されます。

基本的には、資産価値や負債など買収価格や、取引の成否に直結する要素を調査するのが特徴です。会計処理などのキャッシュフローまで事細かく確認し、問題点のチェックを行うのが財務デューデリジェンスです。

税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスとは、売手企業の決算報告や納税状況など税務全般を調査するプロセスです。

デューデリジェンスの目的は、売手企業の財務や経営状態の把握を目的とするものです。税務デューデリジェンスでは、税務に関する処理や申告が適正かどうかを調査しています。

例えば、申告漏れや納税処理のミスがあった場合、譲受企業が追徴課税を負担するリスクがあるのです。税制上の損失がある場合、資産価値のみでなく企業の信用性に大きな影響を及ぼします。結果として、将来的に企業成長を阻害する要因になりかねません。

それらのリスクを回避するため、税務デューデリデリジェンスでは売手企業の税務状況を徹底的に調査します。

法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスとは、売手企業の契約形態や許認可、雇用など法令に関する法務上のリスクを調査するプロセスです。

仮に売手企業に法的な問題が発覚した場合、買収金額への影響や訴訟、買収中止など会社経営に関わる大きな脅威になる可能性があります。法務デューデリジェンスの実施により、株式の法的な有効性、法令に則った契約内容、債権・債務の有無などをチェックします。

人事デューデリジェンス

人事デューデリジェンスとは、売手企業の人事システムや、マネジメントの実態を調査するプロセスです。

企業の抱える人材や雇用形態の把握、人事や労働条件の調査など、労務全般に関わります。人事に関する法的リスクの調査も含むため、一部内容は法務デューデリジェンスと平行して行われるケースがあります。

人事デューデリジェンスは、M&Aや合併など組織改編後の社内規定や人事、労働条件の変化によって発生し得る、社内リスクの防止を目的とするものです。統合プロセスを円滑に進めるために、組織内の人材・制度・福利厚生などのあらゆる人事部門を調査します。

労務デューデリジェンス

労務デューデリジェンスとは、M&AやIPOなどの経営権・事業の統合や、譲渡の局面で発生する項目を調査するプロセスです。

従業員の勤務形態と労働時間管理、就業規則類などの調査を主に行います。人事デューデリジェンスと労務デューデリジェンスは、ほとんど同じだと言えます。労務デューデリジェンスの場合、人事戦略や従業員の公正な評価や財務面にも重要な影響を与えるのが特徴です。

適切な調査を行うことで、企業買収後の円滑な人材活用や労使トラブルの防止につながるでしょう。

 ITデューデリジェンス

ITデューデリジェンスとは、売手企業の情報システムの実態を調査するプロセスです。

主に対象企業が活用しているITシステムの稼働状況の調査が行われ、ITの観点から正当な評価とビジネスリスクを確認するために実施されます。

先述の財務・税務・法務といったデューデリジェンスに比べて、優先度は低いと考えられてきました。昨今のIT化を推進する時勢に伴い、ITのベネフィットとリスクの把握を重要視する企業が増加する傾向にあります。

ITインフラの確認によって多角的な評価を行い、より正確な評価判断とPMIの効率化を図れます。

その他

デューデリジェンスは様々な視点から調査することで、売手企業の評価をより精度の高いものにしています。例えば、環境保全を推し進めるSDGSの観点からの環境デューデリジェンスや、保有する土地や不動産、知的財産を調査する不動産・知的財産デューデリジェンスなど多岐に渡ります。

取引や投資の規模範囲や目的、評価の必要性に応じて、デューデリジェンスは様々な項目で実施されるのが特徴です。

デューデリジェンスの手順

デューデリジェンスはどのようにして行われるものか、各プロセスを順番に解説していきましょう。

デューデリジェンスの計画と準備

買手となる企業は、各業務の担当者や専門家でプロジェクトチームを発足します。調査規模によって、他の分野とのデューデリジェンスを実施する必要があるため、各領域における専門家による調査体制を組むのは必須です。

デューデリジェンスは対象企業に対して行われるため、対象の機密に関わることから機密保持契約を結んでおく必要があります。これは企業情報保護の観点から必要な契約となります。もしも情報漏洩や開示資料の紛失が発生すると、損害賠償に発展するリスクがあるため、綿密な情報管理体制を整えておかなくてはなりません。

プロジェクトチームの体勢が整った場合、対象企業に開示請求する資料リストをまとめて提出します。

資料や現地の確認と調査

デューデリジェンスの準備ができたあとは、開示された資料の確認や実地調査を行います。入手した資料を他の資料と照らし合わせ、記述された情報の正確性を確認します。

対象企業の市場規模、財政状況、保有資産・負債、顧客など、デューデリジェンスに応じて多角的に調査を進めるのです。問題点を抽出して把握し、内容に誤認がないか、さらに調査を進めていきます。

調査方法は開示された資料の他に、聞き取りや追加資料の収集が必要になる場合があります。判断が難しい場合には、専門家とのヒアリングなどを行い、情報の精度を高めていくのがポイントです。

結果分析と評価

デューデリジェンスの調査結果は報告書にまとめられ、専門家を交えて分析を始めます。内容を踏まえ、自社のメリットや対象企業が抱えるリスクを把握し、チームで議論と評価を行うのです。メリットに対するリスクが高い場合は、プロジェクトの中止も視野に入れ、分析を踏まえた評価結果を基に対象企業との交渉を始めます。

調査で発覚した問題点に対する解決策を討論するのもこの段階で、譲受側が一方的な条件交渉するのは避けるべきです。契約取引は相手がいるということを前提に、妥協案や歩み寄りの姿勢も時には必要となります。

デューデリジェンスの注意点

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適切なデューデリジェンスは、契約取引の成功に直結する非常に重要なポイントと言えるでしょう。例えば、想定よりもシナジーが見込めないケースや、簿外債務が発生するリスクなど、不十分な調査によって不利益を被る可能性も含まれているためです。

また、調査は正確かつ信用性が求められるとはいえ、必要以上に規模を拡大するのは大幅なタイムロスとコスト増加を招いてしまいます。逆に、時間とコストをかけるべき場所を節約してしまうことで、経営に大きく影響する重大なリスクを見逃しかねません。

調査は必要な情報と調査期間を決定し、優先順位を決めて計画的に進めるのがポイントです。

あまり時間をかけすぎると想定よりも費用がかかったり、対象企業の市場価値が下がったりする懸念があります。一方で、契約を無理に進めると、相手に不信感を抱かせる恐れがあるため、タイミングを見極める慎重性が求められるでしょう。

まとめ

ここまでデューデリジェンスについて、類語との違いや目的、調査の種類、調査の進め方、注意点について解説してきました。

ビジネスにおける投資信託やM&Aなどの取引の局面では、綿密な準備と情報の把握が成功のポイントです。不十分な調査では問題点を事前に把握できず、それが原因となって自社の不利益、破談につながるリスクがあります。

また、契約を結ぶ相手企業の選定も自社の経営拡大において重要となります。調査の精度を上げるには、より専門的な知識と、多角的な視点で物事を見極めるプロの目が必要です。

DYMでは、様々な領域で活躍する専門性の高いコンサルタントを擁し、あらゆる視点から適切なビジネスの成功へと導くノウハウを有しています。

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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。

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