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胃カメラによる健康診断は、胃や食道の健康状態を詳しく調べるための重要な検査です。胃カメラを受けることで、胃の内部に潜む病気や異常を早期に発見し、適切な治療や予防策を講じることができます。
特に慢性的に胃の不調を感じている方にとって、胃カメラの実施は非常に重要です。この記事では、胃カメラによって発見できる病気や検査の流れ、また検査に対する疑問点についても詳しく解説します。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、細い管に取り付けた極小カメラ(内視鏡)を胃や食道に通し、内部を直接観察して病気や異常の有無を確認する検査です。健康診断の一環として行われることもあります。
上部消化管内視鏡検査、通称「胃カメラ」の主な目的は、食道炎、胃炎、胃潰瘍、ポリープ、さらには胃癌などの病変を直接確認することです。
内視鏡は非常に細い管の先端にカメラが搭載されており、このカメラを口や鼻から挿入して、体内の映像をモニターに映し出します。早期に異常を発見しやすいうえに、病変の位置や大きさ、形状などをリアルタイムかつ詳細に観察できるため、重篤な病気を未然に防ぐ手段として有効です。
また、内視鏡は病変の発見だけでなく、その場で止血やポリープなどの切除といった治療や、病変が疑われる組織の採取も可能です。そのため、迅速な診断と治療にもつながります。
バリウム検査は、X線を用いて胃や食道の内部を調べる方法です。この方法では、バリウムという造影剤を飲んだ後にX線撮影を行います。
バリウム検査では胃や食道の構造的な異常を把握できますが、内視鏡ほど詳細な情報は得られません。一方、胃カメラ検査は、内視鏡を使って直接視覚で内部を確認できるため、病変の質や炎症の程度、さらには組織の異常など、より詳細な診断が可能です。
大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡検査)は、肛門から内視鏡を挿入し、大腸の内部を観察する検査です。この検査は主に、ポリープ、大腸炎、大腸癌といった大腸の病変を早期に発見するために行われます。
胃カメラ検査とは検査する部位が異なるため、対象とする病気や評価できる範囲も異なります。胃カメラは食道から胃、十二指腸までの上部消化管を調べるのに対し、大腸カメラは下部消化管を観察します。
どちらの検査も消化器系の異常を検出するために重要ですが、それぞれの検査で得られる情報が異なるため、症状や診断に応じて使い分けられるのが一般的です。
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は主に「経口」と「経鼻」の2種類で、それぞれの方法には特徴や利点があり、その人の心身状況や希望に応じて適切な検査方法が選ばれます。
経口内視鏡検査は、内視鏡を口から挿入して胃の内部を観察する方法です。この検査では、内視鏡が口から喉を通り、食道を経て胃に到達します。
経口内視鏡検査の主なメリットは、鎮静剤を使用すれば眠ったままでも検査を受けられること、そして内視鏡のサイズが比較的大きいため、より詳細な解像度で観察できる点です。
一方で、経口内視鏡検査のデメリットには、内視鏡スコープを口から挿入するため、喉に違和感が残る、あるいは吐き気を可能性があることが挙げられます。特に、喉に敏感な人や不安を感じやすい人にとっては、やや負担が大きいかもしれません。
さらに、検査後にはしばらく飲食を控える必要がある点や、鎮静剤を使用した場合には車の運転を控える必要がある点もデメリットです。
経鼻内視鏡検査は、内視鏡を鼻の穴から挿入して胃を観察する方法です。経鼻内視鏡の管は、直径がより細く設計されており、受ける人の負担が小さく、比較的快適な検査となることが多いです。
経鼻内視鏡検査のメリットは、喉に挿入物がないため、検査中に喉の違和感や吐き気が少ない点です。また、鎮静剤を用いなくても、大きな苦痛を感じることなく検査を受けられます。さらに、内視鏡が細いため、検査後の回復も比較的スムーズであり、検査後にすぐ通常の食事に戻れる点もメリットです。
一方で、経鼻内視鏡検査にもデメリットがあります。例えば、鼻の穴が極端に狭い場合や、鼻に炎症や疾患がある場合には、この方法が適さないことがあります。また、経鼻内視鏡用のスコープは、経口内視鏡のスコープよりも解像度がやや低い点もデメリットです。
胃カメラ検査では、口から挿入される内視鏡を用いて、食道、胃、十二指腸の内部を直接観察します。この検査は、消化器系のさまざまな病気を早期に発見するだけでなく、症状が現れる前の段階で潜在的な異常を見つけることができるため、病気の進行を防ぐうえでも非常に重要です。
胃カメラ検査は、消化器系のがんを早期に発見するために極めて重要な検査です。食道、胃、十二指腸といった消化器官は、日々の食事や生活習慣の影響を受けやすく、がんの発生リスクが高まることがあります。
この検査では、これらの臓器の内部を直接観察し、がんの初期段階での発見や、がんのリスクが高い状態を把握することが可能です。特にがんは、症状が現れたときには既に進行している場合が多いため、無症状の段階で発見することが治療の成否に大きな影響を与えます。
以下では、胃カメラによって発見できる消化器のがんについて、具体的に説明します。
胃がんは、日本で非常に多く見られるがんのひとつで、胃の内壁に発生する悪性腫瘍です。初期の胃がんはほとんど無症状で、進行すると食欲不振や胃の痛み、体重減少などの症状が現れますが、その時点ではすでにがんが進行しているケースも少なくありません。そのため、胃がんの早期発見には胃カメラ検査が不可欠です。
胃がんが粘膜層にとどまる早期段階で発見されれば、内視鏡切除術で取り除くことが可能です。これは開腹手術を行わず、内視鏡だけでがんを取り除けるため、心身にかかる負担が少なく、回復も早いのが特徴です。
胃がんの発生原因として最も大きな要因はピロリ菌感染です。ピロリ菌感染により慢性胃炎が引き起こされ、この慢性胃炎がさらに悪化することで胃がんのリスクが高まります。
ピロリ菌陽性者は陰性者に比べて10倍胃がんのリスクが高まるといわれているため、定期的な検査が重要です。ピロリ菌の除去には胃カメラを使用する方法と使用しない方法がありますが、どちらにせよ胃がんのリスクを大幅に軽減できます。
その他の胃がんリスクを高める要因として、過度の飲酒や喫煙、塩分の多い食事が挙げられます。これらの生活習慣がある人も、定期的な胃カメラ検査が推奨されます。
食道がんは、食道の内壁に発生するがんであり、特に男性に多く見られる病気です。初期段階では自覚症状が乏しく、症状が現れたときには既に進行がんとして発見されるケースも多く見られます。
食道がんの主な症状は、飲み込みにくさ(嚥下困難)、胸や背中の痛み、体重減少などです。食道がんのリスク要因としては、喫煙や過度の飲酒、熱い飲み物の摂取などが知られています。
胃カメラ検査では、食道の内壁を詳細に観察することで食道がんを早期に発見できます。また、早期に発見された食道がんに対しては、内視鏡的治療や放射線治療、化学療法などを組み合わせて治療が行われることが多く、治療の成功率が高まります。
十二指腸がんは、胃の出口に位置する十二指腸に発生する比較的まれながんです。
早期では無症状ですが、進行すると腹痛やお腹の張り、吐き気や嘔吐、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)を引き起こすことがあります。進行すると便が黒くなることもありますが、初期段階では症状がほとんど現れないのが特徴です。十二指腸がんのリスク要因としては、遺伝的要因や慢性的な消化器疾患などが挙げられます。
胃カメラ検査では、十二指腸内の異常な組織や粘膜の変化を発見し、がんの早期診断が可能です。
消化器系の潰瘍は、胃や十二指腸の内壁が傷つき、粘膜に深い損傷が生じる状態です。胃カメラ検査は、これらの潰瘍を正確に診断し、適切な治療を行うために非常に有効です。以下では、胃カメラで発見できる消化器系の潰瘍について説明します。
胃潰瘍は、胃の内壁が胃酸や消化酵素によって傷つけられることで発生する病気です。主な症状としては、上腹部の痛みや不快感、食後の腹痛、胸やけ、吐き気、嘔吐などが挙げられます。特に、食後のみぞおちの痛みや、空腹時・夜間に突然痛みが強くなる場合は要注意です。
胃潰瘍の原因としては、ピロリ菌感染や過度のストレス、喫煙、非ステロイド性抗炎症薬の長期使用などが挙げられます。胃潰瘍患者のうち70%以上にピロリ菌感染が見られるため、再発予防のためにもピロリ菌の除去が推奨されます。+
また、胃カメラ検査では、潰瘍ががん化している可能性を確認するために、組織の一部を採取して検査することもあります。早期に発見された胃潰瘍は、薬物療法や生活習慣の改善によって治癒することが多く、定期的な検査が再発の予防にもつながります。
十二指腸潰瘍は、胃の出口に位置する十二指腸の内壁に生じる潰瘍で、20代から40代の比較的若い年代に発生しやすい病気です。主な症状として、空腹時や夜間に強くなる上腹部の痛みや、食後に一時的に和らぐ痛みなどが挙げられます。
十二指腸潰瘍の原因は、97%以上がピロリ菌感染によるものとされています。また、胃潰瘍と同様に、非ステロイド性抗炎症薬の使用もリスクを高める要因です。
胃ポリープは、胃の内壁に発生する腫瘍状の隆起物で、多くの場合は良性ですが、一部にはがん化のリスクもあります。胃ポリープは主に「胃底腺ポリープ」「過形成性ポリープ」「胃腺腫」の3つに分類されます。
消化器の炎症は、胃や食道の内壁に炎症が生じる状態で、さまざまな原因が考えられます。胃カメラ検査(内視鏡検査)では、これらの炎症を正確に診断し、その原因を高い確率で特定することができます。
胃炎は、胃の内壁に炎症が生じる状態で、急性と慢性の2形態に分れます。
慢性胃炎がさらに悪化すると「萎縮性胃炎」に進行し、胃がんのリスクが高まるので早期発見が欠かせません。萎縮性胃炎の原因も多くはピロリ菌感染であるため、早期のピロリ菌除菌が推奨されます。
逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流し、食道の内壁に炎症を引き起こす病気です。主な原因は、食生活の乱れやストレスなどによる下部食道括約筋の機能不全で、これにより胃酸が食道に逆流しやすくなります。
主な症状は、胸やけ、お腹の張り、胃もたれなどの胃炎に似た症状のほか、酸っぱい液体の逆流、のどの痛み、咳などです。逆流性食道炎が進行すると、食道の内壁が傷つき、潰瘍や出血を引き起こすこともあります。
胃炎や胃がんと似た症状が見られても、胃カメラ検査で胃そのものに異常が見られない場合に、逆流性食道炎と診断されるケースが多いでしょう。
胃カメラ検査をスムーズに進めるためには、事前の準備が非常に重要です。以下では、検査前日と当日の準備や、実際の検査の進み方について解説します。
健康診断で胃カメラを受ける際は、検査前日に適切な準備が必要です。まず、前日の夕食は消化に良い軽めの食事を心がけ、遅くとも21時までに済ませるようにします。これにより、翌日は胃の中が空っぽの状態となり、検査時に胃の内部がカメラに明瞭に映るようになります。
また、飲み物については、夜9時以降は水・お茶・スポーツドリンクといった透明な水分であれば問題ありません。アルコールやカフェインを含む飲み物は控えましょう。
常用薬については基本的に服用を続けることができますが、種類によっては控えたほうが良い場合があるため、事前に医師と相談することが重要です。
検査当日は、基本的に絶食が求められます。当日に摂取できるのは、水や透明な飲料のみです。また、検査前に鎮静剤が投与される場合があるため、検査後の移動手段も事前に確保しておくことが大切です。
検査の際には、楽な服装で臨み、必要に応じてメガネやコンタクトレンズを外すようにします。
検査を受ける人はリラックスした状態で横向きに寝た状態で行い、スプレーやゼリー状の麻酔薬が鼻に塗布されます。
鼻腔内が麻痺して痛みや不快感が軽減されると、カメラが通りやすくなるように鼻腔を広げる処置が行われ、必要に応じて鼻腔内の滑りを良くするジェルが使用したのち、カメラが挿入されるという流れです。
カメラが鼻から挿入される際には軽い圧迫感やくすぐったさを感じることがありますが、よほどのことがない限り強い痛みは感じません。経鼻挿入法は経口挿入法に比べて嘔吐反射が少ないため、多くの人にとってより快適な選択肢となります。
検査を受ける人は左側を下にして横向きに寝た状態をとり、検査前には喉にスプレーやゼリー状の麻酔を塗布します。麻酔が効いた後、検査を受ける人はマウスピースを装着し、カメラを挿入するという流れです。カメラが口から挿入される際は深呼吸をし、リラックスした状態を保ちましょう。
なお、内視鏡の挿入時に喉や胸の中で異物感や軽い圧迫感、嘔吐反射などが生じることがあります。嘔吐反射が強い方には、注射や点滴による鎮静剤投与も可能です。
内視鏡が胃に到達すると検査が本格的に開始し、モニターには胃や十二指腸の映像が映し出されます。
医師が胃の内部や十二指腸の内壁の状態を見ながら異常の有無を確認し、ポリープや炎症、潰瘍などの疑わしい症状がある場合は、必要に応じて組織を採取し、病理検査に回すという流れです。なお、組織採取は小さな鉗子を使って行われるため、痛みはほとんど感じません。
検査を受けている間はできるだけリラックスし、ゆっくりとした呼吸を心掛けましょう。検査は通常10分程度で終了しますが、異常が見つかった場合にはもう少し時間がかかることもあります。
検査が終了すると胃カメラが慎重に抜かれ、検査を受けた人は麻酔の効果が完全に切れるまでリカバリースペースでしばらく休息を取ります。麻酔が切れるまでの目安は30分から1時間程度です。
検査後、医師は結果の概要を説明し、異常が見つかった場合には追加の検査や治療についての相談が行われます。検査で組織を採取した場合は、結果が出るまでには数日から1週間程度かかるため、結果が出たのちに追加の検査や組織検査の結果に基づいて、今後の治療方針を決定するのが一般的です。
胃カメラ検査を初めて受ける方や、健康診断で胃カメラ検査を選択する際には不安や疑問を抱くことも少なくありません。ここでは、健康診断で行われる胃カメラ検査について、よくある質問とその回答をご紹介します。
胃カメラ検査自体の所要時間は通常10分程度です。ただし、準備時間や麻酔の効果が切れるまでの待機時間を含めると、全体で30分から1時間程度かかることがあります。
健康診断で胃カメラ検査は必須ではありません。通常の健康診断ではバリウム検査が一般的ですが、より詳細な検査を希望する場合や、過去に胃に異常が見つかったことがある場合には、胃カメラ検査を推奨します。
胃カメラ検査は胃の内壁を直接観察できるため、バリウム検査よりも正確な診断が可能です。胃がんなどの重大な病気は自覚症状がないことも多いため、病気の早期発見を目的に、定期的な胃カメラ検査が推奨されます。
経鼻挿入と経口挿入のどちらが適しているかは、個人の体質や好みによります。経鼻挿入は嘔吐反射が少なく、また局所麻酔も少量で済むため、体への負担を軽減したい人に向いています。
一方、経口挿入はスコープが喉を通るため、嘔吐反射が起きやすく、圧迫感や違和感が生じやすい検査です。しかし、鼻の構造や状態によっては経鼻挿入が難しい場合もあり、その際には経口挿入が選ばれます。医師と相談して、自分に合った方法を選びましょう。
服薬中でも胃カメラを受けることは可能ですが、一部の薬は検査に影響を与える可能性があるため、事前に医師に相談することが重要です。特に抗凝固薬や血糖降下薬を服用している場合は、服薬のタイミングや一時的な中止について指示を受けることがあります。
妊娠中の胃カメラ検査は、流産や早産のリスクが伴うため、基本的には推奨されていません。特に妊娠初期や後期には、慎重な判断が必要です。
妊娠中でも重大な病気の可能性がある場合には、検査が必要になることがあります。この場合は、まず産婦人科の主治医と相談し、リスクと利益を十分に考慮の上、綿密な相談を経て決定されます。胃カメラ検査が必要と判断された場合には、産婦人科が併設されている総合病院で検査を行います。
授乳中の場合は、一般的に胃カメラ検査を受けることは可能です。ただし、麻酔薬や鎮静剤の影響を考慮し、検査後の一定期間は授乳を控える必要があります。授乳を控える期間は使用する薬剤によって異なるため、この点についても医師の指示を仰ぐことが重要です。
風邪や花粉症で鼻や喉の調子が悪いときでも、胃カメラ検査を受けることは可能です。ただし、症状によっては検査を延期することが推奨される場合があります。
特に鼻づまりや喉の痛みが強い場合、経鼻挿入が難しくなることがあるため、その際には経口挿入が選択されることが多いです。また、体調が悪い場合は無理をせず、医師と相談のうえで検査日程を調整することも考慮すべきです。
胃カメラ検査をはじめとした内臓を詳細に調べる検査は、病気の早期発見のために非常に重要です。特に初期の胃がんは自覚症状がないことが多く、症状が現れてから検査を受けた時にはすでに進行しているケースがよく見られます。
そのため、自覚症状がなくても定期的に胃カメラ検査を受けることが推奨されます。初期の状態で胃がんを発見できれば、内視鏡手術などの負担の少ない治療で完治する可能性が高まります。
胃がんの発生率は、40代を境に急増します。健康診断のバリウム検査だけでは重大な病気が見逃されることがあるため、自覚症状がなくても定期的に胃カメラ検査を受けるようにしましょう。
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