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オフショアとは?ビジネスやIT業界で使われる意味をわかりやすく解説

公開日:2025.09.04  更新日:2025.09.04

オフショアという言葉を耳にする機会が増えていますが、その意味を正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。この記事では、ビジネスシーンで使われるオフショアの意味から、IT業界で注目されるオフショア開発まで、例を交えながらわかりやすく解説。海外リソースを活用したコスト削減や人材確保に関心がある経営者や事業責任者の方に、実践的な知識をお届けします。

<この記事で紹介する3つのポイント>

  • オフショアの基本的な意味と、IT・金融・製造業など業界別の活用方法がわかる
  • オフショア開発で得られる4つのメリット(コスト削減・人材確保・柔軟性・グローバル展開)を詳しく解説
  • オフショア開発を成功させるための具体的なポイントと失敗を避ける方法を紹介

オフショアとは?

オフショアは現代のビジネスシーンにおいて重要な概念となっています。グローバル化が進む中で、国境を越えた業務遂行は企業戦略の一つとして定着しました。

オフショアの意味

オフショア(offshore)は、英語の「off(離れて)」と「shore(岸)」が組み合わさった言葉で、本来は「そこから離れること」という意味を持ちます。ビジネスにおいては、「自分の国から離れた地域」を表し、「海外」という意味で使用されます。

物価や人件費の安い地域に業務の一部を移し、コスト削減を目的とすることが、オフショアの主な活用方法です。日本企業の場合、アジア諸国を中心に業務委託や拠点設置を行うケースが多く見られます。これにより、品質を維持しながら大幅なコスト削減を実現できる可能性があります。

ビジネス以外では、「陸から海の方向に向かって吹く風」を表し、「陸風」という意味で使われます。例えば、サーフィンなどのマリンスポーツでは、波のコンディションを左右する重要な要素として注目されています。

ビジネスシーンでのオフショアの使われ方

オフショアは、ビジネスの場で使われる単語で特にIT業界で多く使用されます。実際の使用例として、「オフショア開発」「オフショア生産」「オフショア投資」など、さまざまな業界で活用されています

IT業界では、自社で行っていた業務の一部を、日本よりも人件費の安い海外に委託したり移管したりすることを指します。国内のIT人材不足が深刻化する中、コストをかけずに優秀な人材を確保したいなら、海外にも目を向けることが重要となっています。

金融業界では、非居住者に対する「租税環境の優遇国あるいは優遇地域」を指す場合があります。税制上の優遇措置を地域外の企業に対して戦略的に設けることで海外からの企業や投資などを呼び込んでいます。

製造業においては、人件費削減と生産能力確保を目的に、アジア諸国に生産拠点を設けることが一般的です。これにより、価格競争力を維持しながら、品質の高い製品を提供できます。

業界別オフショアの種類と特徴

オフショアの活用方法は業界によって大きく異なります。IT業界のシステム開発、製造業の生産拠点移転、金融業界の投資戦略など、それぞれの業界特性に応じた形でオフショアが展開されています。各業界でどのようにオフショアが活用され、どのような特徴があるのかを具体的に解説していきます。

IT業界:オフショア開発

IT業界では、海外企業や子会社に開発業務の一部を委託する「オフショア開発」が行われています。日本の企業が海外でシステムやソフトウェア開発を行う主な目的は、人件費の削減です。

IT業界では国内の人材不足が課題となっていて他社との競争のなかで人材を確保しようと思ったら従業員一人あたりのコストを上げるか、コストを維持したまま人材の質を下げることが必要です。この課題に対して、人材が豊富な海外に開発を依頼すると、人材確保と人件費削減の両方が叶うのがメリットとなります。

オフショア開発の委託先として特に人気が高いのは、ベトナム、フィリピン、インドなどのアジア諸国です。ベトナムは国内に数千のIT企業を擁し、約40万人のエンジニアが稼動しており、毎年約5万人のITエンジニアが育成されている国として注目されています。

これらの国では、技術教育への投資が盛んで、優秀なエンジニアが育成されています。日本企業にとって、時差が少なく、文化的な親和性も高いアジア諸国は、オフショア開発の理想的なパートナーとなっています。

製造業:オフショア生産

オフショア生産とは、先進国の企業が減免税などの優遇措置がある特別地域(開発途上国)に工場を設け、本国や第三国向けに生産を行うことです。製造業では、労働集約的な工程を人件費の安い国で行うことで、製造コストを大幅に削減できます。

発展途上国側においても、工業化の促進あるいは外資の獲得、雇用の増大などの利点があります。このような相互利益の関係により、多くの日本企業がアジア諸国に生産拠点を設けています。特に自動車産業や電子機器産業では、部品製造から組み立てまで、幅広い工程でオフショア生産が活用されています。

近年では、単純な労働集約型の生産だけでなく、現地の技術力向上に伴い、高度な技術を要する製品の生産も行われるようになっています。これにより、コスト削減と同時に、現地市場への迅速な対応も可能となっています。

金融業界:オフショア投資・オフショア市場

金融業界において使用するときの「オフショア」は、非居住者に対する「租税環境の優遇国あるいは優遇地域」を指します。タックスヘイブンとは、海外投資家を積極的に受け入れるため、税制上の優遇措置を設ける国や地域のことで、投資家にとって魅力的な環境を提供しています。

代表的な場所としては香港、シンガポール、マカオのほか、イギリス領ケイマン諸島、バージン諸島といったカリブ海の島国や、ルクセンブルク、モナコなどが挙げられます。これらの地域では、投資や事業を通して収益を得ても税金がかからなかったり、通常より少なかったりといったメリットを受けられる場合があります。

オフショア投資とは、海外へ直接金融投資をして資産運用することを指します。企業にとっては、国際的な資金調達や資産運用の選択肢を広げる重要な手段となっています。ただし、各国の税制や規制を十分に理解し、適切なコンプライアンスを保つことが不可欠です。

オフショア開発のメリット

オフショア開発は、日本企業が直面する課題を解決する有効な手段として注目されています。ここでは、オフショア開発がもたらす具体的なメリットについて、実例を交えながら詳しく解説します。

開発コストを大幅に削減できる

オフショア開発のメリットは、人件費や物価の安い海外で開発を行うことで、開発コストを大幅に下げることができる点です。日本のエンジニアと比較して、アジア諸国のエンジニアの人件費は3分の1から5分の1程度となるケースも珍しくありません。

例えば、日本で月額80万円のエンジニアを雇用する場合、ベトナムでは同等のスキルを持つエンジニアを月額20〜30万円で確保できる可能性があります。大規模なプロジェクトになればなるほど、このコスト差は大きな削減効果を生み出します。

さらに、人件費が安いということは、優秀な人材を日本よりも安価で雇用することも可能という利点もあります。同じ予算でより多くのエンジニアを確保できるため、開発スピードの向上や品質向上にもつながります。

日本で採用困難なIT人材をすぐに確保

海外には日本より人件費が安価な国や地域が多く、同時に豊富なIT人材が存在しています。人材確保に悩む企業の中には、オフショア開発を通じて海外で積極的に労働力の確保をするケースも多くなっています。

インドは、ITアウトソーシング・オフショア開発業界のベテランです。毎年約12万人のIT人材が輩出されており、300万人以上のエンジニアが住んでいます。このような人材の宝庫を活用することで、日本国内では確保が困難な専門性の高いエンジニアも比較的容易に確保できます。

特にプログラマーやエンジニアは、ベトナムなどの新興国を中心に人気を集める職業の一つであり、優秀な人材が多いだけではなくその技術力の高さも評価されています。最新技術への関心も高く、AIやブロックチェーンなど先端分野のエンジニアも増えています。

必要な時に必要な人数を柔軟に調整

オフショア開発では、プロジェクトの規模や期間に応じて、開発チームの人数を柔軟に調整できます。日本国内で正社員を採用する場合と比べて、人員の増減が容易であることは大きなメリットです。

何千人もの人員を必要とする巨大なITプロジェクトの開発委託先としても活用されているように、短期間で大規模なチームを編成することも可能です。プロジェクトの初期段階では少人数でスタートし、開発が本格化するにつれて段階的に人員を増やすといった柔軟な対応ができます。

また、特定の技術や期間限定のプロジェクトに対しても、必要なスキルを持つエンジニアをピンポイントで確保できます。これにより、固定費を抑えながら、プロジェクトに最適なリソース配分を実現できます。

グローバル市場への第一歩として活用

オフショア開発のもう一つのメリットとして、「海外展開を視野に入れた開発ができる」点があげられます。少子高齢化が進行し市場が狭くなっていく国内だけではなく、世界という大きなマーケットをみることができるのは大きなメリットです。

現地のエンジニアと協働することで、その国の市場特性や文化的背景を理解したシステム開発が可能になります。例えば、東南アジア市場向けのアプリケーション開発では、現地エンジニアの知見を活かすことで、より現地ユーザーのニーズに合った製品を開発できます。

さらに、オフショア開発を通じて築いた現地企業とのネットワークは、将来的な海外展開の足がかりとなります。開発パートナーが現地でのマーケティングや販売支援を行うケースもあり、単なる開発委託を超えた戦略的パートナーシップに発展する可能性もあります。

オフショア開発を成功させるポイント

オフショア開発には多くのメリットがある一方で、成功させるためには押さえるべきポイントがあります。

適切なパートナー選定

オフショア開発を成功させるためには、自社のニーズに合った開発会社を選ぶことが不可欠。パートナー選定は、プロジェクトの成否を左右する最も重要な要素の一つです。

日本企業との取引経験が豊富な企業を選ぶことがポイント。経験したプロジェクトの件数とともに、どの程度の規模のプロジェクトを請け負ってきたかの確認も重要となります。実績のある企業は、日本特有のビジネス慣習や品質要求を理解しており、スムーズなプロジェクト進行が期待できます。

また、自社が抱えている案件と類似する開発を請け負った経験があれば、実際の開発プロセスが円滑に進むことが可能です。技術力だけでなく、業界知識や業務理解度も重要な選定基準となります。金融システムなら金融業界の経験、ECサイトならEC開発の実績など、専門性を重視した選定が成功への近道です。

言葉の壁を乗り越える仕組みづくり

オフショア開発の成功には、文化やコミュニケーションの違いを理解し、適切に管理することが不可欠。言語や文化の違い、コミュニケーションの難しさは、オフショア開発における最大の課題の一つです。

日本語でのコミュニケーションが可能かどうかも、オフショア開発を依頼するうえで大切なポイントとなります。日本語能力試験の取得者の数や、日本語教育を行っているかなどを把握したうえで、実際に現場の技術者と直に日本語でコミュニケーションをとる機会を設けることが推奨されます。

現地に日本人スタッフがいると、納期遅れやセキュリティ事故など何らかのトラブルがあった際も橋渡し役として頼れるなど、よりスムーズなコミュニケーションが期待できます。ブリッジSEと呼ばれる、日本と現地の間を取り持つ専門職の存在も重要です。

品質管理プロセスの確立

オフショア開発で注意したいのが、コントロールです。単に仕事の進捗を管理するだけではなく、言葉の壁や文化の違いを理解し、コミュニケーションを密に取ることが仕事を円滑に進めるために重要なポイントです。

品質管理においては、日本の品質基準を明確に伝え、定期的なレビューを実施することが不可欠です。コーディング規約やテスト基準など、具体的な品質指標を文書化し、共有することで認識のズレを防げます。

情報管理に関しても、リスクが高いとされています。セキュリティポリシーの策定と徹底、アクセス権限の適切な管理、定期的な監査の実施など、情報セキュリティ対策も品質管理の重要な要素です。

長期的なパートナーシップの構築

単発のプロジェクトではなく、継続的な関係を構築することで、より大きな成果を得ることができます。

特に、時差や言語の壁を克服するための柔軟なコミュニケーション戦略や、チームビルディングのための現地訪問などが有効です。定期的な交流会や技術研修の実施により、チーム間の相互理解を深めることができます。

長期的な視点では、人材育成が難しいといった課題もありますが、パートナー企業と協力して育成プログラムを構築することで、自社専用の開発チームを育成することも可能です。投資と時間は必要ですが、将来的には大きなリターンが期待できます。

まとめ

オフショアとは、ビジネスにおいて「海外」を意味し、コスト削減や人材確保を目的に海外の企業や拠点を活用することを指します。特にIT業界では、深刻な人材不足を背景に、ベトナムやインドなどへのオフショア開発が活発化しています。

オフショア開発の成功には、適切なパートナー選定から始まり、言語や文化の違いを乗り越える仕組みづくり、品質管理プロセスの確立、そして長期的なパートナーシップの構築が不可欠です。これらのポイントを押さえることで、コスト削減だけでなく、グローバル市場への展開も視野に入れた戦略的な活用が可能となります。

日本企業にとって、オフショアは単なるコスト削減手段ではなく、持続的な成長を実現するための重要な経営戦略の一つです。自社の状況や目的に応じて、最適なオフショア活用方法を検討し、グローバル競争力の強化につなげていくことが求められています。

なお、オフショア開発サービスを提供する企業の中には、ベトナムに拠点を構え、日本企業特有の課題解決に特化したサービスを展開している会社もあります。例えば、日本語対応の窓口設置や迅速なレスポンス体制、透明性の高い見積もり提示など、コミュニケーションの壁を解消する仕組みを持つ企業を選ぶことで、より円滑なプロジェクト進行が期待できるでしょう。

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【筆者・監修者企業】

株式会社DYM

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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。

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