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Webサイトの表示速度は、ユーザー体験とビジネス成果に直結する重要な要素です。PageSpeed Insightsを活用することで、自社サイトの表示速度を客観的に評価し、具体的な改善方法を把握できます。この記事では、ツールの基本的な使い方から実践的な改善施策まで、マーケティング担当者や経営者の方々が今すぐ実践できる内容をお伝えします。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
PageSpeed Insightsは、Googleが無料で提供するWebサイトの表示速度測定ツールです。URLを入力するだけで、モバイルとデスクトップ両方のパフォーマンスを100点満点で評価し、具体的な改善提案を提示してくれます。このツールが重要視される背景には、サイトスピードがビジネスに与える3つの大きな影響があります。
表示速度の遅延は、ユーザーの離脱率に直接的な影響を与えます。Googleの調査によると、ページの読み込み時間が1秒から3秒に増加すると、直帰率は32%上昇します。さらに5秒まで遅くなると、直帰率は90%も増加するという結果が出ています。
特にモバイルユーザーは表示速度に敏感で、3秒以内に表示されないサイトからは53%のユーザーが離脱してしまいます。企業サイトやECサイトにおいて、この数値は機会損失に直結する深刻な問題といえるでしょう。
ユーザー体験の観点からも、高速なサイトは操作がスムーズで、ストレスなく情報を取得できます。結果として、サイト内の回遊率向上や滞在時間の増加につながり、ブランドイメージの向上にも寄与します。
2021年6月から、GoogleはCore Web Vitalsと呼ばれる指標を検索ランキング要因として正式に採用しています。これは、実際のユーザー体験を数値化した指標で、表示速度はその中核を成す要素です。
Core Web Vitalsは、LCP(最大コンテンツの描画)、FID(初回入力遅延)、CLS(累積レイアウトシフト)の3つの指標で構成されています。これらの指標が良好な値を示すサイトは、検索結果で上位表示される可能性が高くなります。
このように、SEO対策において表示速度の最適化は避けて通れない要素となっています。
表示速度の改善は、売上やコンバージョン率に直接的な影響を与えます。Amazonの調査では、ページの読み込み時間が0.1秒遅くなるごとに、売上が1%減少することが明らかになっています。
また、大手ECサイトの事例では、表示速度を1秒改善したことで、コンバージョン率が7%向上したという報告もあります。B2Bサイトにおいても、問い合わせフォームの表示が速いほど、フォーム完了率が高くなる傾向があります。
投資対効果の観点から見ても、表示速度の改善は他のマーケティング施策と比較して費用対効果が高く、一度改善すれば継続的に効果を発揮する点も魅力的です。
PageSpeed Insightsの使用方法は非常にシンプルです。まず、ブラウザで「PageSpeed Insights」と検索するか、直接URLにアクセスします。トップページが表示されたら、測定したいWebサイトのURLを入力欄に記入し、「分析」ボタンをクリックするだけです。
分析には通常30秒から1分程度かかります。この間、ツールはさまざまな観点からサイトのパフォーマンスを測定しています。分析が完了すると、モバイルとデスクトップそれぞれのスコアが表示され、詳細なレポートを確認できるようになります。
初めて使用する際は、まず自社のトップページから測定を始めることをおすすめします。その後、主要なランディングページや、コンバージョンに関わる重要なページも順次測定していくとよいでしょう。定期的に測定を行い、改善の効果を確認することも重要です。
測定結果は、URLごとに異なるため、サイト全体の評価を把握したい場合は、複数の代表的なページを測定する必要があります。特に、トップページ、商品ページ、お問い合わせページなど、ユーザーの行動に重要な影響を与えるページは必ず確認しておきましょう。
PageSpeed Insightsのレポートには多くの情報が含まれており、初見では理解しづらい部分もあります。しかし、ポイントを押さえれば、改善に必要な情報を効率的に読み取ることができます。レポートは大きく分けて、総合スコア、フィールドデータ、ラボデータ、改善提案の4つのセクションで構成されています。
パフォーマンススコアは0から100点で評価され、色分けによって状態を示しています。90点以上は緑色で「良好」、50~89点はオレンジ色で「改善が必要」、49点以下は赤色で「不良」と分類されます。
一般的な目標としては、まず50点以上を確保し、段階的に70点、そして最終的には90点以上を目指すのが現実的です。ただし、機能が豊富なECサイトや、動的コンテンツが多いWebアプリケーションでは、90点以上を達成するのは困難な場合もあります。
業界や競合他社のスコアも参考にしながら、自社サイトの特性に応じた現実的な目標を設定することが大切です。例えば、ニュースサイトでは70点前後、企業サイトでは80点以上、シンプルなランディングページでは90点以上を目標にするケースが多いようです。
フィールドデータは、過去28日間の実際のユーザーアクセスデータを基にした測定結果です。Chrome User Experience Report(CrUX)から収集された、リアルワールドでのパフォーマンスを示しています。これは実際のユーザー体験を反映した信頼性の高いデータといえます。
一方、ラボデータは、PageSpeed Insightsがその場で実行した模擬的な測定結果です。制御された環境下での測定のため、実際のユーザー環境とは異なる可能性がありますが、問題の特定や改善効果の確認には有効です。
フィールドデータが表示されない場合は、サイトへのアクセス数が少ないか、Chrome利用者のデータが十分に集まっていない可能性があります。この場合は、ラボデータを参考に改善を進めていくことになります。
LCP(Largest Contentful Paint)は、ページの主要コンテンツが表示されるまでの時間を測定します。具体的には、ビューポート内で最も大きな画像やテキストブロックが表示されるタイミングを計測しています。良好な基準は2.5秒以内で、4秒を超えると「不良」と判定されます。
FID(First Input Delay)は、ユーザーが最初にページを操作(クリックやタップ)してから、ブラウザがその操作に反応するまでの遅延時間を測定します。良好な基準は100ミリ秒以内で、300ミリ秒を超えると問題があるとされます。なお、2024年3月からはFIDに代わってINP(Interaction to Next Paint)という新しい指標が導入されています。
CLS(Cumulative Layout Shift)は、ページ読み込み中に発生するレイアウトのずれを数値化したものです。画像の遅延読み込みや広告の挿入によって、テキストやボタンの位置が突然変わる現象を評価します。良好な基準は0.1以下で、0.25を超えると改善が必要です。
これら3つの指標すべてで「良好」判定を受けることが、SEO対策においても重要となっています。
PageSpeed Insightsで問題点を把握したら、次は具体的な改善に取り組みます。
画像の最適化は、最も効果的な改善策の一つです。多くのWebサイトでは、画像がページ容量の大部分を占めており、表示速度低下の主要因となっています。
まず、画像形式をWebPに変換することで、画質を維持しながらファイルサイズを大幅に削減できます。WebPは、JPEGと比較して25-35%、PNGと比較して26%程度ファイルサイズを削減できる次世代画像フォーマットです。現在では主要なブラウザでサポートされているため、積極的に活用しましょう。
次に、画像の圧縮も重要です。オンラインツールやプラグインを使用して、画質の劣化を最小限に抑えながら圧縮を行います。一般的に、品質80~85%程度の圧縮であれば、視覚的な劣化はほとんど感じられません。
遅延読み込み(Lazy Loading)の実装も効果的です。ビューポート外の画像を初期読み込みから除外し、ユーザーがスクロールして画像に近づいたタイミングで読み込むことで、初期表示速度を大幅に改善できます。HTMLのimg要素にloading=”lazy”属性を追加するだけで実装可能です。
CSSやJavaScriptファイルは、ページのレンダリングをブロックする要因となることがあります。これらのリソースを適切に処理することで、表示速度を改善できます。
クリティカルCSSの抽出と、それ以外のCSSの遅延読み込みは効果的な手法です。ファーストビューに必要なCSSのみをHTMLに直接記述(インライン化)し、その他のCSSは非同期で読み込むようにします。これにより、初期表示に必要な最小限のスタイルのみで素早くページを表示できます。
JavaScriptについては、asyncまたはdefer属性を使用して非同期読み込みを実装します。async属性はスクリプトのダウンロードと実行を非同期で行い、defer属性はHTMLの解析完了後にスクリプトを実行します。ページの機能に応じて適切に使い分けることが重要です。
不要なプラグインやライブラリの削除も忘れてはいけません。使用していない機能のために読み込まれているスクリプトがないか定期的に確認し、必要最小限のリソースのみを読み込むようにしましょう。
TTFB(Time To First Byte)は、ブラウザがサーバーにリクエストを送信してから、最初のバイトを受信するまでの時間です。この時間を短縮することで、全体的な表示速度が向上します。
まず、サーバーのスペックや設定を見直します。CPU、メモリ、ネットワーク帯域が適切かを確認し、必要に応じてアップグレードを検討します。また、PHPやデータベースの設定を最適化することで、処理速度を向上させることができます。
CDN(Content Delivery Network)の導入も効果的です。世界中に配置されたサーバーから、ユーザーに最も近い場所からコンテンツを配信することで、物理的な距離による遅延を最小限に抑えることができます。特に、グローバルにビジネスを展開している企業には必須の対策といえるでしょう。
キャッシュの活用も重要です。ブラウザキャッシュ、サーバーサイドキャッシュ、CDNキャッシュなど、さまざまなレベルでキャッシュを実装することで、サーバーへの負荷を軽減し、応答時間を短縮できます。
サイトスピードの問題を根本的に解決するためには、まず原因を正確に把握することが重要です。
最も一般的な原因は、画像の最適化不足です。高解像度の写真をそのままアップロードしたり、必要以上に大きなサイズの画像を使用したりすることで、ページの読み込み時間が大幅に増加します。
例えば、スマートフォンで撮影した写真は、4000×3000ピクセル以上の解像度を持つことが多く、ファイルサイズも数MBに達します。しかし、Webサイトで表示する際は、多くの場合1200×800ピクセル程度で十分です。適切なリサイズを行わないと、不要なデータ転送が発生してしまいます。
また、PNG形式の画像を写真に使用している場合も問題です。PNGは透過が必要なロゴやアイコンには適していますが、写真にはJPEGやWebPの方が適しています。形式の選択ミスだけで、ファイルサイズが数倍に膨れ上がることもあります。
サーバーの性能不足や設定の問題も、表示速度低下の大きな要因となります。共用サーバーを使用している場合、他のユーザーの影響を受けやすく、アクセスが集中する時間帯に応答速度が低下することがあります。
データベースへの接続数やメモリ使用量の上限が低く設定されていると、同時アクセス数が増えた際にサーバーがリクエストを処理しきれなくなります。特に、ECサイトやメディアサイトなど、動的なコンテンツが多いサイトでは、この問題が顕著に現れます。
サーバーの地理的な位置も影響します。日本のユーザーをターゲットにしているのに、海外のサーバーを使用している場合、物理的な距離による遅延が避けられません。
CSS・JavaScriptファイルの読み込み方法や記述方法に問題があると、ページのレンダリングが遅延します。特に、head要素内に大量のCSSやJavaScriptを記述している場合、これらの読み込みが完了するまでページの表示が始まりません。
また、外部サービスのスクリプト(広告、アクセス解析、SNS連携など)を多数読み込んでいる場合も問題です。これらのスクリプトは、外部サーバーの応答速度に依存するため、一つでも遅いサービスがあると、全体の表示速度に影響を与えます。
CSSやJavaScriptファイルが適切に圧縮・結合されていない場合も、不要なHTTPリクエストが増加し、表示速度の低下につながります。
WordPressなどのCMSを使用している場合、プラグインの過剰な使用が問題となることがあります。便利だからといって、多数のプラグインをインストールすると、それぞれがCSSやJavaScriptを読み込み、サイト全体のパフォーマンスを低下させます。
特に、類似機能を持つプラグインを複数インストールしている場合や、すでに使用していないプラグインを無効化せずに残している場合は要注意です。定期的にプラグインの棚卸しを行い、本当に必要なものだけを残すようにしましょう。
外部スクリプトについても同様です。Google Analytics、Facebook Pixel、各種チャットツールなど、マーケティングに必要なツールは多数ありますが、それぞれがサイトの表示速度に影響を与えることを認識しておく必要があります。
キャッシュは、一度読み込んだデータを保存しておき、次回以降のアクセスを高速化する仕組みです。しかし、適切に設定されていないと、その恩恵を受けることができません。
ブラウザキャッシュの有効期限が短すぎると、ユーザーが再訪問した際にも、すべてのファイルを再ダウンロードすることになります。逆に長すぎると、更新したコンテンツが反映されないという問題が発生します。
サーバーサイドのキャッシュも重要です。WordPressなどの動的なCMSでは、ページキャッシュプラグインを使用することで、データベースへのアクセスを減らし、表示速度を大幅に改善できます。
長期間運用しているWebサイトでは、データベースの肥大化が問題となることがあります。不要なリビジョンデータ、ゴミ箱に残っている投稿、期限切れのトランジェントなど、さまざまな不要データが蓄積されていきます。
データベースのテーブルが適切にインデックス化されていない場合、検索やソートの処理に時間がかかります。特に、商品数が多いECサイトや、記事数が多いメディアサイトでは、この問題が顕著に現れます。
定期的なデータベースの最適化と、不要データの削除を行うことで、クエリの実行速度を改善し、サイト全体のパフォーマンスを向上させることができます。
PageSpeed Insightsは、Webサイトの表示速度を改善するための強力なツールです。本記事で解説した内容を実践することで、ユーザー体験の向上、SEO評価の改善、そしてコンバージョン率の向上という3つの大きなメリットを得ることができます。
競合他社に差をつけ、ユーザーに選ばれるWebサイトを構築するために、今すぐPageSpeed Insightsを活用した表示速度の改善に取り組みましょう。技術的な実装が難しい場合は、Web制作会社やシステム開発会社に相談することも検討してください。投資に見合う十分なリターンが期待できるはずです。
なお、表示速度の改善は、SEO対策全体の一部に過ぎません。包括的なSEO戦略を検討されている企業には、専門的な知見を持つSEOコンサルティング会社の活用も効果的です。例えば、DYMのSEO対策事業部では、20年以上の実績と累計5,000案件以上の経験を活かし、内部対策から記事コンテンツ作成、外部対策まで一貫したサービスを提供しています。表示速度改善を含む技術的な内部対策はもちろん、検索順位向上に必要な施策を総合的にサポートしており、多くの企業で検索流入数やコンバージョン数の大幅な改善を実現しています。専門的なSEO対策を検討される際は、こうした実績豊富な専門企業への相談も選択肢の一つとして検討されることをおすすめします。
「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。