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内々定とは?内定との違いや取り消し時の注意点などを解説

公開日:2025.06.11  更新日:2025.06.12

日本の就職活動において、「内々定(ないないてい)」という言葉を耳にする機会は多いでしょう。特に新卒採用の場面でよく使われるこの言葉は、正式な内定(ないてい)とは異なる意味合いを持ちます。内々定は、学生にとっては早期に就職先が決まる安心感につながる一方、企業にとっては優秀な人材を確保するための戦略的な一手となります。しかし、その法的な位置づけや取り消しの可能性など、内定との違いを正確に理解しておくことは、企業・学生双方にとって非常に重要です。この記事では、内々定の定義から、企業が内々定を出す理由、内定との具体的な違い、そして内々定に関する手続きや注意点、取り消し事例までを詳しく解説していきます。

<この記事で紹介する3つのポイント>

  • 内々定とは?内定との違いは?
  • 内々定後の必要な手続きや注意点
  • 内々定取り消しの際の企業のリスクや注意点

内々定とはどのようなものか

内々定とは、企業が学生に対して「将来的に内定を出すことを約束する」という口頭または書面での非公式な意思表示を指しますこれは主に、経団連などが定める倫理憲章や政府の要請による正式な内定解禁日(例:大学4年生等の10月1日)よりも前に、企業が優秀な学生を早期に確保したいという意図から行われる慣行です。内々定の段階では、通常、正式な労働契約は成立していないと解釈されます。あくまで「内定を出す予定である」という約束にとどまり、法的な拘束力は内定に比べて弱いとされています。企業によっては「内々定通知書」といった書面を出すこともありますが、その効力は内定通知書とは異なります。学生にとっては、就職活動を早期に終えられる可能性がある一方で、その不安定な側面も理解しておく必要があります。

企業が内々定を出す理由

企業が正式な内定解禁日よりも前に内々定を出す主な理由は、優秀な人材の早期確保にあります。特に競争の激しい業界や職種においては、他社に先駆けて有望な学生にアプローチし、自社への入社意欲を高めてもらうことが重要になります。内々定を出すことで、学生に対して安心感を与え、他社の選考を辞退してもらう、あるいは自社を第一志望として考え続けてもらう効果を期待しています。また、採用活動のスケジュールを早期に進めることで、入社までの期間を利用して内定者フォロー(研修や懇親会など)を充実させ、入社後のミスマッチを防ぐ狙いもあります。政府や経団連の定めるルールを遵守しつつも、実質的な採用活動を前倒しで行いたいという企業の意向が、内々定という慣行を生んでいる背景といえるでしょう。

内々定と内定の違いについて詳しく解説

内々定と内定は、どちらも企業から採用の意思を示される点では似ていますが、その法的な位置づけや効力において明確な違いがあります。内々定はあくまで非公式な約束であるのに対し、内定は法的な意味合いを持つ労働契約の成立と解釈されることが多いです。この違いは、労働契約の成否、取り消しの可否やその手続き、そして学生側が辞退する際の注意点など、具体的な側面に影響を及ぼします。企業の人事担当者も、就職活動を行う学生も、これらの違いを正確に理解しておくことが、後のトラブルを避ける上で非常に重要となります。以下で、それぞれの側面から内々定と内定の違いを詳しく見ていきましょう。

労働契約の違い|内々定と内定

内々定と内定の最も大きな違いは、労働契約が成立しているかどうかという点にあります。内々定の段階では、一般的に労働契約は成立していないと考えられています。これはあくまで「内定を出す」という口約束や書面での約束に過ぎず、法的な拘束力は限定的です。

これに対して、内定(特に「採用内定通知書」などが交付された場合)は、「始期付解約権留保付労働契約」と呼ばれる一種の労働契約が成立した状態であると法的に解釈されるのが一般的です。これは、「入社日(始期)が到来したら労働契約の効力が発生する」かつ「内定通知書に記載された内定取消事由に該当した場合には、企業側が契約を解約できる権利(解約権)を留保している」という特殊な契約形態を意味します。この契約の成否の違いが、取り消しや辞退の扱いに大きく影響します。

取り消しの可否と手続き

労働契約の成否の違いは、企業による取り消しの可否とそのハードルに直結します。内々定は労働契約が成立していないため、内定に比べると企業側が取り消しを行うハードルは低いとされています。ただし、企業側の都合による一方的な取り消しは、学生の期待を裏切り、企業の評判を大きく損ねるリスクがあります。また、状況によっては損害賠償請求に発展する可能性もゼロではありません。

一方、内定はすでに労働契約が成立しているため、その取り消し(解雇に相当)は法的に厳しく制限されます。内定を取り消すには、客観的に合理的で、社会通念上相当と認められる理由(例:学生が卒業できなかった、重大な経歴詐称が発覚した、犯罪行為を行ったなど)が必要です。単なる業績悪化といった理由だけでは、原則として内定取り消しは認められません。取り消しの手続きも、内定の場合はより慎重さが求められます。

辞退の際の注意点

学生側から採用の意思表示を撤回する「辞退」についても、内々定と内定では少し状況が異なります。内々定の辞退は、法的な拘束力が弱いため、比較的自由に行うことができます。ただし、企業は学生のために採用枠を確保しているため、辞退を決めた場合は、できる限り速やかに、かつ誠意をもって企業に連絡するのがマナーです。電話で直接伝えた上で、メールや手紙を送るとより丁寧でしょう。

一方、内定の辞退も、学生の職業選択の自由の観点から、法的には可能です。しかし、内定は労働契約が成立している状態であるため、企業側の期待も大きくなっています。辞退する場合は、内々定の場合以上に、迅速かつ丁寧な連絡を心がけるべきです。特に、入社直前の辞退は企業に大きな迷惑をかけることになるため、避けるべきです。誠実な対応が、社会人としての第一歩となります。

内々定後の手続きと注意事項

企業から内々定の連絡を受けた後、学生は一般的にはいくつか手続きが必要になります。多くの場合、「内定承諾書」や「誓約書」といった書類の提出を求められますが、これらは内々定の段階では法的な拘束力を持たないことが多いです。しかし、企業への入社意思を示す重要な書類であるため、内容をよく確認し、誠実に対応しましょう。また、企業によっては、内定者懇親会や研修、eラーニングなどのプログラムへの参加を案内されることもあります。これらはほかの内定者や社員と交流し、企業理解を深めるよい機会となります。注意点としては、内々定はあくまで正式な内定ではないことを念頭に置き、油断しないことです。企業との連絡はこまめに取り、ほかの選考状況なども含めて正直に伝える姿勢が求められます。学業をおろそかにせず、卒業要件を満たすことも当然ながら重要です。

内々定取り消しの事例と対応方法

内々定は内定に比べて取り消しのハードルが低いとはいえ、企業が自由に取り消せるわけではありません。内々定が取り消されるケースには、主に企業側の経営状況の変化や、内々定者自身の問題行動などが理由として挙げられます。企業側の都合で取り消しを行う場合、学生への影響は甚大であり、企業の社会的信用にも関わるため、極めて慎重な判断が必要です。一方、内々定者側に起因する理由での取り消しもあり得ます。どのような理由で取り消しが行われる可能性があるのか、具体的な事例を知っておくことは、企業・学生双方にとって重要です。以下では、内々定が取り消される主な理由について見ていきます。

企業が内々定を取り消す理由

企業がやむを得ず内々定を取り消す主な理由としては、まず経営状況の著しい悪化が挙げられます。例えば、予期せぬ経済危機や大規模な自然災害などにより、採用計画そのものを見直さざるを得なくなった場合などです。ただし、単なる景気後退程度では正当な理由とは認められにくい傾向があります。

また、事業の大幅な縮小や、採用予定だった部署の廃止なども理由となり得ますが、これも企業の経営判断としてやむを得ないと客観的に認められる必要があります。これらの企業側の経営上の理由による取り消しは、学生には責任がないため、企業は誠意ある説明と対応を尽くす責任があります。状況によっては、代替のポジションを提案したり、就職活動の支援を行ったりすることも検討されるべきでしょう。

採用予定部署の変更や消滅

内々定取り消しの理由として、採用を予定していた部署やプロジェクト自体が、経営判断によって変更されたり、消滅したりするケースがあります。例えば、新規事業のために採用を進めていたものの、市場環境の急変により事業計画自体が白紙撤回される場合や、組織再編によって予定していたポストがなくなってしまう場合などです。これも企業側の経営上の判断に起因する理由ですが、学生にとっては予期せぬ事態であり、大きな影響を受けます。企業としては、このような事態が発生した場合、まずは配置転換などほかの部署での受け入れが可能かどうかを最大限検討する必要があります。それが難しい場合でも、学生に対して状況を丁寧に説明し、謝罪するとともに、可能な限りの支援(ほかの求人の紹介、就職活動期間の配慮など)を行うことが、紛争を避け、企業の信頼を守る上で重要となります。

内々定者の問題行動や経歴詐称による取り消し

企業側の理由だけでなく、内々定者自身に起因する問題によって内々定が取り消されることもあります。代表的な例としては、大学等を卒業できなかった場合が挙げられます。新卒採用は卒業を前提としているため、これは正当な取り消し理由と見なされます。また、内々定期間中に犯罪行為を犯した場合や、採用選考時に提出した履歴書やエントリーシートの内容に重大な虚偽(経歴詐称)が発覚した場合も、企業と学生間の信頼関係を破壊するものとして、取り消しの正当な理由となり得ます。さらに、SNSでの不適切な発言など、企業の社会的信用を著しく傷つけるような問題行動があった場合も、取り消しの対象となる可能性があります。健康状態に関する問題も、業務遂行に重大な支障があると客観的に認められる場合には理由となることがありますが、慎重な判断が求められます。

内々定取り消しの際の企業の注意点

企業がやむを得ず内々定を取り消す場合、その対応には細心の注意が必要です。内々定は法的な拘束力が弱いとはいえ、学生の期待権を侵害し、企業の評判を大きく損なうリスクがあるためです。特に、学生側に起因しない経営上の理由で取り消す場合は、その判断が客観的に見て合理的であり、社会通念上やむを得ないものであるかを厳しく問われます。取り消しを決定する前に、配置転換やほかの手段で雇用を維持できないか、最大限の努力を尽くすべきです。また、取り消しを伝える際には、誠意を持って理由を説明し、謝罪する姿勢が不可欠です。一方的な通知ではなく、丁寧なコミュニケーションを心がけることが、紛争の防止につながります。

内々定取り消しのリスクと対処法

内々定の取り消しは、企業にとってさまざまなリスクを伴います。最も大きなリスクは企業の社会的信用の失墜です。特に近年はSNSなどで情報が瞬時に拡散されるため、不誠実な対応はブランドイメージに深刻なダメージを与え、将来の採用活動にも悪影響を及ぼしかねません。

また、法的な拘束力は弱いとはいえ、学生から損害賠償請求訴訟などを起こされるリスクも皆無ではありません。これらのリスクに対処するためには、まず取り消しを回避するための最大限の努力を行うことが基本です。やむを得ず取り消す場合でも、その理由の正当性を客観的な証拠に基づいて説明できるように準備し、学生に対して誠実かつ丁寧なコミュニケーションを尽くすことが重要です。必要に応じて、解決金の支払いや再就職支援などの具体的な対応策を検討することも、紛争の円満な解決とリスクの低減につながります。

まとめ

内々定は、日本の新卒採用慣行における独特なステップであり、正式な内定(労働契約の成立)に先立つ非公式な採用約束です。企業にとっては優秀な人材を早期に確保する手段である一方、学生にとっては早期に安心感を得られるメリットがあります。しかし、内定と比べて法的な拘束力は弱く、取り消しのハードルも低いという側面も持ち合わせています。特に、労働契約の成否、取り消し理由の正当性、辞退の手続きにおいて、内定とは明確な違いがあることを理解しておく必要があります。企業が内々定を取り消す際には、経営上のやむを得ない理由や学生側の問題行動などが考えられますが、いずれの場合も慎重な判断と誠実な対応が求められます。内々定を取り巻くルールと慣行を正しく理解し、企業・学生双方が責任ある行動をとることが、円滑な採用活動の鍵となります。

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