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医療法人の買収はできる?M&Aの方法・相場やメリットを解説

公開日:2026.02.09  更新日:2026.02.09

医療法人の買収を検討する際、「そもそも医療法人は買収できるのか」「株式会社とどう違うのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。医療法人は株式が存在せず、出資持分譲渡や事業譲渡、合併など独自の方法でM&Aが行われます。本記事では、医療法人買収の具体的な方法から価格相場、メリット、法規制、手続きの流れまで詳しく解説します。医療法人買収の実現可能性を判断するための参考にしてください。

<この記事で紹介する4つのポイント>

  • 医療法人は株式が存在しないため、出資持分譲渡、事業譲渡、合併、役員交代などの独自の方法でM&Aを行う。
  • 買収価格は純資産法、収益還元法、類似取引比較法の3つのアプローチを組み合わせて算定される。
  • 新規開設と比べて時間とコストを削減でき、患者や職員などの経営基盤を一括で承継できるメリットがある。
  • 医療法により非営利性が求められ、株式会社による直接経営や剰余金配当が禁止されているため、法規制の理解が不可欠

医療法人の買収とは?株式会社との違い

医療法人の買収とは、既存の医療法人が持つ医療機関や経営資源を引き継ぐ取引を指します医療法人は株式会社と異なり株式が存在せず、出資持分や基金という独自の仕組みで運営されているため、買収の方法も大きく異なります。株式会社では株式を取得することで経営権を獲得できますが、医療法人では出資持分の譲渡や事業譲渡、合併といった手法を用いる必要があります。

また医療法により非営利性が求められ、剰余金の配当が禁止されているため、投資目的での参入には制約があります。さらに医療法人には「持分あり医療法人」と「持分なし医療法人」という2つの類型があり、それぞれで買収の手続きや方法が異なる点も特徴です

医療法人のM&Aの主要な方法

医療法人のM&Aには、医療法人の類型や目的に応じて複数の手法が存在します。持分あり医療法人では出資持分の譲渡、持分なし医療法人では役員交代と基金拠出が主な方法となり、このほか事業譲渡や合併といった選択肢もあります。

それぞれの手法には特徴やメリット・デメリットがあるため、買収側の目的や対象となる医療法人の状況を踏まえて最適な方法を選択する必要があります。以下では医療法人M&Aの代表的な4つの手法について詳しく解説します。

出資持分譲渡(持分あり医療法人)

持分あり医療法人において、出資者が保有する出資持分を譲渡することで経営権を移転させる方法です。株式会社における株式譲渡に近い仕組みであり、出資持分の過半数を取得することで医療法人の経営権を掌握できます。譲渡手続きは比較的シンプルで、定款に定められた手続きに従い、社員総会での承認を得て持分を移転させます。

ただし持分あり医療法人は平成19年以降新設が認められておらず、既存の医療法人のみが対象となる点に注意が必要です。また出資持分には相続税や贈与税の課税対象となるリスクがあり、譲渡価格の算定には純資産価額や収益還元法などを用いた慎重な評価が求められます。

事業譲渡(クリニック・病院単位の売買)

医療法人が運営する特定の医療機関や事業を個別に譲渡する手法です。医療法人の法人格自体は移転せず、病院やクリニックの資産、患者、スタッフ、医療設備などを選択的に引き継げる点が特徴となります。買収側は必要な事業のみを取得できるため、不要な負債や簿外債務を引き継ぐリスクを回避できるメリットがあります。

一方で不動産や医療機器の名義変更、スタッフとの雇用契約の再締結、患者への説明といった個別の手続きが必要となり、事務的な負担が大きくなる傾向があります。また診療報酬の施設基準や許認可も引き継げないため、買収後に改めて申請が必要になる場合もあるでしょう。

合併(医療法人同士の統合)

複数の医療法人が統合し、一つの医療法人として再編する手法です。吸収合併と新設合併の2種類があり、吸収合併では一方の医療法人が存続し他方が消滅する一方、新設合併では両法人が消滅して新たな医療法人が誕生します合併により複数の医療機関を一体的に運営できるようになり、経営効率の向上や医療サービスの充実が期待できます。

ただし合併には都道府県知事の認可が必要であり、社員総会での特別決議、債権者保護手続き、財産目録の作成など複雑な法的手続きを経なければなりません。また組織文化の統合やスタッフ間の調整にも時間がかかるため、計画的な準備と丁寧なコミュニケーションが不可欠です。

役員交代と基金拠出(持分なし医療法人)

持分なし医療法人では出資持分が存在しないため、理事長をはじめとする役員を交代させることで実質的な経営権を移転させる方法が用いられます。定款変更や社員総会での決議を経て新しい理事を選任し、経営体制を刷新します。また基金制度を活用し、買収側が医療法人に対して基金を拠出することで、運営資金を提供しつつ経営への関与を強める手法もあります。

基金は医療法人の負債として扱われ、将来的に返還される性質を持つため、出資とは異なる点に注意が必要です。持分なし医療法人の買収では対価の支払先が明確でないケースもあり、前理事長への退職金や個人への譲渡金といった形で実質的な対価を支払う場合もあります。

買収価格の算定方法と相場

医療法人の買収価格は、医療法人の規模や収益性、保有資産などによって大きく変動します。算定方法には純資産法、収益還元法やDCF法、類似取引比較法の3つのアプローチがあり、それぞれ異なる視点から企業価値を評価します。実際の買収価格は、これら複数の手法を組み合わせて総合的に判断されるのが一般的です。主な算定方法は以下の通りです。

  • 純資産法(コストアプローチ):貸借対照表をもとに純資産額を算出する方法で、医療法人の実態を反映しやすい特徴があります。
  • 収益還元法やDCF法(インカムアプローチ):将来の収益力を現在価値に割り引いて評価する手法で、成長性の高い医療法人に適しています。
  • 類似取引比較法(マーケットアプローチ):同規模・同業種の取引事例と比較して価格を決定する方法です。

医療法人買収のメリット

医療法人の買収には、新規に医療機関を開設する場合と比較してさまざまな利点があります。時間とコストの削減、経営基盤の一括承継、事業拡大の効率化といった点で大きなメリットが得られるため、医療機関の拡大や新規参入を検討する際の有力な選択肢となっています。買収を通じて既存の医療法人が持つ資産や信頼を活用できることで、スムーズな事業展開が可能になります

以下では医療法人買収の代表的な3つのメリットについて詳しく解説します。

新規開設の時間とコストを大幅に削減

医療機関を新規に開設する場合、土地の取得や建物の建設、医療機器の購入といった初期投資に多額の資金が必要になります。医療法人を買収すれば、既存の建物や設備をそのまま活用できるため、初期投資を大幅に抑えられる点が大きな魅力です。

また新規開設では都道府県への許認可申請や施設基準の取得に時間がかかりますが、買収では既に取得済みの許認可を引き継げるケースもあり、開業までの期間を短縮できます。さらに医療機関の設立には医師や看護師の確保、診療体制の構築といった準備が必要ですが、買収ならこれらの経営基盤がすでに整っているため、スムーズに診療を開始できるでしょう。

患者・職員・医療設備などの経営基盤を一括で承継

買収により、既存の患者基盤やスタッフ、医療設備といった経営資源を一括で引き継げることは、安定した経営を実現する上で非常に重要です。新規開設では患者を集めるまでに時間がかかり、開業当初は赤字が続くケースも珍しくありません。しかし買収では既に通院している患者がいるため、開業直後から一定の診療収入が見込めます。

また経験豊富なスタッフが在籍していれば、医療機関の運営ノウハウや地域の特性を熟知しているため、業務を円滑に進められます。医療設備についても、すでに稼働している機器を利用できるため、追加投資を最小限に抑えられる利点があります。

診療エリアの拡大と提供医療の多角化

医療法人の買収は、既存の医療機関が新たなエリアへ進出したり、提供する医療サービスを拡充したりする際に効果的な手段となります。例えば都市部で診療所を運営している医療法人が、地方の病院を買収することで診療エリアを広げ、より多くの患者にサービスを提供できるようになります。また異なる診療科目を持つ医療法人を買収することで、総合的な医療サービスを提供する体制を構築できるでしょう。

こうした事業拡大により、医療機関としてのブランド力が向上し、地域医療における存在感を高めることが可能です。買収を活用した戦略的な事業展開は、医療法人の成長を加速させる重要な選択肢といえます。

M&Aの具体的な手続きと流れ

医療法人のM&Aは、検討段階から最終的な統合完了まで複数のステップを経て進められます。専門家への相談から始まり、相手先の選定、基本合意、デューデリジェンス、最終契約、そしてクロージングという6つの主要な段階を踏むのが一般的です。

各段階で必要な手続きや確認事項を丁寧に進めることで、リスクを最小限に抑えた円滑なM&Aが実現できます。医療法人特有の法規制や許認可手続きもあるため、計画的に進めることが重要です。

主な流れは以下の通りです。

  1. M&Aの検討・専門家への相談:買収の目的や条件を整理し、M&A仲介会社や弁護士、税理士などの専門家に相談します。
  2. 相手先の選定・交渉:候補となる医療法人を選定し、初期的な条件交渉を行います。
  3. 基本合意契約の締結:譲渡価格や条件について合意し、基本合意書を締結します。
  4. デューデリジェンス(買収監査):財務状況や法的問題の有無を詳細に調査します。
  5. 最終契約の締結:調査結果を踏まえて最終的な契約書を作成し、締結します。
  6. クロージング・許認可申請:対価の支払いや名義変更、都道府県への許認可申請を行い、M&Aを完了させます。

医療法人買収の法規制と注意点

医療法人の買収には、医療法をはじめとするさまざまな法規制が関わってきます。株式会社による医療法人経営の制限、非営利性の原則、都道府県への許認可申請など、一般企業のM&Aとは異なる独自のルールが存在するため、事前に十分な理解が必要ですこれらの法規制を遵守しないと、買収自体が無効になったり、事業継続が困難になったりするリスクがあります。

医療法人買収を検討する際には、法律の専門家と連携しながら慎重に進めることが不可欠です。以下では医療法人買収における重要な法規制と注意点を解説します。

株式会社による医療法人経営の可否

医療法では、医療法人の経営主体は医師や歯科医師などの医療従事者に限定されており、株式会社が直接医療法人を経営することは原則として認められていません。これは医療の公共性を守り、営利目的の医療提供を防ぐための規制です。ただし株式会社が医療法人に対して資金提供やコンサルティングを行うことは可能であり、間接的に経営に関与する形態は一定の範囲で認められています。

また特定の構造改革特区では株式会社による医療機関の設立が例外的に認められているケースもありますが、対象は限定的です。医療法人の買収を検討する際は、自身が医療従事者であるか、または医療従事者と連携した体制を構築できるかを確認する必要があります

医療法における非営利性と剰余金配当の禁止

医療法人は医療法により非営利性が求められ、利益を出資者や関係者に配当することが禁止されています。これは医療が社会的な公共サービスであり、営利追求の対象とすべきでないという考え方に基づく規制です。医療法人が得た利益は、医療サービスの向上や施設の整備、従業員の処遇改善などに再投資しなければなりません。

この制約により、投資目的で医療法人を買収し、配当を得ることは法律上不可能となっています。ただし理事長や理事への報酬、退職金の支払いは認められているため、適正な範囲での対価の受け取りは可能です。買収を検討する際は、投資回収の方法が医療法に適合しているかを慎重に検討する必要があります。

都道府県への許認可申請と手続き

医療法人の設立や定款変更、合併などには、都道府県知事の認可が必要となります買収に伴い医療法人の理事や社員が変更される場合、定款変更の認可申請を行わなければなりません。また事業譲渡や合併の場合も、それぞれ所定の手続きを経て都道府県の認可を得る必要があります。認可申請には社員総会の議事録や財産目録、事業計画書などの提出が求められ、審査には数か月を要することもあります。

さらに医療機関の開設者が変わる場合は、保健所への開設届や厚生局への保険医療機関の指定申請も必要です。買収のスケジュールを立てる際は、これらの許認可手続きにかかる期間を十分に見込んでおくことが重要といえます。

まとめ

医療法人の買収は、株式会社とは異なる独自の仕組みで行われます。持分あり医療法人では出資持分の譲渡、持分なし医療法人では役員交代と基金拠出が主な方法となり、このほか事業譲渡や合併といった選択肢も存在します買収価格は純資産法、収益還元法、類似取引比較法などを組み合わせて算定され、新規開設と比較して時間とコストの削減、経営基盤の一括承継、診療エリアの拡大といったメリットが得られます。ただし医療法による非営利性の原則や剰余金配当の禁止、都道府県への許認可申請など、一般企業とは異なる法規制が存在するため注意が必要です。M&Aは専門家への相談から始まり、相手先選定、基本合意、デューデリジェンス、最終契約、クロージングという段階を経て進められます。法規制を遵守しながら慎重に手続きを進めることが、成功への鍵となるでしょう。

医療法人の買収やM&Aでお悩みの方は、豊富な実績とネットワークを持つDYMへぜひご相談ください。

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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。

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