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タイの医療保険事情について詳しく解説します。日本とタイの医療保険制度の違いや、タイで利用できる様々な保険制度、そして日本人向けの民間医療保険についても紹介します。タイへの旅行や赴任を考えている方、すでにタイに滞在している方にとって、有益な情報となるでしょう。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
タイの医療保険制度は、以下の3つの公的医療保険制度が並立しており、全国民をカバーする統一的な制度がありません。
いずれも所得や職業によって利用できる制度、給付内容に違いがあります。国民皆保険制度が一般的である日本人にとって複雑に思われるかもしれません。しかし、タイの医療制度は1945年に開始され段階的に整備されてはきましたが、当初は公務員や一部の労働者のみが医療保険の対象でした。2002年に国民医療保障制度(UC)の導入をきっかけに、ほぼ全てのタイ国民が公的医療保険を利用できるようになりました。そのため、タイ国内の医療アクセスが大きく改善し、国民の健康増進に寄与しています。
タイの医療費は、日本と比較すると全般的に安価ですが、医療機関によって医療費に差があることが大きな特徴です。公立病院は比較的安価ですが、患者数が非常に多いためすぐに診てもらえない場合や医療サービス・設備の質に課題があります。一方、私立病院は高度な医療サービスや設備が充実しています。中にはJCI(国際病院評価機構)認証を有する病院もあり、海外からメディカルツーリズム目的で入院する外国人が訪れるほど質が高いことが特徴です。しかし、自由診療方式を採用しているため、医療費が非常に高い点がネックとなります。
例えば、バンコクの公立病院と私立病院の外来診療費を比較すると、以下の通りです。
さらに、入院時の費用(個室利用・医師費用を除く)を比較した場合、以下のようになります。
また、タイでは医療費が前払いになるケースもあります。特に入院の場合は、事前に治療費の一部を支払うなどの対応が必要です。緊急時に備えて、民間の医療保険への加入や現金の準備、クレジットカードの利用限度額を確認することをおすすめします。そして、人件費や医療機器の調達コストが日本よりも安いことから、医療費が非常に安価です。しかし、近年はタイの経済発展に伴い、特に都市部の私立病院では医療費が上昇傾向にあるため、適切な医療保険に加入する重要性が高まっています。
タイでは主に3つの公的医療保険制度と民間企業が提供する医療保険があります。さまざまな特徴や制度ごとの違いがあるため、確認するとよいでしょう。タイの医療保険制度は、以下の通りです。
それぞれをくわしく説明します。
国民医療保障制度(Universal Coverage Scheme: UC)は、他の公的医療保険に加入していないタイ国民を対象とした医療制度です。通称「30バーツ医療制度」として知られ、国民の約75%が加入し、公務員や社会保険に該当しない一般国民・農家・自営業者などが主な対象となっています。
UCの最大の特徴は、登録した医療機関での診療が低コストで受けられることです。そのため、多くのタイ国民の医療アクセスが改善されました。しかし、高度な医療や特定の治療は対象外であり、医療機関や薬の選択肢が限られるという課題もあります。
社会保障制度(Social Security Scheme: SSS)は、民間企業の従業員を対象とした医療制度です。従業員、雇用主、政府が保険料を負担し、医療以外に失業保険や年金なども含む包括的な社会保障制度となっており、以下のような3つのメリットがあります。
一方で、登録医療機関以外での受診は全額自己負担となり、高額な治療には上限があるという制限もあるため注意が必要です。また、SSSは合法的に就労するワークパーミット(労働許可証)保持者であれば外国人も加入可能です。ただし、加入手続きや制度の理解に言語の壁があり、雇用主や同僚のサポートを受けることが必要となるでしょう。
公務員医療給付制度(Civil Servant Medical Benefit Scheme: CSMBS)は、公務員の福利厚生の一環として、政府機関や公営企業に勤務する公務員、職員または家族を対象とした医療制度です。タイの公的医療保険の中で最も手厚い給付内容を誇ります。
CSMBSのメリットは、ほぼ全ての医療費がカバーされ、医療機関の選択が自由にできる点です。しかし、政府機関や公営企業に勤務する公務員、職員以外は加入できないことや政府の財政負担が大きいという課題もあります。
タイでは公的医療保険を補完する形で民間企業の医療保険も普及しており、特にタイに滞在する外国人にとっては選択肢の一つとなっています。民間企業の医療保険のメリットは以下の通りです。
このようなメリットがある一方、保険料が高額になる場合や既往症は保障対象外という課題もあります。さらに、契約時の健康状態によっては加入できないため、場合によってはハードルが高い医療保険と言えるでしょう。
タイに滞在する日本人が利用できる民間医療保険は主に4つあります。日本人向けの民間医療保険は、以下の通りです。
くわしく説明します。
海外旅行保険は、短期滞在者向けの医療保険です。旅行期間に合わせて加入可能で、基本的には旅行中に発生した怪我や病気に対する補償を行います。その他にも以下のような補償から選んで契約することも可能です。
しかし、長期滞在には不向きで、慢性疾患の治療は対象外であることが多いという点に注意が必要です。
また、海外旅行保険は、日本の保険会社で加入するのが一般的です。保険期間は通常1年以内ですが、一部の保険会社では最長2年まで加入できる商品もあります。保険料は年齢や補償内容によって異なりますが、1か月あたり5,000円〜10,000円程度が目安となります。
海外赴任者向け保険は、企業からの海外赴任者向けの保険です。基本的に海外旅行保険をベースにしており、怪我や病気への補償だけではなく、海外赴任者向けに家族の保障や住居・家財の生活用動産の補償を受けられます。しかし、保険会社によって、保険期間の延長・家族の補償範囲・緊急時のサポート体制に違いがあるため、必ず確認しましょう。
また、海外赴任者向け保険は、日本の大手損害保険会社が提供していることが多く、企業を通じて加入するのが一般的です。保険料は会社負担となることが多く、補償内容によっては高額になる可能性もあるため、保険料の割引や法人向けサービスの有無を確認する事も重要です。
タイの民間医療保険は、タイの医療事情に適した幅広い補償内容を設定しており、キャッシュレスで治療を受けられることや退院後に必要となる福祉用具を補償できる点が大きなメリットです。しかし、契約時の健康状態によっては加入できない場合や日本語対応が限られるという課題があるため、補償内容をしっかり確認しましょう。
また、タイの民間医療保険の保険料は、年齢や補償内容によって違いがあります。例えば30代の場合、年間15,000バーツ(約60,000円)〜30,000バーツ(約120,000円)程度が目安です。さらに、高齢になるほど保険料は高くなるため、保険料と補償内容のバランスを取りながら選びましょう。
国際医療保険は、世界中で利用できる医療保険です。高額な治療や先進医療もカバーされ、世界中の医療機関で利用可能というメリットがあります。しかし、保険料が非常に高額で、加入時の審査が厳しいという課題もあります。
また、国際医療保険の保険料は、年齢や補償内容、免責金額などによって違いがあります。基本的なプランであれば年間80,000円程度ですが、滞在する国によって1,500,000円以上となるケースもあります。さらに、高齢になるほど保険料が高くなるため、ハードルが高い医療保険と言えるでしょう。
ただしタイは比較的医療費が手ごろです。国際医療保険の保険料もそれほど高額にならない可能性も考えられます。
タイの医療保険制度は日本とは大きく異なり、3つの公的制度が並立しています。外国人が利用できる公的医療保険は限られているため、民間の医療保険に加入することがおすすめです。
タイに滞在する日本人は、滞在期間や目的に応じて適切な保険を選択する必要があります。短期滞在なら海外旅行保険、長期滞在なら海外赴任者向け保険や国際医療保険が適しており、タイの民間医療保険も選択肢の一つです。
いずれも、事前に十分な情報収集を行い、自身のニーズに合った保険を選ぶことが大切です。また近年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、医療保険の重要性がさらに高まっていることもあり、最新の情報を確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けつつ、適切な医療保険に加入することで、タイでの生活をより安心して楽しむことができるでしょう。
DYMでは医療事業としてタイ(バンコク)にてクリニックを開業しています。日本語での対応や各種保険でのキャッシュレス決済を取り入れ、通常診療から健康診断まで対応可能です。
クリニックの詳細や予約方法は以下のリンクからご案内しており、タイへのご旅行前にはぜひご確認ください。
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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。
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