事業承継とは?経営者が知っておくべき承継の種類や実施の流れ・コツを解説 | 株式会社DYM

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事業承継とは?経営者が知っておくべき承継の種類や実施の流れ・コツを解説

公開日:2024.05.30  更新日:2024.06.14

事業承継とは、会社の経営権を人材・ノウハウ・資産などを含めて後継者に引き継ぐことです。この記事では、事業承継の定義や、引き継ぎを行う具体的な経営資源、実施する方法を紹介します。

<この記事で紹介する3つのポイント>

  • 事業承継で引き継ぐ経営資源は①事業の承継②資産の承継③知的財産(無形財産)の承継である
  • 事業承継のタイプは親族内承継、親族外の従業員への承継、第三者承継(M&A)がある
  • 事業承継を成功させるには、早めの準備と資金大切が重要である

事業承継とは

事業承継は「株式の承継」と「経営者の交代」というイメージが強いですが、実際にはそれだけではありません。事業そのものを「承継」することを指します。事業承継後に、後継の経営者が持続的に企業価値を高め、事業成長を図るためには、株式をはじめ、あらゆる経営資源を承継する必要があります。後継者に承継すべき経営資源として、大別して「人(経営)」、「資産」、「知的資産」の3つの承継要素があります。

事業承継の現状

現在では、事業承継に関する親子の意識に乖離があることなどを理由に、外部から経営者を招聘するケースが増加しています。実質ナンバー2の従業員に経営のみを委譲するスタイルも増えていますが、抜本的には後継者不足問題を解決していないこともあります。

親族内で経営者を引き継ぐ、親族内承継は大きく減少しています。背景には、子どもに負担をかけたくない、自由な道を歩んでもらいたいなどの、「継がす不幸」を意識する経営者の増加があります。反対に、いつかは子どもが引き継いでくれると経営者は思い込んでいても、子どもの方はまったく希望していないといった意識の乖離が見られることもあります。

子どもが経営者の会社に就職している場合であっても、自分が経営者に向いていない現実に向き合うことで、経営者の道を断念することもあるようです。また、承継時までに子どもが経営者として育つ見込みがなく、親族内で承継するのが難しいと判断される事例も見受けられます。そのため事業を存続するためには、親族内承継とは別の手段の必要性が高くなります。

親族内承継とは別の手段として近年増えているのが、親族外承継です。経営者と子どもの意識の乖離や、引き継がせること自体へのためらいなどの事情から、廃業を回避するために親族外承継に踏み切る中小企業が増加しています。親族外承継とは、親族外から、社内で次の担い手となる経営者を指名し、事業承継をする方法のことです。

長年にわたり社長の右腕として実績を重ねてきた方など、事業内容や経営状況を熟知している従業員が経営者になります。まったくの外部から社長を迎えるわけではないので、社員の反発が少ないというメリットがあります。一方、株式会社の場合、株式の譲渡と経営権委譲は表裏一体の関係にあります。後を継ぐ従業員は株式の過半数を買い取らなければならなくなりますが、それほどまとまった現金を用意するのは現実的に難しい、という課題があります。

資金的な面で、親族外承継が困難な場合に検討されるのが、第三者への事業承継です。身内で承継者が見当たらない、従業員の中にも有能で会社経営に前向きな従業員も見当たらない場合、事業承継のためにM&Aを選択することができます。M&Aは自社の事業に関心のある企業を探し出し、その企業に会社資産を全て買い取ってもらうことです。

M&Aにはいくつもの方法がありますが、メジャーなのは株式を譲渡することです。シンプルな方法に思えますが、円滑に進めるには専門家の関与が不可欠です。契約関係には弁護士、財務調査のための公認会計士、スムーズに進捗させるためにはM&A専門仲介業者の存在が不可欠となります。相手企業の選定も重要で、表面上の提示額だけで判断するのではなく、信頼に足りる相手なのか、既存従業員とのカルチャーマッチなど、慎重に見極めることが重要です。

事業承継で引き継ぐ経営資源

1.     事業の承継

事業承継における「事業の承継」とは「経営権」の承継を指します。特に中堅・中小企業においては経営者個人に経営や事業ノウハウ、そして、取引先を中心とした顧客情報が一元化されていることがケースとして多いため、事業の業績や経営の安定性が経営者の資質に大きく依存し、結果、左右されることになります。

「親族内承継」や「従業員承継」においては、経営者の育成と顧客との関係構築に相応の時間を要します。そのため、後継者候補の選定はできるだけ早く取り組むことが望ましいといえます。外部環境の変化は激しく、そのような環境でも企業価値を持続的に向上させる手腕が求められるため、親族内で後継者を見つけることが難しくなってきているのが現状です。それゆえ、親族外の外部経営者への事業承継の可能性も選択肢に入れて、検討する会社が増えています。

2.     資産の承継

資産の承継とは、事業を行うために必要な資産を後継者に承継することを指します。主に、現経営者個人が所有する株式や事業用資産(工場や建物をはじめとした設備・不動産)、資金(運転資金・借入金)があります。経営権を移転するにあたり、株式の移転においては、移管タイミング・対策次第で、相続税や贈与税などの税負担が大きく変わることがあるため、税負担に配慮した承継方法を検討する必要があります。詳細については、後段の「事業承継税」のパートにて、詳述します。特に、事業承継における税負担と対策は専門的かつ高度な知識が必要とされるため、お知り合いの税理士や信頼できるM&A専門のエージェントにご相談されることをおすすめします。

3.     知的資産の承継

知的資産の承継とは、無形の資産、つまりその会社の競争力の源泉となる強みやノウハウを承継することを指します。例えば人材、技術、製品、知的財産(特許・ブランド)をはじめ、顧客基盤や経営理念、社員の行動規範なども知的資産に該当します。これらを承継するためには、まず、現経営者が自社の強み・企業価値の源泉がどこにあるのかを理解し、言語化と文書化を通じて、後継者に引き継ぐことが大切です。

事業承継のタイプとそれぞれのメリット・デメリット

●親族内承継

親族を後継者とする事業承継は、中小企業においては特に、一般的な方法です。経営者の子どもを後継者にすることが多く、子どもは将来後を継ぐことを想定したうえで経営者の元で働き、早い段階で、将来の社長を意識して働くことになります。親族内承継の一番のメリットは、周囲からの賛同を得やすいことです。オーナー企業の事業承継であればなおさらですが、経営者にご子息がいる場合は、周囲もご子息が後継者の既定路線になっていると見ています。また、大口の取引先や金融機関との接点も、次期後継者として早い段階で持つことができるでしょう。将来の経営の安定性において、こちらもメリットと捉えることができます。

さらに、スムーズな事業承継を実現させるための国の税制優遇措置として、中小企業の株式を承継する際に、贈与税や相続税が猶予、免除される制度もあり、親族内で後継者が認められている場合はこのような税制優遇措置も活用できます。税制優遇制度については、後段の「事業承承継における税制優遇の活用」のパートで詳述します。

一方、デメリットとしては、後継者候補の家族から反対される場合があることが挙げられます。特に、合資会社の無限責任社員は、会社が万が一破綻した場合に連帯して債務の責任を負うことになります。その際、債務がなくなるまで、私財を投じてでも返済しなければなりません。この点において、後継者候補の家族が危惧をして、反対することもあります。

経営者が親族の後継者候補をあえて別の会社に就職させ、経営の勉強をさせることがありますが、これが裏目に出ることもあります。会社の組織風土をはじめ、承継する会社のそれがあまりにも異なる場合は、社員と軋轢が生まれることもあります。この問題を解決するには、経営者が時間をかけてゆっくりと親族の後継者に経営者のビジョンを伝え、かつ社員との関係性をじっくりと構築することで、柔軟性や適応性の大切さを説いていくことが重要です。

●従業員承継

従業員承継は、全社員の中から特に経営者としての資質を備えた人材を選べることがメリットのひとつです。自社に勤め、経営方針や会社の組織風土を理解し、業務上必要なスキルやノウハウを身に付けた社員が後継者になれば、早期に経営を安定させることができ、経営者も安心できます。

親族内承継では経営者の子どもや子どもの配偶者、兄弟姉妹などと候補者が限定されるうえに、従業員承継と異なり後継者の育成に相応の時間を要します。後継者が社員の場合は、経営方針やビジネスモデルなどにも精通しており、経営者が日常的に接している人材のため、他の社員や取引先からも後継者として受け入れられやすいことも従業員承継の特徴です。承継後の経営を安定させスムーズに移行するためには、社内の社員や取引先からの信頼を得て良好な関係を築けることは、大きなメリットといえるでしょう。

従業員承継の注意点として、後継者が多くの資金を用意する必要があることが問題になることがあります。後継者が安定して経営できるようになるためには、総議決権の過半数の株式を保有することが望ましいでしょう。これを実現するには、贈与または譲渡によって、承継時の株主(オーナーであることが多い)から後継者に株式を引き継ぐ必要があります。

ただし、社員である後継者は株式の買い取り資金を用意しなくてはなりません。過半数の株式を買い取れるほどの自己資金を有していることは極めてまれで、資金不足が問題になることもあります。また、業績の良い会社ほど株式の評価額も高くなるため、一株あたりの価格が上がり、後継者にとっては金銭的負担がさらに重くのしかかります。

役員を後継者にしたとしても、必要な買い取り資金を準備できるケースの方が少ないのが現実です。株主である経営者は、株式を取得する資金として給与を増額したり、金融機関や場合によってはファンドから調達したりと、株式取得のための資金対策を講じる必要があります。

●M&A承継

従来、中小企業の事業承継は、経営者が自身の子どもや親族に継がせる「親族内承継」が大半でした。しかし、中小企業は近年、後継者不足に直面しており、従業員や役員に継がせる「従業員承継」で事業を承継するほか、M&Aで外部に会社や事業を譲渡する事例も増えています。事業承継とM&Aは本来別物ですが、事業承継のひとつの手段としてM&Aを活用することもあり、M&Aは事業承継の一部であるとすることもできます。

M&Aには株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割といったスキームがありますが、中小企業の事業承継は株式譲渡により行われることが大半です。

M&Aによる事業承継には、後継者を幅広く探せる、事業譲渡で創業者利益が得られる、といったメリットがあります。親族や役員・社員の中で後継者候補として適した人が見つからない場合は、外部に後継者を求めるM&Aが有効です。経営者としての経験がある人を後継者に選ぶことで、経営をスムーズに移行することができます。

M&Aによる事業承継で株式を譲渡すると、現在の経営者は創業者利益として、株式を現金化することができます。今後の生活資金に充てることができるほか、財産が自社株式から現金に変わるため、相続がスムーズにできるというメリットもあります。

一方、デメリットもあります。後継者が必ずしも経営理念を引き継ぐとは限らないですし、役員や従業員が経営の変化に戸惑うこともあるでしょう。外部から来た後継者が、現経営者が築いてきた経営理念と社員とともに作り上げてきた文化を受け入れて引き継ぐとは限りません。経営者としての経験がある以上、自分のやり方で経営を進めていくことも十分考えられます。経営者が交代することで、役員や社員がそれまでとの違いに戸惑うことも予想されます。経営の変化についていけずに、優秀な役員や社員が退職してしまうこともあるでしょう。

このような問題を避けるためには、事業承継をした後の経営方針について現経営者と後継者の間で考え方や方針を確認し、一致させておくことが何より大切です。

事業承継に向けた準備と実際の流れ

1.     事前準備

まずは、「事業承継でするべきこと」を整理し、認識するところからスタートします。後継者に完全に事業を引き継ぐ時期はまだ先のことかも知れませんが、事業承継でやることを早めにまとめて、着実に取り組んでいく必要があります。後述する事業承継計画書とは、社長と後継者がやること全般をあらゆる視点からまとめたマスタープランといえるものです。社長と後継者が事業承継計画の立案に取り組むことで、やるべきことを整理できますし、取引先や銀行などの事業関係者からの信頼にもつながります。

2.     経営課題の可視化と経営改善

さまざまな角度から、会社が持つ経営資源や経営リスクを把握します。会社(事業)の存続可能性から従業員や株主のことまで、できるだけ具体的に把握していきます。具体的には、次の項目について分析することになります。

▼全般的事項

  • 業界のトレンド、業界の将来性の見通しはどうか
  • 万が一起きると大きなダメージを受けるリスクに何があるか
  • 外部環境、内部環境から見た自社の強み、弱みは何か

▼資産の内容

  • 資産の内容、規模、金額は適正か
  • 資産の中に不良化したものはないか

▼負債の内容

  • 負債の内容、規模、金額は適正か
  • 簿外負債はないか、またその金額はいくらか

▼業績の状況

  • 損益、キャッシュフローの現状と見通しはどうか
  • 収益性や成長性について、何か問題点はあるか

▼従業員の状況       

  • 従業員数、年齢構成、平均年齢はどうなっているか

▼株主の状況

  • 会社の株主の氏名、関係、持株数は明確か

次に、社長個人の財産と債務についても分析する必要があります。中小企業の事業承継は、会社の借入金の担保に社長個人の財産を提供しているなど、個人財産とも密接に関係しています。このため、事業承継計画の策定にあたっては、社長の個人財産や債務についても検討しなければなりません。具体的には、次の項目について分析することになります。

▼資産の内容

  • 社長の自社株の保有数、持株割合はどの程度か
  • 自社株の相続税評価額はどの程度か
  • 社長名義の土地、建物の利用状況はどうか、その時価はいくらぐらいか

▼負債の内容

  • 社長個人の借入金など債務の内容と金額は明らかか
  • 会社の債務に関する個人保証などはどうなっているか

また、事業承継に関するトラブルは、相続発生時によく起こります。社長としては、相続時に相続人たちが争うことで、事業経営に悪影響を与えることがないように手を打っておかなければなりません。具体的には、次の項目について検討を行います。

  • 相続人同士の人間関係は良好か
  • 相続人などの自社株の保有状況は適切か
  • 社長の相続財産には何があるか、またその金額はどの程度か
  • 社長の相続時に予想される相続税額はどの程度か
  • 相続人は相続税などの納税資金を支払えるか

最後に、後継者として適任者がいるかどうか検討します。ここでは、社長が客観的な視点でしっかりと分析することが大切です。具体的には、次の事項について検討を行います。

  • 後継者としての必要な資格を吟味したか
  • 親族内にふさわしい後継者がいるか
  • 役員や従業員の中にふさわしい後継者がいるか
  • 取引先や銀行など外部から後継者を招聘することはできるか
  • 後継者の事業経営に対する意欲、やる気はどの程度か

3.     事業承継計画の策定

事業承継は大きく下記の4つのステップに沿って、策定をしていきます。

経営理念を引き継ぐ

経営理念は、自社の事業をどのように方向づけ、何を実現していくのか、さらには事業を通じて社会にどのように貢献するのか、ということをさまざまな利害関係者に明示するもので、会社の経営の基本軸となるものです。

したがって、経営理念は、会社が存在する限りずっと変わらないものであり、後継者はその理念を引き継ぎ、経営を行う必要があります。ただし、後継者が社長から事業を承継するような歴史的転換期においては、基本的な考え方は維持しつつ見直すこともあります。

▼経営理念の意義

経営理念をつくることには二つの意味があります。

一つめは、事業経営の基本的な考え方を、すべての関係者に示すことです。社会に対しては「我が社の存在意義」を表明し、お客様に対しては「自社のお客様に対する姿勢」を伝え、従業員に対しては「従業員の行動規範」を伝えます。

二つめは、会社の、あるいは従業員の行動の「価値判断の基準」を持つことができるということです。「従業員としてどう行動すべきか」の判断基準を得られるだけでなく、経営者の心や哲学に触れることで大きなモチベーションにもつながります。

▼経営理念を作成するときのポイント

経営理念は過去から脈々と伝わる創業者の哲学です。経営理念を見直す場合にもその精神を守っていくことは大変重要です。経営理念は分かりやすいものにしましょう。複雑な経営理念よりも、簡潔明瞭で素直に受け入れられるものの方が浸透します。事業関係者の意見も十分聴きましょう。最終的には社長と後継者で決めるとしても、従業員などから貴重な意見を吸い上げてみることが大切です。

▼経営理念を浸透させるためのポイント

従業員にも共有します。経営理念の共有は、社長や後継者だけでなく従業員も含めて行われると、大きな力を発揮します。現場の行動基準とリンクさせましょう。現場の従業員の行動基準や評価基準にリンクさせておかないと、大きな成果が期待できません。経営幹部が経営理念に合った行動を実践しましょう。後継者や経営幹部が実践していないものは誰も実践しません。

中期の経営ビジョンの策定

経営ビジョンは、会社の将来のあるべき姿を実現するための具体的な基本計画です。事業承継計画をつくる中で、後継者が、社長や経営幹部と一緒になって中期的な経営ビジョンを立てることがスムーズな事業承継に大いに役立ちます。ここでは、経営ビジョンづくりに欠かせない三つの要素を説明します。

▼事業ドメインを明確にする

事業ドメイン(事業領域)は、自社が手がける事業の範囲のことをいいます。事業ドメインをどう決定するかが、その企業の中長期的な成長を左右します。後継者は、社長や経営幹部とともに、今一度、自社の事業ドメインを見つめ直すことが必要です。事業の環境分析を行い、自社の強み・弱みを十分検証したうえで、中期的成長を成し遂げられる事業ドメインを再定義します。

▼数値目標を立てる

事業ドメインを明確にしたら、必ず具体的な数値目標(経営目標)を立てましょう。事業承継を進める場合にも、後継者が経営幹部と十分議論し、3年後、5年後の実現可能な数値目標を掲げなければなりません。なお、この数値目標は、自社の実力より少し高めに設定すると良いでしょう。後継者が経営幹部と一緒に考えることにより、実現に向けてのモチベーションが大いに高まることが期待されます。

▼経営基本方針を明確にする

数値目標(経営目標)を達成するには、そのための具体的な経営基本方針を決めなければなりません。経営基本方針とは、数値目標を達成するための具体的なしくみと行動基準を示すことです。なお、この経営基本方針は、実際に人事評価や成果配分にリンクさせる必要があります。

事業承継の具体的なスキームと実施時期を決める

先代と後継者の経営理念の共有(または見直し)ができ、中長期的な経営ビジョンを描けたら、会社の株式(自社株)の承継など、さまざまな対策の実施時期を決めていきます。具体的には、次の項目について検討していくことになります。

  • 後継者育成について
  • 事業関係者の理解について
  • 自社株や財産の承継について
  • 会社を磨く方策について

事業承継計画を「見える化」する

事業承継計画は、きちんとスケジュールに落とし込むことが非常に重要です。スケジュールに落とすことで、いまどこまで進んでいるか、次に取り組むべき事項は何かなどが、先代と後継者のどちらから見ても明確になります。互いに常にやるべきことが確認できますし、計画そのものを軌道修正する場合にも役立ちます。また、常に目に触れる状態をつくることで、社長と後継者の事業承継に対する意識レベルを保つこともできます。

4.     事業承継の実施

上記の「事業承継計画」に基づき、計画通りに実施しましょう。

事業承継における税制優遇の活用

事業承継税制とは、後継者が先代の経営者から株式や資産を承継するときに、相続税や贈与税を猶予・免除できる制度です。事業承継税制は合資会社も対象です。事業承継で発生する相続税や贈与税の負担を軽減できるので、積極的に活用しましょう。この事業承継税制には、会社の株式などを対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」があります。

法人版の事業承継税制には一般措置と特例措置があります。特に特例措置は平成30年度の税制改正で設けられた措置で、中小企業の事業承継が円滑に進むよう、2027年12月31日までを期限にして税制措置が大幅に拡充されています。

法人版の事業承継税制(特例措置)は経営承継円滑化法による認定が必要です。認定書の交付のあと、手続きを行って納税の猶予を受けられます。猶予中は「年次報告書」や「継続届出書」などの手続きが必要です。

さらに、事業承継税制(特例措置)で猶予された贈与税や相続税は、後継者が死亡したなどの一定の条件により納税が免除されます。事業承継税制は、事業の承継に伴う納税負担を大きく軽減できるので、積極的に活用することをおすすめします。

詳細は国税庁のHP(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/index.htm)にて、確認ができます。

また、事業承継税制は非常に専門性が高い税制内容なので、顧問税理士をはじめ外部の専門家に相談し、活用することをおすすめします。

事業承継を成功させるためには

ここまでの通り、事業承継を成功させるためには、早めの準備と相談が何より大切です。加えて、先述の通り、事業承継計画をじっくりと時間をかけて作成することで、リスクも可視化ができ、結果的に事業承継の成功の確度が上がります。親族内承継であれば、経営者教育、資金や相続対策も非常に複雑です。ゆえに、特に早めの準備が必要です。

まとめ

本稿では、事業承継で承継される経営資源と実施方法について、詳しく解説しました。早い段階で「事業承継計画」を検討・作成することが非常に大切になってきます。

株式会社DYMには、各領域の専門性に長けたコンサルタントが在籍しています。事業承継における株価算定や事業承継計画の策定支援をはじめ、第三者への事業承継であるM&Aまで、専門的かつ高度な知識を求められる分野にも対応しており、事業承継が完了するまで一貫したサポートを提供することが可能です。

安心かつ円滑な事業承継を実現します。ぜひ、株式会社DYMのご利用をご検討ください。

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