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私たちは健康診断によって全身の健康状態を定期的にチェックし、病気を予防・早期発見できます。しかし、健康診断の内容や意義について、詳しく理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。本記事では、健康診断の基本的な意味や、実施される検査の内容、費用、健康診断後の生活改善ポイントなどを解説します。健康管理に役立つ知識を身につけ、より効果的に健康診断を活用しましょう。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
健康診断は、私たちの健康を守るのに重要な役割を果たします。
なぜなら、定期的な健康診断によって、私たちは全身の健康状態を客観的に把握し、潜在的な健康リスクを早期に発見できるからです。また、健康診断の結果を基に、生活習慣の改善や適切な医療介入を行えば、将来的な疾病リスクを大幅に軽減できます。特に、自覚症状のない段階で病気を発見できる可能性が高いため、予防医学の観点でも健康診断は非常に重要です。
定期健康診断は、労働安全衛生法に基づいて事業者が従業員に実施する健康診断です。一般的に年1回以上の実施が義務付けられており、従業員は必ず受診する必要があります。
主な検査項目は以下のとおりです。
異常が見つかった場合、企業は労働者の健康状態を保つのに必要な措置を医師や歯科医師に聞く必要があります。
また、健康診断の結果は一定期間保存されます。
人間ドックは、定期健康診断よりも詳細な全身検査を行える総合的な健康診断です。
実施が義務付けられている定期健康診断とは異なり、人間ドックの受診は「任意(個人の意思で受ける)検診」です。人間ドックの検査内容は定期健康診断よりも細かく、50項目以上を検査するケースもあります。
人間ドックで受けられる検査の例を、以下に紹介します。
特定健康診査、通称「メタボ健診」は、40歳から74歳までの公的医療保険加入者を対象とした健康診断です。特定健康診査はメタボリックシンドロームに着目した検査項目が特徴で、腹囲測定や血液検査(脂質・血糖・肝機能)などが含まれます。
この健診の目的は、生活習慣病の発症や重症化を予防することです。
必要と判断された人は医師や保健師による特定保健指導が提供され、生活習慣の改善を行います。
全身の健康状態を総合的に評価するには、検査項目の組み合わせが重要です。ここでは、一般的な健康診断や人間ドックで行われる主な検査項目を解説します。これらの検査を通じて、体の状態を評価し、潜在的な健康リスクを早期に発見できます。
血液検査は、全身のさまざまな状態を反映する重要な検査です。
主な血液検査の項目は、以下のとおりです。
これらの検査結果から、医師は危険な疾患のリスクを総合的に判断しています。
尿検査は、腎臓や尿路の健康状態を評価する重要な検査です。検査でわかる内容は、以下のとおりです。
尿検査は簡便で痛みを伴わない検査ですが、多くの情報を得られるのです。
心電図検査は心臓の動きによって自然に起こる電気的活動を記録し、心臓の状態を評価する検査です。心電図検査では、以下のような異常を発見できます。
また、電解質異常や薬物の影響なども心電図波形に反映される場合があります。
心電図検査の流れは、以下のとおりです。
スムーズに進めば所要時間は3〜5分ほどです。
胸部X線検査では、電磁波の一種である「X線(エックスせん)」を使って、肺や心臓、大血管などの状態を評価します。
胸部X線検査で見つかる異常の例は、以下のとおりです。
特に結核は、集団生活で広がる可能性があるため、公衆衛生面からも早期発見・治療が必要です。その他の異常が見つかった場合も、必要に応じて医療機関を受診します。
腹部超音波検査は、超音波を当てた際の反射を利用して、体内の臓器を画像として観察する検査です。放射線のような体への影響がなく、痛みもないためさまざまな臓器の確認に使われています。
腹部超音波検査の例を、以下に紹介します。
食事によって胃がふくらむと胃の後ろにある臓器が見えにくくなるため、検査は絶食状態で行うのが一般的です。
身体計測は、健康診断の基本的な項目の一つです。おもに身長、体重、腹囲を測定し、体格指数(BMI)を算出します。
身体計測の結果によって、肥満度、メタボリックシンドロームのリスク、栄養状態などがわかります。計測結果、特に体重の経年的な変化を追跡すれば、生活習慣の改善効果や健康状態の変化が客観的に評価できるでしょう。
健康診断をスムーズに受けるには、流れの理解と適切な準備が重要です。
ここでは、健康診断の事前準備から当日の流れ、検査結果の確認とフォローアップまでの流れを解説します。
健康診断の事前準備に必要なのは、「健康診断の種類や内容の確認」です。特に人間ドックでは、オプション検査を選択できる場合があります。自身の年齢、性別、家族歴、気になる症状などを考慮して、適切な検査項目を選択しましょう。
また、検査項目によっては前日夜からの絶食が必要です。午前中に検査がある場合、前日の21時以降は水以外の飲食を控えるよう指示されるケースは珍しくありません。
定期的に服用する薬がある人は、検査前の薬の服用について事前に医療機関に相談し、指示を仰ぐとよいでしょう。
健康診断当日は、受付を済ませ、問診票の記入を行います。その後は身長・体重測定、血圧測定、採血、尿検査など、必要な検査を順番に行います。
検査の順番がすべて決まっている、その時に空いている検査から行うなど、検査の細かな順番は医療機関によってさまざまです。また、X線検査の前は、用意された検査衣に着替える医療機関もあります。
検査中に気になる症状や不安なことがあれば、遠慮なく医師や看護師に相談してください。
健康診断の結果は2週間~1ヶ月ほどでわかるケースが多く、基本的な受け取り方法は以下のどちらかです。
結果を受け取ったら全体的な評価を確認し、各検査項目の結果を丁寧に読み込みましょう。基準値を外れている項目がある場合は、受診が必要かも確認します。診断結果に関する不安や不明点は、問い合わせる必要があります。
異常がなかった場合も過去と今回の検査値を比較し、自分の健康状態の変化を把握するとよいでしょう。
健康診断の費用や保険適用の範囲は、受診する健康診断の種類や実施機関によって異なります。ここでは、一般的な健康診断の費用の目安や、健康保険の適用範囲、会社の健康診断制度について解説します。
健康診断の費用は、健康診断の種類や検査項目によって大きく異なります。
一般的な定期健康診断の場合、費用の目安は5,000円から15,000円程度ですが、企業側が負担するため実際に徴収されることはありません。一方、人間ドックは、日帰りなら30,000円から70,000円程度、一泊二日で詳しく検査するなら40,000円から100,000円前後の費用がかかります。
さらに、脳ドックやPET-CT検査などの高度な検査を含む場合は、さらに検診費用は高額になります。
健康診断の費用は医療機関や地域によって異なるため、自分が受ける検診の費用を事前に確認すると安心です。
原則として、健康診断に健康保険は適用されません。なぜなら、健康保険は「身体の異常に対する診察や治療」に適用されるため、予防や早期発見は適用範囲に含まないからです。
ただし、特定健康診査(メタボ健診)は、公的医療保険の加入者なら無料または低額(数百円から数千円程度)で受診できるケースもあります。
自身が加入している健康保険の制度を確認し、利用可能な補助や割引制度があれば積極的に活用しましょう。
従業員の健康管理の一環として、政府は定期健康診断の実施を企業に義務付けています。そのため、企業による定期健康診断の費用は、企業が全額負担します。
また、企業によっては、定期健康診断に加えて人間ドックの費用補助も利用可能です。勤務先の健康診断制度や福利厚生制度を積極的に活用すれば、より充実した健康チェックを受けられるでしょう。
健康診断は、さまざまな全身疾患を早期に発見し、適切な治療や予防につなげる重要な機会です。ここでは、健康診断で発見されることが多い以下の病気を解説します。
健康診断結果の重要性をより認識し、適切な健康管理につなげていきましょう。
高血圧は、健康診断で最もよく発見される生活習慣病の一つです。心臓や血管に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中などの重大な合併症のリスクが高まるのが、高血圧の問題です。
健康診断では、収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)の両方を測定します。高血圧と診断された場合、生活習慣の改善(減塩、適度な運動、禁煙など)や必要に応じた薬物療法を行います。
糖尿病は、血液中を流れるブドウ糖の濃度(血糖値)が慢性的に高くなる病気です。血糖値が高い状態が続くと血管が傷つき、以下のような合併症を引き起こす可能性があります。
病名 | 症状が出る場所 | 症状 |
---|---|---|
糖尿病神経障害 | 神経 | ・不快な痛みが出る ・立ちくらみや発汗異常、排尿異常などが出る ・ものが二重に見える ・歩きにくくなる |
糖尿病網膜症 | 目 | ・眼の血管が傷つく ・症状が進むと視力低下や失明につながる |
糖尿病腎症 | 腎臓 | ・腎機能が低下する ・血圧が高くなる ・身体がむくみやすくなる・貧血になる |
糖尿病足病変 | 足 | ・水虫や細菌に感染しやすくなる ・足が変形する ・足の組織が壊死し、切断が必要になるケースもある |
大血管症 | 心臓脳 | ・心臓や脳の大きな血管が障害され、心筋梗塞や狭心症、 脳梗塞、脳出血などを引き起こす |
健康診断では、空腹時血糖値やHbA1c(ヘモグロビンA1c)の測定を通じて糖尿病のリスクを評価します。糖尿病は自覚症状があらわれにくいため、健康診断での早期発見が重要です。
脂質異常症とは、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)の値が基準値に収まらない状態です。脂質異常症自体に自覚症状はありませんが、動脈硬化を起こして血管を詰まりやすくするため、治療が必要です。
健康診断では、おもに以下3種類の脂質を検査します。
脂質異常症は食事療法や運動療法を基本とし、必要に応じて薬物療法がおこなわれます。
肺がんは、健康診断の胸部X線検査や喀痰細胞診で発見されるケースがあります。
特に喫煙者や喫煙歴のある人は、肺がんのリスクが高いため注意が必要です。肺がんは早期発見されにくく、進行してから見つかりやすい傾向があります。そのため、健康診断による早期発見・早期治療が予後の改善に重要です。
胃がんは、胃の壁の内側にある粘膜細胞が「がん細胞」となり、どんどん増えていく病気です。胃がんの初期は自覚症状があらわれにくいため、健康診断の胃X線検査(バリウム検査)や胃カメラ検査で発見する必要があります。
日本人は胃がんの発症率が高く、以下のリスク要因を持つ人は更なる注意が必要です。
胃がんは、早期に発見できれば治りやすい病気です。しっかりと検診を受けるようにしましょう。
大腸がんは、大腸(結腸・直腸)にできるがんです。食生活の欧米化に伴い、日本人にも大腸がんの患者が増えています。他のがんと同様に、大腸がんも初期の自覚症状は少ないのですが、健康診断の便潜血検査で発見されることがあります。
便潜血検査で陽性となった場合は、大腸内視鏡検査などの精密検査を行います。大腸がんは早期発見・早期治療により予後が大きく改善するため、定期的な検査が重要です。
狭心症は、心臓の筋肉(心筋)への血流が一時的に減少する病気です。狭心症の種類によっては心筋梗塞の前兆となる場合があるため、適切な診断と治療が必要になります。
狭心症の主な症状は、以下のとおりです。
狭心症は常に発作が出るわけではないため、健康診断の心電図検査で発見しにくいのが現状です。しかし、健康診断で発作中の心電図を記録できれば、狭心症の診断に役立つでしょう。
心筋梗塞は、プラークや血栓によって血管が詰まって血流がなくなり、心筋が壊死する病気です。心筋梗塞は発見が遅れると死に至るケースも多く、日本人の死因の第2位に挙げられています。
健康診断で心筋梗塞を直接発見するのは困難ですが、前兆となる狭心症が見つかる可能性はあります。また、血液検査でわかる高血圧や脂質異常症、糖尿病なども心筋梗塞のリスク因子です。
健康診断の結果を活用し、心筋梗塞にならない生活を心がけましょう。
慢性腎臓病は、腎機能が徐々に低下していく病気です。初期は自覚症状が起こりにくいのですが、重症化すると透析治療や腎移植が必要になる可能性があります。
慢性腎不全の主な原因を、以下に紹介します。
慢性腎臓病は、健康診断の血液検査(クレアチニン、尿素窒素など)や尿検査(尿蛋白など)で発見できます。慢性腎臓病が一定まで進行すると機能の回復が困難なため、健康診断による早期発見・治療が重要です。
健康診断の結果を受け取った後は、検査結果を生活習慣の改善に役立てましょう。
ここでは、健康診断後の生活改善のポイントについて解説します。
健康的な食生活は、生活習慣病の予防や改善に欠かせません。栄養バランスの取れた食生活を送るためのポイントを、以下に紹介します。
暴飲暴食は避け、適正体重を保つよう心がけましょう。
適度な運動は、生活習慣病の予防や改善、メンタルヘルスの向上に効果的です。自分の体力や生活スタイルに合わせて、無理のない範囲で以下のような運動習慣を取り入れましょう。
運動は自分に合ったもので構いませんが、健康的な運動習慣を身につけるためには「1日30分以上を週に2回以上、1年以上の継続」できる運動を取り入れるのがおすすめです。
日常生活の中でも、車をやめて歩いて買い物に行く、エレベーターではなく階段を使うなど、こまめに体を動かす機会を増やすよう心がけてみてください。
健康診断は一度受けて終わりではありません。定期的に受診し、経年的な変化の追跡が健康の維持に重要です。
年1回の定期健康診断を確実に受診し、可能であれば数年に1回程度、より詳細な人間ドックを受診するとよいでしょう。
また、健康診断の結果に基づいて、必要に応じた専門医の受診や精密検査も大切です。自身の健康状態を継続的にチェックすることで、より効果的な健康管理が可能です。
健康診断は、私たちの健康を守るための重要な手段です。本記事では、健康診断の基本的な意味から、実施される検査の内容、費用、健康診断後の生活改善ポイントまで、幅広く解説しました。
健康診断の種類には、定期健康診断、人間ドック、特定健康診査(メタボ健診)などがあり、それぞれ目的や対象者が異なります。健康診断では、全身の健康状態を評価するために、血液検査、尿検査、心電図検査、胸部X線検査、腹部超音波検査、身体計測などのさまざまな検査が行われます。
健康診断の費用や保険適用の範囲は、受診する健康診断の種類や実施機関によってさまざまです。会社の健康診断制度や健康保険の補助制度を活用すれば、より充実した健康チェックを受けられるでしょう。
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