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物流業界の採用とは?人手不足の現状や原因と解決策を解説

公開日:2025.11.12  更新日:2025.11.12

「求人を出しても応募が来ない」「採用してもすぐに辞めてしまう」「2024年問題で、さらに人材確保が難しくなるのではないか」 

物流業界の人事ご担当者様なら、このようなお悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、物流業界の人手不足の現状と根本原因をデータと共に深く掘り下げ、採用活動が難航する理由を解き明かします。その上で、「採用力の強化」「定着率の向上」「業務効率化」という3つの具体的なアプローチから、明日からでも始められる解決策を成功事例を交えてご紹介します。

<この記事で紹介する3つのポイント>

  • なぜ物流業界の採用が難しいのか、その根本的な原因がわかる
  • 採用・定着・効率化につながる具体的な打ち手が見つかる
  • 人手不足の時代を勝ち抜くための採用戦略のヒントが得られる

物流業界の人手不足の現状

物流業界の人手不足は、感覚的なものではなく、客観的なデータにも明確に表れています。

厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、トラックドライバーを含む「自動車運転の職業」の有効求人倍率は、常に全職業平均を大きく上回っており、2倍前後に達することも珍しくありません。これは、1人の求職者に対して2件の求人がある状態で、企業間の人材獲得競争が非常に激しいことを示しています。

また、ドライバーの年齢構成も深刻な課題です。全産業の平均年齢と比較して、トラックドライバーの平均年齢は高く、特に若年層(29歳以下)の割合が低いという構造的な問題を抱えています。このままでは、ベテランドライバーの大量退職が進む一方で、次世代の担い手が育たず、社会インフラとしての物流機能が維持できなくなる恐れがあります。

参考:自動車運転業務の現状|国土交通省

物流業界で人手不足が深刻化する原因

なぜ物流業界の採用はこれほどまでに難しいのでしょうか。その背景には、複合的な4つの原因が存在します。

長時間労働と低賃金という労働環境

物流業界、特にトラックドライバーは「労働時間が長く、賃金が低い」というイメージが根強くあります。実際に、他の産業と比較して年間労働時間が長く、年間所得額が低い傾向が見られます。特に、荷主の都合で発生する数時間の「荷待ち時間」は、労働時間にカウントされにくいにもかかわらずドライバーを拘束するため、待遇への不満に直結しやすい業界特有の課題です。

こうした状況が、他業種に比べて生産性あたりの賃金が上がりにくい構造を生み出し、ワークライフバランスを重視する近年の求職者からは敬遠されがちな要因となっています。

EC市場拡大による荷物量の急増

スマートフォンの普及に伴い、EC(電子商取引)市場は年々拡大を続けています。これにより、小口・多頻度の配送ニーズが急増し、物流現場の業務量は増大の一途をたどっています。特に「送料無料」や「翌日配送」といった便利なサービスの裏側で、物流現場への負荷は極限まで高まっています。

社会の利便性が高まる一方で、物流の担い手であるドライバーや倉庫作業員の負担は増え続け、供給(労働力)が需要に追いついていないのが現状です。

ドライバーの高齢化と若年層の入職者不足

先述の通り、ドライバーの高齢化は深刻です。若年層がドライバーという職業を選択しづらい背景には、普通免許で運転できるトラックの範囲が限定されたことや、キャリアパスが見えにくいといった点が挙げられます。

特に2017年に新設された準中型免許の制度により、若者が普通免許で乗れる車両がさらに限定され、入職への物理的なハードルが上がってしまいました。魅力的な職業として若者に認識されていないことが、構造的な人手不足を招いています。

「きつい・汚い・危険」の3Kイメージ

「きつい・汚い・危険」といった3Kのイメージも、採用活動における大きな障壁です。実際には、車両性能の向上や倉庫の機械化によって労働環境は大きく改善されていますが、過去のイメージが払拭されずに残っています。

例えば、荷物の積み下ろしを補助するパワーゲート付き車両や空調服の普及は、肉体的な「きつさ」を大幅に軽減しています。しかし、一度定着したイメージを覆すのは容易ではなく、企業側から積極的な情報発信がなければ、特に女性や新しい働き手を求める若者層からの応募を妨げる一因となってしまいます。

物流の2024年問題が採用に与える影響

2024年4月1日以降、トラックドライバーの時間外労働は原則として「年間960時間」が上限となりました。この規制に違反した企業には罰則が科される可能性があります。この960時間という上限は、他産業の原則(年720時間)よりは緩和されているものの、従来の物流業界の実態からすれば非常に厳しい数値です。これにより、企業はドライバーの労働時間をこれまで以上に厳格に管理する必要に迫られています。

時間外労働の上限規制の概要

2024年4月1日以降、トラックドライバーの時間外労働は原則として「年間960時間」が上限となりました。この規制に違反した企業には罰則が科される可能性があります。これにより、企業はドライバーの労働時間をこれまで以上に厳格に管理する必要に迫られています。

ドライバーの収入減少と離職リスク

これまで残業代によって収入を維持してきたドライバーは、時間外労働が規制されることで収入が減少する可能性があります。月々の手取り額が数万円単位で変わることも想定され、生活に直結する深刻な問題です。待遇の悪化は、より高い給与を提示する他業界や、自由な働き方ができるギグワークなどへの人材流出、つまり離職リスクをこれまで以上に高めることにつながります。

採用コストの増加と採用難易度の上昇

1人のドライバーが働ける時間が短くなるため、これまでと同じ物量を運ぶためには、より多くのドライバーが必要になります。これは、限られた人材を企業間で奪い合う「ゼロサムゲーム」の始まりを意味します。結果として、ただでさえ厳しい採用市場における人材獲得競争がさらに激化し、求人広告費などの採用コスト増加や、特に中小企業における採用難易度のさらなる上昇を招くことが懸念されています。

人手不足を解消する具体的な解決策

厳しい状況が続く物流業界ですが、ただ手をこまねいていては何も変わりません。人手不足は、もはや「待ち」の姿勢では解決できない問題です。

ここからは、「①採用(入口を広げる)」「②定着(出口を塞ぐ)」「③効率化(負担を減らす)」という3つの具体的なアプローチで、明日から実践できる解決策をご紹介します。

採用力の強化

まずは、求職者から「選ばれる企業」になるための取り組みです。

採用ブランディングの推進

給与や休日といった条件面だけでなく、自社の強み(例:最新設備、良好な人間関係、社会貢献性)や働きがいを積極的に発信しましょう。「この仕事が社会を支えている」という誇りや、チームで困難を乗り越えた達成感といった金銭以外の報酬は、特に若年層の共感を呼びます。自社の採用サイトやSNSで、若手社員や女性ドライバーのインタビュー記事を掲載したり、一日の仕事の流れを紹介したりすることで、求職者は働くイメージを具体的に持つことができます。

求人媒体の見直しとSNS活用

ハローワークや求人誌といった従来の媒体だけでなく、若年層が多く利用するWeb求人サイトや、ドライバー専門の求人サービス、SNS(X(旧Twitter)、Instagramなど)を活用しましょう。重要なのは、単にチャネルを増やすだけでなく、「どの媒体に、どの層の求職者がいるのか」を意識し、ターゲットに合わせた情報発信をすることです。特にSNSでは、職場の雰囲気を写真や動画で伝えることで、求職者の共感や興味を引きつけやすくなります。

女性・シニア・外国人材の積極採用

これまで採用ターゲットとしてこなかった層にも目を向けることが重要です。これは単なる人手不足対策に留まらず、多様な視点や価値観を取り入れることで組織全体の活性化にもつながります。

女性向けには更衣室やトイレといった設備を整備し、柔軟な勤務シフトを導入する。シニア向けには体力的な負担が少ない短距離輸送や庫内作業を任せる。外国人材向けには、言語サポートや文化の違いを理解する研修を行うなど、多様な人材が働きやすい環境を整えることで、採用の間口は大きく広がります。

定着率の向上

採用した人材に長く活躍してもらうための「定着」も、採用と同じくらい重要です。

賃金体系の見直しと福利厚生の充実

2024年問題による収入減を補うためにも、賃金体系の見直しは急務です。歩合給の割合を下げて固定給を手厚くし、収入の安定を図りましょう。無事故手当や資格取得支援金を充実させることも有効です。

また、住宅手当や家族手当、退職金制度といった福利厚生を充実させることは、社員本人だけでなく、その家族の安心感にもつながります。「家族に応援される職場」は定着率が格段に高まるため、非常に重要な視点です。

労働時間管理と休日確保の徹底

デジタルタコグラフや勤怠管理システムを導入し、ドライバーの労働時間を正確に把握・管理しましょう。これにより、長時間労働やサービス残業を防ぎ、コンプライアンスを遵守できます。

こうした取り組みは「ホワイト企業」であることの証明となり、採用活動においても強力なアピールポイントになります。また、週休2日制の導入や計画的な有給休暇の取得を促進し、社員が心身ともに健康で働ける環境を作ることが大切です。

研修制度とキャリアパスの整備

未経験者でも安心して業務を始められるよう、座学研修や同乗研修を充実させましょう。丁寧な研修制度は、入社後のミスマッチや不安による早期離職を防ぐ上で最も効果的な施策の一つです。

また、ドライバーからリーダー、運行管理者、営業所の所長といったキャリアパスを明確に示すことで、社員は将来の目標を持ち、モチベーション高く働き続けることができます。「ここで成長できる」という実感は何よりの定着促進剤となります。

業務効率化の推進(物流DX)

人の力だけに頼るのではなく、テクノロジーを活用して生産性を向上させる視点も不可欠です。

倉庫管理システム(WMS)の導入

WMS(Warehouse Management System)を導入すれば、在庫の状況がリアルタイムで可視化され、入出庫やピッキング作業を効率化できます。これにより、ベテランの経験と勘に頼っていた作業を標準化でき、新人でも即戦力として活躍しやすくなります。特定の個人に業務が依存する「属人化」のリスクをなくし、誰かが休んでも業務が滞らない持続可能な現場運営が可能になります。

配送ルート最適化システムの活用

AIが天候や交通状況を考慮して最適な配送ルートを自動で作成してくれるシステムです。これにより、新人ドライバーでもベテランに近い効率で配送業務を行えるようになり、教育時間の短縮にもつながります。走行距離や時間が短縮され、燃料費の削減につながるだけでなく、ドライバーの長時間労働の是正や運転負担の軽減に大きく貢献します。

自動搬送ロボット・ピッキングシステム

AGV(無人搬送車)やピッキングロボットなどを活用すれば、広大な倉庫内を人が歩き回る必要がなくなり、庫内作業を大幅に省人化・効率化できます。これにより、人は単調な作業から解放され、品質管理や改善提案といった、より付加価値の高い創造的な業務に集中できるようになります。これは、従業員の仕事への満足度を高める上でも非常に有効です。

まとめ

本記事では、物流業界における採用の現状と原因、そして2024年問題を乗り越えるための具体的な解決策を解説しました。

物流業界の人手不足は、複数の要因が絡み合った根深い問題であり、一朝一夕に解決するものではありません。大切なのは、「①採用力の強化」「②定着率の向上」「③業務効率化」という3つのアプローチを、自社の状況に合わせて組み合わせ、継続的に取り組んでいくことです。

多くの施策を前に、何から手をつけるべきか迷うかもしれません。まずは、自社の課題が「応募者が集まらない」ことなのか、「採用しても辞めてしまう」ことなのか、それとも「人手が足りず現場が回らない」ことなのかを分析することから始めてみてはいかがでしょうか。

採用力の強化や業務効率化に課題を感じている企業には、外部の専門家の力を借りることも有効な選択肢です。なお、DYMテックでは、フリーランスマーケター向けのエージェントサービスとして、専任カウンセラーが一人ひとりのスキルやキャリアプランに合わせた案件マッチングをサポートしています。最高単価1,250,000円の案件実績や面談満足度88.5%という高い評価をいただいており、質の高いマッチングを実現しています。採用戦略の立案やマーケティング施策の強化をお考えの企業様は、まずはお気軽に無料相談から始めてみてください。

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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。

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