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パートと正社員、どちらの働き方が自分に合っているか悩んでいませんか? 「時給が高いからパートがお得」「安定しているから正社員一択」と安易に決めてしまうと、後悔するかもしれません。両者には給与だけでなく、社会保険や福利厚生、責任の範囲など様々な違いがあります。この記事では、パートと正社員の具体的な違いを多角的に比較し、それぞれのメリット・デメリットを徹底解説。あなたにとって最適な働き方を見つけるための参考にしてください。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
パートと正社員、どちらを選ぶか考えるとき、働き方の自由度や収入の安定性といったイメージで判断しがちです。しかし、両者の間には、雇用契約の期間から社会保険の加入条件、任される責任の範囲、将来のキャリア形成の機会に至るまで、見過ごせない多くの違いが存在します。ここでは、働き方を決める上で知っておくべき7つの具体的な違いを、一つひとつ詳しく比較・解説していきます。
正社員とパートタイム労働者(以下、パート)の最も基本的な違いの一つが雇用契約の期間です。正社員は、企業と期間の定めのない「無期雇用契約」を結ぶのが一般的です。これにより、自己都合での退職や解雇事由に該当しない限り、定年まで継続して働くことが保証されます。
一方、パートは契約期間が定められた「有期雇用契約」であることが少なくありません。厚生労働省の「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況」によると、パートを雇用する企業のうち27.1%が有期雇用契約を結んでいます。契約期間は3ヶ月や1年など企業によって様々ですが、労働基準法により原則として上限は3年と定められています。契約満了時には、企業の経営状況や本人の勤務実態に基づき、契約を更新するかどうかが判断されます。
参考:厚生労働省|令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況「企業におけるパートタイム・有期雇用労働者の雇用状況
労働時間や勤務日数の設定において、正社員とパートでは大きく異なります。労働基準法では、雇用形態にかかわらず労働時間の上限を「原則1日8時間、週40時間」と定めています。正社員は、この基準内で会社が定めた所定労働時間(例:9時~17時)でフルタイム勤務するのが基本です。
対してパートは、正社員よりも短い時間や日数で働く労働者を指し、自身の都合に合わせて柔軟にシフトを組むことが可能です。例えば、「午前中だけ」「週3日だけ」といった働き方ができるため、プライベートの予定と両立させやすいのが特徴です。ただし、パートの中にも正社員と同等の時間働く「フルタイムパート」という形態もありますが、これは後述する雇用形態の違いから正社員とは区別されます。
社会保険(健康保険・厚生年金)や雇用保険への加入条件も、正社員とパートで異なります。正社員は、入社と同時にこれらの保険に加入することが前提となっています。これにより、保険料の半額を会社が負担してくれるほか、病気や怪我で働けなくなった際の傷病手当金などの保障が受けられます。
一方、パートが会社の社会保険に加入するには、一定の要件を満たす必要があります。具体的には、従業員101人以上の企業の場合、「週の所定労働時間が20時間以上」「月額賃金が88,000円以上」「2ヶ月を超える雇用の見込みがある」「学生ではない」といった条件をすべて満たす必要があります。この条件を満たさない場合は、個人で国民健康保険や国民年金に加入することになります。
給与の支払われ方や体系は、働き方の安定性に直結する重要な違いです。正社員の多くは、月々の給与額が固定された「月給制」や年間の給与総額が定められた「年俸制」で雇用されます。このため、祝日の数などによって勤務日数が変動しても、毎月安定した収入を得ることが可能です。さらに、企業の業績や個人の成果に応じて賞与(ボーナス)が支給されたり、定期的な昇給の機会が設けられたりすることが一般的です。
対照的に、パートの給与形態は働いた時間に応じて給与が計算される「時給制」がほとんどです。そのため、シフトに入る時間数によって月々の収入が大きく変動します。賞与が支給されないケースが多く、昇給があったとしてもその幅は限定的である傾向があります。
福利厚生には法律で定められた「法定福利厚生」と、企業が独自に設ける「法定外福利厚生」があります。健康保険や有給休暇といった法定福利は、一定の条件を満たせばパートでも利用可能です。しかし、両者の差が顕著に現れるのが法定外福利厚生です。正社員は、長期雇用を前提としているため、住宅手当や家族手当、退職金制度、資格手当、保養所の利用といった手厚い恩恵を受けられることが多いです。
一方、パートはこれらの福利厚生の対象外となることが少なくありません。ただし、2020年4月から施行された「パートタイム・有期雇用労働法」により、同じ仕事内容であれば雇用形態を理由に不合理な待遇差を設けることは禁止されています。
任される仕事の裁量や責任の範囲は、正社員とパートで大きく異なる点です。正社員は、企業の利益や持続的な成長に直接貢献する基幹的な業務を担うことが期待されます。そのため、経験を積むにつれて後進の育成や部下のマネジメント、店舗運営など、より責任の重い役割を任されるようになります。会社の顔として成果を求められるプレッシャーはありますが、その分やりがいも大きいと言えるでしょう。
一方、パートの仕事は、正社員の指示のもとで行うサポート的な業務や、比較的覚えやすい定型的な作業が中心となる傾向があります。例えば、飲食店であれば接客や配膳、事務職であればデータ入力などが該当します。責任範囲が限定的なため、精神的な負担は軽い反面、仕事の幅は広がりにくい側面があります。
将来的なキャリア形成の可能性においても、正社員とパートでは明確な差があります。正社員は長期的な戦力として期待されているため、企業側も教育や研修にコストをかける傾向が強いです。スキルアップのための研修制度や、業務に必要な資格の取得支援制度などが用意されていることが多く、着実に経験を積むことで昇進や昇格のチャンスが豊富にあります。様々なポジションを経験することで能力を高め、自身の市場価値を向上させることが可能です。
対してパートは、有期雇用であることも多く、正社員ほど手厚い教育機会は与えられないのが一般的です。基本的な業務研修はあっても、キャリアアップを目的とした研修を受ける機会は少ないでしょう。スキルを磨きたい場合、パートからの正社員登用制度を利用するなどの道を探す必要があります。
自分のペースで働ける自由度の高さから、多くの人に選ばれているパートという働き方。しかし、その魅力的な側面の裏には、収入や雇用の安定性に関するデメリットも潜んでいます。自分に合った働き方を選ぶためには、メリットとデメリットの両方を正しく理解することが不可欠です。このセクションでは、パートで働くことの具体的なメリットと、注意すべきデメリットをそれぞれ4つの視点から詳しく見ていき、その実態に迫ります。
パートのメリットには以下の点が挙げられます。
パートとして働く最大の魅力は、勤務時間や曜日に高い自由度があることです。多くの職場ではシフト制が採用されており、自身のプライベートな予定に合わせて働くスケジュールを組むことができます。例えば、子育て中の主婦(夫)であれば子どもの学校行事や通院に合わせて休みを取ったり、学生であれば講義やサークル活動のない時間帯を選んで働いたりすることが可能です。
介護など、家庭の事情を優先させたい人にとっても、仕事と生活のバランスを取りやすい働き方と言えます。正社員のように勤務時間が固定されていないため、個々のライフスタイルを尊重しながら、無理なく仕事を続けられる点が大きな利点です。
パートの求人は、正社員と比較して募集案件数が多く、職種も多岐にわたるため、仕事を見つけやすいというメリットがあります。オフィスワークから接客、軽作業まで、幅広い選択肢の中から自分の興味や適性に合った仕事を選ぶことが可能です。また、結婚や出産などでキャリアにブランクがある人や、特定の職種が未経験の人でも応募を歓迎する求人が豊富にあります。
さらに、イベント設営の1日だけといった単発の仕事や、お中元・お歳暮の時期だけの短期の仕事など、雇用期間の選択肢も多様です。これにより、空いた時間を有効活用したり、特定の期間だけ集中して収入を得たりすることもできます。
パートは、正社員に比べて副業や兼業(ダブルワーク)が認められやすい傾向にあります。曜日や時間帯を調整すれば、複数の仕事を掛け持ちして総収入を増やしたり、異なる職種を同時に経験したりすることが可能です。例えば、平日の昼間は事務の仕事、週末はカフェで働くといったスタイルも実現できます。様々な職場を経験することで、多様なスキルが身につき、自分自身の新たな適性を発見するきっかけにもなるでしょう。
一つの仕事に縛られず、幅広い経験を積みたい人にとっては、パートという働き方は非常に魅力的です。ただし、企業によっては同業他社での兼業を禁止している場合もあるため、就業規則の確認は必要です。
パートは、正社員と比較して任される仕事の責任範囲が限定的であることが一般的です。会社の業績に直結するような重い責任を負うことや、部下のマネジメントを任されることは少ないため、精神的なプレッシャーを感じにくいという利点があります。業務内容もサポート的な役割や定型的な作業が中心になることが多く、仕事とプライベートをはっきりと切り分けやすいでしょう。
また、もし職場の人間関係や仕事内容が合わないと感じた場合でも、正社員に比べると比較的退職しやすい側面もあります。もちろん、シフトに穴を開けるなど無責任な辞め方は避けるべきですが、キャリアチェンジのハードルが低いことは精神的な安心材料になります。
パートのデメリットには、以下の点が挙げられます。
パートの給与は時給制がほとんどであるため、月々の収入が不安定になりがちです。自身の都合でシフトを減らしたり、体調不良で休んだりすると、その分だけ給与が直接的に減少します。祝日が多い月なども勤務時間が減るため、収入が変動しやすいです。
また、正社員のように定期的な昇給や賞与(ボーナス)が保証されているケースは少なく、長期的に働いても大幅な収入アップは見込みにくいのが実情です。安定した収入を確保するためには、常に一定以上のシフトに入り続ける必要があり、収入計画を立てにくい点は大きなデメリットと言えるでしょう。
有期雇用契約で働くことが多いパートは、正社員に比べて雇用の安定性が低いという側面があります。契約期間が満了した際に、企業の経営状況や事業の方針によっては契約が更新されず、雇い止めとなるリスクが常に伴います。
特に、会社の業績が悪化した際には、まず非正規雇用の人員から調整される傾向が見られます。無期雇用の正社員のように定年まで働き続けられるという保証はなく、常に次の契約更新について気にかけなければならない点は、長期的なキャリアプランを考える上で不安要素となります。
2020年4月に施行された「パートタイム・有期雇用労働法」により、正社員とパート間の不合理な待遇差は禁止されましたが、依然として差が存在するのが現状です。特に、企業が独自に設ける法定外福利厚生において、その差は顕著です。例えば、住宅手当や家族手当、退職金といった制度は、長期雇用を前提とする正社員のみを対象としている企業が少なくありません。
また、昇給や賞与の機会や金額においても、正社員の方が優遇される傾向にあります。こうした待遇の違いが、生涯年収で見た場合に大きな格差となって現れる可能性があります。
パートの業務は、正社員の補助や定型的な作業が中心となることが多いため、任される仕事の幅が限定されがちです。これにより、多様なスキルを身につけたり、キャリアアップしたりする機会は少なくなります。同じ職場で長く働いていても、責任ある仕事を任されることは少なく、やりがいを感じにくくなるかもしれません。
幅広い業務に挑戦して自身の能力を高めたい、将来的に管理職などを目指したいと考えている人にとっては、パートの働き方は物足りなさを感じる可能性があります。スキルアップを望む場合は、正社員登用制度のある企業を選ぶなどの工夫が必要です。
安定した雇用と充実した待遇が魅力の正社員は、多くの人が目指す働き方の一つです。しかし、その安定性を手にする一方で、働き方の自由度が低くなったり、重い責任を負ったりといった、覚悟しておくべき側面も存在します。ここでは、正社員として働くことのメリットを4つのポイントで解説するとともに、デメリットとなり得る点についても包み隠さずご紹介します。両面を知ることで、自分にとって最適なキャリア選択が見えてくるでしょう。
正社員のメリットには、以下の点が挙げられます。
正社員として働く最大のメリットは、雇用と収入の安定性です。原則として無期雇用契約であるため、会社の倒産や懲戒解雇といったよほどのことがない限り、定年まで継続して働くことが可能です。これにより、長期的な視点で生活設計を立てやすくなります。
また、給与は月給制や年俸制が基本で、毎月決まった額が安定して支給されるため、パートのようにシフトによって収入が大きく変動する心配がありません。さらに、多くの企業では定期的な昇給制度や賞与(ボーナス)があり、勤続年数や実績に応じて着実に収入を増やしていくことが期待できます。
福利厚生の手厚さも正社員の大きな利点です。社会保険や雇用保険への加入はもちろんのこと、企業が独自に設ける法定外福利厚生の恩恵を最大限に受けることができます。具体的には、家賃の一部を補助する住宅手当、配偶者や子どものいる従業員に支給される家族手当、退職金制度、社員食堂の利用、提携施設の割引など、企業によって様々な制度が用意されています。
これらの福利厚生は、可処分所得を実質的に増やす効果があり、生活の質を向上させる上で重要な要素となります。パートでは対象外となることが多いこれらの手厚いサポートを受けられるのは、正社員ならではの特権と言えるでしょう。
正社員は、企業から長期的な貢献を期待されるため、キャリア形成の機会が豊富に用意されています。多くの企業では、スキルアップを目的とした研修や、業務に必要な資格の取得を支援する制度が充実しており、個人の成長を後押ししてくれます。
実務経験を積み、成果を上げることで、昇進・昇格のチャンスが巡ってきます。一般社員から主任、係長、課長へとステップアップし、より大きな裁量権と責任を持つポジションで働くことが可能です。このように、明確なキャリアパスを描きやすく、自身の市場価値を高めていける環境は、将来の安定とやりがいにつながる大きなメリットです。
安定した雇用と収入が保証されている正社員は、社会的な信用度が高いと評価されます。この信用は、人生の様々な局面で有利に働きます。
例えば、住宅や自動車といった高額な買い物のためにローンを組む際や、クレジットカードを作成する際の審査において、パートや有期雇用の労働者に比べて格段に通りやすくなります。金融機関は、返済能力の継続性を重視するため、毎月決まった収入が長期的に見込める正社員を高く評価するのです。将来的にマイホームの購入などを考えている場合、この社会的な信用の高さは非常に重要な要素となります。
正社員のデメリットには、以下の点が挙げられます。
正社員は、安定と引き換えに働き方の自由度が低くなる傾向があります。勤務時間や休日は会社の規定によって定められており、パートのように「今週は週3日、来週は週5日」といった柔軟な調整は基本的にできません。日々のスケジュールが固定されるため、プライベートの予定よりも仕事が優先される場面が多くなります。
また、数週間にわたるような長期休暇の取得も難しいのが実情です。契約社員や派遣社員であれば契約更新のタイミングで数ヶ月の休みを取ることも可能ですが、正社員が同様の休みを取るには、退職せざるを得ないケースがほとんどです。
正社員として働く上で、自身の希望とは関わらない人事異動や転勤は避けられない可能性があります。会社の事業計画や組織編成に基づき、ある日突然、全く異なる業務内容の部署への異動や、場合によっては引っ越しを伴う遠隔地への転勤を命じられることがあります。海外に拠点を持つ企業であれば、海外転勤の可能性もゼロではありません。
これらの業務命令は、原則として拒否することができず、自身のライフプランに大きな影響を及ぼす可能性があります。住み慣れた土地を離れたくない人や、家族の事情がある人にとっては、大きなデメリットとなり得ます。
正社員は、会社の事業運営の中核を担う存在であるため、その仕事には大きな責任が伴います。パートのサポート的な業務とは異なり、企業の利益に直接影響するような重要なプロジェクトや、多額の予算を管理する役割を任されることも少なくありません。成果に対するプレッシャーは大きく、時には部下の失敗の責任を負うなど、精神的な負担を感じる場面も多いでしょう。
キャリアを重ねて管理職になれば、自身の業務だけでなく、チーム全体のパフォーマンスに責任を持つことになります。この責任の重さが、仕事へのやりがいにつながる一方で、過度なストレスの原因となる可能性もあります。
近年、政府が副業を推進しているものの、依然として多くの企業では正社員の副業を就業規則で禁止、あるいは許可制にしています。企業側が副業を制限する背景には、「本業への支障」や「情報漏洩のリスク」、「長時間労働による健康問題」といった懸念があるためです。パートであれば比較的自由に複数の仕事を掛け持ちできますが、正社員の場合はそうはいきません。
規則を破って副業を行った場合、最悪のケースでは懲戒処分の対象となる可能性もあります。収入源を複数持ちたい、あるいは本業以外のスキルを磨きたいと考えている人にとって、この副業のしづらさは大きな制約となるでしょう。
パートと正社員、それぞれの働き方には異なるメリットとデメリットがあります。本記事で解説した違いを参考に、ご自身のライフプランや価値観に合った働き方を見つけることが、後悔しないための第一歩です。
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