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システムエンジニア(SE)への転職や就職を検討している方にとって、年収は重要な判断材料の一つです。本記事では、SEの平均年収の実態と、その裏側にあるさまざまな要因について詳しく解説します。年齢や経験年数による収入の変化、企業規模による違い、そして将来的により高い年収を目指すためのキャリア戦略まで、幅広い視点から分析していきます。これからSEを目指す方も、現役のSEでキャリアアップを考えている方も、ぜひ参考にしてください。
<この記事で紹介する3のポイント>
システムエンジニア(SE)は、システムの設計や構築、運用といった開発に関わるすべての工程に携わる職種です。厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査によると、システムエンジニアの平均年収は522.9万円となっています。
この金額は「決まって支給する月給給与」×12ヶ月+「年間賞与」で計算されたものです。ただし、これはあくまで平均値であり、働き方や環境、スキル次第で年収は大きく変動します。実際には経験や年齢などにより400万~700万程度の年収となることが多く、個人差が大きいのが特徴です。
日本のシステムエンジニアの平均年収は522.9万円が相場となっています。プログラマーと比較すると、より上流工程を担当するシステムエンジニアのほうが高い水準にあります。
また、さらに上流工程やプロジェクト全体の管理を担当するシステムコンサルタントやプロジェクトマネージャーになると、平均年収は733.6万円まで上昇します。このように、担当する業務の範囲や責任の大きさによって年収に差が生じるのが、IT業界の特徴といえるでしょう。
年齢や経験年数、企業規模によっても年収は変動し、20代前半では322.1万円程度からスタートし、50代後半では701.8万円程度まで上昇する傾向があります。
参照:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
システムエンジニアの年収を男女別に見ると、一定の格差が存在することが分かります。男性の平均年収が456万円であるのに対し、女性の平均年収は385万円と、約70万円の差があります。
この差は年齢が上がるにつれて拡大する傾向があり、20代まではそれほど大きな差はありませんが、30代以降になると徐々に開きが大きくなっていきます。
ただし、実力主義を採用している外資系企業やグローバル企業では、年齢や性別を問わず成果によって報酬が決まるため、女性でも活躍次第では高い年収を得やすい環境があります。今後、働き方改革やダイバーシティの推進により、この格差は縮小していくことが期待されています。
ITエンジニアの収入水準は、全産業の平均と比較して高い傾向があります。全体の平均年収が約443万円であるのに対し、システムエンジニアを含むIT専門職は高い専門性が評価され、より高い報酬を得ています。
特に、AI技術の進化と浸透に伴い、データサイエンティストやセキュリティエンジニアなど、特定の専門分野に特化したエンジニアの需要が高まっており、これらの職種では年収1,000万円を超えることも珍しくありません。
また、慢性的な人材不足が続いているIT業界では、優秀な人材を確保するために各企業が競って好条件を提示する傾向があり、結果として業界全体の収入水準を押し上げている状況です。
システムエンジニアの年収は、年齢とキャリアの積み重ねによって大きく変化します。20代から50代にかけて、経験やスキルの向上に伴い着実に年収が上昇していく傾向があります。
ただし、単純に年齢が上がれば年収も上がるというわけではなく、その間に身につけたスキルや担当するポジション、企業での評価などが重要な要素となります。以下では、各年代における年収の特徴と、キャリア形成のポイントについて詳しく見ていきます。
20代のシステムエンジニアは、前半で平均年収322.1万円、後半で407.6万円程度となっています。この時期はまだ経験が浅いため、全体の平均年収より低めの水準となりますが、スキルの習得速度によって大きな差が生まれる時期でもあります。
特に20代前半は新卒で入社したばかりの人も含まれ、最初の賞与が出ないケースもあるため平均金額を下げています。多くの場合、20代前半はプログラマーとして実務経験を積む段階であり、プログラミングスキルの向上に注力する時期です。
20代後半になると、設計やテストなど、より幅広い業務を担当するようになり、それに伴って年収も上昇していきます。
30代のシステムエンジニアは、前半で500.7万円、後半で577.9万円程度の平均年収となります。この年代は経験とスキルを積み、プロジェクトリーダーなど上位のポジションに就く機会が増える重要な時期です。
技術力だけでなく、マネジメント能力やコミュニケーション能力が評価されるようになり、スキルや働き方次第ではさらに高い水準の年収も目指せるようになります。また、正社員としてだけでなく、フリーランスとして独立する選択肢も現実的になり始める時期でもあります。
30代は、今後のキャリアパスを決定づける重要な分岐点となることが多く、専門性を深めるか、マネジメント方向に進むかの選択が求められます。
40代のシステムエンジニアは、前半で643.7万円、後半で631.5万円程度の平均年収となります。50代になると、前半で653.0万円、後半で701.8万円程度まで上昇します。
この年代では、現場で直接プログラミングを行うよりも、管理職として活躍するケースが増えてきます。プロジェクトマネージャーや部門長といった役職に就くことで、役職手当が加わり年収が大幅に上昇することもあります。
ただし、管理職になると、技術的なスキルだけでなく、経営的な視点や人材育成能力など、より幅広いスキルが求められるようになります。60代になると平均年収は大きく下がる傾向がありますが、これは定年後の再雇用などによる影響が大きいと考えられます。
経験年数別に見ると、システムエンジニアの年収は着実に上昇していきます。経験1~4年では平均年収398.2万円、5~9年では462.7万円、10~14年では550.8万円、15年以上では594.7万円となっています。
この数値からも分かるように、システムエンジニアはスキルや経験が給料に直結しやすい職種の一つです。ただし、単に年数を重ねるだけでなく、その間にどのような経験を積み、どのようなスキルを身につけたかが重要となります。
特に、新しい技術への対応力や、プロジェクト管理能力、顧客との折衝能力など、多角的なスキルを身につけることで、より高い評価と年収を得ることができるでしょう。
システムエンジニアの年収は、勤務する企業の規模や形態によって大きく異なります。大手企業、中小企業、フリーランスという働き方の選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。また、正社員、契約社員、派遣社員といった雇用形態の違いも年収に影響を与える重要な要素です。以下では、それぞれの特徴と年収の傾向について詳しく解説していきます。
1,000人以上の規模の大手企業で働くシステムエンジニアの平均年収は626.7万円と、他の企業規模と比較して最も高い水準にあります。大手企業では、大規模なプロジェクトに携わる機会が多く、最新技術に触れる環境も整っています。
また、福利厚生が充実しており、各種手当や退職金制度なども含めると、実質的な収入はさらに高くなる傾向があります。管理職のポストも多く、キャリアアップの機会に恵まれているのも特徴です。
ただし、組織が大きい分、意思決定に時間がかかったり、担当業務が細分化されたりすることもあり、幅広い経験を積みにくいという側面もあります。安定性と高収入を求める人にとっては、大手企業は魅力的な選択肢といえるでしょう。
100人~999人規模の中堅企業では平均年収513.7万円、10~99人規模の中小企業では464.1万円となっています。大手企業と比較すると年収は低めですが、その分、幅広い業務を経験できる機会が多いのが特徴です。
一人のエンジニアが設計から開発、運用まで一貫して担当することも珍しくなく、総合的なスキルを身につけやすい環境があります。また、経営層との距離が近く、自分の意見やアイデアが採用されやすいというメリットもあります。
組織がコンパクトな分、昇進のスピードも早く、若くして管理職に就けるチャンスもあります。将来的に独立を考えている人にとっては、幅広い経験を積める中小企業は良い修行の場となるでしょう。
フリーランスのシステムエンジニアの平均年収は約636万円で、会社員の平均を上回っています。特に客先常駐型の場合は、月額60万円~90万円の高単価案件を受注することもあり、年収700万円~1,000万円も十分に狙える範囲です。
フリーランスの最大のメリットは、自分のスキルと経験に応じて報酬を設定できることです。需要の高い技術を持っていれば、会社員時代の2倍以上の収入を得ることも可能です。
ただし、案件の獲得から契約交渉、事務作業まですべて自分で行う必要があり、純粋な開発業務以外の負担も大きくなります。また、収入の安定性に欠けるため、計画的な資金管理が必要となります。
雇用形態の違いは、システムエンジニアの年収に大きな影響を与えます。正社員は安定した月給と賞与があり、各種手当や福利厚生も充実しています。契約社員は正社員に近い待遇を受けられることが多いものの、雇用期間に制限があります。
派遣社員は時給制が一般的で、スキルによっては高時給を得られますが、賞与がないケースが多いです。パート・アルバイトは最も収入が低くなる傾向がありますが、自分の時間を有効活用できるメリットがあります。
それぞれの雇用形態には一長一短があり、自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせて選択することが重要です。最近では、正社員でも副業を認める企業が増えており、複数の収入源を持つことで年収アップを図る人も増えています。
システムエンジニアといっても、担当する業務やポジションによって年収は大きく異なります。上流工程を担当するエンジニアや、特定分野に特化した専門性の高いエンジニアは、より高い年収を得る傾向があります。
また、技術職からマネジメント職へのキャリアチェンジも、年収アップの重要な選択肢となっています。以下では、それぞれの職種・ポジションにおける年収の傾向と特徴について詳しく見ていきます。
上流工程を担当するエンジニアの中でも、特に高収入なのがシステムアナリスト(平均年収1,295万円)です。情報システムの開発・分析・評価を中心に行い、クライアントへのヒアリングや提案も担当します。
次いで、アクセス・統計解析(平均年収1,048万円)やセキュリティコンサルタント(平均年収800万円)も高い年収を得ています。これらのポジションに共通するのは、技術的な知識だけでなく、ビジネス視点や問題解決能力、高度なコミュニケーション能力が求められることです。
上流工程では、クライアントの経営課題を理解し、最適なソリューションを提案する能力が評価され、その責任の重さに見合った高い報酬が設定されています。
特定の技術分野に特化したエンジニアも、高い市場価値を持っています。例えば、セキュリティコンサルタント(平均年収800万円)は、サイバーセキュリティの重要性が高まる中で需要が急増しています。
また、アクセス解析・統計解析を担当するデータサイエンティスト(平均年収1,048万円)は、ビッグデータ時代において欠かせない存在となっています。情報アーキテクト・UI/UXデザイナー(平均年収630万円)も、ユーザー体験の重要性が認識される中で高く評価されています。
これらの専門職は、深い専門知識と実践的なスキルが必要とされ、希少性の高い人材として高い報酬を得ることができます。
システムエンジニアからのキャリアパスとして、複数の高年収職種があります。ITコンサルタントは、技術的な知識を活かしてクライアントの経営課題を解決する職種で、高い報酬が期待できます。
プロダクトマネージャーは、製品開発の総合責任者として活躍できます。プリセールス・セールスエンジニアは、技術知識を活かして営業活動をサポートする職種です。
また、社内情報化戦略・推進担当として、自社のIT戦略を立案・実行する道もあります。これらの職種は、システムエンジニアとしての経験を活かしつつ、新たなスキルを身につけることで、さらなる年収アップが期待できるポジションです。
システムエンジニアとして年収を上げるためには、戦略的なキャリア形成が不可欠です。技術力の向上はもちろん、資格取得やマネジメントスキルの習得、適切なタイミングでの転職など、さまざまなアプローチがあります。
また、AI技術やクラウド技術など、最新のトレンドを押さえることも重要です。以下では、具体的な年収アップの方法について詳しく解説していきます。
システムエンジニアの年収アップには、継続的なスキル向上と資格取得が効果的です。特に高年収が狙える言語として、SAP製品で使われる「ABAP」、ビッグデータ解析で必須の「R」、配信システムで活用される「Perl」などがあります。
また、PythonやJavaScriptなど需要の高い言語の習得も重要です。資格については、国家資格の「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」から始め、「プロジェクトマネージャー試験」「ITストラテジスト試験」などの高度資格を目指すことで、客観的なスキルの証明となります。
ベンダー資格では、AWS認定資格やGoogle Cloud認定資格など、クラウド関連の資格が特に評価されています。企業によっては資格手当が支給されることもあり、直接的な収入アップにつながります。
技術職からマネジメント職へのキャリアシフトは、大幅な年収アップの機会となります。プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーになることで、役職手当が加わり年収が上昇します。マネジメント職に必要なスキルとして、スケジュール管理、予算管理、人材管理、リスク管理などがあります。
また、経営的な視点を持ち、プロジェクト全体を俯瞰する能力も重要です。コミュニケーション能力や交渉力、プレゼンテーション能力も欠かせません。
これらのスキルは、実務経験を通じて身につけることができますが、MBA取得やマネジメント研修への参加なども有効です。マネジメント職は責任が重い分、やりがいも大きく、キャリアの幅も広がります。
転職は年収アップの有効な手段の一つです。特にIT業界では慢性的な人材不足が続いており、優秀なエンジニアは好条件で転職できる可能性が高いです。転職で年収をアップさせるポイントは、自分の市場価値を正確に把握し、適切なタイミングで動くことです。
スキルや経験が充実している30代~40代前半が、最も転職市場で評価されやすい時期といえます。また、単に年収だけでなく、将来のキャリアパスや働き方、企業文化なども考慮することが重要です。
転職エージェントを活用することで、非公開求人へのアクセスや年収交渉のサポートを受けることもできます。ただし、転職回数が多すぎると逆にマイナス評価となる可能性もあるため、計画的な転職活動が必要です。
システムエンジニアの年収は、全産業平均を上回る水準にあり、専門職としての価値が認められている職種といえます。年齢や経験年数を重ねることで着実に収入は上昇し、企業規模や職種・ポジションによっても大きな差が生まれることが分かりました。
大手企業での安定した雇用、中小企業での幅広い経験、フリーランスとしての高単価案件など、それぞれの働き方にメリットがあります。年収を上げるためには、継続的なスキルアップと資格取得が基本となりますが、マネジメント能力の向上や戦略的な転職も重要な選択肢です。
特に、AI、IoT、クラウドなどの先端技術に関するスキルは、今後ますます重要性を増していくでしょう。システムエンジニアは将来性の高い職種であり、自己研鑽を続けることで、理想的なキャリアと収入を実現できる魅力的な職業です。
「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。