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2015年12月から、年1回の「ストレスチェック」が義務化されました。このストレスチェックは、いつからどのような背景で行われるようになったのでしょうか。従業員の健康管理の中でも、比較的歴史が浅いストレスチェックの開始までの経緯と、目的、チェックの内容、注意点について解説します。
<この記事で紹介する3つのポイント>
目次
2014年に労働安全衛生法が改正され、「ストレスチェックの実施」が義務化されました。これにより、常時50人以上の従業員を雇用する企業は、従業員に対して毎年ストレスチェックを行わなければならなくなったのです。
ストレスチェックの義務化の背景と、必要性、企業で実施する際の流れ、注意点などについて解説します。
ストレスチェックは、労働者が感じているストレスを把握するための検査です。検査は設問に対して4段階評価で解答する形式で行い、これらの設問を通して従業員のストレス度を測ります。
厚生労働省が公表しているストレスチェックの設問数のパターンは主に4つです。
個人ごとのストレス度を算出したい場合は、57項目以上が適しています。
精神的な不調を訴えて労災認定される労働者の増加は、2000年台から問題となっていました。2010年台前後に入ると、毎年最悪記録を更新する事態となり、さらに過重労働が引き金となり自ら命を絶ってしまう人がクローズアップされます。
これらを解決するための取り組みのひとつとして、厚生労働省は2014年にストレスチェックの義務化に踏み切ったのです。
ストレスチェックは雇用契約期間が1年以上(見込みも含む)の労働者に対して行われます。労働契約に期間の定めがない正社員はもちろん、派遣社員、契約社員、週数日のパートや、数時間のアルバイトに対しても、契約期間が1年以上であれば実施しなければなりません。
ストレスチェックの目的は、労働者自身が自分の心理的負荷を振り返り、セルフケアや早期相談へつなげることです。
ストレス度の高い従業員はメンタル不調に陥りやすく、精神科や心療内科の受診などが必要になることも少なくありません。そのため、高ストレスと判断された従業員は、産業医などとの面接相談を受けることも可能です。
集団ごとのデータ分析で職場全体のストレス度が高いと判断される部署に対しては、職場環境そのものの見直しが行われる場合もあります。
労働安全衛生法では、企業などの雇用者に対して、1年以内ごとに1回、定期的にストレスチェックを行うように求めています。
50名未満の職場のストレスチェックは努力義務とされます。しかし、労働者が少ないからといって、仕事や職場環境からの心理的負荷が軽いわけではありません。厚生労働省は、できるだけ実施するのが望ましいとしています。
ストレスチェックのルーティンは、ストレスチェックの実施、結果通知とフォローアップ、結果の保管、労働基準監督署への報告の4つです。
なお、全国の産業保健総合支援センターでは、ストレスチェックに関するサポートを提供しており、実施に関する質問や相談を受け付けています。
ストレスチェックを初めて導入する際には、従業員に対する適切な周知が重要です。仕事や職場環境の負荷からメンタルヘルス不調に陥りかけていることを発見し、メンタルヘルス不全を未然に防ぐ目的を明確に伝えます。
また、希望した場合のフォローアップ体制や、検査結果は産業医や保健師などが保管し、本人の同意なく上司に提供されることはないと保証することも大切です。
さらに、今後、全員に毎年実施するとしてストレスチェックを一般化すると、より前向きに取り組んでもらえます。
ストレスチェックは、「ストレス要因」「ストレス反応」「周囲の支援」の3つの領域の質問で構成されています。一般的な実施方法は、紙媒体で行う方法と、Webを活用して行う方法です。
紙で実施する場合には、人に見られないように封をして提出できるようにする配慮が必要です。Webの場合は社内のネット掲示板などでリンクをはって周知するとともに、忘れないようリマインドしましょう。
いずれも時期を決めて全員にストレスチェックを受けてもらえるように働きかけることが大切です。
ストレスチェックの結果では「ストレスプロフィール」と「ストレスの度合い」「面接指導の必要性」を、ストレスチェックの実施者または、実施事務担当者から直接従業員に通知します。このとき、本人の手元に届くまでの間に通知を他人に見られないような配慮が必要です。
ストレスチェックの結果から相談を希望する従業員に対応するために、産業医などとの調整を行い、面接指導の必要性には、申込窓口を明記しておきます。
ストレスチェックの結果や面談の記録は、個人情報の中でもセンシティブな情報として扱われます。限られた人のみのアクセスしか許されない環境で5年間保管します。
ストレスチェックの結果と面談の実施状況は、管轄の労働基準監督署に報告しなければなりません。報告をしなかったり、場合や虚偽の報告をしたりすると50万円以下の罰金が科せられる場合があります。
1年以上の雇用契約がある労働者でも、対象にならない場合もあります。ストレスチェックの非対象者について説明します。
外国で現地法人に雇用されている場合は、日本の法律が適用されないため、ストレスチェックの対象にはなりません。ただし、出向などで現地法人に勤務していても日本の企業に在籍している場合は、ストレスチェックの対象となりますので注意が必要です。
1年以上の雇用契約があっても、産前・産後休暇や育児休暇、介護休暇、療養休暇などで休職している期間はストレスチェックの対象外とします。
採用の内定を出したり、入職する期日が決まっていたりするなどまだ入職していない人は、今後1年以上の雇用が予定されている人であっても、雇用契約を結ぶ前はストレスチェックが不要です。
ストレスチェック実施の義務は雇用者である企業側にありますが、被雇用者である従業員にストレスチェックを受ける義務があるわけではありません。
従業員が「ストレスチェックは受けたくない」と意思表示をした場合には、再度ストレスチェックの目的と個人情報として厳重に管理されることを丁寧に説明することが大切です。それでもストレスチェックを拒否された場合には、受けないことで不利益な取り扱いはされないことを伝えておきましょう。
また、ストレスチェックは受けたけれど、高ストレスと判断され、フォローアップとしてすすめられる面接指導は受けたくないと拒否する場合もあります。上司にストレスチェックで高ストレスと判断されたことを知られて、自分に不利になるのではと不安になってしまう心理からです。
このような従業員には、面接指導以外の方法として、医療機関への受診や相談窓口を紹介することが大切です。
労働安全衛生法で義務付けられているストレスチェックは、雇用者の義務として1年以上働いている労働者全員を対象に行わなければなりません。
ストレスチェックを実施することで、セルフケアなど従業員個人の努力だけでなく、産業医などの面接指導や医療機関の受診を通してメンタルヘルスの向上につながります。企業としても、心理的負荷の高い部署をあぶり出して改善することで企業全体のパフォーマンスが上がります。
海外で勤務している従業員に対するストレスチェックの実施をお考えでしたら、DYMへぜひご相談ください。
「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。
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