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アウトソーシングと派遣の違いを比較!選び方と注意点を解説

公開日:2026.02.09  更新日:2026.02.09

業務効率化や人材不足への対応として、外部の人材サービスを活用する企業が増えています。その際に選択肢となるのが「アウトソーシング」と「人材派遣」です。しかし、両者の違いを正しく理解せずに選択すると、コストや効率の面で期待した成果が得られないことも少なくありません。本記事では、アウトソーシングと人材派遣の違いを詳しく比較し、それぞれのメリット・デメリット、適した活用シーンから契約時の注意点まで、自社に最適なサービスを選ぶための情報を網羅的に解説します。

<この記事で紹介する3つのポイント>

  • 約形態や指揮命令権など、アウトソーシングと派遣の5つの重要な違い
  • 各サービスのメリット・デメリットと、目的別の選び方ガイド
  • 偽装請負や二重派遣など、契約前に押さえるべき法的リスクと対策

アウトソーシングと派遣の違いを比較

アウトソーシングと人材派遣は、どちらも外部の人的リソースを活用する手法ですが、契約形態から業務の進め方まで大きく異なります。ここでは、両者を5つの観点から比較していきます。

指揮命令権受託会社(アウトソーシング会社)派遣先企業(自社)
契約形態業務委託契約(請負契約など)労働者派遣契約
料金体系成果物・業務プロセスに対する対価労働時間に対する対価(時間単価)
対象業務業務プロセス全体特定の労働力の提供
適用法律民法労働者派遣法

契約形態の違い

アウトソーシングと人材派遣の最も基本的な違いは、契約形態にあります。

アウトソーシングでは、自社とアウトソーシング会社の間で「業務委託契約」を締結します。この業務委託契約には、請負契約、委任契約、準委任契約の3種類が存在するのです。

請負契約は成果物の納品に対して報酬を支払う形式で、Webサイトやロゴデザインの制作などが該当します。委任契約は弁護士の訴訟業務や税理士の申告業務など法律行為の遂行に対する契約となっています。そして、準委任契約は総務業務や広告宣伝業務など、法律行為以外の業務遂行に対する契約です。

一方、人材派遣では、自社と人材派遣会社の間で「労働者派遣契約」を締結します。この契約により、派遣会社に雇用されている派遣社員を自社で受け入れることが可能になるでしょう。

契約の相手は派遣社員個人ではなく、派遣元の人材派遣会社である点に注意が必要です。

指揮命令権の所在

指揮命令権、つまり業務の指示や管理を誰が行うかという点でも、両者は大きく異なります。

アウトソーシングでは、指揮命令権はアウトソーシング会社にあります。自社はアウトソーシング会社に対して成果物の納品や業務の遂行を委託するため、自社の社員がアウトソーシング会社の担当者に直接細かな業務指示を出すことはできません。

業務の進め方や人員配置は、アウトソーシング会社が独自に判断して行います。そのため、定型化された業務やルールが明確な業務に適しています。

人材派遣では、指揮命令権は派遣先企業、つまり自社にあります。派遣社員は自社内で業務を行い、自社の社員から直接指示を受けて仕事を進めます。

これにより、業務の進め方に関するルール変更や、例外的な対応が多い業務でも柔軟に対応できるのが特徴です。

料金体系とコスト構造

料金の支払い方法も、アウトソーシングと人材派遣では異なる仕組みとなっています。

アウトソーシングの料金体系は、主に成果物や業務プロセス全体に対する固定額、または従量単価で設定されます。1つのプロジェクト単位で報酬が支払われることが一般的です。

また、業務の構築費やシステム導入による初期費用が別途発生する場合もあります。成果物の品質や業務の完成度が重視されるため、時間あたりのコストではなく、成果に対する対価という考え方になります。

人材派遣の料金体系は、派遣社員の実働時間数に時間単価を掛けた派遣料金が基本です。派遣社員が実際に働いた時間に応じて費用が発生するため、労働時間に対する対価という考え方になります。

契約によっては、必要経費を別途精算する場合もありますが、基本的には時間単価による明瞭な料金体系です。

対象となる業務範囲

アウトソーシングと人材派遣では、対象となる業務の範囲や性質にも違いがあります。

アウトソーシングは、業務プロセス全体を一括して外部に委託する手法です。例えば、給与計算業務をアウトソーシングする場合、計算業務だけでなく、データ入力から振込処理、給与明細の発行まで、一連の業務プロセス全体を委託できます。業務に必要な専門知識や設備、人員配置まで、アウトソーシング会社が最適な体制を構築して対応してくれます。

人材派遣は、特定の労働力の提供が目的です。派遣社員は自社の一員として業務を行いますが、業務プロセス全体ではなく、その中の特定の作業や役割を担当します。自社の社員と同じように、指示を受けながら業務を進めていくスタイルです。

適用される法律

アウトソーシングは、民法に基づく業務委託契約となります。契約形態は請負契約、委任契約、準委任契約に分類され、それぞれ異なる義務が発生するのです。

請負契約の場合は成果物を完成させる義務があり、完成しなければ報酬を請求できません。委任契約は法律行為の業務遂行に対する契約で、準委任契約は法律行為以外の業務遂行に対する契約となっています。

委任契約や準委任契約では、業務の遂行そのものが義務となり、結果を保証するものではないという点に注意が必要でしょう。

人材派遣は、労働者派遣法(正式名称「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」)が適用されます。この法律により、派遣可能期間の制限(原則3年)や、派遣社員を特定する行為の禁止、派遣禁止業務の規定など、様々なルールが定められています。これらの規定を守らないと、法的なペナルティを受ける可能性があるため十分な注意が必要です。

参考:厚生労働省「労働者派遣法が改正されました」

業務委託・請負・BPOとの違い

アウトソーシングに関連する用語として、業務委託、請負、BPOという言葉を耳にすることがあります。これらの関係性を整理しておきましょう。

「業務委託」は、自社の業務を外部に委託する契約形態の総称です。法律上の正式な契約類型ではなく、実務上よく使われる呼び方で、請負契約、委任契約、準委任契約が含まれます。

「請負」は業務委託の一種で、成果物の完成と納品を約束する契約形態です。Webサイトの制作やシステム開発など、明確な成果物がある業務に用いられます。

「BPO」は、ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略称で、アウトソーシングの一形態です。給与計算や採用業務、コールセンター運営など、企業の業務プロセス全体を長期的に外部に委託することを指します。

単発の業務ではなく、継続的な業務プロセスを外部の専門企業に任せることで、業務品質の向上やコスト削減を図るのです。

つまり、アウトソーシングは業務委託の一種であり、その中に請負やBPOといった様々な形態が含まれているという関係性になります。

アウトソーシングと派遣のメリット・デメリット

アウトソーシングと人材派遣には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。自社の状況や目的に合わせて選択するために、両者の特徴を詳しく見ていきましょう。

アウトソーシングのメリット

アウトソーシングを活用することで得られる主なメリットは、コア業務への集中、専門性の活用、コスト構造の最適化です。

コア業務への集中

アウトソーシングの最大のメリットは、社内のリソースをコア業務に集中できることです。定型業務や専門性の高い業務を外部に委託することで、社員は企業の成長に直結する重要な業務に注力できるようになります。

例えば、経理業務をアウトソーシングすれば、経理担当者は日々の記帳作業から解放され、財務分析や経営戦略の立案といった付加価値の高い業務に時間を使えるようになります。新規事業の立ち上げや強化部門へのリソース配分も可能になり、経営資源の最適化につながります。

変化が激しい現代のビジネス環境では、企業は常に迅速かつ柔軟な判断が求められます。定型業務や突発的な対応に追われて、企画提案を考える時間がないという状況を改善できるのは、大きな魅力といえるでしょう。

専門性の活用と品質向上

アウトソーシング会社は、特定の分野に特化した専門的な知識やノウハウを持っています。これまで多くの企業で培ってきた経験を活かしたマネジメントサイクルや業務フロー、教育制度など、品質の向上・維持ができる仕組みも整えています。

例えば、コールセンター業務をアウトソーシングすれば、顧客対応の専門家による質の高いサービスを提供できます。自社で対応するよりも顧客満足度の向上が期待でき、さらに常に最新の知識やツールを取り入れているため、法律改正や制度変更などにも柔軟に対応できます。

また、外部企業に委託することで必要な設備投資を自社で行う必要がないのも魅力です。専門性の高い外部企業に業務を委託することで、自社よりも高い品質で業務の遂行や商品・サービスの提供が可能になります。

コストの変動費化

アウトソーシングを活用することで、人件費を固定費から変動費に転換できます。自社で社員を雇用する場合、募集から書類選考、面接などの採用業務や、採用した社員に対する教育業務が発生し、さらに継続的な給与や社会保険料などの固定費が必要です。

アウトソーシングでは、委託先が必要な業務量や期間に合わせて運用を調整するため、業務量の変動に合わせた最適化が可能です。繁忙期の業務を委託することで繁閑期の業務の差がなくなり、安定的な運用ができます。

また、外部企業が最適な運用体制や業務フローで業務を遂行するため、自社で行う採用業務や教育業務の手間や労力を抑えられます。

アウトソーシングのデメリット

アウトソーシングには多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。

社内にノウハウが蓄積しにくい

アウトソーシングを利用すると、委託した業務のノウハウが自社内に蓄積されにくくなります。例えば、経理業務を委託すると、自社で経理業務の経験を積む機会が失われ、社内での経験やノウハウの蓄積が難しくなります。

経理業務は自社では行わないという方針であれば問題ありませんが、何らかの理由でアウトソーシングの利用ができない、または停止することになった場合、自社では対応できないというリスクが生じます。委託先の企業に依存する状態となるため、委託先が倒産した場合や、依頼料が上がった場合など、経営に支障が生じる可能性もあります。

このリスクを軽減するためには、定期的に業務委託先の企業との面談や、双方でマニュアル確認などを行い、業務内容を把握しておくことが重要です。

情報漏洩のリスク

アウトソーシングを利用するためには、社内の情報を外注先に共有する必要があります。顧客情報や従業員情報といった機密情報を扱う業務を委託する場合、受託企業のセキュリティ対策が不十分だと、情報漏洩のリスクが高まります。

近年、個人情報に関する法律の規制や企業に求められるコンプライアンスが厳しくなっており、万が一情報が漏洩してしまった場合、事業の継続に多大な影響を及ぼします。情報漏洩リスクを抑える方法として、アウトソーシングを検討している企業の体制や対策を十分に確認することが不可欠です。

また、外部企業の社員が自社の社内で業務を行うオンサイト型を選択することで、情報管理の面でもより安全に運用できます。安全にアウトソーシングを活用するためには、信頼して任せられる企業の選定が何より重要です。

人材派遣のメリット

人材派遣を活用することで、柔軟な人材確保や管理業務の負担軽減などのメリットが得られます。

必要な時に人材を確保できる

人材派遣の最大のメリットは、期間やタイミング、業務内容など、必要に応じて柔軟に派遣社員を受け入れられる点です。必要な時に必要なスキルを持つ人材を活用できるため、繁閑期の業務量の差が大きい場合でも効率的に対応できます。

例えば、年度末や月末月初など、業務負荷が高まりやすい時期に短期間だけ人材派遣を活用したり、短時間勤務や週3日などの時短勤務、社員の育児休業や介護休業などの一時的な欠員の補充のために活用したりと、自社の状況に合わせて柔軟に人員を追加できます。

また、人材派遣会社には、さまざまな経験やスキルを持つ派遣社員が登録されています。そのため、自社が必要とする専門知識や実務経験が豊富な即戦力となる人材を受け入れられます。

直接指示して業務を進められる

人材派遣では、派遣社員は自社の社員から直接業務指示を受けながら社内で業務を行います。派遣先企業が派遣社員に直接業務指示を出すことができるため、イレギュラーへの対応や、突発的な業務内容の変更にも柔軟に対応してもらえます。

業務の実施者に直接指示を出すことにより、業務の意図や全体感まで伝えながら遂行してもらえるのは大きな利点です。業務の進め方に関するルール変更や、例外的な対応が多い業務では、アウトソーシングよりも人材派遣が適しているといえるでしょう。

また、派遣社員は自社内で業務を行うため、社内にノウハウやナレッジを蓄積できます。アウトソーシングとは異なり、業務自体は自社の指揮命令によって行うため、既存の業務をブラッシュアップすることも可能です。

採用・教育コストの削減

人材派遣を利用する場合、人材採用のコストや工数を大幅に軽減できます。自社で社員を採用する場合、募集から書類選考、面接までの採用業務に加え、採用した社員のスキルに合わせた教育業務が必要になります。

自社で採用を行う場合の懸念点として、募集をしても求めている人材の応募がないことや、採用した社員が定着するかどうか分からないことなどが挙げられます。応募がない場合は欠員期間が長くなり、社員の負荷が大きくなってしまいます。

また、採用した社員が早期退職してしまった場合は、再度採用活動を行い、改めて採用した社員への教育研修も必要です。

一方で、人材派遣を利用する場合は、人材派遣会社が自社の要望に合った人材を提案するため、これらのコストや工数を軽減できます。

人材派遣のデメリット

人材派遣にも、利用する際に注意すべきデメリットがあります。

契約期間に制限がある

労働者派遣法により、派遣社員を受け入れられる期間が事業所単位と個人単位で定められています。事業所単位の場合、派遣社員の受け入れは原則3年まで、個人単位の場合も3年までです。

事業所単位の場合は、派遣可能な期間を延長することが可能ですが、個人単位の場合は同一の派遣社員の受け入れの延長はできません(期間制限の例外に該当する場合を除く)。契約期間を超えて長期的な雇用を希望する場合は、派遣社員と企業とで直接雇用の契約を結び、自社社員にする必要があります。

また、人材派遣では契約期間に制限があるため、派遣社員が代わる度に業務の引き継ぎを行う必要があります。その一方で、アウトソーシングでは契約期間の制限がないため、定期的に業務の引き継ぎを行う必要はありません。

育成しても自社の資産にならない

派遣社員に対して業務の指導や育成を行っても、その人材は最終的には派遣元の人材派遣会社に所属しているため、自社の資産として定着させることはできません。せっかく育成した人材が、契約期間の終了とともに去ってしまうのは、企業にとって大きな損失となる可能性があります。

また、派遣社員は派遣元である人材派遣会社と雇用契約を結んでおり、自社と人材派遣会社は労働力の提供を目的とする労働者派遣契約を結びます。自社と派遣社員は直接雇用ではないため、自社が誰を派遣社員として受け入れるかを選ぶことはできず、派遣社員を選考することが目的の面接もできません。

受け入れ前に行われる職場見学は、あくまでも派遣社員が希望した場合に派遣先企業を訪問し、派遣社員が業務内容や就業環境などを確認することを目的としています。

どちらを選ぶ?目的別の選び方ガイド

アウトソーシングと人材派遣、どちらを選ぶべきかは、自社の課題や目的によって異なります。ここでは、それぞれが適しているケースを具体的に解説します。

アウトソーシングが適しているケース

アウトソーシングは、以下のようなケースで特に効果を発揮します。

 専門性の高い業務を品質重視で依頼したい場合

法務、会計、システム開発など、高度な専門知識が必要な業務は、アウトソーシングが適しています。アウトソーシング会社がこれまで他社で蓄積してきたノウハウや知見を活用することで、自社内で業務を行うより、効率良く安定的に業務を行うことができます。

 定型業務を一括して任せたい場合

給与計算、経理業務、コールセンター運営など、ルール化できる業務やマニュアルに沿って進めやすい業務は、アウトソーシングに向いています。適宜指示を出す必要がない定型化された業務は、アウトソーシング会社が独自に業務を進められるため、自社の管理負担も軽減できます。

 業務量の変動が大きい業務に対応したい場合

繁忙期と閑散期の差が大きい業務を遂行するために、一時的に人材を採用する方法もありますが、採用に時間がかかることや、必要なスキルを持っている人材を採用できないことがあります。

また、繁忙期に合わせて人材を採用すると、閑散期に人件費が負担になる可能性があります。アウトソーシングでは、委託先が必要な業務量や期間に合わせて調整をするため、業務量の変動に合わせて運用が最適化されます。

採用・教育のコストと時間を削減したい場合

人材難の世の中である上に、転職も一般化しているため、自社採用の難易度はますます高まっています。また、採用をしても社員の育成や管理には、莫大なコストや工数がかかります。アウトソーシングでは、自社で採用、育成、管理を行う必要がないため、それらのコストや工数を削減できるのは大きなメリットです。

人材派遣が適しているケース

人材派遣は、以下のようなケースで特に有効です。

柔軟な業務指示が必要な場合

イレギュラー対応が多い業務や、日々状況が変わる業務では、直接指示を出せる人材派遣が適しています。派遣社員に直接業務指示を出すことができるため、突発的な業務内容の変更にも柔軟に対応してもらえます。

一時的な人員補充が必要な場合

繁忙期で人手が足りない時期など、一時的に人材を調達したい場合には、人材派遣が適しています。短期間での派遣サービスや、週に数回の派遣サービスなどもあるため、一時的に増員がしたい時や、工数の少ない業務に対応してほしい時にも活用できます。

専門スキルを持った即戦力が欲しい場合

法務関連の知識や経験がある派遣社員を受け入れ、契約書の確認や見積書の作成サポート、契約台帳の作成などを任せることができます。教育や研修の負担を最小限に抑えたい場合には、業務に必要な専門知識や実務経験が豊富な派遣社員を受け入れることが効果的です。

社員の欠員を補填したい場合

社員の急な退職や育児休業、介護休業などの代替として、人材派遣は活用できます。社員の採用が決定するまでの間や、休業中の社員が復帰するまでなど、期間を定めた人材活用が可能です。自社で社員を採用する場合、職種や求めるスキルによっては即戦力となる人材を見つけることは難しく、業務未経験者しか採用できなかった場合は教育に時間を要します。

【注意点】契約前に必ず押さえるべきポイント

アウトソーシングや人材派遣を導入する際には、契約前に必ず確認すべき重要なポイントがあります。これらを見落とすと、法的なリスクや業務上の問題が発生する可能性があります。

違いの理解不足が招く「偽装請負」のリスク

偽装請負とは、書類上では請負契約を結んでいるにもかかわらず、実態としては労働者派遣契約に該当する行為を行うことです。これは労働者派遣法に抵触する可能性がある違法行為となります。

請負契約では、委託者は受託者に対して直接指揮命令を行う権限を持ちません。それなのに、実態として委託者が受託者に直接細かな業務指示を行っていると、偽装請負と判断される可能性があるでしょう。

偽装請負と判断されると、労働局からの是正指導や企業名の公表、さらには刑事罰の対象となる可能性もあります。また、取引先や顧客からの信頼を失い、企業イメージの低下にもつながるのです。

偽装請負を防ぐためには、アウトソーシングと人材派遣の違いを正しく理解し、契約形態に応じた適切な業務の進め方を守ることが重要です。

指揮命令権は誰にある?業務指示の可否を確認

契約前に、指揮命令権がどちらにあるのかを明確に確認しましょう。

アウトソーシングの場合、指揮命令権はアウトソーシング会社にあります。自社は成果物や業務の完成を依頼するのみで、具体的な作業手順や進め方について細かく指示することはできません。もし直接指示を出したい場合は、人材派遣を選択する必要があるでしょう。

人材派遣の場合、指揮命令権は派遣先企業である自社にあります。派遣社員に対して、業務内容、作業手順、勤務時間などを直接指示できるのです。

ただし、契約書に記載されていない業務を任せることはできません。契約外の業務を依頼すると契約違反になる可能性があるため、依頼したい業務や今後発生するかもしれない業務については、契約書に記載しておく必要があります。

情報漏洩を防ぐセキュリティ体制のチェック

外部に業務を委託する際には、情報漏洩のリスクを十分に考慮する必要があります。特に顧客情報や従業員情報、機密情報を扱う業務を委託する場合は、委託先のセキュリティ体制を入念にチェックしましょう。

確認すべきポイントとして、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)やプライバシーマーク(Pマーク)などの第三者認証を取得しているか、情報の取り扱いに関する社内規程や教育体制が整っているか、データの暗号化やアクセス制限などの技術的対策が適切に施されているか、などが挙げられます。

また、契約書において、秘密保持義務や情報漏洩時の損害賠償責任について明確に定めておくことも重要です。オンサイト型のアウトソーシングを選択し、自社内で業務を行ってもらうことで、情報管理のリスクをさらに低減できるでしょう。

「丸投げ」で発生するノウハウの空洞化

アウトソーシングを利用する際に特に注意したいのが、業務を完全に「丸投げ」してしまうことによるノウハウの空洞化です。

業務を外部に委託すると、その業務に関する知識や経験が社内に蓄積されなくなります。短期的には効率化やコスト削減のメリットがありますが、長期的には自社で業務を遂行できる人材がいなくなり、委託先への依存度が高まってしまうでしょう。

ノウハウの空洞化を防ぐためには、定期的に業務委託先の企業との面談や、双方でマニュアル確認などを行い、業務内容を把握しておくことが重要です。また、コア業務と非コア業務を明確に区別し、自社に残すべき業務とアウトソーシングする業務を戦略的に決定することも大切となります。

委託先と適切にコミュニケーションを取り、業務の進捗状況や課題を共有する体制を構築しておくことで、契約終了時もスムーズに対応できます。

【失敗しないコツ】アウトソーシングを成功に導く方法

アウトソーシングを導入する際には、いくつかの重要なポイントを押さえることで、成功の確率を高めることができます。

依頼する業務範囲と目的を明確にする

アウトソーシングを成功させるための第一歩は、依頼する業務範囲と目的を明確にすることです。

まず、どの業務をアウトソーシングするのか、その業務範囲を具体的に定義しましょう。業務の切り分けが曖昧だと、委託する業務としない業務の境界が不明確になり、逆に業務が非効率になる可能性があります。業務の切り分けは、重要ではあるものの自社だけで行うのは難しいため、外部企業と相談しながら進めるとよいでしょう。

また、なぜその業務をアウトソーシングするのか、目的を明確にすることも重要です。コスト削減が目的なのか、品質向上が目的なのか、社内リソースの最適化が目的なのかによって、選ぶべき委託先や契約形態も変わってきます。

契約書とSLA(サービス品質保証)を確認する

契約書の内容を詳細に確認することは、トラブルを未然に防ぐために不可欠です。

契約書では、業務範囲、納期、費用、支払い条件、秘密保持義務、損害賠償責任、契約解除条件などを明確に定めておく必要があります。特に、どこまでが委託する業務で、どこからが自社で行う業務なのか、境界を明確にしておくことが重要です。

SLAの設定も重要なポイントです。SLAとは、サービスの品質や水準について、具体的な数値目標を定めたものです。例えば、「問い合わせに対する回答時間は24時間以内」「システムの稼働率は99.9%以上」といった具体的な基準を設定します。

SLAを設定することで、期待するサービスレベルが明確になり、委託先の評価も客観的に行えます。また、SLAを達成できなかった場合のペナルティや、サービス改善の手順についても契約書で定めておくことが望ましいでしょう。

導入後の円滑なコミュニケーション体制を構築する

アウトソーシングは、契約を締結して業務を委託したら終わりではありません。導入後の円滑なコミュニケーション体制を構築することが、成功の鍵を握ります。

定期的なミーティングを設定し、業務の進捗状況、課題、改善提案などを共有する場を設けましょう。月次や四半期ごとの定期報告会を開催し、KPIの達成状況を確認することも効果的です。

また、日常的な連絡手段を確立しておくことも重要です。メール、チャット、電話など、状況に応じて適切なコミュニケーションツールを選択し、迅速に情報共有できる体制を整えましょう。

委託先との関係は、単なる発注者と受注者の関係ではなく、共に目標を達成するパートナーとしての関係を築くことが理想です。問題が発生した際には、責任の所在を追及するのではなく、共に解決策を模索する姿勢が、長期的な成功につながります。

アウトソーシング・派遣のよくある質問

アウトソーシングと人材派遣に関して、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。

派遣からアウトソーシングへの切り替えは可能?

派遣からアウトソーシングへの切り替えは可能です。特に業務が標準化され、マニュアル化できる状態になった場合や、派遣社員の契約期間が3年に達して更新できなくなる場合は、切り替えを検討する良いタイミングといえます。

切り替えの際には、現在の業務内容を詳細に整理し、アウトソーシング会社に正確に伝えることが重要です。また、移行期間中は派遣社員からの業務引継ぎをスムーズに行うための計画を立てる必要があります。

「BPOはやめとけ」と言われる理由は?

「BPOはやめとけ」と言われる主な理由は、社内にノウハウが蓄積されないこと、委託先への依存度が高まること、導入コストが高いことなどが挙げられます。業務プロセス全体を長期的に外部委託するため、将来的に内製化したいと考えても対応できる人材がいない状況になる可能性があります。

ただし、コア業務と非コア業務を明確に区別し、定期的に業務内容を確認して社内にもノウハウを残す仕組みを作るなど、適切な準備と管理によってデメリットは軽減できます。

アウトソーシングされると正社員はどうなる?

アウトソーシング導入時、その業務に従事していた正社員は、他の部門やコア業務への配置転換が一般的です。定型業務から解放された社員が、より付加価値の高い業務に集中できるメリットがあります。

場合によっては、業務と一緒にアウトソーシング先企業に転籍するケースもありますが、この場合は社員の同意が必要です。企業は計画段階から社員への丁寧な説明を行い、配置転換の計画や教育研修の機会、キャリア開発の支援などを明確に示すことが重要となります。

まとめ

アウトソーシングと人材派遣は、契約形態、指揮命令権、料金体系などが大きく異なります。アウトソーシングは業務プロセス全体を専門企業に委託し、コア業務への集中や専門性の活用が可能です。定型業務や専門性の高い業務に適しています。

人材派遣は必要な時に必要な人材を確保でき、直接指示が可能なため、柔軟な対応が求められる業務に向いています。どちらを選ぶかは、業務の性質、期間、コスト、管理方法を総合的に考慮することが重要です。

契約前には偽装請負などの法的リスクを理解し、指揮命令権の所在や情報漏洩対策を確認しましょう。自社の課題や目的を明確にした上で、最適なサービスを選択し、業務効率化や生産性向上を実現してください。

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