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コンコルド効果とは?身近な例、原因、対策を解説

公開日:2024.11.25  更新日:2024.11.28

コンコルド効果は、私たちの日常生活やビジネスにおいて、しばしば合理的な判断を妨げる心理的傾向です。この記事では、コンコルド効果の意味や起源、身近な例から、その対策方法までを幅広く解説します。コンコルド効果を理解し、対処することで、個人の生活の質向上から企業の経営判断の改善まで、幅広い場面で活用できる知識を得られるでしょう。

<この記事で紹介する4つのポイント>

  • コンコルド効果とは、損失が明らかでも過去の投資を惜しんで続行してしまう心理傾向のこと
  • コンコルド効果の原因には、心理的要因が複雑に絡み合っている
  • コンコルド効果は日常生活のさまざまな場面で見られる
  • コンコルド効果を理解し適切に対処することで、幅広い場面で合理的な意思決定が可能になる

コンコルド効果とは

コンコルド効果は、日常生活やビジネスシーンで頻繁に見られる心理現象です。この効果は、投資を継続すると損失が出ると分かっていても、これまでに投資した資源を惜しんで投資を続けてしまう心理的傾向を指します。言い換えれば、「もったいない」という感情に縛られて、合理的な判断ができなくなってしまう状態といえるでしょう。

この現象は、経済学や心理学の分野で広く研究されており、私たちの意思決定に大きな影響を与えています。コンコルド効果について詳しく理解することで、日々の生活や仕事における判断力を向上させることができるかもしれません。

コンコルド効果の起源

コンコルド効果の概念は、1970年代に経済学者や心理学者によって研究され始め、人間の行動経済学や意思決定理論の分野で注目されるようになりました。研究者たちは、人々が過去の投資に執着し、将来の損失を避けるために非合理的な決定を下す傾向があることを発見。経済学や心理学の分野に大きな影響を与え、人間の意思決定プロセスについての理解を深める契機となります。

その結果、従来の経済理論では説明できない人間の行動パターンに光が当てられ、より現実的な経済モデルの構築につながっていきました。

名前の由来

コンコルド効果という名称は、超音速旅客機「コンコルド」の開発事業から来ています。この名前が付けられた理由は、コンコルド開発事業が、まさにこの心理効果を象徴する出来事だったからです。

1970年代、イギリスとフランスが共同で超音速旅客機「コンコルド」の開発を進めていました。コンコルドは、マッハ2を超える速度で飛行できる画期的な旅客機として注目を集めていましたが、開発が進むにつれて、採算が取れないことが明らかに。しかし、両国政府は既に投じた多額の開発費用を惜しんで、プロジェクトの中止を決断できませんでした。

結果として、開発は続行され、最終的には商業運航にまで至りました。しかし、予想通り採算は取れず、騒音問題や環境問題なども重なり、最終的には巨額の損失を出して事業は終了しました。

この事例が、経済学者や心理学者の注目を集め、同様の心理現象を指す用語として「コンコルド効果」が広く使われるようになりました。この名称は、大規模な事業だけでなく、日常生活の中の小さな決断にも適用される普遍的な概念として定着しています。

コンコルド効果が引き起こされる原因

コンコルド効果は、人間の複雑な心理メカニズムによって引き起こされます。いくつかの心理的要因が複雑に絡み合うことで、私たちは時として非合理的な決断を下してしまうのです。

ここでは、コンコルド効果を引き起こす主な原因について詳しく見ていきましょう。各要因を理解することで、自分自身の思考パターンを客観的に捉え、より賢明な判断を下すための手がかりを得ることができるでしょう。

損失回避の傾向

損失回避傾向は、コンコルド効果を引き起こす最も強力な要因の一つです。人間は一般的に、同じ価値の利得よりも損失をより強く感じる傾向があります。つまり、1万円を得ることよりも1万円を失うことの方が、心理的なインパクトが大きいのです。この傾向が、既に投資したものを手放すことへの抵抗感を生み出します。赤字続きの事業でも「これ以上の損失は避けたい」という思いから、撤退の決断を躊躇してしまうことがあります。

自己正当化欲求

人は往々にして、自分の過去の決定が正しかったことを証明しようとします。これは、自尊心を維持するための無意識的な心理メカニズムです。例えば、高額な商品を購入した後、その商品に不満があっても「やっぱり買って正解だった」と自分に言い聞かせてしまうのです。この欲求が、明らかに失敗しているプロジェクトでも継続させてしまう原因となることがあります。

サンクコストへの執着

サンクコストとは、回収不可能な費用のことです。人は、既に費やした時間やお金、労力を無駄にしたくないという強い欲求を持っています。しかし、回収不可能なこれらの費用は、将来の意思決定に影響を与えるべきではありません。にもかかわらず、多くの人がこのサンクコストに執着し、「ここまでやってきたのだから」という理由で不合理な選択を続けてしまいます。

楽観主義バイパス

楽観主義バイアスにより、人は好ましい結果の可能性を過大評価し、望ましくない結果を過小評価します。「今度こそうまくいく」「自分は例外だ」といった根拠のない期待が生まれ、現実的な判断を妨げるのです。例えば、赤字続きの事業でも「もう少し頑張れば好転する」と考えてしまいます。この過度の楽観主義は客観的な判断を困難にし、さらなる損失を招く可能性があります。

これらの要因が複雑に絡み合うことで、コンコルド効果は引き起こされます。この効果に対処するには、これらの心理的傾向を認識し、意識的に客観的な判断を心がけることが重要です。

コンコルド効果の具体例

コンコルド効果は、日常生活やビジネスのさまざまな場面で見られます。

例えば、ある企業が新製品の開発に多額の投資をしたものの、市場の反応が芳しくないケースを考えてみましょう。この場合、合理的な判断としては開発を中止し、別の戦略を検討することが望ましいかもしれません。しかし、既に投じた費用や労力を無駄にしたくないという心理が働き、赤字覚悟で製品の販売を続けてしまうことがあります。これはまさにコンコルド効果の表れといえるでしょう。

また、個人レベルでは、興味を失った習い事を続けてしまうケースも挙げられます。「今までやってきたから」という理由で、本当は楽しくない活動を続けてしまいます。

これらの例から分かるように、コンコルド効果は私たちの意思決定に大きな影響を与え、時には不合理な選択へと導くのです。

コンコルド効果とサンクコストの関係

サンクコストとは、既に投資されて回収不可能となった費用のことを指します。一方、コンコルド効果は、このサンクコストに執着してしまう心理的傾向を表しています。
つまり、サンクコストはコンコルド効果を引き起こす原因となる要素であり、コンコルド効果はサンクコストへの不合理な反応といえます。

サンクコストとは

サンクコストとは、経済学や会計学で使われる用語で、日本語では「埋没費用」と訳されます。これは、過去に投資されたコストのうち、もはや回収不可能となった費用のことを指します。例えば、映画のチケットを購入したものの、実際に見てみると面白くなかった場合、そのチケット代はサンクコストとなります。既に支払ったお金は戻ってこないからです。

ビジネスの世界では、失敗したプロジェクトに投じた資金や、需要のなくなった製品の開発費などがサンクコストとなります。サンクコストは将来の意思決定に影響を与えるべきではありません。なぜなら、それらは既に失われた費用であり、今後の判断に関係ないからです。しかし、人間の心理として、このサンクコストに執着してしまうことがあり、それがコンコルド効果につながるのです。

サンクコスト効果の具体例

サンクコスト効果は、私たちの身の回りに数多く存在します。

例えば、レストランで注文した料理が口に合わなかった場合を考えてみましょう。お金を払ったからという理由で、美味しくない料理を無理に食べ続けてしまうことがあります。これは、支払った代金(サンクコスト)に引きずられて、本来なら取るべきではない行動を取ってしまう典型的な例です。

また、株式投資の世界でも、サンクコスト効果はよく見られます。値下がりした株を「買値まで回復したら売ろう」と持ち続けるのは、投資した金額に執着しているためです。しかし、その株の将来性を冷静に判断せず、ただ買値にこだわることは、さらなる損失を招く可能性があります。

サンクコスト効果は、過去の投資に縛られることで、現在の状況に即した適切な判断を妨げてしまう危険性があるのです。

身近な例から見るコンコルド効果

コンコルド効果は、私たちの日常生活のあらゆる場面に潜んでいます。一見、大きな経済的決断とは無関係に思える日常的な選択にも、このコンコルド効果が影響を与えていることがあります。長年使い慣れた古い家電製品を、効率の悪さを感じながらも買い替えずに使い続けたり、効果を実感できないサプリメントを習慣的に摂取し続けたりする行動の裏には、コンコルド効果が働いていることがあります。

これらの身近な例を通じてコンコルド効果を理解することで、私たちは自分の行動パターンをより客観的に見つめ直すことができるでしょう。以下では、特に顕著にコンコルド効果が現れやすい4つの場面について詳しく見ていきましょう。

ギャンブルとコンコルド効果

ギャンブルの世界では、コンコルド効果が非常に顕著に現れます。パチンコやカジノなどで、「負けを取り戻そう」と思って続けてしまうのは、典型的なコンコルド効果の例です。

ギャンブルの勝敗は各回独立した事象であり、過去の結果が将来の結果に影響を与えることはありません。しかし、多くの人が「これだけ負けたのだから、そろそろ勝つはずだ」と考えてしまいます。これは、既に投じた金額(サンクコスト)を惜しむ気持ちから生まれる非合理的な思考です。また、「今やめたら、これまでの負けが無駄になる」という心理も働いています。しかし、冷静に考えれば、続けることでさらに損失が増える可能性が高いことは明らかです。

ギャンブルにおけるコンコルド効果は、理性的な判断を曇らせ、深刻な金銭的損失をもたらす危険性があります。

課金要素のあるゲームとコンコルド効果

スマートフォンゲームなど、課金要素のあるゲームにもコンコルド効果が強く現れます。特に「ガチャ」と呼ばれる、ランダムでアイテムやキャラクターを入手できるシステムでは、この効果が顕著です。

プレイヤーは「次こそレアアイテムが出る」と信じて課金を続けてしまいがちです。これは、既に投じた金額(サンクコスト)を無駄にしたくないという心理が働いているためです。また、ゲーム内で高いランクや強力なアイテムを獲得した後は、それまでの投資を惜しんでゲームを続けてしまうこともあります。興味が薄れたゲームでも、「ここまでやってきたから」という理由で続けてしまうのです。

課金ゲームにおけるコンコルド効果は、不必要な出費や時間の浪費につながる可能性があり、ゲームを楽しむ上で、この心理効果を意識することは大切です。

衣類・書籍の整理とコンコルド効果

衣類や書籍の整理は、多くの人が経験するコンコルド効果の身近な例です。長年着ていない服や読んでいない本を処分しようとする際、「もったいない」という気持ちが強く働き、なかなか手放せないことがあります。これは、過去に投資した金銭や思い入れ(サンクコスト)に執着するコンコルド効果の表れといえます。

高価な服を買ったものの、似合わないと気づいても「お金をかけたから」という理由で処分できなかったり、積読状態の本を「いつか読むかもしれない」と、本棚に置き続けてしまいます。しかし、これらのアイテムが実際に使われる可能性は低く、むしろ貴重な収納スペースを圧迫しています。

コンコルド効果を意識し、「今の自分にとって本当に必要か」を冷静に判断し不要なものを手放すことで、新たな価値観や生活スタイルを取り入れる余裕が生まれるかもしれません。

恋愛とコンコルド効果

恋愛の世界でも、コンコルド効果は頻繁に見られます。

例えば、明らかに相性の合わないパートナーとの関係を、「これまでに費やした時間がもったいない」という理由で続けてしまうケースがあります。また、一方的な片思いの場合でも、「これだけ頑張ったのだから」と、相手に振り向いてもらえる可能性が低いにもかかわらず、アプローチを続けてしまうことがあります。これらは、時間や感情、時には金銭的な投資を無駄にしたくないという心理が働いているためです。

しかし、こうした態度は往々にして健全な関係構築の妨げとなり、結果的により多くの時間と感情を無駄にしてしまう可能性があります。恋愛におけるコンコルド効果を認識し、過去の投資にとらわれすぎずに現在の状況を冷静に見つめ直すことが、より良い人間関係を築くことにつながるでしょう。

事業とコンコルド効果

ビジネスの世界では、コンコルド効果が大きな影響を与えることがあります。

ある企業が新規事業に多額の投資をしたものの、市場の反応が芳しくないケースを考えてみましょう。この場合、合理的な判断としては事業の縮小や撤退を検討することが望ましいかもしれません。しかし、「これまでの投資が無駄になる」という心理が働き、赤字覚悟で事業を継続してしまうことがあります。また、使用頻度の低い高額なソフトウェアやサービスの契約を、初期費用が高かったという理由で解約できないケースも、コンコルド効果の一例といえます。

ビジネスにおけるコンコルド効果は、企業の経営判断を歪め、さらなる損失を招く恐れがあります。経営者や意思決定者は、過去の投資にとらわれすぎず、現在の状況と将来の見通しに基づいて判断することが大切です。

コンコルド効果への対策と対処法

コンコルド効果は私たちの判断を曇らせ、不合理な決断へと導く可能性があります。しかし、この効果を理解し、適切な対策を講じることで、より賢明な選択をすることができます。

ここでは、コンコルド効果に陥らないための具体的な方法をいくつか紹介します。これらの対策を意識することで、過去の投資に縛られることなく、現在の状況に即した適切な判断を下せるようになるでしょう。

損切りとコンコルド効果

損切りとは、投資や事業において損失が一定のラインに達した時点で、それ以上の損失を防ぐために投資を中止する判断のことを指します。金融・証券用語ですが、この考え方は日常生活のあらゆる場面に応用できます。

例えば、長期間使用していない高額な月額制サービスがあるとします。「これまで支払ってきた金額が無駄になる」と考えるのではなく、今後の利用見込みや代替手段の有無を冷静に判断し、早めに解約することが賢明です。

損切りの決断は心理的に難しいものですが、あらかじめ「ここまでやってダメなら諦める」というラインを設定しておくことで、より冷静な判断が可能になり、コンコルド効果に陥るリスクを軽減しすることができます。

ゼロベース思考とコンコルド効果

ゼロベース思考は、過去の投資や経験にとらわれず、現在の状況を白紙の状態から考え直すというものです。

例えば、ある事業が赤字続きの場合、「これまでの投資が無駄になる」と考えるのではなく、「もし今この事業を始めるとしたら、実行するだろうか」と問いかけてみます。この視点の転換により、過去のサンクコストに縛られることなく、現在の状況と将来の見通しに基づいた判断が可能になります。

ゼロベース思考は、ビジネスだけでなく、人間関係や趣味の選択など、日常生活のあらゆる場面で活用できます。「これまでやってきたから」という理由だけで続けていることはないか、ゼロから考え直してみることで、より自分らしい選択ができるようになるでしょう。

限度を設定することの重要性

コンコルド効果を防ぐ上で、限度を設定することが有効です。投資や活動を始める前に、あらかじめ時間や金銭の上限を決めておきます。例えば、新しい趣味を始める際に「3ヶ月試してみて、楽しくなければやめる」と決めておくことで、不必要に長く続けてしまうリスクを減らすことができます。

ビジネスの世界では、新規プロジェクトに対して予算や期限を明確に設定することが一般的です。これにより、プロジェクトが計画通りに進まない場合でも、冷静に中止や方向転換の判断を下せます。限度を設定する際は、具体的で測定可能な基準を用いることが大切です。「うまくいかなければやめる」という曖昧な基準ではなく、「売上が○○円に達しなければ撤退する」といった明確な基準を設けることで、より客観的な判断が可能になります。

ブレーンを側に置くことの効果

コンコルド効果に陥らないためには、客観的な視点を持つことが大切です。しかし、自分一人で常に冷静な判断を下すのは難しいもの。そこで効果的なのが、ブレーン(助言者)を側に置くことです。ブレーンは、当事者とは異なる視点から状況を分析し、冷静なアドバイスを提供してくれます。

例えば、ビジネスの世界では、外部のコンサルタントや顧問を雇うことがあります。彼らは、企業の内部の人間では気づきにくい問題点や改善点を指摘してくれる可能性があります。個人的な場面でも、信頼できる友人や家族に相談することで、自分では気づかなかった視点を得られることがあります。

ブレーンの意見を聞くことで、過去の投資にとらわれすぎず、より客観的な判断を下せるようになるでしょう。ただし、最終的な決定は自分自身で行います。

試算することの意義

コンコルド効果を防ぐためには、感情的な判断ではなく、数字に基づいた冷静な分析が欠かせません。そこで重要となるのが、試算を行うことです。ある事業を継続するか撤退するかを決める際、今後も事業を続けた場合の予想損益と、撤退した場合のコストを比較してみます。この試算により、感情的な「もったいない」という気持ちではなく、客観的なデータに基づいて判断することができます。

日常生活においては、高額な商品を購入する際に、その商品の使用頻度や得られる利益を金額に換算して、購入コストと比較してみるのも一つの方法です。試算を行う際は、楽観的な見通しに偏らないよう注意します。最悪のシナリオも含めて複数のケースを想定し、それぞれの場合の結果を計算して比較しましょう。

試算を通じて数字で現実を直視することで、コンコルド効果に惑わされない、より合理的な判断が可能になります。

まとめ

コンコルド効果は、私たちの意思決定に大きな影響を与える心理的傾向です。この効果を理解し、適切に対処することで、日常生活やビジネスにおいてより賢明な選択が可能になります。サンクコストへの執着から解放され、損切りやゼロベース思考を実践することで、不要な損失を避け、新たな機会を見出すことができるでしょう。さまざまな場面でこの知識を活用することで、個人の生活の質向上から企業の経営判断の改善まで、幅広い成果が期待できます。

コンコルド効果に対して適切に対応できるか不安がある、という場合は、DYMの顧問紹介・派遣サービスをご利用ください。企業経営の複雑な問題を明確に整理し、解決策を見出すサポートをします。

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【筆者・監修者企業】

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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。

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