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有給休暇日数は何日?雇用形態別の日数や付与ルール・注意点を解説

公開日:2024.11.22  更新日:2024.11.22

有給休暇は労働者の重要な権利であり、適切な運用がもとめられる制度です。

労働者の権利を守り、健康的な職場環境を整えるために、有給休暇制度の正しい知識は不可欠です。

この記事では、有給休暇の基本的な仕組みから特殊なケース、企業が守るべきルールまで幅広く解説します。

正社員からパート、アルバイトまで、すべての労働者に関わる有給休暇について理解を深めましょう。

<この記事で紹介する3つのポイント>

  • 雇用形態別の有給休暇日数
  • 企業が守るべき有給休暇制度のルール
  • 有給休暇の上手な運用方法

有給休暇とは「労働基準法で定められた労働者の権利」

有給休暇は、労働基準法第39条に定められた労働者の権利です。
この制度により、一定の条件を満たす労働者は、給与を得ながら休暇を取得できます。

有給休暇制度のおもな目的は、労働者が心とからだをリフレッシュし、健康を維持することです。

適切な休息をとることで生産性が向上し、職場環境の改善にもつながります。

たとえば、旅行に出かけたり、スキルアップのための学習や資格取得に時間を使ったりすることで、労働者のモチベーションが高まります。
その結果、仕事のパフォーマンスや専門知識を向上させられるでしょう。

このように、有給休暇制度は、労働者のプライベートを充実させ、仕事と生活のバランスをとるために重要な役割を果たします。

有給休暇制度を適切に活用することで労働者の満足度が向上し、企業の持続的な成長と発展にも貢献するでしょう。

参考:デジタル庁「労働基準法」 e-Gov 法令検索参考:厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。」

有給休暇の付与条件|勤続期間と出勤率

有給休暇が付与される条件は、以下の2点です。

  • 雇入れの日から6ヶ月以上継続して雇われていること
  • 全労働日の8割以上出勤していること


この条件を満たすすべての労働者に、会社は有給休暇を与えなければなりません。
これは、労働基準法で定められており、企業には守る義務があります。

また、この条件は働いている期間や出勤状況を評価するための基準です。
たとえアルバイトやパートタイムであっても、この条件を満たせば有給休暇を取得できます。

ただし、出勤率の計算には注意が必要です。
たとえば、病気休暇や育児休業など、法律で認められている休暇は、出勤したとみなされます。

参考:デジタル庁「労働基準法」 e-Gov 法令検索
参考:厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。」

有給休暇の最初の付与日は入社から6ヶ月後

労働基準法第39条によれば、有給休暇が最初に付与される基準日(タイミング)は、雇入れの日から6ヶ月が経過した日です。
その後も、この基準日が毎年の有給休暇の付与日となります。

たとえば、4月1日に入社した場合、最初の有給休暇の付与日は10月1日です。
その後は、毎年10月1日が有給休暇の付与日となります。

ただし、6ヶ月を待たずに休暇が必要な場合もあるため、企業によっては、入社してすぐに休暇がとれるように独自の制度を設けています。

参考:デジタル庁「労働基準法」 e-Gov 法令検索

雇用形態別の有給休暇日数

雇用形態によって有給休暇の計算方法や付与日数に違いがあります。

  • 正社員の有給休暇日数
  • パート・アルバイトの有給休暇日数

それぞれの雇用形態における有給休暇の日数について見ていきましょう。

【正社員】有給休暇日数

正社員の有給休暇日数は、勤続年数に応じて増加します。
以下でくわしく説明します。

勤続年数に応じた付与日数

正社員や契約社員のようなフルタイム労働者は、勤続年数に応じて有給休暇を付与します。労働基準法で定められた付与日数は以下のとおりです。

勤続年数0.5年1.5年2.5年3.5年4.5年5.5年6.5年以上
付与日数10日11日12日14日16日18日20日

たとえば、入社して6ヶ月後に10日の有給休暇が付与され、その1年後(入社1年6ヶ月後)には11日に増加します。

勤続年数に応じて有給休暇の付与日数が増える理由は、勤続年数が長くなるにつれて、労働者の経験や貢献度が高まることを考慮しているからです。

この仕組みにより、長期勤続者ほど多くの有給休暇を取得できるようになっています

参考:デジタル庁「労働基準法」 e-Gov 法令検索

最大付与日は20日

有給休暇は、年間で最大20日間付与されます。
この上限に達するのは、勤続6年5ヶ月以上働いている労働者です。

有給休暇の最大付与日数が20日である理由は、労働者の休む権利と企業が安定して業務を運営できるようにするためです。

たとえば、1ヶ月の労働日数が20日である場合、有給休暇20日はまる1ヶ月の休みに相当します。
これにより、労働者は十分な休息がとれる一方で、企業は計画的に業務を進め、業務の混乱を避けられます。

このように、有給休暇の付与日数が20日という上限は、労働者と企業のニーズを考慮した結果です。
国際的な水準と比較しても、日本の有給休暇の日数は標準的であるといえるでしょう。

参考:厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」

繰越制度と有効期限

有給休暇は、1年以内に使わなかった日数を翌年に繰り越せます。
ただし、有給休暇の有効期間は付与日から2年間です。
2年たつと時効で消滅してしまうため、計画的に取得する必要があります。

たとえば、ある年に付与された10日の有給休暇のうち5日を使用した場合、残りの5日は翌年に繰り越すことが可能です。
翌年に新たに付与される日数と合わせて、より長期の休暇を得られます。

繰越制度があるのは、労働者が柔軟に休暇を取得できるようにするためです。
また、2年という有効期限を設けることで、計画的な休暇取得を促進する効果もあります。

参考:デジタル庁「労働基準法」 e-Gov 法令検索

【パート・アルバイト】有給休暇日数

パートタイマーやアルバイトなどの非正規雇用者にも、一定の条件を満たせば有給休暇が付与されます。
以下でくわしく説明します。

週所定労働日数ごとの付与日数

パートやアルバイトの労働者の場合、週の所定労働日数と継続勤務年数によって付与する有給休暇日数が変動します。
この細かな規定があるのは、パートやアルバイト労働者の多様な就労形態に対応するためです。

労働基準法で定められた付与日数は、以下のとおりです。

週所定労働日数0.5年目1.5年目2.5年目3.5年目4.5年目5.5年目6.5年目以上
4日7日8日9日10日12日13日15日
3日5日6日6日8日9日10日11日
2日3日4日4日5日6日6日7日
1日1日2日2日2日3日3日3日

たとえば、週3日勤務のパート労働者が1年間(入社1年6ヶ月後)継続して勤務した場合、6日の有給休暇が付与されます。この労働者が3年目(入社3年6ヶ月後)を迎えると、付与日数は8日に増加します。

このように、週の労働日数が少ないパートやアルバイトでも、勤続年数に応じて有給休暇が段階的に増える仕組みが設けられています

参考:厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。」

有給休暇付与日数の計算方法

有給休暇の付与日数は、労働者の週の所定労働日数と勤続年数にもとづいて計算されます。

たとえば、週5日働く正社員は、勤続6ヶ月で10日の有給休暇が付与されます。
一方、パートやアルバイトの場合は、正社員より週の労働日数が少ないため、付与日数も異なるのです。

具体的にいうと、週3日勤務のパート労働者は、勤続1年(入社1年6ヶ月後)で6日間の有給休暇が付与され、勤続3年目(入社3年6ヶ月後)になると8日間に増加します。

このように、労働基準法に基づき、労働者の勤務日数や年数に応じて適切な有給休暇が付与される仕組みです。

参考:厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。」

特殊なケースにおける有給休暇の取り扱い

有給休暇の取り扱いには、さまざまなケースがあります。

  • 入社1年未満の有給休暇
  • 育児・介護休業中の有給休暇
  • 長期休職者の有給休暇

それぞれくわしく説明します。

入社1年未満の有給休暇

入社から6ヶ月経過後、最初の有給休暇が付与されます。
この時点での付与日数は、週所定労働日数が5日以上の場合、通常10日です。

たとえば、4月1日に入社した場合、10月1日に10日の有給休暇が付与されます。
その後は翌年の10月1日に11日の有給休暇が新たに付与され、前年の残日数がある場合はそれに加算されます。

ただし、中途採用や入社日が月の途中である場合は、6ヶ月経過後の付与日が土日や祝日と重なることがあるため注意が必要です。

その場合は、翌営業日が有給休暇の付与日となるため、付与日がズレることを事前に確認しておきましょう。

参考:デジタル庁「労働基準法」 e-Gov 法令検索

育児・介護休業中の有給休暇

育児・介護休業中でも、条件を満たせば有給休暇が付与されます。

これは、育児・介護休業法によって休業中の不利益な取り扱いが禁止されているためです。具体的には以下のような条件が適用されます。

  • 育児・介護休業期間中は出勤したものとみなされ、出勤率の計算には影響しない
  • 休業期間中に有給休暇の付与日を迎えた場合、通常通り有給休暇が付与される
  • 1年以上の長期休業の場合は、勤続年数に応じた日数の調整が必要になることがある

たとえば、1年間の育児休業を取得した労働者が、休業中に有給休暇の付与日を迎えた場合、通常通り有給休暇が付与されます。

ただし、復職後の次回の付与日には、休業期間の影響を受けて、付与される有給休暇の日数が調整される可能性があります。

このため、復職後に付与される日数については、事前に確認しましょう。

参考:デジタル庁「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」e-Gov 法令検索
参考:デジタル庁「労働基準法」 e-Gov 法令検索

長期休職者の有給休暇

長期で休職すると、有給休暇の付与条件である「全労働日の8割以上の出勤」を満たせない可能性があります。
そのため、長期休職の場合は有給休暇の取り扱いに以下の点で注意が必要です。

  • 休職期間中は原則として出勤したとみなされないため、出勤率が8割を下回る可能性がある
  • 出勤率が8割未満の場合、次の付与日に新たな有給休暇が付与されない可能性がある
  • すでに付与されている有給休暇の権利は失われない

たとえば、1年間のうち7ヶ月間休職した場合、出勤率は約42%となり、次の付与日に新たな有給休暇が付与されない恐れがあります。

ただし、業務上の傷病による長期休職の場合は、労働基準法第39条10項により出勤したものとみなされるため、有給休暇の付与に影響しません。

参考:デジタル庁「労働基準法」 e-Gov 法令検索

企業が守るべき有給休暇のルール2つ

企業には、有給休暇に関して遵守すべき重要な2つのルールがあります。

  • ルール1:社員に最低5日の有給休暇をとらせる
  • ルール2:有給休暇の記録をつける

それぞれ見ていきましょう。

ルール1:社員に最低5日の有給休暇をとらせる

2019年4月から、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、年5日の有給休暇を取得させることが企業の義務となりました。
この制度は「年5日の時季指定義務」とよばれています。

このルールが導入されたのは、日本の有給休暇取得率が低いことが問題視されていたからです。
厚生労働省の調査によると、2018年の有給休暇取得率は52.4%でした。

たとえば、企業は以下のような方法で、この義務を果たすことができます。

  • 労働者に取得希望日を聞き、それに基づいて休暇を付与する
  • 企業側で休暇取得日を指定する
  • 計画的付与制度を活用する

ただし、労働者が自主的に5日以上の有給休暇を取得している場合は、企業による時季指定は不要です。

このルールに違反した場合、企業は罰則(30万円以下の罰金)を科される可能性があります。
そのため、企業は労働者の有給休暇取得状況を適切に管理し、必要に応じて取得を促さなければなりません。

参考:デジタル庁「労働基準法」 e-Gov 法令検索
参考:厚生労働省「2018 年度年度評価 評価シート」
参考:厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」

ルール2:有給休暇の記録をつける

企業は労働者の有給休暇取得状況を適切に記録・管理する必要があります。
労働基準監督署の調査や労使間のトラブル発生時に、適切に有給休暇が付与・取得されていたことを証明するためです。

具体的には、以下の情報を記録し、5年間保存しなければなりません。

  • 労働者の氏名
  • 有給休暇を取得した日付
  • 取得日数
  • 基準日(付与日)
  • 付与日数

エクセルやグループウェアなどを使用して、労働者ごとの有給休暇取得状況を一覧表にまとめると、休暇の取得状況が一目で把握でき、管理がスムーズになります。
また、有給休暇申請書や勤怠管理システムのログなども、記録の一部として保管しておくとよいでしょう。

記録をつけることで、企業は労働者の有給休暇の取得状況を正確に把握でき、取得率の向上や業務の調整に活用できます。
また「年5日の時季指定義務」の履行状況も確認しやすくなり、法令違反を防ぐためにも重要な手段となるでしょう。

参考:デジタル庁「労働基準法施行規則」e-Gov 法令検索

有給休暇の上手な運用方法【企業側の取り組み】

企業が有給休暇を効果的に運用するためには、以下にあげる計画的かつ労働者に配慮した取り組みが必要です。

  • 年間カレンダーで休みを決める
  • 企業が休暇日を指定する
  • 社員の休暇取得を後押しする

それぞれ説明します。

年間カレンダーで休みを決める

年間カレンダーを使用して休暇計画を立てることで、有給休暇の取得を効率的に進められます。

というのも、労働者が長期的な視点で休暇を計画できるからです。
また、企業側も人員配置や業務の調整を事前におこなえることがメリットです

具体的には、以下の方法があげられます。

  • 年度初めに組織全体の休暇カレンダーを作成する
  • 繁忙期と閑散期を考慮し取得推奨期間を設定する
  • 部署ごとの業務サイクルに合わせて休暇取得のタイミングを提案する

たとえば、製造業であれば、工場の定期メンテナンス期間に合わせて組織全体で休暇期間を設定できるでしょう。
また、小売業であれば、セール期間を避けて休暇取得を推奨できます。

ただし、個々の労働者の希望や事情にも配慮し、柔軟な対応を心がけることが重要です。

企業が休暇日を指定する

計画的付与制度を活用し、企業側が休暇日を指定できます。
この制度により、企業は業務計画に合わせて労働者に公平に休暇を取らせることが可能です。

制度を導入するには、次の手順が必要です。

  • 労使協定を結ぶ
  • 5日を超える有給休暇のうち、計画的付与する日数を決める
  • 具体的な休暇日を指定する

たとえば、夏休みや年末年始に連続休暇を設定したり、会社の創立記念日を休暇日にしたりすることもできます。

ただし、制度導入時には、労働者の意見をよく聞き、個々の事情に配慮することが大切です。
残りの有給休暇は、労働者が自由に使えるようにしておきましょう。

参考:厚生労働省「年次有給休暇の計画的付与制度」

社員の休暇取得を後押しする

有給休暇を積極的にとれる職場の雰囲気を作ることが大切です。
日本の企業文化では「休暇をとることへの罪悪感」や「周囲への遠慮」が根強く残っているからです。

具体的には、以下のような取り組みがあげられます。

  • 休暇中の業務フォロー体制を整備する
  • 有給休暇取得率の高い部署や個人を表彰する
  • 経営層や管理職が率先して有給休暇を取得する
  • 有給休暇の取得目標を設定し進捗を可視化する

たとえば、社内報や朝礼で有給休暇の成功例を紹介したり、休暇後の「リフレッシュ」や「気づき」を共有することで、休暇取得の前向きな雰囲気を作れます。

また、業務の見える化やマニュアル整備を進めることで、誰もが安心して休暇をとれる環境を整えられるでしょう。

有給休暇に関する3つの注意点

有給休暇の運用には、以下の法律上の制約や注意すべき点があります。

  • 注意1:有給休暇の権利を侵害すると罰則を受ける
  • 注意2:有給休暇取得の拒否や不利益扱いは禁止されている
  • 注意3:有給休暇も賃金の支払いが必要になる

それぞれ説明します。

注意1:有給休暇の権利を侵害すると罰則を受ける

有給休暇の付与や取得を妨げると、法律違反となる可能性があります。

具体的には、以下のような行為が罰則の対象です。

  • 有給休暇を付与しない
  • 年5日の時季指定義務を履行しない
  • 有給休暇の取得を妨げる

たとえば、有給休暇を付与しなかった場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、年5日の時季指定義務を履行しなかった場合は、30万円以下の罰金が科される恐れがあります。

企業は、これらの罰則を避けるために、有給休暇に関する法律を正しく理解し、適切に運用しなければなりません。

有給休暇は労働者の重要な権利であり、その侵害は労働者の健康や生活の質に直接影響を与えます。
労働者の有給休暇取得状況を定期的にチェックし、必要に応じて取得を促すことが重要です。

参考:デジタル庁「労働基準法」e-Gov 法令検索

注意2:有給休暇取得の拒否や不利益扱いは禁止されている

有給休暇の取得を理由に、労働者に不利益な扱いをすることは禁止されています。
禁止されるおもな行為は、以下のとおりです。

  • 降格や減給を行う
  • 人事評価を下げる
  • 退職を強要する

これらの行為は、労働者が有給休暇をとる権利を事実上奪うことになります。

また、「今は忙しいから」「人手が足りないから」といった理由で有給休暇の取得を拒否することも、原則として認められません。

ただし、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、ほかの時季に変更をもとめることは可能です。

企業は、有給休暇の取得を労働者の当然の権利として尊重し、取得しやすい職場環境を整備することがもとめられます。

参考:デジタル庁「労働基準法」e-Gov 法令検索

注意3:有給休暇も賃金の支払いが必要になる

有給休暇中も、通常の勤務日と同じように賃金を支払う必要があります。
これは、労働者が休んでも給与が減らないようにするためです。

具体的に、以下の点に注意しましょう。

  • 有給休暇中も通常と同じ金額の給与を支払う
  • 時間単位の有給休暇をとった場合その時間分の給与を支払う

たとえば、月給制の労働者が有給休暇をとった場合、その日の給与を差し引くことはできません。日給制や時給制でも、通常通りの賃金の支払いが必要です。

また、有給休暇取得による皆勤手当の不支給は法律違反となる可能性があります。
労働基準法第136条により、有給休暇を取得したことで賃金や手当の減額など、不利益な取り扱いをすることは禁止されています。

一方、通勤手当は労働の対価であるため、有給取得日は不支給とすることが可能です。
ただし、定期代の場合はそのまま支給されることが一般的です。

企業は、賃金計算を正確に行い、労働者に不利益がないように注意しましょう。

参考:デジタル庁「労働基準法」e-Gov 法令検索

有給休暇日数に関するよくある質問

有給休暇に関する以下の疑問や質問について、くわしく説明します。

  • 有給休暇は時間単位で取得できる?
  • 有給休暇の買い上げは法律違反になる?
  • 有給休暇の付与日数は増やせる?

ひとつずつ見ていきましょう。

有給休暇は時間単位で取得できる?

労使協定を結べば、時間単位での有給休暇取得が可能です。
労働者のワークライフバランスの向上や、より柔軟な働き方の実現のために時間単位での取得が認められています。

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 労使協定の締結が必須
  • 時間単位で取得できるのは年5日分が限度
  • 1日の所定労働時間数を1単位として取得

たとえば、子どもの学校行事に参加するために午後半日だけ休暇をとりたい場合や、通院のために数時間だけ休みたい場合などに活用できます。

時間単位での取得を認めるかどうかは企業の判断に委ねられます。
また、導入する場合も、業務に支障が出ないよう適切なルールを設定することが重要です。

参考:デジタル庁「労働基準法」e-Gov 法令検索

有給休暇の買い上げは法律違反になる?

原則として、有給休暇の買い上げは法律違反となります。
労働基準法第39条の趣旨は、労働者の心身のリフレッシュと健康維持にあるため、金銭で代替することは認められていません。

ただし、以下の例外的なケースでは買い上げが認められています。

  • 法定の日数を超えて付与された有給休暇
  • 退職時に残っている有給休暇
  • 時効(2年)が経過した有給休暇

たとえば、退職時の買い上げは、休暇を取得する機会がないため、金銭補償が認められています。

企業は、これらの例外を除いて有給休暇の買い上げをおこなわないよう注意が必要です。また、買い上げの予約も違法となるため、慎重な対応がもとめられます。

有給休暇の付与日数は増やせる?

有給休暇の付与日数を増やすことは可能です。

労働基準法で定められている日数は最低基準であり、これを上回る日数を付与することは法律上問題ありません。
労働条件の向上は労働者にとって有利な変更であり、法律の趣旨に反しないからです。

たとえば、以下のような方法で付与日数を増やすとよいでしょう。

  • 勤続年数に応じて法定日数以上の有給休暇を付与する
  • 入社初年度から10日以上の有給休暇を付与する
  • 特別休暇(リフレッシュ休暇など)を別途設ける

増やした日数分の有給休暇は、法定の有給休暇と異なり買い上げを認めることも可能で、柔軟な運用ができます。

企業は、労働者のワークライフバランス向上や福利厚生の充実を図るため、法定日数以上の有給休暇付与を検討するとよいでしょう。

まとめ

労働基準法では、一定の条件を満たす労働者に対して有給休暇が与えられ、企業はそのうち年5日の取得を確保する義務があります。

有給休暇は労働者にとって大切な権利であるため、企業には適切な管理がもとめられます。

健全な労使関係を築くためには、経営者と労働者の双方が有給休暇制度についてしっかり理解し、意識を高めることが重要です。

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