かつては最前線の営業としてキャリアを築き、結婚・出産を経て復職。現在は時短勤務の管理職として人材事業部のCS課(カスタマーサクセス課)を率い、2026年4月には大型採用イベントを大成功に導いた山下。今回は、彼女が限られた時間の中で成果を出し続けるための思考法や、変化するキャリアへの向き合い方について、聞きました。

■育児とキャリアの両立への葛藤、そして復職後の価値観の変化
住吉:出産前の働き方や、仕事への向き合い方を教えてください。
山下:元々は営業職として、2019年にDYMに入社しました。毎日クライアントに会い、1日5-6件は商談に回る形でした。若いうちから大きな裁量を任せてもらえる会社なので、毎日が勉強で、頭の中は本当にクライアントのことばっかりという状況でしたね。3年目からはマネジメントも任せていただいたので、自分の成果が半分、部下の育成が半分というバランスで仕事に向き合っていました。
住吉:出産を迎えるタイミングで、元のキャリアとの両立に悩みはありましたか?
山下:正直、かなり悩みました(笑)。入社6年目で出産したのですが、復職するにあたって不安は大きかったです。人材業界はスピード感があり、個人の熱量が成果に繋がりやすい業態でもあるので、「時短勤務という限られた時間で同じ成果を出せるか」、また「若いメンバーが多い組織の中で、子どもがいる自分がカルチャーマッチするか」と考えてしまって。ただ、部署に2人、お子さんを持ちながら時短で働く女性の先輩がいらっしゃったんです。その2人の存在は私にとって非常に心強く、「私も頑張ろう」と思える大きな目印になりました。
住吉:復職にあたって、キャリアの描き方に変化はありましたか?
山下:私自身は営業に戻る気満々だったのですが、復職のタイミングで会社として学生集客の難易度が上がっており、営業実績のある人材がマーケティング部門に必要だという背景から、現在は内勤部門にいます。 復職直後は産前と同じようにバリバリやれると思っていましたが、丸1年経つ中で子どもの体調不良などで休まざるを得ないタイミングが出てきて、「仕事の代わりはたくさんいるけれど、息子の母は私しかいない」という想いが生まれ、産前よりプライベートや家族を大切にする価値観の変化は確実にありましたね。
■時短×管理職。限られた時間で120%の成果を出すための「AI活用」と「現場目線」
住吉:実際に管理職として時短で働いている中で、苦労していることはありますか?
山下:5人のメンバーを見ているのですが、私が17時に退社した後にメンバーが課題に直面することが多く、時間的なコミュニケーションラグが発生してしまう点には当初、申し訳なさを感じていました。ただ、今はオンラインで会議もできますし、AI等を使って情報共有やナレッジをはめていける時代なので、今のテクノロジーに助けられてそこまで大きな課題として苦戦しているところはありません。
住吉:限られた時間で最大の成果を出すために、業務の進め方や思考法で出産される前と変えたことはありますか?
山下:1番大きいのはAI活用です。メンバーへの指示やフィードバックも、AIを活用して論点整理や文章化を行うことで、感覚ではなく言語化された形で伝えられるようになりました。私が不在の時間帯でも判断できる基準を共有することで、チーム全体の生産性向上につながっています。
あと思考の面で、「いかに同じ量を早く終わらせて17時に帰るか」という生産性を徹底的に考えました。量をやるより効率よく進めて、定時内に自分の仕事を100%ではなく「120%」出すにはどうするかを意識しています。
住吉:チームのマネジメントにおいて意識している工夫はありますか?
山下:1つは「今の2〜3年目のメンバーと目線を合わせる」こと。会社が急成長してカルチャーも変化しているからこそ、自分の過去の感覚を押し付けず、今のメンバーの意識に寄り添うようにしています。
もう1つは「管理職だからこそ現場の仕事を自分もやる」ことです。大学への新規開拓の架電や訪問にも自ら足を運び、現場で起きている課題や学生・大学側の反応を直接把握するようにしています。実際に自分で経験しているからこそ、メンバーへのアドバイスにも具体性と説得力を持たせられると思っています。
■1,200名を集客。大型プロジェクトの挑戦を支えた「感謝」と「部下への愛」
住吉: 4月25日、26日に開催されたオンライン合同企業説明会「Meets Forum」のプロジェクトを牽引したきっかけは何だったのでしょうか。
山下:社長が「今の市況感を見て、こういったイベントを立ち上げた方がいい」とアドバイスをくれたことです。私自身、変わっていく市場を見てサービスに変化を加えるべきだと感じていたので、商品設計や改善に注力できるのはいいチャンスだと思い挑戦を決めました。結果として学生1,200名以上、企業もMAXの30社を募ることができ大成功を収めました。営業時代に培った企業視点と、復職後に増やした学生視点のハイブリッドが活きたと感じています。
住吉:多忙な日々の中で、モチベーションはどのように維持されましたか?
山下:大きく2つあります。
1つは、より良いサービスを作りたいという想いです。産休・育休で一度現場を離れたことで、これまで当たり前だと思っていた内勤部門の大変さや重要性に改めて気付くことができました。だからこそ、自分もサービス改善や新しい取り組みに挑戦し、少しでも会社や事業に貢献したいという気持ちが強くなりました。
もう1つは、一緒に働くメンバーへの責任感です。1年間同じ目標に向かって走る中で、それぞれが本気で仕事に向き合っている姿を見てきました。だからこそ、メンバーの成長を後押ししたいですし、プロジェクトを成功させて努力が正当に評価される環境を作りたい。その想いが大きな原動力になっていました。
■恐れずに言葉にすること。私たちが次のロールモデルを作っていく
住吉:今後、DYMでどのようなキャリアを描いていきたいですか?
山下:私自身、同じ部署のママ社員の存在に救われたので、多様なモデルケースがないと女性が自信を持てないと思っています。役員が男性中心の会社であるからこそ、自分がしっかり実績を積んで女性のロールモデルを増やし、働き方や制度をより良くするための発言・提案ができる立場になっていきたいです。
住吉:最後に、仕事と家庭の両立に不安を感じている後輩社員や、世の中の女性たちへ向けてメッセージをお願いします。
山下:不安や要望があるなら、まずは「言葉にして発信すること」が何よりも大切です。フルタイムの社員と比較して勝手に負い目を感じて、一人で抱え込んで諦めてしまうのはもったいない。会社側も決して否定しているわけではなく、ただ「どう触れていいか分からない」だけの場合も多いんです。もちろんビジネスで特別扱いされるわけではありませんが、自分が感じたハードルを周囲に伝えていくことが、組織を変え、自分らしい働き方を叶える第一歩になります。諦める前に、まずは声を届けてみてほしいなと思います。

