ヒートマップとは?解析で見える化する活用方法とサイト改善の見方

Webサイトの売上や問い合わせを増やすためには、訪問者がページ内でどのような行動をとっているかを正確に把握することが不可欠です。しかし、一般的なアクセス解析だけでは数字の羅列となり、具体的な課題を見つけ出すのが難しいという担当者は少なくありません。本記事では、WebサイトやSEOの専門家としての立場から、直感的にユーザーの行動を見える化する「ヒートマップ」の基本的な仕組みと、具体的な機能や活用方法についてわかりやすく解説します。
<この記事で紹介する3つのポイント>
- ヒートマップの定義
- ヒートマップ分析で活用できる5つの機能
- ヒートマップを利用したサイト改善のポイント
目次
ヒートマップとは?Webサイト解析の仕組みと定義

ヒートマップとは、Webサイトに訪れたユーザーの行動を、色の濃淡によって視覚的に表現する解析手法のことです。数字の表を読み解く専門的な知識がなくても、どこが注目されているのかが一目で分かるのが特徴です。たとえば、多くの人がじっくり読んだ文章の周辺は温度の高い「赤色」で表示され、誰にも読まれずに素通りされた場所は温度の低い「青色」で表示されます。ユーザーの無意識の行動をサーモグラフィーのように可視化する強力なツールとなります。
データの濃淡でユーザー行動を視覚化する仕組み
このツールは、データの濃淡を使ってユーザーの複雑な行動を直感的に視覚化する仕組みを持っています。人間は数字の羅列よりも、色による変化の方が瞬時に状況を理解しやすいため、このアプローチが採用されています。具体的なシステムとして、サイトの裏側に計測用の短いプログラムを埋め込むことで、訪問者のスクロール速度やマウスの滞在時間を自動的に集計し、それをページ上に色のレイヤーとして重ねて表示します。直感的なインターフェースが、素早い課題発見を可能にします。
統計学やスポーツ分析から始まったルーツ
現在Web解析で使われているこの手法は、もともとマーケティングや小売の現場で活用されていたデータ可視化技術にルーツを持っています。たとえば、店舗の防犯カメラ映像をもとに顧客の動線や滞在エリアを可視化する分析や、広告・パッケージデザインの視認性を検証するアイトラッキング(視線計測)調査などが代表例です。複雑な行動データを一枚の図にまとめて直感的に把握できる形に変える発想が、Webサイト改善の領域にも応用され、ヒートマップツールとして発展してきました。
アクセス解析ツールと併用する主な目的
このツールを導入する主な目的は、Googleアナリティクスなどの数値を中心としたアクセス解析ツールと併用し、分析の死角を補うことにあります。通常の解析ツールでは「どのページが何回見られたか」は分かりますが、「ページ内のどこが読まれたか」までは把握できないからです。実際の運用例として、アクセス解析で離脱率が高いページを特定した後、ヒートマップを使って「ページのどの部分でユーザーが帰ってしまったのか」をピンポイントで突き止めます。両者を組み合わせることで、点と点が繋がる正確な分析が実現します。
ヒートマップ分析で活用できる5つの主な機能

一口にヒートマップといっても、分析したいユーザーの行動に合わせて五つの主な機能を使い分ける必要があります。ユーザーの興味の対象や、迷っている箇所を特定するためには、異なる角度からのデータ計測が求められるからです。たとえば、どこまで画面をスクロールしたかを見る機能と、どこをクリックしたかを見る機能では、得られる改善のヒントが全く異なります。ここでは、代表的な五つの機能とその役割について解説します。
熟読エリアを可視化するアテンションヒートマップ
一つ目の機能は、ページ内でユーザーが立ち止まってじっくり読んだ熟読エリアを可視化する「アテンションヒートマップ」です。ユーザーには「関心のある情報に差し掛かるとスクロールの手を止め、時間をかけて画面を見る」という習性があるため、このエリアの特定が可能になります。たとえば、スマートフォンの料金プランを説明するページにおいて、細かい注釈テキストの部分が真っ赤に表示されていれば、ユーザーが料金の条件を真剣に確認していることが分かります。どこに最も興味を惹かれているのかを知るための重要な指標となります。
離脱ポイントを特定するスクロールヒートマップ
二つ目の機能は、ユーザーの離脱ポイントを特定する「スクロールヒートマップ」です。縦に長いページにおいて、すべての情報が最後まで読まれるケースはほぼありません。必ずどこかでユーザーが離脱するため、その「壁」がどこにあるのかを突き止めます。具体的な見え方として、ページの上部は到達率が100%(赤)ですが、ある見出しを境に到達率が急激に20%(青)に落ち込むといった変化がグラフで表示されます。コンテンツの配置を見直すための決定的な証拠となります。
タップ位置を把握するクリックヒートマップ
三つ目の機能は、ユーザーが実際にクリックやタップをした位置を正確に把握するクリックヒートマップです。リンクが設定されているボタンが意図通りに押されているかを確認することは、コンバージョン(成約)を高める上で欠かせないからです。想定される活用法として、商品購入の赤いボタンと青いボタンを並べた際、どちらに赤い点が集中しているかを確認し、より押しやすいデザインを採用します。ユーザーの最終的な行動地点を正確に測るための機能です。
視線の動きを推測するマウスフローヒートマップ
四つ目の機能は、パソコンの画面上でマウスの軌跡を追い、ユーザーの視線の動きを推測するマウスフローヒートマップです。パソコンを利用する際、人は無意識に読んでいる文章や気になっている画像の上にマウスカーソルを移動させる習性があるからです。一例を挙げると、商品の比較表があるページにおいて、カーソルが行ったり来たりしている箇所があれば、ユーザーが迷いながら情報を比べている心理状態を読み取ることができます。文字通り、顧客の目線を追体験するための高度な機能となります。
スマホ特有の操作を知るタッチアクションヒートマップ
五つ目の機能は、スマートフォンの画面を拡大するピンチインや、画像をスワイプするといったスマホ特有の操作を知るタッチアクションヒートマップです。現代のWeb閲覧はスマートフォンが主流であり、指先による細かな操作の記録がユーザーの不満を発見する鍵となり得ます。たとえば、文字が小さすぎて読めない箇所や、画像の詳細を見たい箇所では、画面を拡大するタップ操作が頻繁に記録されます。スマートフォンユーザーに最適な画面設計(UI)を提供するための専門的な分析機能です。
ヒートマップの見方とサイト改善に向けた調査のポイント

機能を理解した後は、実際に色分けされたデータから課題を読み解き、サイト改善に向けた調査のポイントを押さえる必要があります。単に赤い箇所や青い箇所を眺めるだけでは、次の具体的なアクション(デザイン変更など)に繋がらないからです。たとえば、赤い場所をさらに目立たせるべきか、青い場所を削除すべきかといった仮説を立てながら画面を確認します。ここでは、現場ですぐに使える三つの具体的な見方について解説します。
ユーザーが興味を持つ熟読エリアの探し方
まずはアテンション機能を使って、ユーザーが強い興味を持つ熟読エリア(赤い箇所)を探します。企業側が伝えたいことと、ユーザーが実際に求めている情報のギャップを見つけることが改善の第一歩となり得ます。具体的な手順として、ページの下の方に配置した「開発者の声」というコンテンツが真っ赤になっていることを発見した場合、そのコンテンツをページの一番上に移動させるといった対策を講じます。ユーザーの本当のニーズを拾い上げ、コンテンツの配置を最適化します。
ページ後半まで読まれない離脱箇所の見極め方
次にスクロール機能を用いて、ページ後半まで読まれない離脱箇所(色が急激に冷たくなる箇所)を見極めます。急に離脱が増える場所には、ユーザーの期待を裏切る内容や、読む気をなくさせる退屈な表現が潜んでいるからです。一例を挙げると、専門用語がぎっしり詰まった長い文章の直前で到達率がガクッと落ちている場合、その文章を分かりやすい図解や箇条書きに変更して読みやすさを向上させます。読者のストレスを取り除き、最後までページを読ませるための工夫となります。
リンクがない場所の誤クリックを減らす考え方
最後にクリック機能を確認し、リンクがない場所の誤クリックを減らす考え方で調査を行います。ユーザーがボタンだと思い込んでタップしているのに何も起きない状況は、非常に強いストレスを与え、サイトからの離脱を招くからです。実際の分析例として、ただのイラスト画像が赤くクリックされている場合、ユーザーはそのイラストの詳細説明を見たいのだと推測し、画像にリンクを追加して別の詳細ページへ誘導する仕組みを整えます。ユーザーの迷いをなくし、スムーズな操作性を実現します。
改善効果を高めるヒートマップの具体的な活用事例

ヒートマップのデータをただ眺めるだけでは、Webサイトの売上や問い合わせの増加には繋がりません。データから得られた仮説を元に、実際のページに変更を加えることで初めて改善効果を高めることができるからです。たとえば、ボタンの位置を変えたり、文章の長さを調整したりする具体的なアクションを起こします。ここでは、現場で頻繁に行われている四つの効果的な活用事例について解説します。
コンバージョンボタンを最適な位置へ移動する
もっとも即効性が高い施策は、問い合わせや購入を促すコンバージョンボタン(CTA)を最適な位置へ移動することです。ページの一番下など、到達率が低い青色のエリアにボタンを置いていても、多くのユーザーに気づかれないまま離脱されてしまうからです。具体的な改善策として、アテンションヒートマップで真っ赤になっている「よく読まれている段落」のすぐ下にボタンを配置し直します。ユーザーの関心が一番高まったタイミングで行動を促すことができます。
注目度の高い情報をページの上部に配置する
二つ目の活用法は、注目度の高い情報をページの上部に配置し直すという手法です。ユーザーは上から下へと順番にページを読むとは限らず、自分が探している情報がないと判断すればすぐにページを閉じてしまうからです。実践例を挙げると、ページの中盤にある「よくある質問」の項目が赤く熟読されている場合、それをファーストビューのすぐ下へと移動させます。ユーザーが求める情報を先に見せることで、全体の滞在時間を大きく伸ばすことに貢献します。
読まれていない箇所のテキストや画像を改善する
三つ目の施策は、スクロールデータで青く表示されている「読まれていない箇所」のテキストや画像を改善することです。離脱の原因となっている退屈なコンテンツを放置していると、そこから下の重要な情報まで誰も辿り着かなくなってしまうからです。たとえば、社長の長い挨拶文の周辺で離脱が急増している場合、思い切ってその文章を削除するか、短く要約して別のページへリンクを飛ばすように変更します。離脱の壁を取り除き、スムーズな閲覧をサポートします。
ユーザーニーズに沿って見出しや図解を修正する
四つ目の方法は、ユーザーニーズに沿って見出しや図解を修正し、ページ全体の質を高めることです。誤クリックが頻発している場所や、マウスが迷っている箇所には、ユーザーの「もっと知りたい」という満たされていないニーズが隠れているからです。一例として、専門用語の解説がない部分でマウスフローが止まっている場合、そこに分かりやすい図解やポップアップの解説を追加します。ユーザーの小さな不満を解消することで、快適な閲覧体験を提供できます。
SEOやUX向上に役立つヒートマップツールの選び方

ヒートマップを導入する際は、自社の課題に適したツールを選ぶことがSEO(検索エンジン最適化)やUX(ユーザー体験)の向上に直結します。ツールごとに機能の豊富さや計測できるデータの上限が異なり、間違ったツールを選ぶと必要な分析が行えないからです。たとえば、個人ブログと大規模なECサイトでは求める機能が変わってきます。ここでは、失敗しないためのツールの選び方について四つの基準を解説します。
初心者でも導入しやすい無料版ツールの特徴
これから分析を始める企業には、初心者でも導入しやすい無料版ツールの利用が適しています。まずは「色の濃淡でユーザーの動きを見る」という分析の流れに慣れることが、本格的な改善作業への近道となるからです。特徴として、機能がシンプルな分だけ設定画面が分かりやすく設計されており、専門知識がなくてもすぐに計測を開始できます。本格的な予算を組む前に、ヒートマップの有効性を社内で検証するための第一歩として活躍します。
高度な解析を可能にする有料版ツールの特徴
複数のページを同時に分析したい場合や、長期的なデータを蓄積したい場合は、高度な解析を可能にする有料版ツールの導入が求められます。無料版では計測できるページ数やデータの保存期間に厳しい制限があり、ビジネスの成長に合わせて分析が追いつかなくなり得ます。具体的なメリットとして、スマートフォンとパソコンの動きを別々に細かく分析したり、過去一ヶ月分のデータを比較したりする高度な機能が解放されます。本格的な売上改善を狙うための強力なインフラとなります。
自社のPV数や目的に適したサービスの基準
ツールを選ぶうえで絶対に見落としてはいけないのが、自社のPV(ページビュー)数や目的に適したサービスであるかという基準です。多くのツールは月間のPV数に応じて料金プランが細かく設定されており、サイトの規模に合わないプランを選ぶと無駄なコストが発生するからです。たとえば、月に一万回しか見られないサイトに高額な大規模プランを契約しても、費用対効果が合いません。自社の現在のアクセス規模を正確に把握した上で、最適な料金体系を選択します。
ABテストやユーザーテストを組み合わせる重要性
ヒートマップ単体で終わらせず、ABテストやユーザーテストを組み合わせて利用できるかどうかも重要な選定基準となります。色の濃淡で課題を発見できても、どのようなデザインに変更すれば成果が上がるのかは、実際に比較テストを行わなければ証明できないからです。一例を挙げると、ボタンの色を赤と緑でテストできる機能が標準で付いているツールを選ぶことで、課題の発見から改善策の実行までを一つのシステム内で完結させられます。改善のサイクルを止めない仕組み作りが重要です。
おすすめのヒートマップツールと導入方法の比較

市場にはさまざまなヒートマップツールが存在し、それぞれに独自の強みがあります。自社の体制や予算に合わせて最適なツールを選択することで、無駄なくスムーズに分析環境を構築できるからです。たとえば、完全に無料で使えるものから、一人ひとりのユーザーの動きを動画で追跡できるものまで、機能の幅は多岐にわたります。ここでは、代表的でおすすめの五つのツールと、それぞれの導入方法や特徴を比較して紹介します。
3URLから無料で使える「ミエルカヒートマップ」
初心者にもっとも扱いやすいのが、3URLから無料で使い始めることができる「ミエルカヒートマップ」です。国産のツールであるため管理画面の日本語が自然であり、充実したサポート体制が整っているため、初めて分析ツールを触る担当者でも安心できるからです。導入手順として、公式サイトからアカウントを登録し、発行されたタグを改善したいページに貼り付けるだけで設定が完了します。小規模なランディングページなどの改善をすぐに始めたい場合に最適な選択肢となります。
月間30万PVまで無料計測可能な「User Heat」
中規模のサイトを運営している企業に人気なのが、月間30万PVまで無料で計測可能な「User Heat(ユーザーヒート)」です。多くの無料ツールが数万PVで制限がかかる中、このツールは圧倒的に計測できるデータ量が多く、複数のページをまとめて分析したいというニーズに応えられるからです。登録後に指定のコードをHTMLに埋め込むことで、熟読エリアや離脱ポイントなど基本的な五つの機能がすべて無料で利用できるようになります。コストを抑えて広範囲のデータを集めたい担当者の味方です。
マイクロソフト社が提供する強力な「Clarity」
コストパフォーマンスを極めたい企業には、マイクロソフト社が無料で提供している強力な「Clarity(クラリティ)」が適しています。大企業が提供しているツールでありながら、期間やPV数の制限が一切なく、すべての高度な機能を完全に無料で使い続けることができるからです。Googleアナリティクスとの連携もボタン一つで完了し、サイトの表示速度に悪影響を与えない設計になっています。海外ツールのため一部英語の表記がありますが、本格的な解析を無料で行える圧倒的な強みがあります。
解析とヒートマップを同時に行える「Ptengine」
より実践的なマーケティングを行いたい企業には、ヒートマップ・アクセス解析・A/Bテスト・Web接客・パーソナライゼーションを1つのタグで統合運用できるオールインワンツール「Ptengine(ピーティーエンジン)」がおすすめです。流入元のデータとページ内の動きをシームレスに照らし合わせて分析できるだけでなく、見つかった課題をそのままノーコードでページ改善やA/Bテストに展開できる点が特徴です。
たとえば、SNS経由で訪問したユーザーと検索経由のユーザーのスクロールの違いを比較し、改善案を即座にテスト配信するといった一連の改善サイクルが、同一プラットフォーム上で完結します。近年はAIがページの課題を自動抽出する機能も搭載され、専門的なデータ分析を直感的な操作で実現できる点が強みです。
一人ひとりの行動を動画で見る「KARTE Live」
最後に紹介するのが、一人ひとりのユーザーの行動を動画で見るという全く新しいアプローチを提供する「KARTE Live(カルテライブ)」です。色の濃淡という集団のデータだけでなく、特定のユーザーがどこで迷い、どうマウスを動かしたのかを録画映像として再現できるからです。たとえば、エラー画面で何度もクリックを繰り返しているユーザーの映像を見ることで、システム上の不具合を正確に特定できます。顧客の感情の揺れ動きまでを細かく分析するための最先端の機能となります。
なお、KARTE Liveは単体で導入できるツールではなく、CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」のエンタープライズプラン契約者向けに提供されるオプション機能のため、KARTE本体の利用を前提とする点には注意が必要です。
まとめ
現代のWebマーケティングにおいて、ユーザーの行動を直感的に可視化するヒートマップは、サイトの課題を正確に発見するために不可欠なツールです。数字の解析だけでは見えなかった熟読箇所や離脱ポイントを色の濃淡で把握できるため、根拠に基づいた的確な改善策を打てるからです。自社の課題に合ったツールを導入し、ボタンの位置変更やコンテンツの入れ替えといった改善サイクルを回すことで、コンバージョン率を最大化し、ビジネスの成長を加速させることができるでしょう。
客観的なデータに基づいた確実なサイト改善を実施するには、専門的な分析ノウハウが必要です。DYMのWEB事業では、アクセス解析とヒートマップを活用した課題の抽出から、具体的なサイト改修の実行まで、お客様の売上向上を包括的にサポートしています。勘に頼らないデータドリブンなWeb施策で成果を上げたい企業様は、ぜひDYMのWEB事業のサービスの利用をご検討ください。
【筆者・監修者企業】
【筆者・監修者企業】
「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。