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中小企業投資育成会社とは?中小企業が活用できる公的機関の概要と利用手順を解説

公開日:2024.11.14  更新日:2024.11.20

1963年に設立された中小企業投資育成会社は、中小企業投資育成株式会社法に基づいて中小企業を対象に長期投資とコンサルティングを行う公的機関です。基本的にすべての中小企業に申込む権利があるため、事業の安定化や基盤づくりを目指す企業にとっては、利用を検討する価値があります。

本記事では、中小企業投資育成会社の概要と利用手順について解説しています。

<この記事で紹介する3つのポイント>

  • 中小企業投資育成会社の概要
  • 中小企業投資育成会社の営業エリア
  • 中小企業投資育成会社の利用手順

中小企業投資育成会社とは?

中小企業育成会社とは、中小企業投資育成株式会社法(昭和38年6月10日法律第101号)に基づいて設立された国の政策実施期間の名称です。ここから、中小企業育成会社がどのようなものか、設立の目的や実態、営業エリア、利用手順について解説します。

公的な国の政策実施機関

中小企業投資育成会社とは、1963年に設立された中小企業の経営基盤をサポートする国の政策実施機関です。中小企業の経営安定のために長期投資と人材育成のコンサルティングを主な業務活動とし、経営基盤を強固かつ健全な発展へと導くことを目標としています。国内には東京を含め大阪、名古屋の3つのエリアに拠点を置き、いずれも中小企業の支援を目的に活動を継続中です。

投資先に経営支援を行って利益を得る「投資会社」という視点から、ベンチャーキャピタルと称されることもありますが、厳密には別物です。中小企業投資育成会社はあくまで中小企業の発展を後押しするための存在であり、投資先企業に対しての経営干渉や役員派遣を一切行っていません。

中小企業投資育成会社は、コンサルティングを受けた中小企業の配当を期待する株主として、企業の長期的な経営安定をサポートする相談相手として存在しています。

設立された目的

投資育成会社は、中小企業の自己資本の充実、経営の安定化、企業成長を目的として設立された投資会社です。会社が設立された1963年は高度成長期であり、貿易自由化や資本自由化に対して、激しい国際競争への対応を迫られる時代でした。大企業に比べ中小企業は資本力で劣り、政府は中小企業の生産性の向上を求め、中小企業基本法の制定など様々な施策を打ち出していたタイミングです。

日本経済の安定化を最大の目標に掲げ、投資育成会社は設立から一貫して経営基盤の強化と企業成長や安定を図り、中小企業を対象とした投資と人材育成に力を注いできました。名前が表すように、経営基盤の強化や資金調達のみではなく、経営相談やビジネスマッチング、後継者教育など投資から育成まで業務は多岐に渡ります。

基本的に投資育成会社は、投資企業の経営の自主性を最大限に尊重している姿勢です。投資業務を実施する国内唯一の公的機関として、中小企業に寄り添う安心できる外部株主と言えるでしょう。

支援内容

中小企業投資育成会社が支援している内容は、投資事業と育成事業の2種類のみです。具体的な支援内容について、以下の表にまとめました。

支援事業事業内容
投資事業・ 株式会社の設立に際して発行される株式の引受け
・ 増資に際して発行される株式の引受け
・ 新株予約権の引受け
・ 新株予約権付社債の引受け
育成事業・ 長期安定株主として協力し、分散した株主構成の改善、一層の安定した経営体制づくり
(経営権安定化)
・ 長期安定株主として、次世代の経営者の経営体制も引き続きバックアップし、スムーズ
な事業承継・後継者育成をサポート(事業承継支援)
・ 中立的な立場から、資本政策の立案や内部管理体制の整備など株式上場準備のサポート
(株式上場支援)
・ 投資先企業経営者が会するセミナー・勉強会の開催により、相互啓発・異業種交流の場
を提供(ビジネスマッチング)
・ テーマ・階層別に多様な研修の提供、計画的な人材育成と教育の実施(人材育成支援

投資事業は長期的な経営を目的としているため、必要に応じて保有する自己株式の取得や追加投資も可能です。一方で、企業基盤の強化や次世代の承継、販路拡大など、育成事業では経営規模の成長に必要な人材の育成支援を主に行っています。

引用:活力で未来にチャレンジ中小企業 – 投資育成制度のご案内

中小企業投資育成会社は株主(政府、自治体など)から出資を受けており、制度を活用している中小企業はその資金から投資を受けています。担保不要で出資を受けることができるため、中小企業は長期的な経営の持続化・安定化が可能です。

支援対象

中小企業投資育成会社は、その名の通り中小企業を対象としています。資本金の額が3億円以下の株式会社、または株式会社を設立しようとする方であれば、どなたでも制度の利用が可能ですまた、3億円を超える資本金であっても、以下の法律に基づく特例によって投資対象になる場合があります。

・ 中小企業労働力確保法
・ 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律
・ 中小企業地域資源活用促進法
・ 新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法
・ 大学等技術移転促進法
・ 中小企業等経営強化法
・ 中小企業ものづくり基盤技術の高度化に関する法律
・ 農林漁業バイオ燃料法
・ アジア拠点化推進法
・ 下請中小企業振興法
・ 産業競争力強化法
・ 中心市街地活性法
・ 地域未来投資促進法

中小企業投資育成会社の営業エリア

中小企業投資育成会社は、東京・大阪・名古屋の3エリアで活動を行っています。各エリアの中小企業投資育成会社について、概要や特徴を解説していきましょう。

東京中小企業投資育成会社

東京中小企業投資育成株式会社は、1963年11月15日に設立された中小企業投資育成会社の始まりとなった会社です。株式会社と名称に冠しているものの、株主には地方公共団体(18都道県)、商工会議所、金融機関、事業会社など行政機関も含まれています。

業務は1人の社員が投資先企業の新規開拓から審査、育成までを一貫して担当するマンツーマン体制を敷いています。日の浅い若手社員から企業経営者への提案や、投資決定会議でのプレゼンを任されているのが特徴です。

1986年に民営化されたことを皮きりに、東京中小企業投資育成株式会社は対象業種をさらに拡大しました。現在は政府との関わりが薄く、どちらかと言えば特殊会社のポジションと言えるでしょう。

本社所在地東京都渋谷区渋谷3-29-22
事業所本社
営業エリア新潟、長野、静岡より東にある18都道県
URLhttps://www.sbic.co.jp/
電話
FAX
03-5469-1811(代)
03-5469-5875

大阪中小企業投資育成会社

大阪中小企業投資育成株式会社は、1963年11月20日に設立された大阪府の中小企業投資育成会社です。東京中小企業投資育成株式会社と同じくする国の公的機関であり、大阪の姉妹会社にあたります。

大阪中小企業投資育成株式会社は、大阪の本社と九州支社の2ヶ所に事業所を構えています。西日本を中心に活動を行っており、3社中で最も規模の広い中小企業投資育成会社です。

業務内容は他の2社と共通しており、地域や事業所数以外に大きな違いはありません。関西圏に在住で制度の利用を考えている場合、大阪中小企業投資育成株式会社に申込むとよいでしょう。

本社所在地大阪府大阪市北区中之島3-3-23 中之島ダイビル28F
事業所本社、九州支社(福岡市)
営業エリア福井・滋賀・奈良・和歌山より以西の24府県
URLhttp://www.sbic-wj.co.jp/
電話
FAX
06-6459-1700(代)
06-6459-1703

名古屋中小企業投資育成会社

名古屋中小企業投資育成株式会社は、1963年11月18日に設立された愛知県名古屋市の中小企業投資育成会社です。東京と大阪の姉妹会社で中部地方に拠点を置いて活動しています。

営業エリアは中部5県と3社中規模が狭い中小企業投資育成会社ですが、業務活動自体は他の姉妹会社と同じ内容です。中小企業の投資育成に貢献する公的機関として、半世紀以上に渡って活動を続けています。

本社所在地愛知県名古屋市中村区名駅南1-16-30 東海ビルディング7階
事業所本社
営業エリア愛知・岐阜・三重・富山・石川の中部5県
URLhttps://www.sbic-cj.co.jp/
電話
FAX
052-581-9541(代)
052-583-8501

中小企業投資育成会社の利用手順

中小企業投資育成会社は、一般的な会社とは形態が異なるため、投資を受けるには規定の手続きと申込み審査が必要です。申込みから投資決定までの基本的な流れを解説します。

ヒアリング

制度の申込みを行う前に、まずは各地域に対応した中小企業投資育成会社に必要書類を持ち寄ってヒアリングを受けます。

必要書類・ 会社パンフレット
・ 最近3期分の決算書
・ 株主名簿など
ヒアリング内容・ 事業の概要
・ 増資計画など

投資を受けるには自社の財務状況などを知る必要があるため、決算書などの収益や資本がわかるものは必ず忘れないようにしましょう。ヒアリング時間は明確に設けていないため、十分な擦り合わせと確認が行われます。

申込み受付

ヒアリングの後は、申込み手続きを行います。投資決定には投資先の収益や事業計画など、以下の資料が必要となるため、必ず用意しておきましょう。

・ 事業計画書
・ 事業経歴書
・ 役員等の略歴
・ 製品カタログ
  等

初回相談のみであったり、追加で資料提出をしたりする場合には後日申込みでも問題ありません。

審査

申込み受付後は、中小企業投資会社が投資先に訪問してヒアリングが行われます。

ヒアリングは経営方針、事業計画、事業内容、収益見通し等、投資決定のための重要な判断材料となるため、誤りのないように正確に回答しましょう。場合によっては投資育成会社内でのプレゼンテーションを依頼されるケースがあります。

投資決定と資金払込

投資決定は投資育成会社内で機関決定され、投資先には引受けの可否と条件が伝えられます。

申込みから投資を受けるまで、株式と新株式予約権付社債などの発行手続きと資金払込までの期間は、2~3ヶ月程度とされています。審査や投資先の取締役会・株主総会等の増資手続きなどのために、一定期間が必要です。

投資決定後は投資育成会社から通達されるため、ガイダンスに従って手続きを進めましょう。

新聞社等へのプレスリリース

投資が決定したら新聞社など、報道機関を通してプレスリリースを発表します。プレスリリースは情報開示することで、ステークホルダーに向けて自社の評価や投資価値をアピールする機会になります。

ビジネスパーソンとの良好な関係性を築き、新たなビジネスマッチアップの機会獲得となるでしょう。

まとめ

本記事では、中小企業投資育成会社の概要について解説してきました。

中小企業投資育成会社は、国内の中小企業の資本の安定と強固な経営基盤を築くために政府が設立した公的機関です。政府機関による投資と人材育成のバックアップが受けられ、経営には干渉せず無担保でも投資を受けられるのは、資本力で大手に劣る中小企業にとって非常に心強い存在と言えるでしょう。

しかし、あくまで投資育成会社は中小企業を対象とした制度であるため、要件を満たさなければその恩恵を受けることができません。DYMはベンチャー企業への投資を積極的に行っており、これまで培ってきた経営のノウハウで、様々な企業の経営をサポートしてきた実績があります。

資金やノウハウの提供からビジネスマッチアップまで、幅広く経営をサポートできるため、企業の長期的安定を目指す場合はお気軽にご相談ください。

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【筆者・監修者企業】

株式会社DYM

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「世界で一番社会を変える会社を創る」というビジョンのもと、WEB事業、人材事業、医療事業を中心に多角的に事業を展開し、世界で一番社会貢献のできる会社を目指しています。時代の変化に合わせた新規事業を生み出しながら世界中を変革できる「世界を代表するメガベンチャー」を目指し、日々奮闘しています。

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